JP6496512B2 - パレット - Google Patents

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本発明は、物品の運搬等に使用されるパレットに関するものである。
一般にパレットは、物品が積載される積載面を有するデッキと、デッキから裏面側(反積載面側)に延出してデッキを支える桁部とを備える。このようなパレットでは、例えば特許文献1に開示されるように、パレットの桁部に凹部を形成し、その桁部の凹部に牽引器具を引っ掛けて人力で牽引可能としたものがある。この構成によれば、例えばトラックの荷台の奥など、フォークリフトが進入できない場所に置かれたパレットを、牽引器具を用いて人力で運ぶことができる。
特開平10−101080号公報
しかしながら、上記特許文献1のように、デッキに物品を積載したときに負荷が集中する桁部に牽引用の凹部を形成することは、パレットの耐荷重性能の確保する点で好ましくない。そこで、桁部ではなくデッキに牽引器具を引っ掛けてパレットを牽引することを考えると、例えば合成樹脂製のパレットのデッキには、一般に補強用の格子状リブが形成されているため、そのリブに牽引器具を引っ掛けてパレットを牽引することが可能である。しかしながら、牽引時の負荷によってリブが破損してしまった場合、その破損部位でデッキの剛性が低下してしまう問題がある。更に、リブ同士の間隔が狭いと牽引器具をリブに引っ掛けにくいという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、デッキの剛性の低下を抑制しつつ、デッキの格子状リブに牽引器具を係止させやすくすることが可能なパレットを提供することにある。
上記課題を解決するパレットは、積載面を有し補強用の格子状リブが形成された略矩形状のデッキと、前記デッキから前記積載面と垂直に延びる複数の桁部とを備え、パレット外側面における前記桁部間にフォーク差込口が構成されたパレットであって、前記格子状リブは、前記フォーク差込口を構成する前記桁部間を繋ぐように形成され、牽引器具が係止される被係止部を有する桁間リブと、前記桁間リブの前記被係止部に対してデッキ中央側で相対し、前記積載面を基準とする垂直方向幅が前記被係止部よりも小さく形成された背低リブとを備えている。
この構成によれば、パレットを人力で牽引するための牽引器具が係止される被係止部を、デッキに形成された格子状リブの中で剛性の高い桁間リブに設けることで、牽引器具による牽引時の負荷によって被係止部が破損することを抑制することができる。その結果、桁間リブの被係止部が破損することによるデッキの剛性低下を抑制することができる。更に、桁間リブの被係止部に対してデッキ中央側で相対するリブは、積載面に対する垂直方向幅が被係止部よりも小さく形成された背低リブである。つまり、被係止部とデッキ中央側で相対するリブの高さ(積載面を基準とした高さ)を低くすることで、牽引器具をデッキ裏面側から被係止部に係止させやすくしつつも、該被係止部と相対するリブを背低リブとして残すことでデッキの剛性の低下を抑制することが可能となる。
上記パレットにおいて、前記桁部は、前記デッキの少なくとも四隅と対応する位置に形成された隅桁と、該隅桁間に形成された中間桁とを有し、前記桁間リブは、前記フォーク差込口を構成する前記隅桁と前記中間桁とを繋ぐように形成され、前記桁間リブの前記被係止部は、前記中間桁の両側に一対設けられていることが好ましい。
この構成によれば、桁間リブの被係止部が一対設けられるため、牽引時に掛かる負荷を2点で受けることが可能となり、その結果、牽引時の負荷によって被係止部が破損することをより一層抑制することができる。また、中間桁を挟んだ2点の被係止部に牽引器具を引っ掛けて牽引することが可能となるため、パレットを安定して牽引することが可能となる。
上記パレットにおいて、前記桁間リブの前記被係止部は、前記桁部と直接繋がっていることが好ましい。
この構成によれば、桁間リブにおける桁部と直接繋がる部位(桁部の直近の部位)に被係止部が設けられるため、被係止部の剛性をより好適に確保することができ、牽引器具による牽引時の負荷によって被係止部が破損することをより一層抑制することができる。
上記パレットにおいて、前記背低リブにおける前記被係止部とは反対側の側部には、前記被係止部側に向かうにつれて前記積載面から離間するように傾斜する傾斜面が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、牽引器具をデッキ裏面側(反積載面側)から被係止部に引っ掛ける際に、牽引器具が背低リブに当たってしまっても該背低リブの傾斜面によって背低リブで引っ掛かることを回避することができる。このため、牽引器具を被係止部に対してスムーズに係止させることができる。
上記パレットにおいて、前記桁間リブの前記被係止部と前記背低リブとの間には、それらを繋ぐ連結リブが形成され、該連結リブは、前記積載面を基準とする垂直方向幅が前記背低リブと等しい、若しくは前記背低リブよりも小さく設定されていることが好ましい。
この構成によれば、被係止部と背低リブとを繋ぐ連結リブによってデッキにおける背低リブが形成された部位が補強される。このため、被係止部に対してデッキ中央側で相対するリブを背低リブとしたことによるデッキの剛性の低下をより一層抑えることができる。また、被係止部と背低リブとを繋ぐ連結リブは、積載面に対する垂直方向幅(積載面を基準とした高さ)が背低リブと等しい、若しくは背低リブよりも小さく設定されるため、牽引器具をデッキ裏面側から被係止部に引っ掛ける際に、牽引器具が連結リブに引っ掛かってしまうことを防止することができる。
上記パレットにおいて、前記フォーク差込口を構成する前記桁部間を繋ぐ前記デッキの桁間連結部には、前記デッキの外周縁から前記桁間リブの反積載面側の端部まで延びる平板状の底壁部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、デッキの外周側から桁部間のフォーク差込口に牽引器具を挿入する際に、該牽引器具が桁間リブの外周縁側の面に引っ掛かってしまうことなく、桁間リブ(被係止部)のデッキ中央側にスムーズに案内することができる。
上記パレットにおいて、前記デッキには、前記被係止部の位置を示す、前記積載面側から目視可能な目印部が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、牽引器具を係止させる被係止部の場所を目印部によってデッキの積載面側(表面側)から把握することができるため、牽引器具をデッキ裏面側から被係止部に係止させる際の作業性を向上させることができる。
本発明のパレットによれば、デッキの剛性の低下を抑制しつつ、デッキの格子状リブに牽引器具を係止させやすくすることが可能となる。
(a)は、実施形態のパレットの斜視図であり、(b)は、同図(a)の一部を拡大して示す拡大斜視図である。 (a)は、パレット構成体を裏面側から見た斜視図であり、(b)は、同図(a)の一部を拡大して示す拡大斜視図である。 (a)は、図1(a)の3−3線断面図であり、(b)は、図3(a)の一部を拡大して示す拡大断面図である。 牽引器具によるパレットの牽引態様を示す模式図である。 (a)は、別例のパレットの平面図であり、(b)は、同図(a)の一部を拡大して示す拡大平面図である。 同別例のパレット構成体において裏面側から見た要部を拡大して示す拡大斜視図である。
以下、パレットの一実施形態について説明する。
図1(a)に示す本実施形態のパレット10は、全体として略矩形状の箱形をなし、互いに同一形状をなす一対のパレット構成体11(図2(a)参照)を例えば熱溶着にて貼り合わせて構成される。なお、以下では説明の便宜上、図中の互いに直交するX、Y、Zの三方向をそれぞれ、前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zとして説明する。
図1(a)及び図2(a)に示すように、パレット構成体11は合成樹脂よりなり、上下方向Zと直交する平面状の積載面12を有する略矩形状のデッキ13と、該デッキ13から上下方向Zに沿って裏面側(積載面12とは反対側)に延びる複数の桁部14とを備えている。デッキ13は、上下方向Zに開放した複数の孔を有する網目構造をなしている。この一対のパレット構成体11の桁部14同士を向かい合わせて例えば熱溶着することで、パレット構成体11同士が貼り合わされてパレット10が形成される。
図2(a)に示すように、パレット構成体11の桁部14は、デッキ13の四隅にそれぞれ形成された隅桁21と、隅桁21の左右方向Y間に形成された一対の第1中間桁22と、隅桁21の前後方向X間に形成された一対の第2中間桁23と、デッキ13の中央位置に形成された中央桁24とからなる。各第1中間桁22は、デッキ13の左右方向Yの中心部に形成され、各第2中間桁23は、デッキ13の前後方向Xの中央部に形成されている。また、パレット構成体11のデッキ13は、各第1中間桁22とそれらの両隣の隅桁21とをそれぞれ繋ぐ第1桁間連結部25と、各第2中間桁23とそれらの両隣の隅桁21とをそれぞれ繋ぐ第2桁間連結部26とを備えている。
図1(a)に示すように、一対のパレット構成体11が貼り合わされてパレット10を構成する状態において、互いに向かい合う一対の第1桁間連結部25、第1中間桁22及び隅桁21が第1フォーク差込口27を構成している。同様に、互いに向かい合う一対の第2桁間連結部26、第2中間桁23及び隅桁21が第2フォーク差込口28を構成している。これにより、パレット10は、前後方向Xに開口する第1フォーク差込口27と、左右方向Yに開口する第2フォーク差込口28とを有する四方差しのパレットとして構成される。
図1(a)及び図2(a)に示すように、パレット構成体11のデッキ13には、前後方向X及び左右方向Yに沿った補強用の格子状リブ31が形成され、この格子状リブ31によってデッキ13の剛性が確保されている。詳しくは、格子状リブ31は、前後方向Xに沿って形成された複数の前後リブ32と、左右方向Yに沿って形成された複数の左右リブ33とからなる。各前後リブ32及び各左右リブ33は、上下方向Zと平行をなす略平板状をなしている。つまり、各前後リブ32は左右方向Yに対して略垂直な平板状をなし、各左右リブ33は前後方向Xに対して略垂直な平板状をなしている。これら各前後リブ32及び各左右リブ33からなる格子状リブ31は、各第1桁間連結部25及び各第2桁間連結部26にも形成されている。
図1〜図3に示すように、各第1桁間連結部25の左右リブ33は、本実施形態では前後方向Xに並んで4本形成され、それらを外縁側のリブから順に第1〜第4桁間左右リブ34a〜34dとする。第1〜第4桁間左右リブ34a〜34dは、前後方向Xにおいて互いに略等間隔に並設されている。
第1〜第3桁間左右リブ34a〜34cは、各第1中間桁22からそれらの両隣の隅桁21まで左右方向Yに沿って形成されている。つまり、第1〜第3桁間左右リブ34a〜34cの左右両端は、第1中間桁22及び隅桁21にそれぞれ繋がっている。
図3(a),(b)に示すように、各第1桁間連結部25の裏面(積載面12と表面とした裏面)には、デッキ13の外縁部を構成する第1桁間連結部25の外側端部25aから第3桁間左右リブ34cまで広がる傾斜壁35(底壁部)が形成されている。この傾斜壁35は、上下方向Zに対して傾斜する平板状をなしている。詳しくは、傾斜壁35は、前後方向Xの内側(中央側)に向かうほどデッキ13の積載面12から離間するように傾斜している。
また、傾斜壁35は、第1〜第3桁間左右リブ34a〜34cの各下端(デッキ裏面側端部)を繋ぐように形成されている。換言すれば、第1〜第3桁間左右リブ34a〜34cは、上下方向Zにおいてデッキ13の積載面12から傾斜壁35まで延びており、それらの積載面12を基準とした上下方向Zの高さ(積載面12からの垂直方向幅)は、第1〜第3桁間左右リブ34a〜34cの順に高くなるように形成されている。
また、傾斜壁35におけるリブが形成されていない平板箇所には、該傾斜壁35を上下方向Zに貫通する水抜き孔35aが形成されている。これにより、第1桁間連結部25のリブ間に浸入した水滴等が好適に排出されるようになっている。
上記したような第1桁間連結部25の傾斜壁35は、前記第1フォーク差込口27の上下の内壁を構成している。つまり、第1フォーク差込口27は、その上下方向Zの間隔が入口側(デッキ13の外周縁側)ほど広くなるように構成されている。
図2(b)に示すように、第1桁間連結部25の第1〜第4桁間左右リブ34a〜34dのうち、最も前後方向Xの内側(中央側)に位置する第4桁間左右リブ34dは、第1中間桁22と隣接する一部分において背低部41(背低リブ)を有している。
第4桁間左右リブ34dの背低部41は、第1中間桁22の前後方向Xの内側面22aと繋がる各前後リブ32のうちの左右方向Y両端のリブ(図中、前後リブ32a)から、その前後リブ32aの隣(反第1中間桁側)の前後リブ32bまでの区間に左右方向Yに沿って直線状に形成されている。この背低部41は、積載面12を基準とした上下方向Zの高さ(積載面12からの垂直方向幅)が、第4桁間左右リブ34dにおける背低部41以外の部分(以下、背高部42とする)よりも低く設定されている。この第4桁間左右リブ34dの背高部42の上下方向Zの高さは、第3桁間左右リブ34cの上下方向Zの高さと等しく設定されている。つまり、第4桁間左右リブ34dの背低部41は、第3桁間左右リブ34cの被係止部44よりも、積載面12を基準とした上下方向Zの高さが低く形成されている。本実施形態では、背低部41の高さは、被係止部44の高さの半分以下に設定されている。
第4桁間左右リブ34dに対して前後方向Xの内側(デッキ中央側)で相対する左右リブ33(図中、左右リブ33a)は、桁間を繋ぐリブではなく、デッキ13の左右方向Y両縁間を繋ぐリブである。この左右リブ33aの上下方向Zの高さ(積載面12からの垂直方向幅)は、第4桁間左右リブ34dの背高部42及び第3桁間左右リブ34cの高さと等しく設定され、第4桁間左右リブ34dの背低部41の高さよりも高く設定されている。
第4桁間左右リブ34dの背低部41は、該背低部41よりも高さがある第3桁間左右リブ34c、左右リブ33a及び前後リブ32a,32bによって前後左右を囲われた構成となっている。そして、その背低部41を囲う第3桁間左右リブ34c、左右リブ33a及び前後リブ32a,32bは、牽引器具Pの係止部Pa(図4参照)がデッキ裏面側から挿入される挿入凹部43を構成している。また、第3桁間左右リブ34cにおける挿入凹部43を構成する部位(第1中間桁22から前後リブ32bまでの部位)は、前記牽引器具Pの係止部Paが係止される被係止部44とされる。この被係止部44は、その他の格子状リブ31よりも厚みが厚く設定されている。
図2(b)及び図3(b)に示すように、挿入凹部43内に形成された第4桁間左右リブ34dの背低部41は、背高部42よりも前後方向幅が広く形成されている。この背低部41の左右リブ33a側の側部には、被係止部44側に向かうにつれて積載面12から離間するように傾斜する傾斜面41aが形成されている。また、背低部41の被係止部44側には、背低部41と被係止部44とを繋ぐ連結リブ45が形成されている。連結リブ45は、背低部41及び被係止部44と直交するように前後方向Xに沿って形成されている。また、連結リブ45の上下方向Zの高さ(積載面12からの垂直方向幅)は、背低部41の高さと等しく形成されている。
上記の背低部41、連結リブ45及び被係止部44を含む挿入凹部43は、各第1中間桁22の左右方向Yの両脇にそれぞれ形成されている。詳しくは、連結リブ45及び被係止部44を含む挿入凹部43は、デッキ13の左右方向Yの中心に対する対称位置に形成されている。
図1(b)に示すように、各第1桁間連結部25には、被係止部44と前後方向Xに隣接して該被係止部44の位置を示す目印部46が形成されている。本実施形態では、目印部46は、第2桁間左右リブ34bと第3桁間左右リブ34cとの間であって、左右方向Yにおいて被係止部44と対応する位置に形成されている。より詳しくは、目印部46は、第2桁間左右リブ34bと前後リブ32bとの交差部位、及び第2桁間左右リブ34bと第1中間桁22との交差部位からそれぞれ被係止部44の左右方向Yの中心部にかけて斜めに形成された一対の斜めリブ46aからなる。この斜めリブ46aの三角形状を目印として挿入凹部43の位置を把握することが可能となっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
デッキ13の積載面12に物品を載置した状態で、例えば、図示しないフォークリフトのフォークを第1フォーク差込口27又は第2フォーク差込口28に挿入し、物品が載置されたデッキ13をフォークにて持ち上げることで、物品がパレット10ごと運搬されるようになっている。
一方、物品が載置されていないパレット10を人力で移動させる場合には、図4に示すような牽引器具Pを用いる。牽引器具Pの二股に分かれた各先端部には、上方に屈曲する係止部Paが設けられ、各係止部Paをパレット10の前端部又は後端部の各第1フォーク差込口27にそれぞれ挿入する。そして、デッキ13の裏面側の挿入凹部43と対応する位置で各係止部Paを上方に上げることで、各係止部Paが各挿入凹部43の被係止部44に引っ掛かり、この状態で牽引器具Pを人力で引くことによってパレット10を運搬可能となっている。各挿入凹部43(被係止部44)は、デッキ13の左右方向Yの中心に対する対称位置に形成されているため、その対称位置の2点でパレット10をバランス良く牽引することが可能となっている。
ここで、本実施形態のパレット10では、牽引器具Pの係止部Paに係止される被係止部44を、第1中間桁22と隅桁21とを繋ぐ第3桁間左右リブ34cにおいて特に剛性が高い第1中間桁22の直近部位に設定している。このため、牽引器具Pによる牽引時の負荷によって被係止部44が破損することが抑制されている。また、本実施形態では、被係止部44の厚みを、その他の格子状リブ31の厚みよりも厚く設定することで、被係止部44の更なる剛性の向上を図っている。
更に、本実施形態では、被係止部44のデッキ中央側のリブを背低部41とすることで、被係止部44のデッキ中央側のスペースが広がり、牽引器具Pの係止部Paを被係止部44に引っ掛けやすくなっている。
更に、背低部41を形成した第4桁間左右リブ34dは、第1中間桁22と隅桁21とを繋ぐ第1桁間連結部25に設けられたリブである。ここで、第1桁間連結部25は桁間を繋ぐ構成上、高い剛性が必要であるため、格子状リブ31が密に形成される一方、デッキ13において桁間に位置しない部位は、軽量化のために格子状リブ31が粗く形成されている。このため、本実施形態のように、背低部41を第1桁間連結部25のリブ(本実施形態では第4桁間左右リブ34d)に設けた場合には、桁間に位置しない格子状リブ31(例えば、左右リブ33a)に背低部41を形成した場合と比較して、デッキ13の剛性に与える影響が小さく、デッキ13の剛性の確保が容易となっている。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)デッキ13に形成された格子状リブ31は、第1フォーク差込口27を構成する桁部14間(隅桁21と第1中間桁22との間)を繋ぐように形成され、牽引器具Pの係止部Paが係止される被係止部44を有する第3桁間左右リブ34cと、被係止部44に対してデッキ中央側で相対し、積載面12を基準とする垂直方向幅が被係止部44よりも小さく形成された背低リブ(第4桁間左右リブ34dの背低部41)とを備える。この構成によれば、牽引器具Pの係止部Paが係止される被係止部44を、デッキ13の格子状リブ31の中でも剛性の高い桁間リブ(第3桁間左右リブ34c)に設けたことで、牽引器具Pによる牽引時の負荷で被係止部44が破損することを抑制することができる。その結果、第3桁間左右リブ34cの被係止部44が破損することによるデッキ13の剛性低下を抑制することができる。
更に、被係止部44に対してデッキ中央側で相対する第4桁間左右リブ34dには、積載面12を基準とする垂直方向幅が被係止部44よりも小さい背低部41を形成した。つまり、被係止部44とデッキ中央側で相対するリブの高さ(積載面12を基準とする垂直方向幅)を低くすることで、牽引器具Pをデッキ裏面側から被係止部44に係止させやすくしつつも、第4桁間左右リブ34dにおいて背低部41を残すことでデッキ13の剛性の低下を抑制することができる。
(2)第3桁間左右リブ34cの被係止部44は、第1中間桁22の両側に一対設けられるため、牽引時に掛かる負荷を2点で受けることが可能となり、その結果、牽引時の負荷によって被係止部44が破損することをより一層抑制することができる。また、第1中間桁22を挟んだ2点の被係止部44に牽引器具Pを引っ掛けて牽引することが可能となるため、パレット10を安定して牽引することが可能となる。
(3)第3桁間左右リブ34cにおける第1中間桁22と直接繋がる部位(第1中間桁22の直近の部位)に被係止部44が設けられるため、被係止部44の剛性をより好適に確保することができ、牽引時の負荷によって被係止部44が破損することをより一層抑制することができる。
(4)背低部41における被係止部44とは反対側の側部には、被係止部44側に向かうにつれて積載面12から離間するように傾斜する傾斜面41aが形成される。この構成によれば、牽引器具Pの係止部Paをデッキ裏面側(反積載面12側)から被係止部44に引っ掛ける際に、係止部Paが背低部41に当たってしまっても該背低部41の傾斜面41aによって係止部Paが背低部41で止まってしまうことを防止することができる。このため、牽引器具Pを被係止部44に対してスムーズに係止させることができる。
(5)被係止部44と背低部41との間には、それらを繋ぐ連結リブ45が形成されるため、該連結リブ45によってデッキ13における背低リブが形成された部位(挿入凹部43)が補強される。このため、背低部41を形成したことによるデッキ13の剛性の低下を抑えることができる。また、連結リブ45は、積載面12を基準とする垂直方向幅(上下方向Zの高さ)が背低リブと等しく設定されるため、牽引器具Pをデッキ裏面側から被係止部44に引っ掛ける際に、牽引器具Pが連結リブ45に引っ掛かってしまうことを防止することができる。
(6)デッキ13における隅桁21と第1中間桁22とを繋ぐ第1桁間連結部25には、デッキ13の外周縁(第1桁間連結部25の外側端部25a)から第3桁間左右リブ34cの下端部(反積載面側の端部)まで延びる平板状の傾斜壁35(底壁部)が形成される。この構成によれば、デッキ13の外周側から第1フォーク差込口27に牽引器具Pの係止部Paを挿入する際に、該係止部Paが第3桁間左右リブ34cの外周縁側の面(反挿入凹部側の面)に引っ掛かってしまうことなく、被係止部44のデッキ中央側にスムーズに案内することができる。また、本実施形態では、牽引器具Pの係止部Paが第1及び第2桁間左右リブ34a,34bに引っ掛かってしまうことも傾斜壁35によって防止されている。
(7)デッキ13には、被係止部44の位置を示す、積載面12側から目視可能な目印部46が設けられる。これにより、被係止部44の場所を目印部46によってデッキ13の積載面12側(表面側)から把握することができるため、牽引器具Pの係止部Paをデッキ裏面側から被係止部44に係止させる際の作業性を向上させることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、被係止部44を平板状に形成したが、これ以外に例えば、図5(a),(b)及び図6に示すように、被係止部44をデッキ13の外周縁側に凸をなす円弧状に形成してもよい。この構成によれば、牽引器具Pの係止部Paが被係止部44に係止された状態において、係止部Paが左右方向Yにずれにくくなり、その結果、牽引器具Pによってパレット10をより安定して牽引することが可能となる。なお、同図に示すような円弧状以外に、くの字状に形成しても略同様の効果を得ることができる。
なお、図5(a),(b)及び図6に示す例では、デッキ13における背低部41、連結リブ45及び被係止部44にて区画された部位には、上下方向Zに開口する窓部51が形成されている。これにより、被係止部44に対する係止部Paの係止状態を容易に確認することができるため、係止部Paをデッキ裏面側から被係止部44に係止させる際の作業性をより一層向上させることができる。
・デッキ13に設ける被係止部44の位置を示す目印部46は、上記実施形態のような斜めリブ46aに限定されるものではなく、例えば、図5(a),(b)及び図6に示すように、デッキ13の積載面12に矢印型凹部52を目印部として形成してもよい。この矢印型凹部52は、基端がデッキ13の外周縁側を向き、矢印先端が被係止部44を向くように前後方向Xに沿って第1桁間連結部25の積載面12に形成されている。このような矢印型凹部52によっても、被係止部44の場所をデッキ13の積載面12側(表面側)から把握することができるため、牽引器具Pの係止部Paをデッキ裏面側から被係止部44に係止させる際の作業性を向上させることができる。
また、同例の矢印型凹部52や、上記実施形態の目印部46のようにデッキ13の積載面12に形成する以外に、例えば、積載面12に貼り付けた目印シール等によって被係止部44の位置を把握できるように構成してもよい。また、目印部を設ける位置は、積載面12に限定されず、例えばパレット10の外周面に設けてもよい。
・上記実施形態では、第1桁間連結部25の傾斜壁35は、上下方向Zに対して傾斜する平板状に形成されたが、これ以外に例えば、上下方向Zに対して垂直な平板状に形成してもよい。
・上記実施形態では、連結リブ45は、積載面12を基準とする垂直方向幅(上下方向Zの高さ)が背低部41と等しく設定されたが、これに特に限定されるものではなく、背低部41よりも低く設定してもよい。
・上記実施形態では、牽引器具Pの係止部Paが係止される被係止部44を第3桁間左右リブ34cに設けたが、これ以外に例えば、第1桁間左右リブ34a、第2桁間左右リブ34b、又は第4桁間左右リブ34dに設けてもよい。被係止部44を第1桁間左右リブ34aに設ける場合には、該被係止部44とデッキ中央側で相対する背低部41(背低リブ)を第2桁間左右リブ34bに形成する。また、被係止部44を第2桁間左右リブ34bに設ける場合には、該被係止部44とデッキ中央側で相対する背低部41(背低リブ)を第3桁間左右リブ34cに形成する。また、被係止部44を第4桁間左右リブ34dに設ける場合には、該被係止部44とデッキ中央側で相対する背低部41(背低リブ)を左右リブ33a(図2(b)参照)に形成する。
なお、上記実施形態では、第3桁間左右リブ34cは、積載面12を基準とする垂直方向幅(上下方向Zの高さ)が第1及び第2桁間左右リブ34a,34bよりも広いため、上記実施形態のように被係止部44を第3桁間左右リブ34cに形成することが、牽引器具Pの係止部Paを被係止部44に引っ掛ける際の作業性向上の点でより好ましい。
・上記実施形態では、背低部41、連結リブ45及び被係止部44を含む挿入凹部43を、第1中間桁22に対して左右方向Yに隣接する位置に設けたが、これに特に限定されるものではなく、第1中間桁22から左右方向Yに離間した位置に設けてもよい。また、背低部41、連結リブ45及び被係止部44を含む挿入凹部43を隅桁21と隣接する位置に設けてもよい。
被係止部44を各隅桁21と隣接させる(つまり、被係止部44を隅桁21と直接繋げて形成する)場合には、被係止部44を第1中間桁22の両脇に隣接させた上記実施形態と略同等の強度に形成することが可能である。しかしながら、被係止部44を各隅桁21と隣接させた場合には、被係止部44同士の間隔が広くなってしまうため、牽引器具Pの各係止部Paを一対の被係止部44を引っ掛ける際の作業性が悪い。その点、上記実施形態のように、被係止部44を第1中間桁22の両脇に隣接させると、被係止部44同士の間隔を狭くすることができ、牽引器具Pの各係止部Paを一対の被係止部44を引っ掛ける際の作業性が向上される。
また、上記実施形態では、背低部41、連結リブ45及び被係止部44を含む挿入凹部43を、第1桁間連結部25のみに設けたが、これに特に限定されるものではなく、第2桁間連結部26にも設けてもよい。
・上記実施形態では、前後左右の端部にフォーク差込口27,28が形成された四方差しのパレット10に適用したが、これ以外に例えば、前後端のみにフォーク差込口が形成された二方差しのパレットに適用してもよい。なお、二方差しのパレットの場合、隅桁及び中間桁をパレットの前端から後端にかけて連続的に形成するのが好ましい。
・上記実施形態では、デッキ13が表裏に一対設けられた両面使用型のパレット10に適用したが、これに特に限定されるものではなく、デッキ13が片面のみに設けられた単面使用型のパレットに適用してもよい。
10…パレット、12…積載面、13…デッキ、14…桁部、21…隅桁、22…第1中間桁、23…第2中間桁、25…第1桁間連結部、26…第2桁間連結部、27…第1フォーク差込口、28…第2フォーク差込口、31…格子状リブ、32…前後リブ、33…左右リブ、34a〜34d…第1〜第4桁間左右リブ(桁間リブ)、35…傾斜壁(底壁部)、41…背低部(背低リブ)、41a…傾斜面、44…被係止部、45…連結リブ、46…目印部、52…矢印型凹部(目印部)、P…牽引器具。

Claims (7)

  1. 積載面を有し補強用の格子状リブが形成された略矩形状のデッキと、
    前記デッキから前記積載面と垂直に延びる複数の桁部と
    を備え、パレット外側面における前記桁部間にフォーク差込口が構成されたパレットであって、
    前記格子状リブは、
    前記フォーク差込口を構成する前記桁部間を繋ぐように形成され、牽引器具が係止される被係止部を有する桁間リブと、
    前記桁間リブの前記被係止部に対してデッキ中央側で相対し、前記積載面を基準とする垂直方向幅が前記被係止部よりも小さく形成された背低リブとを備え
    前記桁間リブの前記被係止部と前記背低リブとの間には、それらを繋ぐ連結リブが形成され、該連結リブは、前記積載面を基準とする垂直方向幅が前記背低リブと等しい、若しくは前記背低リブよりも小さく設定されていることを特徴とするパレット。
  2. 請求項1に記載のパレットにおいて、
    前記桁部は、前記デッキの少なくとも四隅と対応する位置に形成された隅桁と、該隅桁間に形成された中間桁とを有し、
    前記桁間リブは、前記フォーク差込口を構成する前記隅桁と前記中間桁とを繋ぐように形成され、
    前記桁間リブの前記被係止部は、前記中間桁の両側に一対設けられていることを特徴とするパレット。
  3. 請求項1又は2に記載のパレットにおいて、
    前記桁間リブの前記被係止部は、前記桁部と直接繋がっていることを特徴とするパレット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパレットにおいて、
    前記背低リブにおける前記被係止部とは反対側の側部には、前記被係止部側に向かうにつれて前記積載面から離間するように傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とするパレット。
  5. 請求項1に記載のパレットにおいて、
    前記デッキにおける前記背低リブ、前記連結リブ及び前記被係止部にて区画された部位には、上下方向に開口する窓部が形成されていることを特徴とするパレット。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のパレットにおいて、
    前記フォーク差込口を構成する前記桁部間を繋ぐ前記デッキの桁間連結部には、前記デッキの外周縁から前記桁間リブの反積載面側の端部まで延びる平板状の底壁部が形成されていることを特徴とするパレット。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のパレットにおいて、
    前記デッキには、前記被係止部の位置を示す、前記積載面側から目視可能な目印部が設けられていることを特徴とするパレット。
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