JP4855566B2 - 汚染土壌浄化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染土壌中の水銀,シアン等の有害な物質を分離し除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水銀等に汚染された土壌から汚染物質を除去する方法は、例えば本願出願人自身が出願した特開平9−29221号、特開平10−165932号、特開平10−286555号、特開平10−296229号及び特開平11−172346号に開示されているように、土壌に遷移金属、マグネシウム、カルシウム、鉄の硫化物、過酸化物等の添加剤を土壌に混合し、ただ一基の焼却炉内で加熱処理し、蒸気化した水銀を急冷して凝集・沈殿させて処理していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の汚染土壌浄化方法においては、次のような問題がある。
<イ> 種々の含水率の汚染土壌をただ一基の焼却炉内に供給し処理するため高含水率の汚染土壌に対しては、時間当たりの処理能力が大幅に低下する。
また、焼却炉内での加熱処理中、汚染土壌の温度並びに含水率を一定に保持することができないので汚染物質の除去の状態にバラツキを生ずる。
<ロ> 焼却炉の排熱を利用しないので、エネルギーの効率的使用ができない。
【0004】
【発明の目的】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数の焼却炉を直列に連結することにより、安全性及び信頼性の高い汚染土壌の浄化方法を提供するとともに、熱効率の良好な汚染土壌浄化方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するために、本発明の汚染土壌の浄化方法は、汚染物質を含有する土壌に添加剤を混合し、焼却炉内で熱して水銀を除去する方法において、第1の焼却炉と第2の焼却炉とを設けて直列に連結し、第1の焼却炉において汚染土壌を予熱する予熱工程と、第2の焼却炉において予熱された汚染土壌を加熱して汚染物質を分離する工程と、分離した汚染物質を除去する加熱工程と、第1の焼却炉及び第2の焼却炉から発生した排ガス及び水蒸気ガスの汚染物質を分離する除去工程とからなり、第1の焼却炉の予熱工程においては、前記第2の焼却炉内から発生した排ガスを濾過して再加熱し、第2の焼却炉の外筒に送り込み、第2の焼却炉の外筒を通過した排ガスを利用することを特徴とする、汚染土壌浄化方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0007】
<イ>汚染土壌浄化装置。
本発明においては、図に示すような汚染土壌浄化装置を使用する。
すなわち予熱工程を行う第1焼却炉1及び加熱工程を行う第2焼却炉2並びに除去工程を行う冷却装置12、湿式洗煙装置14等から構成する。
第1焼却炉1の汚染土壌の搬出口と第2焼却炉2の搬入口は搬送コンベアにより連結し、第1焼却炉1で予熱処理した汚染土壌を直接的に第2焼却炉2に送り出すことができる。
また第1焼却路1、第2焼却炉2及び冷却装置12等は、熱風循環路5、循環路6、第1排気路9乃至第3排気路11により連通している。
このうち熱風循環路5は、第2焼却炉2を加熱した排ガスの熱風を第1焼却炉1の外筒に導き第1焼却炉1を予熱するための流路である。
循環路6は、第2焼却炉2から発生した汚染物質を含む排ガスを再び第2焼却炉2の外筒に送り込むためのものである。
また第1排気路9乃至第3排気路11は、第1焼却炉1及び第2焼却炉2と冷却装置12とを連結する流路である。
上記の熱風循環路5と循環路6は、第2焼却炉2の外筒を介して連通し、さらに第1焼却炉1の外筒を介して第1排気路9に連通している。
第2焼却炉から伸びた熱風循環路5と第3排気路11との分岐点にはバブルが設けられており、双方の流路への排ガスの流量を調節する。
【0008】
<ロ>汚染土壌と添加剤との混合。
汚染土壌を第1焼却炉1内に投入するに先立ち、汚染土壌と鉄、ニッケル、マンガン等の遷移金属、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウムまたはこれらの化合物、ペルオキソ炭酸ナトリウム、水素化カルシウムなどの添加剤とを混合する。
これらの添加剤は、汚染物質を汚染土壌から分離することを促進する。また汚染物質である金属が他の物質と結合し、回収が困難な物質に変化することを防止するためのものである。
なお添加剤については、公知のものを使用できる。
【0009】
<ハ>第1の焼却炉内での汚染土壌の熱処理。
汚染土壌を第1焼却炉1内に投入して予熱処理を行う。第1焼却炉1としては、例えばロータリーキルンを使用する。
予熱処理時の加熱温度は、通常100℃程度とする。しかし、汚染土壌の含水率の状況等により50℃〜150℃程度の範囲で行う。こうすれば、高含水率の汚染土壌であっても十分に水分を発散させることができ、一様な含水率を有する汚染物質とすることができる。また、この範囲の温度内で予熱処理すれば、水銀等のガス化やダイオキシン等の発生を防ぐことができる。
この第1焼却炉1においては第2焼却炉2の排熱を利用するが、これについては後述する。
【0010】
<ニ>第2の焼却炉での汚染土壌の加熱。
第1焼却炉1で予熱処理した汚染土壌を、搬送コンベアにより第2焼却炉2内に搬送し、加熱する。第2焼却炉2として、第1焼却炉1と同様に、ロータリーキルン等を使用する。
この際の加熱温度は、200℃〜500℃程度の範囲で行うが、処理する汚染物質の性質に応じ、この範囲の温度のうち適正な温度を選択し、水銀等の汚染物質がガス化できるようにする。
なお、廃棄ガス中に含まれる汚染物質の濃度を濃度計により測定し、一定値以下になった場合、浄化された土壌は第2焼却炉2から搬送コンベアにより外部に取り出し処分する。
【0011】
<ニの1>ダイオキシン分解のための加熱とその排熱利用による第2焼却炉2の加熱。
汚染物質等のガス化に伴い、同時にダイオキシンなどの猛毒物質が発生する可能性がある。このため、第2焼却炉2で発生した排気ガスをコンプレッサによりバグフィルタ4に送り込み、濾過する。さらに、図1の矢印で示すように、循環路6を経由して第2焼却炉2の方向に圧送する。
このプロセスの中途にバーナ7を配置し、排気ガスを800℃程度に加熱し、ダイオキシンを分解する。
さらに、排気ガスを加熱したバーナ7の熱を利用して第2焼却炉2を加熱する。
すなわち、温度調節機能を具備させ、上記の加熱した排ガスを第2の焼却炉2を取り巻く外筒に送り込み第2焼却炉2を加熱するのに利用する。
【0012】
<ホ>第2焼却炉2からの排熱を利用しての第1の焼却炉1の加熱。
第2焼却炉2の外筒を通過した排ガスは、通常、300℃程度の熱を有している。
この排ガスは、第3排気路11及び熱風循環路5の2方向に調節バルブを介して分岐する。
このうち熱風循環路5の方向に分岐した排ガスは、第1焼却炉1の外筒に導き、焼却炉の加熱に利用する。こうすれば第1焼却炉1からの排ガスの温度は、通常では100℃程度であるので200℃の温度差を有効に活用することができる。
汚染物質が高含水率の場合には、追い焚きバーナ8を使用して第1焼却炉加熱用の排ガスの温度を上昇させる。この結果、第1焼却炉1の単位時間当たりの処理能力の低下を防止することができる。
【0013】
<へ>汚染物質の除去。
第1焼却炉1及び第2焼却炉2の外筒を加熱した汚染物質を含む排ガス及び第1焼却炉から発生した水蒸気ガスは、図1に示すように、第1排気路9、第2排気路10及び第3排気路11により除去装置に導く。
除去装置は、冷却装置12、水処理装置13、湿式洗煙装置14及び活性炭吸着装置15から構成される。
まず、それぞれの焼却炉から排出されたガスを冷却装置12により急速に冷却し、排ガスを液体化あるいは固体化して排水路16を経由して、水処理装置13に導入する。そこで、例えば金属水銀として除去したり、その他の汚染物質として中和除染処理して放流する。
また液化あるいは固体化しないで、気体のままで存在している汚染物質を含む排ガスは、湿式洗煙装置14に導く。湿式洗煙装置14では、例えば硫酸酸性下の過マンガン酸カリウム溶液を使用し、酸化分解捕集する。この場合、使用する溶液は除去する物質の性質により適宜な溶液を選択する。
捕集できない排ガスは、更に活性炭吸着装置15で吸着除去した後、大気に放出する。
【0014】
【発明の効果】
<イ>第2の焼却炉において加熱するに先立ち、第1の焼却炉において予熱処理するので高含水率の汚染土壌であっても、その含水率を一様に平均化することができる。また汚染土壌の温度を一定温度に保持して第2の焼却炉へ送り出すことができる。このため、第2の焼却炉における汚染土壌の処理能力は量的に低下することがなく、また汚染物質の処理は質的に平均化されて浄化のバラツキがなくなり、信頼性の高い処理が可能となる。
<ロ>また第1の焼却炉において、高含水率の汚染土壌を予熱処理する場合は追い焚きバーナを使用して予熱用の排ガスの温度を調節し、単位時間内に一定の量の汚染土壌を一定の含水率及び温度に保持できるので、焼却炉の処理能力を一定のレベルに保つことができる。
このため、計画的な処理作業が可能になる。
<ハ>第2の焼却炉の加熱は、ダイオキシンの発生防止のために加熱した排ガスを利用し、さらに第1の焼却炉の予熱に際しては第2の焼却炉を加熱した排ガスを利用するので極めて高い熱効率が得られ、エネルギーの有効利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の装置の配置及び汚染土壌浄化の順序を示す説明図

Claims (1)

  1. 汚染物質を含有する土壌に添加剤を混合し、焼却炉内で熱して水銀を除去する方法において、
    第1の焼却炉と第2の焼却炉とを設けて直列に連結し、
    第1の焼却炉において汚染土壌を予熱する予熱工程と、
    第2の焼却炉において予熱された汚染土壌を加熱して汚染物質を分離する工程と、
    分離した汚染物質を除去する加熱工程と、
    第1の焼却炉及び第2の焼却炉から発生した排ガス及び水蒸気ガスの汚染物質を分離する除去工程とからなり、
    第1の焼却炉の予熱工程においては、
    前記第2の焼却炉内から発生した排ガスを濾過して再加熱し、第2の焼却炉の外筒に送り込み、
    第2の焼却炉の外筒を通過した排ガスを利用することを特徴とする、
    汚染土壌浄化方法。
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