JP2007053211A - 超電導マグネット - Google Patents

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Abstract

【課題】 外側巻枠のフランジ部に超電導線材引出し用溝が形成される超電導マグネットにおいても、含浸材による超電導線材の拘束作用を確保してクエンチのより有効な抑止を図る。
【解決手段】 複数の巻枠20,30が径方向に重ねて配置され、各巻枠20,30に超電導コイルを構成する超電導線材が巻き付けられ、含浸材により固定される。外側巻枠30のフランジ部34に超電導線材引出し用溝38が形成される。このフランジ部34は、巻枠筒部32に対して独立して周方向に弾性変形可能となるように当該筒部32に係合される。これにより前記溝38での応力集中が緩和され、含浸材の歪みが軽減されて、その超電導線材拘束作用が保たれる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、NMR、MRI、物性研究、質量分析、磁気分離、磁気浮上列車、単結晶引き上げ等に用いられる超電導マグネットに関するものである。
従来、前記のような超電導マグネットとして、特許文献1に記載されるように、互いに径の異なる複数の巻枠が径方向に重ねて配置されるとともに、各巻枠に超電導線材が巻付けられて超電導コイルが形成されたものが知られている。
その概略を図5に示す。図示の超電導マグネットは、内側巻枠80と外側巻枠90とが径方向に重ねて配置されたものであり、各巻枠80,90はそれぞれ、上下方向に延びる筒部82,92と、その筒部82,92の上下端から径方向外側に突設されたフランジ部84,94とを有している。そして、内側巻枠80の筒部82の外周面上に超電導線材が巻付けられることにより内側コイル85が形成されるとともに、外側巻枠90の筒部92の外周面上に超電導線材が巻付けられることにより外側コイル95が形成されている。
このような超電導マグネットでは、前記コイル85,95を構成する超電導線材に大電流が流れ、かつ、これにより強い磁場が形成されるため、当該磁場と電流とによる相互作用によって当該超電導線材に大きな電磁力(ローレンツ力)が加えられる。この電磁力に起因して超電導線材が初期の巻線状態から変位する、いわゆるワイヤーモーションが発生すると、その摩擦熱によって超電導線材の一部の温度が臨界温度を超え、電気抵抗が生ずるおそれがある。このようにして電気抵抗をもつ常伝導部分が発生すると、当該部分に電流が流れることにより自己発熱が誘発され、これにより不可逆的な温度上昇過程に突入し、最終的には超電導マグネット全体が常伝導状態に転位する、いわゆるクエンチ現象が生ずることになる。
そこで従来は、前記特許文献1に記載されるように、前記コイル85,95を構成する超電導線材同士の隙間に高分子材料等からなる含浸材を含浸、固化させ、この含浸材で前記超電導線材の動きを拘束することにより、前記摩擦熱に起因するクエンチの発生の防止が図られている。
特開平10−41123号公報
前記のような超電導マグネットにおいて、一般に、超電導線材を構成する材料(例えばニオブチタン、ニオブ3スズ等の化合物系や酸化物系)は、巻枠80,90を構成する構造材料(例えばアルミニウム合金、ステンレス合金)に比べて熱収縮率が低く、逆に前記含浸材を構成する材料(例えばエポキシ樹脂やワックス)に比べて熱収縮率が高いものとなっている。従って、冷却が完了すると含浸材と超電導線材との間には隙間が生じることになるが、その隙間は僅かであり、当該隙間を見越してマグネット全体の設計が行われている。
しかしながら、前記図5に示すような超電導マグネットにおいては、その構造上、下記のような理由によって含浸材による超電導線材の拘束機能が損なわれ、クエンチが発生するおそれがある。
すなわち、前記超電導マグネットの冷却過程においては、内側コイル85を構成する超電導線材の熱収縮量を外側の巻枠90の熱収縮量が上回るために、この外側巻枠90には、内圧を受ける円筒状圧力容器に類する応力状態、すなわちその周方向に大きな引張応力が発生する状態となる。このとき、前記巻枠90の上下端部には前記フランジ部94からなる厚肉部が存在するため、この厚肉部がいわゆる「強め輪」となって巻枠全体の強度を保つ働きをすることになるが、図6に示すように、前記フランジ部94にはその軸方向内側に巻かれた超電導線材を外部に引き出すための超電導線材引出し用溝96が形成されることが多く、この超電導線材引出し用溝96は構造的には前記厚肉部に局所的に形成された切欠に相当するものとなるので、当該切欠である溝96の近傍領域に応力集中が生じ、当該領域に歪みが偏在することになる。例えば、当該巻枠90の外径を400mm程度とすると、応力が均等に分散されている場合には歪みが0.1%以下に抑えられるのに対し、前記のような応力集中が生ずるとそこに約1〜2%の大きな歪みが偏在することになる。
このような局所的な歪みが含浸材に与えられながら当該含浸材が冷却されると、最終的に、この含浸材は際立った塑性変形が残存する状態で固化(ガラス化)されることになり、しかも、その変形は径方向内側に含浸材が潰される向きの変形となる。従って、この状態で運転が開始され、超電導線材に前記の大きなローレンツ力が作用した場合、前記塑性変形が偏在する箇所では超電導線材と含浸材との隙間が許容範囲を超えてしまい、当該超電導線材の動きを有効に拘束できずにクエンチの発生を許容してしまうおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑み、外側巻枠のフランジ部に超電導線材引出し用溝が形成される超電導マグネットにおいても、含浸材による超電導線材の拘束作用を確保してクエンチのより有効な抑止を図ることを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、互いに径の異なる複数の巻枠が径方向に重ねて配置されるとともに、各巻枠に当該巻枠よりも熱収縮量の小さい超電導線材が巻付けられて超電導コイルを形成し、かつ、当該超電導線材の隙間に含浸材が含浸することにより当該超電導線材の動きが拘束される超電導マグネットにおいて、前記巻枠のうち少なくとも最も外側の巻枠は、その外周面上に前記超電導線材が巻付けられる筒部と、この筒部の軸方向に並ぶ複数の位置に設けられて当該筒部の外周面から径方向外側に突出するフランジ部とを有し、これらのフランジ部のうちの少なくとも一部のフランジ部は、当該フランジ部をその肉厚方向に貫通する形状の超電導線材引出し用溝を有するとともに、その周方向の少なくとも一部が前記筒部とは独立して周方向に弾性変形可能となるように当該筒部に係合されているものである。
この構成によれば、少なくとも最も外側の巻枠において、そのフランジ部が筒部に対して独立して周方向に弾性変形可能な状態で当該筒部に係合されているため、当該フランジ部における超電導線材引出し溝の近傍部位における応力集中が有効に緩和される。よって、この応力集中に起因する含浸材の局所的な歪みが軽減され、当該含浸材が超電導線材の動きを拘束する効果が良好に保たれる。
ここで、前記フランジ部が筒部に対して独立して周方向に弾性変形可能な部位は、その領域が大きいほど効果的である。例えば、前記フランジ部がその周方向の一部が筒部に対して回り止めされており、その回り止め部分以外のフランジ部の部分が前記筒部に対して独立して周方向に弾性変形可能となっている構造にすれば、前記フランジ部の大半の領域を筒部に対して自由変形可能な状態にすることができ、前記応力集中をより有効に緩和することができる。
また、前記フランジ部は、前記筒部に対する軸方向の変位が規制される状態で当該筒部に係合されていることが、より好ましい。この構造によれば、フランジ部の軸方向位置が安定するため、当該フランジ部の内側に巻かれる超電導線材の動きをより有効に規制することができる。
具体的には、前記筒部の外周面と前記フランジ部の内周面のいずれか一方の面にその周方向に延びる周溝が形成され、他方の面に前記周溝に嵌合されて当該周溝内をその周方向に摺動可能な突出部が形成されているものが、好適である。
また、前記筒部と前記フランジ部とが重合する面同士の間に、これらの重合面のうちの少なくとも一方の面との摩擦係数が当該重合面同士の摩擦係数よりも小さい材質からなる低摩擦層が介在している構造とすれば、筒部に対するフランジ部の相対的な弾性変位をより円滑にして前記の応力集中緩和効果をより確実なものにすることができる。
また、前記フランジ部が周方向に分割されている構造とすれば、筒部に対するフランジ部の組付作業をより容易なものとすることができる。
また本発明は、前記課題を解決するための別の手段として、互いに径の異なる複数の巻枠が径方向に重ねて配置されるとともに、各巻枠に当該巻枠よりも熱収縮量の小さい超電導線材が巻付けられ、かつ、当該超電導線材の隙間に含浸材が含浸することにより当該超電導線材の動きが拘束される超電導マグネットにおいて、前記巻枠のうち少なくとも最も外側の巻枠は、その外周面上に前記超電導線材が巻付けられる筒部と、この筒部の軸方向に並ぶ複数の位置に設けられて当該筒部の外周面から径方向外側に突出するフランジ部とを有し、これらのフランジ部のうちの少なくとも一部のフランジ部は、当該フランジ部をその肉厚方向に貫通する形状の超電導線材引出し用溝を有するとともに、周方向に分割されていてその分割されたフランジ部同士が相互独立して周方向に弾性変形可能となっているものである。
この構造によれば、前記フランジ部が周方向に分割されているのに加え、各フランジ部同士が相互に独立して周方向に弾性変形可能であるため、フランジ部全体が一体となっている構造に比べてその超電導線材引出し用溝の近傍部位における応力集中を緩和することができる。よって、前記と同様に含浸材の超電導線材拘束作用を良好に保つことができる。
ここで、前記フランジ部は、少なくとも前記超電導線材引出し用溝の形成部位で周方向に分割されていることが、より好ましい。このように超電導線材引出し用溝をフランジ部の分割部位として利用することにより、当該分割部位の個数を極力減らして全体の強度を確保しながら、前記の応力集中緩和効果を得ることが可能になる。
なお、前記特許文献1の図2には、巻枠が筒部も含めて半割にされた構造が示されているが、その半割にされた部分同士は絶縁材を介して一体に接合されているため、それぞれ独立して周方向に弾性変形することはできず、よって上記の応力集中緩和効果を得ることはできない。
本発明の好ましい実施の形態を図1〜図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る超電導マグネットの使用例としてNMR装置を示したものである。この装置は、中央に上下方向の貫通孔11をもつドーナツ状の全体形状を有しており、本発明に係る超電導マグネット10と、この超電導マグネット10を収容する液体ヘリウム容器12と、この液体ヘリウム容器12を収容する真空容器14とを備えている。前記液体ヘリウム容器12の天壁からは上方に複数本の首管15が延設され、これに対応して前記真空容器14の天壁からは前記各首管15よりも大径の首管16が上方に延設されており、これらの首管16内にそれぞれ前記首管15が挿通された状態で当該首管15,16の上端同士が溶接等の手段で接合されている。そして、特定の首管15を通じて前記液体ヘリウム容器12内に液体ヘリウム注入管18が装入されている。
なお、本発明の超電導マグネットが適用される装置は図示のNMR装置に限らず、例えばMRI、物性研究、質量分析、磁気分離、磁気浮上列車、単結晶引き上げ等、種々の用途に広く適用が可能である。
前記超電導マグネット10の構造の詳細を図2及び図3に示す。
この超電導マグネット10は、内側巻枠20と、この内側巻枠20よりも大径の外側巻枠30とを備え、この外側巻枠30が前記内側巻枠20の径方向外側に重ねて同心状に配置されるようになっている。
前記内側巻枠20は、前記液体ヘリウム容器12及び真空容器14の中央円筒部を取り巻く円筒状の筒部22と、この筒部22の上下端部から径方向外側に突出するフランジ部24とを一体に有し、両フランジ部24同士の間の領域で前記筒部22の外周面上に超電導線材が巻き付けられることにより、強磁場の発生源となる主コイル26が形成されている。
さらに、前記フランジ部24の特定個所には当該フランジ部24を肉厚方向に貫通する切欠状の超電導線材引出し用溝28が形成されており、この超電導線材引出し用溝28を通じて前記主コイル26を構成する超電導線材が内側巻枠20の軸方向外側に引き出されるようになっている。また、この主コイル26を構成する超電導線材同士の隙間には、例えばエポキシ樹脂やワックスといった高分子材料からなる含浸材が含浸状態で固化されることにより、超電導線材の動き(ワイヤモーション)が拘束されている。
一方、外側巻枠30は、その内側に前記内側巻枠20が挿入可能な内径をもつ円筒状の筒部32と、この筒部32の軸方向に並ぶ複数の位置(図例では上下5段の位置)で前記筒部32の外周面から径方向外側に突出するフランジ部34とを備え、各フランジ部34同士の間の領域で前記筒部32の外周面上に超電導線材が巻き付けられることにより、複数(図例では4つ)の補正コイル36が形成されている。これらの補正コイル36は、前記主コイル26により形成される磁場の磁力線の方向を適正な方向に補正するための補正用磁場を発生させる役割を担う。
なお、この外側巻枠30におけるフランジ部34の個数は必ずしも図例に限らず、たとえば筒部32の上下両端にのみフランジ部34が設けられるものについても本発明の適用が可能である。
前記外側巻枠30においても、その各フランジ部34の特定個所には当該フランジ部34を肉厚方向に貫通する切欠状の超電導線材引出し用溝38が形成されており、この超電導線材引出し用溝38を通じて、前記補正コイル36を構成する超電導線材が外側巻枠30の軸方向外側に引き出されるようになっている。また、この補正コイル36を構成する超電導線材同士の隙間にも、例えばエポキシ樹脂やワックスといった高分子材料からなる含浸材が含浸状態で固化されることにより、超電導線材の動き(ワイヤモーション)が拘束されている。この補正コイル36及び外側巻枠30の含浸と、前記主コイル26及び内側巻枠20の含浸とは、一体的に行うことも可能である。
なお、この超電導マグネット10において、前記超電導線材を構成する材料は、例えばニオブチタン、ニオブ3スズのように、巻枠20,30を構成する構造材料(例えばアルミニウム合金、ステンレス合金)よりも熱収縮率が低く、逆に前記含浸材を構成する高分子材料よりも熱収縮率の高いものとなっている。
この超電導マグネット10の特徴として、前記外側巻枠30を構成する各フランジ部34は前記筒部32と別体とされ、かつ、当該フランジ部34の略全体が筒部32に対して独立して周方向に弾性変形可能となる状態で、当該筒部32に係合されている。
詳しくは、前記各フランジ部34の内周面に全周にわたる周溝34aが形成される一方、前記筒部32の外周面に前記各フランジ部34の周溝34a内に嵌合可能な周方向の突条32aが形成されている。そして、これらの突条32aと周溝34aとが嵌合されるとともに、周方向の特定部位で前記筒部32とフランジ部34とを径方向に貫くように位置決めピン40(図3)が挿入されることにより、前記筒部32に対する各フランジ部34の相対回転が規制されている。
従って、この構造においては、前記周溝34aと前記突条32aとの嵌合により、筒部32に対するフランジ部34の軸方向の相対変位は規制されながらも、前記位置決めピン40によりフランジ部34が筒部32に係止されている部位を除いては、当該フランジ部34が筒部32に対する摺動を伴いながら当該筒部32に対して独立して周方向に弾性変形することが可能となっている。
なお、この摺動作用は、前記突条32aが周方向に連続したものでなく同方向に間欠的に形成されたものでも得ることが可能である。また、当該突条が各フランジ部34の内周面に形成され、これに嵌合可能な周溝が筒部32の外周面に形成されている場合にも同様の作用が得られる。
さらに、前記筒部32とフランジ部34とが互いに重合する面同士の間に、これらの重合面のうちの少なくとも一方の面との摩擦係数が当該重合面同士の摩擦係数よりも小さい材質(例えばフッ素系樹脂)からなる低摩擦層を介在させることにより、摺接抵抗を削減することが可能になる。この低摩擦層は、例えば前記重合面同士の間に低摩擦シートを挟み込んだものでもよいし、いずれか一方の重合面にコーティングしたものでもよい。また、このような低摩擦層をフランジ部34と超電導線材との間にも介在させることにより、さらに効果的となる。
次に、この装置の作用を説明する。
図示のNMR装置において、液体ヘリウム容器14内に超電導マグネット10がセットされ、かつ、冷却が開始される前の段階では、超電導線材の隙間に含浸する含浸材はまだ完全に固化しておらず、流動性を有する状態となっている。
この状態から液体ヘリウムの注入により冷却が進められると、外側巻枠30を構成する構造材料の熱収縮量が、内側巻枠20に巻き付けられている主コイル26の超電導線材の熱収縮量を上回るため、この超電導線材から前記外側巻枠30が内圧を受け始め、円筒状の圧力容器に類する応力状態となる。すなわち、この外側巻枠30に周方向の引張応力が発生することになる。
このとき、外側巻枠30のフランジ部34には超電導線材引出し用溝38からなる切欠が存在するため、仮に当該フランジ部30が筒部32と一体に形成され、もしくは相対変位不能となるように完全固定されていると、前記超電導線材引出し用溝38の近傍に著しい応力集中が発生することになるが、図示の構造では、フランジ部34が回り止めピン40により筒部32に係止されている部位を除いて当該筒部32に対して独立して周方向に弾性変形可能な状態にあるため、前記超電導線材引出し用溝38の存在に起因する応力集中、さらにはこの応力集中に起因して含浸材に生ずる局所的な歪みが有効に抑止される。これにより、当該含浸材は略均等な歪み状態を維持しながら冷却され、特に顕著な隙間を残すことなく最終的に固化する。従って、当該冷却後の運転時には、超電導線材に作用するローレンツ力に抗して当該超電導線材の動き(ワイヤモーション)を有効に拘束することができ、当該ワイヤモーションに起因するクエンチの発生をより確実に防ぐことが可能となる。
さらに、前記フランジ部34を周方向に分割して図4に示すような略円弧状の分割フランジ部34A,34Bとし、これらの分割フランジ部34A,34Bの組付後に当該分割フランジ部34A,34B同士をアルミニウム合金やステンレス合金等からなる連結部材42で連結するようにすれば、各分割フランジ部34A,34Bを筒部32に対してその径方向外側からアプローチしながら取付けることが可能となり、当該取付作業がより容易となる。
また、このようにフランジ部を分割する場合には、その分割フランジ部34A,34Bが筒部32と一体になっており、または当該筒部32と一体に固定された構造であっても、前記図4に示した連結部材42を省略し、かつ、分割フランジ部34A,34B同士の隙間44を十分に確保して両分割フランジ部34A,34B同士が相互独立して周方向に弾性変形できるようにすれば、フランジ部34全体が一体となっている構造に比べて前記超電導線材引出し用溝38の近傍部位における応力集中を緩和することが可能になる。
この場合、前記分割箇所を増やせば(例えば歯車状に分割)、応力集中緩和効果はより高くなる。また、その分割箇所として、前記超電導線材引出し用溝38の形成部位を含むようにする、すなわち、当該溝38を利用してフランジ部を完全に周方向に分断するようにすることにより、当該フランジ部の欠如部分を極力減らしてその全体の強度を確保しながら、前記の応力集中緩和効果を得ることが可能になる。
なお、以上示した応力集中緩和構造(図2〜図4に示すような筒部に対するフランジ部の取付構造またはフランジ部分割構造)は、必ずしも外側巻枠30における全てのフランジ部34について適用しなくてもよく、例えば超電導線材引出し用溝38を有しないフランジ部34や、当該溝38を有していてもその形状等から応力集中度合いの低いフランジ部34については、適宜省略をすることが可能である。すなわち、本発明では、外側巻枠30に含まれる少なくとも一つのフランジ部について前記応力集中緩和手段が適用されればよい。
逆に、本発明は、前記内側巻枠20のフランジ部24について前記応力集中緩和手段を適用することを妨げるものではない。また、前記巻枠が径方向に3重以上に重ねられている場合には、少なくとも最外側の巻枠のフランジ部について前記応力集中緩和手段を適用すればよい。
また、複数の巻枠は、内側と外側とで材質が同じであってもよいし、異なっていてもよい。筒部の材質とフランジ部の材質も、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る超電導マグネットを備えたNMR装置を示す断面正面図である。 前記超電導マグネットの要部を示す断面正面図である。 前記超電導マグネットの平面図である。 前記超電導マグネットの変形例を示す平面図である。 従来の超電導マグネットの例を示す断面正面図である。 図5の超電導マグネットの外側巻枠のフランジ部に超電導線材引出し用溝が形成された例を示す斜視図である。
符号の説明
10 超電導マグネット
20 内側巻枠
26 主コイル
30 外側巻枠
32 筒部
32a 突条(突出部)
34 フランジ部
34A,34B 分割フランジ部
34a 周溝
36 補正コイル
38 超電導線材引出し用溝
40 回り止めピン

Claims (8)

  1. 互いに径の異なる複数の巻枠が径方向に重ねて配置されるとともに、各巻枠に当該巻枠よりも熱収縮量の小さい超電導線材が巻付けられて超電導コイルを形成し、かつ、当該超電導線材の隙間に含浸材が含浸することにより当該超電導線材の動きが拘束される超電導マグネットにおいて、前記巻枠のうち少なくとも最も外側の巻枠は、その外周面上に前記超電導線材が巻付けられる筒部と、この筒部の軸方向に並ぶ複数の位置に設けられて当該筒部の外周面から径方向外側に突出するフランジ部とを有し、これらのフランジ部のうちの少なくとも一部のフランジ部は、当該フランジ部をその肉厚方向に貫通する形状の超電導線材引出し用溝を有するとともに、その周方向の少なくとも一部が前記筒部とは独立して周方向に弾性変形可能となるように当該筒部に係合されていることを特徴とする超電導マグネット。
  2. 請求項1記載の超電導マグネットにおいて、前記フランジ部はその周方向の一部が筒部に対して回り止めされており、その回り止め部分以外のフランジ部の部分が前記筒部に対して独立して周方向に弾性変形可能となっていることを特徴とする超電導マグネット。
  3. 請求項1または2記載の超電導マグネットにおいて、前記フランジ部は、前記筒部に対する軸方向の変位が規制される状態で当該筒部に係合されていることを特徴とする超電導マグネット。
  4. 請求項3記載の超電導マグネットにおいて、前記筒部の外周面と前記フランジ部の内周面のいずれか一方の面にその周方向に延びる周溝が形成され、他方の面に前記周溝に嵌合されて当該周溝内をその周方向に摺動可能な突出部が形成されていることを特徴とする超電導マグネット。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の超電導マグネットにおいて、前記筒部と前記フランジ部とが重合する面同士の間に、これらの重合面のうちの少なくとも一方の面との摩擦係数が当該重合面同士の摩擦係数よりも小さい材質からなる低摩擦層が介在していることを特徴とする超電導マグネット。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の超電導マグネットにおいて、前記フランジ部が周方向に分割されていることを特徴とする超電導マグネット。
  7. 互いに径の異なる複数の巻枠が径方向に重ねて配置されるとともに、各巻枠に当該巻枠よりも熱収縮量の小さい超電導線材が巻付けられて超電導コイルを形成し、かつ、当該超電導線材の隙間に含浸材が含浸することにより当該超電導線材の動きが拘束される超電導マグネットにおいて、前記巻枠のうち少なくとも最も外側の巻枠は、その外周面上に前記超電導線材が巻付けられる筒部と、この筒部の軸方向に並ぶ複数の位置に設けられて当該筒部の外周面から径方向外側に突出するフランジ部とを有し、これらのフランジ部のうちの少なくとも一部のフランジ部は、当該フランジ部をその肉厚方向に貫通する形状の超電導線材引出し用溝を有するとともに、周方向に分割されていてその分割されたフランジ部同士が相互独立して周方向に弾性変形可能となっていることを特徴とする超電導マグネット。
  8. 請求項7記載の超電導マグネットにおいて、前記フランジ部は、少なくとも前記超電導線材引出し用溝の形成部位で周方向に分割されていることを特徴とする超電導マグネット。
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JP2009016622A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導コイルユニットおよび該超電導コイルユニットを備えた超電導機器
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JP2009259923A (ja) * 2008-04-15 2009-11-05 Japan Superconductor Technology Inc 超電導マグネットおよびそれを備えたマグネット装置
CN103646746A (zh) * 2013-12-13 2014-03-19 绵阳市腾扬机电制品有限责任公司 一种磁共振医疗仪的磁体线圈骨架
CN103943301A (zh) * 2014-05-12 2014-07-23 中国东方电气集团有限公司 一种超导组合绕组

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