JP4858286B2 - フルハード冷延鋼板 - Google Patents
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特許文献1や特許文献2には、冷間圧延後に焼鈍処理を施さずにフルハードの状態で使用されるフルハード冷延鋼板が開示されている。
一方、C含有量を低減することによって、熱間圧延後の冷間圧延素材の硬さが過度に低下し、冷間圧延後において製品に要求される硬さに到達しない可能性がある。したがって、主としてMnを含有させることにより製品の強度調整を行い、この点を補償することが有効である。
上記知見に基づいて本発明を完成した。
(1)V:0.4質量%以下、
(2)B:0.01質量%以下、そして
(3)Cr:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下、Cu:1.0質量%以下およびMo:1.0質量%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上。
C:0.05〜0.25%
Cは、上述したように本発明で最も重要な元素である。C含有量を低減することで、熱履歴によって生成する可能性のあるマルテンサイトの硬さおよび体積率を抑制することができるため、金属組織の変化が少なくなり、硬さ変化や寸法精度の低下を抑制することができる。そのため、C含有量を0.25%以下とする。好ましくは0.15%以下、さらに好ましくは0.12%以下である。一方、後述するように、Ti等の析出物(主に炭化物)を形成させて再結晶を抑制する効果を得るために、C含有量を0.05%以上とする。望ましいC含有量は0.05〜0.15%である。
Siは、不純物として鋼中に含有される元素でもあるが、強度を向上させる作用や脱酸作用を有する元素でもあるので、C含有量を制限することに伴う製品の強度低下を補償する目的等で含有させることができる。一方、Siを過剰に含有すると熱間圧延時のスケール剥離性が悪くなり、製品に表面欠陥をもたらす場合がある。したがって、Si含有量を1.0%以下とする。好ましくは0.5%以下である。さらに好ましくは、0.3%以下である。
Mnは、Siと同様に強度を向上させる作用を有する元素であるので、C含有量を制限することに伴う製品の強度低下を補償する目的で含有させる。Mn含有量が0.5%未満では十分な強化能が得られないので、Mn含有量を0.5%以上とする。一方、Mn含有量が2.5%超であると、鋼中のSと結合して生成されるMnSにより加工割れが誘起され、製品への加工時に打ち抜き面性状を劣化させる。したがって、Mn含有量を2.5%以下とする。本発明では、C含有量を制限するため製品の強度確保に寄与する元素の含有が必要であり、上述したようにSi含有量も或る程度制限されるため、主としてMnにより強化するのが好ましいので、Mn含有量を1.0%以上とすることが好ましい。
Pは、不純物として鋼中に含有される元素であり、鋼板の打ち抜き面性状の劣化を招くため、P含有量はできるだけ低い方が好ましい。特に、P含有量が0.05%を超えると鋼板の打ち抜き面性状の劣化が顕在化することから、P含有量は0.05%以下とする。好ましくは、0.03%以下である。
Sも不純物として鋼中に含有される元素であり、鋼中のMnと結合してMnSを生成することにより、鋼板の延性を阻害するのみならず、強度確保のために含有させるMnを徒に消費してしまうので、やはり低い方が好ましい。特に、Mn含有量が0.05%を超えると上記問題が顕在化することから、S含有量は0.05%以下とする。
TiおよびNbは、熱履歴による軟化を抑制するために本発明において重要な元素である。好ましい態様は、TiおよびNbの同時添加である。本発明においては、鋼中におけるTiおよび/またはNbの炭化物や炭窒化物の析出物を制御することで、冷延鋼板の再結晶を抑制し、これにより熱履歴による軟化を抑制する。そのためTiおよび/またはNbを含有させることとし、いずれか一方または双方の含有量を0.01%以上とする。一方、多量に含有させると粗大な析出物を形成するため、再結晶抑制の効果が得られなくなり、本発明が目的とする効果が奏されないようになるため、それぞれの含有量を0.2%以下とする。好ましくは、0.1%以下である。
Alは、脱酸元素として含有される。また、鋼中のNをAlNとして固定する作用も有する。一方、Al含有量が0.1%を超えると、鋼の清浄度が損なわれ、表面疵が発生し鋼板の表面品質を低下させる原因となる。このため、Al含有量を0.1%以下とする。
Nは、不純物として鋼中に含有される元素である。N含有量が0.01%を超えると再結晶抑制効果の得られない粗大なTiNを形成して消費されるTiの量が多くなり、本発明のポイントであるTi含有による再結晶抑制効果が得られなくなることから、N含有量を0.01%以下する。
さらにまた、強度確保のために、Cr、Ni、Cu、Moから選んだ少なくとも1種をそれぞれ1.0%以下含有させてもよい。
熱履歴による再結晶を抑制するためにはTiおよび/またはNbの析出物を微細に分散させる必要があり、その効果が発現するために平均粒径を50nm以下とする。より望ましくは30nm以下である。
表1に示す成分の実験室にて溶製したスラブを用いて、熱間圧延を施した。熱間圧延は850℃で圧延を終了した直後に約30℃/秒の水冷を行い、700℃から10〜20秒の緩冷却(空冷)を行い、560℃から巻き取りを模擬して20℃/時で室温まで冷却した。その後50%の冷間圧延により鋼板(板厚:1.8mm)を製造した。
その際一部の鋼板については析出物粒径を変化させるために、冷間圧延前に650℃×10時間の焼鈍を施した。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.1%以下およびN:0.01%以下を含有し、さらにTi:0.01〜0.2%およびNb:0.01〜0.2%の1種または2種を含有し、残部Fe及び不純物からなる化学組成を有し、Tiおよび/またはNbの析出物を有し、該析出物の平均粒径が50nm以下であることを特徴とするフルハード冷延鋼板。
- 前記Feの一部に代えて、質量%で、V:0.4%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載のフルハード冷延鋼板。
- 前記Feの一部に代えて、質量%で、B:0.01%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のフルハード冷延鋼板。
- 前記Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下およびMo:1.0%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフルハード冷延鋼板。
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