JP2011527373A - 新規なフッ化ビニリデンコポリマー - Google Patents

新規なフッ化ビニリデンコポリマー Download PDF

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Abstract

本発明は、ポリ(フッ化ビニリデン−トリフルオロプロペン)コポリマーのコポリマー組成物に関する。形成されたコポリマーは、優れた光学的性質、極めて低いヘイズ、並びに高融点、優れた可撓性、及び靱性を有する。

Description

本発明は、ポリ(フッ化ビニリデン−3,3,3−トリフルオロプロペン)コポリマーのコポリマー組成物に関する。形成されたコポリマーは、ヘイズが極めて低い優れた光学的性質を有している。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、耐薬品性のあるエンジニアリングプラスチックである。PVDF及びそのコポリマーは、多くの高性能用途において使用されてきた。PVDFフィルムを透明とすることはできるものの、それらはいくぶんかの曇り(ヘイズ)度を有していて、得られる製品は光学的な透明さには至らない。PVDFの耐薬品性を維持しながらも光学的に透明なPVDF又はPVDFコポリマーが求められている。
米国特許第5,140,082号明細書には、フッ化ビニリデン/トリフルオロメチルエチレン(3,3,3−トリフルオロプロペン)(TFP)コポリマーが開示されている。バルク重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合による合成が記載されており、最初の仕込みの中に全てのTFPが含まれている。そのコポリマーは、優れた耐候性、耐腐食性及び電気特性を有している。その文献では、光学的な透明性については触れられていない。
米国特許出願公開第2007/0232769号明細書には、テトラフルオロエチレン(TFE)とTFPのコポリマーの乳化重合が記載されている。そのコポリマーは、TFPのほとんど又は全部を後添加として加えるセミバッチプロセスで製造され、得られたコポリマーは優れた加工性を有している。その文献では、光学的な透明性については触れられていない。
米国特許第5,140,082号明細書 米国特許出願公開第2007/0232769号明細書
本発明は、優れた光学的性質を有するコポリマーを目的とする。
驚くべきことには、フッ化ビニリデンと3,3,3−トリフルオロプロペンとのコポリマーをセミバッチ乳化重合プロセスにより合成することが可能であって、それにより得られたコポリマーが優れた光学的性質を有していることが見出された。更に、そのコポリマーのフィルムは、極めて可撓性が高く、強靱で、高い融点を有している。
本発明は、0.5〜40重量%の3,3,3−トリフルオロプロペンモノマー単位と、60〜99.5重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位とを有するコポリマー組成物に関する。そのコポリマー組成物は光学的に透明である。
本発明は更に、150℃を超える融点と、23%未満の結晶化度とを有するフッ化ビニリデンにも関する。
コモノマーの割合レベルを変化させたフッ化ビニリデン(VDF)−TFPコポリマーの融点及び結晶化度をプロットした図である。 コモノマーの割合レベルを変化させて、VDF−TFPコポリマーとVDF−HFPコポリマーの融点を比較してプロットした図である。 コモノマーの割合レベルを変化させて、VDF−TFPコポリマーとVDF−HFPコポリマーの光学的透明性を比較してプロットした図である。 コモノマーの割合レベルを変化させた場合の、VDF−TFPコポリマーの透明性(%)をプロットした図である。
本発明は、0.5%〜40重量%のTFPを含む、フッ化ビニリデン−3,3,3−トリフルオロプロペン(VDF−TFP)コポリマーに関する。そのコポリマーは光学的に透明である。
本明細書で使用するとき、「光学的に透明」という用語は、ASTM D1003−07「Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」により測定して30.0%未満のヘイズレベルと、ASTM D1003−07により測定して85%を超え、好ましくは90%を超える光透過率とを有する材料を意味する。
本明細書で使用するとき、「コポリマー」という用語は、0.5〜40重量%のTFPモノマー単位と、60〜99.5重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位とを含むポリマーを意味している。TFPのレベルは、好ましくは2〜14重量%、より好ましくは7〜10重量%である。TFPとVDFのみを含む真のコポリマーが好ましい。しかしながら、低レベル(20重量%まで、好ましくは10重量%まで)の1種又は複数のその他の共重合性モノマーが存在していてもよい。それらの共重合性モノマーとしては以下のものが挙げられるがこれらに限定される訳ではない。テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニル、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、及びペルフルオロプロピルビニルエーテル。
本発明において有用なVDF/TFPコポリマーは、均質であっても、あるいは不均質であってもよく、各種の構造を有していてよく、そのような構造としてはたとえば、ランダム、ブロック、テーパード、直鎖状、分岐状、スター状、及び櫛状などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
VDF/TFPコポリマーは、セミバッチ方式が可能である限りにおいて、各種の重合方法により製造することが可能であるが、TFPのほとんど又は全部は、重合の開始後に反応器に添加される。バッチモードでのTFPのフィードは、重合反応を極度に抑制する。
セミバッチ式のエマルションプロセスでコポリマーを製造するのが好ましい。本発明の典型的なセミバッチ式乳化重合プロセスには以下の工程が含まれる:
(a)反応器に、脱イオン水を、場合によっては界面活性剤、場合によっては防汚剤(antifoulant)、場合によっては緩衝剤、場合によっては分子量調節剤と共に、各種都合のよい順序で加えて、水性混合物を形成させる。
(b)その反応器から空気を除去する。
(c)重合をさせるのに有効な熱と撹拌を加える。
(d)60〜100重量%のフッ化ビニリデン、10〜0重量%のトリフルオロプロペン、及び0〜30重量%のその他のフルオロモノマーからなる初期ガス状モノマー混合物を用いて、反応器を反応圧力にまで加圧するが、TFPはすべて、遅延フィードで添加するのが好ましい。最初の仕込みの中にTFPが存在すると、重合反応を開始させるのが困難になることが観察された。最初の仕込みの中のTFPのレベルが10モル%を超えていると、まったく反応が起きないし、TFPのレベルが10モル%の場合では、反応が開始するまでに2.5時間かかった。
(e)ラジカル開始剤を添加して重合を開始させる。
(f)所望の反応圧力を維持するために、残りのフッ化ビニリデンとトリフルオロプロペンとの混合物をフィードすることにより重合を続けるが、必要に応じて追加の重合開始剤、熱、撹拌を使用して反応の進行を継続させる。一般的には、コモノマーのフィード速度を一定に保ち、またフィードの全体を通して、VDF対TFPの比率もほぼ一定に保つ。フィードの際のモノマーの比率を変えることや、またモノマーの添加速度を変えることはいずれも本発明の範囲内である。その後添加は、連続で実施するのが好ましいが、間隔を空けながら少量のモノマーを添加していくこともまた可能である。TFPモノマーをVDFと共にフィードする際には、一度に大量のTFPモノマーを添加すると、重合が厳しく抑制される可能性があるので、注意しなければならない。
(g)場合によっては、モノマーのフィードを止めた後に残存しているモノマーを消費させる目的で、後フィード期間を採用してもよい。その後フィード期間には、いくつかの反応成分の添加、たとえば残存しているモノマーの消費を助けるためのさらなるラジカル開始剤の添加が含まれていてもよい。
(h)反応器のガス抜きをして、余分なガスを抜く。
(i)反応器に対して、各種の分子量調節剤、緩衝剤、及びラジカル開始剤を、反応器の初期フィードの間、反応の間、又は後フィードの間など各種のタイミングで添加して、所望の分子量プロファイル、酸性度プロファイル、及びプロセス速度が得られるようにしてもよい。場合によっては重合が開始される前の各種のポイントで、空気の除去、界面活性剤の添加、防汚剤の添加、加熱、及び撹拌を加えて、その反応開始が、使用した装置に最適となるようにしてもよい。
(j)反応が完了したら、そのコポリマー組成物をラテックスの形態で使用してもよいし、あるいは場合によっては、その組成物を、公知の分離方法たとえば凝集化、機械的分離、又は乾燥によって、反応混合物の残りのものから分離してもよい。
(k)単離したコポリマー組成物を、場合によっては、たとえば洗浄によって更に精製し、乾燥させて粉体としてもよいし、あるいは、場合によっては更に加工して、利便性の良い形態たとえばペレットとしてもよい。
(l)そのコポリマー組成物は、コーティングを形成させるために使用してもよいし、あるいは、たとえば溶融プロセスによって加工して、シート、フィルム、形材(profile)、又は最終物品としてもよい。
重合のために使用する温度は、選択した重合開始剤系に応じて、20〜160℃の間で変化させることができる。重合温度は、好ましくは35〜130℃、最も好ましくは65〜130℃である。一つの実施態様においては、反応の間に、その温度を変化させることもできる。
重合のために使用される圧力は、反応装置の耐圧、選択した重合開始剤系、及びモノマーの選択に応じて、280〜20,000kPaの間で変化させることができる。重合圧力は、好ましくは2,000〜11,000kPa、最も好ましくは2,750〜6,900kPaである。
重合は撹拌下で起きる。撹拌は一定であってもよいし、あるいは、重合の過程のプロセス条件を最適化させるために変化させてもよい。一つの実施態様においては、反応を調節するために、複数の撹拌速度と複数の温度の両方を使用する。
反応器圧力は主として、反応へのガス状モノマー混合物のフィードを調節することによって、調節する。反応圧力は、典型的には約280〜約20,000kPa、好ましくは約2,000〜約11,000kPa、より好ましくは約2,750〜約6,900kPaである。
界面活性剤
本発明において有用な界面活性剤としては、フッ化ビニリデンの重合に有用であることが公知の、ハロゲン化界面活性剤及び非ハロゲン化界面活性剤が挙げられる。有用な界面活性剤の例としては以下のものが挙げられる:フルオロ化及びペルフルオロ化カルボン酸塩;シロキサン界面活性剤;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸塩界面活性剤;アルキルスルホネート界面活性剤;ならびにペルフルオロ化エーテルカルボン酸及びそれらの塩。その他の非フルオロ化界面活性剤としては、米国特許出願第10/832,535号明細書;米国特許出願第11/149,797号明細書;米国仮特許出願第60/706,463号明細書;及び米国仮特許出願第60/706,464号明細書に記載されているものが挙げられる。界面活性剤の仕込量は、使用する全モノマー重量の0.05%〜2重量%であり、界面活性剤仕込量が0.1%〜0.2重量%であれば最も好ましい。界面活性剤は通常、反応器への初期充填の際に添加されるが、それ自体がエマルション安定化をもたらすような重合開始剤系が選択されているような場合には、反応が開始した後に添加してもよい。さらなる安定化が必要とされるような場合には、反応の進行に合わせて、界面活性剤を添加してもよい。
一つの好ましい実施態様においては、界面活性剤を一切使用せずに本発明のコポリマーを製造する。界面活性剤を一切使用しなくても、固形分が38%までの極めて安定なエマルションが合成された。界面活性剤が存在すると最終製品に悪影響を及ぼす可能性があるような用途では、安定な、界面活性剤を含まないエマルションが有利となりうる。
重合開始剤
「重合開始剤」という用語、ならびに「ラジカル開始剤」及び「フリーラジカル重合開始剤」という表現は、自発的に誘導されるか、又は熱もしくは光に暴露されることで、フリーラジカルの発生源を与えることが可能な化学物質を指している。重合開始剤の例としては、ペルオキシド、ペルオキシジカーボネート及びアゾ化合物が挙げられる。それらの用語表現には、フリーラジカルの発生源を与えるのに有用な、レドックス系もまた含まれる。「ラジカル」という用語及び「フリーラジカル」という表現は、少なくとも1個の不対電子を含む化学種を指している。
ラジカル開始剤は、反応混合物に、重合反応を開始させ、所望の反応速度を維持させるに十分な量で添加する。添加の順序は、所望のプロセス及びラテックスエマルションの特性に従って変化させてよい。
そのラジカル開始剤には、過硫酸塩たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、又は過硫酸アンモニウムが含まれていてよい。反応混合物に添加される過硫酸塩の量は、(反応混合物に添加されるモノマーの全重量を基準にして)、約0.002〜約1.0重量%である。
ラジカル開始剤には、有機ペルオキシドたとえば、アルキルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、もしくはジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、及びペルオキシエステルを、モノマーの全量を規準にして約0.5〜約2.5重量%の量で含んでいてよい。
連鎖移動剤
連鎖移動剤を重合系に添加して、反応生成物の分子量を調節する。それらは、反応の開始時に一挙に重合系に添加してもよいし、あるいは反応時間の全体にわたって、漸増的又は連続的に添加してもよい。連鎖移動剤の添加の量及びモードは、採用したその特定の連鎖移動剤の活性や、ポリマー反応生成物で望む分子量に依存する。重合反応に添加する連鎖移動剤の量は、その反応混合物に添加されるモノマーの全重量を基準にして、好ましくは約0.05〜約5重量%、より好ましくは約0.1〜約2重量%である。
本発明において有用な連鎖移動剤の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:酸素化化合物たとえば、アルコール、カーボネート、ケトン、エステル、及び連鎖移動剤として作用するエーテル;ハロカーボン及びヒドロハロカーボンたとえば、クロロカーボン、ヒドロクロロカーボン、クロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボン;エタン及びプロパン、を連鎖移動剤として採用可能である。
緩衝剤
場合によっては、重合反応混合物には、重合反応を通じて調節されたpHを維持するための緩衝剤が含まれていてもよい。pHを約4〜約8の範囲内に調節して、反応生成物の中で望ましくない着色が起きないようにするのが好ましい。
緩衝剤には、有機もしくは無機の酸もしくはそれらのアルカリ金属塩、又は約4〜約10、好ましくは約4.5〜約9.5の範囲の少なくとも一つのpKa値及び/又はpKb値を有する、塩基又はそのような有機もしくは無機の酸の塩が含まれていてよい。本発明を実施するのに好適な緩衝剤としては、たとえばリン酸塩緩衝剤及び酢酸塩緩衝剤が挙げられる。「リン酸塩緩衝剤」とは、リン酸の1種又は複数の塩である。「酢酸塩緩衝剤」とは、酢酸の塩である。
ラジカル開始剤として過硫酸カリウムを採用する場合には、緩衝剤を使用するのが好ましい。過硫酸塩ラジカル開始剤と共に使用するのに好適な緩衝剤は、酢酸ナトリウムである。酢酸ナトリウム緩衝剤の好適な量は、反応に添加する過硫酸塩重合開始剤の重量を基準にして、約50重量%〜約150重量%である。
防汚剤
反応系にパラフィンワックス又は炭化水素オイルを添加すると、防汚剤として機能して、反応器の構成要素へのポリマーの付着を最小化したり、防止したりすることができる。各種の長鎖飽和炭化水素ワックス又はオイルが、この機能を果たすことができる。反応器に添加するオイル又はワックスの量は、反応器の構成要素へのポリマー付着物の生成を最小化するのに役立つ量である。その量は一般的には、その反応器の内部表面積に比例し、反応器内部表面積1平方センチメートルあたり約1〜約40mgの範囲で変化させてよい。パラフィンワックス又は炭化水素オイルの量が、約5mg/cm2反応器内部表面積であれば好ましい。
一般的には、そのラテックスには、約10〜約50重量%のコポリマー固形分が含まれる。ラテックス中のコポリマーは、約30nm〜約500nmの粒径を有する小さな粒子の形態にある。
重合の反応生成物は、ラテックスであり、これは、通常重合プロセスからの固形の副反応生成物を濾過してからラテックスとして使用することもできるし、あるいは、コアグレート化させて固形分を単離し、次いでそれを洗浄及び乾燥させてもよい。ラテックスの形態で使用するために、さらなる界面活性剤を添加することによってそのラテックスを安定化させることもできるが、そのような界面活性剤は、イオン性界面活性剤であってもよいし、あるいは他のタイプたとえばノニオン性界面活性剤であってもよい。固形の反応生成物を得るためには、そのラテックスを、機械的又は塩もしくは酸を添加することによってコアグレート化させ、次いで周知の手段、たとえば濾過によって単離する。単離させてから、固形の反応生成物を洗浄又はその他の方法で精製することも可能であり、それを乾燥させて粉体としてよいし、それを更に加工して粒状物とすることもできる。
本発明のコポリマーは、50,000〜1,000,000の重量平均分子量を有している。
本発明のVDF/TFPコポリマーは、ユニークな性質を有しており、それを各種の用途で利用することができる。本発明のコポリマーは、優れた光学的透明性、高い融点、高い割合のベータ相結晶、高い可撓性を有し、TFP含量が高いほど低い結晶化度及び密度を有している。
VDF/TFPコポリマーの広い組成範囲にわたって、高い光学的透明性が見られる。その光透過率は、ASTM D1003−07による測定で、85%より大、好ましくは90%より大、より好ましくは95%より大である。特に、ヘイズのレベルが極めて低いフィルムが製造される。それらの組成物では、ASTM D1003−07を使用して、30.0%未満、好ましくは24.0%未満、最も好ましくは10%未満のヘイズが観察される。
本発明のコポリマーは、高い融点を有している。(3〜5重量%までの)低いTFP濃度で融点が低下した後、TFP濃度が高くなるにつれて溶融温度も高くなる。この挙動は、VDF−ヘキサフルオロプロペン(HFP)コポリマーとは異なっていて、それらでは、全組成範囲にわたってHFPを増加するにつれて融点が低下する。高融点であることに加えて、そのコポリマーは、高い熱安定性と優れた溶融強度とを有している。
本発明のVDF/TFPコポリマーは、TFP濃度全域にわたって、高い割合のベータ相結晶を有している。そのベータ相結晶は、コポリマーの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%を占めるであろう。TFPが30重量%のレベルでは、結晶のほとんど全てがベータ形にある。ポリフッ化ビニリデンホモポリマー、及びVDF−HFPコポリマーは、アルファ結晶しか示さない。ベータ結晶の濃度が高いことによって、有用な電気的性質が導かれる。
コポリマーのTFP含量が高くなるにつれて、総合的な結晶化度と密度が低下することが見出された。
そのVDF/TFPコポリマーは、優れた可撓性を有しており、その可撓性が、TFPレベルが高くなるにつれて増大する。高い溶融温度を維持しながらも、その可撓性が達成されている。本明細書で使用するとき、「可撓性である」及び優れた「可撓性」という用語は、その引張弾性率が50,000psi以下であるということを意味している。
更に、本発明のVDF/TFPコポリマーは、PVDFホモポリマーよりも良好な応力硬化性(stress hardening)を有している。そのフィルムは、光学的透明性を失うことなく伸長させることができる。
それらのVDF−TFPコポリマーは、高い溶融温度と低い結晶化度の組合せを与える。一つの実施態様においては結晶化度が23%未満でも、150℃より高い融点が得られる。
VDF/TFPコポリマーがユニークな性質を有しているために、それらは、多くの用途における優れた候補物質となる。当業熟練者ならば、本明細書において提供される性質リスト及び実施例をベースとして、多くの用途を想定することが可能であろう。いくつかの用途を以下に挙げるが、これらに限定される訳ではない:
1.高透明性フィルム。それらのフィルムを、レンズ又はその他の光学装置の上において、優れた化学的保護と塵埃剥離性を与えることができる。
2.高温可撓性透明チューブ。VDF−HFPコポリマーに比較して、このコポリマーの融点が高いために、加工又は末端用途で高温が必要とされる用途において使用することができる。
3.同様にして、融点が高く、光学的に透明であり、耐薬品性があることによって、これらのコポリマーは、透明で透視性のある産業用の窓、ガラス(glasses)、パイプ、及び液面表示装置(level indicator)にとっては理想的なものとなっている。
4.たとえばソーラーパネル用途、圧電用途、及びコンデンサー用途のための特殊フィルム。
5.燃料電池膜。それらは、VDF−HFPコポリマーに類似の機械的性質を有しながらも、電極アセンブリにおける耐クリープ性に有用な、更に高い融点を保持している。
6.透明で強靱なコーティング。
7.コポリマーの溶融強度が高いことによる、強靱なフィルム及び大型ブロー成形体(blown objects)。
米国特許第5,140,082号明細書の教示に従った比較例
7.6リットルのステンレス鋼製反応器内に、3800mLの脱イオン水、3.0gの過硫酸アンモニウム、及び15gのペルフルオロオクタン酸アンモニウムを添加した。その混合物をアルゴンを用いてパージ処理し、0.5時間撹拌した。反応器を密閉し、撹拌を続けながら、反応器を加熱して80℃とした。その反応器に、0.380kgの3,3,3−トリフルオロプロピレン(TFP)を仕込んだ。次いで、フッ化ビニリデン(VDF)を反応器にフィードして、反応器圧力を51.7kg/cm2にまで上げた。次いで、反応器温度を80℃で安定させた。反応の徴候も、反応器圧力の低下も観察されなかった。不活性のまま6.0時間経過してから、反応器を冷却して30℃とし、過剰のガスを放出し、反応器の内容物を排出させた。重合の徴候はまったく観察されず、反応器から排出させた物質は、水のように透明な外観をしていた。
実施例2(本発明実施例)
7.6リットルのステンレス鋼製反応器に、4.430kgの水、及び0.004kgのパラフィンワックスを添加した。その混合物をアルゴンを用いてパージ処理し、0.5時間撹拌した。反応器を密閉し、撹拌を続けながら、反応器を加熱して110℃とした。その反応器に、0.374kgのフッ化ビニリデン、0.016kgの3,3,3−トリフルオロプロピレン、及び10.0gの純酢酸エチルを仕込んだ。反応器圧力を4510kPaとしながら、反応器温度を110℃に安定させた。2.0重量%の過硫酸カリウムと1.4重量%の酢酸ナトリウムとからなる重合開始剤水溶液を、反応器中の重合開始剤溶液が0.06kgになるまで、約0.48kg/時間の速度で仕込んでいった。その時点で、重合開始剤のフィード速度を0.06kg/時間にまで下げた。反応温度を110℃に保ち、反応圧力は、必要に応じてフッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロピレン(比率はそれぞれで約1/0.045)を添加することによって、4480kPaに維持した。1.28時間後には、重合開始剤のフィード速度を0.042kg/時間にまで落とし、1.58時間後には、重合開始剤のフィード速度を0.03kg/時間にまで落とし、残りの反応ではこの速度を保った。2.75時間後に、フッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロペンのフィードを停止した。1.852kgのフッ化ビニリデン、及び0.089kgの3,3,3−トリフルオロプロペンの量を、反応器に添加した。0.3時間の間撹拌を継続し、温度を保持し、重合開始剤水溶液のフィードを続けた。重合開始剤水溶液のフィードを停止してから、0.17時間の間、撹拌と反応温度を維持した。撹拌と加熱を停止した。室温にまで冷却してから、過剰なガスを放出させ、反応器から、ステンレス鋼の網を通過させてラテックスを抜き出した。反応の間に形成された凝塊は無視できる量であった。重量によるラテックスの固形分の測定から、反応器にフィードしたフッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロペンモノマーの重量を合計したものを基準にして、固形のポリマーの収率が99.8重量%であることがわかった。
実施例3(本発明実施例)
7.6リットルのステンレス鋼製反応器に、4.430kgの水、及び0.004kgのパラフィンワックスを添加した。その混合物をアルゴンを用いてパージ処理し、0.5時間撹拌した。反応器を密閉し、撹拌を続けながら、反応器を加熱して110℃とした。その反応器に、0.358kgのフッ化ビニリデン、0.018kgの3,3,3−トリフルオロプロピレン、及び6.0gの純酢酸エチルを仕込んだ。反応器圧力を4510kPaとしながら、反応器温度を110℃に安定させた。2.0重量%の過硫酸カリウムと1.4重量%の酢酸ナトリウムとからなる重合開始剤水溶液を、反応器中の重合開始剤溶液が0.06kgになるまで、約0.48kg/時間の速度で仕込んでいった。その時点で、重合開始剤のフィード速度を0.06kg/時間にまで下げた。反応温度を110℃に保ち、反応圧力は、必要に応じてフッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロピレン(比率はそれぞれで約1/0.1)を添加することによって、4480kPaに維持した。2.8時間後に、重合開始剤のフィード速度を0.03kg/時間にまで落とし、残りの反応ではこの速度を保った。3.77時間後に、フッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロペンのフィードを停止した。1.854kgのフッ化ビニリデン、及び0.170kgの3,3,3−トリフルオロプロペンの量を、反応器に添加した。0.3時間の間撹拌を継続し、温度を保持し、重合開始剤水溶液のフィードを続けた。重合開始剤水溶液のフィードを停止してから、0.17時間の間、撹拌と反応温度を維持した。撹拌と加熱を停止した。室温にまで冷却してから、過剰なガスを放出させ、反応器から、ステンレス鋼の網を通過させてラテックスを抜き出した。反応の間に形成された凝塊は無視できる量であった。重量によるラテックスの固形分の測定から、反応器にフィードしたフッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロペンモノマーの重量を合計したものを基準にして、固形のポリマーの収率が99.1重量%であることがわかった。
実施例4(本発明実施例)
7.6リットルのステンレス鋼製反応器に、4.430kgの水、及び0.004kgのパラフィンワックスを添加した。その混合物をアルゴンを用いてパージ処理し、0.5時間撹拌した。反応器を密閉し、撹拌を続けながら、反応器を加熱して110℃とした。その反応器に、0.384kgのフッ化ビニリデン及び6.0gの純酢酸エチルを仕込んだ。反応器圧力を4510kPaとしながら、反応器温度を110℃に安定させた。2.0重量%の過硫酸カリウムと1.4重量%の酢酸ナトリウムとからなる重合開始剤水溶液を、反応器中の重合開始剤溶液が0.06kgになるまで、約0.48kg/時間の速度で仕込んでいった。その時点で、重合開始剤のフィード速度を0.12kg/時間に落とし、反応を通してこの速度を保った。反応温度を110℃に保ち、反応圧力は、必要に応じてフッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロピレン(比率はそれぞれで約1/0.1)を添加することによって、4480kPaに維持した。2.9時間後に、フッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロペンのフィードを停止した。1.850kgのフッ化ビニリデン、及び0.144kgの3,3,3−トリフルオロプロペンの量を、反応器に添加した。0.3時間の間撹拌を継続し、温度を保持し、重合開始剤水溶液のフィードを続けた。重合開始剤水溶液のフィードを停止してから、0.17時間の間、撹拌と反応温度を維持した。撹拌と加熱を停止した。室温にまで冷却してから、過剰なガスを放出させ、反応器から、ステンレス鋼の網を通過させてラテックスを抜き出した。反応の間に形成された凝塊は無視できる量であった。重量によるラテックスの固形分の測定から、反応器にフィードしたフッ化ビニリデン及び3,3,3−トリフルオロプロペンモノマーの重量を合計したものを基準にして、固形のポリマーの収率が98.1重量%であることがわかった。
実施例5
実施例2〜4のラテックスから、フィルムを作製した。ASTM D1003−07により、ヘイズ及び透過率を測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 2011527373
これらのデータからも観察されるように、すべての組成物が、95%を超える光(luminous)透過率からも実証される、高い透明度を示している。実施例4のヘイズ値が3.7未満であることから、優れた光学的透明性と、コポリマーを形成させるために本発明のプロセスを使用することの有利性が証明されている。
実施例6
実施例4の手順を用いて、VDFとTFPとのコポリマーを合成したが、ただし反応温度を90℃に設定した。TFPレベルを変化させて、グラフに示すデータポイントを作った。示差走査熱量計(DSC)によって融点と結晶化度とを測定し、プロットしたものを図1に示す。それからは、TFP含量が高くなるにつれて溶融温度は高くなるのに対して、TFPレベルが高くなるにつれて溶融熱(結晶化度の目安)は低くなることがわかる。
実施例7
実施例6の手順を用いて、VDFとTFPとのコポリマーを合成したが、ただしTFPのレベルを変化させた(表2の実施例7a、b、cを参照)。融点(DSC法による)を、VDF−HFPの市販のコポリマー(実施例7d、e、Arkema Inc.製)と対比させて、プロットして図2に示す。
実施例8
実施例2の手順を用い、TFPのレベルを変化させて、VDFとTFPとのコポリマーを合成した。ASTM D1003−07によって測定した光学的透明性を、VDF−HFPの市販のコポリマーと対比させて、図3に示す。
実施例9
実施例6の手順を用い、TFPのレベルを変化させて、VDFとTFPとのコポリマーを合成した。サンプルの機械的性質を、Arkema Inc.製の市販のサンプルであるVDF−HFPコポリマーと比較した。それらのデータを下記の表2に示す。
Figure 2011527373
モル基準で、(VDF−TFP、7c)と(VDF−HFP、7e)を比較することが可能であり、VDF−TFPコポリマーが、より高い溶融温度(VDF−TFPで156.3、VDF−HFPで120)で同等の機械的性質を示すことがわかる。
実施例10
実施例4の手順を用い、TFPのレベルを変化させて、VDFとTFPとのコポリマーを合成した。ASTM D1003−07により光学的透明性及び%透過率を測定し、そのプロットを図4に示す。
実施例11(比較例)
ポリ(1−ビニルフェニル−2,4−ジスルホン酸−コ−ビニルベンジルアルコール)高分子電解質と、KYNAR2801(商品名、VDFとHFPとのコポリマー、HFP含量10重量%)とのブレンド物から、膜を作製した。その高分子電解質は、米国仮特許出願第61/179128号明細書の記載に従って作製した。その高分子電解質は、200kg/モルの重量平均分子量と2.7の多分散性とを有していたが、これは、35℃で、0.10MのNaNO3を含む水を移動相として使用したGPCによって測定し、標準スルホン化ポリスチレンから作った汎用較正曲線を使用して求めたものである。その高分子電解質には、プロトンNMRで測定すると、78モル%の1−ビニルフェニル−2,4−ジスルホン酸と22モル%のビニルベンジルアルコールとが含まれていた。
160gの7.12重量%高分子電解質水溶液を、27.74gの54.8重量%テトラブチルアンモニウム水酸化物(Sachem Inc.製)と組み合わせた。ほぼ30分間、その溶液を撹拌してから、102.26gの1−メチル−2−ピロリジノン(バイオ合成グレード溶媒、EMD Chemicals製)を加えた。ロータリーエバポレーターを使用して溶液の中の水を除去すると、高分子電解質の1−メチル−2−ピロリジノン中溶液が得られた(その溶液には、20重量%の高分子電解質が含まれた)。
10.95gの高分子電解質/1−メチル−2−ピロリジノン溶液を、27.16gの15重量%KYNAR 2801/1−メチル−2−ピロリジノン溶液と組み合わせた。0.6631gのTRIXENE BL7982(商品名)及び0.0434gのFASCAT 4202(商品名)を、その溶液に更に加えた。TRIXENE BL7982は、3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたイソシアネートであって、Baxenden Chemicals Co.Ltd.の製品である。FASCAT 4202は、Arkema Inc.製の有機スズ触媒である。オーバーヘッド撹拌機を使用してその溶液をほぼ60分間混合すると、均質な溶液が得られた。
Mathis LTE Labdryer(商品名)を使用して、その溶液をキャストして膜を作製した。約15×12インチの概略寸法を有する厚み2ミルのアルミニウムフォイルを、キャスト用基材として使用した。約15gのポリマー溶液をそのフォイルの上に拡げ、ドクターブレードを用いて引くことにより、約300ミクロンの湿潤膜厚とした。次いで、得られた湿潤膜を210℃で6分間加熱した。オーブンブロワーは、2000RPMに設定した。次いで、乾燥膜をオーブンから取り出し、室温にまで冷却した。乾燥膜の厚みは、25〜30ミクロンであった。
温かい脱イオン水の中にそれを浸漬させて、アルミニウムフォイル基材からその膜を剥離させた。次いでその膜を、3000gの1M塩酸水溶液の中でプロトン化させた。その酸の溶液は、18MΩの脱イオン水と、EMD Chemicals製の濃塩酸(OmniTraceグレード)とから調製した。その酸の浴を、周囲温度から86℃にまで、75分間の時間をかけて加熱していった。次いでその浴を、この温度範囲にほぼ45分間保った。次いで、その膜を18MΩ脱イオン水の中で洗浄し、3000gの1M硫酸の中に浸漬させた。その酸の溶液は、18MΩの脱イオン水と、EMD Chemicals製の濃硫酸(OmniTraceグレード)とから調製した。その酸の浴を、周囲温度から82℃にまで、75分間の時間をかけて加熱していった。次いでその浴を、この温度範囲にほぼ45分間保った。その膜を硫酸浴から取り出し、18MΩの脱イオン水を用いて洗浄して、残存している酸を除去した。次いで、その酸の形の膜を室温で乾燥させた。その膜は、DSCによれば、128℃のピーク融点温度を有していた。
実施例12
ポリ(1−ビニルフェニル−2,4−ジスルホン酸−コ−ビニルベンジルアルコール)高分子電解質と、VDFとTFPとのコポリマー(TFP含量、7.6重量%)とのブレンド物から膜を作製した。その高分子電解質は、実施例11に記載の材料と同じであった。実施例11において調製した高分子電解質/1−メチル−2−ピロリジノン溶液もまた、この実施例で使用した。
10.95gの高分子電解質/1−メチル−2−ピロリジノン溶液を、27.18gの15重量%VDF/TFPコポリマー/1−メチル−2−ピロリジノン溶液と組み合わせた。0.6897gのTRIXENE BL7982及び0.0461gのFASCAT 4202を、その溶液に更に加えた。オーバーヘッド撹拌機を使用してその溶液を60分間混合すると、均質な溶液が得られた。
実施例11に記載の方法を使用して、その溶液をキャストして膜とした。乾燥膜の厚みは、25〜30ミクロンであった。
温かい脱イオン水の中にそれを浸漬させることによって、その膜をアルミニウムフォイル基材から剥離し、実施例11に記載したのと同じ手順を用いてそれを酸性化させた。その膜は、DSCによれば、149℃のピーク融点温度を有していた。

Claims (14)

  1. 0.5〜40重量%の3,3,3−トリフルオロプロペン(TFP)モノマー単位と、60〜99.5重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位とを含むコポリマー組成物であって、
    前記コポリマー組成物が、光学的に透明であって、ASTM D1003−07により35ミクロンの厚みのサンプルについて測定して、30%未満のヘイズレベルと85%を超える光透過率とを有する、コポリマー組成物。
  2. 2〜14重量%のTFPモノマー単位を含む、請求項1に記載のコポリマー。
  3. 7〜10重量%のTFPモノマー単位を含む、請求項2に記載のコポリマー。
  4. 前記ヘイズレベルが、24%未満である、請求項1〜3いずれか1項に記載のコポリマー。
  5. 前記ヘイズレベルが、10%未満である、請求項4に記載のコポリマー。
  6. 前記コポリマーが、分岐状であって、少なくとも5%の分岐を有する、請求項1〜5いずれか1項に記載のコポリマー。
  7. 前記コポリマーが、分岐状であって、少なくとも90%の光透過率を有する、請求項1〜6いずれか1項に記載のコポリマー。
  8. 前記コポリマーが、50%を超えるベータ相結晶を含む、請求項1〜7いずれか1項に記載のコポリマー。
  9. 前記コポリマーが、75%を超えるベータ相結晶を含む、請求項8に記載のコポリマー。
  10. フィルムの形態にある、請求項1〜9いずれか1項に記載のコポリマー組成物。
  11. レンズ及びその他の光学装置のための被覆物としてのフィルム;高温で可撓性のある透明チューブ;透明で透視性のある産業用窓、ガラス、パイプ、及び液面表示装置;ソーラーパネル用途、圧電用途、及びコンデンサー用途のための特殊フィルム;燃料電池膜、透明で強靱なコーティング、ならびに大型ブロー成形物体;からなる群より選択される構造を有する、請求項1〜10いずれか1項に記載のコポリマー。
  12. 50重量%以上のフッ化ビニリデンを含み、150℃を超える融点と23%未満の結晶化度とを有する、コポリマー。
  13. 60〜99.5重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位と、0.5〜40重量%の3,3,3−トリフルオロプロペン(TFP)モノマー単位とを含む、請求項12に記載のコポリマー。
  14. レンズ及びその他の光学装置のための被覆物としてのフィルム;高温で可撓性のある透明チューブ;透明で透視性のある産業用窓、ガラス、パイプ、及び液面表示装置;ソーラーパネル用途、圧電用途、及びコンデンサー用途のための特殊フィルム;燃料電池膜、透明で強靱なコーティング、ならびに大型ブロー成形物体;からなる群より選択される構造を有する、請求項12に記載のコポリマー。
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