JP4853406B2 - 超電導コイルユニットおよび該超電導コイルユニットを備えた超電導機器 - Google Patents

超電導コイルユニットおよび該超電導コイルユニットを備えた超電導機器 Download PDF

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本発明は、超電導コイルユニットおよび該超電導コイルユニットを備えた超電導機器に関し、詳しくは、複数のパンケーキコイルを積層した超電導コイルユニットにおいて、各パンケーキコイルが回転するのを防止するものである。
従来、ダブルパンケーキ形状あるいはシングルパンケーキ形状の超電導コイルからなるパンケーキコイルを軸線方向に複数積層して形成した超電導コイルユニットが提供されている。
この種の超電導コイルユニットとして、本出願人は、特開平6−151168号公報(特許文献1)において、図7に示す超電導コイルユニット1を提供している。該超電導コイルユニット1は、複数の超電導コイルからなるパンケーキコイル2を軸線方向に積層しており、隣接したパンケーキコイル2同士をガラス繊維強化シート3を介して接着固定している。
特開平6−151168号公報
前記特許文献1で提供している超電導コイルユニット1であると、各パンケーキコイル2をガラス繊維強化シート3を介して接着により固定しているだけであるため、超電導コイルユニット1の稼動時に各パンケーキコイル2に大きな負荷がかかって、接着力が緩み、パンケーキコイル2が回転してしまうおそれがある。パンケーキコイル2が回転すると、隣接するパンケーキコイル2のリード線接続用の端子同士が接触してしまい、隣接するパンケーキコイル2が導通してしまうおそれがある点で改善の余地がある。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、複数の超電導コイルからなるパンケーキコイルを積層する超電導コイルユニットにおいて、パンケーキコイルを接着固定するのではなく、機械的な構造によりパンケーキコイルを確実に回転不可とすることを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、最内周ターンを渡り部として巻枠の外周面に巻き付けたダブルパンケーキコイルを、中央連結芯材に対して積層固定してなる超電導コイルユニットであって、
前記各ダブルパンケーキコイルの外周面に位置するリード線接続部となる2つの巻き終端位置を周方向に離して位置させ、これら巻き終端位置に挟まれた周方向の中心と位置ずれした箇所と対向する前記巻枠の内周面に溝または突起を設ける一方、
前記中央連結芯材の外周面に軸線方向に延在し、前記巻枠の溝を嵌合固定する突起または前記巻枠の突起を嵌合固定する溝を設け、
前記中央連結芯材に順次外嵌して積層するダブルパンケーキコイルは、隣接するダブルパンケーキコイルを軸線方向の上下を逆として中央連結芯材に固定し、隣接するダブルパンケーキコイルの巻き終端位置を位置ずれさせていることを特徴とする超電導コイルユニットを提供している。
本発明の超電導コイルユニットでは、前記中央連結芯材の外周面に突起あるいは溝を設ける一方、前記巻枠の内周面に溝あるいは突起を設け、突起を溝に挿入して、突起と溝を干渉させることにより巻枠に超電導線を巻回して形成したダブルパンケーキコイルを回転不可としている。このように、本発明の超電導コイルユニットは、接着剤等の接着力によってダブルパンケーキコイルの回転を防止するのではなく、機械的な構造によりダブルパンケーキコイルの回転を防止しているため、保持力が低下することがなく、超電導コイルユニットの稼動時にダブルパンケーキコイルに大きな負荷がかかっても、ダブルパンケーキコイルが回転するのを防止することができる。
これにより、各ダブルパンケーキコイルが回転して、隣接するダブルパンケーキコイルに設けたリード線接続用の端子同士が接触したり、端子と他の端子に接続したリード線端末の端子が接触してしまうのを防止することができる。
また、各ダブルパンケーキコイル同士を接着していないため、損傷等の理由によりダブルパンケーキコイルを交換する必要が生じたときに、所要のダブルパンケーキコイルのみを交換すればよく、他のダブルパンケーキコイルを交換する必要がない。
さらに、前記2つの巻き終端位置を巻枠の溝あるいは突起に対して非対称位置に設けたことにより、隣接するダブルパンケーキコイルを中央連結芯材に軸線方向逆向きに取り付けると、隣接するダブルパンケーキコイルの巻き終端位置が周方向に位置ズレさせて配置されることとなる。これにより、予め巻き終端位置に端子を取り付けている場合には、端子同士の接触を確実に防止できると共に、これら端子にリード線端末の端子を接続する際に隣接するダブルパンケーキコイルの端子が邪魔にならず、端子接続作業を容易にすることができる。
また、ダブルパンケーキコイルの巻き終端位置に端子を取り付けていない状態で各ダブルパンケーキコイルを中央連結芯材に外嵌固定した場合には、周方向に位置ずれさせた巻き終端位置に前記端子を半田付け等により容易に取り付けることができる。
前記巻枠の溝あるいは突起は、前記2つの巻き終端位置間の周方向中心位置から周方向に10〜20度ズレた位置に設け、前記巻枠を中央連結芯材に外嵌固定した状態で隣接するダブルパンケーキコイルの巻き終端位置を周方向に20〜40度位置ズレさせていることが好ましい。
隣接するダブルパンケーキコイルの巻き終端位置が周方向に大きく離れた位置にあると、逆に巻き終端位置への端子の取付作業や該端子へのリード線側端子の接続作業が行いにくくなるが、前記構成によれば、隣接するダブルパンケーキコイルの端子が適度な範囲で周方向に位置ズレして配置されるため、前記作業を効率良く行うことができる。
また、本発明は、前記超電導コイルユニットを備えた超電導機器を提供している。
前記超電導機器としては、モータ、発電機、変圧器、超電導電力貯蔵装置(SMES)、限流器等が挙げられる。
前述したように、本発明によれば、前記中央連結芯材の外周面に突起あるいは溝を設ける一方、前記巻枠の内周面に溝あるいは突起を設け、突起を溝に挿入して、突起と溝を干渉させることにより巻枠に超電導線を巻回して形成したダブルパンケーキコイルを回転不可としている。このように、本発明の超電導コイルユニットは、接着剤等の接着力によってダブルパンケーキコイルの回転を防止するのではなく、機械的な構造によりダブルパンケーキコイルの回転を防止しているため、保持力が低下することがなく、超電導コイルユニットの稼動時にダブルパンケーキコイルに大きな負荷がかかっても、ダブルパンケーキコイルが回転するのを防止することができる。
これにより、各ダブルパンケーキコイルが回転して、隣接するダブルパンケーキコイルに設けたリード線接続用の端子同士が接触したり、端子と他の端子に接続したリード線端末の端子が接触してしまうのを防止することができる。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5に、本発明の第1実施形態を示す。
本実施形態の超電導コイルユニット10は、超電導機器である超電導モータに用いられるものであり、図2に示すように、超電導線を巻回して形成した複数のダブルパンケーキコイル20を中央連結芯材30に外嵌して、軸線方向に積層固定している。本実施形態では、14個のダブルパンケーキコイル20を積層している。
前記中央連結芯材30は繊維強化樹脂(FRP)からなり、軸線方向に長尺な円筒形状とし、図4(A)に示すように、外周面に上端から所要間隔をあけた位置から下端にかけて軸線方向に延在する突起30aを設けている。該突起30aは、図4(B)に示すように、周方向の10度の範囲に設けた均一幅としている。
一方、超電導線21が巻回される巻枠22はFRPからなり、軸線方向に短尺な円筒形状とし、その内径を中央連結芯材30の外径と略同径としている。該巻枠22の内周面には、図5に示すように、軸線方向の上端から下端にかけて延在する溝22aを設けており、該溝22aは周方向の10度の範囲に設けた均一幅としている。即ち、巻枠22の溝22aの周方向の幅を中央連結芯材30の突起30aの周方向の幅と略同一幅としている。
図3に示すように、前記巻枠22に幅4mmの帯状のビスマス系超電導線21と絶縁テープ(図示せず)を重ね合わせた状態で巻回して超電導コイルからなるダブルパンケーキコイル20を形成している。該ダブルパンケーキコイル20は、第1コイル部20aと第2コイル部20bとを最内周ターンの斜めに延びる渡り部(図示せず)の超電導線21で連続させている。また、第1、第2コイル部20a、20bとの間およびコイル軸線方向の両端面にはFRPからなる厚さ0.2mmの絶縁シート(図示せず)を配置している。
また、第1、第2コイル部20a、20bの最外周ターンを構成する超電導線21の巻き終端位置21a、21bには、リード線接続用の端子23A、23Bをそれぞれ設けている。これら2つの巻き終端位置21a、21bに挟まれた周方向の中心と位置ずれした箇所と対向する巻枠22の内周面に前記溝22aを設けている。即ち、巻き終端位置21a、21bは、巻枠22の溝22aに対して対称ではない位置としており、全てのダブルパンケーキコイル20で巻き終端位置21a、21bを同一箇所としている。本実施形態では、図3(B)に示すように、第1コイル部20aの端子23Aを取り付ける巻き終端位置21aを溝22aの幅方向の中央から周方向に135度の間隔をあけた位置とする一方、第2コイル部20bの端子23Bを取り付ける巻き終端位置21bを溝22aの幅方向の中央から周方向に105度の間隔をあけた位置としている。即ち、巻枠22の溝22aを2つの巻き終端位置21a、21bの周方向中間位置Pから周方向に15度ズレた位置に設けている。
前記端子23は、超電導線21へ取り付ける円弧状の導体接続部23aと、該導体接続部23aに対して直交する方向に屈曲させた端子接続部23bからなり、導体接続部23aを超電導線21の端末に半田付け接続している。該端子23の端子接続部23bにはボルト挿通用の貫通穴23cを設けており、端子接続部23bにリード線端末の端子(図示せず)がボルト締め接続される。
図3に示すように、中央連結芯材30の下端部には下側フランジ11を外嵌しており、円盤状の下側フランジ11の貫通穴11aの内周面に設けた段差部11bに中央連結芯材30の下端面30bを当接させて位置決めしている。
前記ダブルパンケーキコイル20は中央連結芯材30に外嵌した状態で下側フランジ11上に載置して積層している。前記中央連結芯材30の突起30aにダブルパンケーキコイル20の巻枠22に設けた溝22aを嵌合し、ダブルパンケーキコイル20を回転不可となるように位置決めしている。
詳細には、最下層のダブルパンケーキコイル20Aは、図1(A)に示すように、第1コイル部20aが上方、第2コイル部20bが下方となるように配置する一方、最下層のダブルパンケーキコイル20Aに隣接するダブルパンケーキコイル20Bは、図1(B)に示すように、第2コイル部20bが上方、第1コイル部20aが下方となるように配置している。
前記ダブルパンケーキコイル20Aと同様に配置したダブルパンケーキコイル20と前記ダブルパンケーキコイル20Bと同様に配置したダブルパンケーキコイル20を交互に積層しており、隣接するダブルパンケーキコイルを軸線方向に逆向きになるように配置している。
なお、図1において、破線で示した端子23A、23Bは隣接するダブルパンケーキコイル20の端子23A、23Bの配置位置を示し、隣接するダブルパンケーキコイルでは、端子23A、23Bが周方向に30度位置ズレしていることを示している。
前記中央連結芯材30の上端位置には上側フランジ12を外嵌し、該上側フランジ12を最上層のダブルパンケーキコイル20上に載置している。該上側フランジ12を前記下側フランジ11とボルトBとナットNで締め付け固定して、ダブルパンケーキコイル20を軸線方向に位置決め固定している。
次に、超電導コイルユニット10の製造方法について説明する。
まず、中央連結芯材30の下端に下側フランジ11を外嵌する。
次いで、中央連結芯材30の突起30aにダブルパンケーキコイル20の巻枠22に設けた溝22aを位置合わせして、第1コイル部20aを上方、第2コイル部20bを下方に配置した状態でダブルパンケーキコイル20の巻枠22を中央連結芯材30に外嵌する。これによりダブルパンケーキコイル20を周方向に回転不可とした状態で中央連結芯材30に外嵌固定している。
次いで、別のダブルパンケーキコイル20を今度は第2コイル部20bを上方、第1コイル部20aを下方に配置した状態で、突起30aと溝22aを嵌合させて、巻き枠22を中央連結芯材30に外嵌する。
前記ダブルパンケーキコイル20の中央連結芯材30への取付作業を繰り返し、所要個数(本実施形態では14個)のダブルパンケーキコイル20を中央連結芯材30に外嵌した後、中央連結芯材30の上端に上側フランジ12を外嵌して、下側フランジ11と上側フランジ12とをボルトBとナットNで締め付け固定する。
このように、超電導コイルユニット10を形成した後、ダブルパンケーキコイル20の端子23にリード線端末の端子を接続している。
前記構成によれば、中央連結芯材30の突起30aを巻枠22の溝22aに挿入して、突起30aと溝22aを干渉させることにより巻枠22に超電導線21を巻回して形成したダブルパンケーキコイル20を回転不可としている。このように、本発明の超電導コイルユニット10は、接着剤等の接着力によってダブルパンケーキコイル20の回転を防止するのではなく、機械的な構造によりダブルパンケーキコイル20の回転を防止しているため、保持力が低下することがなく、超電導コイルユニット10の稼動時にダブルパンケーキコイル20に大きな負荷がかかっても、ダブルパンケーキコイル20が回転するのを防止することができる。
これにより、各ダブルパンケーキコイル20が回転して、隣接するダブルパンケーキコイル20に設けたリード線接続用の端子23同士が接触したり、端子と他の端子に接続したリード線端末の端子が接触してしまうのを防止することができる。
また、各ダブルパンケーキコイル20同士を接着していないため、損傷等の理由によりダブルパンケーキコイルを交換する必要が生じたときに、所要のダブルパンケーキコイルのみを交換すればよく、他のダブルパンケーキコイルを交換する必要がない。
さらに、隣接するダブルパンケーキコイル20では、端子23を周方向に位置ズレさせて配置しているため、端子23同士の接触を確実に防止できると共に、これら端子23にリード線端末の端子を接続する際に隣接するダブルパンケーキコイル20の端子23が邪魔にならず、端子接続作業を容易にすることができる。
なお、本実施形態では、ダブルパンケーキコイル20の第1コイル部20aと第2コイル部20bの間に空隙を設けていないが、第1、第2コイル部20aと20bの間にスペーサを介在させて冷却効率を向上させる構成としてもよい。また、隣接するダブルパンケーキコイル20間にスペーサを介在させる構成としてもよい。
図6に、本発明の第2実施形態を示す。
本実施形態では、中央連結芯材30の外周面に軸線方向に延在する溝30cを設ける一方、ダブルパンケーキコイル20の巻枠22の内周面に軸線方向に延在する突起22bを設け、中央連結芯材30の溝30cと巻枠22の突起22bを嵌合して、中央連結芯材30に巻き枠22を外嵌している。中央連結芯材30の溝30cを周方向の10度の範囲に設ける一方、巻枠22の突起22bを周方向の10度の範囲に設け、溝30cと突起22bを略同一幅としている。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、隣接するダブルパンケーキコイル20Aと20Bを軸線方向逆向きに配置して、端子23を周方向に位置ズレさせている。
前記構成によっても。各ダブルパンケーキコイル20の回転を防止でき、端子23同士の接触を防止できると共に、隣接するダブルパンケーキコイル20Aと20Bの端子23を周方向に位置ズレさせているため、端子接続作業を容易にすることができる。
なお、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
前記実施の形態はすべての点で例示であって、これら実施形態に限定されず、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
本発明の超電導コイルユニットは、自動車等の駆動用モータや、その他発電機、変圧器、超電導電力貯蔵装置(SMES)等の超電導機器に用いられるものである。
(A)(B)は本発明の第1実施形態を示し、ダブルパンケーキコイルを中央連結芯材に外嵌した状態を示す平面図である。 超電導コイルユニットの断面図である。 ダブルパンケーキコイルを示し、(A)は斜視図、(B)は平面図である。 中央連結芯材を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図である。 巻枠を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図である。 (A)(B)は本発明の第2実施形態を示し、ダブルパンケーキコイルを中央連結芯材に外嵌した状態を示す平面図である。 従来例を示す図面である。
符号の説明
10 超電導コイルユニット
20 ダブルパンケーキコイル
21 超電導線
22 巻枠
22a 溝
23 端子
30 中央連結芯材
30a 突起

Claims (3)

  1. 最内周ターンを渡り部として巻枠の外周面に巻き付けたダブルパンケーキコイルを、中央連結芯材に対して積層固定してなる超電導コイルユニットであって、
    前記各ダブルパンケーキコイルの外周面に位置するリード線接続部となる2つの巻き終端位置を周方向に離して位置させ、これら巻き終端位置に挟まれた周方向の中心と位置ずれした箇所と対向する前記巻枠の内周面に溝または突起を設ける一方、
    前記中央連結芯材の外周面に軸線方向に延在し、前記巻枠の溝を嵌合固定する突起または前記巻枠の突起を嵌合固定する溝を設け、
    前記中央連結芯材に順次外嵌して積層するダブルパンケーキコイルは、隣接するダブルパンケーキコイルを軸線方向の上下を逆として中央連結芯材に固定し、隣接するダブルパンケーキコイルの巻き終端位置を位置ずれさせていることを特徴とする超電導コイルユニット。
  2. 前記巻枠の溝あるいは突起は、前記2つの巻き終端位置間の周方向中心位置から周方向に10〜20度ズレた位置に設け、前記巻枠を中央連結芯材に外嵌固定した状態で隣接するダブルパンケーキコイルの巻き終端位置を周方向に20〜40度位置ズレさせている請求項1に記載の超電導コイルユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載の超電導コイルユニットを備えた超電導機器。
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