JPH11166005A - 成形体の製造法 - Google Patents

成形体の製造法

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JPH11166005A
JPH11166005A JP9333155A JP33315597A JPH11166005A JP H11166005 A JPH11166005 A JP H11166005A JP 9333155 A JP9333155 A JP 9333155A JP 33315597 A JP33315597 A JP 33315597A JP H11166005 A JPH11166005 A JP H11166005A
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JP
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polymerization
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semipolymer
polymer
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JP9333155A
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English (en)
Inventor
Haruko Nano
晴子 梛野
Ichiro Ando
一郎 安藤
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Menicon Co Ltd
Original Assignee
Menicon Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F4/00Polymerisation catalysts

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
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  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の形状どおりの成形体を精度よく作製す
ることができる成形体の製造法を提供すること。 【解決手段】 ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラジ
カル重合可能なモノマーを含有する混合物を重合させ、
重合率が5〜90重量%の半重合物を調製したのち、前
記半重合物を所望の空隙内に充填し、ついで前記半重合
物に再度重合エネルギーを与えて重合を完結させること
を特徴とする成形体の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形体の製造法に
関する。さらに詳しくは、コンタクトレンズ、眼内レン
ズなどの眼用レンズ、カメラレンズ、コンパクトディス
ク(CD)用ピックアップレンズ、眼鏡レンズなどのモ
ールド成形体などの特定の形状を有する三次元成形体
や、歯科用充填剤、人工股関節置換用の骨セメントなど
のコンパウンド製造物の製造に好適に使用しうる成形体
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンタクトレンズ、眼内レンズな
どの眼用レンズは、モノマーを成形型内に仕込み、該成
形型内でアゾビスイソブチロニトリルや過酸化物を重合
開始剤として用いて重合させる、いわゆるモールド重合
法によって製造されている。
【0003】しかしながら、前記モールド重合法を採用
したばあいには、成形型内でモノマーの重合が進行する
にともなって重合収縮が生じ、成形型の形状どおりのモ
ールド成形体を正確に作製することができないという欠
点がある。
【0004】また歯科治療分野では、歯の欠損部分に重
合硬化型のレジンで充填修復する方法が用いられるが、
重合硬化によって同様に重合収縮が発生する。その結
果、たとえば自然歯と充填レジンとのあいだで隙間が生
じ、機械的強度が低下したり、隙間から歯質が侵食され
たりするなどの問題点がある。
【0005】また最近では、光重合によって重合体を積
層し、三次元造形物を作製する技術が利用されている。
この方法においては、一般に重合収縮の少ないエポキシ
樹脂などを用いることが多いが、たとえばアクリルモノ
マーのような重合収縮の大きい樹脂を利用すると、造形
物の精度が低下し、所望の形状を有するものをうること
が困難となる。したがって、利用できる樹脂の種類が大
幅に限定されるなどの問題点がある。
【0006】かかる例からわかるように、モノマーの重
合硬化を利用する分野の多くで、重合収縮の低減が大き
な課題となっている。
【0007】一般にモノマーを重合する際に生じる重合
収縮は、モノマー間のファンデルワールス距離が、重合
することにより共有結合距離になるので発生すると考え
られている。したがって、重合に与るモノマー量が少な
いほど重合収縮は少なくなり、半重合状態から重合を再
開したばあいの重合収縮の程度は、残りのモノマー分量
まで低減する。たとえばメチルメタクリレートのラジカ
ル塊状重合においては、モノマーから重合したばあい、
その重合収縮は21%程度になることが知られている。
たとえば50%まで重合させた半重合物を重合させる
と、その重合収縮は10%まで低減されることになる。
【0008】かかる点に着目して、半重合状態のものを
所望の型または充填部位に充填し、再度重合を行ない、
重合収縮を低減させる方法が、これまでに提案されてい
る。
【0009】かかる提案においては、重合させうる重合
開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化
合物、または過酸化ベンゾイルなどの過酸化化合物など
の熱重合開始剤を用いたり、またはベンゾフェノン、ベ
ンジル、ベンゾイン系化合物などの光重合開始剤が用い
られる。これらの重合開始剤のみを用いた重合では、一
旦重合開始剤から活性遊離基が解離するとモノマーに即
座に付加し、途中で連鎖移動または停止反応による失活
が起こらない限り、重合体鎖の成長は進行し続ける。し
たがって、重合が開始されると、途中で重合を停止させ
ることは、成長種を失活させる以外に手だてがない。ま
た成長種は、一旦失活すると、重合能力を再生すること
はない。このような特性は、所望の状態で定量的に半重
合物をうることを困難にしている。たとえば一旦重合が
開始されたものを低温下に移し、反応の速度を見かけ上
低下させても、完全に重合を停止させることは困難であ
り、その保管中に重合が次第に進み、硬化して使用不可
能になるといった問題点もある。さらには半重合状態か
ら重合を再開させることを考えると、一旦失活した半重
合物では、そのままの状態からの重合の再開は不可能で
あるため、新たに重合開始剤を添加するといった余分な
混合操作が必要になるばあいもあり、かかる操作に必要
な設備などを持たない一般使用者、たとえば歯科医師な
どへの利用は困難な状況にある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、成形型の形状どおりの
モールド成形体を精度よく作製したり、あるいは空隙の
発生しないコンパウンド製造物を作製したりすることに
代表される重合収縮が低減される方法において、その重
合収縮の低減方法が半重合物を調製し、所望の方法で重
合を再開させるものであって、定量的に半重合物をえ、
保管中に重合が進行することもなく、またそのままの状
態から、なんら活性剤を加えることなしに、重合を再開
することができる成形体の製造法を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラジカル捕捉
剤、重合開始剤およびラジカル重合可能なモノマーを含
有する混合物を重合させ、重合率が5〜90重量%の半
重合物を調製したのち、前記半重合物を所望の空隙内に
充填し、ついで前記半重合物に再度重合エネルギーを与
えて重合を完結させることを特徴とする成形体の製造法
に関する。
【0012】なお、本発明において、ラジカル捕捉剤と
は、生長ラジカルと結合して重合反応を一時的に停止さ
せることができ、また可逆的に解離して活性ラジカルを
生成可能であるもののことをいう。該ラジカル捕捉剤
は、混合物をうる際にすでにラジカルであってもよく、
ラジカルでなくてもよい。
【0013】また、本発明において、重合開始剤とは、
光、熱などのエネルギーを受けることにより、重合開始
可能なラジカルを生成するものをいう。
【0014】また、本発明において、半重合物とは、重
合率が100%に満たないポリマーと未重合のモノマー
との混合物をいう。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明によれば、前記したよう
に、ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラジカル重合可
能なモノマーを含有する混合物を重合させ、重合率が5
〜90重量%の半重合物を調製したのち、前記半重合物
を所望の空隙内に充填し、ついで前記半重合物に再度重
合エネルギーを与えて重合を完結させることにより、成
形体を高精度で作製することができる。
【0016】本発明の成形体の製造法は、ラジカル捕捉
剤と重合開始剤とが併用されている点に、1つの大きな
特徴を有する。
【0017】従来、重合開始剤として、アゾビスイソブ
チロニトリルなどの熱開裂によって活性遊離基(ラジカ
ル)を生じるものや、ベンジル、ベンゾフェノンなどの
光によって分解して活性遊離基(ラジカル)を生じる、
重合を開始させるラジカル重合開始剤のみを用いたばあ
い、ポリマーの生長末端は、様々な素反応、たとえば開
始剤切片、他のポリマー、溶媒などへの連鎖移動反応や
停止反応によって重合反応の進行が停止する。このよう
に重合反応の進行が停止された生長末端では、重合反応
が再開することはない。
【0018】これに対して、本発明のラジカル捕捉剤と
重合開始剤I−Iとを併用した系においては、たとえば
紫外線、熱などのエネルギーを受けると、以下のごとき
反応が進行するものと考えられる。
【0019】まず、式(A): I−I → I・+I・ (A) (式中、I・は開始剤切片を示す)で表わされるよう
に、開始剤切片I・が生成する。この開始剤切片I・
は、式(B): I・+M → I−M・ (B) (式中、Mはモノマーを示す)で表わされるように、モ
ノマーMの重合を開始させ、式(C): IM・+nM → IMn+1・ (C) に表わされるように、生長反応が進行する。そののち、
式(D): IMn+1・+T・ → IMn+1T (D) で表わされるように、重合したポリマーIMn+1・の生
長末端は、遊離した比較的安定なラジカルT・に連鎖移
動する。この生成したポリマーIMn+1Tの末端は、た
とえば紫外線、熱などのエネルギーを受け続けている間
は、式(E): IMn+1T → IMn+1・+T・ (E) で表わされるように再度開裂し、そのポリマーの生長末
端IMn+1・は、再びモノマーMに付加し、式(F): IMn+1・+M → IMn+2・ (F) で表わされるように、ポリマー鎖が延長される。
【0020】なお、前記ラジカル捕捉剤として作用する
ラジカルT・は、重合開始能を有していてもよく、有し
ていなくてもよい。
【0021】このように、本発明におけるラジカル捕捉
剤および重合開始剤を併用する重合では、式(A)〜
(F)で表わされるように、リビング的な重合挙動が示
される。換言すれば、前記重合開始剤は、エネルギーを
受けることにより、モノマーの重合反応を開始、進行さ
せ、エネルギーを受けなくなると、ラジカル捕捉剤によ
り、モノマーの重合反応を速やかに停止させ、さらにエ
ネルギーを受けたときにモノマーの重合反応を再度開始
するという性質を有するものである。
【0022】したがって、任意の半重合状態まで、たと
えば紫外線を照射してモノマーを重合させ、一旦紫外線
の照射を止めると、半重合状態を保持したまま、それ以
上重合が進行しない状況が発現される。この半重合物を
必要時に所望の型または空隙充填部位に充填し、紫外線
を再度照射することにより重合が開始され、ついにはモ
ノマーが消費され、重合が完結し、成形体がえられる。
従来のラジカル重合開始剤のみを用いたばあいでは、不
可逆的に一方的に連鎖移動や停止反応を生じさせるのと
は対照的に、たとえば紫外線などの外部エネルギーの有
無のみによって生長活性種の再生が行なわれるという可
逆的な重合特性を有するものである。
【0023】本発明に用いられるラジカル捕捉剤として
は、たとえば安定ニトロキシラジカル、カーバメート系
化合物およびヨウ素化合物から選ばれた少なくとも1種
が好ましく例示される。
【0024】前記安定ニトロキシラジカルの代表的なも
のとしては、たとえば一般式(I):
【0025】
【化3】
【0026】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して
炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基
またはアルキレン基(ただし、R1およびR2がアルキレ
ン基のばあい、R1およびR2は有機基を介して連結して
いる)を示し、該アルキル基およびアルキレン基は、ヒ
ドロキシル基、シアノ基、アミノ基、エステル結合を有
する基、カルボニル基および芳香族置換体を含有する基
から選ばれた置換基を有していてもよい)で表わされる
安定ニトロキシラジカルなどがあげられる。
【0027】なお、一般式(I)において、R1および
2がアルキレン基のばあいに、該R1およびR2を連結
させる有機基としては、たとえば1,1,4,4−テト
ラメチルブチレン基、1,1,5,5−テトラメチルペ
ンチレン基、1,1,6,6−テトラメチルヘキシレン
基などがあげられる。
【0028】一般式(I)で表わされる安定ニトロキシ
ラジカルの具体例としては、たとえば2,2,6,6−
テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−アミノ−
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキ
シ、4−アセタミド−2,2,6,6−テトラメチル−
1−ピペリジニルオキシ、4−フォスフォノオキシ−
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキ
シ、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチル−
1−ピペリジニルオキシ、4−シアノ−2,2,6,6
−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロ
キシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニ
ルオキシ、3−アミノメチル−2,2,5,5−テトラ
メチル−1−ピロリジニルオキシ、3−カルバモイル−
2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキ
シ、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチル−
1−ピロリジニルオキシ、3−シアノ−2,2,5,5
−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ、3−マレイ
ミド−2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニ
ルオキシ、3−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−
2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキ
シ、3,3−ジメチル−1−オキサ−4−アザスピロ
[4.5]デク−4−イルオキシ、2−ブチル−4,4
−ジメチル−2−ペンチル−3−オキサゾリジニルオキ
シ、4,4−ジメチル−2,2−ジノニル−3−オキサ
ゾリジニルオキシ、4−フェナシリデン−2,2,5,
5−テトラメチルイミダゾリジン−1−イルオキシ、4
−アセチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペラジ
ニルオキシ、2,2,5,5−テトラメチル−3−カル
バミド−3−ピロリン−1−オキシル、N,N−ジ−t
−ブチルアミノキシル、N,N−ジ−(1,1−ジメチ
ルエチル)アミノキシル、2,2,7,7−テトラメチ
ル−1−ホモピペリジニルオキシ、4−アミノ−2,
2,7,7−テトラメチル−1−ホモピペリジニルオキ
シ、4−アセタミド−2,2,7,7−テトラメチル−
1−ホモピペリジニルオキシ、4−フォスフォノオキシ
−2,2,7,7−テトラメチル−1−ホモピペリジニ
ルオキシ、4−カルボキシ−2,2,7,7−テトラメ
チル−1−ホモピペリジニルオキシ、4−シアノ−2,
2,7,7−テトラメチル−1−ホモピペリジニルオキ
シ、4−ヒドロキシ−2,2,7,7−テトラメチル−
1−ホモピペリジニルオキシ、4−マレイミド−2,
2,7,7−テトラメチル−1−ホモピペリジニルオキ
シ、4−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−2,2,
7,7−テトラメチル−1−ホモピペリジニルオキシな
どがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合し
て用いることができる。
【0029】前記カーバメート系化合物の代表的なもの
としては、たとえば一般式(II):
【0030】
【化4】
【0031】(式中、R3およびR4はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す)で
表わされる基を有するカーバメート系化合物などがあげ
られる。
【0032】前記カーバメート系化合物の代表例として
は、たとえば一般式(III):
【0033】
【化5】
【0034】(式中、R3およびR4はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Xは炭素
数1〜10のアルキル基およびベンジル基に代表される
ベンゼン置換体などの有機基を示す)で表わされるカー
バメート系化合物、一般式(IV):
【0035】
【化6】
【0036】(式中、R3、R4、R5およびR6はそれぞ
れ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基
を示す)で表わされるカーバメート系化合物、一般式
(V):
【0037】
【化7】
【0038】(式中、R3、R4、R5およびR6は前記と
同じ)で表わされるカーバメート系化合物、一般式(V
I):
【0039】
【化8】
【0040】(式中、R3、R4、R5およびR6は前記と
同じ、mは1または2を示す)で表わされるカーバメー
ト系化合物、一般式(VII):
【0041】
【化9】
【0042】(式中、R3およびR4はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Z1は2
〜40価の炭化水素基、2〜6価のベンゼン置換体を含
む基などの有機基、nは2〜40の整数を示す)で表わ
されるカーバメート系化合物などがあげられる。
【0043】一般式(III)〜(VII)で表わされるカー
バメート系化合物の具体例としては、たとえばn−ブチ
ル−N,N−ジメチルジチオカーバメート、ベンジルジ
チオカーバメート、ベンジル−N,N−ジメチルジチオ
カーバメート、ベンジル−N,N−ジエチルジチオカー
バメート、チウラムモノスルフィド、N,N′−ジメチ
ルチウラムモノスルフィド、N,N,N′,N′−テト
ラメチルチウラムモノスルフィド、N,N′−ジエチル
チウラムモノスルフィド、N,N,N′,N′−テトラ
エチルチウラムモノスルフィド、チウラムジスルフィ
ド、N,N−ジメチルチウラムジスルフィド、N,N,
N′,N′−テトラメチルチウラムジスルフィド、N,
N′−ジエチルチウラムジスルフィド、N,N′−ジメ
チルチウラムテトラスルフィド、N,N,N′,N′−
テトラエチルチウラムジスルフィド、p−キシレンビス
(ジチオカーバメート)、p−キシレンビス(N,N−
ジメチルジチオカーバメート)、p−キシレンビス
(N,N−ジエチルジチオカーバメート)、1,2−ビ
ス(N,N−ジエチルジチオカーバミル)エタン、1,
2−ビス(N,N−ジメチルジチオカーバミル)エタ
ン、1,2,3−トリス(N,N−ジメチルジチオカー
バミル)プロパン、1,2,4,5−テトラキス(N,
N−ジエチルジチオカーバミルメチル)ベンゼン、1−
(N,N−ジエチルジチオカーバミル)エチルアセテー
トなどがあげられる。これらのカーバメート系化合物
は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができ
る。
【0044】前記ヨウ素化合物の具体例としては、たと
えばヨードホルム、ジヨードメタン、ヨウ化1−フェニ
ルエタン、ヨウ化ベンジル、ヨードエタン、1,1−ジ
ヨードエタン、1,1,1−トリヨードエタン、1,2
−ジヨードエタン、1−ヨード−2−メチルプロパン、
2−(1−エトキシ)エチルアセテート、2−ヨード−
2−ブタン酸メチル、2−ヨード−2−ブタン酸エチ
ル、2−ヨードプロピオン酸メチル、2−ヨードプロピ
オン酸エチル、4−ヨードトルエン、3−ヨードトルエ
ン、2−ヨードエチルアセテート、プロピオン酸2−ヨ
ードエチルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種
以上を混合して用いることができる。
【0045】本発明において、たとえば前記安定ニトロ
キシラジカル、カーバメート系化合物、ヨウ素化合物な
どのラジカル捕捉剤とともに用いられる重合開始剤とし
ては、通常のラジカル重合のばあいと同様のラジカル開
始剤を例示することができる。
【0046】前記ラジカル開始剤の代表例としては、た
とえば過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウ
ロイル、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸
アンモニウム、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチル
ヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−
ブチルペルオキシドなどの過酸化物;アゾビスイソブチ
ロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス
−2−アミジノプロパン塩酸塩などのアゾ化合物;ペル
オキソ二硫酸カリウム−亜硫酸ナトリウム、ペルオキソ
二硫酸アンモニウム−亜硫酸ナトリウムなどのレドック
ス系の組み合わせ;ベンジル、ベンゾフェノン、アセト
フェノン、トリクロロアセトフェノン、メチルベンゾイ
ルフォルメート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニルプロパン−1−オンなどの光増感剤などがあげら
れる。
【0047】本発明に用いられるラジカル重合可能なモ
ノマーは、前記ラジカル捕捉剤と重合開始剤との組み合
わせにより重合するもののなかから、成形体の用途に応
じて適宜選択して用いることができる。
【0048】とくに、アクリロイル基、メタクリロイル
基、ビニル基およびアリル基などの基から選ばれた重合
性不飽和二重結合を含有するモノマーは、ラジカル捕捉
剤と重合開始剤との組み合わせによる重合性にすぐれた
ものであるので、本発明において好適に使用しうるもの
である。かかるモノマーの代表例としては、たとえばメ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;トリ
フルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ
プロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプ
ロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル
(メタ)アクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)
アクリレート;トリメチルシリルプロピル(メタ)アク
リレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピ
ル(メタ)アクリレートなどのケイ素含有(メタ)アク
リレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの
(メタ)アクリルアミド;スチレン;o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エ
チルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレ
ン、o−オクチルスチレン、m−オクチルスチレン、p
−オクチルスチレンなどのアルキルスチレン;o−トリ
フルオロメチルスチレン、m−トリフルオロメチルスチ
レン、p−トリフルオロメチルスチレンなどのフルオロ
アルキルスチレン;o−トリメチルシリルスチレン、m
−トリメチルシリルスチレン、p−トリメチルシリルス
チレン、o−トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチ
レン、m−トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレ
ン、p−トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン
などのケイ素含有スチレン;酢酸ビニル;(メタ)アク
リロニトリル;(メタ)アクリル酸;α−メチルスチレ
ン;N−ビニルピロリドンなどがあげられる。これらの
モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0049】なお、本明細書では、「(メタ)アクリ‥
‥‥」は、「アクリ‥‥‥」および/または「メタクリ
‥‥‥」であることを意味する。
【0050】また、成形体の機械的強度や耐久性を向上
させようとするばあいには、共重合可能な不飽和二重結
合を1分子内に2個以上有する多官能性重合性化合物で
ある架橋性モノマーを用いることが好ましい。
【0051】前記架橋性モノマーとしては、たとえばエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、
ビニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチ
ルアクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、3−アクリロイルオキシ
プロピルメタクリレート、ブタンジオール(メタ)アク
リレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ア
ジピン酸ジアリル、2,2−ビス(4−(メタ)アクリ
ロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス[(4−(3−(メタ)
アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フ
ェニル]プロパン、ジ((メタ)アクリロイルオキシエ
チル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、トリアリ
ルイソシアヌレート、α−メチレン−N−ビニルピロリ
ドン、4−アリルベンジル(メタ)アクリレート、4−
ビニルベンジル(メタ)アクリレート、3−ビニルベン
ジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(p−(メ
タ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロ
パン、2,2−ビス(m−(メタ)アクリロイルオキシ
フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(o
−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン、2,2−ビス(p−(メタ)アクリロイル
オキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(m−(メ
タ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(o−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロ
パン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシ
ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス
(2-(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプ
ロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリ
ロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプ
ロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリ
ロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス
(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベン
ゼンなどがあげられる。これらの架橋性モノマーは、単
独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0052】前記架橋性モノマーの配合量は、通常成形
体の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0053】なお、本発明においては、重合率が5〜9
0重量%の半重合物の流動性が、該半重合物を成形型内
などの所望の空隙内に充填する際の作業性に影響を及ぼ
す。したがって、本発明においては、前記半重合物の流
動性に悪影響を与えない範囲内で架橋性モノマーの配合
量を調整することが好ましい。
【0054】前記架橋性モノマーの配合量は、用いられ
るモノマーの種類、半重合物の重合率などによって半重
合物の流動性が異なるので一概には決定することができ
ないが、通常用いられるモノマーの全量に対して、架橋
による効果を充分に発現させるために0.01重量%以
上、また流動性がわるくならないようにするために5重
量%以下とすることが好ましい。
【0055】各成形体の種類、用途に応じた前記モノマ
ーの利用例を以下に示す。
【0056】たとえば、眼内レンズ、カメラレンズ、眼
鏡レンズなどの光学レンズを作製するばあいには、メチ
ルメタクリレートを主成分としたモノマーを用いること
が好ましい。たとえば、プラスチック系光ファイバーを
作製するばあいには、コア部にメチルメタクリレートを
主成分とするモノマー、シェル部にフルオロアルキルメ
タクリレートを主成分とするモノマーを用いることが好
ましい。また、たとえば、高酸素透過性を有するコンタ
クトレンズを作製するばあいには、メチルメタクリレー
トなどと、トリメチルシリルプロピルメタクリレート、
トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリ
レートなどのケイ素含有メタクリレート、2,2,2−
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,
2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル
(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリ
レート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン
などのケイ素含有スチレンや、N−ビニル−2−ピロリ
ドン、メタクリル酸などの親水性モノマーなどとを併用
することが好ましい。
【0057】さらにたとえば、歯科用充填レジンとして
利用するばあいには、メチルメタクリレートなどのメタ
クリル酸エステルを用いることが好ましい。
【0058】前記ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラ
ジカル重合可能なモノマーを含有する混合物の重合の際
の挙動は、リビング重合的であり、生成するポリマーの
分子量は、主に前記重合開始剤の量に左右される。
【0059】一般的には、前記重合開始剤の量が少ない
と、生成するポリマーの分子量が高くなるため、半重合
物の粘度が高くなり、成形型内などの所望の空隙内に充
填する際の作業性に悪影響を及ぼすようになる。また、
前記重合開始剤の量が少ないばあいには、重合に要する
時間が長くなる。これらの観点から、前記重合開始剤の
量は、ラジカル重合可能なモノマー100重量部に対し
て0.005重量部以上、好ましくは0.01重量部以
上とすることが望ましい。
【0060】また、前記重合開始剤の量があまりにも多
いばあいには、生成するポリマーの分子量が低くなり、
その機械的強度が低下するようになる。したがって、前
記重合開始剤の量は、ラジカル重合可能なモノマー10
0重量部に対して10重量部以下、好ましくは5重量部
以下とすることが望ましい。
【0061】本発明では、前記したように、重合開始剤
と同時にラジカル捕捉剤が用いられることが大きな特徴
の1つである。本発明の製造法において、ラジカル捕捉
剤の量があまりにも少ないばあいには、重合中に生長ラ
ジカル同士で再結合や不均化などの停止反応が起こって
しまい、半重合物に再度重合エネルギーを与えても重合
が完結しなくなってしまう。これを防ぐために、ラジカ
ル捕捉剤の量は、用いた重合開始剤から生成する開始剤
切片100モルに対して10モル以上、好ましくは30
モル以上とすることが望ましい。
【0062】また、ラジカル捕捉剤の量があまりにも多
いばあいには、重合中に系内のラジカル濃度がいちじる
しく少なくなるため、重合に要する時間が長くなってし
まう。かかる観点から、ラジカル捕捉剤の量は、用いた
重合開始剤から生成する開始剤切片100モルに対して
500モル以下、好ましくは200モル以下とすること
が望ましい。
【0063】ただし、用いたラジカル捕捉剤1モルか
ら、2モル以上の安定ラジカル(T・)が生成するばあ
いには、この生成した安定ラジカルのモル数に応じてラ
ジカル捕捉剤の量を減少させることができる。
【0064】前記ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラ
ジカル重合可能なモノマーを含有する混合物には、必要
により、本発明の目的が阻害されない範囲内で、たとえ
ば染料、顔料、充填剤、酸化防止剤などの添加剤を添加
してもよい。これらの添加剤を用いるばあいには、前記
ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラジカル重合可能な
モノマーを含有する混合物中で前記添加剤が均一に分散
あるいは溶解するように混合することが好ましい。
【0065】また、前記ラジカル捕捉剤、重合開始剤お
よびラジカル重合可能なモノマーを含有する混合物に
は、必要により、溶剤などが添加されていてもよい。
【0066】前記溶剤としては、ラジカル重合可能なモ
ノマー、ラジカル捕捉剤、重合開始剤、添加剤などを溶
解させ、また生成する重合体も溶解させる性質を有し、
また前記モノマーの重合を阻害せず、また光で重合させ
るばあいには、重合させる際の光線の波長領域で特性吸
収を呈さないものを用いることが好ましい。このような
性質を有する溶剤としては、たとえばトルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、
酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、イソプロピルアル
コール、ヘキサン、ヘプタンなどがあげられる。
【0067】ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラジカ
ル重合可能なモノマーを含有する混合物、必要により、
前記溶剤で溶解させたラジカル捕捉剤、重合開始剤およ
びラジカル重合可能なモノマーを含有する混合物の溶液
を重合させることにより、重合率が5〜90重量%の半
重合物を調製する。
【0068】前記混合物を重合させる方法としては、た
とえば光線を照射させて重合させる方法や加熱によって
重合させる方法などがあげられる。
【0069】なお、前記混合物を重合させる際に用いら
れる重合エネルギーとしては、光線などの電磁波エネル
ギー、加熱などによって生じる熱エネルギーなどがあげ
られ、これらのエネルギーは、それぞれ単独使用または
併用することができる。
【0070】前記光線を照射させて重合させる方法に用
いられる光線(電磁波)の代表的なものとしては、紫外
線をあげることができる。かかる紫外線の強度および波
長は、用いられるラジカル捕捉剤、重合開始剤、モノマ
ーの種類などによって異なるので一律に決定することが
できない。通常、該紫外線の波長は、モノマーの励起に
よる分解が生じないようにするために、250nm以上
とすることが好ましい。また、該紫外線の波長が長くな
ると、可視光線の波長に近づき、可視光の遮光を注意す
る必要があり、若干作業性などが面倒になるばあいもあ
るので、該紫外線の波長は、450nm以下であること
が好ましい。
【0071】光線を照射することによってモノマーの重
合を行なうばあいには、光線が透過する容器内に該モノ
マーを入れ、該容器の外部から該モノマーに光線を照射
させて重合を行なうことができる。このときの温度は、
室温であってもよく、また室温よりも高温であっても低
温であってもよいが、作業性などの点から、室温である
ことが好ましい。
【0072】また、加熱することによって重合を行なう
ばあいには、加熱温度は10〜250℃、好ましくは5
0〜130℃であることが望ましい。かかる加熱温度
は、用いるラジカル捕捉剤や重合開始剤によって最適温
度が異なることがあるので、用いるラジカル捕捉剤や重
合開始剤の種類に応じて変更することが好ましい。
【0073】なお、重合時間は、たとえば光線を照射す
ることによって重合を行なうばあいには、光源からの距
離の微妙なずれや、用いる容器の種類、モノマーの量な
どの違いにより、仮に同一モノマー、同一ラジカル捕捉
剤、同一重合開始剤を用いたとしても変化するものであ
るので、一概には決定されず、各種重合条件などによっ
て適宜調整することが好ましい。
【0074】本発明においては、前記したように、ラジ
カル捕捉剤が用いられている点に、1つの大きな特徴が
あり、光線の照射および停止、または加熱を調整するこ
とによってモノマーの重合の進行と停止とを制御するこ
とができる。
【0075】したがって、ラジカル捕捉剤、重合開始剤
およびラジカル重合可能なモノマーを含有する混合物を
重合させ、所定の重合率にまでモノマーの重合が進行し
たときに、光線の照射または加熱を停止し、遮光または
冷却することにより、所定の重合率を有する半重合物を
調製することができる。
【0076】ここで、本明細書にいう重合率とは、式:
【0077】
【数1】
【0078】で表わされるように、重合されたモノマー
量(重量)を重合開始前のモノマー量(重量)で除した
重量百分率で表わされる。
【0079】ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラジカ
ル重合可能なモノマーを含有する混合物を重合させてえ
られた半重合物の重合率は、半重合物から重合体を調製
する際の重合収縮を低減させるために、5重量%以上、
好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量
%以上とされる。また半重合物の粘度が高くなりすぎて
該半重合物を所望の空隙内に充填する際の作業性を向上
させるために、前記重合率は90重量%以下、好ましく
は80重量%以下とされる。
【0080】所望の重合率に達した段階で重合を一旦停
止させるためには、あらかじめ光線の照射時間または加
熱時間と重合率との関係を把握しておくことが好まし
い。
【0081】かくしてえられた半重合物は、すぐにつぎ
の工程に使用してもよく、また一旦保存して必要時に用
いるようにしてもよい。
【0082】前記半重合物は、光で機能するラジカル捕
捉剤および重合開始剤を用いたばあいには、光線が遮光
されている状態では重合が進行せず、また熱で機能する
ラジカル捕捉剤および重合開始剤を用いたばあいには、
重合が進行する敷居温度以下では重合が進行しないの
で、その状態で保存することができる。したがって、前
記半重合物を保存しておくばあいには、前記半重合物に
光線が照射されないように、遮光しておいたり、敷居温
度以下、好ましくは低温下におくことが必要である。
【0083】前記半重合物を保存する際に、前記ラジカ
ル捕捉剤のなかには、それ自身が分解し、前記半重合物
が硬化するおそれがあるものもあるため、このようなラ
ジカル捕捉剤を用いてえられた半重合物の保存時の温度
は、あまり高くないことが好ましい。かかる観点から、
前記半重合物を保持するばあいには、全般的に室温以下
で保存することが好ましい。
【0084】このように、前記半重合物を保持すること
ができるという特性は、広範囲な利点を有する。たとえ
ば、半重合物の製造者が該半重合物を作製したのち、そ
れを用いて成形品を作製するまでのあいだ、在庫として
保管することができるようになる。
【0085】つぎに、前記半重合物に、再度、光線を照
射したり、または加熱することにより、その重合を完結
させることができる。
【0086】従来、前記半重合物から成形品を作製する
ばあいには、重合を再開させるために、半重合物に新た
に重合開始剤などを添加しなければならなかった。とこ
ろが、かかる半重合物に重合開始剤を添加したばあいに
は、該重合開始剤を半重合物中に均一に分散させること
が困難であり、また前記したように、該重合開始剤を混
合するのに必要な設備を持たない使用者は、利用するこ
とができないばあいもあった。
【0087】これに対して、本発明に用いられている半
重合物は、新たに重合開始剤を添加しなくても、そのま
まの状態で、たとえば光線を照射したり、加熱するだけ
で、重合を再開させることができるので、均一な組成の
成形品を簡便に、しかも経済的に作製することができる
という、すぐれた特性が発現される。
【0088】前記半重合物を成形型内などの所望の空隙
内に充填し、重合を完結させることにより、型の転写性
が良好なモールド成形体や空隙のない硬化充填物などが
えられる。
【0089】なお、前記モールド成形体が、たとえば眼
鏡レンズやコンタクトレンズなどの眼用レンズであるば
あいには、所定のレンズ形状を有する成形型内の空隙に
前記半重合物を充填したのち、光線を照射したり、加熱
することにより、重合を完結させ、所定形状を有するレ
ンズを作製することができる。
【0090】かくしてえられる成形体は、半重合物の作
製の段階ですでに所定の重合率まで重合されていること
により、半重合物から成形品を作製する段階で生じる重
合収縮の程度がきわめて小さいため、きわめて正確な所
定形状を有する成形体をうることができる。
【0091】
【実施例】つぎに、本発明の成形体の製造法を実施例に
もとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実
施例のみに限定されるものではない。
【0092】実施例1 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.53重量部
と、ラジカル捕捉剤として2,2,6,6−テトラメチ
ル−1−ピペリジニルオキシ1重量部とを均一な組成と
なるように混合し、混合物をえた。えられた混合物20
gをバイアル瓶(日電理化硝子(株)製、V−20)に
入れ、シールした。これを約100℃のオイルバス中に
入れて4時間放置したのち、約130℃のオイルバス中
に入れて2日間放置し、半重合状態とした。その結果、
増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0093】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を紫外吸光度検出器と示差屈折率計とを兼ね備え
たゲル濾過浸透クロマトグラフを用いて測定した。その
結果、その重合率は約66重量%であり、また数平均分
子量は約10600であった。
【0094】なお、前記ゲル濾過浸透クロマトグラフの
分析条件は、以下に示すとおりである。
【0095】装置:日本分光(株)製、DG−980−
50(3−Line Degasser)、PU−98
0(HPLC pump)、CO−965(colum
n oven)、RI−930(RI detecto
r)、UV−970(UV−VIS detecto
r) 溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、ナカライテス
ク特級 流速:1ml/min カラム槽温度:40℃ カラム:KF805+KF804+KF803+Wat
ers Ultrastyragel 100Å+KF
801 流入方向からこの順番で直列に連結したもの 排除限界分子量:約300万〜数十 サンプルループ容量:100μl 検出器:RI検出器とUV検出器(検出波長:スチレン
のばあいは280nm、その他は240nm)との並列
仕様 データ処理装置:CR−7Ae 感度:RI側×4 UV側×(スチレンのばあいは10、メチルメタクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレ
ートは7) 試料濃度:約0.1重量%、THF溶液となるように秤
量 注入量:約0.5ml つぎに、えられた半重合物を再度バイアル瓶に入れ、約
130℃で加熱を行なったところ、その重合が再開さ
れ、重合が完結して重合体(成形体)がえられた。
【0096】えられた重合体の重合収縮率を式:
【0097】
【数2】
【0098】にしたがって求めたところ、6.7%であ
った。
【0099】比較例1 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.53重量部
を均一な組成となるように混合し、混合物をえた。えら
れた混合物20gを実施例1と同様のバイアル瓶に入れ
てシールし、オイルバス中に入れた。オイルバスの温度
および時間は50℃で22時間、60℃で8時間、80
℃で72時間とし、重合を完結させて重合体をえた。
【0100】つぎに、えられた重合体の重合収縮率を実
施例1と同様にして算出したところ、17%であり、実
施例1と比較して約2.5倍の収縮がみられた。
【0101】実施例1および比較例1の結果から、実施
例1のように、ラジカル捕捉剤と重合開始剤とを併用し
て半重合物を調製したのち、成形体を作製する方法を採
用したばあいには、そのままの状態で加熱するという簡
便な操作で重合を再開、完結することができ、かつ重合
収縮率が小さい成形体を作製することができることがわ
かる。
【0102】実施例2 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.53重量部
と、ラジカル捕捉剤として2,2,6,6−テトラメチ
ル−1−ピペリジニルオキシ1重量部とを均一な組成と
なるように混合し、混合物をえた。えられた混合物20
gを実施例1と同様のバイアル瓶に入れ、シールした。
これを約90℃のオイルバス中に入れて3時間放置した
のち、125℃のオイルバス中に入れて20時間放置
し、半重合状態とした。その結果、増粘が認められ、半
重合物がえられた。
【0103】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約28重量%であり、また数平均分子量は約
5630であった。
【0104】また、前記半重合物を低温(約5℃)下ま
たは室温下で約2週間保管したのちに、同様の分析を実
施したところ、重合率および数平均分子量にはまったく
変化がなく、この間での重合の進行が認められず、保管
時の安定性にすぐれたものであることが確認された。
【0105】比較例2 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.79重量部
を均一な組成となるように混合し、混合物をえた。えら
れた混合物10gを実施例1と同様のバイアル瓶に入
れ、シールした。これを約60℃のオイルバス中に入れ
て2時間放置したところ、半重合状態となった。その結
果、増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0106】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約13重量%であり、また数平均分子量は約
97800であった。
【0107】また、前記半重合物を低温(約5℃)下ま
たは室温下で保管したのちに、同様の分析を実施したと
ころ、重合率および数平均分子量いずれも変化が認めら
れた。室温にて19日間保管したものは、重合率が79
重量%、数平均分子量が126000であり、保管中に
重合が進行しており、保存安定性に乏しいものであっ
た。
【0108】実施例2および比較例2の結果から、実施
例2のように、ラジカル捕捉剤と重合開始剤とを併用し
て半重合物を調製する方法を採用したばあいには、半重
合状態での保管安定性にすぐれることがわかる。
【0109】実施例3 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤として過酸化ベンゾイル0.62重量部と、ラジカ
ル捕捉剤として2,2,6,6−テトラメチル−1−ピ
ペリジニルオキシ0.6重量部とを均一な組成となるよ
うに混合し、混合物をえた。えられた混合物20gを実
施例1と同様のバイアル瓶に入れ、シールした。これを
約100℃のオイルバス中に入れて90分間放置したの
ち、135℃のオイルバス中に入れて330分間放置
し、半重合状態とした。その結果、増粘が認められ、半
重合物がえられた。
【0110】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約28重量%であり、また数平均分子量は約
8560であった。
【0111】また、前記半重合物を低温(約5℃)下で
13日間保管したのちに、同様の分析を実施したとこ
ろ、重合率および数平均分子量にはまったく変化がな
く、この間での重合の進行が認められず、保管時の安定
性にすぐれたものであることが確認された。
【0112】つぎに、えられた半重合物を再度バイアル
瓶に入れ、約130℃で加熱を行なったところ、その重
合が再開され、重合が完結して重合体(成形体)がえら
れた。
【0113】これらの結果から、ラジカル捕捉剤と重合
開始剤とを併用したばあいには、任意に重合の停止と再
開、完結が可能であり、かつ半重合状態での保管安定性
にすぐれることがわかる。
【0114】実施例4 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン(チバガイギー社製、商品名:ダロ
キュア1173)0.79重量部と、ラジカル捕捉剤と
してN,N,N′,N′−テトラエチルチウラムジスル
フィド1.42重量部とを均一な組成となるように混合
し、混合物をえた。えられた混合物20gをサンプル瓶
(日電理化硝子(株)製、SV−20)に入れ、マグネ
チックスターラで撹拌しながら、10cm離れたところ
からブラックライト(松下電器産業(株)製、ナショナ
ルブラックライト・ブルーFL10BL−B)で光線
(紫外線)を照射し、半重合状態とした。その結果、増
粘が認められ、半重合物がえられた。
【0115】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約39重量%であり、また数平均分子量は約
10700であった。
【0116】また、前記半重合物を遮光状態で約15日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、重合率および数平均分子量
にはまったく変化がなく、この間での重合の進行が認め
られず、保管時の安定性にすぐれたものであることが確
認された。
【0117】比較例3 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤として実施例4と同様の2−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−フェニルプロパン−1−オン0.79重量部を
均一な組成となるように混合し、混合物をえた。えられ
た混合物20gを実施例4と同様のサンプル瓶に入れ、
マグネチックスターラーで撹拌しながら、10cm離れ
たところから実施例4と同様のブラックライトで光線
(紫外線)を照射し、半重合状態とした。その結果、増
粘が認められ、半重合物がえられた。
【0118】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約41重量%であり、また数平均分子量は約
34100であった。
【0119】また、前記半重合物を遮光状態で約20日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、低温下および室温下いずれ
においてもは保管中に重合が徐々に進行していた。室温
下で保管したものは重合率が50重量%に変化してお
り、保管安定性に乏しいものであった。
【0120】実施例4および比較例3の結果から、実施
例4のように、ラジカル捕捉剤と重合開始剤とを併用し
て半重合物を調製する方法を採用したばあいには、半重
合状態での保管安定性にすぐれることがわかる。
【0121】実施例5 モノマーとしてメチルメタクリレート100重量部に対
して、重合開始剤として実施例4と同様の2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.
82重量部と、ラジカル捕捉剤としてN,N,N′,
N′−テトラエチルチウラムジスルフィド1.5重量部
とを均一な組成となるように混合し、混合物をえた。え
られた混合物30gを実施例4と同様のサンプル瓶に入
れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、10cm
離れたところから実施例4と同様のブラックライトで光
線(紫外線)を照射し、半重合状態とした。その結果、
増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0122】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約47重量%であり、また数平均分子量は約
15700であった。
【0123】また、前記半重合物を遮光状態で約15日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、重量率および数平均分子量
にはまったく変化がなく、この間での重合の進行が認め
られず、保管時の安定性にすぐれたものであることが確
認された。
【0124】つぎに、えられた半重合物を再度サンプル
瓶に入れ、前記と同様にしてブラックライトで光線(紫
外線)を照射したところ、その重合が再開され、重合が
完結して重合体(成形体)がえられた。
【0125】比較例4 モノマーとしてメチルメタクリレート100重量部に対
して、重合開始剤として実施例4と同様の2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.
82重量部を均一な組成となるように混合し、混合物を
えた。えられた混合物30gを実施例4と同様のサンプ
ル瓶に入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、
10cm離れたところから実施例4と同様のブラックラ
イトで光線(紫外線)を照射し、半重合状態とした。そ
の結果、増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0126】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約20重量%であり、また数平均分子量は約
37600であった。
【0127】また、前記半重合物を遮光状態で約20日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、低温下および室温下いずれ
においてもは保管中に重合が徐々に進行していた。室温
下で保管したものは重合率が約27重量%に変化してお
り、保管安定性に乏しいものであった。
【0128】実施例5および比較例4の結果から、実施
例5のように、ラジカル捕捉剤と重合開始剤とを併用し
て半重合物を調製する方法を採用したばあいには、半重
合状態での保管安定性にすぐれ、かつそのままの状態で
光を照射するという簡便な操作で重合を再開、完結する
ことができることがわかる。
【0129】実施例6 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.79重量部
と、ラジカル捕捉剤としてN,N,N′,N′−テトラ
エチルチウラムジスルフィド1.4重量部とを均一な組
成となるように混合し、混合物をえた。えられた混合物
10gを実施例1と同様のバイアル瓶に入れ、シールし
た。これを約70℃のオイルバス中に入れて4時間30
分放置し、半重合状態とした。その結果、増粘が認めら
れ、半重合物がえられた。
【0130】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、重
合率は約44重量%であり、また数平均分子量は約17
700であった。
【0131】また、前記半重合物を遮光状態で約15日
間低温(約5℃)下で保管したのちに、同様の分析を実
施したところ、重合率および数平均分子量にはほとんど
変化がなく、この間での重合の進行が認められず、保管
時の安定性にすぐれたものであることが確認された。
【0132】つぎに、えられた半重合物を再度バイアル
瓶に入れ、130℃で加熱を行なったところ、その重合
が再開され、重合が完結して重合体(成形体)がえられ
た。
【0133】比較例5 モノマーとしてスチレン100重量部に対して、重合開
始剤としてアゾイソブチロニトリル0.79重量部を均
一な組成となるように混合し、混合物をえた。えられた
混合物10gを実施例1と同様のバイアル瓶に入れ、シ
ールした。これを約60℃のオイルバス中に入れて2時
間放置し、半重合状態とした。その結果、増粘が認めら
れ、半重合物がえられた。
【0134】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、重
合率は約13重量%であり、また数平均分子量は約97
800であった。
【0135】また、前記半重合物を遮光状態で約19日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、保管中に重合率および分子
量いずれも変化していた。保管後、室温下では重合率が
約79重量%、数平均分子量が約343000であり、
保管中に重合が進行していることがわかる。
【0136】実施例6および比較例5の結果から、実施
例6のように、ラジカル捕捉剤と重合開始剤とを併用し
て半重合物を調製する方法を採用したばあいには、半重
合状態での保管安定性にすぐれ、かつそのままの状態で
加熱するという簡便な操作で重合を再開、完結すること
ができることがわかる。
【0137】実施例7 モノマーとしてn−ブチルアクリレート100重量部に
対して、重合開始剤として実施例4と同様の2−ヒドロ
キシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
0.11重量部と、ラジカル捕捉剤としてN,N,
N′,N′−テトラエチルチウラムジスルフィド0.5
8重量部とを均一な組成となるように混合し、混合物を
えた。えられた混合物12.8gを実施例4と同様のサ
ンプル瓶に入れ、マグネチックスターラーで撹拌しなが
ら、10cm離れたところから実施例4と同様のブラッ
クライトで光線(紫外線)を照射し、半重合状態とし
た。その結果、増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0138】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約54重量%であり、また数平均分子量は約
30500であった。
【0139】また、前記半重合物を遮光状態で約12日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、重合率および数平均分子量
にはまったく変化がなく、この間での重合の進行が認め
られず、保管時の安定性にすぐれたものであることが確
認された。
【0140】つぎに、えられた半重合物を再度サンプル
瓶に入れ、前記と同様にしてブラックライトで光線(紫
外線)を照射したところ、その重合が再開され、重合が
完結して重合体(成形体)がえられた。
【0141】これらの結果から、ラジカル捕捉剤と重合
開始剤とを併用したばあいには、任意に重合の停止と再
開、完結が可能であり、かつ半重合状態での保管安定性
にすぐれることがわかる。
【0142】実施例8 モノマーとしてメチルメタクリレート100重量部に対
して、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル
0.82重量部と、ラジカル捕捉剤としてN,N,
N′,N′−テトラエチルチウラムジスルフィド1.5
重量部とを均一な組成となるように混合し、混合物をえ
た。えられた混合物10gを実施例1と同様のバイアル
瓶に入れ、シールした。これを約70℃のオイルバス中
に入れて4時間30分放置し、半重合状態とした。その
結果、増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0143】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、そ
の重合率は約41重量%であり、また数平均分子量は約
22500であった。
【0144】また、前記半重合物を遮光状態で約15日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、重合率および数平均分子量
にはまったく変化がなく、この間での重合の進行が認め
られず、保管時の安定性にすぐれたものであることが確
認された。
【0145】つぎに、えられた半重合物を再度バイアル
瓶に入れ、60℃で55時間、そののち80℃で65時
間加熱を行なったところ、その重合が再開され、重合が
完結して重合体(成形体)がえられた。
【0146】比較例6 モノマーとしてメチルメタクリレート100重量部に対
して、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル
0.82重量部を均一な組成となるように混合し、混合
物をえた。えられた混合物10gを実施例1と同様のバ
イアル瓶に入れ、シールした。これを約40℃のオイル
バス中に入れて150分間放置し、半重合状態とした。
その結果、増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0147】つぎに、えられた半重合物の重合率および
分子量を実施例1と同様にして測定した。その結果、重
合率は約9重量%であり、また数平均分子量は約302
000であった。
【0148】また、前記半重合物を遮光状態で約20日
間低温(約5℃)下または室温下で保管したのちに、同
様の分析を実施したところ、保管中に重合率および数平
均分子量いずれも変化していた。低温下で保管したもの
は、重合率が16重量%、数平均分子量が538000
であり、室温下で保管したものは、重合率が82重量
%、数平均分子量が555000であり、保管中に重合
の進行がみられ、保管安定性に乏しかった。
【0149】実施例8および比較例6の結果から、実施
例8のように、ラジカル捕捉剤と重合開始剤とを併用し
て半重合物を調製する方法を採用したばあいには、半重
合状態での保管安定性にすぐれ、かつそのままの状態で
加熱するという簡便な操作で重合を再開、完結すること
ができることがわかる。
【0150】実施例9 モノマーとしてメチルメタクリレート100重量部に対
して、重合開始剤として実施例4と同様の2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.
82重量部と、ラジカル捕捉剤としてN,N,N′,
N′−テトラエチルチウラムジスルフィド1.5重量部
とを均一な組成となるように混合し、混合物をえた。え
られた混合物30gを実施例4と同様のサンプル瓶に入
れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、15cm
離れたところから実施例4と同様のブラックライトで光
線(紫外線)を照射し、半重合状態とした。その結果、
増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0151】つぎに、えられた半重合物の重合率を実施
例1と同様にして測定した結果、約36重量%であっ
た。
【0152】つぎに、えられた半重合物を実施例1と同
様のバイアル瓶に入れ、シールした。これを約90℃の
オイルバス中にて2日間放置したところ、その重合が再
開され、重合が完結して重合体(成形体)がえられた。
【0153】えられた重合体の重合収縮率を実施例1と
同様にして算出したところ、約12.9%であった。
【0154】比較例7 モノマーとしてメチルメタクリレート100重量部に対
して、重合開始剤として実施例4と同様の2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.
82重量部を均一な組成となるように混合し、混合物を
えた。えられた混合物10gを実施例4と同様のサンプ
ル瓶に入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、
15cm離れたところから実施例4と同様のブラックラ
イトで光線(紫外線)を照射して重合を行ない、重合を
完結させて重合体をえた。
【0155】つぎに、えられた重合体の重合収縮率を実
施例1と同様にして算出したところ、20.9%であっ
た。実施例9と比較して、半重合状態を経ずに重合させ
たばあいには、約1.6倍の収縮がみられた。
【0156】実施例9および比較例7の結果から、実施
例9のように、ラジカル捕捉剤と重合開始剤とを併用し
て半重合物を調製したのち、成形体を作製する方法を採
用したばあいには、そのままの状態で加熱するという簡
便な操作で重合を再開、完結することができ、かつ重合
収縮率が小さい形成体を作製することができることがわ
かる。
【0157】実施例10 モノマーとしてスチレン42重量部およびn−ブチルメ
タクリレート58重量部に対して、重合開始剤としてア
ゾビスイソブチロニトリル0.45重量部と、ラジカル
捕捉剤として2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペ
リジニルオキシ0.85重量部とを均一な組成となるよ
うに混合し、混合物をえた。えられた混合物12gを実
施例1と同様のバイアル瓶に入れ、シールした。これを
約90℃のオイルバス中に入れて3時間放置したのち、
約125℃のオイルバス中で20時間放置して半重合状
態とした。その結果、増粘が認められ、半重合物がえら
れた。
【0158】つぎに、えられた半重合物の重合率を実施
例1と同様にして測定した。その結果、スチレンが20
重量%、n−ブチルメタクリレートが19重量%、モノ
マー全体が20重量%であった。
【0159】また、前記半重合物を約2週間低温(約5
℃)下または室温下で保管したのちに、同様の分析を実
施したところ、重合率にはほとんど変化がなく、この間
での重合の進行が認められず、保管時の安定性にすぐれ
たものであることが確認された。
【0160】つぎに、えられた半重合物を再度バイアル
瓶に入れ、約130℃で加熱を行なったところ、その重
合が再開され、重合が完結して重合体(成形体)がえら
れた。
【0161】実施例11 モノマーとしてスチレン45重量部およびn−ブチルア
クリレート55重量部に対して、重合開始剤としてアゾ
ビスイソブチロニトリル0.48重量部と、ラジカル捕
捉剤として2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリ
ジニルオキシ0.9重量部とを均一な組成となるように
混合し、混合物をえた。えられた混合物12gを実施例
1と同様のバイアル瓶に入れ、シールした。これを約9
0℃のオイルバス中に3時間放置したのち、約125℃
のオイルバス中で約20時間放置して半重合状態とし
た。その結果、増粘が認められ、半重合物がえられた。
【0162】つぎに、えられた半重合物の重合率を実施
例1と同様にして測定した。その結果、スチレンが38
重量%、n−ブチルアクリレートが35重量%、モノマ
ー全体が36重量%であった。
【0163】また、前記半重合物を約2週間低温(約5
℃)下または室温下で保管したのちに、同様の分析を実
施したところ、重合率にはほとんど変化がなく、この間
での重合の進行が認められず、保管時の安定性にすぐれ
たものであることが確認された。
【0164】つぎに、えられた半重合物を再度バイアル
瓶に入れ、130℃で加熱を行なったところ、その重合
が再開され、重合が完結して重合体(成形体)がえられ
た。
【0165】実施例10〜11の結果から、ラジカル捕
捉剤と重合開始剤とを併用して半重合物を調製したの
ち、重合体を作製する方法を採用したばあいには、半重
合状態での保管安定性にすぐれ、かつそのままの状態で
加熱するという簡便な操作で重合を再開、完結すること
ができることがわかる。
【0166】
【発明の効果】本発明の成形体の製造法によれば、重合
収縮率が小さく、ほぼ所望の形状どおりの成形体を作製
することができる。
【0167】したがって、本発明の成形体の製造法は、
眼用レンズなどの高い寸法精度が要求される成形体など
の特定形状を有する三次元成形体や、硬化後の空隙が発
生しない硬化用コンパウンドの製造に好適に使用しう
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル捕捉剤、重合開始剤およびラジ
    カル重合可能なモノマーを含有する混合物を重合させ、
    重合率が5〜90重量%の半重合物を調製したのち、前
    記半重合物を所望の空隙内に充填し、ついで前記半重合
    物に再度重合エネルギーを与えて重合を完結させること
    を特徴とする成形体の製造法。
  2. 【請求項2】 ラジカル捕捉剤が安定ニトロキシラジカ
    ル、カーバメート系化合物およびヨウ素化合物から選ば
    れた少なくとも1種である請求項1記載の成形体の製造
    法。
  3. 【請求項3】 ラジカル捕捉剤が一般式(I): 【化1】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜1
    0の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルキ
    レン基(ただし、R1およびR2がアルキレン基のばあ
    い、R1およびR2は有機基を介して連結している)を示
    し、該アルキル基およびアルキレン基は、ヒドロキシル
    基、シアノ基、アミノ基、エステル結合を有する基、カ
    ルボニル基および芳香族置換体を含有する基から選ばれ
    た置換基を有していてもよい)で表わされる安定ニトロ
    キシラジカルである請求項1記載の成形体の製造法。
  4. 【請求項4】 ラジカル捕捉剤が一般式(II): 【化2】 (式中、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子また
    は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表わされる基
    を有するカーバメート系化合物である請求項1記載の成
    形体の製造法。
  5. 【請求項5】 ラジカル捕捉剤がヨウ素化合物である請
    求項1記載の成形体の製造法。
  6. 【請求項6】 ラジカル重合可能なモノマーがアクリロ
    イル基、メタクリロイル基、ビニル基およびアリル基か
    ら選ばれた重合性不飽和二重結合を含有するモノマーで
    ある請求項1記載の成形体の製造法。
  7. 【請求項7】 前記重合エネルギーが電磁波エネルギ
    ー、熱エネルギーまたはこれらの組合わせである請求項
    1記載の成形体の製造法。
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