JP4866657B2 - 合成樹脂製パレット - Google Patents
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この種の合成樹脂製パレットは略四角形箱状に形成され、互いに平行に配置された上面板状部(上面デッキプレート)及び下面板状部(下面デッキプレート)と、上面板状部及び下面板状部を連結する複数の桁部とから概略構成されている。
桁部は、四方差しパレットの場合には対向する上面及び下面板状部の4つのコーナー部と、各側面における隣り合うコーナー部間の中間部、上面及び下面板状部の中央部とにそれぞれ配設されている。そして、この合成樹脂製パレットの四辺をなす各側面には両側コーナー部の桁部と中間部の桁部との間にフォークの挿入孔を形成する一対の挿通孔がそれぞれ設けられ、これら挿通孔はフォークリフトやパレットトラックのフォークが挿入される。
そして対向する側面の各挿入孔が互いに連通しており、これら挿入孔は平面視で井桁形状に連通して四方差しのパレットを構成している。また、合成樹脂製パレットの下面板状部には、例えばパレットトラックが二本の挿通孔に挿入される際に、フォークの先端に取り付けられた車輪が落ち込むための車輪用孔が各2ヶ所に設けられている。
繰り返し使用する通常のパレットは二方差しや四方差しのいずれの場合でも、例えば10kg前後の重量を有しており、座屈強度(破壊荷重)として動荷重で1トン程度、静荷重で2トン程度以下の荷重に耐え得るようになっている。他方、1ウエイパレットは軽量化によるコスト低減のために重量は通常のパレットより小さく(例えば6kg前後)抑えられている。
例えば、1ウエイパレットが溶着接合構造の場合、射出成形等によって上面板状部及び上部桁部からなる上部パートと下面板状部及び下部桁部からなる下部パートとが別個に製造され、各桁部同士を対向させた状態で加熱溶着によって接合している。この場合、軽量化・低コスト化のためにパレットを構成する各リブ等の肉厚を比較的小さくすると、溶着構造の1ウエイパレットは溶着部分の座屈強度が比較的小さいために物品の積載荷重によって亀裂が入り易く座屈し易いという欠点がある。
また桁部の溶着部には溶着バリが突出形成されて見栄えが悪かった。この溶着バリを切除すると工程数が増えて製造コストが増大する欠点が生じる。これを防ぐために桁部の溶着部に凹部を形成し、溶着バリが凹部内に収容されて外部に突出しないようにしたものもあるが、この場合には溶着部における凹部の強度が比較的小さくなるために応力集中が起こり、一層座屈を生じ易いという欠点が発生する。
また1ウエイパレットが一体成形構造である場合には、溶着部がないために接合部での座屈強度の低下を生じないが、この場合でも軽量化・低コスト化のために合成樹脂の使用量を低減させると座屈強度が低下するという欠点を改善できなかった。
本発明によれば、合成樹脂製パレットの側面部に配設された桁部の外壁に開口部が形成されているために合成樹脂の使用量が低減し軽量化と製造コストの低減を達成でき、しかも側面部に設けた桁部の外壁は合成樹脂製パレットの外側端縁に位置するため物品荷重があまりかからず、強度低下の影響が小さいから座屈を生じ難い。
対角補強板によって桁部の強度を補強できるため、交差する二つの外壁にそれぞれ開口部を設けても桁部や合成樹脂製パレットの座屈強度を向上できる。なお、対角補強板に開口を設けてもよく、この場合には強度低下を抑えてより軽量化できる。
また、側面部の各コーナー部に位置する桁部は、外壁に対向する内壁が設けられた略角筒状とされ、内壁から外壁方向に向けて補強板が設けられていることが好ましく、これによって、桁部の内側の強度を補強できるため、物品の荷重がかかっても高い座屈強度を確保できる。この場合、補強板は対角補強板または外壁に連結されていることが好ましく、また補強板には開口部が設けられていてもいなくてもよい。
また、外壁に形成された開口部は仕切板によって分割されていてもよく、仕切板によって桁部の外壁、合成樹脂製パレットの外側縁部を補強できる。
更に、本発明による合成樹脂製パレットは一体成形によって形成されてなることが好ましく、軽量化しても溶着接合構造によるパレットのように桁部の溶着部で座屈し易いという欠点が生じない。
なお、側面部に設けた桁部としてコーナー部の隅桁部、同一側面部における二つの隅桁部間の中間桁部が含まれており、桁部の圧縮強度は隅角部と中間桁部とで担うために、これら両桁部の重量を軽減しつつ強度を向上させることで高い座屈強度が得られる。
図1及び図2に示す実施例による合成樹脂製パレット1は全体として四角形、例えば略正方形の箱形を呈しており、合成樹脂製パレット1の上面部を形成する上面板状部(上面デッキプレート)2と、裏面部を形成する下面板状部(下面デッキプレート)3と、上面板状部2および下面板状部3にそれぞれ設けられた複数の桁部4とを有している。上面板状部2と下面板状部3は対向して概略平行に配設され、上面板状部2及び下面板状部3間の四辺の領域はそれぞれ側面部5を構成する。
そして、対向する二側面部5、5における桁部4a、4b間に設けた各一対のフォーク挿入孔7、7は互いに連通する挿通孔8、8を構成する。そのため挿通孔8,8は、各側面部5における一対のフォーク挿通孔7,7からフォークリフトやパレットトラックのフォークを挿入するための2列の空間として平行に形成されている。そのため、各二列の挿通孔8、8は互いに略直交して連通し、平面視で略井桁形状を構成している。
また、下面板状部3は、各桁部4a〜4cの下端に連結されていて略田の字形状をなす格子状の桟部12と、桟部12で仕切られた四つの開口である車輪用孔13とで構成されている。車輪用孔13は、フォーク挿入孔7,7から挿入されるパレットトラックの車輪が落ち込むための開口である。図に示す例では、車輪用孔13は各一対の挿通孔8、8の長手方向に沿ってそれぞれ2個づつ所定間隔で設けられている。
なお、合成樹脂製パレット1は、全体に例えばポリプロピレン等の合成樹脂からなる。また、これら合成樹脂全量がバージン材で形成されていてもよいし、内部にリサイクル材としての合成樹脂を混入していてもよい。
上述のように上面板状部2及び下面板状部3は全体にそれぞれ大小の中空部を有する格子状に形成されている。
図6及び図7に示すように、各コーナー部6Aの隅桁部4aは略角筒状、例えば略四角筒形状に形成され、側面部5の領域において隅桁部4aの互いに略直交する二つの外壁14、14は略四角形の開口部15、15が穿孔されており、その周囲の四辺がリブ14a、14bを構成する枠形状を有している。隅桁部4aの外壁14、14から開口部15、15を切除することで、隅桁部4aの重量を軽減して製造コストを低減できる。
更に隅桁部4aの互いに略直交する二つの内壁16、16は開口部を設けない板状の壁面を構成し、高い強度を備えてパレット1に曲げ剛性を付与している。外壁14,14で形成する角部と内壁16,16で形成する角部とを結ぶ対角線方向には板状の対角補強板17が設けられており、対角補強板17には図8に示すように第二開口部18が穿孔されている。この第二開口部18は対角補強板17の対角方向両端近傍まで延びており、これによってパレット1の各コーナー部6Aの強度を補強すると共に重量の増大を抑えている。
また、各内壁16、16には各内壁16に略直交する方向に複数(1枚でもよい)の第一補強板20、20が所定間隔で略平行に連結されている。しかも、各第一補強板20は外壁14側に開口する略四角形の切り欠け部21によって内側が切除されているために平面視略コ字状に形成されており、その他端は外壁14のリブ14a、14aに接続されている。二面の内壁16、16から突出する各第一補強板20,…は対角補強板17で互いに略直交して相互に連結され、平面視で格子状とされている。
隅桁部4aの各第一補強板20も切り欠け部21を切除することで、強度を補強すると共に隅桁部4aの重量を軽減できる。
外壁23に対向する内壁25bには複数の第四補強板27a、27bが切り欠け部28a、28bを有する平面視略コ字状の設けられている。中央の第四補強板27aは図9に示すように内壁25bから外壁23のリブ23a、23aに延びて連結され、その両側の第四補強板27b、27bは第三補強板26に延びて連結されている。
また、中央桁部4cは例えば略四角筒形状に形成され、その四つの内壁は開口のない板状に形成されている。中央桁部4c内には互いに直交する格子状壁面が配設され、これら格子状壁面は他の壁面との連結部を除いて上下方向に略長方形の貫通孔が穿孔されている。
なお、中間桁部4bの外壁23に関し、外壁23の縦寸法をa′、横寸法をb′としてその面積をA′(=a′×b′)とした場合(図4参照)、外壁23に対する開口部24の面積比は隅桁部4aと同様に50%〜80%の範囲に設定し、好ましくは面積比65%〜75%とする。この範囲で中間桁部4bの座屈と軽量化のバランスがとれる。
また、中間桁部4bにおいても、外壁23に開口部24を設けて重量を軽減し、更に中間桁部4bの内部に格子状をなす第三補強板26及び第四補強板27a、27bを設けると共にこれらに第三開口部26a、切り欠け部28a、28bを穿孔することで、重量を抑制しつつ強度を補強でき、座屈を防止できる。
これに対し、本実施例による合成樹脂製パレット1は一体成形で製造し、積載する物品の荷重がかかりにくい各桁部4a、4bの外側部分である外壁14、23に開口部15,24を形成して軽量化し、各桁部4a、4bの内側部分である内壁16,25a、25bに開口部を設けないことと対角補強板17等で強度と曲げ剛性を確保した。これによってパレット1の軽量化と高い座屈強度を同時に達成でき、しかも低廉で1ウエイパレットとしても用いることができる。
図10乃至図14に示す本実施例による合成樹脂製パレット30において、各コーナー部6Aの隅桁部4aは外壁14の開口部41a、41bは仕切板42によって複数、例えば2つに分割されており、外壁14,14の角部と内壁16、16の角部とを連結する対角補強板43には開口は設けられていない。更に各内壁16に直交する方向には複数(図では2枚)の第五補強板44、44がそれぞれ形成されて対角補強板43に連結されている。各第五補強板44、44にはそれぞれ第五開口部46、46が穿孔され、重量を軽減しつつ強度を補強している。
また、中間桁部4bは例えば略四角筒形状に形成され、中間桁部4bの外壁23には二つの開口部49a、49bが形成され、周囲にリブ23a、23bが枠状に形成されている。中間桁部4bの他の三つの内壁25a、25b,25aには開口部は設けられておらず、外壁23に略直交する二つの内壁25a、25a間にはそれぞれ第六開口部50aを設けた複数(図では2枚)の第六補強板50、…が所定間隔で平行に連結されている。
また、外壁23に対向する内壁25bには切り欠けや開口のない板状をなす複数の第二仕切板51a、第三仕切板51bが設けられている。中央の第二仕切板51aは二枚の第六補強板50,50に直交してリブ23a、23aに連結され、外壁23の開口を二つの開口部49a、49bに分けている。第二仕切板51aの両側に位置する第三仕切板51b、51bは第六補強板50に連結されている。
第一実施例による合成樹脂パレット1を実施例1、第二実施例によるものを実施例2、出願人の既存物品として桁部に開口部を設けないもの(商品名EXA−1111)を比較例1、上述の従来技術で説明した他社物品による溶着接合構造の合成樹脂パレットを比較例2とした。
各パレットの材質は100%バージン樹脂によるポリプロピレンであり、全体重量は実施例1、2が6.0kg、比較例1が7.3kg、比較例2が5.9kgである。各パレットは片面四方差し構造とし、寸法は1100(縦)×1100(横)×120(高さ)(mm)とした。また、各実施例1,2、比較例1,2において、それぞれの隅桁部の外形寸法を195×195(mm)、中間桁部の外形寸法を195×190(mm)とし、隅桁部と中間桁部の各リブの肉厚を2.5mmとした。
なお、実施例1における隅桁部4aの第一補強壁20の平面視における内壁16から切り欠け部21までの長さを27.5mm、対角補強板17の外壁14,14の角部から第二開口部18までの長さを35mm、同じく内壁16,16の角部から第二開口部18までの長さを23mmとする。中間桁部4bにおける各第三補強板26の内壁25aから第三開口26aまでの長さを27.5mm、第四補強板27a、27bの内壁25bから切り欠け部28a、28bまでの長さを27.5mmとした。
実施例2における隅桁部4aの対角補強板43には開口部はなく、第五補強壁44の平面視における内壁16から切り欠け部46までの長さを10.5mmとする。開口部41a、41bの仕切板42の寸法は120×50mmとした。中間桁部4bにおける各第六補強板50の各内壁25aから第六開口部50aまでの長さを10.5mm、第二、第三仕切板51a、51bは開口部がない。
試験結果はコーナー部の隅桁部の各測定値の平均値をとった。得られた座屈強度(耐圧荷重)は、実施例1で2.5t(トン)、実施例2で2.3t、比較例1で3.3t、比較例2で2.1tであった。
試験結果から、座屈強度は実施例1,2がいずれも比較例2より高く、比較例1より小さかった。重量は既存物品である比較例1が大きく、実施例1、2、比較例2はほぼ同等であった。
本発明による合成樹脂パレットは必ずしも1ウエイパレットでなくてもよく、再使用可能な合成樹脂パレットとしても使用できる。
2 上面板状部
3 下面板状部
4、4a 桁部
4b 中間桁部
4c 中央桁部
5 側面部
6A コーナー部
7 フォーク挿入孔(挿入孔)
14、23 外壁
15、24、41a、41b、49a、49b 開口部
16、25a、25b 内壁
17、43 対角補強板
18 第二開口部
20 第一補強板
21、28a、28b 切り欠け部
26 第三補強板
27a、27b 第四補強板
42 仕切板
44 第五補強板
50 第六補強板
50a 第六開口部
51a 第二仕切板
51b 第三仕切板
Claims (4)
- 互いに対向して配置された上面板状部及び下面板状部と、前記上面板状部及び下面板状部を連結する複数の桁部と、前記上面板状部及び下面板状部の間の外側に位置する側面部における隣り合う前記桁部間を通って延びる挿入孔が形成されてなる四方差し用の合成樹脂製パレットであって、
前記側面部の各コーナー部に位置する前記桁部である隅桁部は、
四角形状の開口部を有する枠形状に形成されて互いに直交する二つの外壁と、
前記開口部と向い合う四角形状の第二開口部を有する枠形状に形成されて前記外壁の交差部から対角方向に延びる対角補強板とを有し、
前記外壁の内縁と前記対角補強板の内縁とが上面板状部及び下面板状部に沿う補強板で連結されている
一体成形によって形成されてなる合成樹脂製パレット。 - 二つの前記隅桁部に挟まれた前記桁部である中間桁部は、
四角形状の開口部を有する枠形状に形成された一つの外壁と、
前記一つの外壁に連結されて該外壁と直交する二つの内壁と、
前記一つの外壁と対向するように前記二つの内壁間を連結し、前記一つの外壁に形成された前記開口部と対向する四角形状の第三開口部を有する枠形状に形成された補強板とを有する
請求項1に記載の合成樹脂製パレット。 - 前記隅桁部における前記二つの外壁では、
該外壁の表面積に対する該外壁に形成された前記開口部の占める割合が、50%〜80%である
請求項1または2に記載の合成樹脂製パレット。 - 前記中間桁部における前記一つの外壁では、
該外壁の表面積に対する該外壁に形成された前記開口部の占める割合が、50%〜80%である
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の合成樹脂製パレット。
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