JP4857890B2 - ロック装置及びこれを備えた操舵装置 - Google Patents
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そして、シャフトをその軸線回りに正方向に回動させることで、操作ブロックの前記方向変換手段により、第二ラック部材を第一ラック部材から離反させることができる。これにより、両部材の両ラック歯の噛合を解くことができ、第一ラック部材と第二ラック部材のいずれか一方と一体移動する移動部材は、固定部材に対して移動可能なロック解除状態となる。
さらに、操作ブロックの前記回動手段により、シャフトをその軸線回りに正方向に回動させ、第二ラック部材を第一ラック部材に対して回動させることで、両ラック歯が相対的に回転した状態、つまり噛合できない状態(非噛合状態)が得られる。これにより、移動部材を移動させる際に、第一ラック部材と第二ラック部材との間において両ラック歯同士が引っ掛かることを防止でき、移動部材を安定して移動させることができる。
これによれば、シャフトをその軸線回りに逆方向に回動させて非ロック位置からロック位置に戻す途中において、シャフトを回動させる前記操作部から操作する人が手を離しても、前記位置保持手段によって、第一ラック部材と第二ラック部材とを離反させた状態に維持して両ラック歯が噛合してしまうことを防ぐことができる。つまり、前記弾性部材の弾性力に抗するために、手動で操作部(シャフト)を持っておく必要がない。
これによれば、方向変換手段、回動手段、及び、位置保持手段による機能を異形ガイド孔により構成することができ、簡単な構成により複数の機能を操作ブロックは備えることができる。
これによれば、シャフトを逆方向に回動させロック位置にする際に、第二ラック部材のラック歯を第一ラック部材に対して、シャフトの軸線回りに回動させながら両ラック歯を噛合させる動作が行われる。これにより、第二ラック部材のラック歯を第一ラック部材のラック歯にねじり入れて噛み合わせる動作を可能とし、両ラック歯の山部と山部とが接触して両者が噛み合わない状態となることを防止できる。
これによれば、方向変換手段、回動手段、位置保持手段、及び、ハーフロック防止手段による機能を異形ガイド孔により構成することができ、簡単な構成により複数の機能を操作ブロックは備えることができる。
これによれば、シャフトをロック位置と非ロック位置とのうちの少なくとも一方の回動位置に止定することが可能となり、シャフトの回動位置について誤操作を防止できる。
これによればロック装置において、第一ラック部材と第二ラック部材との間において両ラック歯が相対的に回転した状態、つまり噛合できない状態(非噛合状態)とすることによって、ステアリングロッドを支持しているコラムが、車体に固定された固定ブラケットに対して移動可能となるロック解除状態が得られる。そして、この非噛合状態では、コラムを移動させる際に、第一ラック部材と第二ラック部材との間において両ラック歯同士が引っ掛かることを防止でき、コラムを安定して移動させることができる。
また、第一ラック部材と第二ラック部材との間を噛合状態とすることによって、コラムの固定ブラケットに対する移動が規制されたロック状態を得ることができる。そして、この噛合状態では、両ラック歯が噛み合ってコラムを固定ブラケットに強固に固定できる。
図1はこの発明のロック装置を備えた自動車の操舵装置の概略構成を示している図である。この操舵装置はテレスコ機構を備えたものであり、端部にステアリングホイール40を取り付けたステアリングロッド45を回転可能に支持しているコラム41が、車体側に固定された固定ブラケット42に対して車両前後方向に移動自在とされている。そして、ロック装置50によって、固定ブラケット42に対するコラム41の移動を規制するロック状態と、固定ブラケット42に対するコラム41の移動を許容するロック解除状態とに切り替えることができる。なお、固定ブラケット42はその取付板47において車体側と固定される。図1の操舵装置は、図14に示した従来のものと全体構造は同様であるが、ロック装置において異なる。
このロック装置50は、コラム41と固定ブラケット42とを車幅方向に貫通し軸線回りに回動可能なシャフト43と、このシャフト43の端部に固定され当該シャフト43を回動させる操作部としての操作レバー44と、コラム41側に固定の第一ラック部材1と、固定ブラケット42側に固定の第二ラック部材2と、第一ラック部材1に接離可能とされた第二ラック部材2を当該第一ラック部材1側へ接近させる方向に付勢する弾性部材4とを有している。このロック装置50は、図2に示している状態で、第一ラック部材1とこれに対向する第二ラック部材2との間に、弾性部材4によって締め付け力を作用させ、コラム41が固定ブラケット42に対して移動できないロック状態となっている。
図2と図6に示しているように、第一ラック部材1及びコラム41の取付部材41aには、軸方向に延びる長孔6が貫通形成されている。また、第二ラック部材2の中央部には円形の貫通孔7が形成されている。操作ブロック3は図8に示しているように、小径の内筒部材8と、これより大径の外筒部材9とを有する二重筒構造とされている。このうち外筒部材9が第二ラック部材2に固定されている。そして、図2において、前記長孔6、前記貫通孔7、及び、前記操作ブロック3を、シャフト43が挿通している。
さらに、このシャフト43に外嵌した状態となる第二ラック部材2及びこれに固定された操作ブロック3は、第一ラック部材1に対してシャフト43の軸線方向に沿って接近又は離反することができるが、当該軸線方向に直交する方向について、固定ブラケット42に固定された状態となる。
そして、前記位置決めピン15が一つの前記谷部10aに係止された状態(図2の状態)で、シャフト43は、第一ラック部材1と第二ラック部材2とが前記噛合状態となるロック位置に位置固定される。また、操作レバー44によってシャフト43を90°回動させることによって、前記弾性部材14の弾性力に抗して前記位置決めピン15が山部を乗り越え、他の谷部10bに係止された状態(図4の状態)となり、この状態で、シャフト43は、第一ラック部材1と第二ラック部材2とが前記非噛合状態となる非ロック位置に位置固定される。このように、位置決め部材10は、シャフト43の回動位置を定めることができる。
この位置決め部材10により、シャフト43をロック位置又は非ロック位置に止定することが可能となり、シャフト43の回動位置について誤操作を防止できる。
図8と図9において、内筒部材8には180°離れて第一、第二の孔18a,18bが形成されている。第一の孔18aは、隅部がアール形状とされた略矩形とされ、かつ、その一辺に孔中央に向かって突出したカム部21を有している異形状とされている。第二の孔18bは隅部がアール形状とされた略矩形とされている(図9(a)参照)。
外筒部材9には180°離れて第三、第四の孔19a,19bが形成されている。第三の孔19aは、隅部がアール形状とされた略矩形とされている。第四の孔19bは凹凸部のある異形状とされている(図9(b)参照)。
第四の孔19bにおいて、弾性部材4側(図2参照)の隅部から順に、コントロールピン17bが嵌合する円弧形状の第一凹部26、第二ラック部材2側へ突出している突起部27、第二ラック部材2側へ傾斜している傾斜部28、コントロールピン17bが嵌合する半円形状の第二凹部29、そして、傾斜部28に対向した辺が介在して凹形状の曲線部30が形成され、この曲線部30は前記第一凹部26と滑らかに連続している。
図10は、内筒部材8及び外筒部材9、これらに接触する第一と第二のコントロールピン17a,17bの動作を説明するものであり、内筒部材8及び外筒部材9について展開した状態での説明図である。なお、この図は径方向外側から外筒部材9を見た図である。つまり、図10では外筒部材9の裏に内筒部材8が隠れた状態である。
図10の(a)の状態は図2及び図3の状態に対応している。なお、図3は図2のロック装置50を反対側から見た断面図である。この状態では、第一ラック部材1と第二ラック部材2との両ラック歯11,12が噛合状態にある。つまり、操作レバー44がロック位置とされ、コラム41が固定ブラケット42に固定されたロック状態である。なお、図10(a)に示している仮想の基準線Lと操作ブロック3(外筒部材9)との間の隙間g1は、第一ラック部材1と第二ラック部材2との噛合状態にある両ラック歯11,12の隙間(図7(a)参照)に対応している。
また、外筒部材9に固定された第二ラック部材2は第一ラック部材1と両ラック歯11,12において噛合状態にあるため(図2と図3参照)、外筒部材9はシャフト43の軸線回りの回動できない状態にある。この状態からシャフト43を正方向(矢印r0方向)に回動させることで、図10(b)に示しているように、第二のコントロールピン17bは外筒部材9に対して周方向に回動移動し、この第二のコントロールピン17bは前記突起部27を乗り越え、第四の孔19bの傾斜部28に沿って移動する。
つまり、前記傾斜部28は、シャフト43の正方向の回動を外筒部材9(操作ブロック3)が第一ラック部材1から離れる方向の動作に変換する方向変換手段として機能し、第二ラック部材2を第一ラック部材1から離反させることができる。
なお、前記正方向の回動は、操作レバー44側から操作ブロック3方向をシャフト43の軸線方向に見て反時計回りに行われる回動としている。
これにより、第一ラック部材1は第二ラック部材2に対して前記長孔6によって移動自在となり、第一ラック部材1に固定されたコラム41が、固定ブラケット42に対して移動可能とされたロック解除状態となるとともに、コラム41を移動させる際に、第一ラック部材1と第二ラック部材2との間でラック歯11,12が引っ掛かることを防止でき、コラム41を安定して移動させることができる。
図11がこのロック動作を説明する図である。なお、図11(e)は図10(e)と同じ状態である。なお、第二コントロールピン17bが第二凹部29に達すると、第一のコントロールピン17aと内筒部材8のカム部21とは離れた状態となり、弾性部材22(図8)の弾性復元力によって内筒部材8は回りに回動し、外筒部材9に対してもとの位置に戻る。
また、この状態では図11(i)に示しているように、第二のコントロールピン17bは第一凹部26内にあり、突起部27は当該第二のコントロールピン17bの位置を保持している(レバー保持手段)。なお、この図11(i)は図10(a)の状態と同じである。
これらレバー保持手段、方向変換手段、回動手段、位置保持手段、及び、ハーフロック防止手段が、異形ガイド孔とされた第一の孔18a及び第三の孔19bのそれぞれの内周面の各部分で形成されていることにより、操作ブロック3は簡単な構成により複数の機能を備えたものとなる。
2 第二ラック部材
3 操作ブロック
4 弾性部材
6 長孔
8 内筒部材
9 外筒部材
10 位置決め部材
11 ラック歯
12 ラック歯
17a,17b コントロールピン
41 コラム(移動部材)
42 固定ブラケット(固定部材)
43 シャフト
44 操作レバー(操作部)
45 ステアリングロッド
50 ロック装置
Claims (7)
- 固定部材に対する移動部材の移動を規制するロック状態と、固定部材に対する移動部材の移動を許容するロック解除状態とに切り替えるロック装置において、
片面にラック歯を形成した第一ラック部材と、これに噛合するラック歯を形成し前記第一ラック部材に対して接離可能に対向している第二ラック部材と、前記第二ラック部材と一体に動作する操作ブロックと、前記第一ラック部材と前記第二ラック部材とを接近させる方向に付勢して両部材のラック歯を噛合させる弾性部材と、前記ラック歯の形成面に直交する軸線回りに回動可能とされ前記操作ブロックを動作させるシャフトと、このシャフトを回動させる操作部と、を備え、前記第一ラック部材と前記第二ラック部材のいずれか一方が前記移動部材と一体移動し、他方が前記移動部材の移動方向について前記固定部材に対してロック状態とされ、
前記操作ブロックは、前記シャフトの正方向の回動を当該操作ブロックが前記第一ラック部材から離れる方向の動作に変換させることで、前記弾性部材の付勢力に抗して前記第二ラック部材を前記第一ラック部材から離反させる方向変換手段と、前記シャフトの正方向の回動に連動させて前記操作ブロックを前記第二ラック部材と共に前記第一ラック部材に対して前記シャフトの軸線回りに所定角度回動させる回動手段と、を有していることを特徴とするロック装置。 - 前記操作ブロックは、前記第二ラック部材が前記第一ラック部材に対して所定角度回動した状態となる前記シャフトの非ロック位置から、当該シャフトを逆方向に回動させ、前記第一と第二ラック部材の両ラック歯同士が噛合する噛合状態となる前記シャフトのロック位置に戻す途中において、前記操作ブロックを前記第二ラック部材と共に前記第一ラック部材から離反させた状態に維持する位置保持手段を有している請求項1に記載のロック装置。
- 前記操作ブロックは、前記シャフトから突出するピンと内周面が接触する異形ガイド孔を有し、前記方向変換手段、前記回動手段、及び、前記位置保持手段は、前記異形ガイド孔の内周面の各部分で形成され、
回動する前記シャフトの前記ピンが前記異形ガイド孔の前記各部分に接触することで、前記操作ブロックが動作する請求項2に記載のロック装置。 - 前記操作ブロックは、前記シャフトを逆方向に回動させ前記ロック位置にすることで前記噛合状態とさせる際に、前記第二ラック部材のラック歯を前記第一ラック部材に対して前記シャフトの軸線回りに回動させながら当該第一ラック部材のラック歯に噛み合わせるハーフロック防止手段を有している請求項2に記載のロック装置。
- 前記操作ブロックは、前記シャフトから突出するピンと内周面が接触する異形ガイド孔を有し、前記方向変換手段、前記回動手段、前記位置保持手段、及び、前記ハーフロック防止手段は、前記異形ガイド孔の内周面の各部分で形成され、
回動する前記シャフトの前記ピンが前記異形ガイド孔の前記各部分に接触することで、前記操作ブロックが動作する請求項4に記載のロック装置。 - 前記シャフトを、ロック位置と非ロック位置とうちの少なくとも一方の回動位置に止定する位置決め部材をさらに備えている請求項1〜5のいずれか一項に記載のロック装置。
- 車体側に固定される固定ブラケットと、ステアリングロッドを支持し前記固定ブラケットに対して移動自在とさているコラム、とを備え、前記固定ブラケットが前記固定部材とされ、前記コラムが前記移動部材とされ、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロック装置を備えたことを特徴とする操舵装置。
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