JP4299585B2 - ゴム組成物およびその用途 - Google Patents
ゴム組成物およびその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4299585B2 JP4299585B2 JP2003148170A JP2003148170A JP4299585B2 JP 4299585 B2 JP4299585 B2 JP 4299585B2 JP 2003148170 A JP2003148170 A JP 2003148170A JP 2003148170 A JP2003148170 A JP 2003148170A JP 4299585 B2 JP4299585 B2 JP 4299585B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- parts
- weight
- sealing material
- hydrogenated nitrile
- rubber composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば水道機器や食品・飲料製品の加工・製造装置等に用いられる動的シール材として好適なゴム組成物、およびこれを用いたシール材に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、水道機器や食品・飲料製品の加工・製造装置等の各種機器や装置の可動部分を封止するシール材の材料としては、高強度を有するブチルゴム(IIR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、ウレタンゴム(U)などが使用されてきた。特に、食品・飲料製品の加工・製造装置においては、−20℃から130℃までの幅広い温度領域で使用可能である点から、水素添加ニトリルゴム(HNBR)が汎用されている。
ところが、近年、食品・飲料製品の加工・製造装置の大型化、複雑化、ライン化が進み、その消毒や洗浄方法が、装置全体を分解して滅菌洗浄する従来の方法から、装置を分解せずに自動洗浄を可能とするCIP(Cleaning in Place)システムに変わりつつあるなかで、通常、CIPシステムは、NaOHによるアルカリ洗浄プロセス、HNO3やNaClOによる酸洗浄プロセス、高温スチームによる洗浄プロセス等からなるため、CIPシステムに供される装置に用いるシール材には、従来の高い強度を有することに加え、耐薬品性および耐熱性が要求されるようになってきた。
【0003】
前述した従来のシール材材料のうち、ブチルゴム(IIR)は100℃以上の高温になると脆くなるため、ウレタンゴム(U)では高温下において加水分解が促進されるため、いずれも耐熱性が不充分であり、CIPシステムに供される装置に用いるシール材には使用できない。一方、水素添加ニトリルゴム(HNBR)は、耐熱性に優れ、アルカリなどに対するアルカリに対する耐薬品性にも比較的優れているが、水道水に含有されていたりCIPシステムにおいて用いられる次亜塩素酸によっていわゆる墨汁現象を生じるといった問題がある。すなわち、水素添加ニトリルゴム(HNBR)には、通常、シール材として必要な物理的特性(圧縮永久歪み、強度、硬度等)を確保するためにカーボンブラックが充填剤として配合されているのであるが、これが次亜塩素酸により染み出して、水中や製品中に黒色成分が混入したり、周辺機器等を汚染したりする。このような墨汁現象は、たとえ僅かであっても、水道機器や食品・飲料製品を扱う用途においては、深刻な問題であった。
【0004】
そこで、水素添加ニトリルゴム(HNBR)における墨汁現象を回避する手段として、カーボンブラックに代えてシリカ系白色充填剤を用いたゴム組成物が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかし、これらのゴム組成物においては、耐摩耗性が充分ではなく、各種機器や装置の可動部分を封止するシール材(いわゆる動的シール材)としては、充分に満足しうるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−240338号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平9−3246号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2000−212333号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、動的シール材として必要な耐摩耗性を保持しつつ、良好な耐次亜塩素酸性をも備えいわゆる墨汁現象の発生を抑制しうるゴム組成物、およびこれを用いたシール材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決する手段】
本発明者は、前記課題を解決するため、水素添加ニトリルゴム(HNBR)をベースゴムとし、充填剤として墨汁現象を顕著にするカーボンブラックを使用しないことを前提に、鋭意検討を行なった。その結果、カーボンブラックに代え、シリカ系白色充填材とシランカップリング剤とを配合したゴム組成物に、特定量の超高分子量ポリエチレンと、リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウムおよび/またはメチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩とを含有させることにより、耐摩耗性を格段に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明にかかるゴム組成物は、水素添加ニトリルゴムと、該水素添加ニトリルゴム100重量部に対して10〜80重量部のシリカ系白色充填材と、シランカップリング剤とを含むゴム組成物において、超高分子量ポリエチレンを前記水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜25重量部含有するとともに、リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウムおよび/またはメチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩を前記水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜5重量部含有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明にかかるシール材は、前記本発明のゴム組成物を加硫成形してなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、水素添加ニトリルゴムを含むものである。水素添加ニトリルゴムは、従来公知のニトリルゴムの二重結合に水素が導入されたものであり、そのアクリルニトリル含有量や水素添加率(残存二重結合量)については特に制限はなく、使用条件や用途に応じて適宜設定すればよい。
本発明のゴム組成物は、シリカ系白色充填剤を含むものである。これにより、補強効果を発揮し、シール材として必要な物理的特性を発現させることができる。シリカ系白色充填剤としては、特に限定はされないが、例えば、ハロゲン化珪酸または有機珪素化合物の熱分解法や、けい砂を加熱還元して気化したSiOを空気酸化する方法などで製造される乾式ホワイトカーボン;ナトリウムの熱分解法などで製造される湿式ホワイトカーボン;等が挙げられる。本発明においては特に、シリカ系白色充填剤として、含水珪酸に有機珪素化合物を化学的に結合させて得られる疎水性シリカを選択することが、耐水性を向上させうる点で好ましい。なお、シリカ系白色充填剤は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0013】
前記シリカ系白色充填剤の含有量は、水素添加ニトリルゴム100重量部に対して10〜80重量部であることが重要である。好ましくは、水素添加ニトリルゴム100重量部に対して30〜60重量部であるのがよい。シリカ系白色充填剤が10重量部未満であると、充分な補強効果が得られず、強度や耐摩耗性が不充分となり、一方、80重量部を超えると、圧縮永久歪み、強度、硬度等のシール材として必要な物理的特性が不充分となると同時に、白色のシリカ系充填剤が溶出するという問題(本発明においては、カーボンブラックの溶出に限らず、このような白色充填剤の溶出も含めて、墨汁現象と称する。)を招くこととなり、さらにいずれの場合も成形が困難となる。
【0014】
本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤を含むものである。これにより、シリカ系白色充填剤と水素添加ニトリルゴムとの界面に強固な結合を形成させて、シリカ系白色充填剤による補強効果を効果的に発揮させることができる。シランカップリング剤としては、特に限定はされないが、例えば、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤が好ましく挙げられる。なお、シランカップリング剤は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0015】
前記シランカップリング剤の含有量は、特に制限されないが、水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜8重量部であるのが好ましい。シランカップリング剤が1重量部未満であると、その効果を充分に発揮することができず、一方、8重量部を超えると、加硫反応が阻害される恐れがある。
本発明のゴム組成物は、超高分子量ポリエチレンを含むものであることが重要である。これにより、優れた耐摩耗性を発現させることができる。ポリエチレンは、一般に、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンに分類され、これらは通常2万〜25万の分子量を有するが、これに対して、本発明における超高分子量ポリエチレンは分子量100万以上のものを言う。本発明において用いることのできる超高分子量ポリエチレンとしては、市販品では、例えば、「ミペロンXM−220M」三井化学工業(株)製、「リュブマー」三井化学工業(株)製、「ハイゼックスミリオン」三井化学工業(株)製等がある。なお、超高分子量ポリエチレンは、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0016】
前記超高分子量ポリエチレンの含有量は、前記水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜25重量部であることが重要である。好ましくは、水素添加ニトリルゴム100重量部に対して5〜20重量部であるのがよい。超高分子量ポリエチレンが1重量部未満であると、充分な耐摩耗性が得られないこととなり、一方、25重量部を越えると、硬くなりすぎて圧縮永久歪みを損なうこととなる。
本発明のゴム組成物は、リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウムおよび/またはメチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩を含むものであることが重要である。これにより、超高分子量ポリエチレンにより発現される耐摩耗性を格段に向上させることができる。リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウムやメチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩は、通常、超高分子量ポリエチレンの造核剤として、超高分子量ポリエチレンの成形効率を向上させるとともに得られる成形体に透明性や光沢性を付与する目的で使用されているものであるが、本発明においては、これらは、超高分子量ポリエチレンと水素添加ニトリルゴムとの相溶化を促進させる作用を発揮し、これにより著しい耐摩耗性の向上を可能とするものである。
【0017】
前記リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウムおよび/またはメチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩の含有量は、水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜5重量部であることが重要である。1重量部未満であると、充分な耐摩耗性が得られないこととなり、一方、5重量部を超えると、圧縮永久歪みや強度が低下することとなる。
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、加硫剤としての有機過酸化物をも含有していてもよい。有機過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が好ましく挙げられる。これら有機過酸化物は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0018】
前記有機過酸化物の含有量は、特に制限されないが、水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、前記有機過酸化物による加硫の助剤となる共架橋剤を含有していてもよい。共架橋剤としては、特に限定はされないが、例えば、キノンジオキシム、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリールフタレート、トリメタクリルイソシアネート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2−ポリブタジエン、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩等が挙げられる。これら共架橋剤は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0019】
前記共架橋剤の含有量は、特に制限されないが、水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、さらに必要に応じて、老化防止剤、加硫助剤、加工助剤、活性助剤、顔料、可塑剤等の添加物をも含有していてもよい。これら添加物の含有量は、特に制限されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよい。
本発明のゴム組成物を得る方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法で行うことができる。例えば、前記各配合成分を、例えば、ミキシングロール、ニーダー、インターナルミキサー、バンバリーミキサー等の混練り機を用いて均一に混練りするようにすればよい。このとき、前記各配合成分のうち、有機過酸化物、共架橋剤、加硫助剤等の加硫反応に寄与する成分を含有させる場合には、これら加硫反応に寄与する成分を除く成分を先に均一に混練しておき、その後、加硫反応に寄与する成分を混練するようにすることが望ましい。
【0020】
本発明のシール材は、前記本発明のゴム組成物を加硫成形してなるものである。
本発明のシール材を得る際の成形方法としては、特に制限はなく、例えば、圧縮成形、移送成形、射出成形、放射線の照射等の、従来公知の加硫、成形方法を採用することができる。例えば、直圧式プレス成形機、押し出し成形機、射出成形機などを用いて、所望の形状に加硫、成形するようにすればよい。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例および比較例で得られたシール材の各物性測定および評価は、以下のようにして行った。
(硬さ) JIS−K6253に準拠し、JIS3号ダンベルを3枚重ねにして、デュロメータータイプA硬さ試験機にて測定した。その結果、85〜95であればシール材として適した物性であると判断した。
【0022】
(引張り強度・伸び) JIS−K6251に準拠し、JIS3号ダンベルを引張試験装置にて規定速度で切断まで引っ張ることにより測定した。その結果、引張り強度は20MPa以上、伸びは150%以上であればシール材として適した物性であると判断した。
(引き裂き強度) JIS−K6251に準拠し、切り込み無しアングル形としたシール材を引張試験装置にて規定速度で切断まで引っ張ることにより測定した。その結果、40kN/mm以上であればシール材として適した物性であると判断した。
【0023】
(圧縮永久歪み) JIS−K6262に準拠し、φ29×12.5ディスクを一定の圧縮歪み(圧縮率25%)のもとで規定の温度(150℃)で70時間放置後、歪みを取り除き、規定時間後のシール材の厚みを測定して、圧縮永久歪率を求めた。その結果、40%以下であればシール材として適した物性であると判断した。
(耐摩擦摩耗性) JIS−K7218に準拠し、試験距離10km、回転速度0.1m/s、荷重0.6N/mm2の条件で、摩擦材としてSUS304を用いて、摩耗重量を測定した。その結果、0.02g以下であればシール材として適した物性であると判断した。
【0024】
(耐次亜塩素酸性) JIS−K6258に準拠し、シール材を次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度250ppm)に規定の温度(80℃)で規定の時間(1008時間)浸漬した後、墨汁現象の有無を目視にて判定するとともに、浸漬前後の体積変化率を求めた。その結果、墨汁現象が無く、体積変化率が+30%以内であればシール材として適した物性であると判断した。
(成形性) 得られたシール材の成形不良(流れ、へこみ等)の有無を目視により判定した。その結果、成形不良がなければ「○」、成形不良があれば「×」と判断した。
【0025】
(実施例1〜4および比較例1〜8)
表1に示す配合比率の各成分を混練り機(8インチオープンロール)を用いて約20分間混練りして、ゴム組成物を得た。そして、得られたゴム組成物1.3gを金型内に充填し、70tプレス装置にて170℃で20分間、圧力15MPaの条件で加熱加圧成形して、Oリング状シール材(寸法;AS568−214:線径3.53mm、内径24.99mm)を作製した。得られたシール材について物性測定および評価を行った結果を表1に示す。
なお、表1に示す各成分の詳細は下記の通りである。
・水素添加ニトリルゴム:「Therban A3970」バイエルン(株)製
・シリカ系白色充填材:「ニップシールSS♯30」日本シリカ工業(株)製
・シランカップリング剤:「KBC1003」信越化学工業(株)製
・超高分子量ポリエチレンA:「ミペロンXM−220M」三井化学工業(株)製
・超高分子量ポリエチレンB:「ハイゼックスミリオン」三井化学工業(株)製
・メチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩:「アデカスタブNA−11SF」旭電化工業(株)製
・リン酸ビス(2,4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム:「アデカスタブNA−10UF」旭電化工業(株)製
・加硫剤:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン「パーヘキサ25B」日本油脂(株)製
・共架橋剤:トリアリルイソシアヌネート
・活性剤:「Zinca−20」堺化学工業(株)製
・老化防止剤A:「ナウガード445」白石カルシウム(株)製
・老化防止剤B:「ノクラックMBZ」大内新興化学工業(株)製
・加工助剤:「Lunac S−20」花王(株)製
・顔料:「TITON A−100」堺化学工業(株)製
・カーボンブラック:「シーストGSO」東海カーボン(株)製
【0026】
【表1】
表1の結果から、以下のことが明らかとなった。
実施例1〜4はいずれも、本発明の範囲であるので、シール材として必要な物理的特性を保持しつつ、優れた耐摩耗性と耐次亜塩素酸性を示し、墨汁現象も認められなかった。
これに対して、比較例1は、メチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩およびリン酸ビス(2,4−tert−ブチルフェニル)ナトリウムをいずれも含有していないので、耐摩耗性が悪く、動的シール材として適さないものであった。比較例2は、超高分子量ポリエチレンを含有していないので、耐摩耗性が悪く、動的シール材として適さないものであった。比較例3は、シリカ系白色充填剤を含有していないので、耐摩耗性が低いことに加え、引張り強度などのシール材として必要な物理的特性をも満足しないものであった。比較例4は、超高分子量ポリエチレンの含有量が多すぎるので、硬くなりすぎて圧縮永久歪みが悪くなり、シール材として適さないものであった。比較例5は、メチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩の含有量が多すぎるので、圧縮永久歪みや引張り強度などのシール材として必要な物理的物性も満足しないものであった。比較例6は、シリカ系白色充填剤の含有量が多すぎるので、圧縮永久歪みや強度などのシール材として必要な物理的特性が低いことに加え、墨汁現象(白色充填剤の溶出)が発生するものであり、しかも成形性にも劣るものであった。比較例7は、カーボンブラックを含有しているので、墨汁現象が発生するものであった。比較例8は、シランカップリング剤を含有していないので、耐摩耗性が低いことに加え、引張り強度や圧縮永久歪みなどのシール材として必要な物理的特性をも満足しないものであった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、動的シール材として必要な耐摩耗性を保持しつつ、良好な耐次亜塩素酸性をも備えいわゆる墨汁現象の発生を抑制しうる、ゴム組成物、およびこれを用いたシール材を提供することができる。
Claims (2)
- 水素添加ニトリルゴムと、該水素添加ニトリルゴム100重量部に対して10〜80重量部のシリカ系白色充填材と、シランカップリング剤とを含むゴム組成物において、
超高分子量ポリエチレンを前記水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜25重量部含有するとともに、リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウムおよび/またはメチレンビス(2,4−tert−ブチルフェニル)アシッドフォスフェートナトリウム塩を前記水素添加ニトリルゴム100重量部に対して1〜5重量部含有する、ことを特徴とするゴム組成物。 - 請求項1に記載のゴム組成物を加硫成形してなる、シール材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003148170A JP4299585B2 (ja) | 2003-05-26 | 2003-05-26 | ゴム組成物およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003148170A JP4299585B2 (ja) | 2003-05-26 | 2003-05-26 | ゴム組成物およびその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004346287A JP2004346287A (ja) | 2004-12-09 |
JP4299585B2 true JP4299585B2 (ja) | 2009-07-22 |
Family
ID=33534488
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003148170A Expired - Lifetime JP4299585B2 (ja) | 2003-05-26 | 2003-05-26 | ゴム組成物およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4299585B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111065677B (zh) * | 2017-09-15 | 2020-08-07 | Nok株式会社 | 氢化nbr组合物 |
CN108752672B (zh) * | 2018-06-22 | 2021-01-12 | 太仓市开源橡胶有限公司 | 一种密封圈及其制备方法 |
CN110396229A (zh) * | 2019-08-13 | 2019-11-01 | 中辰电缆股份有限公司 | 一种新能源汽车充电桩用电缆材料及其制备方法 |
KR102261795B1 (ko) * | 2019-12-23 | 2021-06-04 | 셰플러코리아 유한책임회사 | 내마모성이 향상된 씰용 아크릴 고무 조성물 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57190031A (en) * | 1981-05-18 | 1982-11-22 | Nippon Zeon Co Ltd | Rubber composition having improved strength and its preparation |
JPS581736A (ja) * | 1981-06-25 | 1983-01-07 | Adeka Argus Chem Co Ltd | ポリオレフイン系樹脂組成物 |
US4697671A (en) * | 1985-04-12 | 1987-10-06 | Twiflex Limited | Brakepad assembly for disc brake |
JP3568981B2 (ja) * | 1994-03-28 | 2004-09-22 | 旭電化工業株式会社 | 有機ホスファイト組成物 |
JPH11228957A (ja) * | 1998-02-16 | 1999-08-24 | Sumitomo Chem Co Ltd | 安定剤組成物、その製造法及びその用途 |
JPH11323013A (ja) * | 1998-03-12 | 1999-11-26 | Yoshitomi Fine Chemical Kk | 5―ヒドロキシ―2,3―ジヒドロベンゾフラン化合物を含有する有機高分子材料用安定剤 |
-
2003
- 2003-05-26 JP JP2003148170A patent/JP4299585B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004346287A (ja) | 2004-12-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5651919B2 (ja) | ニトリルゴム組成物、架橋性ニトリルゴム組成物及びゴム架橋物 | |
TWI222977B (en) | A molding material | |
JP3982536B2 (ja) | 水素化ニトリルゴム組成物 | |
JP4539510B2 (ja) | フッ素ゴム組成物 | |
JP6034689B2 (ja) | 含フッ素エラストマー組成物およびゴム部材 | |
JP2509345B2 (ja) | 高い引張強度を有するフッ素ゴム加硫組成物 | |
JP5418683B2 (ja) | フッ素ゴム組成物 | |
JP2007154043A (ja) | フッ素ゴム組成物およびそれよりなるシール材 | |
JP2015206002A (ja) | ゴム組成物および高圧水素機器用シール部材 | |
EP3395887A1 (en) | Fluororubber composition | |
JP2004217851A (ja) | 水素化ニトリルゴム組成物 | |
JPH10139970A (ja) | フッ素ゴム組成物 | |
JP4827426B2 (ja) | 耐急速減圧性フッ素ゴム成形材料 | |
JP4299585B2 (ja) | ゴム組成物およびその用途 | |
JP2007231061A (ja) | Nbr組成物 | |
JP4910295B2 (ja) | アキュムレーターブラダ用ゴム組成物 | |
JP2004210821A (ja) | 耐塩素水性ゴム組成物 | |
JP3812665B2 (ja) | ゴム組成物 | |
JP2010180260A (ja) | Epdm組成物 | |
JPH1060198A (ja) | 耐塩素性ゴム組成物 | |
JP4003060B2 (ja) | 架橋性ゴム組成物及び架橋物 | |
JP2006213743A (ja) | 水素化ニトリルゴム組成物 | |
JP4082978B2 (ja) | 耐塩素水性ゴム組成物及びゴム製品 | |
JP2007031609A (ja) | ダストカバーまたはブーツ成形用ブレンドゴム組成物 | |
JP2017165841A (ja) | 医療機器用部材の材料および医療機器用部材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060414 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080917 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090331 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090417 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4299585 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140424 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |