以下、本発明の実施の形態について、本発明を適用したデジタル放送復調装置を用いて説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るデジタル放送復調装置の構成を示すブロック図である。なお、図1のデジタル放送復調装置は、上述したように、社団法人電波産業会(ARIB)による規格番号「ARIB STD−B31」の標準規格名「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式」に基づき、受信信号を復調する装置である。
まず、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置(受信装置)の構成および基本的な動作について説明する。
図1において、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、外部から受信したOFDM変調信号から、キャリア、クロック等を再生すると共に、該OFDM変調信号をFFT(高速フーリエ変換)部1へ入力させる。なお、該OFDM変調信号は、送信側において、規格番号「ARIB STD−B31」に係る仮想的な受信機すなわちモデル受信機を想定して決定された(言い換えればモデル受信機により規定された)順序すなわち第1順序で、TSパケットが時間的に並べられたものである。
FFT部1は、入力されたOFDM変調信号に対して、FFT処理を実施することにより、時間軸上の信号を周波数軸上の信号に変換する。差動復調/同期復調部2は、FFT処理を実施された信号に対して、DQPSK変調信号については差動復調を、QPSK、16QAM、64QAM変調信号については同期復調を、それぞれ行なうことにより復調処理を実施する。
周波数デインタリーバ3は、復調処理を実施された信号に対して、電波の反射などによる特定周波数信号の欠落を補うために行われた周波数インタリーブ処理を元に戻すように周波数デインタリーブ処理を実施する。
時間デインタリーバ4は、周波数デインタリーブ処理を実施された信号に対して、耐フェージング性能を改善するために行われた時間インタリーブ処理を元に戻すように、時間デインタリーブ処理を実施する。また、時間デインタリーバ4には、付随するように外付けメモリ30が設けられている。外付けメモリ30は、時間デインタリーバ用メモリ31、書き込み制御部32、および読み出し制御部33で構成されている。なお、この外付けメモリ30は、あるいは、時間デインタリーバ4内部に設けられてもよい。
時間デインタリーバ用メモリ31としては、時間デインタリーブがOFDMフレーム間での畳み込みデインタリーブであるので、最大2OFDMフレーム程度の大容量のメモリが必要となる。
書き込み制御部32は、送信側で実施された時間インタリーブの規則に従って、FFTのサンプルクロック毎に時間デインタリーバ用メモリ31に格納位置を切り替えて書き込む。
読み出し制御部33は、送信側で実施された時間インタリーブ処理の規則に従うと共に、TS再生制御部16、および階層バッファ14A〜14Cからの制御信号に基づいて、(後述する階層A〜Cのうちの)任意の階層の1TSパケットデータをまとめて読み出す。
また、読み出し制御部33は、モデル受信機により規定された第1順序で並べられたパケットを、後述するように、第1順序とは異なる所望の第2順序となるように並べ替える制御も実施する。具体的には、この所望の第2順序とは、本発明に係る誤り訂正手段としての外符号復号部20において誤り訂正処理を行う際に、同じ階層のTSパケットデータを連続的に処理できるように揃えたものであるが、詳細については後述する。
データ処理部10は、伝送特性の異なる複数階層を同時に伝送する階層伝送を実現するため、階層情報が指定された複数のTSパケットデータからなる受信データを最大3系統(階層A〜C)の並列処理ができるよう3系列の階層毎転送経路で構成されている。データ処理部10は1TSパケット分の再生した再生データを出力するか、該再生データを出力しない期間にはヌルTSパケットを出力する。また、データ処理部10は、自身で処理が実施されるタイミングあるいは処理後のデータが出力されるタイミングを予め演算し、該タイミング信号を外付けメモリ30の読み出し制御部33へ入力させる。なお、データ処理部10には、階層分割部11と、階層合成部15と、TS再生制御部16と、ヌルTSP部17と、階層A〜Cにそれぞれ対応するビットデインタリーバ12A〜12C、デパンクチュアード13A〜13C、および階層バッファ14A〜14Cが設けられている。
階層分割部11は、時間デインタリーブされたデータを階層(A〜C)毎に分割して送出する。階層毎に設けられたビットデインタリーバ12A〜12Cは、それぞれ、階層毎に分割されたデータに対して送信側で実施されたビットインタリーブを元に戻すようにビットデインタリーブ処理をする。デパンクチュアード13A〜13Cは、階層分割されたビットデインタリーバ12A〜12Cそれぞれの出力データに対して、送信側で実施されたパンクチュアード処理を元に戻すようにデパンクチュアード処理をする。階層バッファ14A〜14Cには、送信側におけるパンクチュアード処理前の状態に戻された受信データが順に格納される。階層合成部15は、階層毎のデータをOFDMフレーム毎のデータに合成してTS再生制御部16へ入力させる。
TS再生制御部16は、階層(A〜C)毎に設置されている階層バッファ14A〜14Cへのデータの格納状態を監視しており、1TSパケット分のデータが入力された時点でそのデータの階層に対応するように階層バッファ14A〜14Cのいずれかへと切り替え、階層合成部15を介してデータを転送させ、後段へ出力させる。それ以外の期間にはヌルTSP部17からヌルTSパケットを後段へ出力させる。またTS再生制御部16は、階層情報と外付けメモリ30からのデータ出力タイミングとを算出する。なお、TS再生制御部16の前にはスイッチが設けられており、OFDMフレームの先頭で、階層合成部15とヌルTSP部17とを交互に切り替えてTS再生制御部16へ接続させる。TS再生制御部16とビタビ復号部5との間のスイッチは、該切り替えタイミングよりも3TSパケット時間遅れて同じ側に切り替えられる。
ビタビ復号部5は、データ処理部10で再生されたTSパケットに対して、送信側で畳み込まれたデータをビタビ復号して出力する。階層分割部6は、ビタビ復号されたデータを階層(A〜C)毎に分割して送出する。階層毎に設けられたバイトデインタリーバ7A〜7Cは、階層毎に分割されたデータに対して送信側で実施されたバイトインタリーブを元に戻すようにバイトデインタリーブ処理をする。エネルギー逆拡散部8A〜8Cは、階層分割された各バイトデインタリーバ7A〜7Cそれぞれの出力データに対して、送信側で実施されたエネルギー拡散処理を元に戻すようにエネルギー逆拡散処理をする。階層合成部9は、階層毎のTSパケット単位のデータをOFDMフレーム毎のデータに合成して外符号復号部20へ入力させる。
外符号復号部20は、階層毎のTSパケット単位のデータに対して、送信側で付加された外符号パリティを用いて誤り訂正処理を行ない、TSパケットに含まれるデータを再生する。外符号復号部20には、RS復号部21と、誤り位置信号発生装置22と、初期順序化部23とが設けられている。
RS復号部21は、一定データ数毎に挿入された外符号パリティのみを用いる(従来の)誤り訂正を実施するか、後述する誤り位置信号発生装置22からのイレージャを外符号パリティに加えて用いる誤り訂正(イレージャ訂正)を実施することにより、誤り訂正処理を行い、処理後のデータを初期順序化部23へ入力させる。
誤り位置信号発生装置22は、発生した誤りがバーストエラーである場合にはTSパケット内の誤りデータの位置(配置)が時間軸で連続するTSパケット内の誤りデータの位置(配置)と隣り合うことを利用して、TSパケット内の誤りデータの位置(配置)を既知の誤り位置情報(イレージャ)として算出し、RS復号部21へ入力させる。これにより、階層分割されたバイトデインタリーバ7A〜7Cそれぞれの特性を有効に機能させることができる。
例えば、バイトデインタリーバ7A〜7Cのいずれかへの入力パケットが、図2に示されるようにN個のデータからなる場合には、入力パケットの2〜12番目のデータに連続的にバーストエラーが発生すると、1〜11番目の出力パケットは、それぞれ、12〜2番目のデータに誤りを含むこととなる(図2では、図示の都合上、1〜9番目の出力パケットが、それぞれ、12〜4番目のデータに誤りを含む様子が示されている)。すなわち、図1において、ビタビ復号部5におけるビタビ復号でバーストエラーが発生している場合には、バイトデインタリーバ7A〜7Cにおけるバイトデインタリーブにより、誤りが一定の規則を持って(隣り合って)時間的に分散される。従って、この規則に基づき誤りデータの位置を推測しイレージャフラグとして用いることにより、イレージャ訂正を行うことができる。
図1を参照して、初期順序化部23には、読み出し制御部33において第2順序へ並べ替えられたTSパケットが、RS復号部21で誤り訂正処理を実施された後に入力される。初期順序化部23は、TS再生制御部16から受け取った、TSパケットの情報(再生順序や階層情報など)を参照することにより、TSパケットを第1順序へ並べ替えて、後段の図示しないデコーダーへ順次出力する。
次に、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置の詳細な動作について説明する。
図1において、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、外部からOFDM変調信号を受信した場合、キャリア、クロック等を再生すると共に、該OFDM変調信号に対してFFT処理を実施し(FFT部1)、差動復調/同期復調処理を実施する(差動復調/同期復調部2)。次いで、送信側で実施された周波数インタリーブおよび時間インタリーブ処理を元に戻すために、それぞれ、周波数デインタリーブ処理(周波数デインタリーバ3)および時間デインタリーブ処理(時間デインタリーバ4)を実施する。時間デインタリーブ処理時のデータは、FFTのサンプルクロック毎に格納位置を切り替えて外付けメモリ30に随時書き込まれる。
読み出し制御部33は、書き込まれたデータに対して、送信側で実施された時間インタリーブ処理の規則に従った上で、TS再生制御部16、および階層バッファ14A〜14Cからの制御信号に基づいて、(階層A〜Cのうちの)任意の階層のTSパケットを選択するとともに読み出しタイミングを制御することで、後段へと任意の階層の1TSパケット分のデータをまとめて出力する。上述したように、この時、TSパケットは、モデル受信機により規定された第1順序とは異なる所望の第2順序に並べ替えられて出力される。
データ処理部10は、時間デインタリーブ処理を実施されたデータに対して、階層情報に従って階層A〜Cのいずれかに対応した転送経路をとりながら、送信側で実施された処理手順とは逆に、ビットデインタリーブ処理、デパンクチュアード処理を行ない、階層A〜Cに対応させて階層バッファ14A〜14Cのいずれかへ順次格納する。ここで階層バッファ14A〜14Cは、1TSP分のデータが蓄積された場合、その旨を制御信号として読み出し制御部33へ入力させる。読み出し制御部33は、該制御信号が入力されるとその階層のTSパケットデータの読み出しを終了させ、次に読み出す階層のTSパケットデータの読み出しに備える。また、階層バッファ14A〜14Cにそれぞれ蓄積された1TSパケット分のデータは、TS再生制御部16からのデータ出力速度に対応させて1バイトずつ出力される。
TS再生制御部16は、処理が実施されるタイミングを予め算出し、必要な階層情報を持った1TSパケット分のデータがこのタイミングで出力できるように、外付けメモリ30に対して制御信号を送っている。これにより、必要な階層情報を持った1TSパケット分のデータが適切なタイミングでビタビ復号部5へ出力される。TS再生制御16からの制御信号には、データの読み出しタイミングに関する情報、TSパケットの階層情報、およびTSパケットを前記所望の第2順序に並べ替えるための順序情報が含まれている。この第2順序は、後述するように、階層A〜Cを同時に伝送するために階層情報が指定され受信データにおいて、複数のTSパケットを階層毎に連続的に処理できるように揃えるような順序であるものとする。
また、TS再生制御部16は、再生されたTSパケットを、誤り訂正処理後に、モデル受信機により規定された第1順序すなわち初期順序に戻すために、後段の初期順序化部23へTSパケットの情報(再生順序や階層情報など)を出力する。さらに、TS再生制御部16は、任意の階層情報を持った1TSパケット分のデータを出力しない期間には、ヌルTSパケットを出力する。
次に、デジタル放送復調装置は、前記第2順序に並べ替えたTSパケットのデータを、送信側で実施された順序とは逆に、内符号を復号するためのビタビ復号処理を行ない(ビタビ復号部5)、再度階層情報に従って、各階層に対応した転送経路をとりながら、バイトデインタリーブ処理(バイトデインタリーバ7A〜7C)、エネルギー逆拡散処理(エネルギー逆拡散部8A〜8C)を行う。このエネルギー逆拡散処理は、階層A〜Cのうちの任意の階層の1TSパケット分のデータに対して行われるが、この階層に対応して、エネルギー逆拡散部8A〜8Cのいずれかが階層合成部9に接続され転送経路を構成している。従って、エネルギー逆拡散処理を実施されたデータは、階層合成部9を経てRS復号部21へ入力される。
RS復号部21は、まず、従来の外符号パリティのみを用いた誤り訂正(以下、パリティRS訂正と称す)の実施を試みる。そして、該パリティRS訂正が実施不可能である場合、以下のような手順でイレージャ訂正の実施を試みる。
すなわち、RS復号部21は、任意の階層情報を持った、時間軸で1つ前のTSパケット内の誤りデータの位置(配置)からイレージャを算出し、再度誤り訂正(以下、過去イレージャ訂正と称す)の実施を試みる。そして、過去イレージャ訂正も実施不可能である場合は、訂正処理を実施することなく該TSパケットデータを初期順序化部23へ入力させる。
具体的には、例えば、図2を参照して、3番目の出力パケットが訂正不可能であった場合には、2番目の出力パケットにおいては11番目のデータが誤りを含んでいることを検知することにより、3番目の出力パケットにおいては10番目のデータが誤りを含んでいると推測する。これにより、過去イレージャ訂正が実施可能となる。なお、推測が外れていた場合には、上述したように、パリティRS訂正および過去イレージャ訂正のいずれをも実施することなく該TSパケットデータを初期順序化部23へ入力させる。
次に、RS復号部21は、任意の階層情報を持った、時間軸で1つ後のTSパケットデータに対して、前述の訂正処理の実施を試みる。そして、実施不可能である場合には、パリティRS訂正か過去イレージャ訂正が実施可能になるまで、時間軸で1つずつ後のTSパケットデータに対して訂正処理を試みる。
具体的には、例えば、図2を参照して、3番目の出力パケットに対してパリティRS訂正および過去イレージャ訂正のいずれも実施不可能であった場合には、4番目の出力パケットに対してパリティRS訂正および過去イレージャ訂正の実施を試みる。そして、4番目の出力パケットに対してパリティRS訂正および過去イレージャ訂正のいずれも実施不可能であった場合には、5番目以降の出力パケットに対してパリティRS訂正および過去イレージャ訂正の実施を順次試みることとなる。
次に、RS復号部21は、パリティRS訂正か過去イレージャ訂正が実施可能なTSパケットが訂正処理された場合、パリティRS訂正か過去イレージャ訂正が完了している、時間軸で1つ前のTSパケットデータを初期順序化部23から読み出し、訂正可能になったTSパケット内の誤りデータの位置(配置)からイレージャを算出し、該読み出したTSパケットに対して、誤り訂正(以下、未来イレージャ訂正と称す)を実施する。そして、訂正処理が終了したTSパケットを順次初期順序化部23へ入力させる。
具体的には、例えば、図2を参照して、3〜5番目の出力パケットが訂正不可能であるが6番目の出力パケットが訂正可能であった場合には、6番目の出力パケットにおいては7番目のデータが誤りを含んでいることを検知することにより、5番目の出力パケットにおいては8番目のデータが誤りを含んでいると推測する(すなわち、未来イレージャ訂正と過去イレージャ訂正とでは、時間軸において、推測すべき方向が逆になっている)。
さらに、RS復号部21は、前記未来イレージャ訂正を時間軸で1つずつ前のTSパケットデータに対して実施し、一番初めにパリティRS訂正および過去イレージャ訂正が不可と判定されたTSパケットデータまで繰り返す。
具体的には、例えば、図2を参照して、さらに時間軸を遡り、初めに訂正処理が不可となった3番目の出力パケットに対しても、未来イレージャ訂正を実施する。
すなわち、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、パリティRS訂正が不可の場合には、時間的に前のトランスポートストリームパケットにおける誤り位置に基づく過去イレージャ訂正のみならず、時間的に後のトランスポートストリームパケットにおける誤り位置に基づく未来イレージャ訂正を実施する点が、従来のデジタル放送復調装置と異なっている。
初期順序化部23は、RS復号部21において誤り訂正が実施されたTSパケットを、内蔵するメモリ上に蓄積保持するとともに、モデル受信機により規定された第1順序において該TSパケットを出力させる順番が来たときに、該TSパケットを出力し、図示しない後段のデコーダーへ入力させる。この順番は、上述したように、TS再生制御部16から受け取った、TSパケットの情報(再生順序や階層情報など)を監視することにより検知される。
次に、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置の性能について、従来のデジタル放送復調装置との比較により説明する。
例えば、3TSパケットの未来イレージャ訂正を行う場合、伝送MODE3、ガードインターバル1/8の条件で、A階層が1セグメント(変調方式64QAM、符号化率5/6)、B階層が12セグメント(変調方式64QAM、符号化率3/4)で構成されるOFDM信号であれば、最もメモリ量を使用するモデル受信機の第1順序は、周知の手法により、A階層のn番目のTSパケットであるパケットAnと、B階層のn番目のTSパケットであるパケットBnと、およびn番目のヌルTSパケットであるパケットNnとを用いて、「・・・、B1、N1、N2、N3、・・・、N8、N9、A1、A2、B2、B3、B4、・・・」と求められる(nは自然数)。
この順序において、パケットB1,B2,B3がパリティRS訂正および過去イレージャ訂正によって訂正不可能であり、TSパケットB4がパリティRS訂正および過去イレージャ訂正によって訂正可能であったとする。
この場合、未来イレージャ訂正を行うためには、パケットB1からパケットB4までの全てのパケットをメモリに格納する必要があることから、従来のデジタル放送復調装置であれば、パケットB1〜B4,N1〜N9,A1〜A2を格納するための15TSパケット分のメモリが必要となる。
しかし、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置によれば、上記の順序において、「N1、N2、N3」の位置に「B2、B3、B4」が配置されるよう並び替えが行われるので、並び替え後の第2順序は、「・・・、B1、B2、B3、B4、N1、N2、N3、・・・、N8、N9、A1、A2、・・・」となる。従って、「B1、B2、B3、B4」の4TSパケット分のメモリがあれば、未来イレージャ訂正が実施できる。なお、上述したように、並び替えられたTSパケットは、初期順序化部23において、元の順序すなわちモデル受信機により規定された第1順序に、再配列される。
すなわち、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置によれば、メモリ容量を縮小できるので(上記の例では11TSパケット分)、LSI等の回路規模を縮小できる。従って、消費電力を抑制することが可能となる。
また、図3は、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置において、RS訂正のバイト数が8バイト(8バイト訂正RS)で最大イレージャ数が14個という条件のもとで、RS復号部21の入力データに対して3TSパケットの未来イレージャ訂正を行った後のビットエラーレートを示すグラフである。図3において、横軸はビタビ復号部5から出力されたデータ(ビタビ後データ)のビットエラーレートを示し、縦軸はRS復号部21の入力データを誤り訂正した後に得られたデータ(RS後データ)のビットエラーレートを示す。
図3中の実線は、8バイト訂正RS(図中のRS8)、12バイト訂正RS(図中のRS12)、および14バイト訂正RS(図中のRS14)にそれぞれ対応する理論曲線(エラーレート曲線)である。また、図中の黒丸(●)印は、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置から出力された信号に対応するエラーレートをプロットしたものである。
図3に示されるように、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置によれば、12バイト訂正RSを上回る点が多く、平均すると13バイト訂正RSの訂正能力程度の高い訂正能力が得られる。
このように、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、モデル受信機により規定された第1順序で受信された複数のトランスポートストリームパケットに対して、第1順序とは異なる第2順序で誤り訂正処理を実施する。従って、複数のトランスポートストリームパケットを階層毎に揃えるように並べ替えることにより、誤り訂正処理を連続的に実施することができる。よって、LSI等の回路規模を縮小できるので、消費電力を抑制することができる。
また、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、過去イレージャ訂正のみならず未来イレージャ訂正を実施するので、誤り訂正能力を向上させることができる。
なお、上述においては、階層バッファ14A〜14Cから制御信号を読み出し制御部33へ入力させることにより読み出し速度を制御する場合について説明したが、これに限らず、あるいは、デパンクチュアード13A〜13Cでデパンクチュアード処理されるTSパケットの符号化率を読み出し制御部33へ入力させることにより読み出し速度を制御してもよい。読み出し制御部33において、読み出し速度をデパンクチュアード13A〜13Cから出力されるデータの出力速度に応じて制御することにより、階層バッファ14A〜14Cから制御信号を用いる場合と同様に、読み出し速度をTS再生制御部16の出力速度と一致させることができる。
また、上述においては、RS復号部21における誤り訂正をパリティRS訂正、過去イレージャ訂正、未来イレージャ訂正の順で実施する場合について説明したが、これに限らず、あるいは、パリティRS訂正、未来イレージャ訂正、過去イレージャ訂正の順で実施してもよい。
<実施の形態2>
実施の形態1では、RS復号部21において、過去イレージャ訂正および未来イレージャ訂正のどちらかを用いる誤り訂正について説明した。しかし、さらなる誤り訂正能力の向上に向けて、過去および未来の両方のイレージャを用いてもよい。
図4は、本発明の実施の形態2に係るデジタル放送復調装置の構成を示すブロック図である。図4は、実施の形態1に係る図1において、誤り位置信号発生装置22で算出されたイレージャを選択するための誤り位置選択部25(選択手段)を外符号複合部20に追加したものである。図4において、図1と同様な構成要素は、同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
誤り位置選択部25は、未来イレージャ訂正を実施する際に、過去イレージャの情報も加える、もしくは任意選択して、TSパケット内の誤りデータの位置(配置)を既知の誤り位置情報(イレージャ)として抽出する。イレージャ選択方法としては、未来および過去のイレージャ全てを選択してもよいし、未来および過去で一致するイレージャのみを選択してもよい。
このように、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、誤り位置選択部25を用いることにより、過去および未来の両方のイレージャから抽出した情報を用いたイレージャ訂正が実施できる。従って、実施の形態1に比較して、イレージャの精度を向上させ誤り訂正能力をさらに向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1で上述したように、読み出し制御部33に対して、デパンクチュアード13A〜13Cから出力される信号で制御してもよい。
<実施の形態3>
実施の形態1では、読み出し制御部33でメモリを用いて第1順序から第2順序へ並べ替られたTSパケットを、RS復号部21において誤り訂正を実施した後に、初期順序化部23でメモリを用いて第2順序から第1順序へ並べ替える場合について説明した。しかし、誤り訂正後のTSパケットは、必ずしもメモリを用いて第1順序へ並べ替えられる必要はない。
図5は、本発明の実施の形態3に係るデジタル放送復調装置の構成を示すブロック図である。図5は、実施の形態1に係る図1において、初期順序化部23に代えて、処理速度制御部24を設けたものである。図5において、図1と同様な構成要素は、同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
実施の形態1に係る図1のデジタル放送復調装置は、第1順序から第2順序へ並べ替えられたTSパケットを、初期順序化部23に蓄積保持することにより、第2順序から第1順序へ戻している。従って、初期順序化部23において、TSパケットを蓄積保持するためのメモリが必要となる。
一方、本実施の形態に係る図5のデジタル放送復調装置は、処理速度制御部24(処理速度制御手段)を用いて誤り訂正処理の速度を高める制御を行うことにより、第1順序から第2順序へ並べ替えられたTSパケットを第2順序から第1順序へ並び替える処理を不要としている。
例えば、実施の形態1で上述した第1順序「・・・、B1、N1、N2、N3、・・・、N8、N9、A1、A2、B2、B3、B4、・・・」で並べられたパケットB1〜B4,N1〜N9,A1〜A2は、外付けメモリ30の読み出し制御部33の処理速度を高めることで、実施の形態1とは異なる第2順序「・・・、(B1、B2、B3、B4)、N1、N2、N3、・・・、N8、N9、A1、A2、(B2、B3、B4、B5)、(B3、B4、B5、B6)、(B4、B5、B6、B7)、・・・」のように同じ階層のパケットを連続して処理できるよう並び替えられている。読み出し制御部33から外符号複合部20までが、処理速度制御部24により処理速度を高める制御を行い、上記の第2順序においてパケットB1を処理してから一度目のパケットB4を処理するまでの時間が、第1順序においてパケットB1を処理する時間と同様になるようにする。その上で一度目のパケットB2〜B4の処理内容を捨て去りパケットB1の処理内容だけを、処理速度制御部24で処理速度を高めた分だけ遅らせて(例えば、4倍速で処理させたなら1/4倍速にする)出力する。すなわち、処理速度を高め1パケットあたりの処理時間を短くすることにより、メモリを用いてTSパケットを並び替えることなく、実質的に(擬似的に)第1順序どおりで処理することが可能となる。なお、RS復号部21において誤り訂正を実施されたTSパケットは、後段の図示しないデコーダーへ、第1順序で出力される。
このように、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、処理速度制御部24を用いることにより、初期順序化のためにTSパケットを蓄積保持するメモリを不要としている。従って、実施の形態1に比較して、さらにLSI等の回路規模を縮小できる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1で上述したように、読み出し制御部33に対して、デパンクチュアード13A〜13Cから出力される信号で制御してもよい。
また、RS復号部21における誤り訂正の順序についても、実施の形態1で上述したように、パリティRS訂正、未来イレージャ訂正、過去イレージャ訂正の順で実施してもよい。
さらに、実施の形態2で上述したように、誤り位置選択25部を用いて誤り訂正能力を向上させてもよい。
<実施の形態4>
実施の形態1では、初期順序化部23をTS再生制御部16からの制御信号で制御することによりTSパケットを第2順序から第1順序へ並べ替える場合について説明した。しかし、TSパケットに対する第2順序から第1順序への並べ替えは、必ずしもTS再生制御部16からの制御により行われる必要はない。
図6は、本発明の実施の形態4に係るデジタル放送復調装置の構成を示すブロック図である。図6は、実施の形態1に係る図1において、TS再生制御部16により制御される初期順序化部23に代えて、TS再生制御部16により制御されないパケット再構築メモリ40(蓄積手段)を設けたものである。図6において、図1と同様な構成要素は、同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
実施の形態1に係る図1のデジタル放送復調装置は、第1順序から第2順序へ並べ替えられたTSパケットを、TS再生制御部16から制御信号として入力される、TSパケットの情報(再生順序や階層情報など)を用いることにより、第2順序から第1順序へ戻している。
一方、本実施の形態に係る図5のデジタル放送復調装置は、階層(A〜C)毎に区分された蓄積領域を有するパケット再構築メモリ40を用いて、第1順序から第2順序へ並べ替えられて誤り訂正処理が実施されたTSパケットを、階層毎に蓄積し、階層毎に出力する。これにより、前記TSパケットの情報を制御信号として入力されることなく、第2順序から第1順序へ戻すことができる。
なお、パケット再構築メモリ40は、以下のような手順により、第2順序を検知することが可能である。例えば、読み出し制御部33において、階層毎に所定量のデータ(階層Aでは20パケット分、階層Bでは50パケット分、等)が蓄積された場合に後段のデータ処理部10へデータを出力するように設定しておけば、パケット再構築メモリ40は、上記の所定量に関する情報を参照しつつパケットカウンタでパケット数をカウントすることにより、第2順序を検知することが可能となる。
このように、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、初期順序化部23に代えてパケット再構築メモリ40を用いることにより、TS再生制御部16から複雑な制御信号を入力させることなく、単純な回路構成でTSパケットを第2順序から第1順序へ戻すことができる。従って、実施の形態1に比較して、さらにLSI等の回路規模を縮小できる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1で上述したように、読み出し制御部33に対して、デパンクチュアード13A〜13Cから出力される信号で制御してもよい。
また、RS復号部21における誤り訂正の順序についても、実施の形態1で上述したように、パリティRS訂正、未来イレージャ訂正、過去イレージャ訂正の順で実施してもよい。
さらに、実施の形態2で上述したように、誤り位置選択25部を用いて誤り訂正能力を向上させてもよい。
<実施の形態5>
実施の形態1では、読み出し制御部33においてメモリを用いて第1順序から第2順序へ並べ替られたTSパケットを、RS復号部21において誤り訂正を実施した後に、初期順序化部23においてメモリを用いて第2順序から第1順序へ並べ替える場合について説明した。しかし、これらの並べ替えは、いずれも、必ずしも実際に行われる必要はなく、実質的に(擬似的に)行われればよい。
図7は、本発明の実施の形態5に係るデジタル放送復調装置の構成を示すブロック図である。図7は、実施の形態1に係る図1において、TS再生制御部16により制御される初期順序化部23に代えて、TS再生制御部16により制御されない、パケット保持制御部50、再訂正判断部51、およびパケットバッファ52を設けたものである。図6において、図1と同様な構成要素は、同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
実施の形態1に係る図1のデジタル放送復調装置は、第1順序から第2順序へ並べ替えられたTSパケットを、TS再生制御部16から制御信号として入力される、TSパケットの情報(再生順序や階層情報など)を用いることにより、第2順序から第1順序へ戻している。
一方、本実施の形態に係る図7のデジタル放送復調装置は、以下に説明するように、TSパケットの出力順序の並べ替えを、実際には行わず、再訂正手段(パケット保持制御部50、再訂正判断部51、およびパケットバッファ52)を用いて擬似的にのみ行うので、前記TSパケットの情報を制御信号として入力される必要はない。
図7において、TSパケットは、読み出し制御部33において並べ替えを行われないので、第1順序で外符号復号部20へ入力され、誤り訂正の実施を順次試みられた後に、パケットバッファ52へ格納される。このとき、パケットバッファ52へは、誤り訂正の実施が可能であったか不可能であったかを示す可/不可情報も、TSパケットと併せて格納される。
再訂正判断部51は、誤り訂正が実施不可能であった一のTSパケットに関して、同じ階層で時間軸が後のTSパケットの誤り訂正が実施可能であったという情報を外符号復号部20から受け取ると、現在がヌルTSパケットの処理期間であれば、前記一のTSパケットについては、上記の情報を用いることにより未来イレージャ訂正が実施可能であると判断する。そして、前記一のTSパケットをパケットバッファ52から外符号復号部20へ出力させ外符号復号部20で未来イレージャ訂正を実施させる。
パケット保持制御部50は、外部からユーザによって任意に与えられた、もしくは固定値として設定されている所定のパケット保持期間が経過すると、その旨を示すパケット保持期間経過信号をパケットバッファ52へ出力する。
パケットバッファ52は、パケット保持制御部50からパケット保持期間経過信号を受け取ると、誤り訂正を実施したTSパケットを、保持期間が長い順に出力していく。
このように、本実施の形態に係るデジタル放送復調装置は、ヌルTSパケットの再生期間を利用して再度の誤り訂正を行うことにより、TSパケットの誤り訂正が実施される順序を擬似的に並べ替えている。このとき、TS再生制御部16から複雑な制御信号を入力させる必要はない。従って、実施の形態4と同様の効果を奏する。
なお、本実施の形態では、実施の形態1で上述したように、読み出し制御部33に対して、デパンクチュアード13A〜13Cから出力される信号で制御してもよい。
また、RS復号部21における誤り訂正の順序についても、実施の形態1で上述したように、パリティRS訂正、未来イレージャ訂正、過去イレージャ訂正の順で実施してもよい。
さらに、実施の形態2で上述したように、誤り位置選択25部を用いて誤り訂正能力を向上させてもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。