JPH05301924A - 含フッ素重合体の製造方法および含フッ素重合体 - Google Patents

含フッ素重合体の製造方法および含フッ素重合体

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JPH05301924A
JPH05301924A JP15405692A JP15405692A JPH05301924A JP H05301924 A JPH05301924 A JP H05301924A JP 15405692 A JP15405692 A JP 15405692A JP 15405692 A JP15405692 A JP 15405692A JP H05301924 A JPH05301924 A JP H05301924A
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JP
Japan
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polymer
fluorine
chemical
present
fluoropolymer
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Withdrawn
Application number
JP15405692A
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English (en)
Inventor
Tokuhide Sugiyama
徳英 杉山
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH05301924A publication Critical patent/JPH05301924A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F34/00Homopolymers and copolymers of cyclic compounds having no unsaturated aliphatic radicals in a side chain and having one or more carbon-to-carbon double bonds in a heterocyclic ring
    • C08F34/02Homopolymers and copolymers of cyclic compounds having no unsaturated aliphatic radicals in a side chain and having one or more carbon-to-carbon double bonds in a heterocyclic ring in a ring containing oxygen

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Abstract

(57)【要約】 【目的】透明で高いガラス転移温度を有し、成形品とし
て充分な機械的強さを有する含フッ素重合体を製造す
る。 【構成】化1(ただし、R1 、R2 はフッ素または炭素
数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表される環状モ
ノマーを加圧下で乳化重合する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は環状の繰り返し単位を有
する含フッ素重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連して、USP5,026,
801には、一般式(C)(ただし、R3 、R4 はフッ
素または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)に
示される化合物およびその重合体が記載されている。し
かしながら、この米国特許記載の方法に従って重合を行
うとトリクロロトリフルオロエタン(R113)に可溶
なもの、すなわち、数量体であるオリゴマーしか得られ
ず、成形品などとして使用し得る強度を有する重合体を
得ることはできなかった。
【0003】
【化6】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のよう
な含フッ素重合体の欠点を解消し、透明性を保持しつつ
高温使用に耐え得る適度なガラス転移温度(Tg )を有
する重合体を新規に提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
の認識に基づいて鋭意検討を重ねた結果、一般式(A)
で表される化合物を特定条件下に重合を行うことによ
り、110℃以上の高いTg を有し非晶質で透明性に優
れかつ溶媒可溶な重合体が得られることを新規に見いだ
した。
【0006】
【化7】
【0007】本発明に関連して、USP5,026,8
01に上記一般式(C)で表される6員環構造を有する
パーフルオロ単量体の単独重合に関する記載があるが、
3=R4 =Fにおいて5量体程度でその他については
分子量に関する記載がなくR113に可溶なことから充
分実用的な分子量を有するポリマーが得られているとは
いい難い。本発明者らは該6員環状単量体のラジカル重
合を独自に鋭意検討した結果、バルクおよび溶液重合で
は低分子量体しか得られないが加圧下に乳化重合するこ
とによって高分子量体が得られることを見いだした。
【0008】さらに、本発明の重合体は、パーフルオロ
トリブチルアミン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒ
ドロフラン)、ヘキサフルオロベンゼンには溶解するが
R113には溶解しなかった。該重合体は[η]、すな
わちパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)
中、30℃で測定される固有粘度、はいずれも0. 2d
l/g以上の値を有し、成形体として充分な分子量を有
する重合体である。
【0009】即ち、本発明は、一般式(A)(ただし、
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロ
アルキル基)で表される含フッ素環状モノマーをゲージ
圧1〜100kg/cm2 の不活性ガス加圧下において
乳化重合する、一般式(B)(ただし、R1 、R2 は上
記に同じ)で表される繰り返し単位を有する含フッ素重
合体の製造方法を提供するものである。
【0010】
【化8】
【化9】
【0011】また、本質的に一般式(B)(ただし、R
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロア
ルキル基)で表される繰り返し単位からなり、[η]が
0.2〜3.0dl/gである含フッ素重合体を提供す
るものである。
【0012】
【化10】
【0013】また、本質的に一般式(B)(ただし、R
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロア
ルキル基)で表される繰り返し単位からなり、Tg と流
動開始温度の差が20℃以上である含フッ素重合体を提
供するものである。
【0014】
【化11】
【0015】また、本質的に一般式(B)(ただし、R
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロア
ルキル基)で表される繰り返し単位からなり、Tg 未満
の温度における引張破壊強さが200kg/cm2 以上
である含フッ素重合体を提供するものである。
【0016】
【化12】
【0017】本発明の乳化重合に用いる開始剤としては
水溶性ならば周知のものが利用可能であるが、例えば過
硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過硫
酸アンモニウム−亜硫酸ソーダ、過酸化水素−Fe3+
どの無機化合物や、水溶性アゾ化合物および水溶性有機
過酸化物などがあげられる。また、乳化剤としては公知
ないしは周知のものが利用可能であるが連鎖移動反応が
少なく高分子量化に適した物としてC817COONH
4 、C715COONH4 などのパーフルオロの乳化剤
が好ましい。
【0018】本発明において反応圧力としては特に上限
はないが実用的には1〜100kg/cm2 (ゲージ
圧)が望ましく、N2 ガス、He ガス等の不活性ガスに
より加圧する。加圧しない状態、すなわち単量体の蒸気
圧のみの圧力では高分子量体が得られ難い。加圧するこ
とにより高分子量体が得られる理由は明らかではない
が、単量体の沸点が20〜80℃で重合温度における蒸
気圧が高いため単量体と乳化剤によって形成されるミセ
ルの安定性が悪いためと考えられる。
【0019】得られた重合体の溶融粘弾性を測定する
と、[η]が0.2dl/g未満の低分子量重合体で分
子鎖のからみあいがないため、Tg より20℃高くなる
と急激に弾性率が105 dyne/cm2 以下に低下し
て流動が始まる。これに対して[η]が0.2dl/g
以上の高分子量重合体では、分子鎖のからみあいが起こ
りTg を超えても流動せずに、図1(実施例1、2の重
合体の溶融粘弾性)に示すように、ある温度範囲にわた
って弾性率が105 〜106 dyne/cm2 のゴム状
弾性を示し、さらに温度が高くなると徐々に弾性率が低
下して流動を開始する。
【0020】また、Tg と流動開始温度の差が20℃以
上であるものが好ましい。一般式(B)に示される繰り
返し単位を有するものであっても、重合度の低いものは
gと流動開始温度の差がほとんどない。このような重
合体は室温で固体であっても機械的強度が極めて小さ
く、成形品としての使用に耐えないものである。また、
g と流動開始温度の差が一定温度以上ないと、実際に
成形体を得ることが困難である。
【0021】また、Tg 未満の温度での引張破壊強さが
200kg/cm2 以上であることが好ましい。引張破
壊強さがこれよりも小さいものは、成形品としても実用
上使いものにならない。
【0022】ファイバー、チューブあるいはフィルム状
の成形体を押出成形する過程において、ノズルより押し
出された後、巻き取られる際に溶融した重合体は張力を
受けて延伸される。このとき低重合体では分子鎖のから
みあいが起こり難いため充分な溶融伸度が出ずに破断し
てしまう。このため、成形は困難である。これに対し
て、本発明の重合体は高分子量であるため充分な溶融伸
度が出て、上記の成形が可能である。引張強度について
も同様に低分子量では分子鎖のからみあいがないために
高強度にならない。
【0023】本発明による重合体は上記溶媒に可溶でか
つ溶融成形可能で、光透過率が高く、低屈折率、低誘電
率、低吸水性、耐熱性・耐薬品性に優れるなどの特性を
有する。
【0024】本発明の重合方法は共重合にも適用が可能
で、共重合組成を変えることにより透明性を保持したま
まTg の異なる含フッ素共重合体が得られる。また、コ
モノマーの種類を選択することにより、含フッ素重合体
の種々の基材への密着性を向上させたり架橋部位を付与
することが可能である。
【0025】共重合せしめるコモノマーは1種単独でラ
ジカル共重合せしめてもよく、あるいは適宜の2種類以
上併用して多元共重合反応を行わせてもよく、またラジ
カル重合性を有するモノマーであれば特に限定されずに
含フッ素系、炭化水素系その他が広範囲にわたって例示
されうる。炭化水素系の単量体を用いた場合には含フッ
素共重合体の本質を損なわない程度が好ましいが、必要
に応じてフッ素化することによりフッ素含量を高めるこ
とも可能であり、本発明においては、通常はコモノマー
としてフルオロオレフィン、フルオロビニルエーテルな
どの含フッ素モノマーを選定することが望ましい。
【0026】例えば、テトラフルオロエチレン、パーフ
ルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビ
ニルエーテル、あるいはカルボン酸基やスルホン酸基の
ごとき官能基を含有するパーフルオロビニルエーテルな
どは好適な具体例であり、フッ化ビニリデン、フッ化ビ
ニル、クロロトリフルオロエチレンなども例示される。
これらのモノマーを含有した共重合体の場合には非晶性
を保持するためには繰り返し単位(B)の含量が少なく
とも10%であることが望ましいが、更に、溶解性およ
びTg を考慮すると少なくとも20%であることが望ま
しい。
【0027】本発明において共重合せしめるコモノマー
としてテトラフルオロエチレンを用いた場合には任意の
組成において高収率で共重合体が得られるが、テトラフ
ルオロエチレン含量が多いものは結晶性が現れ透明では
なくなる。透明性が損なわれる組成は明らかでないが、
繰り返し単位(B)の含量が約30モル%の共重合体は
結晶性を有せずかつ溶媒可溶である。
【0028】更に、本発明において共重合せしめるコモ
ノマーとして重合性の異なる炭素−炭素二重結合を分子
末端に一つずつ有する環化重合性含フッ素単量体も好適
な例である。重合性の異なる炭素−炭素二重結合を分子
末端に一つずつ有する環化重合性含フッ素単量体として
は化13、化14に列挙されるものが例示される。
【0029】
【化13】
【化14】
【0030】環化重合性含フッ素単量体を用いた場合に
は任意の組成において非晶質で透明な溶媒可溶性の共重
合体が得られる。また、共重合組成を変えることにより
種々のTg を有する共重合体が得られる。
【0031】本発明の含フッ素重合体は、押出成形、射
出成形などの溶融成形や、溶液によるコーティング、キ
ャスト、ディッピングなどの加工手段を採用することが
可能で、これにより本発明の重合体が持っている高T
g 、高弾性率、高光透過性、低屈折率、低誘電率、低表
面自由エネルギー、化学的安定性などの基本物性をいか
した多くの用途に適用される。
【0032】例えば、板、パイプ、チューブあるいはそ
の他の成形物などにおいては弾性率が高いためPTF
E、PFA等に比較して高温まで強度を保持しており、
かつ化学的安定性に優れるという性質を有するため、各
種の化学品工場のプラントの配管、バルブ、覗き窓など
の構造部品が直接薬品と接触するような部位において有
用となる。さらに、本発明の含フッ素重合体は熱安定性
に優れるため上記の成形物の溶融成形の際に可塑剤、熱
安定剤等の添加物を必要とせず、食料品工業、バイオイ
ンダストリーにおいてこれらの不純物の製品への混入が
避けられるという利点を有する。
【0033】光透過性を利用する用途としては、特に、
250nm以上の紫外光の透過率が90%以上でありか
つ紫外線による劣化がないため、紫外線を利用した各種
の光学装置においてレンズ、光ファイバー等の光伝送部
材として利用可能である。可視光においても分散が小さ
いため色収差補正用のレンズとして利用される。
【0034】本発明の含フッ素重合体は屈折率が低いた
め反射防止加工剤として有用である。眼鏡レンズ、光学
レンズ、各種光学部材、フォトマスク防塵カバー、ショ
ーウィンドウ、ショーケース等の表面に本発明の含フッ
素重合体の皮膜を形成することによって反射防止効果が
得られる。
【0035】本発明の含フッ素重合体は低誘電率である
ため半導体素子の保護膜として用いた場合に演算速度が
速くなるという効果を有する。また、吸水率が低いため
誘電率が湿度の影響を受けないという。本発明の含フッ
素重合体単独フィルムあるいはポリイミド等の樹脂と積
層したフィルムは回路基板として有用である。
【0036】表面自由エネルギーが低いことを利用して
種々の基材表面の撥水性を付与することが可能で、本発
明の含フッ素共重合体の溶媒であるパーフルオロ(2−
ブチルテトラヒドロフラン)あるいはパーフルオロテト
ラブチルアミンは基材自身を侵すことなくコーティング
可能で、しかも形成された皮膜は強靭であるという利点
を有する。
【0037】
【作用】本発明において、パーフルオロ6員環モノマー
を不活性ガス加圧下において乳化重合することにより、
高分子量の重合体が得られる。本発明により得られた重
合体は結晶性を有せず高い透明性を示しかつ高い光線透
過率を示すものであり、また含フッ素ポリマーであるが
故に、通常の炭化水素系の樹脂よりも低屈折率で、低吸
水性、耐候性、耐薬品性にも優れているものと考えられ
る。ただし、かかる説明は本発明の理解の助けとするも
のであり、本発明を限定するものでないことは勿論であ
る。
【0038】
【実施例】
比較例1 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.99%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、およ
び重合開始剤としてビスイソプロピルパーオキシジカー
ボネート0. 02gを内容積50mlの耐圧ガラス製ア
ンプルに入れた。系内を3回凍結脱気した後、水浴中で
40℃で5時間振蕩した。得られた溶液をアセトン中に
投入し、沈澱物を100℃、20時間真空乾燥した。そ
の結果、重合体を0. 2g得た。この重合体は[η]が
0. 05dl/gの低分子量体であった。
【0039】比較例2 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.99%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2 Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 12gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、室温におい
て0kg/cm2 ゲージに戻してから40℃、3日間反
応させた。この間のゲージ圧は0. 3kg/cm2 であ
った。内容物を取り出したところ水層と油層とに分離し
た。水層に硫酸を添加してpHを1にした後、凍結・解
凍して得られた沈澱物は比較例1で得られたものとは異
なる物性の化合物であった。また、油層からも重合体は
得られなかった。
【0040】実施例1 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.97%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2 Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 06gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、5kg/c
2 まで加圧し30℃、7日間反応させた。内容物を取
り出し凍結・解凍して得られた沈澱物を水洗し、さらに
メタノール洗浄を行った後、120℃で20時間真空乾
燥を行ったところ、3.6gの重合体が得られた。
【0041】[η]を測定したところ0. 88dl/g
であった。この重合体は230℃においてプレス成形が
可能であった。このフィルムの屈折率をアッベ屈折計を
用いて測定したところ1. 32であった。粘弾性測定に
よりTg を測定したところ142℃であった。熱重量分
析による測定からこの重合体の重量減少開始温度は32
5℃、10%重量減少温度は439℃であった。また、
この重合体の温度−弾性率の関係を図1に示す。JIS
K7113に従って測定した引張破壊強さ(引張速度
50mm/min)は330kg/cm2 であった。
【0042】実施例2 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.97%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2 Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 12gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、5kg/c
2 まで加圧し40℃、3日間反応させた。内容物を取
り出し凍結・解凍して得られた沈澱物を水洗し、さらに
メタノール洗浄を行った後、120℃で20時間真空乾
燥を行ったところ、3.1gの重合体が得られた。
【0043】[η]を測定したところ0. 63dl/g
であった。この重合体は230℃においてプレス成形が
可能であった。このフィルムの屈折率をアッベ屈折計を
用いて測定したところ1. 32であった。粘弾性測定に
よりTg を測定したところ142℃であった。熱重量分
析による測定からこの重合体の10%重量減少温度は4
36℃であった。また、この重合体の温度−弾性率の関
係を図1に示す。
【0044】実施例3 実施例1の重合体を300℃において孔径1mmのノズ
ルより下方に溶融押し出しし、巻き取り装置を用いて一
定速度で巻き取ったときの引き落とし係数(巻き取り時
のファイバー状重合体の径とノズル径の比)を測定した
ところ150であった。同様な方法で比較例1の重合体
を250℃で溶融押し出ししたところ、ファイバーが破
断してしまい、巻き取ることができなかった。
【0045】実施例4 2,3,5,6−テトラフルオロ−5,6−ビス−トリ
フルオロメチル−1,4−ジオキセンを5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 12gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、5kg/c
2 まで加圧し40℃、3日間反応させた。内容物を取
り出し凍結・解凍して得られた沈澱物を水洗し、さらに
メタノール洗浄を行った後、120℃で20時間真空乾
燥を行ったところ、2.1gの重合体が得られた。熱重
量分析による測定からこの重合体の10%重量減少温度
は460℃であった。
【0046】[η]を測定したところ0.61dl/g
であった。また、この重合体をR113に溶解させよう
としたが、膨潤するのみで不溶であった。
【0047】
【発明の効果】本発明の含フッ素重合体は高いTg を有
し溶媒可溶で透明な重合体である。本重合体は、パーフ
ルオロ重合体としての優れた特性、例えば耐熱性、化学
的安定性などを備えながら、非晶質で透明で溶剤可溶性
の重合体であり、このような特性から、ピンホールなど
の欠陥のない超薄膜化が可能であるという効果も認めら
れ、コーティング材料、分離膜素材などへの応用も可能
である。低屈折率を利用して反射防止剤や光ファイバー
のクラッド材などの光学材料への応用も可能である。ま
た、本発明による含フッ素重合体はフッ素化合物である
が故に誘電率が低いので電子材料としての応用が可能で
あるという効果も認められる。
【0048】また、本発明によるパーフルオロ重合体の
用途としては、電線被覆材、磁気記録媒体保護層、ガス
選択透過膜素材、光学レンズ、光導波体、人工水晶体、
低反射加工剤、安全ガラス用積層材、光学素子接着剤、
太陽電池光取り入れ面材、カラーフィルター保護膜、フ
ラックス這い上り防止剤、離型剤、半導体の保護層、航
空機用窓材、鏡表面被覆材、鏡基材、釣り糸、半導体キ
ャリアー、ペリクルの保護膜材、電子写真感光体表面
層、非線形光学素子、フォトクロミック成形体基材、濾
材、電気泳動用支持体、光反応器、バイオリアクター、
紫外線ランプなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および実施例2の重合体の温度−弾性
率の関係を示す図
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】含フッ素重合体の製造方法および含フッ
素重合体
【特許請求の範囲】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は環状の繰り返し単位を有
する含フッ素重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連して、USP5,026,
801には、一般式(C)(ただし、R3 、R4 はフッ
素または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)に
示される化合物およびその重合体が記載されている。し
かしながら、この米国特許記載の方法に従って重合を行
うとトリクロロトリフルオロエタン(R113)に可溶
なもの、すなわち、数量体であるオリゴマーしか得られ
ず、成形品などとして使用し得る強度を有する重合体を
得ることはできなかった。
【0003】
【化6】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のよう
な含フッ素重合体の欠点を解消し、透明性を保持しつつ
高温使用に耐え得る適度なガラス転移温度(Tg )を有
する重合体を新規に提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
の認識に基づいて鋭意検討を重ねた結果、一般式(A)
で表される化合物を特定条件下に重合を行うことによ
り、110℃以上の高いTg を有し非晶質で透明性に優
れかつ溶媒可溶な重合体が得られることを新規に見いだ
した。
【0006】
【化7】
【0007】本発明に関連して、USP5,026,8
01に上記一般式(C)で表される6員環構造を有する
パーフルオロ単量体の単独重合に関する記載があるが、
3=R4 =Fにおいて5量体程度でその他については
分子量に関する記載がなくR113に可溶なことから充
分実用的な分子量を有するポリマーが得られているとは
いい難い。本発明者らは該6員環状単量体のラジカル重
合を独自に鋭意検討した結果、バルクおよび溶液重合で
は低分子量体しか得られないが加圧下に乳化重合するこ
とによって高分子量体が得られることを見いだした。
【0008】さらに、本発明の重合体は、パーフルオロ
トリブチルアミン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒ
ドロフラン)、ヘキサフルオロベンゼンには溶解するが
R113には溶解しなかった。該重合体は[η]、すな
わちパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)
中、30℃で測定される固有粘度、はいずれも0. 2d
l/g以上の値を有し、成形体として充分な分子量を有
する重合体である。
【0009】即ち、本発明は、一般式(A)(ただし、
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロ
アルキル基)で表される含フッ素環状モノマーをゲージ
圧1〜100kg/cm2 の不活性ガス加圧下において
乳化重合する、一般式(B)(ただし、R1 、R2 は上
記に同じ)で表される繰り返し単位を有する含フッ素重
合体の製造方法を提供するものである。
【0010】
【化8】
【化9】
【0011】また、本質的に一般式(B)(ただし、R
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロア
ルキル基)で表される繰り返し単位からなり、[η]が
0.2〜3.0dl/gである含フッ素重合体を提供す
るものである。
【0012】
【化10】
【0013】また、本質的に一般式(B)(ただし、R
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロア
ルキル基)で表される繰り返し単位からなり、Tg と流
動開始温度の差が20℃以上である含フッ素重合体を提
供するものである。
【0014】
【化11】
【0015】また、本質的に一般式(B)(ただし、R
1 、R2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロア
ルキル基)で表される繰り返し単位からなり、Tg 未満
の温度における引張破壊強さが200kg/cm2 以上
である含フッ素重合体を提供するものである。
【0016】
【化12】
【0017】本発明の乳化重合に用いる開始剤としては
水溶性ならば周知のものが利用可能であるが、例えば過
硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過硫
酸アンモニウム−亜硫酸ソーダ、過酸化水素−Fe3+
どの無機化合物や、水溶性アゾ化合物および水溶性有機
過酸化物などがあげられる。また、乳化剤としては公知
ないしは周知のものが利用可能であるが連鎖移動反応が
少なく高分子量化に適した物としてC817COONH
4 、C715COONH4 などのパーフルオロの乳化剤
が好ましい。
【0018】本発明において反応圧力としては特に上限
はないが実用的には1〜100kg/cm2 (ゲージ
圧)が望ましく、N2 ガス、He ガス等の不活性ガスに
より加圧する。加圧しない状態、すなわち単量体の蒸気
圧のみの圧力では高分子量体が得られ難い。加圧するこ
とにより高分子量体が得られる理由は明らかではない
が、単量体の沸点が20〜80℃で重合温度における蒸
気圧が高いため単量体と乳化剤によって形成されるミセ
ルの安定性が悪いためと考えられる。
【0019】得られた重合体の溶融粘弾性を測定する
と、[η]が0.2dl/g未満の低分子量重合体で分
子鎖のからみあいがないため、Tg より20℃高くなる
と急激に弾性率が105 dyne/cm2 以下に低下し
て流動が始まる。これに対して[η]が0.2dl/g
以上の高分子量重合体では、分子鎖のからみあいが起こ
りTg を超えても流動せずに、図1(実施例1、2の重
合体の溶融粘弾性)に示すように、ある温度範囲にわた
って弾性率が105 〜106 dyne/cm2 のゴム状
弾性を示し、さらに温度が高くなると徐々に弾性率が低
下して流動を開始する。
【0020】また、Tg と流動開始温度の差が20℃以
上であるものが好ましい。一般式(B)に示される繰り
返し単位を有するものであっても、重合度の低いものは
gと流動開始温度の差がほとんどない。このような重
合体は室温で固体であっても機械的強度が極めて小さ
く、成形品としての使用に耐えないものである。また、
g と流動開始温度の差が一定温度以上ないと、実際に
成形体を得ることが困難である。
【0021】また、Tg 未満の温度での引張破壊強さが
200kg/cm2 以上であることが好ましい。引張破
壊強さがこれよりも小さいものは、成形品としても実用
上使いものにならない。
【0022】ファイバー、チューブあるいはフィルム状
の成形体を押出成形する過程において、ノズルより押し
出された後、巻き取られる際に溶融した重合体は張力を
受けて延伸される。このとき低重合体では分子鎖のから
みあいが起こり難いため充分な溶融伸度が出ずに破断し
てしまう。このため、成形は困難である。これに対し
て、本発明の重合体は高分子量であるため充分な溶融伸
度が出て、上記の成形が可能である。引張強度について
も同様に低分子量では分子鎖のからみあいがないために
高強度にならない。
【0023】本発明による重合体は上記溶媒に可溶でか
つ溶融成形可能で、光透過率が高く、低屈折率、低誘電
率、低吸水性、耐熱性・耐薬品性に優れるなどの特性を
有する。
【0024】本発明の重合方法は共重合にも適用が可能
で、共重合組成を変えることにより透明性を保持したま
まTg の異なる含フッ素共重合体が得られる。また、コ
モノマーの種類を選択することにより、含フッ素重合体
の種々の基材への密着性を向上させたり架橋部位を付与
することが可能である。
【0025】共重合せしめるコモノマーは1種単独でラ
ジカル共重合せしめてもよく、あるいは適宜の2種類以
上併用して多元共重合反応を行わせてもよく、またラジ
カル重合性を有するモノマーであれば特に限定されずに
含フッ素系、炭化水素系その他が広範囲にわたって例示
されうる。炭化水素系の単量体を用いた場合には含フッ
素共重合体の本質を損なわない程度が好ましいが、必要
に応じてフッ素化することによりフッ素含量を高めるこ
とも可能であり、本発明においては、通常はコモノマー
としてフルオロオレフィン、フルオロビニルエーテルな
どの含フッ素モノマーを選定することが望ましい。
【0026】例えば、テトラフルオロエチレン、パーフ
ルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビ
ニルエーテル、あるいはカルボン酸基やスルホン酸基の
ごとき官能基を含有するパーフルオロビニルエーテルな
どは好適な具体例であり、フッ化ビニリデン、フッ化ビ
ニル、クロロトリフルオロエチレンなども例示される。
これらのモノマーを含有した共重合体の場合には非晶性
を保持するためには繰り返し単位(B)の含量が少なく
とも10%であることが望ましいが、更に、溶解性およ
びTg を考慮すると少なくとも20%であることが望ま
しい。
【0027】本発明において共重合せしめるコモノマー
としてテトラフルオロエチレンを用いた場合には任意の
組成において高収率で共重合体が得られるが、テトラフ
ルオロエチレン含量が多いものは結晶性が現れ透明では
なくなる。透明性が損なわれる組成は明らかでないが、
繰り返し単位(B)の含量が約30モル%の共重合体は
結晶性を有せずかつ溶媒可溶である。
【0028】更に、本発明において共重合せしめるコモ
ノマーとして重合性の異なる炭素−炭素二重結合を分子
末端に一つずつ有する環化重合性含フッ素単量体も好適
な例である。重合性の異なる炭素−炭素二重結合を分子
末端に一つずつ有する環化重合性含フッ素単量体として
は化13、化14に列挙されるものが例示される。
【0029】
【化13】
【化14】
【0030】環化重合性含フッ素単量体を用いた場合に
は任意の組成において非晶質で透明な溶媒可溶性の共重
合体が得られる。また、共重合組成を変えることにより
種々のTg を有する共重合体が得られる。
【0031】本発明の含フッ素重合体は、押出成形、射
出成形などの溶融成形や、溶液によるコーティング、キ
ャスト、ディッピングなどの加工手段を採用することが
可能で、これにより本発明の重合体が持っている高T
g 、高弾性率、高光透過性、低屈折率、低誘電率、低表
面自由エネルギー、化学的安定性などの基本物性をいか
した多くの用途に適用される。
【0032】例えば、板、パイプ、チューブあるいはそ
の他の成形物などにおいては弾性率が高いためPTF
E、PFA等に比較して高温まで強度を保持しており、
かつ化学的安定性に優れるという性質を有するため、各
種の化学品工場のプラントの配管、バルブ、覗き窓など
の構造部品が直接薬品と接触するような部位において有
用となる。さらに、本発明の含フッ素重合体は熱安定性
に優れるため上記の成形物の溶融成形の際に可塑剤、熱
安定剤等の添加物を必要とせず、食料品工業、バイオイ
ンダストリーにおいてこれらの不純物の製品への混入が
避けられるという利点を有する。
【0033】光透過性を利用する用途としては、特に、
250nm以上の紫外光の透過率が90%以上でありか
つ紫外線による劣化がないため、紫外線を利用した各種
の光学装置においてレンズ、光ファイバー等の光伝送部
材として利用可能である。可視光においても分散が小さ
いため色収差補正用のレンズとして利用される。
【0034】本発明の含フッ素重合体は屈折率が低いた
め反射防止加工剤として有用である。眼鏡レンズ、光学
レンズ、各種光学部材、フォトマスク防塵カバー、ショ
ーウィンドウ、ショーケース等の表面に本発明の含フッ
素重合体の皮膜を形成することによって反射防止効果が
得られる。
【0035】本発明の含フッ素重合体は低誘電率である
ため半導体素子の保護膜として用いた場合に演算速度が
速くなるという効果を有する。また、吸水率が低いため
誘電率が湿度の影響を受けないという。本発明の含フッ
素重合体単独フィルムあるいはポリイミド等の樹脂と積
層したフィルムは回路基板として有用である。
【0036】表面自由エネルギーが低いことを利用して
種々の基材表面の撥水性を付与することが可能で、本発
明の含フッ素共重合体の溶媒であるパーフルオロ(2−
ブチルテトラヒドロフラン)あるいはパーフルオロテト
ラブチルアミンは基材自身を侵すことなくコーティング
可能で、しかも形成された皮膜は強靭であるという利点
を有する。
【0037】
【作用】本発明において、パーフルオロ6員環モノマー
を不活性ガス加圧下において乳化重合することにより、
高分子量の重合体が得られる。本発明により得られた重
合体は結晶性を有せず高い透明性を示しかつ高い光線透
過率を示すものであり、また含フッ素ポリマーであるが
故に、通常の炭化水素系の樹脂よりも低屈折率で、低吸
水性、耐候性、耐薬品性にも優れているものと考えられ
る。ただし、かかる説明は本発明の理解の助けとするも
のであり、本発明を限定するものでないことは勿論であ
る。
【0038】
【実施例】 比較例1 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.99%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、およ
び重合開始剤としてビスイソプロピルパーオキシジカー
ボネート0. 02gを内容積50mlの耐圧ガラス製ア
ンプルに入れた。系内を3回凍結脱気した後、水浴中で
40℃で5時間振蕩した。得られた溶液をアセトン中に
投入し、沈澱物を100℃、20時間真空乾燥した。そ
の結果、重合体を0. 2g得た。この重合体は[η]が
0. 05dl/gの低分子量体であった。
【0039】比較例2 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.99%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2 Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 12gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、室温におい
て0kg/cm2 ゲージに戻してから40℃、3日間反
応させた。この間のゲージ圧は0. 3kg/cm2 であ
った。内容物を取り出したところ水層と油層とに分離し
た。水層に硫酸を添加してpHを1にした後、凍結・解
凍して得られた沈澱物は比較例1で得られたものとは異
なる物性の化合物であった。また、油層からも重合体は
得られなかった。
【0040】実施例1 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.97%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2 Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 06gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、5kg/c
2 まで加圧し30℃、7日間反応させた。内容物を取
り出し凍結・解凍して得られた沈澱物を水洗し、さらに
メタノール洗浄を行った後、120℃で20時間真空乾
燥を行ったところ、3.6gの重合体が得られた。
【0041】[η]を測定したところ0. 88dl/g
であった。この重合体は230℃においてプレス成形が
可能であった。このフィルムの屈折率をアッベ屈折計を
用いて測定したところ1. 32であった。粘弾性測定に
よりTg を測定したところ142℃であった。熱重量分
析による測定からこの重合体の重量減少開始温度は32
5℃、10%重量減少温度は439℃であった。また、
この重合体の温度−弾性率の関係を図1に示す。JIS
K7113に従って測定した引張破壊強さ(引張速度
50mm/min)は330kg/cm2 であった。
【0042】実施例2 2,3,5,5,6−ペンタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチル−1,4−ジオキセン(純度99.97%、キ
ャピラリーガスクロマトグラフィー)を5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2 Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 12gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、5kg/c
2 まで加圧し40℃、3日間反応させた。内容物を取
り出し凍結・解凍して得られた沈澱物を水洗し、さらに
メタノール洗浄を行った後、120℃で20時間真空乾
燥を行ったところ、3.1gの重合体が得られた。
【0043】[η]を測定したところ0. 63dl/g
であった。この重合体は230℃においてプレス成形が
可能であった。このフィルムの屈折率をアッベ屈折計を
用いて測定したところ1. 32であった。粘弾性測定に
よりTg を測定したところ142℃であった。熱重量分
析による測定からこの重合体の10%重量減少温度は4
36℃であった。また、この重合体の温度−弾性率の関
係を図1に示す。
【0044】実施例3 実施例1の重合体を300℃において孔径1mmのノズ
ルより下方に溶融押し出しし、巻き取り装置を用いて一
定速度で巻き取ったときの引き落とし係数(巻き取り時
のファイバー状重合体の径とノズル径の比)を測定した
ところ150であった。同様な方法で比較例1の重合体
を250℃で溶融押し出ししたところ、ファイバーが破
断してしまい、巻き取ることができなかった。
【0045】実施例4 2,3,5,6−テトラフルオロ−5,6−ビス−トリ
フルオロメチル−1,4−ジオキセンを5. 0g、イオ
ン交換水を50g、C817COONH4 を0.38
g、Na2 HPO4 ・2H2 Oを0.25g、NaH2
PO4 ・12H2Oを0.145gおよび重合開始剤と
して過硫酸アンモニウム0. 12gを内容積100ml
のステンレス製オートクレーブに入れた。系内をN2
スにより加圧脱気操作を3回繰り返した後、5kg/c
2 まで加圧し40℃、3日間反応させた。内容物を取
り出し凍結・解凍して得られた沈澱物を水洗し、さらに
メタノール洗浄を行った後、120℃で20時間真空乾
燥を行ったところ、2.1gの重合体が得られた。熱重
量分析による測定からこの重合体の10%重量減少温度
は460℃であった。
【0046】[η]を測定したところ0.61dl/g
であった。また、この重合体をR113に溶解させよう
としたが、膨潤するのみで不溶であった。
【0047】
【発明の効果】本発明の含フッ素重合体は高いTg を有
し溶媒可溶で透明な重合体である。本重合体は、パーフ
ルオロ重合体としての優れた特性、例えば耐熱性、化学
的安定性などを備えながら、非晶質で透明で溶剤可溶性
の重合体であり、このような特性から、ピンホールなど
の欠陥のない超薄膜化が可能であるという効果も認めら
れ、コーティング材料、分離膜素材などへの応用も可能
である。低屈折率を利用して反射防止剤や光ファイバー
のクラッド材などの光学材料への応用も可能である。ま
た、本発明による含フッ素重合体はフッ素化合物である
が故に誘電率が低いので電子材料としての応用が可能で
あるという効果も認められる。
【0048】また、本発明によるパーフルオロ重合体の
用途としては、電線被覆材、磁気記録媒体保護層、ガス
選択透過膜素材、光学レンズ、光導波体、人工水晶体、
低反射加工剤、安全ガラス用積層材、光学素子接着剤、
太陽電池光取り入れ面材、カラーフィルター保護膜、フ
ラックス這い上り防止剤、離型剤、半導体の保護層、航
空機用窓材、鏡表面被覆材、鏡基材、釣り糸、半導体キ
ャリアー、ペリクルの保護膜材、電子写真感光体表面
層、非線形光学素子、フォトクロミック成形体基材、濾
材、電気泳動用支持体、光反応器、バイオリアクター、
紫外線ランプなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および実施例2の重合体の温度−弾性
率の関係を示す図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(A)(ただし、R1 、R2 はフッ
    素または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で表
    される含フッ素環状モノマーをゲージ圧1〜100kg
    /cm2 の不活性ガス加圧下において乳化重合する、一
    般式(B)(ただし、R1 、R2 は上記に同じ)で表さ
    れる繰り返し単位を有する含フッ素重合体の製造方法。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】本質的に一般式(B)(ただし、R1 、R
    2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル
    基)で表される繰り返し単位からなり、パーフルオロ
    (2−ブチルテトラヒドロフラン)中、30℃で測定さ
    れる固有粘度が0.2〜3.0dl/gである含フッ素
    重合体。 【化3】
  3. 【請求項3】本質的に一般式(B)(ただし、R1 、R
    2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル
    基)で表される繰り返し単位からなり、ガラス転移温度
    と流動開始温度の差が20℃以上である含フッ素重合
    体。 【化4】
  4. 【請求項4】本質的に一般式(B)(ただし、R1 、R
    2 はフッ素または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル
    基)で表される繰り返し単位からなり、ガラス転移温度
    未満の温度における引張破壊強さが200kg/cm2
    以上である含フッ素重合体。 【化5】
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