JP4868231B2 - 接触抵抗の小さい多孔質チタンおよびその製造方法 - Google Patents

接触抵抗の小さい多孔質チタンおよびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、多孔質チタンにおける少なくとも骨格外表面に表面酸化したRuまたはPd粒子が固着している接触抵抗の小さい多孔質チタンおよびその製造方法に関するものであり、この多孔質チタンは固体高分子形燃料電池の空気極材および燃料極材として使用される。
一般に、固体高分子形燃料電池は、電解質の片面に触媒を伴った導電性多孔質体からなる空気極が形成され、電解質のもう一方の片面に同じく触媒を伴った導電性多孔質体からなる燃料極が形成されており、一般にかかる構造を有する固体高分子形燃料電池はセパレータを介して複数個重ねた構造を有している。空気極と第一セパレータが接しており、燃料極と第二セパレータがそれぞれ接しており、その接触抵抗は低いことが必要である。一般に、セパレータとしてはカーボン板や金属板が使用され、空気極材および燃料極材を構成する導電性多孔質体としてはカーボンペーパーと呼ばれるカーボン繊維の不織布や多孔質金属などが用いられている。セパレータとして金属板、例えばステンレス鋼板を用いる場合、使用環境においてステンレス鋼の表面に電気抵抗の高い酸化被膜で被覆されているために接触抵抗が大きく、これを改善するためにステンレス鋼表面にRuまたはPdを被覆した板を固体高分子形燃料電池用セパレータとして使用している。また、ステンレス鋼よりも耐食性の優れたチタンについても同様に電気抵抗の高い酸化被膜が形成されていることから、表面酸化したRuまたはPdを被覆したのち熱処理して接触抵抗の低減を図っている(特許文献1参照)。
さらに、固体高分子形燃料電池の空気極および燃料極においても導電性多孔質体として耐食性に優れた多孔質チタンを使用することが考えられる。多孔質チタンは、一般に、図5に示されるように、表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔1と骨格2とで構成されている。そして図5に示される多孔質チタンの骨格2のA部分の拡大図が図6に示してある。図6に示されるように、多孔質チタンの骨格2の表面には大気中に放置されて自然発生したTi酸化膜3が形成されており、特に多孔質チタンの骨格外表面4に形成されているTi酸化膜3は導電性を阻害し、接触抵抗を大きくすることが知られている。したがって、多孔質チタンを空気極および燃料極として使用するには、多孔質チタンの表面に先に述べた公知のセパレータと同様にRuまたはPdを表面被覆した多孔質チタンが好ましいと考えられる。
特開2004−133006号公報
多孔質チタンの表面に表面酸化したRuまたはPdをメッキ法、CVD法、PVD法などで被覆しようとすると、多孔質チタンの表面には内部に連通する連続気孔が気孔率:60%以上の割合で形成されていることから、多孔質チタンの骨格の外表面全面だけでなく、内部の骨格表面全面にまでRuまたはPdの被膜が形成され、接触部以外の内部の骨格表面にまでRuまたはPdの被膜が形成されるためにRuまたはPdの使用量が多く、コストがかかるという問題があった。
さらに、一般に、固体高分子形燃料電池は、携帯用ノートパソコン、携帯電話など移動する装置の動力源に使用されることが多く、したがって、振動を受ける機会が多い。骨格の外表面にメッキ法、CVD法、PVD法などによりRuまたはPdが被覆された多孔質チタンを空気極および燃料極の材料として使用した固体高分子形燃料電池が振動を受けると、セパレータと接触する空気極および燃料極の骨格外表面に形成されているRuまたはPdからなる被膜の表面が変形したり被膜が剥離したりしやすく、それによって接触抵抗が上昇する。特に固体高分子形燃料電池に使用される多孔質チタンからなる空気極および燃料極は多孔質であるために実質的な外面積が極端に小さいとことからRuまたはPdからなる被膜の表面が変形したり被膜が剥離したりすると通常の密度:100%のチタン金属表面にRuまたはPdが形成された場合と比べて接触抵抗の増加は著しく大きくなる。
そこで、本発明者らは、固体高分子形燃料電池の空気極および燃料極に使用する導電性に優れた多孔質チタンを一層低コストで作製し、しかも、振動に伴う摩耗により多孔質チタンの骨格外表面に形成されたRuまたはPdが変形したり剥離することが無く、接触抵抗が長期間増加することのない多孔質チタンを得るべく研究を行った。その結果、
(イ)多孔質チタンの骨格外表面にRuまたはPdを含むコロイドを塗布すると、RuまたはPdを含むコロイドは多孔質チタンの骨格外表面に塗布されて空孔開口部の奥深く塗布されることはないので高価なRuまたはPdを含むコロイドの使用量を少なくすることができ、塗布したコロイドを乾燥させると、多孔質チタンの骨格の少なくとも骨格外表面に粒径:1〜5000nm(好ましくは5〜1000nm)のRuまたはPdの粒子が島状に均一分散して付着する、
(ロ)このコロイドを塗布したのち乾燥してRuまたはPdの粒子を島状に均一分散して付着させた多孔質チタンを真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱すると、先ず、少なくとも骨格外表面に形成されているTi酸化膜に含まれる酸素が下地のチタンに拡散固溶させられて多孔質チタンの骨格外表面がチタン金属となり、さらに同じ条件で加熱を続けると少なくとも骨格外表面に島状に均一分散して付着しているRuまたはPdからなる粒子が骨格外表面のチタン金属と拡散接合して骨格外表面に強固に固着する、
(ハ)このRuまたはPdからなる粒子を少なくとも骨格外表面のチタン金属に拡散接合させた状態でさらに大気雰囲気中で保持または保持したのちさらに加熱すると、少なくとも骨格外表面のチタン金属に拡散接合したRuまたはPdからなる粒子の存在しない隙間にはTi酸化層が形成され、このTi酸化層はRuもしくはPdからなる粒子または表面酸化したRuもしくはPdからなる粒子を包囲して形成されるために、前記RuもしくはPdからなる粒子または表面酸化したRuもしくはPdからなる粒子を骨格外表面に対して一層強固に固着するようになり、振動などが付与されても接触抵抗が低下することがない、などの知見を得たのである。
この発明は、これら知見に基づいてなされたものであって、
(1)表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にRu粒子が分散して固着しており、この少なくとも骨格外表面に固着したRu粒子間の隙間にはTi酸化膜が形成されている接触抵抗の小さい多孔質チタン、
(2)前記Ru粒子は多孔質チタンの骨格外表面に拡散接合して固着している前記(1)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン、
(3)前記Ru粒子は表面酸化している前記(1)または(2)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン、
(4)表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなりかつ骨格表面にTi酸化層が形成されている多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にRuのコロイドを塗布したのち乾燥してRu粒子を少なくとも骨格外表面に分散して付着させ、この少なくとも骨格外表面にRu粒子が分散して付着している多孔質チタンを真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱することにより少なくとも骨格外表面をチタン金属面とし、さらに真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱を続けることにより少なくとも骨格外表面に付着しているRu粒子を前記チタン金属面に拡散接合させ、次いでRu粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中、室温で保持することにより少なくとも骨格外表面に固着しているRu粒子間の隙間にTi酸化膜を形成させる接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法、
(5)前記(4)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法において、前記Ru粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中で加熱することにより、少なくとも骨格外表面に固着しているRu粒子の表面を酸化させて表面酸化したRu粒子を形成させると共にRu粒子とRu粒子の間の隙間にTi酸化膜を形成させる前記(3)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法、
(6)表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にPd粒子が分散して固着しており、この少なくとも骨格外表面に固着したPd粒子間の隙間にはTi酸化膜が形成されている接触抵抗の小さい多孔質チタン、
(7)前記Pd粒子は多孔質チタンの骨格外表面に拡散接合して固着している前記(6)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン、
(8)前記Pd粒子は表面酸化している前記(6)または(7)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン、
(9)表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなりかつ骨格表面にTi酸化層が形成されている多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にPdのコロイドを塗布したのち乾燥してPd粒子を少なくとも骨格外表面に分散して付着させ、この少なくとも骨格外表面にPd粒子が分散して付着している多孔質チタンを真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱することにより少なくとも骨格外表面をチタン金属面とし、さらに真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱を続けることにより少なくとも骨格外表面に付着しているPd粒子を前記チタン金属面に拡散接合させ、次いでPd粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中、室温で保持することにより少なくとも骨格外表面に固着しているPd粒子間の隙間にTi酸化膜を形成させる接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法、
(10)前記(9)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法において、前記Pd粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中で加熱することにより、少なくとも骨格外表面に固着しているPd粒子の表面を酸化させて表面酸化したPd粒子を形成させると共に表面酸化したPd粒子と表面酸化したPd粒子間の隙間にTi酸化膜を形成させる前記(8)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法、に特長を有するものである。
前記(1)〜(3)および(6)〜(8)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンは、固体高分子形燃料電池の空気極および燃料極の材料として優れた効果を有するものである。したがって、この発明は、
(11)前記(1)、(2)、(3)、(6)、(7)または(8)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンからなる固体高分子形燃料電池の空気極材、
(12)前記(1)、(2)、(3)、(6)、(7)または(8)記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンからなる固体高分子形燃料電池の燃料極材、に特長を有するものである。
次に、多孔質チタンを用いてこの発明の接触抵抗の小さい多孔質チタンおよびその製造方法を図面に基づいて説明する。
多孔質チタンの断面が図5に示されている。そして図5のA部分を拡大した図面が図6に示されている。図6に示されるように、この多孔質チタンは、表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔1を有し、少なくとも骨格2の骨格外表面4にはTi酸化膜3が形成されている。
図1は、この発明の接触抵抗の小さい多孔質チタンの断面説明図である。
図2〜図4は、図1に示されるこの発明の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法を説明するための断面説明図である。
図2に示されるように、従来の多孔質チタンにおける骨格外表面4に形成されているTi酸化膜3の上にRuまたはPd粉末を含むRuまたはPdコロイドを塗布したのち乾燥すると、Ti酸化膜3の上にRuまたはPdからなる粒子5が付着する。この状態で真空雰囲気中、温度:300℃以上に加熱保持すると、図3に示されるように、Ti酸化膜3の酸素は骨格2のチタンに拡散固溶させられて多孔質チタンの少なくとも骨格外表面4がチタン金属となる。さらに同じ条件で加熱すると、図4に示されるように、RuまたはPdからなる粒子5が骨格外表面のチタン金属と拡散接合部6を形成して拡散接合し、骨格外表面に強固に固着する。
このRuまたはPdからなる粒子5が骨格外表面4に強固に固着した状態でさらに大気中に放置すると、図1に示されるように、骨格外表面4のチタン金属に拡散接合したRuまたはPdからなる粒子5の存在しない部分の骨格外表面4にはTi酸化膜3が形成され、このTi酸化膜3はRuまたはPdからなる粒子3を包み込むように形成されるから、RuまたはPdからなる粒子5を骨格の外表面に対して一層強固に固着することになる。
この大気中に放置して作製した接触抵抗の小さい多孔質チタンは、Ti酸化膜3の厚さが十分でないことがある。その場合は大気中に放置して作製した接触抵抗の小さい多孔質チタンを大気中で加熱することによりTi酸化膜3の厚さを増加させることができる。この大気中での加熱によりRuまたはPdからなる粒子3の表面が酸化されて骨格外表面4に強固に固着したRuまたはPdからなる粒子5の表面に確認できる程度の厚さのRuまたはPdの酸化膜(図示せず)が形成される。このRuまたはPdの酸化膜は導電性を有するので接触抵抗の著しい低下をもたらすことはない。
この発明の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造には、チタン繊維を焼結した繊維焼結体、チタン粉末を通常の焼結法などによって焼結した粉末焼結体、チタン粉末にバインダー、発泡剤などを含むスラリーを作製し、このスラリーをドクターブレード法などの方法によりキャリヤーシート上に延ばしこれを加熱して発泡させ、乾燥してグリーン体を形成し、このグリーン体を脱脂、焼成することにより得られるスポンジ状の多孔質発泡チタンなどを使用することができるが、これら多孔質チタンの中でもスポンジ状の多孔質発泡チタンは製造工程で気孔率を制御することが容易であり、接触面積を大きく取れる利点があることから多孔質発泡チタンを使用することがより好ましい。
この発明の接触抵抗の小さい多孔質チタンは、ほぼ骨格外表面にのみRuもしくはPdからなる粒子または表面酸化したRuもしくはPdからなる粒子が分散して固着しているところから、骨格外表面の全面および空孔内壁全面にRuまたはPdからなる膜を形成した場合に比べてRuまたはPdの使用量が少なく、したがって、固体高分子形燃料電池の空気極材および燃料極材のコストを下げることができ、さらにこの発明の接触抵抗の小さい多孔質チタンにおける少なくとも骨格外表面に固着したRuもしくはPdからなる粒子または表面酸化したRuもしくはPdからなる粒子はその周囲を硬いTi酸化膜で覆われているので振動などで外部圧力が加わっても変形したり脱落したりすることが無く、長期間接触抵抗の低い状態を保持することができ、固体高分子形燃料電池などの性能の向上に大いに貢献し得るものである。
原料粉末として、平均粒径:10μmのチタン粉末、水溶性樹脂結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース10%水溶液、可塑剤としてグリセリン、起泡剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてヘキサンを用意した。
原料粉末:20質量%、水溶性樹脂結合剤:10質量%、可塑剤:1質量%、起泡剤:1質量%、発泡剤:0.6質量%、残部:水となるように配合し、15分間混練し、発泡スラリーを作製した。得られた発泡スラリーをブレードギャップ:0.5mmでドクターブレード法によりPETフィルム上に成形し、高温高湿度槽に供給し、そこで温度:35℃、湿度:90%、25分間保持の条件で発泡させた後、温度:80℃、20分間保持の条件の温風乾燥を行い、スポンジ状グリーン成形体を作製した。この成形体をPETフィルムから剥がし、アルミナ板上に載せ、Ar雰囲気中、温度:550℃、180分保持の条件で脱脂し、続いて真空焼結炉で雰囲気:5×10−3Pa、温度:1200℃、1時間保持の条件で焼結することにより気孔率90%を有し、厚さ:1.0mmを有する多孔質発泡チタン板を作製した。得られた多孔質発泡チタン板を縦:30mm、横:30mmの寸法となるように切断して多孔質発泡チタン素材を作製し用意した。
実施例1
市販のRuCl・nHO:5gをエタノール溶媒100mlに溶解し、同時に保護材としてポリビニルピロリドン(以下、PVPと記す)を添加し、良く撹拌した後、水素化ホウ素ナトリウムを1g加えてRuを還元することによりRu粒子を作製した。このRu粒子を一度遠心分離機で溶媒からRu粒子を取り出した後、再度、エタノール:100mlに分散させることによりRuコロイド溶液を作製した。
得られたRuコロイド溶液に、先に用意した多孔質発泡チタン素材を浸漬したのち乾燥し、この浸漬と乾燥を繰り返すことにより多孔質発泡チタン素材の表面に、表面の1%を覆うようRu粒子を分散付着させた。この多孔質発泡チタン素材の表面にRu粒子を分散付着させた状態で、真空雰囲気中、温度:500℃、1時間保持の条件で加熱したのち大気中に放置することによりRu粒子とRu粒子の隙間をTi酸化膜で埋めた本発明多孔質チタン1を作製した。
実施例2
実施例1で作製した本発明多孔質チタン1をさらに大気中、温度:400℃、30分間保持の条件で加熱することにより本発明多孔質チタン2を作製した。本発明多孔質チタン2は本発明多孔質チタン1に比べてTi酸化膜の厚さが厚く、さらにRu粒子の表面にRu酸化膜が形成されていることが目視により確認できた。このRu酸化膜はRu金属に比べて幾分導電性を低下させるものの実用上特に問題となるものではない。
従来例1
先に用意した多孔質発泡チタン素材の表面に通常の条件でRuメッキを施すことにより従来多孔質チタン1を作製した。
実施例1〜2で作製した本発明多孔質チタン1〜2および従来例1で作製した従来多孔質チタン1をそれぞれ縦:50mm、横:50mm、厚さ:10mmの寸法を有する銅板2枚で挟み、ばねを介して固定したのち、本発明多孔質チタン1〜2および従来多孔質チタン1と銅板との面圧が1MPaになるようにばねの撓みを調整した。かかる荷重がかかった状態で銅板間の抵抗を測定し、その値を振動試験前の接触抵抗として表1に示した。
さらに、本発明多孔質チタン1〜2および従来多孔質チタン1をそれぞれ縦:50mm、横:50mm、厚さ:10mmの寸法を有する銅板2枚で挟み、ばねを介して固定したのち、本発明多孔質チタン1〜2および従来多孔質チタン1と銅板との面圧が1MPaになるようにばねの撓みを調整し荷重がかかった状態のまま振動試験機上に設置し、周波数:67Hz、振動加速度:70m/秒で2時間の振動試験を行った。振動試験後、その場で荷重がかかった状態で銅板間の抵抗を測定し、その値を振動試験後の接触抵抗として表1に示した。
Figure 0004868231
表1に示される結果から、実施例1〜2で作製した本発明多孔質チタン1〜2は従来例1で作製した従来多孔質チタン1に比べて振動試験前後の接触抵抗の変動が格段に小さいことがわかる。
実施例3
市販のPdCl:5gをエタノール溶媒100mlに溶解し、同時に保護材としてPVPを添加し、良く撹拌した後、水素化ホウ素ナトリウムを1g加えてPdを還元することによりPd粒子を作製した。このPd粒子を一度遠心分離機で溶媒からPd粒子を取り出した後、再度、エタノール:100mlに分散させることによりPdコロイド溶液を作製した。
得られたPdコロイド溶液に、先に用意した多孔質発泡チタン素材を浸漬したのち乾燥し、この浸漬と乾燥を繰り返すことにより多孔質発泡チタン素材の表面に、表面の1%を覆うようPd粒子を分散付着させた。この多孔質発泡チタン素材の表面にPd粒子を分散付着させた状態で、真空雰囲気中、温度:500℃、1時間保持の条件で加熱したのち大気中に放置することによりPd粒子とPd粒子の隙間をTi酸化膜で埋めた本発明多孔質チタン3を作製した。
実施例4
実施例3で作製した本発明多孔質チタン3をさらに大気中、温度:400℃、30分間保持の条件で加熱することにより本発明多孔質チタン4を作製した。本発明多孔質チタン4は本発明多孔質チタン3に比べてTi酸化膜の厚さが厚く、さらにPd粒子の表面にPd酸化膜が形成されていることが目視により確認できた。このPd酸化膜はPd金属に比べて幾分導電性を低下させるものの実用上特に問題となるものではない。
従来例2
先に用意した多孔質発泡チタン素材の表面に通常の条件でPdメッキを施すことにより従来多孔質チタン2を作製した。
実施例3〜4で作製した本発明多孔質チタン3〜4および従来例2で作製した従来多孔質チタン2をそれぞれ縦:50mm、横:50mm、厚さ:10mmの寸法を有する銅板2枚で挟み、ばねを介して固定したのち、本発明多孔質チタン3〜4および従来多孔質チタン2と銅板との面圧が1MPaになるようにばねの撓みを調整した。かかる荷重がかかった状態で銅板間の抵抗を測定し、その値を振動試験前の接触抵抗として表2に示した。
さらに、本発明多孔質チタン3〜4および従来多孔質チタン2をそれぞれ縦:50mm、横:50mm、厚さ:10mmの寸法を有する銅板2枚で挟み、ばねを介して固定したのち、本発明多孔質チタン3〜4および従来多孔質チタン2と銅板との面圧が1MPaになるようにばねの撓みを調整し荷重がかかった状態のまま振動試験機上に設置し、周波数:67Hz、振動加速度:70m/秒で2時間の振動試験を行った。振動試験後、その場で荷重がかかった状態で銅板間の抵抗を測定し、その値を振動試験後の接触抵抗として表2に示した。
Figure 0004868231
表1に示される結果から、実施例3〜4で作製した本発明多孔質チタン3〜4は従来例2で作製した従来多孔質チタン2に比べて振動試験前後の接触抵抗の変動が格段に小さいことがわかる。
この発明の接触抵抗の小さい多孔質チタンの断面説明図である。 図5のA部分の骨格外表面のTi酸化膜の上にRuまたはPdからなる粒子を付着させた状態の断面説明図である。 図2の状態で真空雰囲気中で加熱することによりTi酸化膜の酸素が骨格に拡散吸収してTi酸化膜が消滅した状態の断面説明図である。 図2の状態で加熱をさらに続けることによりRuまたはPdからなる粒子が骨格外表面に拡散接合した状態を示す断面説明図である。 一般に知られている多孔質チタンの断面説明図である。 図5のA部分の拡大断面説明図である。
符号の説明
1:連続空孔、2:骨格、3:Ti酸化膜、4:骨格外表面、5:RuまたはPdからなる粒子、6:拡散接合部

Claims (12)

  1. 表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にRu粒子が分散して固着しており、この少なくとも骨格外表面に固着したRu粒子間の隙間にはTi酸化膜が形成されていることを特徴とする接触抵抗の小さい多孔質チタン。
  2. 前記Ru粒子は多孔質チタンの骨格外表面に拡散接合して固着していることを特徴とする請求項1記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン。
  3. 前記Ru粒子は表面酸化していることを特徴とする請求項1または2記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン。
  4. 表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなりかつ骨格表面にTi酸化層が形成されている多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にRuのコロイドを塗布したのち乾燥してRu粒子を少なくとも骨格外表面に分散して付着させ、この少なくとも骨格外表面にRu粒子が分散して付着している多孔質チタンを真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱することにより少なくとも骨格外表面をチタン金属面とし、さらに真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱を続けることにより少なくとも骨格外表面に付着しているRu粒子を前記チタン金属面に拡散接合させ、次いでRu粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中、室温で保持することにより少なくとも骨格外表面に固着しているRu粒子間の隙間にTi酸化膜を形成させることを特徴とする接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法。
  5. 請求項4記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法において、前記Ru粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中で加熱することにより、少なくとも骨格外表面に固着しているRu粒子の表面を酸化させて表面酸化したRu粒子を形成すると共に表面酸化したRu粒子とRu粒子の間の隙間にTi酸化膜を形成することを特徴とする請求項3記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法。
  6. 表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にPd粒子が分散して固着しており、この少なくとも骨格外表面に固着したPd粒子間の隙間にはTi酸化膜が形成されていることを特徴とする接触抵抗の小さい多孔質チタン。
  7. 前記Pd粒子は多孔質チタンの骨格外表面に拡散接合して固着していることを特徴とする請求項6記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン。
  8. 前記Pd粒子は表面酸化していることを特徴とする請求項6または7記載の接触抵抗の小さい多孔質チタン。
  9. 表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなりかつ骨格表面にTi酸化層が形成されている多孔質チタンの少なくとも骨格外表面にPdのコロイドを塗布したのち乾燥してPd粒子を少なくとも骨格外表面に分散して付着させ、この少なくとも骨格外表面にPd粒子が分散して付着している多孔質チタンを真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱することにより少なくとも骨格外表面をチタン金属面とし、さらに真空または不活性ガス雰囲気中、温度:300℃以上で加熱を続けることにより少なくとも骨格外表面に付着しているPd粒子を前記チタン金属面に拡散接合させ、次いでPd粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中、室温で保持することにより少なくとも骨格外表面に固着しているPd粒子間の隙間にTi酸化膜を形成させることを特徴とする接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法。
  10. 請求項9記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法において、前記Pd粒子をチタン金属面に拡散接合させた状態のまま大気中で加熱することにより、少なくとも骨格外表面に固着しているPd粒子の表面を酸化させて表面酸化したPd粒子を形成すると共に表面酸化したPd粒子とPd粒子の間の隙間に形成されたTi酸化膜の厚さを増加させることを特徴とする請求項8記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンの製造方法。
  11. 請求項1、2、3、6、7または8記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンからなることを特徴とする固体高分子形燃料電池の空気極材。
  12. 請求項1、2、3、6、7または8記載の接触抵抗の小さい多孔質チタンからなることを特徴とする固体高分子形燃料電池の燃料極材。
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