JP4406820B2 - 固体電解質型燃料電池の酸素極集電体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、長期間使用しても通気性が損なわれることの少ない固体電解質型燃料電池における酸素極集電体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、固体電解質型燃料電池は、水素ガス、天然ガス、メタノール、石炭ガスなどを燃料とすることができるので、発電における石油代替エネルギー化を促進することができ、さらに廃熱を利用することができるので省資源および環境問題の観点からも注目されている。この固体電解質型燃料電池は作動温度が800℃程度であり、その構造は、図6に示されるように、固体電解質3の片面に酸素極集電体1を積層し、固体電解質3のもう一方の片面に燃料極集電体2を積層し、酸素極集電体1の外側に空気導入口6を有するセパレータ4を積層し、燃料極集電体2の外側に燃料導入口7を有するセパレータ5を積層した構造を有している。そして、前記電解質3として厚さ:10μm程度に薄膜化した安定化ジルコニアからなる電解質が用いられ、酸素極集電体1は酸化剤ガスである空気を流す流路として機能する役割があるところから、ガス通路が形成されたランタンクロマイトなどの導電性セラミックス、白金のメッシュ、あるいは銀の多項質体などが使用されている。特に銀は200℃以上の高温酸素中で金属状態が安定相であり、かつ導電率が高いので、高温使用の電気化学デバイスの電極や集電材料として優れているとされている。
銀または銀合金多孔質体を酸素極集電体として組み込んだ固体酸化物燃料電池が低温で発電性能が向上する理由は、一般に、酸素極において、空気中の酸素が酸素極集電体により電子を受け取り、酸素イオン(O-2)が生成されるが、極微量の酸素が含まれている銀を固体酸化物燃料電池の酸素極集電体とした場合、集電体中に極微量含まれる酸素が集電体表面においての酸素イオンの生成を促進させる働きがあり、酸素イオンを集電体表面から早く移動させることができること、
集電体と電極との交換電流密度の上昇により、さらなる酸素イオンの移動が速やかになること、酸素の解離(O2→2O)、イオン化(O+2e→O-2)も銀多孔質体または分散強化型銀多孔質体からなる酸素極集電体中に固溶した酸素により促進すること、などによるものと考えられている。そして、固体酸化物燃料電池の発電容量を大きくするために、酸素極集電体1、燃料極集電体2、固体電解質3およびセパレータ4はいずれも板状構造を有している。
酸素極集電体として使用される銀または銀合金多孔質体は、通常のポリウレタンフォームなどの合成樹脂多孔質体空孔内面に銀の電気メッキ層または塗布層を形成し、その後、合成樹脂多孔質体を燃焼除去することにより製造する。合成樹脂多孔質体の空孔は球形であるので、この方法で製造した銀または銀合金多孔質体は球形空孔および中空三次元骨格で構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−216807号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の銀または銀合金の多項質体を固体電解質型燃料電池の酸素極集電体として用いた場合には、銀または銀合金は一般に高温強度が低い上に、さらに多項質体であるために、銀または銀合金の多項質体からなる酸素極集電体を固体電解質型燃料電池に組み込んで長期間使用すると酸素極集電体の内部空孔が変形し、酸素極集電体の内部空孔が変形すると、電気的接触が悪くなったり、ガスの流れが悪くなったりして、固体電解質型燃料電池の性能が低下する。
一方、多孔度の低い銀または銀合金の多項質体を使用すれば強度は向上し酸素極集電体の内部空孔の変形は阻止されるが、多孔度の低い酸素極集電体は流通させるガス量が少なくなり、ガスの背圧を上昇させ、ガスを流すためのエネルギーが多く必要になるため、固体電解質型燃料電池の発電効率が低下する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述のような観点から、多孔度を下げることなくかつ長期間使用しても酸素極集電体の内部空孔の変形が少なく、したがって長期間使用してもガスの流れが悪くなることの少ない固体電解質型燃料電池の銀多孔質体酸素極集電体を開発すべく試験研究を行った。その結果、
(イ)図1の酸素極集電体一部断面平面図および図2の酸素極集電体一部断面側面図に示されるように、酸素極集電体1を空孔を酸素極集電体の厚さ方向に押しつぶした偏平球空孔8と中空三次元骨格9とからなる銀または銀合金の多孔質体で構成すると、この酸素極集電体1を固体電解質型燃料電池に組み込んで長期間使用しても酸素極集電体の空孔の変形が少なく、ガスの背圧の上昇を抑えることができる、
(ロ)前記偏平球空孔8は、図5の酸素極集電体の概略断面側面説明図に示されるように、最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bが0.2〜0.7の範囲内に有り、かつ最大直径bの平均値が80〜800μmの範囲内にあり、さらに偏平球空孔8の最大直径方向が板状多孔質酸素極集電体の厚さ方向に対して直角方向に揃っていることが好ましい、などの研究結果が得られたのである。
【0006】
この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)偏平球空孔と中空三次元骨格とからなる固体電解質型燃料電池の板状多孔質酸素極集電体であって、前記板状多孔質酸素極集電体における中空三次元骨格は内部に隙間空間を有しかつ銀または銀合金からなり、前記偏平球空孔は、最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bが0.2〜0.7の範囲内に有りかつ最大直径bの平均値が80〜800μmの範囲内にあり、さらに偏平球空孔の最大直径方向が酸素極集電体の厚さ方向に対して直角方向に揃っている固体電解質型燃料電池の酸素極集電体、に特徴を有するものである。
【0007】
この発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体は、通常のポリウレタンフォームなどの合成樹脂多孔質体を二次元的に等方向に引張りながらまたは一方向に圧縮しながら合成樹脂多孔質体内部の球空孔を偏平させ、かかる空孔を偏平させた状態で空孔内面に銀の電気メッキ層または塗布層を形成し、その後、合成樹脂多孔質体を燃焼除去することにより製造する。銀の電気メッキ層を形成する場合は、合成樹脂多孔質体の球空孔内面にカーボンを塗布して導電性を付与したのち銀電気メッキすることにより形成する。
【0008】
このようにして製造したこの発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体は、図1および図2に示されるように、銀または銀合金からなる板状多孔質体の空孔を厚さ方向に押しつぶした偏平球空孔8と銀または銀合金からなる中空三次元骨格9とからなる多孔質体で構成されており、中空三次元骨格9は銀または銀合金からなる骨格と合成樹脂多孔質体を燃焼除去して形成された隙間空間10とで構成されており、一方、偏平球空孔8は図1の一部断面平面図に示されるように、平面方向から見るとほぼ円形であるが、側面方向から見ると偏平しているお供え餅のような形状構造を有している。
この偏平球空孔8は、図5の断面側面図に示されるように、最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bが0.2〜0.7の範囲内に有りかつ最大直径bの平均値が80〜800μmの範囲内にあり、さらに偏平球空孔の最大直径方向が図2に示されるように酸素極集電体1の厚さ方向に対して直角方向に揃っている形状構造を有している。かかる酸素極集電体1を固体電解質型燃料電池に組み込んで長期間使用しても酸素極集電体の空孔の変形が少なく、ガスの背圧の上昇を抑えることができる。
【0009】
この発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体は銀または銀合金で構成した場合、銀または銀合金は高温強度が低いところから、固体電解質型燃料電池の作動温度は400〜900℃に制限される。しかし、固体電解質型燃料電池をこれより高温(900越え〜920℃)で長時間作動させる必要に迫られることがある。かかる場合は、図3の一部断面平面図および図4の一部断面側面図に示される板状多孔質酸素極集電体を使用する。この板状多孔質酸素極集電体は図3および図4に示されるように偏平球空孔8と内部に隙間空間10を有する中空三次元骨格9´とからなり、内部に隙間空間10を有する中空三次元骨格9´は耐熱金属層(例えば、ステンレス鋼層、ニッケル層またはクロムを含むニッケル基合金層)11とこの耐熱金属層11の表面を銀または銀合金層12で積層した構成を有する積層体骨格で構成されており、そのために、耐熱金属層11が高温において銀または銀合金層12を補強し、固体電解質型燃料電池の長期間使用による酸素極集電体内部の偏平空孔の更なる変形とガスの流れの減少を一層防止することができる、という知見を得たのである。
【0010】
したがって、この発明は、
(2)偏平球空孔と中空三次元骨格とからなる固体電解質型燃料電池の板状多孔質酸素極集電体であって、
前記板状多孔質酸素極集電体における中空三次元骨格は、内部に隙間空間を有しかつ耐熱金属層および銀または銀合金層からなる積層体骨格で構成されており、
前記板状多孔質酸素極集電体における偏平球空孔は、最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bが0.2〜0.7の範囲内に有りかつ最大直径bの平均値が80〜800μmの範囲内にあり、さらに偏平球空孔の最大直径方向が板状多孔質酸素極集電体の厚さ方向に対して直角になるように揃っている固体電解質型燃料電池の酸素極集電体、に特徴を有するものである。
【0011】
この発明の前記(2)記載の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体を製造するには、固体電解質型燃料電池の酸素極集電体は、通常のポリウレタンフォームなどの合成樹脂多孔質体を二次元的に等方向に引張ながらまたは一方向に圧縮しながら合成樹脂多孔質体内部の球空孔を偏平させ、かかる空孔を偏平させた状態で空孔内面にまず耐熱金属層を形成し、その後、合成樹脂多孔質体を燃焼除去して耐熱金属からなり偏平球空孔を有する多孔質体を作製し、この耐熱金属からなり偏平球空孔を有する多孔質体の表面に、銀または銀合金の電気メッキ層または塗布層を形成することにより製造する。
【0012】
前記銀合金層9を構成する銀合金は、融点:600℃以上の銀合金を使用することが好ましく、前記融点:600℃以上の銀合金は、Cu,Zn,Cd,Ni,Sn,Au,Pt,Pd,IrおよびRhの内の1種または2種以上を合計で40質量%以下を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成の銀合金である。銀合金に含まれるCu,Zn,Cd,Ni,Sn,Au,Pt,Pd,IrおよびRhの内の1種または2種以上を合計で40質量%以下に限定した理由は、これら成分が40質量%を越えて含有するとAgの持つ触媒作用が低下するので好ましくないからである。
また、前記耐熱金属層は、NiもしくはNi基合金、FeもしくはFe基合金、またはCoもしくはCo合金であることが好ましく、具体的なNiもしくはNi基合金として純Ni,インコネル600、ハステロイC−22、ヘインズアロイ214など、FeもしくはFe基合金として純Fe、炭素鋼、ステンレス鋼、エスイット鋼など、CoもしくはCo合金としてヘインズアロイ188(例えば、Ni:22%,Cr:22W:14.5%,Fe:1.5%を含有し、残部がCoおよび不可避不純物)、ULTETなどの耐熱金属からなる層であることが好ましいが、これら金属の中でもSUS430(例えば、成分組成、Cr:17%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物)、SUS304(例えば、成分組成、Ni:9.3%、Cr:18.4%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物)、SUS304などのステンレス鋼およびCrを含むニッケル基合金[例えば、Ni−10%Cr合金、INCONEL600(Cr:15.5%、Fe:7%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物))であることが最も簡単に入手しやすいので好ましい。
【0013】
この発明における固体電解質型燃料電池の酸素極集電体の偏平球空孔の偏平率をa/bが0.2〜0.7の範囲内にしたのは、偏平率:a/bが0.2未満では面方向のガスの流れが不均一になるので好ましくなく、一方、偏平率:a/bが0.7を越えると、長時間の発電で集電体がわずかではあるが徐々に圧縮変形してその割合が大きくなり、スタック全体での変位(変形)量が大きくなって、他の部位に悪影響を及ぼす恐れがあるので好ましくないことによるものである。
さらに、最大直径bの平均値が80〜800μmの範囲内にしたのは、最大直径bの平均値が80μm未満になると、ガスが流れにくい部分が生じて面方向のガスの流れが不均一になり、また動作温度で焼結反応が進んで緻密化するので好ましくなく、一方、800μmを越えると、圧損が小さくなり過ぎてガスの渦が生じ、面方向のガスの流れが不均一になるので好ましくないことによるものである。
そして、この発明の固体電解質型燃料電池における酸素極集電体の気孔率は60〜97%あれば十分である。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の固体酸化物燃料電池の酸素極集電体を実施例により具体的に説明する。
実施例1
球空孔を有するポリウレタンフォームを用意し、このポリウレタンフォームをカーボン懸濁液に浸漬してその球空孔内面にカーボンを塗布して導電性を付与し、この球空孔内面にカーボンを塗布したポリウレタンフォームを二次元的に等方向に引っ張りながら、電気メッキ法で厚さ20μmのAg層を形成し、このAg電気メッキしたポリウレタンフォームを、酸化雰囲気中、温度:550℃に加熱してポリウレタンフォームおよびカーボンを燃焼除去し、偏平球空孔と内部に隙間空間を有しかつ銀からなる中空三次元骨格とで構成された多孔質体を作製した。さらにこの多孔質体をスキンパス圧延して厚さを10〜30%減少させることによって、偏平球空孔の扁平率(最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bと定義する)が表1に示される値となる空孔径の異なった厚さ:1.1mm、直径:120mmの寸法を有する円板状の本発明酸素極集電体1〜6および比較酸素極集電体1〜3を作製した。
さらに比較のために、実施例1で用意した球空孔を有するポリウレタンフォームを使用し、このポリウレタンフォームをカーボン懸濁液に浸漬してその球空孔内面にカーボンを塗布して導電性を付与し、これにそのまま電気メッキ法により厚さ:20μmのAg層を形成し、このAg電気メッキしたポリウレタンフォームを、酸化雰囲気中、温度:550℃に加熱してポリウレタンフォームおよびカーボンを燃焼除去することにより表1に示される偏平率を有する板状の従来酸素極集電体1を作製した。得られた本発明酸素極集電体1〜6、比較酸素極集電体1〜3および従来酸素極集電体1の空孔率、空孔の長径の平均値、扁平率を測定し、その結果を表1に示した。
【0015】
これら本発明酸素極集電体1〜6、比較酸素極集電体1〜3および従来酸素極集電体1を組み込んだ固体電解質型燃料電池を想定して本発明酸素極集電体1〜6、比較酸素極集電体1〜3および従来酸素極集電体1に20g/cm2の重りを載せ、酸素極集電体に空気を2L/min流通したときの背圧を測定し、その後、固体電解質型燃料電池の作動を想定して酸素極集電体を900℃に100時間加熱保持したのち、再び酸素極集電体に空気を流通したときの背圧を測定し、100時間加熱後の背圧と加熱前の背圧の差(以下、背圧差という)を測定し、その結果を表1に示すことにより酸素極集電体の耐久性を評価した。
【0016】
【表1】
【0017】
表1に示される結果から、本発明酸素極集電体1〜6は従来酸素極集電体1に比べて背圧差が小さいところから、本発明酸素極集電体1〜6は従来酸素極集電体1に比べて固体電解質型燃料電池としての酸素極集電体の耐久性に優れていることが分かる。しかし、比較酸素極集電体1〜3は背圧が上昇するので固体電解質型燃料電池の酸素極集電体として好ましくない特性が現れることが分かる。
【0018】
実施例2
ステンレス粉末として平均粒径10μmのSUS304粉末を用意し、ステンレス粉末をそれぞれメチルセルローズ系樹脂水溶液とともに混錬してスラリー状とした。このようにして作製したステンレス粉スラリーを実施例1で用意した前記ポリウレタンフォームに含浸して前記ポリウレタンフォームの骨格に塗布し、乾燥後、アルミナ焼結体からなるセッターを載せて弱い過重をかけつつ、水素気流中、温度1200℃で30分間保持して焼成することにより、偏平球空孔と内部に隙間空間を有しかつステンレス鋼からなる中空三次元骨格とで構成されたステンレス多孔質体を作製した。このステンレス多孔質体にさらに銀メッキを施すことにより積層体骨格を有するステンレス−銀多孔質体を作製した。ステンレス−銀多孔質体をスキンパス圧延して厚さを10〜30%減少させることによって、空孔の扁平率(最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bと定義する)および空孔径が異なる板状の本発明酸素極集電体7〜12および比較酸素極集電体4〜6を作製した。得られた本発明酸素極集電体7〜12、比較酸素極集電体4〜6の空孔率、空孔の長径の平均値、扁平率を測定し、その結果を表2に示した。
【0019】
さらに、本発明酸素極集電体7〜12および比較酸素極集電体4〜6を組み込んだ固体電解質型燃料電池を想定して本発明酸素極集電体7〜12および比較酸素極集電体4〜6に20g/cm2の重りを載せ、酸素極集電体に空気を流通したときの背圧を測定し、その後、固体電解質型燃料電池の作動を想定して酸素極集電体を910℃に100時間加熱保持したのち、再び酸素極集電体に空気を流通したときの背圧を測定し、100時間加熱後の背圧と加熱前の背圧差を測定し、その結果を表2に示すことにより酸素極集電体の耐久性を評価した。
【0020】
【表2】
【0021】
表2に示される結果から、本発明酸素極集電体7〜12は実施例1で作製した従来酸素極集電体1に比べて背圧差が小さいところから、本発明酸素極集電体7〜12は従来酸素極集電体1に比べて固体電解質型燃料電池としての酸素極集電体の耐久性に優れていることが分かる。しかし、比較酸素極集電体4〜6は背圧が上昇するので固体電解質型燃料電池の酸素極集電体として好ましくない特性が現れることが分かる。
【0022】
実施例3
Crを含むニッケル基合金粉末として平均粒径:10μmを有し、Cr:20質量%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなるインコネル600相当の合金粉末を用意し、このインコネル600相当の合金粉末を用いて実施例2と同様に成形し、焼成してニッケル基合金多孔質体を製造した。次いで、前記ニッケル基合金多孔質体に銀めっきを施し、さらに得られた銀多孔質体をスキンパス圧延して厚さを10〜30%減少させることにより、空孔の扁平率が異なるこのニッケル基合金多孔質体にさらに銀メッキを施すことにより複合骨格を有するニッケル基合金−銀多孔質体を作製した。ニッケル基合金−銀多孔質体をスキンパス圧延して厚さを10〜30%減少させることによって、空孔の扁平率(最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bと定義する)および空孔径が異なる板状の本発明酸素極集電体12〜18および比較酸素極集電体7〜9を作製した。得られた本発明酸素極集電体12〜18、比較酸素極集電体7〜9の空孔率、空孔の長径の平均値、扁平率を測定し、その結果を表3に示した。
【0023】
さらに、本発明酸素極集電体7〜12および比較酸素極集電体7〜9を組み込んだ固体電解質型燃料電池を想定して本発明酸素極集電体7〜14および比較酸素極集電体7〜9に20g/cm2の重りを載せ、酸素極集電体に空気を流通したときの背圧を測定し、その後、固体電解質型燃料電池の作動を想定して酸素極集電体を920℃に100時間加熱保持したのち、再び酸素極集電体に空気を流通したときの背圧を測定し、100時間加熱後の背圧と加熱前の背圧差を測定し、その結果を表3に示すことにより酸素極集電体の耐久性を評価した。
【0024】
【表3】
【0025】
表3に示される結果から、本発明酸素極集電体13〜18は実施例1で作製した従来酸素極集電体1に比べて背圧差が小さいところから、本発明酸素極集電体13〜18は従来酸素極集電体1に比べて固体電解質型燃料電池としての酸素極集電体の耐久性に優れていることが分かる。しかし、比較酸素極集電体7〜9は背圧が上昇するので固体電解質型燃料電池の酸素極集電体として好ましくない特性が現れることが分かる。
【0026】
【発明の効果】
表1〜3に示すように、この発明の固体酸化物形燃料電池の酸素極集電材料は、長時間作動させても空気を流通したときの背圧が小さいところから、、長期に亘って高効率で安定な性能を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体を説明するための一部断面平面図である。
【図2】この発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体を説明するための一部断面側面図である。
【図3】この発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体を説明するための一部断面平面図である。
【図4】この発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体を説明するための一部断面側面図である。
【図5】この発明の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体における偏平球空孔を説明するための説明図である。
【図6】固体電解質型燃料電池の構造を説明するための断面概略図である。
【符号の説明】
1 酸素極集電体
2 燃料極集電体
3 電解質
4 セパレータ
5 セパレータ
6 空気導入口
7 燃料導入口
8 偏平球空孔
9 中空三次元骨格
9´ 中空三次元骨格
10 隙間空間
11 耐熱金属層
12 銀または銀合金層
Claims (4)
- 偏平球空孔と中空三次元骨格とからなる固体電解質型燃料電池の板状多孔質酸素極集電体であって、
前記板状多孔質酸素極集電体における中空三次元骨格は内部に隙間空間を有し、かつ銀、またはCu,Zn,Cd,Ni,Sn,Au,Pt,Pd,IrおよびRhの内の1種または2種以上を合計で40質量%以下を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成を有する融点が600℃以上の銀合金からなり、
前記偏平球空孔は、最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bが0.2〜0.7の範囲内に有り、かつ最大直径bの平均値が80〜800μmの範囲内にあることを特徴とする固体電解質型燃料電池の酸素極集電体。 - 偏平球空孔と中空三次元骨格とからなる固体電解質型燃料電池の板状多孔質酸素極集電体であって、
前記板状多孔質酸素極集電体における中空三次元骨格は、内部に隙間空間を有し、かつNiもしくはNi基合金、FeもしくはFe基合金、またはCoもしくはCo合金からなる耐熱金属層と、銀、またはCu,Zn,Cd,Ni,Sn,Au,Pt,Pd,IrおよびRhの内の1種または2種以上を合計で40質量%以下を含有し、残部がAgおよび不可避不純物からなる組成を有する融点が600℃以上の銀合金層からなる積層体骨格で構成されており、
前記板状多孔質酸素極集電体における偏平球空孔は、最小直径をa、最大直径をbとすると、偏平率:a/bが0.2〜0.7の範囲内に有り、かつ最大直径bの平均値が80〜800μmの範囲内にあることを特徴とする固体電解質型燃料電池の酸素極集電体。 - 前記耐熱金属は、ステンレス鋼、ニッケル、クロムを含むニッケル基合金であることを特徴とする請求項2記載の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体。
- 前記板状多孔質酸素極集電体を構成する偏平球空孔は、偏平球空孔の最大直径方向が酸素極集電体の厚さ方向に対して直角方向に揃っていることを特徴とする請求項1、2または3記載の固体電解質型燃料電池の酸素極集電体。
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