JP2000178321A - フッ素樹脂の製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂の製造方法

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JP2000178321A
JP2000178321A JP10357947A JP35794798A JP2000178321A JP 2000178321 A JP2000178321 A JP 2000178321A JP 10357947 A JP10357947 A JP 10357947A JP 35794798 A JP35794798 A JP 35794798A JP 2000178321 A JP2000178321 A JP 2000178321A
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vinylidene fluoride
fluororesin
polymerization
containing monomer
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JP10357947A
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English (en)
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Kazuhiko Maeda
一彦 前田
Katsunori Kawamura
勝則 川村
Hiromi Sugimoto
博美 杉本
Kentaro Tsutsumi
憲太郎 堤
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光伝送用途での使用に要求される低屈折率、
透明性、硬度、耐熱性、アクリル樹脂との高い相溶性な
どの物性を有するフッ素樹脂の製造方法を提供する。 【解決手段】フッ化ビニリデンとトリフルオロメチル基
含有単量体を重合させて91.0〜93.0モル%のフ
ッ化ビニリデン構造単位と7.0〜9.0モル%のトリ
フルオロメチル基含有単量体に由来する構造単位からな
るフッ素樹脂を製造する方法であって、t−ブチルアル
コールを重合溶媒として重合反応中常にフッ化ビニリデ
ン/トリフルオロメチル基含有単量体組成比を85〜8
2モル%/15〜18モル%に保ち反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の組成を有す
るフッ素樹脂の製造方法に関し、特に高透明性の光学用
フッ素樹脂に関する。
【0002】
【従来技術】光通信の整備が進みつつある中で、光ファ
イバーや光導波路用のクラッド材、あるいは低反射率コ
ーティング材などに使用される透明性の高いフッ素樹脂
が望まれている。一般に光学用に使用されているフッ素
樹脂としては、フッ素含有のアクリル樹脂、フッ化ビニ
リデン系重合体、フッ素系ポリカーボネート、パーフル
オロ樹脂などが知られている。
【0003】このうち、フッ化ビニリデン系重合体はア
クリル樹脂との相溶性を利用した高い密着性や屈折率制
御の容易さなどの好ましい特徴を有している。この樹脂
は結晶性樹脂であり、結晶の存在のために適度な耐熱性
は有するものの、反面、結晶の存在や成長による透明性
の低さまたは透明性の経時劣化などの問題点が指摘され
てる。これを解決する手段として、例えばテトラフルオ
ロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオ
ロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオ
ロアセトンなどのフッ素系単量体をフッ化ビニリデンと
共重合する方法が行われている。
【0004】しかしながら、共重合単量体としてテトラ
フルオロエチレンなどのフルオロエチレン系単量体を使
用した場合、初期透明性はやや高まるものの、共重合体
が結晶化をしていくため透明性の経時劣化が著しい。ま
たトリフルオロメチル基含有の単量体を使用すると結晶
成長は抑制されるが、高い透明性を得るために必要な共
重合比は大きく、フッ化ビニリデン単量体自身の有して
いるアクリル樹脂との相溶性が損なわれるばかりでな
く、硬度や耐熱性も低下してしまう欠点を有していた。
【0005】さらに、これらの場合において、共重合比
の最適化によって透明性を高めた場合でも、その透明性
は十分ではなく、透明性を高めるために、共重合体の単
量体の組成を傾斜または不均一に分布させた重合方法
(特開平7−18002号公報、特開平6−33651
0号公報)が提案されている。
【0006】また、特開昭60−186808号公報に
は、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロペン
を1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロ
エタン溶媒で、重合中モノマー混合物を追加しながら重
合してビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロペ
ン=91.6:8.4モル%の共重合体が得られること
が記載され、得られた共重合体を鞘成分としアクリル樹
脂を芯成分とする芯−鞘構造のストランドからなる光伝
送繊維が優れた耐熱性を有することが開示されている。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】特開昭60−1868
08号公報には、ビニリデンフルオライドとヘキサフル
オロプロペンの共重合体が光伝送繊維の鞘として優れた
性質を示すことが開示され、フッ素系樹脂の重合溶媒と
して汎用される1,1,2−トリクロロ−1,2,2−
トリフルオロエタンを使用しているが、この溶媒の使用
はさけることが求められている。そこで、本発明は、
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエ
タンを重合溶媒として使用しないで重合し、しかも光伝
送用途での使用に要求される低屈折率、透明性、硬度、
耐熱性、アクリル樹脂との高い相溶性などの物性を有す
るフッ素樹脂の製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはフッ化ビニ
リデンとトリフルオロメチル基含有単量体を重合させて
得られる共重合体について物性を検討したところ、9
1.0〜93.0モル%のフッ化ビニリデン構造単位と
7.0〜9.0モル%のトリフルオロメチル基含有単量
体に由来する構造単位からなるフッ素樹脂が良好な透明
性を有し、且つ低屈折率、十分な硬度、耐熱性、アクリ
ル樹脂との高い相溶性などの物性を有することを知った
が、フッ素系の重合溶媒を使用しないと、目的とする組
成並びに物性を有する共重合体が得られないということ
を見いだした。
【0009】そこで、さらに検討を加えたところ、重合
反応系に特定の連鎖移動剤を存在させることで目的とす
る組成と物性を有するフッ素樹脂が得られることを見い
だし発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明はフッ化ビニリデンとト
リフルオロメチル基含有単量体を重合させて91.0〜
93.0モル%のフッ化ビニリデン構造単位と7.0〜
9.0モル%のトリフルオロメチル基含有単量体に由来
する構造単位からなるフッ素樹脂を製造する方法であっ
て、t−ブチルアルコールを重合溶媒として重合反応中
常にフッ化ビニリデン/トリフルオロメチル基含有単量
体組成比を85〜82モル%/15〜18モル%に保ち
反応させることを特徴とするフッ素樹脂の製造方法であ
り、また、その方法で得られたフッ素樹脂である。
【0011】このフッ素樹脂は、230℃以上の温度で
溶融成形して得られた1mm厚みシートの光線透過率が
650nmの光に対して90%以上であることを特徴と
している。
【0012】また、このフッ素樹脂は、昇温速度10℃
/minで示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱
ピークが、高温側の115℃以上のピークと、低温側の
110℃以下の二つのピークを示すことを特徴とする。
【0013】以下に発明を詳細に説明する。
【0014】本発明のフッ素樹脂は、フッ化ビニリデン
とトリフルオロメチル基含有単量体を重合したものであ
って、フッ化ビニリデン構造単位が91.0〜93.0
モル%とトリフルオロメチル基含有単量体7.0〜9.
0モル%の範囲内であることが必要である。フッ化ビニ
リデン構造単位は樹脂の結晶性とポリメチルメタクリレ
ートなどのアクリル樹脂との相溶性を発現させるために
必要な構造単位であるので、フッ化ビニリデン構造単位
が91.0モル%未満では相溶性を持たせながら樹脂硬
度や耐熱性を維持するのに十分でなく好ましくない。ま
たフッ化ビニリデン構造単位が93.0モル%を越える
と結晶性が急激に高まり、透明性が著しく低下してしま
うので好ましくない。
【0015】本発明の方法で得られたフッ素樹脂のフッ
化ビニリデンとトリフルオロメチル基含有単量体のそれ
ぞれの構造単位に基づく組成比は、フッ素樹脂0.5g
を10gのアセトン−d6に溶解し、19F核磁気共鳴装
置(共鳴周波数400MHz)で測定した記録紙上のC
2基とCF3基の各フッ素原子に帰属されるシグナルの
面積比から計算により決定される。
【0016】結晶性を制御するためのトリフルオロメチ
ル基含有単量体としては、フッ化ビニリデンと共重合反
応性を有するものであれば制限なく使用することができ
るが、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロアセ
トン、ヘキサフルオロイソブテン、パーフルオロアルキ
ルビニルエーテルから選ばれた1種以上の単量体を使用
することが好ましい。トリフルオロメチル基含有単量体
の中で最も小さいファンデルワールス半径(単量体分子
半径)を有するヘキサフルオロプロピレンはフッ化ビニ
リデンの結晶制御を行いやすいので特に好ましい。
【0017】本発明の方法で得られるフッ素樹脂におい
て、これらの単量体の共重合組成比は7.0〜9.0モ
ル%であって、それらの単量体に基づく構造単位の共重
合体中での配列をフッ化ビニリデン構造単位に対してほ
ぼ一定とすることが必要である。その均一配列によって
フッ化ビニリデンからなる結晶性が抑制されて高次構造
をとり、高い透明性が実現するものと考えられる。それ
は重合反応器内部の単量体組成を重合初期から終点まで
均一に保つことで達成される。トリフルオロメチル基含
有単量体の種類によりフッ化ビニリデンとの重合性に差
があるので、反応器中での単量体組成比はそれぞれ異な
るが、これは予備的な実験を行うことで決定することが
できる。しかしながら、おおよそフッ化ビニリデン82
〜85モル%、トリフルオロメチル基含有単量体15〜
18モル%程度とするのが通常である。例えば、ヘキサ
フルオロプロピレンの場合は、フッ化ビニリデン82〜
85モル%、ヘキサフルオロプロピレン15〜18モル
%の狭い範囲内で終始一定に保つことが好ましい。それ
には、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの
重合反応速度が大きく異なるため、反応器内のそれぞれ
の単量体の消費分に見合う分の単量体を連続的または断
続的に補給できるようにして綿密に重合をコントロール
する。
【0018】本発明のフッ素樹脂の製造方法において
は、重合溶媒にt−ブチルアルコールを使用し、t−ブ
チルアルコールと水の混合液を使用することが好まし
い。水100重量部に対しt−ブタノールは1〜100
重量部とするのが好ましい。また、単量体100重量部
に対しt−ブタノールを1〜200重量部使用する。t
−ブタノールが1重量部未満では樹脂の透明性が低下
し、200重量部を超えると分子量の低下が生じるので
好ましくない。t−ブチルアルコールは連鎖移動剤とし
て作用し、重合末端が特定のユニットで適度に停止され
たフッ素樹脂が得られる。末端基と得られるフッ素樹脂
の物性との関係は明確ではないが、本発明の方法によっ
てt−ブチルアルコールを使用した場合は透明性、耐熱
性等の物性が発現する。一方、炭化水素系溶剤にも連鎖
移動剤として作用するものもあるが、これらの炭化水素
系化合物では、重合度が高くならないか、または230
℃で溶融成形して得られた1mm厚みシートの光線透過
率が650nmの光に対して90%以上のものとはなら
ない。
【0019】また、本発明の方法で得られるフッ素樹脂
は、フッ化ビニリデンまたはトリフルオロメチル基含有
の単量体以外の成分として、これらに基づく配列および
組成比を大きく変えない範囲で、その他の一般的なフッ
素系単量体、例えば、フッ化ビニル、トリフルオロエチ
レン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレンなどを少量添加することができる。
【0020】これらの単量体によって共重合されるフッ
素樹脂の製造方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合が好ましい。この際の溶媒としては、すでに述べた
ようにt−ブタノールまたは水とt−ブチルアルコール
の混合溶剤が使用される。その他の有機溶剤も分子量調
節などの目的のために少量添加することのできる。具体
的には、メチルアルコール、エチルアルコールなどのア
ルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの飽和炭
化水素系、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素
系、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフ
ルオロエタン、トリフルオロメチルエチルエーテル、パ
ーフルオロ化合物などのフッ素系、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、さらに石油
系溶剤であるミネラルスピリット、ターペン系溶剤など
が使用できる。また、これらは一種以上を併用すること
もできる。
【0021】本発明で使用できるラジカル開始剤として
は、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−
エチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどのジカー
ボネート類、またはn−ヘプタフルオロブチリックパー
オキシド、ラウロイルパーオキシピバレート、t−ブチ
ルオキシネオデカノエートなどのジアシルパーオキシド
類、ジーt−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパ
ーオキシドなどのアルキルパーオキシド類、t−ブチル
パーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ノエートなどのパーオキシエステル類などが具体的に挙
げられるが、フッ化ビニリデンの炭化水素系化合物への
連鎖移動性が高いために、特に過酸化物の希釈溶媒の種
類には配慮するのが望ましく、好ましくはt−ブチルア
ルコール、メチルアルコールやフッ素系溶剤などが好適
に使用できる。
【0022】本発明の方法において、トリフルオロメチ
ル基含有単量体としてヘキサフルオロプロピレンを用い
る場合に、本発明のフッ素樹脂を得るための好適な重合
反応系を例示するならば、重合溶媒として水とt−ブチ
ルアルコールの存在下、重合反応器内部のヘキサフルオ
ロプロピレン組成比が15〜18モル%の範囲内になる
ようにフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンを
仕込み、重合開始剤として有機過酸化物等を用いて重合
を開始させる。重合開始後も重合終了時点までヘキサフ
ルオロプロピレン組成比が15〜18モル%になるよう
に常にフッ化ビニリデン単独かまたは両単量体を追加仕
込みを続ける。追加の単量体がフッ化ビニリデン単独の
場合は、系内の残存ヘキサフルオロプロピレン量が徐々
に低下するので、それに合わせてフッ化ビニリデンの単
位時間あたりの仕込み量も連続的に低下させる。また両
単量体を追加する場合は、両者の組成比を得られる共重
合体の組成比になるようにすれば良い。
【0023】これらの方法により、分子鎖中のフッ化ビ
ニリデン構造単位が91.0〜93.0モル%の範囲内
にあり、かつ組成分布が一定となり、さらに分子末端に
t−ブチルアルコール由来のユニットが結合したフッ素
樹脂が得られる。この際の1mm厚みシートの光線透過
率は650nmの光に対して90%以上と非常に高く透
明な光学用に適するフッ素樹脂が得られる。
【0024】本発明の方法で得られたフッ素樹脂は、昇
温速度10℃/minで示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱ピークとして、高温側の115℃以上のピ
ークと、低温側の110℃以下の二つのピークを示す特
徴を有する。高温側の融点が115℃未満の場合は透明
性が低くなるばかりでなく、光学樹脂として望ましい耐
熱性が低下してしまう。この透明性と融点の因果関係は
明確ではないが、低い融点を有する非晶域はトリフルオ
ロメチル基含有の単量体が房状に集まった高次構造とな
り、不安定であるが透明な状態を作っているのもと考え
られる。したがって、組成が均一でかつ高次構造を均一
にして高い透明性を発現するためには、現象的に2重融
点を示すことが重要と思われる。
【0025】本発明の方法で得られたフッ素樹脂は光フ
ァイバー、光導波路、低屈折率膜などに使用できる光学
用フッ素樹脂となる。また、この光学用フッ素樹脂は溶
融成形または溶解塗布することで光学製品を作製するこ
とができる。
【0026】また、使用にあたっては、他のフッ素樹
脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、シリコーン系化合物
なども適宜添加可能である。
【0027】以下、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明の実施態様はこれらに限られない。
【0028】
【実施例】フッ素樹脂の物性等の測定は次の通り行っ
た。
【0029】フッ素樹脂の組成分析:フッ素樹脂0.5
gを10gのアセトン−d6に溶解し、19F核磁気共鳴
装置(共鳴周波数400MHz)で測定した記録紙上の
CF 2基とCF3基の各フッ素原子に帰属されるシグナル
の面積比から計算により決定した。
【0030】融点の測定法:昇温速度10℃/minで示差
走査型熱量計(DSC)により測定した。
【0031】光透過率の測定:樹脂を型枠内で230℃
の温度で溶融状態とし、水中に投入することによる溶融
成形で得られた1mm厚みシートを試料として、自記分
光光度計で650nmでの透過率を測定した。
【0032】相溶性試験:メチルエチルケトン溶液中
に、生成した樹脂/ポリメチルメタクリレート重量比を
80/20で混合し、溶剤を留去させたて生成したフィ
ルムを目視で透明性を評価し、透明であれば「相溶性あ
り」とし、不透明または曇りがあれば「相溶性なし」と
判断した。
【0033】[実施例1]電磁撹拌機付きの内容量2リ
ットルのSUS製オートクレーブに260gのt−ブチ
ルアルコール、600gの水、ヘプタフルオロブチリッ
クパーオキシド0.8gを仕込み、脱気・窒素置換を繰
り返した後、ヘキサフルオロプロピレン71g(16.
3モル%)、フッ化ビニリデン156g(82.7モル
%)を仕込み、30℃で重合を開始した。1時間後にオ
ートクレーブ内の圧力が落ち始めた時から、ヘキサフル
オロプロピレンの組成比を15〜18モル%に保ちなが
らフッ化ビニリデン43gを10時間かけて連続で供給
した。供給終了時点でオートクレーブ内の反応を完結さ
せずに急速に降温させ、重合を停止し、樹脂を取り出
し、水洗を繰り返した後、70℃で48時間乾燥した。
生成したフッ素樹脂の共重合組成比は、フッ化ビニリデ
ン構造単位91.8モル%、ヘキサフルオロプロピレン
構造単位8.2モル%であった。
【0034】フッ素樹脂の1H−NMR測定(19F−N
MR測定と同じ試料溶液)を行ったところ、樹脂中にt
−ブチルアルコール由来のメチル基が観察された(図
1)。
【0035】生成したフッ素樹脂の融点を測定した結果
を図2に示す。融点は122℃と85℃に2つ観察され
た。
【0036】さらに1mm厚さのシートを成形し、その
透明性を測定したところ、650nmの光に対して94
%と高い光透過率を示した。
【0037】また、相溶性試験を行ったところ、生成し
たフィルムは透明で、生成した樹脂はポリメタクリレー
トと相溶していることが判明した。
【0038】[参考例1〜5]実施例1と同様に内容量
2リットルのSUS製オートクレーブに260gのt−
ブチルアルコール、600gの水、ヘプタフルオロブチ
リックパーオキシド0.8gを仕込み、脱気置換を繰り
返した後、ヘキサフルオロプロピレン71g(16.3
モル%)、フッ化ビニリデン156g(82.7モル
%)を仕込み、30℃で重合を開始した。1時間後重合
を停止させた場合を参考例1、1時間後から実施例1と
同様にフッ化ビニリデンを連続で供給しはじめ、3時間
後に停止した場合を参考例2、さらに5時間後、7時間
後に停止した場合をそれぞれ参考例3、4とした。各参
考例の樹脂を取り出し、水洗を繰り返した後、乾燥した
後にそれぞれの共重合組成比を19F−NMRにて測定し
たところ、ヘキサフルオロプロピレンが7.9モル%
(参考例1)、8.0モル%(参考例2)、8.2モル
%(参考例3)、8.1モル%(参考例4)、8.2モ
ル%(参考例5)であった。したがって、重合初期から
終点までのフッ化ビニリデン構造単位とヘキサフルオロ
プロピレン構造単位の組成および配列は実質的に均一で
あることが推察された。
【0039】[実施例2]電磁撹拌機付きの内容量2リ
ットルのSUS製オートクレーブに280gのt−ブチ
ルアルコール、500gの水、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート0.5gを仕込み、脱気置換を繰り返
した後、ヘキサフルオロプロピレン67g(14モル
%)、パーフルオロプロピルビニルエーテル15g(2
モル%)、フッ化ビニリデン156g(84モル%)を
仕込み、40℃で重合を開始した。1時間後にオートク
レーブ内の圧力が落ち始めた時から、ヘキサフルオロプ
ロピレンの組成比を15〜18モル%に保ちながらフッ
化ビニリデン43gを10時間かけて連続で供給した。
供給終了時点でオートクレーブ内の反応を完結させずに
急速に降温させ、重合を停止し、樹脂を取り出し、水洗
を繰り返した後、70℃で48時間乾燥した。生成した
フッ素樹脂の共重合組成比を19F−NMRにて測定した
ところ、フッ化ビニリデン構造単位91.9モル%、ヘ
キサフルオロプロピレン構造単位7.0モル%、パーフ
ルオロプロピルビニルエーテル構造単位1.1モル%で
あった。また、1H−NMRで測定したところ、樹脂中
にt−ブチル基が観察された。
【0040】生成したフッ素樹脂の融点測定を行った結
果、融点は120℃、81℃に2つ観察された。
【0041】さらに樹脂の1mm厚さのシートを成形
し、その透明性を測定したところ、650nmの光に対
して96%と高い光透過率を示した。
【0042】[比較例1]電磁撹拌機付きの内容量2リ
ットルのSUS製オートクレーブに260gのt−ブチ
ルアルコール、600gの水、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート0.8gを仕込み、脱気置換を繰り返
した後、ヘキサフルオロプロピレン83g(19モル
%)、フッ化ビニリデン150g(81モル%)を仕込
み、40℃で重合を開始させた。1時間後にオートクレ
ーブ内の圧力が落ち始めた時から、ヘキサフルオロプロ
ピレンの組成比を19〜20モル%に保ちながらフッ化
ビニリデン39gを10時間かけて連続で供給した。供
給終了時点でオートクレーブ内の反応を完結させずに急
速に降温させ、重合を停止し、樹脂を取り出し、水洗を
繰り返した後、70℃で48時間乾燥した。生成したフ
ッ素樹脂の共重合組成比を19F−NMRにて測定したと
ころ、フッ化ビニリデン構造単位90.7モル%、ヘキ
サフルオロプロピレン構造単位9.3モル%であった。
【0043】樹脂の1mm厚さのシートを成形し、その
透明性を測定したところ、650nmの光に対して89
%の光透過率を示した。
【0044】また、融点を測定したところ、高温側の融
点が108℃、低温側の融点が65℃であった。
【0045】また、相溶性試験を行ったところ、生成し
たフィルムは半透明で、生成した樹脂はポリメタクリレ
ートとは完全には相溶していないことが判明した。
【0046】[比較例2]電磁撹拌機付きの内容量2リ
ットルのSUS製オートクレーブに100gのエチルア
ルコール、700gの水、ヘプタフルオロブチリックパ
ーオキシド0.8gを仕込み、脱気置換を繰り返した
後、ヘキサフルオロプロピレン71g(16.3モル
%)、フッ化ビニリデン156g(82.7モル%)を
仕込み、30℃で重合を開始させた。1時間後にオート
クレーブ内の圧力が落ち始めた時から、ヘキサフルオロ
プロピレンの組成比を15〜18モル%に保ちながらフ
ッ化ビニリデン43gを10時間かけて連続で供給し
た。供給終了時点でオートクレーブ内の反応を完結させ
ずに急速に降温させ、重合を停止し、樹脂を取り出し、
水洗を繰り返した後、70℃で48時間乾燥した。生成
したフッ素樹脂の共重合組成比を19F−NMRにて測定
したところ、フッ化ビニリデン構造単位92.1モル
%、ヘキサフルオロプロピレン構造単位7.9モル%で
あった。
【0047】フッ素樹脂の融点測定を行った結果を図2
に示す。融点は110℃と75℃に2つ観察された。
【0048】さらに樹脂の1mm厚さのシートを成形
し、その透明性を測定したところ、650nmの光に対
して85%の光透過率を示した。
【0049】[比較例3]電磁撹拌機付きの内容量2リ
ットルのSUS製オートクレーブに260gのt−ブチ
ルアルコール、600gの水、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート0.4gを仕込み、脱気置換を繰り返
した後、ヘキサフルオロプロピレン74g(17モル
%)、フッ化ビニリデン154g(83モル%)を仕込
み、40℃で重合を開始させた。そのまま、モノマーの
追加仕込みはせずに重合を15時間進行させた。重合
後、樹脂を取り出し、水洗を繰り返した後、乾燥した。
生成したフッ素樹脂の共重合組成比を19F−NMRにて
測定したところ、フッ化ビニリデン構造単位93.2モ
ル%、ヘキサフルオロプロピレン構造単位6.8モル%
であった。
【0050】樹脂の1mm厚さのシートを成形し、その
透明性を測定したところ、650nmの光に対して8
2.3%と低い光透過率を示した。
【0051】また、融点を測定したところ、融点は単一
で132℃であった。
【0052】また、相溶性試験を行ったところ、生成し
たフィルムは半透明で、生成した樹脂はポリメタクリレ
ートとは完全には相溶していないことが判明した。
【0053】[比較例4]電磁撹拌機付きの内容量2リ
ットルのSUS製ートクレーブに260gのt−ブチル
アルコール、600gの水、ジイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート0.4gを仕込み、脱気置換を繰り返し
た後、ヘキサフルオロプロピレン74g(17モル%)、
フッ化ビニリデン154g(83モル%)を仕込み、40
℃で重合を開始させた。重合開始から6時間後にヘキサ
フルオロプロピレン40g(30モル%)、フッ化ビニリ
デン40g(70モル%)を仕込み、その後は単量体モノ
マーの追加仕込みはせずに重合を15時間進行させた。
重合後、樹脂を取り出し、水洗を繰り返した後、乾燥し
た。生成したフッ素樹脂の共重合組成比を19F−NMR
にて測定したところ、フッ化ビニリデン構造単位91.
5モル%、ヘキサフルオロプロピレン構造単位8.5モ
ル%であった。
【0054】樹脂の1mm厚さのシートを成形し、その
透明性を測定したところ、650nmの光に対して8
1.0%と低い光透過率を示した。
【0055】また、融点を測定したところ、融点は単一
で130℃であった。
【0056】また、相溶性試験を行ったところ、生成し
たフィルムは透明で、生成した樹脂はポリメタクリレー
トと相溶していることが判明した。
【0057】[比較例5]電磁撹拌機付きの内容量2リ
ットルのSUS製オートクレーブに260gのt−ブチ
ルアルコール、600gの水、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート0.4gを仕込み、脱気置換を繰り返
した後、テトラフルオロエチレン29g(10モル
%)、フッ化ビニリデン167g(90モル%)を仕込
み、40℃で重合を15時間行った。重合後、樹脂を取
り出し、水洗を繰り返した後、乾燥した。生成したフッ
素樹脂の共重合組成比を19F−NMRにて測定したとこ
ろ、フッ化ビニリデン構造単位89.3モル%、テトラ
フルオロエチレン構造単位10.7モル%であった。
【0058】樹脂の1mm厚さのートを成形し、その透
明性を測定したところ、650nmの光に対して84.
0%と低い光透過率を示した。
【0059】また、融点を測定したところ、融点は単一
で138℃であった。
【0060】また、相溶性試験を行ったところ、生成し
たフィルムは透明で、生成した樹脂はポリメタクリレー
トと相溶していることが判明した。
【0061】
【発明の効果】本発明の方法により得られるフッ素樹脂
は、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオ
ロエタンを重合溶媒として使用しないにも拘わらず、光
伝送用途での使用に要求される低屈折率、透明性、硬
度、耐熱性、アクリル樹脂との高い相溶性などの物性を
有するフッ素樹脂を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたフッ素樹脂(下)とt−
ブタノール(上)の 1H−NMR測定のチャートであ
る。
【図2】 実施例1で得られたフッ素樹脂の示差走査型
熱量計(DSC)測定のチャートである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C08F 214/22 214:28) (C08F 214/22 216:14) (72)発明者 杉本 博美 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 (72)発明者 堤 憲太郎 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 Fターム(参考) 2H050 AB48Z 4J100 AC22Q AC24P AC27Q AE09Q BB18Q CA04 DA24 FA27 FA30

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化ビニリデンとトリフルオロメチル基
    含有単量体を重合させて91.0〜93.0モル%のフ
    ッ化ビニリデン構造単位と7.0〜9.0モル%のトリ
    フルオロメチル基含有単量体に由来する構造単位からな
    るフッ素樹脂を製造する方法であって、t−ブチルアル
    コールを重合溶媒として重合反応中常にフッ化ビニリデ
    ン/トリフルオロメチル基含有単量体組成比を85〜8
    2モル%/15〜18モル%に保ち反応させることを特
    徴とするフッ素樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】トリフルオロメチル基含有単量体がヘキサ
    フルオロプロピレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサ
    フルオロイソブテン、パーフルオロアルキルビニルエー
    テルから選ばれた1種以上の単量体である請求項1記載
    のフッ素樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】トリフルオロメチル基含有単量体がヘキサ
    フルオロプロピレンである請求項1記載のフッ素樹脂の
    製造方法。
  4. 【請求項4】t−ブチルアルコールを重合溶媒として重
    合反応中常にフッ化ビニリデン/トリフルオロメチル基
    含有単量体組成比を85〜82モル%/15〜18モル
    %に保ちフッ化ビニリデンとトリフルオロメチル基含有
    単量体を重合させて得られる91.0〜93.0モル%
    のフッ化ビニリデン構造単位と7.0〜9.0モル%の
    トリフルオロメチル基含有単量体に由来する構造単位か
    らなるフッ素樹脂。
  5. 【請求項5】昇温速度10℃/minで示差走査型熱量計
    (DSC)により測定した吸熱ピークとして、高温側の
    115℃以上のピークと、低温側の110℃以下の二つ
    のピークを示す請求項4記載のフッ素樹脂。
  6. 【請求項6】230℃で溶融成形して得られた1mm厚
    みシートの光線透過率が650nmの光に対して90%
    以上である請求項4記載のフッ素樹脂。
  7. 【請求項7】請求項6記載の光学用フッ素樹脂からなる
    光学部品。
  8. 【請求項8】光ファイバーまたは光導波路である請求項
    7記載の光学部品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004502010A (ja) * 2000-06-27 2004-01-22 ダイネオン エルエルシー 過フルオロビニルエーテル変性フルオロポリマーを含有するポリマー加工添加剤およびこれを用いた溶融加工性熱可塑性ポリマー組成物
JP2011527373A (ja) * 2008-07-07 2011-10-27 アーケマ・インコーポレイテッド 新規なフッ化ビニリデンコポリマー
JP2016110083A (ja) * 2014-12-05 2016-06-20 三菱レイヨン株式会社 光ファイバ、光ファイバケーブル、通信機器及び照明器具
US9493595B2 (en) 2008-07-07 2016-11-15 Arkema Inc. Vinylidene fluoride copolymers

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