以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に示すように、パレット1は、平面視略矩形状をなしている。また、パレット1は、パレット1の四隅に設けられる4本の隅柱2と、パレット1の側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱2の中間部位に設けられる中間柱3と、パレット1の中央部に設けられる中央柱4と、隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4の上端部間を連結する上デッキ5と、隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4の下端部間を連結する下デッキ6とを備えている。加えて、各隅柱2と中間柱3との間には、フォーク付きリフト手段としてのハンドリフトやフォークリフトのフォーク9(図8参照)を差込み可能なフォーク差込み部8が形成されている。本実施形態では、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを差込み可能な4方差しタイプのパレットとなっている。
上デッキ5は、隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4のうち、互いにパレット1の側辺部と平行に並んでいるもの同士の上端部間を真っ直ぐに連結する上連結桟11と、上連結桟11で囲まれている領域を覆うようにして、4辺の上連結桟11の間を連結する上補助桟12とを備えている。一方、下デッキ6は、図8等に示すように、隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4のうち互いにパレット1の長手方向又は短手方向に沿って並んでいるもの同士の下端部間を真っ直ぐに連結する下連結桟13を備えているものの、下連結桟13で囲まれている領域は、ハンドリフトのフォーク先端側に設けられたキャスターを接地させるためのキャスター用開口部14として開口形成されている。
本実施形態では、隅柱2、中間柱3、中央柱4、及び、上デッキ5の上面によって物品を載置可能な「上デッキ面15」が構成されている。さらに、隅柱2、中間柱3、中央柱4、及び、下デッキ6の下面によって床面等の設置面に接地する「下デッキ面16」が構成されている。
また、本実施形態では、上デッキ面15から下デッキ面16までの距離であるパレット1の高さ(厚み)は90mmとなっている。さらに、フォーク差込み部8の高さは60mmとなっている。加えて、物品を載置したり、ハンドリフトのフォークで持ち上げられたりする上デッキ5の強度を確保するべく、上デッキ5の厚みが下デッキ6の厚みよりも大きく構成されている。本実施形態では、上デッキ5の厚みは17.5mmであり、下デッキ6の厚みは12.5mmとなっている。
尚、本実施形態のパレット1は、上構成部1aと下構成部1bとから構成されている。上構成部1aは、隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4の上側部分と、上デッキ5とを備えている。下構成部1bは、隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4の下側部分と、下デッキ6とを備えている。そして、上構成部1aの隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4の下端部と、下構成部1bの隅柱2、中間柱3、及び、中央柱4の上端部とを熱溶着することにより上構成部1aと下構成部1bとが一体化され、これにより本実施形態のパレット1が形成されている。本実施形態では、上構成部1a及び下構成部1bいずれもポリプロピレンにより構成されている。
さて、図5に示すように、本実施形態では、中間柱3と中央柱4との上端部間を連結する上連結桟11の下面側において、当該上連結桟11から下方に突出し、中間柱3と中央柱4との間を連結するようにして、上デッキ面15の側辺部とほぼ平行に延びる複数の中連結リブ21が設けられている。また、中間柱3と隅柱2との上端部間を連結する上連結桟11の下面側において、当該上連結桟11から下方に突出し、中間柱3と隅柱2との間を連結するようにして、上デッキ面15の側辺部とほぼ平行に延びる複数の縁連結リブ22(図4、図8等参照)が設けられている。
さらに、本実施形態では、上デッキ5の下面側において、中連結リブ21及び縁連結リブ22に対して直交する方向において、上デッキ5の一側辺部から他側辺部にかけて連続して延びる複数の全長リブ23が設けられている。すなわち、全長リブ23は、3つの上連結桟11と2つの上補助桟12とを通過するようにして、上デッキ5が上デッキ面15の一側辺部から他側辺部にかけて連続して存在する部位の全長にわたって設けられている(図3、図8等参照)。また、フォーク差込み部8としても、フォークが複数の上連結桟11及び上補助桟12の下方を通過するように挿入可能に構成されることで機能するものであることから、上デッキ5が上デッキ面15の一側辺部から他側辺部にかけて連続して存在する部位は、フォーク差込み部8の上縁部を構成する部位でもある。このため、全長リブ23は、フォーク差込み部8の長手方向、ひいては、フォーク差込み部8へのフォークの差込み方向に沿って延在しているとも言える。
また、図5等に示すように、全長リブ23が設けられることによって、上連結桟11の下面側には、中連結リブ21又は縁連結リブ22と、これに直交する全長リブ23とによって、リブが格子状に形成されている。加えて、全長リブ23は、パレット1の所定の側辺部に沿って延びるものだけではなく、当該所定の側辺部に対して直交する側辺部に沿って延びるものも存在するため、上補助桟12の下面側においては、全長リブ23同士が格子状に交差する格好となっている。尚、本実施形態のパレット1は、平面視略正方形状であるが、図1の紙面上下方向における幅の方が若干長くなっている。以下、説明の便宜上、図1に示すパレット1の紙面上下方向をパレット1の長手方向とも称し、紙面左右方向をパレット1の短手方向とも称する。
さて、図5に示すように、本実施形態では、パレット1の長手方向(図5では左右方向)に沿って延び、パレット1の短手方向に並ぶ複数の全長リブ23のうち、短手方向におけるパレット1幅の中央部側の全長リブ23のピッチ(内側リブピッチP1)が、短手方向におけるパレット1幅の側端部側の全長リブ23のピッチ(外側リブピッチP2)よりも狭く構成されている。
特に、本実施形態では、パレット1の長手方向に延在する全長リブ23のうち、当該全長リブ23が形成されている上デッキ5の部位を上縁部とするフォーク差込み部8の(入口の)横幅方向中央部L1よりも、パレット1の短手方向の幅の中央部側に位置する全長リブ23のリブピッチが、前記内側リブピッチP1となるように構成されている。
さらに、パレット1の長手方向において中間柱3と中央柱4との間を連結する(パレット1の短手方向に並ぶ)複数の中連結リブ21の中連結リブピッチP3が、前記内側リブピッチP1よりも狭く構成されている。
また、本実施形態では、パレット1の短手方向に沿って延び、パレット1の長手方向に並ぶ複数の全長リブ23のリブピッチについても、パレット1の長手方向に沿って延びる全長リブ23と同じリブピッチとされ、長手方向におけるパレット1幅の中央部側の内側リブピッチP4が、長手方向におけるパレット1幅の側端部側の外側リブピッチP5よりも狭く構成されている。
特に、本実施形態では、パレット1の短手方向に延在する全長リブ23のうち、当該全長リブ23が形成されている上デッキ5の部位を上縁部とするフォーク差込み部8の(入口の)横幅方向中央部L2よりも、パレット1の長手方向の幅の中央部側に位置する全長リブ23のリブピッチが、前記内側リブピッチP4となるように構成されている。
さらに、パレット1の短手方向において中間柱3と中央柱4との間を連結する(パレット1の短手方向に延び、パレット1の長手方向に並ぶ)複数の中連結リブ21の中連結リブピッチP6についても、パレット1の長手方向に延び、パレット1の短手方向に並ぶ中連結リブ21の中連結リブピッチP3と同じとされ、中連結リブピッチP6が、前記内側リブピッチP4よりも狭く構成されている。
尚、本実施形態では、パレット1長手方向において中間柱3と隅柱2との間を連結してパレット1の長手方向に延び、パレット1の短手方向に並ぶ複数の縁連結リブ22の縁連結リブピッチP7は、中連結リブ21の中連結リブピッチP3と同じとなるように構成されている。さらに、パレット1短手方向において中間柱3と隅柱2との間を連結してパレット1の短手方向に延び、パレット1の長手方向に並ぶ複数の縁連結リブ22の縁連結リブピッチP8は、中連結リブ21の中連結リブピッチP6と同じとなるように構成されている。
さらに、中連結リブ21の肉厚は、全長リブ23の肉厚よりも大きく構成されている。尚、本実施形態では、縁連結リブ22の肉厚についても、全長リブ23の肉厚よりも大きく(中連結リブ21の肉厚と同じ)構成されている。
加えて、図4、図8に示すように、縁連結リブ22のうち、最もパレット1外周側に位置し、フォーク差込み部8の入口を構成する端連結リブ24に関しては、フォーク差込み部8の入口の上下幅を広げるべく、その他の縁連結リブ22よりも、上デッキ5からの突出長が短くなっている。さらに、図5に示すように、端連結リブ24の剛性を高めるべく、外側リブピッチP2、P5で配置されている全長リブ23の中間の位置において、端連結リブ24と、これに隣り合う縁連結リブ22との間を連結する補助リブ26が設けられている。
尚、下デッキ6の下連結桟13についても、上デッキ5の上連結桟11とほぼ同様の構成を備えている。但し、下連結桟13に関しては、下連結桟13の下面側に形成された複数の縁連結リブ22や複数の中連結リブ21のうち、最もキャスター用開口部14側に位置するもの(端連結リブ24)の下デッキ面16からの高さがその他のものよりも低く構成されるとともに、当該端連結リブ24の上縁部と、これに隣接する縁連結リブ22又は中連結リブ21の上縁部とが壁部で連結されている。これにより、下連結桟13に対してハンドリフトのキャスターを乗り上げ易くしつつ、下連結桟13の端縁の強度を向上させている。また、下連結桟13に関しては、複数の縁連結リブ22や複数の中連結リブ21に対して直交して延びるリブのピッチが一定(P2やP5と同じ)となっている。
また、図2〜図4、図8等に示すように、本実施形態では、上デッキ面15の外周縁に沿って形成される外周突起31が設けられている。外周突起31は、上デッキ面15を外周側に拡張させた拡張部32と、拡張部32から上方に突出する支持凸部33とを備えている。
本実施形態では、外周突起31のうちフォーク差込み部8の上方に位置する部位である差込対応部位34における支持凸部33の高さと、下デッキ6の厚みとが同一の長さとなるように構成されている。このため、図6〜図8に示すように、パレット1同士を上下に積み重ねた場合(段積みした場合)には、下側のパレット1の外周突起31の差込対応部位34における支持凸部33の上縁部と、上側のパレット1の下デッキ6の上面とがほぼ同じ高さ位置となるように構成されている。
さらに、図2等に示すように、本実施形態では、外周突起31のうち差込対応部位34以外の一般部位35における支持凸部33の高さが、差込対応部位34における支持凸部33の高さよりも高く構成されている。本実施形態では、差込対応部位34における支持凸部33の高さは、下デッキ6の厚みと同じ12.5mmであり、一般部位35における支持凸部33の高さは20mmとなっている。尚、外周突起31のうち上デッキ面15のコーナー部に対応する部位においては、支持凸部33が省略されている。但し、差込対応部位34の支持凸部33の両側方には、一般部位35の支持凸部33が形成されるように構成されている。また、一般部位35の支持凸部33の両側部の高さは、連接する部位の高さと揃うまで徐々に変化している。その一方で、差込対応部位34における支持凸部33の高さは一定となっている。
図7〜図9等に示すように、支持凸部33の外面側には補強リブ(以下、「突起補強リブ36」と称する)が形成されている。突起補強リブ36は、上下方向に延びる複数の縦リブ37と、縦リブ37に対して略直交して延びる横リブ38とを備えて格子状に構成されている。より具体的には、横リブ38は、外周突起31の支持凸部33の上縁部から外方に突出する上横リブ38aと、外周突起31の拡張部32を外方に延長させるようにして形成された中横リブ38bと、縁連結リブ22のうち、最もパレット1外周側に位置する端連結リブ24の下縁部から外方に突出する下横リブ38cとを備え、縦リブ37が上横リブ38aから下横リブ38cにかけて(下横リブ38cが存在しない箇所では中横リブ38bまで)略鉛直方向に延在している。
また、縦リブ37及び横リブ38の先端縁で構成される突起補強リブ36の外面は基本的に面一であり、本実施形態では、当該突起補強リブ36の外面がパレット1で最も外周側に位置する部位となっている。加えて、図9等に示すように、突起補強リブ36の下面側には、下横リブ38cの下面と、隅柱2の外面との間を連結する三角板状の支持リブ39が設けられている。
さらに、図2に示すように、本実施形態では、外周突起31のうち差込対応部位34に対応して形成される複数の縦リブ37のうち、前記一般部位35と連接する両端部側の縦リブ37のピッチ(脇側リブピッチP9)が、中央部側の縦リブ37のピッチ(中央側リブピッチP10)よりも狭くなるように構成されている。特に、フォーク差込み部8の入口を正面視した場合に、中間柱3及び隅柱2と、フォーク差込み部8との境界を跨ぐ部位については、縦リブ37のリブピッチが脇側リブピッチP9とされる区間となるように構成されている。
また、図3、図9等に示すように、パレット1の外周面側には、パレット1に載置された物品を保持するためのロープを係止可能な係止部41が設けられている。より具体的には、各隅柱2のうちパレット1の外周面を構成する2つの側面(外面)には、それぞれパレット1外周側に開口する係止用開口凹部42が形成されている。係止用開口凹部42の上縁部は、隅柱2のうち上面が上デッキ面15を構成する上壁部43の下面によって構成されている。本実施形態では、上壁部43の下面から係止部41が下方に突出形成されている。
図9等に示すように、係止部41は、上壁部43の下面から下方に延び、対応する係止用開口凹部42が開口形成された隅柱2の側面と略平行に延びる略板状の係止片44と、係止片44の周縁部から外方に突出する外縁補強リブ45とを備えている。係止片44の先端部(下部)には、左右の側辺部から側方に突出する鉤部46が設けられている。また、係止片44は、上壁部43と連接している上端部付近の部位が、左右両側方に向けて、それぞれ係止用開口凹部42の内側の側面にまで延設され、当該側面と連結されている。外縁補強リブ45は、当該係止片44が左右に延設された部位の下縁部、及び、当該係止片44が左右に延設された部位との境界部にも形成されている。
さらに、図9、図10等に示すように、係止片44は、隅柱2の対応する側面(外面)よりも所定距離を隔ててパレット1内周側に位置している。また、外縁補強リブ45の先端縁、すなわち、パレット1外周側の縁部は、隅柱2の側面(外面)と面一とされている。尚、係止部41は上構成部1aと一体的に形成されており、係止部41の下端部は、隅柱2のうち上構成部1aによって構成される部位の下端部よりも上方に位置している。
また、突起補強リブ36のうち係止用開口凹部42に対応する部位においては、下横リブ38cが省略されており、隅柱2の上壁部43から外方に延出するようにして形成された外周突起31の拡張部32、及び、拡張部32から外方に延出する中横リブ38bが下方に露出するようになっている。以下、係止片44が延出する上壁部43、上壁部43から外方に延出するようにして形成された外周突起31の拡張部32、及び、拡張部32から外方に延出する中横リブ38bのことをまとめて「取付壁51」とも称する。さらに、突起補強リブ36のうち係止用開口凹部42に対応する部位においては、突起補強リブ36の外方への突出長がその他の部位に比べて短くなっている。加えて、当該突起補強リブ36の外方への突出長が短くされた部位の両側方には、突起補強リブ36の外方への突出量が短くされていない部位(下横リブ38cも省略されていない部位)が存在するように構成されている。
また、本実施形態の隅柱2には、係止片44のパレット1外周側の面と、取付壁51の下面との間を連結する補強リブ(以下、「係止補強リブ52」と称する)が設けられている。係止補強リブ52は、係止部41(係止片44)の横幅方向中央位置に対応して設けられている。さらに、係止補強リブ52は、取付壁51の下面のパレット1外周側端縁(中横リブ38bの先端)まで延在している。つまり、係止補強リブ52のパレット1外周側の端部は、突起補強リブ36の外面にまで延在している。但し、上記のように、本実施形態では、突起補強リブ36のうち係止用開口凹部42に対応する部位においては、突起補強リブ36の外方への突出長がその他の部位に比べて短くなっていることから、係止補強リブ52のパレット1外周側の端部は、パレット1のうち最も外周側に位置する部位よりも内周側に位置していることとなる(図12参照)。
また、係止補強リブ52は、係止部41(係止片44)のうち上側の範囲(取付壁51との連接部から係止部41全体高さの1/5〜1/3以下の範囲)に設けられている。さらに、係止補強リブ52のパレット1外周側の辺部は、上方に向けてパレット1外周側に傾斜して延びており、係止補強リブ52は略三角板状をなしている。
また、係止補強リブ52の下部から下方に延出する延設補強リブ53が形成されている。延設補強リブ53は、係止部41の下辺部に沿って形成された外縁補強リブ45に突き当たるまで延び、当該外縁補強リブ45と連結されている。延設補強リブ53の係止片44からの突出長は、外縁補強リブ45の突出長と同じであり、隅柱2の外面と略面一となっている。
さらに、各係止部41を正面視した場合に、左右方向における係止補強リブ52の形成位置は、突起補強リブ36の縦リブ37のうちの1つと同じ位置となるように構成されている。このため、上記のように、係止補強リブ52のパレット1外周側端部が、取付壁51のパレット1外周側端縁にまで達していることによって、当該係止補強リブ52と上下に連接する縦リブ37が、あたかも、係止補強リブ52のパレット1外周側端部から上方に延出するような位置関係となっている。従って、当該縦リブ37についても、係止補強リブ52の下方に延在する延設補強リブ53と同様に、係止補強リブ52と協働して、係止部41の変形等を防止するといった効果が奏される。
加えて、図11に示すように、係止部41の裏面側においても、係止片44からパレット1内周側に突出し、係止片44の上端部から下端部にかけて延在する裏面リブ54が設けられている。さらに、図10、図11に示すように、裏面リブ54の上部と、係止用開口凹部42の奥面との間を連結する裏面側連結リブ55が設けられている。
尚、図5等に示すように、各係止用開口凹部42は、隅柱2の内部に設けられた補強用のリブによって画定された部屋の1つとして構成されている。また、図10〜図12等に示すように、隅柱2は、下デッキ面16を構成する下壁部56を備えている。さらに、係止用開口凹部42の開口部の上縁部は、上壁部43の下面にまで延在しているが、開口部の下縁部は、係止部41の下方において、ロープを係止部41の裏側に通すための隙間を十分に確保しつつ、下壁部56よりも上方に位置している。加えて、係止用開口凹部42の開口部の下方に存在する壁部と、係止用開口凹部42の奥面との間を連結する下リブ57が設けられるとともに、下リブ57と、前記裏面側連結リブ55との間を連結する奥リブ58(図10参照)が設けられている。これらの構成により、係止用開口凹部42が形成されることによる隅柱2の強度低下の抑制、特に、係止用開口凹部42の周縁部における強度低下の抑制が図られるとともに、係止部41の変形防止が図られている。尚、図9、図10等に示すように、下壁部56には、係止用開口凹部42に浸入した水を外部に排出するための排水孔59が形成されている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、上デッキ5の下面側において、上デッキ面15一側辺部から他側辺部にかけてほぼ直線的に連続して延びる複数の全長リブ23のリブピッチに関して、当該全長リブ23の延在方向と直交する方向におけるパレット1幅の中央部側の内側リブピッチP1、P4が、側端部側の外側リブピッチP2、P5よりも狭く構成されている。すなわち、例えば、図5のように、紙面下側からフォーク9をフォーク差込み部8に差し込んでパレット1を持ち上げた場合等においては、図5の左右方向に延びる全長リブ23を設けることによるパレット1の変形防止効果が高い。このため、パレット1の変形防止に効果的である全長リブ23を密に設けるものの、その範囲を上記のように限定することによって、パレット1全体での全長リブ23の本数を抑制しつつも、パレット1(上デッキ5)の剛性を効果的に高めることができる。従って、パレット1の軽量化等を図りつつ、パレット1のフォーク差込み部8にフォーク9を差し込んで持ち上げた場合にパレット1の両側部が下方に垂れるようにして撓んでしまうといった事態を防止することができる。
また、中間柱3と中央柱4との間を連結する複数の中連結リブ21の中連結リブピッチP3、P6が、これと平行に延びる全長リブ23の内側リブピッチP1、P4よりも狭く構成されている。さらに、中連結リブ21の肉厚は、全長リブ23の肉厚よりも大きく構成されている。このため、パレット1が外周縁部(両側部)のみで支持された場合のパレット1中央部の撓みを防止することができる。また、中央柱4と中間柱3との相対位置が変化するような上デッキ5の変形をより効果的に抑止することができる。さらに、中連結リブ21と交差する全長リブ23の横倒れを当該全長リブ23の中間位置において効果的に抑止することができる。
特に、本実施形態では、全長リブ23は、内側リブピッチP1、P4が外側リブピッチP2、P5よりも狭くなるように構成されていることから、それぞれ密に配置されて強度が高められた全長リブ23と、中連結リブ21とが相互に支持し、支持されることとなる。さらには、密に配置された全長リブ23及び中連結リブ21で囲まれる中央柱4及び中間柱3の側壁部の変形を抑制することができる。従って、パレット1中央部の撓みを防止するといった作用効果や、パレット1両側部の撓みを防止するといった作用効果がより一層確実に奏されることとなる。
また、本実施形態によれば、外周突起31のうちフォーク差込み部8の上方に位置する部位である差込対応部位34における支持凸部33の高さと、下デッキ6の厚みとが同じ長さとなっている。このため、パレット1を段積みした場合に、下側のパレット1の差込対応部位34における支持凸部33の上端部と、上側のパレット1の下デッキ6の上面とを同一の高さとすることができる(図7、図8参照)。従って、パレット1が段積みされた状態において、上側のパレット1のフォーク差込み部8にフォーク9を差込む作業を行う場合に、上側のパレット1のフォーク差込み部8への入口(特に上下の幅)が、下側のパレット1の外周突起31(差込対応部位34の支持凸部33)によって狭められてしまうといった事態を回避することができる。結果として、フォークリフトを利用して、段積みされた上段側のパレット1を下ろしていく際等の作業性の向上を図ることができる。
さらに、フォークリフトを利用してパレット1を段積みしていく場合に、パレット1を下側のパレット1の上に載せた後、フォーク9をフォーク差込み部8から抜き取るにあたって、フォーク9による上デッキ5下面への支持を外すべくフォーク9を下方に変位させた際に、フォーク9が下側のパレット1の外周突起31(差込対応部位34の支持凸部33)に接触し、当該外周突起31が破損してしまうといった事態を回避することができる。
また、フォーク差込み部8に対応する部位以外の部位にも外周突起31(一般部位35)が配置されており、当該一般部位35における支持凸部33の高さは、差込対応部位34における支持凸部33の高さよりも高くなっている。このため、差込対応部位34における支持凸部33の高さを上記のようにフォーク差込み作業の邪魔にならないように低くしたとしても、一般部位35において支持凸部33の高さを十分に確保することができる。従って、外周突起31を設けることに起因してフォーク差込み作業への悪影響が発生すること等を回避しつつ、外周突起31を設けることによって上デッキ面15に載置した物品やパレット1の脱落等をより確実に防止することができる。特に、本実施形態のように、パレット1の高さ(厚み)が90mmであって、下デッキ6の厚みも薄くせざるを得ない構成にあっては、かかる作用効果がより一層顕著に奏されることとなる。
加えて、例えば、外周突起31のうち一般部位35の支持凸部33だけを残して差込対応部位34の支持凸部33を省略したようなものに比べ、外周突起31、特に、支持凸部33の剛性を高めることができる。また、上デッキ5(フォーク差込み部8の入口の上縁部)の剛性を高めることもでき、同部位の変形を抑制することができる。
また、支持凸部33の外面側には、外周突起31の剛性を高めるべく突起補強リブ36が形成されている。特に、差込対応部位34に対応して形成される突起補強リブ36のうち上下に延びる複数の縦リブ37のリブピッチは、一般部位35と連接する両端部側の脇側リブピッチP9が、中央部側の中央側リブピッチP10よりも狭くなるように構成されている。このため、上デッキ5のうち隅柱2や中間柱3との連結部位(フォーク差込み部8の入口の上縁部の両端部)の剛性を高めることができる。すなわち、同部位は、隅柱2や中間柱3等に比べると、上からの荷重を受けたり、パレット1に捻じれるような力が作用したりした場合に比較的変形し易い部位となっているため、同部位の剛性を高めることで、上デッキ5、ひいては、パレット1全体の変形を効果的に抑止することができる。
さらに、突起補強リブ36は、縦リブ37に対して直交する方向に延びる横リブ38を備えて格子状に構成されている。このため、各縦リブ37の左右に倒れるような変形を抑制することができるとともに、横方向への繋がりがより高まることから、左右に隣接する縦リブ37が上下にずれるような変形を抑制したり、上からやパレット1内周側からの負荷を分散させて受けたりすることができる。特に、横リブ38が差込対応部位34から一般部位35にまで連続して延びているため、かかる作用効果がより一層奏されることとなる。従って、フォーク差込み部8の入口の上縁部が撓む等するような変形や支持凸部33の損傷等をより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、各隅柱2のうちパレット1外周面を構成する2つの側面において、パレット1に載置された物品を保持するためのロープを係止可能な係止部41が設けられている。係止部41は、係止用開口凹部42の内側において、係止用開口凹部42の上縁部を構成する上壁部43から下方に延出する係止片44と、係止片44の外周縁に沿って係止片44のパレット1外周側の面から突出する外縁補強リブ45とを備え、外縁補強リブ45の先端部は、隅柱2の側面(外面)と面一となっている。つまり、係止部41は、上壁部43から外方に延出した外周突起31の拡張部32から、さらに外方に延出した突起補強リブ36の中横リブ38bの先端部(上壁部43、拡張部32、及び、中横リブ38bからなる取付壁51のパレット1外周側端縁)よりも所定距離を隔ててパレット1内周側に配置されている。
そして、かかる構成下において、隅柱2は、係止部41(係止片44)のパレット1外周側の面と、取付壁51の下面との間を連結する係止補強リブ52を備えている。このため、パレット1の外周方向において、少なくとも取付壁51のパレット1外周側の辺部、すなわち、外周突起31が係止部41よりも外周側に位置することから、係止部41が意図することなく別の部材と接触し、例えば、引っ掛かったり、削れたりしてしまうといった事態を抑制することができる。また、係止部41を取付壁51のパレット1外周側の辺部よりも所定距離を隔ててパレット1内周側に位置させることで、係止部41のパレット1外周側の面と、取付壁51の下面との間を連結する係止補強リブ52を設けることができる。そして、係止補強リブ52が設けられることで、係止部41自体の強度の向上を図ることができる。従って、係止部41の損傷を確実に防止することができる。
特に、本実施形態では、係止部41の係止片44が隅柱2の外面よりも所定距離を隔ててパレット1内周側に位置し、係止片44から外方に突出する外縁補強リブ45の先端縁が、隅柱2の外面と面一となるように構成されている。このように、係止部41が外縁補強リブ45を含めて当該係止部41が設けられた隅柱2の外面よりも外方に突出しないように構成されていることから、係止部41が別の部材に引っ掛かる等の事態を防止するといった作用効果がより一層確実に奏されることとなる。
加えて、係止補強リブ52は、係止部41の横幅方向中央位置に対応して設けられているため、係止補強リブ52の数の増大を抑止しつつ、係止部41を効果的に強化することができる。さらに、係止補強リブ52は、取付壁51の下面のパレット1外周側端縁まで延在しているため、係止補強リブ52によって係止部41の剛性を高めるといった作用効果がより一層奏されることとなる。また、係止補強リブ52のパレット1外周側の辺部は、上方に向けてパレット1外周側に傾斜して延びている。このため、係止補強リブ52が別の部材と引っ掛かるといった事態を抑制しつつ、係止補強リブ52を極力パレット1外周側まで延在させて、係止補強リブ52の付根が破断する等の事態をより確実に防止することができる。
さらに、係止補強リブ52は、係止部41のうち上側の範囲(取付壁51との連接部から係止部41全体高さの1/3以下の範囲)に設けられている。このため、係止補強リブ52が別の部材と引っ掛かるといった事態を抑制しつつ、係止補強リブ52を極力パレット1外周側まで延在させて、係止補強リブ52の付根が破断する等の事態をより確実に防止することができる。加えて、突起補強リブ36のうち、係止用開口凹部42に対応する部位は、当該突起補強リブ36の外方への突出長が短く構成され、かつ、当該突起補強リブ36の外方への突出長が短くされた部位の両側方には、突起補強リブ36の外方への突出量が短くされていない部位(下横リブ38cも省略されていない部位)が存在するように構成されている。つまり、取付壁51の両側方位置には、取付壁51のパレット1外周側端縁よりもパレット1外周側に位置する壁部が存在することとなる。この場合、係止補強リブ52を取付壁51のパレット1外周側端縁にまで延在させたとしても、係止補強リブ52が別部材に接触するといった事態の抑制効果が奏される。
また、本実施形態では、係止補強リブ52を上方及び下方に延長させるようにして形成された延設補強リブ53が設けられている。このため、係止補強リブ52を支持する部位の剛性を高めることができる。特に、延設補強リブ53は、当該延設補強リブ53に対して交差する方向に延びる外縁補強リブ45に連結されるまで延びていることから、延設補強リブ53が横倒れしたり、捻じれたりするような変形を抑止することができる。加えて、延設補強リブ53は、パレット1外周側の縁部が、係止部41の外縁補強リブ45のパレット1外周側の縁部や隅柱2の外面と面一となるように設けられているため、延設補強リブ53が別の部材と接触し易くなってしまうといった事態を防止することができる。
また、本実施形態のように、上デッキ面15に外周突起31を設け、かつ、係止片44を隅柱2の外面から所定距離を隔てて内側に設けるように構成する場合には、係止部41のうちロープが掛けられる裏面と、取付壁51のパレット1外周側縁部(外周突起31の外面、すなわち、突起補強リブ36の先端縁)との間の距離が比較的広くなる。この場合、係止部41はロープからパレット1外周方向に引っ張られるような力を受け易くなり、例えば、係止部41が主に上方に引っ張られるような場合に比べ、係止部41への負担が大きくなることが懸念される。この点、上記のように、係止部41の外面と、取付壁51の下面との間を連結する係止補強リブ52を設けることによって、係止部41がパレット1外周方向に引っ張られた場合の強度を効果的に高めることができ、係止部41の損傷等を防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、下デッキ6にキャスター用開口部14が形成され、ハンドリフトを利用して運搬可能なタイプのパレット1に具体化されているが、キャスター用開口部14のないタイプのパレットや、物品を載せる載置面として片面のデッキ面(上デッキ面15)だけでなく、両方のデッキ面を使用可能な両面使用タイプのパレットに具体化してもよい。さらに、係止部41を省略したり、図13に示すように外周突起31を省略したり、同形状の上構成部1aと下構成部1bとを溶着することで構成したりしたパレットに具体化することも可能である。また、キャスター用開口部14のないタイプのパレットに具体化する場合、下デッキ6に関し、全長リブ23のうち、当該全長リブ23の延在方向と直交する方向におけるパレット1の幅方向中央部側である内側リブピッチを、幅方向外側である外側リブピッチよりも狭くするとともに、中連結リブピッチを内側リブピッチよりも狭くするように構成することとしてもよい。この場合、下デッキ6に関しても、効果的に剛性を高めることができる。加えて、下デッキ6が省略されたパレットに適用することも可能である。
(b)上記実施形態では、所定のフォーク差込み部8に沿って延びる全長リブ23のうち、当該フォーク差込み部8の横幅方向中央部よりもパレット1の中央部側に位置する全長リブ23のリブピッチが内側リブピッチP1、P4となるように構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、全長リブ23のリブピッチが、外側リブピッチP1(P4)と、内側リブピッチP2(P5)との2つに分けられているが、フォーク差込み部8の横幅方向においてパレット1の側端部側から中央部側になるにつれて次第にリブピッチが狭くなるように、3段階以上にリブピッチが切替わるように構成してもよい。但し、上記実施形態のようなバランスで全長リブ23を配置することにより、パレット1の重量増加を抑制しつつ、効果的な補強を行うといった作用効果をより顕著に発揮させることができる。また、上記実施形態のように、リブピッチが密にされる部位を極力密集させることによって、より剛性の高い部位を形成することができ、さらに、それらを効率よく連結することによって、より強固な骨格を形成し、変形に強いパレット1を得ることができる。
また、上記実施形態では、隅柱2と中間柱3とを連結する縁連結リブ22についても、中連結リブ21と同じ厚みで、さらに、中連結リブ21と同じリブピッチで設けられていたが、縁連結リブ22の厚みを全長リブ23の厚みと同じにしたり、リブピッチを中連結リブ21よりも広くしたりしてもよい。この場合、より軽量化等を図ることができる。尚、各リブピッチやリブ厚等については、パレットごとに適宜設計変更可能である。
(c)上記実施形態では、パレット1の高さ(厚み)が90mmとされていたが、特にかかる構成に限定されるものではなく、90mmを超える高さのパレット1に具体化することも可能である。また、上デッキ5の厚み、下デッキ6の厚み、フォーク差込み部8の上下幅等についても特に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。但し、フォーク差込み部8の上下幅に関しては、フォーク9の厚みや作業性等を考慮すると、55mm以上とするのが望ましく、60mm以上とするのがより望ましい。
尚、高さが100mm以下の比較的薄型のパレット1、特に、下デッキ6の厚みが10mm〜15mm程度のパレット1に具体化する場合、単に、外周突起31の支持凸部33の高さを下デッキ6の厚みに合わせるだけでは、外周突起31によってパレット1に載せられた物品やパレット1等の脱落等を防止するといった作用効果が非常に薄くなってしまう。このため、上記実施形態のように、外周突起31のうち差込対応部位34における支持凸部33の高さについては下デッキ6の厚みと同一とするものの、一般部位35における支持凸部33の高さについては差込対応部位34における支持凸部33の高さよりも高く構成することによって、外周突起31を設けることによる物品等の脱落防止効果が一層確実に奏される。
また、上記実施形態では、一般部位35における支持凸部33の高さと、下デッキ6の厚みとが同一の長さであることとしているが、ここで言う「同一の長さ」とは、製造誤差等を考慮した場合の「ほぼ同一の長さ」を含む趣旨である。
(d)上記実施形態では、係止部41が全ての隅柱2において、隅柱2のうちパレット1外周面を構成する2つの面にそれぞれ形成されるように構成されているが、特にかかる構成に限定されるものではない。例えば、中間柱3において係止部41を設けるように構成してもよい。また、上記実施形態では、係止部41の係止片44が隅柱4の側面(外面)よりもパレット1内周側に位置し、係止部41の外縁補強リブ45が隅柱4の外面と面一となるように構成されているが、図13に示すように、外縁補強リブ45を含めた係止部41の全体が隅柱2の外面よりもパレット1内周側に位置するように構成してもよい。さらに、図14に示すように、係止部41の延設補強リブ53を省略することも可能である。
加えて、係止補強リブ52の形状や形成範囲や数等は特に限定されるものではない。但し、極力少ない材料で、極力他の部材と接触しないように、効果的に係止部41の強化を図るべく、上記実施形態のように、係止片44の横幅方向中央位置において、係止片44の上側部位と取付壁51のパレット1外周側端縁との間を斜めにつなぐようにして、三角板状の係止補強リブ52を設けることが望ましい。尚、係止補強リブ52のパレット1外周側の辺部は直線状でもよいし、湾曲していてもよい。
また、係止部41に係止されるロープとしては、パレット1に載置された物品を保持できるものであればよく、紐状、鎖状等の形態は問わない。さらに、ゴムバンド等の伸縮可能なものであってもよい。
(e)上記実施形態では、パレット1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。