JP4860185B2 - 可撓性回路基板 - Google Patents
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Description
第1および第2の面を有する導体配線層と、この導体配線層の前記第1の面に第1の可撓性絶縁樹脂層を、また前記第2の面に第2の可撓性絶縁樹脂層を有し、前記第1の可撓性絶縁樹脂層が内側になるように屈曲する屈曲部を持った可撓性回路基板において、
前記第1の可撓性絶縁樹脂層は、前記導体配線層の何れかの面に接して配された、前記導体配線層の表面からの厚みが13μmであり、使用時温度範囲における縦弾性率の平均値が6.4GPaである主層を有し、
前記屈曲部における、前記第1の可撓性絶縁樹脂層の、
{使用時温度における縦弾性率平均値×第1の可撓性絶縁樹脂層の厚み}をAとし、
前記屈曲部における、前記第2の可撓性絶縁樹脂層の、
{使用時温度における縦弾性率平均値×第2の可撓性絶縁樹脂層の厚み}をBとするとき、
A/B=1.16−1.52
であることを特徴とする。
屈曲性評価
図1は、本発明の実施態様1である可撓性回路基板を屈曲した状態の断面構成図であって、ケーブル状の可撓性回路基板が、断面がU字状に曲げられており、導体配線層10の内側に第1の可撓性絶縁樹脂層20が、また外側に第2の可撓性絶縁樹脂層30が積層された構成となっている。
膜厚18μmの圧延銅箔を使用
試験方法:IPC-TM-650 2.4.19
サンプルサイズ:W 0.5インチ×L 7.0インチ
チャック間距離:4インチ
クロスヘッドスピード:50mm/min
弾性率:歪1.5%未満の弾性領域にて算出
測定環境:室温
上記表1の表面保護絶縁層のように、ポリイミドと接着剤とからなる複合材の場合における、縦弾性率平均値は以下の計算式により算出される。
上記表1における材料a(Dupont(株)製カプトン50H)の場合、材料a
『弾性率:3(GPa)×厚み:13(μm)/総厚み:19.8(μm)』
と接着剤
『弾性率:2.3(GPa)×厚み:6.8(μm)/総厚み:19.8(μm)』
との和である2.76(GPa)と算出され、
また、材料b(鐘淵化学工業(株)製アピカルNPI)の場合、材料b
『弾性率:4.3(GPa)×厚み:13(μm)/総厚み:19.8(μm)』
と接着剤
『弾性率:2.3(GPa)×厚み:6.8(μm)/総厚み:19.8(μm)』
との和である3.61(GPa)と算出された。
上記表2に記載の片面無接着剤型銅張積層板の銅箔に対するエッチング処理により、ベース材の片面に、導体幅=0.1mm、導体間幅=0.1mmの直線の回路配線パターン11本を形成し、この回路配線パターンに上記表1の表面保護絶縁層を被覆した可撓性回路基板を用意した。
IPC屈曲試験を、以下の条件で実施した。
屈曲速度=1500rpm
ストローク=20mm
試験環境=23℃、50%RH
断線検出=抵抗値5%上昇した時点を断線時と判定した。
下記表3は、U字状に屈曲させた可撓性回路基板において、導体配線層より内側の層を構成する第1の可撓性絶縁樹脂層の、(使用時温度における縦弾性率平均値×第1の可撓性絶縁樹脂層の厚み)をAとし、導体配線層より外側の層を構成する第2の可撓性絶縁樹脂層の、(使用時温度における縦弾性率平均値×第2の可撓性絶縁樹脂層の厚み)をBとした場合のA/Bの算出結果と、摺動屈曲試験時の断線に達した屈曲回数を対比表示するものである。ここで、使用材料としては、上記表1に記載の表面保護絶縁層と、上記表2に記載の5種類の可撓性絶縁ベース材とが組み合わされている。
(b)比較例〔7〕〜〔10〕:A/B>2.06であり、導体配線層より内側にある第1の可撓性絶縁樹脂層の厚みは13μmより厚く、この第1の可撓性絶縁樹脂層の縦弾性率平均値が6.4GPa以上である構造。
(c)比較例〔11〕〜〔18〕:0.66≦A/B≦2.06であり、導体配線層より内側にある第1の可撓性絶縁樹脂層の厚みは、13μmのものとそれより厚いものであり、縦弾性率平均値が6.4GPa以下である構造。
実験の結果、A/Bに着目してみると、比較例〔11〕〜〔18〕の0.66≦A/B≦2.06の範囲にある集団の耐屈曲回数と、比較例〔1〕〜〔6〕のA/B<0.66である集団および比較例〔7〕〜〔10〕のA/B>2.06の集団の平均耐屈曲回数とを比較してみると、凡そ7倍から8倍の耐屈曲回数向上効果が確認された。
可撓性回路基板の屈曲部における、第2の可撓性絶縁樹脂層の
{使用時温度における縦弾性率平均値×第2の可撓性絶縁樹脂層の厚み}をBとするとき、
A/B=0.66〜2.06
であるように構成しておけば、6.4GPa以上が達成できる導体配線層の表面に可撓性絶縁樹脂層の他に必要に応じて柔軟な層を積層しても、6.4GPa以上が達成できる導体配線層の表面に可撓性絶縁樹脂層を有しないものに比較して、耐屈曲性を向上することが可能となる。
一般に知られるポリイミドフィルムの弾性率のバラツキは、2%〜3%程度であるから、本発明で採用している6.4GPaの材料は0.2GPa程度のバラツキを持つものである。
次に、柔軟性への影響を調査した。
屈曲性評価と同様に、上記表1に記載の表面保護絶縁層と、上記表2に記載の可撓性絶縁ベース材とを使用した。
上記表2の可撓性絶縁ベース材の片面に、導体幅=0.1mm、導体間幅=0.1mmでストレート配線を施し、他面は導体配線層を有しない基板において、導体配線層側に、上記表1の表面保護絶縁層を被覆したもの(導体の本数:50本)であり、また、配線方向(長手方向)の長さが50mmで、幅方向の長さが10mmである可撓性回路基板を用意した。
本評価方法を、バイアスフォースと名づける。バイアスフォースの測定として、図4に示すように治具を用いて可撓性回路基板50を湾曲させ、電子天秤により可撓性回路基板50の反発力を測定した。このときの可撓性回路基板50の湾曲半径は、5mmに設定した。
(d)比較例〔19〕〜〔22〕は、実施例(ハ)、(ニ)より可撓性絶縁ベース材の縦弾性率平均値が高く、可撓性絶縁ベース材の厚みが厚い構造であり、
(e)比較例〔23〕、〔24〕は、実施例(ハ)、(ニ)より可撓性絶縁ベース材の縦弾性率平均値が低く、可撓性絶縁ベース材の厚みが厚い構造であり、
(f)比較例〔25〕、〔26〕は、実施例(ハ)、(ニ)より可撓性絶縁ベース材の縦弾性率平均値が低く、可撓性絶縁ベース材の厚みが同等な構造である。
図5は、本発明の実施態様2を示したものである。この実施態様2は、実施態様1の構成に補材としてのシールド材40を両面に貼り合せたものであり、第1の可撓性絶縁樹脂層20および第2の可撓性絶縁樹脂層30は、シールド材40を含む構成となっている。
{使用時温度における縦弾性率平均値×第2の可撓性絶縁樹脂層の厚み}をBとするとき、
A/B=0.66〜2.06
とする。これは第1の可撓性絶縁樹脂層、あるいは第2の可撓性絶縁樹脂層の一方に側にのみ有する場合も同様である。
実施態様1における(8)の評価方法で同様の屈曲試験を実施した結果、屈曲時に内側となる第1の可撓性絶縁樹脂層において、導体配線層から13μm以内に6.4GPaの層を有する実施例(ホ)、(へ)は、比較例〔27〕、〔28〕より耐屈曲性が優れたものであることが確認された。
実施態様1と同様、バイアスフォース法によって反発力を測定し、柔軟性を評価した結果、実施例(ホ)、(へ)は、第1の可撓性絶縁樹脂層に6.4GPa以上の固い層を含むにも関わらず、比較例〔27〕、〔28〕と同等の柔軟性を有していることが確認された。
20,21 第1の可撓性絶縁樹脂層
30,31 第2の可撓性絶縁樹脂層
40 シールド材
50 可撓性回路基板
E1,E2 可撓回路基板の端部
M 移動方向
Claims (1)
- 第1および第2の面を有する導体配線層と、この導体配線層の前記第1の面に第1の可撓性絶縁樹脂層を、また前記第2の面に第2の可撓性絶縁樹脂層を有し、前記第1の可撓性絶縁樹脂層が内側になるように屈曲する屈曲部を持った可撓性回路基板において、
前記第1の可撓性絶縁樹脂層は、前記導体配線層の何れかの面に接して配された、前記導体配線層の表面からの厚みが13μmであり、使用時温度範囲における縦弾性率の平均値が6.4GPaである主層を有し、
前記屈曲部における、前記第1の可撓性絶縁樹脂層の、
{使用時温度における縦弾性率平均値×第1の可撓性絶縁樹脂層の厚み}をAとし、
前記屈曲部における、前記第2の可撓性絶縁樹脂層の、
{使用時温度における縦弾性率平均値×第2の可撓性絶縁樹脂層の厚み}をBとするとき、
A/B=1.16−1.52
であることを特徴とする可撓性回路基板。
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