JP4855199B2 - 耐急速減圧性シール部材を用いたバルブ - Google Patents

耐急速減圧性シール部材を用いたバルブ Download PDF

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Description

本発明は、例えば、天然ガスまたはメタンガス、炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスなどの高圧ガスが流通する配管途中に装着される緊急開放弁や緊急遮断弁などのバルブに適用され、急速減圧下における高圧ガスの漏洩を防止する耐急速減圧性シール部材を用いたバルブに関する。
メタンハイドレートが日本近海の海底に広く分布しており、近未来資源として、将来の天然ガス資源として期待されている。世界でのメタンハイドレートの分布は、低温あるいは高圧の条件の、陸上では永久凍土地帯に、海洋では大陸縁辺部に存在している。
メタンハイドレートならびに従来の天然ガス採掘・採集プラントには、炭酸ガスが媒体として用いられ、炭酸ガスおよびメタンガスの輸送あるいは貯蔵として用いられるパイプライン、タンクなどには、バルブ、例えばボールバルブが装着され、このボールバルブのボールシートやOリングなどのシール部材には、ゴム材が使用され、ゴム材としては、耐油性、低温性、耐熱性などを考慮して、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、カルボキシル基化ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴムなどが使用されている。
また、パイプラインなどに用いられるこれらシール部材が、炭酸ガスの高圧状態から急速に圧力開放した場合に、ゴム内部に溶解していたガスが体積膨張し、ゴムの内部亀裂や表面の膨れといった現象が生じる。
即ち、このようなシール部材を有するバルブを、例えば5MPa以上の高圧ガスのパイプラインなどに使用した場合、パイプラインのトラブル対応や緊急の保守点検を行うため、パイプライン内のガスを放出すると、パイプライン内のガス圧が急速減圧し、シール部材に発泡(膨張)、亀裂および破断を生じ、シール性能が低下する恐れがある。このため、耐急速減圧性に優れるゴム材の要求が高まっている(非特許文献1)。
一方、テトラフルオロエチレンを共重合成分として含有するフッ素ゴム100重量部と、0.1〜10重量部の有機過酸化物とを有するシール用組成物が二酸化炭素に対して発泡や割れの耐性に優れるとされている(特許文献1)。
特開2003−13041号公報 Pipe Line Ind JN. PLINAB VOL.61 NO.4, PAGE.38-39 (1984/10)
しかしながら、特許文献1において、次に示す試験を実施した結果、発泡や割れを生じることが確認された。即ち、特許文献1においてシール材が合格品と評価される、タイプAデュロメータ硬さ80±5の実施例組成物を、天然ガス採集プラントにおいて実際に使用されるOリングの近似サイズ径であるJIS B 2401 P−50A(断面径φ5.7mm)で炭酸ガスによる急速減圧試験を実施したところ、この部材に発泡や割れを生じることを確認した。
特許文献1で示された実施例組成物の炭酸ガスによる耐急速減圧試験は、2mm厚のシートによる供試品で実施されており、供試品厚み効果が検証されていないために、耐急速減圧性が合格とされているものと考えられる。
また、耐急速減圧試験によると、特許文献1で示された実施例組成物で作製した6mm厚シートでも、炭酸ガスによる耐急速減圧性が不合格となることを確認した。よって、この供試品の厚みの違いにより、断面径φ5.7mmであるJIS B 2401 P−50AのOリングでは、特許文献1で示された実施例組成物であっても、耐急速減圧性が不合格になったものと考えられる。
本発明の技術的課題は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、天然ガスまたはメタンガス、炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスである媒体に対して、高い耐急速減圧性を有するシール部材を装着した有用なバルブを提供することである。
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、バルブ本体内の弁体を開閉又は制御する高圧ガス用のバルブであって、急速減圧の状態下にあるバルブ本体内に動的又は静的密封用の耐急速減圧性シール部材を装着し、この耐急速減圧性シール部材は、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)をモノマー単位として含むフッ素ゴムと、補強性充填剤と、有機過酸化物架橋剤と、架橋助剤のそれぞれ特定量を必須とするフッ素ゴム組成物からなるタイプAデュロメータ硬さ86〜96であるフッ素ゴム成形材料からなる耐急速減圧性シール部材を用いたバルブである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、耐急速減圧性シール部材は、動的密封用として流路を開閉する弁体であるボールを回転可能にシールするボールシートと、静的密封用としてバルブ本体に装着するOリングである、耐急速減圧性シール部材を用いたバルブである。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記フッ素ゴム組成物は、前記フッ素ゴム100重量部と、補強性充填剤40〜100重量部と、有機過酸化物架橋剤0.5〜10重量部と、架橋助剤0.1〜20重量部とが必須成分である耐急速減圧性シール部材を用いたバルブである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記耐急速減圧性シール部材は、天然ガス、メタンガスまたは炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスのシール材である、耐急速減圧性シール部材を用いたバルブである。
請求項1に係る発明によると、バルブが天然ガスまたは、メタンガス、炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスの高圧力下で使用され、急速減圧が生じた場合にも、シール部材に発泡、亀裂および破断が発生することなく、シール性を損なうことがなく、特に、緊急開放弁や緊急遮断弁などのバルブに好適であり、耐久性に優れた有用なバルブを提供することができる。
請求項2に係る発明によると、高い耐急速減圧性を有するOリングやボールシートであるシール部材が、ボールバルブに用いられ、ボールバルブのシール性能の低下を防止することができ、長期間の使用に耐えることが可能になる。
請求項3に係る発明によると、例えば、ボールバルブ等のバルブに装着したシール部材の発泡、亀裂および破断の発生がより抑えられ、バルブのシール性能が維持され、製品価値の向上を図ることが可能となった。
請求項4に係る発明によると、シール部材は、メタンガスまたは炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスのシール材として、より有効であり、緊急開放弁や緊急遮断弁などのバルブに適用され、高圧ガスの漏洩を確実に防止したバルブを提供することができた。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る耐急速減圧性シール部材を用いたボールバルブの縦断面図であり、同図は、トラニオン形のボールバルブを示している。
図1において、ボールバルブ1のバルブ本体2に、高圧ガスの流入側開口部Aおよび流出側開口部Bが形成され、これら流入側開口部Aと流出側開口部Bとの間には、貫通孔3aを有するボール弁体3が回転可能に設けられている。そして、前記バルブ本体2の上部を貫通するステム4が、ボール弁体3の凹溝5に嵌着され、ステム4の上端部には、ボール弁体3を回転操作するアクチュエータ9が搭載されている。
また、ボール弁体3の両側には、シートリテーナ7、8が配設され、これらシートリテーナ7、8の内面には、環状の係止溝14、15がそれぞれ形成され、これら係止溝14、15には、アウターリング7a、8aを介してボールシート16、17がそれぞれ装着され、ボールシート16、17は、ボール弁体3を回転可能にシールしている。これらのボールシート16、17は、動的密封用のシール部材として機能する。
また、前記シートリテーナ7、8の外周面には、環状溝10、11、10a、11aがそれぞれ形成され、これら環状溝10、11には、Oリング12、13が装着され、更に、環状溝10a、11aには、Oリング12a、13aが装着され、シートリテーナ7、8の外周面とバルブ本体2の内周面との間が密封シールされている。これらのOリング12、13、12a、13aは、静的密封用のシール部材として機能する。なお、図中に示されている上記以外のOリング(例えば、動的密封用としてステム4とバルブ本体2との間をシールするOリング)やガスケット等も本例の耐急速減圧性シール部材に含まれる。
前記ボールシート16、17およびOリング12、13、12a、13a等は、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)をモノマー単位として含むフッ素ゴムと、補強性充填剤と、有機過酸化物架橋剤と、架橋助剤とを、タイプAデュロメータ硬さが86〜96となるように、各々特定量配合したフッ素ゴム成形材料からなるものである。
現在市場化されている−30℃の低温性を有するフッ素ゴムは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の共重合体である。その他のフッ素ゴムであるフッ化ビニリデン/ヘキサフロオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフロオロプロピレン/テトラフロオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/プロピレン/テトラフロオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/エチレン/テトラフロオロエチレン共重合体は、−30℃の低温性を有していないため、自然環境下のプラント用シール材料として用いることができない。
フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体ゴムとしては、市販品、例えばデュポン・ダウエラストマー社製品バイトンVTR8500、同VTR8505、同GLT、同VTR8550、同VTR8555、同GFLT、ソルベイソレクシス社製品テクノフロンPL958、同PL458、同PL956、同PL557、同PL855、同PL455、ダイキン工業社製品ダイエルLT302などをそのまま使用することができるが、これらに限定されない。また、複数種のフッ素ゴムを併用しても良い。
本発明におけるフッ素ゴム組成物は、前記フッ素ゴム100重量部に対して40〜100重量部の補強性充填剤が添加される。補強性充填剤としては、一般にゴムに配合されるものであれば特定されないが、粒子径の差で分類されたISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、FT、MTといったカーボンブラックが好ましい。
また、本発明におけるフッ素ゴム組成物は、前記フッ素ゴム100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の有機過酸化物が添加される。有機過酸化物の種類に特に制限はなく、種々の公知の有機過酸化物を使用することができる。例えば、ジ第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ(第3ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ジ(2-第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n-ブチル-4,4-ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が使用できるが、これらに限定されない。また、複数種の有機過酸化物を併用しても良い。
また、本発明におけるフッ素ゴム組成物には、前記の補強性充填剤と有機過酸化物以外に、フッ素ゴム100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の架橋助剤が添加される。架橋助剤の種類に特に制限はなく、種々の公知の架橋助剤を使用することができる。有機過酸化物架橋の際には、多官能性不飽和化合物を架橋助剤として併用することが好ましい。
多官能性不飽和化合物としては、特に制限はなく、種々の慣用のものを使用することができる。例えばトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、トリメタアリルイソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が使用できるが、これらに限定されない。前記架橋助剤は、複数種を併用することもできる。
本発明におけるフッ素ゴム成形材料は、前記成分を必須としたフッ素ゴム組成物からなり、かつタイプAデュロメータ硬さが86〜96である。このため、天然ガスまたは、メタンガス、炭酸ガスを扱う各種プラントにおける環境下でのシール性および耐急速減圧性に優れる。タイプAデュロメータ硬さが85以下の成形物は、密封ガスの急速減圧において、内部割れ、表面のふくれといった成形物の破壊が発生する。一方、タイプAデュロメータ硬さが97を超えると、圧縮永久ひずみが劣りシール性の寿命が短くなるといった問題となる可能性がある。
また、フッ素ゴム組成物中には、以上の各必須成分以外に、マイカ、タルク、クレー、グラファイト、けい酸等の充填剤、ステアリン酸、ステアリルアミン、パラフィンワックス等の加工助剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤などのゴム工業で一般に使用されている各種配合剤を、必要に応じて適宜添加してもよい。
フッ素ゴム組成物の調製は、インタミックス、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機またはオープンロールなどを用いて混練することによって行われ、それの架橋は射出成形機、圧縮成形機、加硫プレスなどを用いて、100〜250℃、好ましくは150〜200℃で1〜60分間加熱することによって行われ、必要に応じて100〜250℃で1〜24時間程度加熱する二次架橋も行われる。
(実施例1)
以下に、フッ素ゴム成形材料からなる成形物について、その耐急速減圧性を確認する実験を行った。
本発明に属するサンプル1〜3の組成を以下に示す。
サンプル1
・フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)

共重合フッ素ゴム(デュポン・ダウエラストマー社製品 バイトンVTR8500) 100重量部
・SRFカーボンブラック(アサヒカーボン社製品 旭#50G) 60重量部
・亜鉛華1号(堺化学社製品) 3重量部
・2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン
(日本油脂社製品 パーヘキサ2.5B) 1.6重量部
・トリアリルイソシアヌレート (日本化成製品 タイク) 3重量部
各種原料ゴムに、各種配合剤をオープンロールで混練し、混練物について加硫プレスによる一次架橋および、ギアオーブンにて二次架橋を行ない、2mm厚の45mm×25mmシートとJIS B 2401 P−50AのOリングを成形した。
サンプル2
サンプル1において、SRFカーボンブラック60 重量部を50重量部に減量した以外は、サンプル1と同様にしてサンプル2を得た。
サンプル3
サンプル1において、バイトンVTR8500の代わりに、バイトンVTR8505を使用した以外は、サンプル1と同様にしてサンプル3を得た。
次に、比較例に属するサンプル4〜6の組成を以下に示す。
サンプル4
特許文献1の実施例2相当の組成物として、サンプル1において、バイトンVTR8500の代わりに、ダイエルLT−302(ダイキン社製品)を用い、フッ素ゴム100重量部に対して、SRFカーブンブラック60重量部の代わりに、30重量部のFEFカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製品)を用い、亜鉛華1号を用いない以外は、サンプル1と同様にしてサンプル4を得た。
サンプル5
特許文献1の実施例1相当の組成物として、以下の組成物でサンプル1と同様にしてサンプル5を得た。
・ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン
共重合フッ素ゴム(ダイキン社製品 ダイエルG−902) 100重量部
・SRFカーボンブラック(東海カーボン社製品 シーストS) 30重量部
・2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン
(アトフィナ吉富社製品 ルパーコ101XL) 3重量部
・トリアリルイソシアヌレート (日本化成製品 タイク) 2重量部
サンプル6
サンプル1において、SRFカーボンブラック60 重量部を80重量部に増量した以外は、サンプル1と同様にしてサンプルを得た。
得られた成形物について、次の項目の測定を行った。
硬さ試験 :JIS K-6253に準拠して測定
圧縮永久歪み試験:150℃、22時間の条件で、JIS K-6262に準拠して測定
耐急速減圧試験:高圧容器に供試体を入れ、炭酸ガス6.9MPaを充填した。25℃で24h保持した後、約15秒以内に常圧に戻し、表面および断面観察した。また、高圧容器に供試体を入れ、メタンガス7MPaを充填した。25℃で24h保持した後、約20秒以内に常圧に戻し、表面および断面観察した。
低温特性 :JIS K−6261に準拠してTR−10値を測定
以上の各サンプルにおける測定結果は、表1に示される。
圧縮永久歪みについては、10%以下のもの、硬さについては、91±5のもの、
TR10については、−30℃以下のもの、耐急速減圧性については、JIS B 2401 P−50AのOリングで表面および断面に亀裂または膨張のないものが合格と評価される。
耐急速減圧の評価は、表面および内部に亀裂または膨張が見られたものは(×)とし、表面および内部に亀裂または膨張が見られないものを(○)とした。
Figure 0004855199
このように、本発明におけるサンプル1〜3では、厚みもしくは断面径が2mmを超えるガスケットもしくはOリング等が、天然ガスまたは、メタンガス、炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスの高圧力下で使用され、急速減圧が生じた場合に亀裂の発生することなく、シール性を有するゴム材料を提供することができる。また、本成形材料は、地球温暖化対策としての炭酸ガス地中固定化プラントにおいても有用となり得る。
(実施例2)
次に、フッ素ゴム成形材料からなるボールシート16、17およびOリング12、13、12a、13a等を使用したボールバルブ(クラス600 12Bトラニオン形ボールバルブ)1のガス圧0.6MPaおよび5.2MPaにおける急速減圧時のシール性能および操作トルクを確認する実験を行った。Oリング12、13は、JIS B2401 P−315(断面径φ8.4mm)を用い、Oリング12a、13aは、内径φ305mm(断面径φ3.1mm)を用い、ボールシート16、17は、内径約φ327mm×外径約φ343mm×厚み約9mm(φ3mm芯金入り)を用いた。
図2は、ボールバルブ1の封止性能試験を説明する構成図を示す。図2において、流入側開口部Aは、高圧用レギュレータ21および圧力計27を備えた加圧弁22を介して炭酸ガスボンベ20に接続され、流出側開口部Bは、減圧弁23を介してガス放出部24に接続されている。また、バルブ本体2とボール弁体3との間には、ボールシート16、17およびOリング12、13、12a、13a等のシール部からのガス漏れを測定するリーク量測定装置25が測定チューブ26を介して連通している。
図2に示す試験方法は、ボールバルブ1にボールシート16、17およびOリング12、13、12a、13a等のシール部材を組み込み、ボールバルブを閉状態にして0.6MPa、または、5.2MPaの炭酸ガスを加圧する。加圧状態で気温28℃、24時間保持した後、ボールバルブを開状態にして炭酸ガスを20〜60秒以内という急速状態にて、大気圧まで減圧する。これを3回繰り返し、ボールシート16、17およびOリング12、13、12a、13aの損傷を観察し、シール性能、操作トルク性能についても両者を比較する。なお、操作トルク性能は、急速減圧によるボールシート16、17の損傷有無に起因する、操作トルクへの影響を確認すべく、0.6MPa、または、5.2MPa加圧後、ボールバルブ1を閉→開として急速減圧を行った後、開→閉における操作トルクを測定した。
次表2、3は、実験結果を示すもので、表2は、本発明(組成は、実施例1におけるサンプル1を参照)であり、表3は、従来例を比較例(ゴム70%、カーボンブラック20%、架橋剤・助剤他10%の3元系のフッ素ゴム成形品)として示している。なお、この比較例において、圧縮永久歪み(150℃、22h)は36%、硬さ(Duro A)は80、低温性(TR10)は−19である。
実験の結果、表2、3に示すように、無負荷の操作トルクについては、本発明および比較例とも概ね同様の結果が得られた。封止性能については、ガス圧が5.2MPaの場合、比較例においては、ガス漏れを生じたが、本発明では、ガス漏れは確認されなかった。従って、本発明における耐急速減圧性シール部材を用いたバルブによれば、急速減圧が生じた場合にも、操作トルクに影響を及ばすことなく、シール性能を維持できることが確認された。
Figure 0004855199
Figure 0004855199
図3と図4は、実施例2の試験結果によるOリングの外観状況の本発明と比較例を示した写真である。評価基準は、NACE規格TM0192の評価基準に準拠して評価した。図3は、本発明におけるOリング12、13をバルブ1から分解後30分で、減圧後150分の状態を示したOリング12、13の写真であり、同写真から明らかなように、膨れや割れは確認されなかった(評価点1)。
図4は、比較例におけるOリング12´、13´をバルブから分解後30分で、減圧後150分の状態を示したOリング12´、13´の写真であり、同写真から明らかなように、膨れが多数見られた(評価点3)。
なお、本発明におけるボールシート16、17も、比較例(評価点3)に比して膨れ等が減少しており(評価点2)、上述のようにシール性能の維持が確認されたことから、Oリング、ボールシート共に、炭酸ガスに対する耐急速減圧性の向上が確認された。
(実施例3)
次に、本発明におけるフッ素ゴム成形材料からなるボールシート16を用い、メタンガスによる急速減圧試験を行った。
(実験3−1)
ボールバルブ(クラス600 24Bトラニオン型ボールバルブ)のボールシート16を、治具等に装着することなく耐圧容器に収納し、7MPaのメタンガスを封入の上、気温30℃にて、72時間保持した後、約24秒以内で大気圧まで減圧し、減圧後13分の状態におけるボールシートの損傷を確認した。ボールシートは、内径約φ616mm×外径約φ634mm×厚み約11mm(φ3mm芯金入り)を用いた。
(実験3−2)
ボールバルブ(クラス600 12Bトラニオン型ボールバルブ)のボールシート16を、シートリテーナ7、アウターリング7a、ボール弁体3による拘束保持状態(図1の領域C参照)を再現した簡易治具に装着の上、治具ごと耐圧容器に収納し、7MPaのメタンガスを封入の上、気温6℃にて、24時間保持した後、約20〜60秒以内で大気圧まで減圧し、減圧後20〜85分の状態におけるボールシートの損傷を確認した。ボールシート寸法は、実施例2と同様である。
上記実験の結果、いずれの実験においても、ボールシートに膨れや割れはなく、NACE規格TM0192の評価基準にて評価点1を得られたことから、メタンガスにおいても耐急速減圧性が確認された。
このように、本実施の形態では、ボールバルブ1に、高圧の天然ガスまたは、メタンガス、炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスである媒体に対して、高い耐急速減圧性を有するボールシート16、17およびOリング12、13、12a、13a等が提供され、ボールバルブ1が5MPaを越える高圧ガスの環境下で使用され、約15〜60秒以内の急速減圧が生じた場合でも、ボールシート16、17およびOリング12、13、12a、13a等に発泡、亀裂および破断が発生することなく、そのシール性能が維持され、ボールバルブ1の破損が回避され、耐久性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
例えば、本発明は、ボールバルブ1以外のバルブのシール部材に適用可能であり、この場合でもボールバルブ1と同様の効果が期待できる。
本発明の一実施の形態である耐急速減圧性シール部材を用いたバルブの断面図である。 図1に示すバルブの封止性能試験の説明図である。 本発明におけるOリングの急減圧試験の外観状況を示した写真である。 比較例におけるOリングの急減圧試験の外観状況を示した写真である。
符号の説明
1 ボールバルブ
2 バルブ本体
3 ボール弁体
4 ステム
5 凹溝
7、8 シートリテーナ
9 アクチュエータ
10、11 環状溝
12、13 Oリング
12a、13a Oリング
14、15 係止溝
16、17 ボールシート
19 スプリング
A 流入側開口部
B 流出側開口部

Claims (4)

  1. バルブ本体内の弁体を開閉又は制御する高圧ガス用のバルブであって、急速減圧の状態下にあるバルブ本体内に動的又は静的密封用の耐急速減圧性シール部材を装着し、この耐急速減圧性シール部材は、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)をモノマー単位として含むフッ素ゴムと、補強性充填剤と、有機過酸化物架橋剤と、架橋助剤のそれぞれ特定量を必須とするフッ素ゴム組成物からなるタイプAデュロメータ硬さ86〜96であるフッ素ゴム成形材料からなることを特徴とする耐急速減圧性シール部材を用いたバルブ。
  2. 前記耐急速減圧性シール部材は、動的密封用として流路を開閉する弁体であるボールを回転可能にシールするボールシートと、静的密封用としてバルブ本体に装着するOリングである、請求項1に記載の耐急速減圧性シール部材を用いたバルブ。
  3. 前記フッ素ゴム組成物は、前記フッ素ゴム100重量部と、補強性充填剤40〜100重量部と、有機過酸化物架橋剤0.5〜10重量部と、架橋助剤0.1〜20重量部とが必須成分である請求項1または2に記載の耐急速減圧性シール部材を用いたバルブ。
  4. 前記耐急速減圧性シール部材は、天然ガス、メタンガスまたは炭酸ガスあるいはこれらの混合ガスのシール材である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐急速減圧性シール部材を用いたバルブ。
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