以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、車両用自動変速機として好適に用いられる車両用多段変速機(以下、単に変速機と称する)14の構成を説明する骨子図である。この図1に示すように、本実施例の変速機14は、車体に取り付けられる非回転部材であるトランスミッションケース16内において共通の軸心上に順次配設されたロックアップクラッチ18付きのトルクコンバータ20、そのトルクコンバータ20に連結された入力回転部材である入力軸22、第1前置遊星歯車装置24及び第2前置遊星歯車装置26を主体として構成される第1変速部38、第1後置遊星歯車装置28及び第2後置遊星歯車装置30を主体として構成される第2変速部40、上記第1変速部38の出力を第2変速部40へ伝達するための第1中間出力部材32及び第2中間出力部材34、及び出力回転部材である出力軸36を同心に備えて構成されている。
上記変速機14は、車両において縦置きされるFR用自動変速機や、横置きされるFF用自動変速機等として好適に用いられるものであり、原動機であるエンジン10と図示しない駆動輪との間に配設され、そのエンジン10の出力を変速して駆動輪に伝達する。上記トルクコンバータ20は、上記エンジン10のクランク軸12に作動的に連結され、そのエンジン10から出力される動力を上記入力軸22へ出力する。すなわち、上記トルクコンバータ20の出力側回転部材であるタービン軸に連結される上記入力軸22は、上記エンジン10により回転駆動されることになり、上記トルクコンバータ20のタービン軸も上記入力軸22と同様に入力回転部材に相当する。また、上記出力軸36は、例えば図示しない差動歯車装置等を介して左右一対の駆動輪を回転駆動する。なお、上記変速機14は、その軸心に関して対称的に構成されているため、図1に示す骨子図においてはその下側が省略されている。以下の説明に用いる骨子図においても同様である。
前記第1変速部38を構成している第1前置遊星歯車装置24は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置26は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、それら遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部38において、前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1と第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2とが非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1と第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2とが入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部38は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部40へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部40へ伝達する。
前記第2変速部40を構成している第1後置遊星歯車装置28は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、遊星歯車P3、その遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、前記第2後置遊星歯車装置30は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P4、それら遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部40において、前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4が互いに連結されて第1回転要素RE1を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3が第3回転要素RE3を構成している。また、前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4が第4回転要素RE4を構成している。また、前記第1中間出力部材32と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と上記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第1中間出力部材32と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第2中間出力部材34と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、上記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、上記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2は、例えば、従来の車両用自動変速機において多用されている油圧式摩擦係合装置であり、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本乃至は2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキ等により構成され、それらが介装されている両側の部材を選択的に連結するための装置である。
図3は、前記変速機14を制御するための電子制御装置42に入力される信号及びその電子制御装置42から出力される信号を例示している。この電子制御装置42は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより前記変速機14における変速制御をはじめとする駆動制御を実行するものである。
上記電子制御装置42には、図示しない各センサやスイッチから、エンジン水温を示す信号、シフトポジションを表す信号、前記エンジン10の回転速度であるエンジン回転速度NEを表す信号、エアコンの作動を示すエアコン信号、前記出力軸36の回転速度に対応する車速信号、前記変速機14の作動油温を示すAT油温信号、サイドブレーキ操作を示す信号、フットブレーキ操作を示す信号、触媒温度を示す触媒温度信号、アクセルペダルの操作量を示すアクセル開度信号Acc、カム角信号、スノーモード設定を示すスノーモード設定信号、車両の前後加速度を示す車両加速度信号、図示しない第1電動機MG1の回転速度を表す信号等がそれぞれ供給されるようになっている。また、上記電子制御装置42からは、図示しない電子スロットル弁の開度を操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、前記エンジン10の点火時期を指令する点火信号、図示しない第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動を指令する指令信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、前記変速機14に備えられた油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するための電磁弁を作動させるATソレノイド指令信号、図示しない電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等がそれぞれ出力されるようになっている。
図2は、前記変速機14に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機14では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図2に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっ
ている。
すなわち、図2に示すように、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.648」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「4.100」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.578」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.786」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.438」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.237」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.814」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が第8速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.658」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ10が最小値、例えば「0.552」程度である第10速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.434」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.923」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置28のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図2の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機14では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比であるステップが(=γ1/γ2)が「1.133」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.591」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.443」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.241」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.163」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.237」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.229」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.237」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.192」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.420」とされている。
図4は、前記変速機14において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことのできる共線図を示している。この図4の共線図は、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、5本の横線のうち最も下側の横線(破線)X1が前記第1変速部38の出力である前記第2中間出力部材34の回転速度を示し、その上側の横線XZが回転速度零を示し、その更に上側の横線(破線)X2が前記第1変速部38の出力である前記第1中間出力部材32の回転速度を示し、その更に上側の横線X3が回転速度「1.0」すなわち入力回転部材である前記入力軸22の回転速度を示し、最も上側の横線X4が回転速度「2.0」すなわち前記入力軸22の2倍の回転速度を示している。この共線図の左側部分に示す第1変速部38の6本の縦線Y1乃至Y6は、左から順に、前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1、キャリヤCA1、リングギヤR1、前記第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2、リングギヤR2、キャリヤCA2をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1及び第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部40の4本の縦線Y7乃至Y10は、左から順に、Y7が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4を、Y8が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4を、Y9が前記第3回転要素RE3に対応する前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3を、Y10が前記第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1後置遊星歯車装置28のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4に応じて定められている。
上記共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機14は、前記第1変速部38において、前記第1前置遊星歯車装置24の3つの回転要素のうちの1つであるサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に連結され、他の1つであるキャリヤCA1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に相対回転不能に固定され、残りの一つであるリングギヤR1が前記第2中間出力部材34と一体的に設けられることで同様に第2中間出力部材として機能すると共に、前記第5クラッチC5を介して前記第1回転要素RE1(S3、CA4)に選択的に連結される。また、前記第2前置遊星歯車装置26の3つの回転要素のうちの1つであるサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に相対回転不能に固定され、他の1つであるリングギヤR2が前記第1中間出力部材32と一体的に設けられることで同様に第1中間出力部材として機能すると共に、前記第3クラッチC3を介して前記第1回転要素RE1(S3、CA4)に選択的に連結されると共に前記第1クラッチC1を介して前記第4回転要素RE4(S4)に選択的に連結され、残りの1つであるキャリヤCA2が入力回転部材である前記入力軸22に連結される。また、前記第2変速部40において、前記第1回転要素RE1(S3、CA4)が前記第3クラッチC3を介して前記第1中間出力部材32に選択的に連結され、前記第4クラッチC4を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結され、前記第5クラッチC5を介して前記第2中間出力部材34に選択的に連結されると共に、前記第1ブレーキB1を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に固定される。また、前記第2回転要素RE2(CA3、R4)が前記第2クラッチC2を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結されると共に、前記第2ブレーキB2を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に固定される。また、前記第3回転要素RE3(R3)が出力回転部材である前記出力軸36と一体的に設けられることで同様に出力回転部材として機能する。また、前記第4回転要素RE4(S4)が前記第1クラッチC1を介して前記第1中間出力部材32に選択的に連結される。
前記図4の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y7及び横線X1の交点と縦線Y10及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y8及び横線XZの交点と縦線Y10及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y7及び横線XZの交点と縦線Y10及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y9と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y7及び横線X3の交点と縦線Y10及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y8及び横線X3の交点と縦線Y10及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y9と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y7及び横線X2の交点と縦線Y8及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y7及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第10速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y7及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(10th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y7及び横線X2の交点と縦線Y8及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y7及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y9と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、入力回転部材である前記入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び前記入力軸22の回転を逆転して伝達する第2中間出力部材34を有する第1変速部38と、2組の遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、及びリングギヤの一部が互いに連結されることにより4つの回転要素を構成する第2変速部40とを、備え、前記4つの回転要素の回転速度を直線で表すことのできる共線図上において、それら4つの回転要素を一端から他端に向かって順番に第1回転要素RE1、第2回転要素RE2、第3回転要素RE3、及び第4回転要素RE4としたとき、前記第1中間出力部材32と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と前記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第1中間出力部材32と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第2中間出力部材34と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、前記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、前記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、有することから、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら多段化を実現する変速機14を提供することができる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第10変速段を成立させるものであるため、前進10段変速を実現できることに加え、第9変速段と第10変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
また、前記第1変速部38は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置24及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置26から成り、前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機14を提供できる。
また、前記第2変速部40は、シングルピニオン型の第1後置遊星歯車装置28及びダブルピニオン型の第2後置遊星歯車装置30から成り、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4によって前記第2回転要素RE2が構成され、前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3によって前記第3回転要素RE3が構成され、前記第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4によって前記第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な変速機14を提供できる。
また、本実施例の変速機14は、クラッチの数とブレーキの数とのバランスがよく、しかもそれらの位置が変速機14の軸心方向に比較的分散しているので、それらクラッチ及びブレーキへの油路の配置が容易となる。
また、前記変速機14は、前述の図2に示される係合作動表において、第2変速段を省いた前進9段変速としても使用することができる。すなわち、変速機14は、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させることができる。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、前述した実施例と共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図5は、本発明の他の実施例である変速機44の構成を説明する骨子図である。また、図6は、その変速機44の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図7は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機44は、第2変速部50の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機44に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
図5に示すように、上記第2変速部50を構成している第1後置遊星歯車装置46は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、遊星歯車P3、その遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、前記第2後置遊星歯車装置48は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P4、それら遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。これら第1後置遊星歯車装置46及び第2後置遊星歯車装置48は、キャリヤCA3及びCA4が共通の部材にて構成されていると共に、リングギヤR3及びR4が共通の部材にて構成されており、且つ第1後置遊星歯車装置46のピニオンギヤが第2後置遊星歯車装置48の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
上記変速機44の第2変速部50では、上記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3によって第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された上記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4によって第2回転要素RE2が構成され、互いに連結された上記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4によって第3回転要素RE3が構成され、上記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4によって第4回転要素RE4が構成されている。
前述のように構成された変速機44では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図6に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図7の共線図において、第2変速部50の4本の縦線Y7乃至Y10は、左から順に、Y7が前記第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y8が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y9が前記第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y10が前記第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図7に示す共線図は、前述した図4に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第2変速部50は、シングルピニオン型の第1後置遊星歯車装置46及びダブルピニオン型の第2後置遊星歯車装置48から成り、前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4によって前記第2回転要素RE2が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4によって前記第3回転要素RE3が構成され、前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4によって前記第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な変速機44を提供できる。
ここで、前記変速機44は、前記電子制御装置42の指示に従って、図8に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図9は図8に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図8,図9の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図8の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図8に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.776」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.925」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.519」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.265」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.800」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.667」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.588」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.000」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図8の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.633」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.463」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.316」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.201」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.265」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.133」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.119」とされている。
図9の共線図において、第1変速部38の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2をそれぞれ表している。また、第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。
前記図9の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例では、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8変速段を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機44は、前記電子制御装置42の指示に従って、図10に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図11は図10に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図10,図11の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図10の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図10に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.971」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.290」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.222」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.645」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.409」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.244」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.825」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.649」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.047」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.852」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図10の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機44では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.655」とされている。
図11の共線図において、第1変速部38の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2をそれぞれ表している。また、第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。
前記図11の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
図12は、本発明の更に別の実施例である変速機66の構成を説明する骨子図である。また、図13は、その変速機66の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図14は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機66は、第1変速部72及び第2変速部64の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機66に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
図12に示すように、上記第1変速部72を構成している第1前置遊星歯車装置68は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置70は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部72において、前記第1前置遊星歯車装置68のキャリヤCA1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置68のサンギヤS1と第2前置遊星歯車装置70のリングギヤR2とが入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2が連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置70のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部72は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部64へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前記第2変速部64を構成している第1後置遊星歯車装置58は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P3、それら遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、前記第2後置遊星歯車装置60は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、遊星歯車P4、その遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部64において、前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4が互いに連結されて第1回転要素RE1を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4が第3回転要素RE3を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3が第4回転要素RE4を構成している。また、前記第1中間出力部材32と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と上記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第1中間出力部材32と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第2中間出力部材34と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、上記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、上記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
前述のように構成された変速機66では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図13に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図13に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.762」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
図13に示す係合作動表において、第2速ギヤ段「2nd」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図2を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図13の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第2速ギヤ段の変速比γ2が「4.110」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.603」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.000」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.624」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.322」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.833」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.714」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.621」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「5.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.500」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.159」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.579」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.301」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.232」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.229」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.322」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.167」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.150」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.667」とされている。
図14の共線図において、第1変速部72の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置70のリングギヤR2を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2を、Y3が前記第1前置遊星歯車装置68のキャリヤCA1を、Y4が前記第2前置遊星歯車装置70のサンギヤS2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図14に示す共線図は、前述した図4等に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
上記共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機66は、前記第1変速部72において、4つの回転要素のうち1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置70のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結され、2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32と一体的に設けられることで同様に第1中間出力部材として機能し、3つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置68のキャリヤCA1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に相対回転不能に固定され、4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置70のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34と一体的に設けられることで同様に第2中間出力部材として機能する。また、前記第2変速部64において、前記第1回転要素RE1(CA3、S4)が前記第3クラッチC3を介して前記第1中間出力部材32に選択的に連結され、前記第4クラッチC4を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結され、前記第5クラッチC5を介して前記第2中間出力部材34に選択的に連結されると共に、前記第1ブレーキB1を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に固定される。また、前記第2回転要素RE2(R3、CA4)が前記第2クラッチC2を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結されると共に、前記第2ブレーキB2を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に固定される。また、前記第3回転要素RE3(R4)が出力回転部材である前記出力軸36と一体的に設けられることで同様に出力回転部材として機能する。また、前記第4回転要素RE4(S3)が前記第1クラッチC1を介して前記第1中間出力部材32に選択的に連結される。
前記図14の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第10速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(10th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチ要素C4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第10変速段を成立させるものであるため、前進10段変速を実現できることに加え、第9変速段と第10変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
また、前記第1変速部72は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置68及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置70から成り、前記第1前置遊星歯車装置68のキャリヤCA1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2が互いに連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置68のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置70のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1又は第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第2前置遊星歯車装置70のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機66を提供できる。
また、前記第2変速部64は、ダブルピニオン型の第1後置遊星歯車装置58及びシングルピニオン型の第2後置遊星歯車装置60から成り、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4によって前記第2回転要素RE2が構成され、前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4によって前記第3回転要素RE3が構成され、前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3によって前記第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な変速機66を提供できる。
また、前記変速機66は、前述の図13に示される係合作動表において、第2変速段を省いた前進9段変速としても使用することができる。すなわち、変速機66は、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させることができる。
ここで、前記変速機66は、前記電子制御装置42の指示に従って、図15に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図16は図15に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図15、図16について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図15の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図15に示すように、第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と第2中間出力部材34の間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「5.971」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
図15に示す係合作動表において、第2速ギヤ段「2nd」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図13を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図15の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.783」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.509」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.782」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.452」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.260」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.800」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.636」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.493」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.118」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.750」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.578」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.508」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.408」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.227」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.152」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.260」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.251」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.256」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.290」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「12.101」とされている。
図16の共線図において、第1変速部72の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置70のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置68のキャリヤCA1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置70のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図16に示される共線図は図4に示される共線図と同様であるため、説明を省略する。
このように、本実施例によれば、各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機66を得ることができる。
ここで、前記変速機66は、前記電子制御装置42の指示に従って、図17に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図18は図17に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図17、図18について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図17の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図17に示すように、第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と第2中間出力部材34の間が連結されることにより、変速比γ2が例えば「2.924」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
一方、図17に示す係合作動表において、第1速ギヤ段「1st」及び第3速ギヤ段「3rd」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図13を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図17の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.549」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.233」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.645」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.414」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.246」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.824」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.649」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.568」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.062」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.852」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.556」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.309」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.170」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.134」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.246」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.213」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.246」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.143」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.005」とされている。
図18の共線図において、第1変速部72の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は前述の実施例と骨子図が同一であるため、図16と同様の回転要素を示す。また、図17に示す係合作動表において、第1速ギヤ段「1st」及び第3速ギヤ段「3rd」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については図13を用いて前述したものと同様であるため、共線図もそれに対応し、図18の第1速ギヤ段「1st」及び第3速ギヤ段「3rd」乃至第10速ギヤ段「10th」は図14と同様となるためその説明を省略する。
一方、第2速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第5クラッチC5の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点を結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチ要素及び第2ブレーキ要素を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第2クラッチ要素を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第9変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第10変速段を成立させるものであるため、前進10段変速を実現できることに加え、第9ギヤ段と第10ギヤ段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機66は、前記電子制御装置42の指示に従って、図19に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図20は図19に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図19、図20について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図19の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図19に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4とトランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.776」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.925」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.519」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.265」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.800」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.667」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.588」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.000」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置68のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置70のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図19の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.633」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.463」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.316」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.201」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.265」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.133」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.119」とされている。
図20の共線図において、第1変速部72の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置70のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置68のキャリヤCA1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置70のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図20に示される共線図は図9に示される共線図と同様であるため、説明を省略する。
このように、本実施例では、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8変速段を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機66は、前記電子制御装置42の指示に従って、図21に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図22は図21に対応する共線図である。以下、この図21、図22の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図21の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図21に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.971」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.290」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.222」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.645」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.409」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.244」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.825」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.649」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.047」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.852」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置68のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置70のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図21の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.655」とされている。
図22の共線図において、第1変速部72の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置70のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置68のキャリヤCA1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置70のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置68のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置70のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図22に示される共線図は図11に示される共線図と同様であるため、説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機66は、前記電子制御装置42の指示に従って、図23に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図24は図23に対応する共線図である。以下、この図23、図24の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図23の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図23に示す係合作動表において、第1速ギヤ段「1st」、第3速ギヤ段「3rd」乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図21を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
一方、第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と第2中間出力部材34の間が連結されることにより、第2速ギヤ段が成立させられる。
また、図23の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.549」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「2.924」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.233」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.645」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.414」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.246」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.824」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.649」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.062」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.852」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.556」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.309」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.170」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.134」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.246」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.213」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.246」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.005」とされている。
図24の共線図において、第1変速部72の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図16と同様である。また、図23に示す係合作動表において、第1速ギヤ段「1st」、第3速ギヤ段「3rd」乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図21を用いて前述したものと同様であるため、共線図もそれに対応し、図24の第2速ギヤ段「2nd」を除く共線図は図22に示される共線図と同様となる。
一方、第2速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第5クラッチC5の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチ要素及び第2ブレーキ要素を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第2クラッチ要素を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8ギヤ段と第9ギヤ段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機66は、前記電子制御装置42の指示に従って、図25に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図26は図25に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図25、図26について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図25の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図25に示すように、第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と第2中間出力部材34の間が連結されることにより、変速比γ1が例えば「4.503」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
一方、図25に示す係合作動表において、第2速ギヤ段「2nd」乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図19を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図25の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機66では、第2速ギヤ段の変速比γ1が「2.720」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.000」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.581」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.316」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.000」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「0.800」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.667」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.563」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「4.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.000」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.656」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.360」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.265」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.201」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.316」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.183」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.993」とされている。
図26の共線図において、第1変速部72の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は前述の実施例と骨子図が同一であるため、図16と同様の回転要素を示す。また、図25に示す係合作動表において、第2速ギヤ段「2nd」乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については図19を用いて前述したものと同様であるため、共線図もそれに対応し、図26の第2速ギヤ段「2nd」乃至第9速ギヤ段「9th」は図20と同様となるためその説明を省略する。
一方、第1速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第5クラッチC5の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点を結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第1クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第2クラッチ要素を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9変速段を実現できることに加え、第8ギヤ段と第9ギヤ段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
図27は、本発明の更に別の実施例である変速機74の構成を説明する骨子図である。また、図28及び図29は、その変速機74の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図30は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機74は、第1変速部80の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機74に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図27に示すように、上記第1変速部80を構成している第1前置遊星歯車装置76は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置78は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部80において、前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1と第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2とが連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2が連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置78のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部80は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部64へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機74では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図28に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図28の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機74では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.762」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「4.110」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.603」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.000」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.624」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.322」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.833」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.714」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.621」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「5.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.500」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.159」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.579」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.301」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.232」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.229」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.322」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.167」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.150」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.677」とされている。前記第1前置遊星歯車装置76のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置78のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、変速機74の各変速段の係合作動は変わらないが、各遊星歯車装置のギヤ比ρ1乃至ρ4を好適に設定することによっても図29に示されるような変速段を得ることができる。図29の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機74では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.971」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.290」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.222」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.645」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.409」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.244」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.825」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.649」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.574」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.047」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.852」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.131」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.655」とされている。このように、各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することで、変速比のレンジ幅を図28に示されるレンジ幅よりも広く設定することができる。
図30の共線図において、第1変速部80の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2を、Y3が3つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置78のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図30に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部80は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置76及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置78から成り、前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2が互いに連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1又は第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第2前置遊星歯車装置76のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機74を提供できる。
ここで、前記変速機74は、前記電子制御装置42の指示に従って、図31に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図32は図31に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図31、図32の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図31の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図31に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図15を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。また、同様にこれら各変速段の係合によって得られる変速比も図15に示される変速比と同じであるため、その説明を省略する。
図32の共線図において、第1変速部80の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置78のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図32に示される共線図は図16に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機74を得ることができる。
ここで、前記変速機74は、前記電子制御装置42の指示に従って、図33に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図34は図33に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図33、図34について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図33の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図33に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図17を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。また、同様にこれら各変速段の係合によって得られる変速比も図17に示される変速比と同じであるため、その説明を省略する。
図34の共線図において、第1変速部80の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置78のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図34に示される共線図は図18に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機74を得ることができる。
ここで、前記変速機74は、前記電子制御装置42の指示に従って、図35に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図36は図35に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図35、図36の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図35の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図35に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.776」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.925」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.519」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.265」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.800」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.667」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.588」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.000」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置76のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置78のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図35の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機74では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.633」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.463」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.316」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.201」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.265」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.133」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.119」とされている。
図36の共線図において、第1変速部80の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置78のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図9に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例では、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8変速段を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機74は、前記電子制御装置42の指示に従って、図37に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図38は図37に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図37、38の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図37の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図37に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.971」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.290」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.222」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.645」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.409」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.244」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.825」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.649」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.047」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.852」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置76のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置78のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図37の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機74では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.655」とされている。
図38の共線図において、第1変速部80の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置78のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図11に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップを比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機74は、前記電子制御装置42の指示に従って、図39に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図40は図39に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図39、40の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図39の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図23を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図40の共線図において、第1変速部80の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図32と同様である。また、図39に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図23を用いて前述したものと同様であるため、共線図もそれに対応し図40の共線図は図24に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機74は、前記電子制御装置42の指示に従って、図41に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図42は図41に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図41、図42について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図41の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図41に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図25を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。また、同様にこれら各変速段の係合によって得られる変速比も図25に示される変速比と同じであるため、その説明を省略する。
図42の共線図において、第1変速部80の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置78のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置76のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置78のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図42に示される共線図は図26に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機74を得ることができる。
図43は、本発明の更に別の実施例である変速機98の構成を説明する骨子図である。また、図44及び図45は、その変速機98の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図46は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機98は、第1変速部104の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機98に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図43に示すように、上記第1変速部104を構成している第1前置遊星歯車装置100は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、上記第2前置遊星歯車装置102は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、それら遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部104において、前記第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1と第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2とが連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2が連結されると共に、前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部104は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部64へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機98では、前記電子制御装置42の指令に従って、図44に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図44の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機98では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.762」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「4.110」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.603」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.000」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.624」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.322」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.833」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.714」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.621」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「5.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.500」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.159」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.579」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.301」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.232」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.229」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.322」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.167」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.150」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.677」とされている。前記第1前置遊星歯車装置100のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置102のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、各変速段の係合作動は変わらないが、各遊星歯車装置のギヤ比ρ1乃至ρ4を好適に設定することによって図45に示されるような変速段を得ることができる。図45の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機98では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.971」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.290」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.222」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.645」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.409」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.244」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.825」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.649」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.574」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.047」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.852」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.131」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.655」とされている。このように、各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することで、変速比のレンジ幅を図44に示されるレンジ幅よりも広く設定することができる。
図46の共線図において、第1変速部104の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2を、Y3が3つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図46に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部104は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置100及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置102から成り、前記第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され、前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2が互いに連結され且つ第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2が互いに連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1又は第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1又は第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機98を提供できる。
ここで、前記変速機98は、前記電子制御装置42の指示に従って、図47に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図48は図47に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図47、図48の実施例について前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図47の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図47に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図15を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。また、同様にこれら各変速段の係合によって得られる変速比も図15に示される変速比と同じであるため、その説明を省略する。
図48の共線図において、第1変速部104の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2を、Y2が第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2を、Y4が第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図48に示される共線図は図16に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機98を得ることができる。
ここで、前記変速機98は、前記電子制御装置42の指示に従って、図49に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図50は図49に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図49、図50について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図49の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図49に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図17を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。また、同様にこれら各変速段の係合によって得られる変速比も図17に示される変速比と同じであるため、その説明を省略する。
図50の共線図において、第1変速部104の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2を、Y2が前記第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図50に示される共線図は図18に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機98を得ることができる。
ここで、前記変速機98は、前記電子制御装置42の指示に従って、図51に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図52は図51に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図51、図52の実施例について前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図51の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図51に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.776」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.925」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.519」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.265」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.800」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.667」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.588」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.000」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置100のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置102のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図51の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機98では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.633」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.463」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.316」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.201」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.265」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.133」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.119」とされている。
図52の共線図において、第1変速104の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2を、Y2が前記第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図9に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例では、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8変速段を実現できる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機98は、前記電子制御装置42の指示に従って、図53に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図54は図53に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図53、図54の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図53の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図53に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.971」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.290」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.222」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.645」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.409」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.244」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.825」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.649」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.047」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.852」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置100のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置102のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図53の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機98では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.655」とされている。
図54の共線図において、第1変速部104の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2を、Y2が前記第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図11に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機98は、前記電子制御装置42の指示に従って、図55に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図56は図55に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図55、56の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図55の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図23を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図56の共線図において、第1変速部104の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図48と同様である。また、図56に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図23を用いて前述したものと同様であるため、共線図もそれに対応し図56の共線図は図24に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機98は、前記電子制御装置42の指示に従って、図57に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図58は図57に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図57、図58について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図57の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図57に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図25を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。また、同様にこれら各変速段の係合によって得られる変速比も図25に示される変速比と同じであるため、その説明を省略する。
図58の共線図において、第1変速部104の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置102のサンギヤS2を、Y2が前記第2前置遊星歯車装置102のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置100のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置102のキャリヤCA2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置100のリングギヤR1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図58に示される共線図は図26に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機98を得ることができる。
図59は、本発明の更に別の実施例である変速機122の構成を説明する骨子図である。また、図60は、その変速機122の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図61は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機122は、第1変速部128の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機122に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図59に示すように、上記第1変速部128を構成している第1前置遊星歯車装置124は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、上記第2前置遊星歯車装置126は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、それら遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部128において、前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2が相互に連結されると共に、非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部128は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部64へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機122では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図60に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図61の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図61に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部128は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置124及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置126から成り、前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2が互いに連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1又は第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCAS2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機122を提供できる。
ここで、前記変速機122は、前記電子制御装置42の指示に従って、図62に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図63は図62に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図62、図63の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図62の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図62に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図13を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
図62の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機122では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「6.667」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「4.400」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.800」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.000」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.556」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.294」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.800」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.667」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.606」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「4.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.000」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.515」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.571」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.400」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.286」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.202」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.294」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.250」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.200」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.100」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「11.000」とされている。前記第1前置遊星歯車装置124のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置126のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図63の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1を、Y2が第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2を、Y3が相互に連結された第1前置遊星歯車装置76のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2を、Y4が相互に連結された第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図63に示される共線図は図14に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機122を得ることができる。
ここで、前記変速機122は、前記電子制御装置42の指示に従って、図64に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図65は図64に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図64、図65について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図64の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図64に示す係合作動表において第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図17を用いて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。また、同様にこれら各変速段の係合によって得られる変速比も図17に示される変速比と同じであるため、その説明を省略する。
図65の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。図65に示される共線図は図18に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機122を得ることができる。
ここで、前記変速機122は、前記電子制御装置42の指示に従って、図66に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図67は図66に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図66、図67の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図66の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図66に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.776」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.925」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.519」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.265」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.800」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.667」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.588」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.000」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置124のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置126のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図66の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機122では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.633」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.463」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.316」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.201」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.265」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.133」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.119」とされている。
図67の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図9に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例では、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8変速段を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機122は、前記電子制御装置42の指示に従って、図68に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図69は図68に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図68、69の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図68の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図68に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.971」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.290」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.222」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.645」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.409」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.244」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.825」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.649」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.047」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.852」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置124のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置126のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図68の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機122では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.655」とされている。
図69の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置60のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置58のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置60のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置60のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置58のサンギヤS3をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図11に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機122は、前記電子制御装置42の指示に従って、図70に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図71は図70に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図70、71の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図70の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図23を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図71の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図65と同様である。また、図70に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図23を用いて前述したものと同様であるため、共線図もそれに対応し図71の共線図は図24に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機122は、前記電子制御装置42の指示に従って、図72に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図73は図72に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図72、73の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図72の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図25を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図73の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図65と同様である。また、図72に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図25を用いて前述したものと同様であるため、共線図もそれに対応し図73の共線図は図26に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
図74は、本発明の更に別の実施例である変速機138の構成を説明する骨子図である。また、図75乃至図77は、その変速機138の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図78は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機138は、第1変速部144の構成が異なる点を除けば図5に示す変速機44と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機138に関して、前記変速機44と相違する部分について説明する。
図74に示すように、上記第1変速部144を構成している第1前置遊星歯車装置140は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、上記第2前置遊星歯車装置142は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、それら遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部144において、前記第1前置遊星歯車装置140のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置142のサンギヤS2が相互に連結されると共に、非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置140のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置142のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置142のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置140のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部144は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部50へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部50へ伝達する。
前述のように構成された変速機138では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図75に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図75の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機138では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.762」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「4.110」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.603」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.000」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.624」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.322」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.833」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.714」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.621」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「5.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.500」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.159」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.579」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.301」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.232」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.229」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.322」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.167」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.150」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.667」とされている。第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、各変速段の係合作動は変わらないが、各遊星歯車装置のギヤ比ρ1乃至ρ4を好適に設定することによって図76に示されるような変速段を得ることができる。図76の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機138では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.971」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.290」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.222」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.645」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.409」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.244」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.825」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.649」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.574」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.047」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.852」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.131」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.655」とされている。このように、各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することで、変速比のレンジ幅を図75に示されるレンジ幅よりも広く設定することができる。
さらに、前記変速機138は、図77のような変速比にて変速段を成立させることもできる。この図77の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機138では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「6.667」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「4.400」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.800」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.000」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.556」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.294」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.800」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.667」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.606」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「4.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.000」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.515」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.571」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.400」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.286」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.202」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.294」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.250」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.200」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.100」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「11.00」とされている。
図78の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置140のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置142のキャリヤCA2を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置142のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置140のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置142のサンギヤS2を、Y4が4つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置140のリングギヤR1をそれぞれ表している。また、第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図78に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部144は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置140及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置142から成り、前記第1前置遊星歯車装置140のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置142のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置140のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置142のキャリヤCA2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置142のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置140のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機138を提供できる。
ここで、前記変速機138は、前記電子制御装置42の指示に従って、図79に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図80は図79に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図79、80の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図79の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図17を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図80の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第1前置遊星歯車装置140のリングギヤR1を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置140のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置142のサンギヤS2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置142のリングギヤR2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置140のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置142のキャリヤCA2をそれぞれ表している。また、第2変速部50の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。また、これら回転要素を基にすれば、第1速ギヤ段乃至第10速ギヤ段「10th」を表す共線図は図18に示される共線図と同様となるためその説明を省略する。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第9変速ギヤ段と第10変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機138は、前記電子制御装置42の指示に従って、図81に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図82は図81に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図81、82の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図81の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図81に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.596」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ2が例えば「4.088」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が例えば「2.724」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が例えば「1.863」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が例えば「1.464」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が例えば「1.231」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が例えば「0.824」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が例えば「0.685」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ10が例えば「0.611」程度である第10速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.056」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.176」程度である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図81の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機138では、第1ギヤ段の変速比γ1と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ1/γ3)が「1.688」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.501」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.462」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.273」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.189」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.231」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.213」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.203」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.122」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.522」とされている。
図82の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図80と同様となる。
図82の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第10速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(10th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機138を得ることができる。
また、例えば発進時に駆動力を小さくしたい低摩擦路走行時や低温時のアイドルアップ状態などにおいては、ローギヤ化された第1速ギヤ段では発進時の飛び出し感やクリープ力の増大などの弊害が生じる。そこで、第2速ギヤ段を本実施例のようなクリープ力を最適化できるギヤ比に設定し、選択的にその第2速ギヤ段から発進させることで発進時のスリップや車両飛び出しを抑制することができる。
ここで、前記変速機138は、前記電子制御装置42の指示に従って、図83に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速及び後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図84は図83に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図83、84の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図83の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図23を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図84の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図80と同様である。また、図83に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図23を用いて前述したものと同様であるため、回転要素を基にすれば、共線図もそれに対応し図84の共線図は図24に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機138は、前記電子制御装置42の指示に従って、図85に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速及び後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図86は図85に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図85、86の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図85の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図25を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図86の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図80と同様である。また、図85に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図25を用いて前述したものと同様であるため、回転要素を基にすれば、共線図もそれに対応し図86の共線図は図26に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機138は、前記電子制御装置42の指示に従って、図87に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図88は図87に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図87、88の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図87の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図87に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.596」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が例えば「2.724」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が例えば「1.863」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が例えば「1.464」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が例えば「1.231」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が例えば「0.824」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ8が例えば「0.685」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ9が例えば「0.598」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.056」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.176」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図87の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機138では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.688」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.462」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.273」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.189」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.231」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.213」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.203」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.146」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.686」とされている。
図88の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図80と同様となる。
図88の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機138を得ることができる。
ここで、前記変速機138は、前記電子制御装置42の指示に従って、図89に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進11速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図90は図89に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図89、90の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図89の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第11速ギヤ段「11th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図89に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「5.298」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が例えば「3.841」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ3が例えば「3.233」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ4が例えば「2.280」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ5が例えば「1.714」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が例えば「1.456」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が例えば「1.228」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ8が例えば「1.000」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ9が例えば「0.869」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ10が例えば「0.734」程度である第10速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ11が例えば「0.645」程度である第11速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「10.194」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「5.375」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図89の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機138では、第1ギヤ段の変速比γ1と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ1/γ3)が「1.639」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ2/γ4)が「1.685」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.418」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.330」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.177」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.185」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.228」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.151」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.184」とされ、第10ギヤ段の変速比γ10と第11ギヤ段の変速比γ11との比(=γ10/γ11)が「1.139」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第11ギヤ段の変速比γ11との比であるギヤ比幅(=γ1/γ11)が比較的大きな値である「12.688」とされている。
図90の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図80と同様となる。
前記図90の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線X5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第10速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(10th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第11速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(11th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前述のような各変速段のクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車のギヤ比を好適に設定することによっても前進11速、後進2速の変速機を成立させることができることに加え、各変速段のステップが比較的クロスレシオな変速機138を得ることができる。
更に、本実施例では、第1速ギヤ段と第3速ギヤ段との間のステップ及び第2速ギヤ段と第4速ギヤ段との間のステップをともにバランスよく設定できることから、これらの飛変速を状況に応じて使い分けることができる。例えば、動力性能が要求されるスポーツモード時では、第1速ギヤ段から第3速ギヤ段への飛変速を使用し、クリープ特性を抑えたい時などは第2速ギヤ段から第4速ギヤ段への飛変速を使用するなどの選択が可能となる。このような場合には、合計10速のギヤ段として用いられることになる。
図91は、本発明の更に別の実施例である変速機146の構成を説明する骨子図である。また、図92及び図93は、その変速機146の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図94は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機146は、第1変速部152の構成が異なる点を除けば図5に示す変速機44と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機146に関して、前記変速機44と相違する部分について説明する。
図91に示すように、上記第1変速部152を構成している第1前置遊星歯車装置148は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、上記第2前置遊星歯車装置150は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部152において、前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置148のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2が相互に連結されると共に、入力回転部材である入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部152は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部50へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部50へ伝達する。
前述のように構成された変速機146では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図92に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図92の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機146では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.762」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「4.110」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.603」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.000」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.624」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.322」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.833」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.714」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.621」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「5.000」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.500」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.159」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.579」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.301」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.232」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.229」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.322」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.167」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.150」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.677」とされている。前記第1前置遊星歯車装置148のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置150のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、各変速段の係合作動は変わらないが、各遊星歯車装置のギヤ比ρ1乃至ρ4を好適に設定することによって図93に示されるような変速段を得ることができる。図93の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機146では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.971」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.290」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.222」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.645」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.409」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.244」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.825」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.649」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.574」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.047」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.852」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.131」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.655」とされている。このように、各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することで、変速比のレンジ幅を図92に示されるレンジ幅よりも広く設定することができる。
図94の共線図において、第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2を、Y3が3つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2をそれぞれ表している。また、第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図94に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部152は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置148及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置150から成り、前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2が互いに連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置148のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1又は前記第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機146を提供できる。
ここで、前記変速機146は、前記電子制御装置42の指示に従って、図95に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図96は図95に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図95、96の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図95の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図17を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図96の共線図において、第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のキャリアCA1及び第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリアCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。また、これら回転要素を基にすれば、図96に示される共線図は図18に示される共線図と同様となるためその説明を省略する。
このように、本実施例においても、上述のようなクラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第9変速ギヤ段と第10変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機146は、前記電子制御装置42の指示に従って、図97に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図98は図97に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図97、図98の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図97の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図97に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.776」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.925」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.519」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.265」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.800」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.667」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第2後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.588」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.000」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置148のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置150のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図97の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機146では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.633」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.463」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.316」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.201」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.265」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.200」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.133」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.119」とされている。
図98の共線図において、第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図9に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例では、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8変速段を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機146は、前記電子制御装置42の指示に従って、図99に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図100は図99に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図99、図100の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図99の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図99に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.971」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.290」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.222」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.645」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.409」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第2後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.244」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.825」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.649」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.047」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3と前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.852」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置148のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置150のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置46のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置48のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図99の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機146では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.655」とされている。
図100の共線図において、第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置46のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置48のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置46のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置48のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する前記第2後置遊星歯車装置48のサンギヤS4をそれぞれ表している。従って、これらの回転要素を基にすれば、図11に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
ここで、前記変速機146は、前記電子制御装置42の指示に従って、図101に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速及び後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図102は図101に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図101、102の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図101の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図23を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図102の共線図において、第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図96と同様である。また、図101に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図23を用いて前述したものと同様であるため、回転要素を基にすれば、共線図もそれに対応し図102の共線図は図24に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
ここで、前記変速機146は、前記電子制御装置42の指示に従って、図103に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速及び後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図104は図103に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図103、104の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図103の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図25を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図104の共線図において、第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部50の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図96と同様である。また、図103に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段「9th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図25を用いて前述したものと同様であるため、回転要素を基にすれば、共線図もそれに対応し図104の共線図は図26に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
図105は、本発明の更に別の実施例である変速機154の構成を説明する骨子図である。また、図106及び図107は、その変速機154の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図108は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、本実施例の変速機154について説明する。
図105に示すように、上記第1変速部164を構成している第1前置遊星歯車装置156は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置158は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部164において、前記第1前置遊星歯車装置156のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置156のキャリヤCA1と第2前置遊星歯車装置158のリングギヤR2とが相互に連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置156のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置158のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置158のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部164は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部166へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部166へ伝達する。
前記第2変速部166を構成している第1後置遊星歯車装置160は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、遊星歯車P3、その遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、前記第2後置遊星歯車装置162は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P4、それら遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部166において、前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3が第1回転要素RE1を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、前記第2後置遊星歯車装置162のリングギヤR4が第3回転要素RE3を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4が相互に連結されて第4回転要素RE4を構成している。また、前記第1中間出力部材32と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と上記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第1中間出力部材32と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第2中間出力部材34と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、上記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、上記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
前述のように構成された変速機154では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図106に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図106に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「5.283」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、前記第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.605」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.472」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.897」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.569」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.204」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.912」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が第8速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.830」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ10が最小値、例えば「0.760」程度である第10速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「9.257」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「4.881」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置156のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置158のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置160のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置162のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、図106の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機154では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.466」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.458」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.304」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.209」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.303」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.204」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.097」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.098」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.093」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「6.956」とされている。
また、前記変速機154は、各変速段の係合作動は変わらないが各遊星歯車装置のギヤ比ρ1乃至ρ4を好適に設定することによって図107に示されるような変速段を得ることができる。図107の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機154では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「5.690」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.689」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.492」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.897」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.562」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.187」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.919」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.843」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.777」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「10.194」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「5.375」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.542」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.480」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.314」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.214」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.316」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.187」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.088」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.090」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.086」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.326」とされている。このように、各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することで、変速比のレンジ幅を図106に示されるレンジ幅よりも広く設定することができる。
図108の共線図において、第1変速部164の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置158のリングギヤR2を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置158のキャリヤCA2を、Y3が前記第1前置遊星歯車装置156のサンギヤS1を、Y4が前記第2前置遊星歯車装置158のサンギヤS2をそれぞれ表している。また、第2変速部166の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3を、Y6が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置162のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4をそれぞれ表している。
上記共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機154は、前記第1変速部164において、4つの回転要素のうち1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置158のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結され、2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置158のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32と一体的に設けられることで同様に第1中間出力部材として機能し、3つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置156のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に相対回転不能に固定され、4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置158のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34と一体的に設けられることで同様に第2中間出力部材として機能する。また、前記第2変速部166において、前記第1回転要素RE1(S3)が前記第3クラッチC3を介して前記第1中間出力部材32に選択的に連結され、前記第4クラッチC4を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結され、前記第5クラッチC5を介して前記第2中間出力部材34に選択的に連結されると共に、前記第1ブレーキB1を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に固定される。また、前記第2回転要素RE2(CA3、CA4)が前記第2クラッチC2を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結されると共に、前記第2ブレーキB2を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に固定される。また、前記第3回転要素RE3(R4)が出力回転部材である前記出力軸36と一体的に設けられることで同様に出力回転部材として機能する。また、前記第4回転要素RE4(R3、S4)が前記第1クラッチC1を介して前記第1中間出力部材32に選択的に連結される。
前記図108の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第10速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(10th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第10変速段を成立させるものであるため、前進10段変速を実現できることに加え、第9変速段と第10変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
また、前記第2変速部166は、シングルピニオン型の第1後置遊星歯車装置160及びダブルピニオン型の第2後置遊星歯車装置162から成り、前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4によって前記第2回転要素RE2が構成され、前記第2後置遊星歯車装置162のリングギヤR4によって前記第3回転要素RE3が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4によって前記第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な変速機154を提供できる。
また、前記変速機154は、前記電子制御装置42の指示に従って、図109に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図110は図109に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図109、図110の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図109の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図109に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「5.690」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.689」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.492」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.897」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.562」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.187」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.919」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が第8速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.843」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「10.194」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「5.375」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置156のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置158のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置160のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置162のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、図109の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機154では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.542」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.480」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.314」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.214」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.316」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.187」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.088」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.090」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「6.748」とされている。
図110の共線図において、第1変速部164の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第2前置遊星歯車装置158のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置156のサンギヤS1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置158のキャリヤCA2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置158のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部166の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置162のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4をそれぞれ表している。
前記図110の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
また、前記変速機154は、前記電子制御装置42の指示に従って、図111に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進11速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図112は図111に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図111、図112の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図111の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第11速ギヤ段「11th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図111に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「9.854」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「5.690」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.689」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.492」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.897」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.562」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.187」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ9が第8速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.919」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ10が第9速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.843」程度である第10速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、前記第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ11が最小値、例えば「0.777」程度である第11速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「10.194」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「5.375」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置156のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置158のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置160のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置162のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている
また、図111の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機154では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.732」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.542」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.480」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.314」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.214」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.316」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.187」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.088」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.090」とされ、第10ギヤ段の変速比γ10と第11ギヤ段の変速比γ11との比(=γ10/γ11)が「1.086」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第11ギヤ段の変速比γ11との比であるギヤ比幅(=γ1/γ11)が比較的大きな値である「12.688」とされている。
図112の共線図において、第1変速部164の4本の縦線Y1乃至Y4、及び第2変速部166の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図が共通であるため、図110と同様である。
前記図112の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y6及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、横線X2が縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるため、縦線Y6及び横線X3の交点と縦線Y8及び横線X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、横線X3が縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第10速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線XZの交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(10th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第11速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるため、縦線Y5及び横線X1の交点と縦線Y6及び横線X3の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(11th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X2の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるため、縦線Y5及び横線X3の交点と縦線Y6及び横線XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第5クラッチ要素及び第2ブレーキ要素を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第2ブレーキ要素を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第2クラッチ要素を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第9変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第10変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第11変速段を成立させるものであるため、前進11段変速が実現できることに加え、第8変速段から第11変速段の各変速段のステップが比較的小さくクロスレシオな設定とすることができる。
また、従来の4WD車両などではトランスファー内においてローギヤまたはハイギヤの切替え機構を備え、悪路走破やぬかるみからの脱出の際に「1st」よりも低いローギヤが使用されていた。この切替え機構のためトランスファーが大型化し、車両重量増加や搭載性の悪化に繋がっていたが、本実施例の変速機では、第1変速段を非常にローギヤな設定とすることができるため、このトランスファーの切替え機構をなくすことができ、トランスファーの簡素化及び軽量化が可能となる。
図113は、本発明の更に別の実施例である変速機168の構成を説明する骨子図である。また、図114及び図115は、その変速機168の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図116は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機168は、第1変速部174の構成が異なる点を除けば図105に示す変速機154と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機168に関して、前記変速機154と相違する部分について説明する。
図113に示すように、上記第1変速部174を構成している第1前置遊星歯車装置170は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、上記第2前置遊星歯車装置172は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、それら遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部174において、前記第1前置遊星歯車装置170のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置172のサンギヤS2が相互に連結されると共に、非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置170のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置172のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置172のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置170のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されている。前記第1変速部174は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部166へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部166へ伝達する。
前述のように構成された変速機168では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図114に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図114の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機168では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「5.283」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.605」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.472」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.897」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.569」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.024」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.912」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.830」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.760」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「9.257」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「4.881」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.466」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.458」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.304」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.209」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.303」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.204」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.097」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.098」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.093」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「6.956」とされている。前記第1前置遊星歯車装置170のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置172のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置160のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置162のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、変速機168の各変速段の係合作動は変わらないが、各遊星歯車装置のギヤ比ρ1乃至ρ4を好適に設定することによって図115に示されるような変速段を得ることができる。図115の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機168では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「5.690」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.689」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.492」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.897」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.562」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.187」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.919」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.843」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.777」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「10.194」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「5.375」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.542」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.480」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.314」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.214」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.316」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.187」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.088」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.090」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.086」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「7.326」とされている。このように、各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することで、変速比のレンジ幅を図114に示されるレンジ幅よりも広く設定することができる。
図116の共線図において、第1変速部174の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置170のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置172のキャリヤCA2を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置172のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置170のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置172のサンギヤS2を、Y4が4つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置170のリングギヤR1をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図116に示す共線図は、前述した図108に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
ここで、前記変速機168は、前記電子制御装置42の指示に従って、図117に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進9速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図118は図117に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図117、図118の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図117の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図117に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「5.690」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.689」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.492」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.897」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.562」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、第4回転要素RE4である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.187」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.919」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が第8速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.843」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「10.194」程度である後進第1速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、第1回転要素RE1である前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されると共に、第2回転要素RE2である互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が後進第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「5.375」である後進第2速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置170のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置172のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置160のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置162のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
また、図117の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機168では、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.542」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.480」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.314」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.214」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.316」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.187」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.088」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.090」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第9ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「6.748」とされている。
図118の共線図において、第1変速部174の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第1前置遊星歯車装置170のリングギヤR1を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置170のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置172のサンギヤS2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置172のリングギヤR2を、Y4が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置170のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置172のキャリヤCA2をそれぞれ表している。また、第2変速部166の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する前記第1後置遊星歯車装置160のサンギヤS3を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置160のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置162のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置162のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置160のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置162のサンギヤS4をそれぞれ表している。図118に示される共線図は、回転要素に基づくと図110に示される共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、前進8段変速を実現できる。
また、本実施例では、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、前進9段変速を実現できることに加え、第8変速段と第9変速段とのステップが比較的小さくクロスレシオで好適な設定とすることができる。
図119は、本発明の更に別の実施例である変速機169の構成を説明する骨子図である。また、図120は、その変速機169の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図121は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機169は、第1変速部175の構成が異なる点を除けば図113に示す変速機168と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機169に関して、前記変速機168と相違する部分について説明する。
第1変速部175において、第1前置遊星歯車装置171及び第2前置遊星歯車装置173の連結関係は前述の変速機168の第1変速部174と同等であるため実質的には同等の第1変速部である。しかし、前述の変速機168の第4クラッチC4及び第5クラッチC5の位置は、第1変速部174と第2変速部166との間に設けられているのに対し、本実施例の変速機169は、第4クラッチC4及び第5クラッチC5が第1変速部175付近に設けられている。すなわち、各クラッチ要素を好適な位置に分散させた構造となっている。
前述のように構成された変速機169では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図120に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第11速ギヤ段「11th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。本実施例の変速機169の各変速段の係合作動及び変速比は、前述の図111と同様であるため、その説明を省略する。
図121の共線図において、第1変速部175の4本の縦線Y1乃至Y4は、実質的な連結関係が前述の変速機168と同様であるため、図118と一致する。また、第2変速機166も構成が同様であるため第2変速部166のY5乃至Y9は、図118と一致する。従って、これら回転要素を基にすれば、図121に示す共線図は、前述した図112に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例の変速機169は、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進11速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に第8変速段乃至第11変速段の各変速段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。さらに、各クラッチ要素を変速機169内に均等に配置させたことで、この変速機169内の構造をシンプルにすることができる。
また、従来の4WD車両などではトランスファー内においてローギヤまたはハイギヤの切替え機構を備え、悪路走破やぬかるみからの脱出の際に「1st」よりも低いローギヤが使用されていた。この切替え機構のためトランスファーが大型化し、車両重量増加や搭載性の悪化に繋がっていたが、本実施例の変速機では、第1変速段を非常にローギヤな設定とすることができるため、このトランスファーの切替え機構をなくすことができ、トランスファーの簡素化及び軽量化が可能となる。
図122は、本発明の更に別の実施例である変速機176の構成を説明する骨子図である。また、図123は、その変速機176の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図124は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機176は、第1変速部182の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機176に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図122に示すように、上記第1変速部182を構成している第1前置遊星歯車装置178は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置180は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。この第1変速部182において、上記第1前置遊星歯車装置178の遊星歯車P1は第2前置遊星歯車装置180の遊星歯車P2よりも大径であり、且つそれらP1及びP2は相互に一体化された段付ピニオンであるステップドピニオンSPとなっている。また、上記第1前置遊星歯車装置178のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置180のキャリヤCA2は一体のものであり、その第2前置遊星歯車装置180のリングギヤR2は省略されている。
前記第1変速部182において、前述したように上記第1前置遊星歯車装置178及び第2前置遊星歯車装置180に共通のキャリヤCA1(CA2)が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、上記第1前置遊星歯車装置178のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置180のサンギヤS2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、上記第1前置遊星歯車装置178のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部182は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機176では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図123に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図123の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機176では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「4.917」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.290」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「2.222」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「1.645」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.409」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.244」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.000」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「0.825」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.649」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.574」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「3.047」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「1.852」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第2ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.481」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.351」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.167」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.133」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.244」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.212」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.271」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.131」とされ、各変速比γが略等比的に変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第10ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.655」とされている。
図124の共線図において、第1変速部182の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置178のサンギヤS1を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置180のサンギヤS2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置178のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置180のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置178のリングギヤR1をそれぞれ表している。また、前記第2前置遊星歯車装置180のリングギヤR2の回転速度を一点鎖線で表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図124に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部182は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置178及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置180から成り、前記第1前置遊星歯車装置178のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置180のキャリヤCA2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置178のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置180のサンギヤS2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置178のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機176を提供できる。
図125は、本発明の更に別の実施例である変速機184の構成を説明する骨子図である。また、図126は、その変速機184の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図127は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機184は、第1変速部190の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機184に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図125に示すように、上記第1変速部190を構成している第1前置遊星歯車装置186は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置188は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。この第1変速部190において、上記第1前置遊星歯車装置186の遊星歯車P1は第2前置遊星歯車装置188の遊星歯車P2よりも大径であり、且つそれらP1及びP2は相互に一体化された段付ピニオンであるステップドピニオンSPとなっている。また、上記第1前置遊星歯車装置186のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置188のキャリヤCA2は一体のものであり、その第1前置遊星歯車装置186のリングギヤR1は省略されている。
前記第1変速部190において、前述したように上記第1前置遊星歯車装置186及び第2前置遊星歯車装置188に共通のキャリヤCA1(CA2)が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、上記第1前置遊星歯車装置186のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、上記第2前置遊星歯車装置188のサンギヤS2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、上記第2前置遊星歯車装置188のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部190は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機184では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図126に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図127の共線図において、第1変速部190の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置186のサンギヤS1を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置188のサンギヤS2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置186のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置188のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置188のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、前記第1前置遊星歯車装置186のリングギヤR1の回転速度を一点鎖線で表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図127に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部190は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置186及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置188から成り、前記第1前置遊星歯車装置186のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置188のキャリヤCA2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置186のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置188のサンギヤS2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第2前置遊星歯車装置188のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機184を提供できる。
図128は、本発明の更に別の実施例である変速機192の構成を説明する骨子図である。また、図129は、その変速機192の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図130は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機192は、第1変速部198の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機192に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図128に示すように、上記第1変速部198を構成している第1前置遊星歯車装置194は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置196は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。この第1変速部198において、上記第1前置遊星歯車装置194の遊星歯車P1は第2前置遊星歯車装置196の遊星歯車P2よりも大径であり、且つそれらP1及びP2は相互に一体化された段付ピニオンであるステップドピニオンSPとなっている。また、上記第1前置遊星歯車装置194のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置196のキャリヤCA2は一体のものであり、その第1前置遊星歯車装置194のリングギヤR1は省略されている。
前記第1変速部198において、前記第2前置遊星歯車装置196のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置196のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前述したように前記第1前置遊星歯車装置194及び第2前置遊星歯車装置196に共通のキャリヤCA1(CA2)が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置194のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部198は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機192では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図129に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図130の共線図において、第1変速部198の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置196のリングギヤR2を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置194のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置196のキャリヤCA2を、Y3が3つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置196のサンギヤS2を、Y4が4つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置194のサンギヤS1をそれぞれ表している。また、前記第1前置遊星歯車装置194のリングギヤR1の回転速度を一点鎖線で表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図130に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部198は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置194及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置196から成り、前記第2前置遊星歯車装置196のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つ前記第1前置遊星歯車装置194のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置196のキャリヤCA2が互いに連結されて1つの回転要素を構成すると共に、前記第2前置遊星歯車装置196のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記1つの回転要素が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置194のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機192を提供できる。
図131は、本発明の更に別の実施例である変速機200の構成を説明する骨子図である。また、図132は、その変速機200の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図133は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機200は、第1変速部206の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機200に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図131に示すように、上記第1変速部206を構成している第1前置遊星歯車装置202は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置204は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。この第1変速部206において、上記第1前置遊星歯車装置202の遊星歯車P1は第2前置遊星歯車装置204の遊星歯車P2よりも大径であり、且つそれらP1及びP2は相互に一体化された段付ピニオンであるステップドピニオンSPとなっている。また、上記第1前置遊星歯車装置202のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置204のキャリヤCA2は一体のものであり、その第2前置遊星歯車装置204のリングギヤR2は省略されている。
前記第1変速部206において、前記第2前置遊星歯車装置204のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置202のリングギヤR1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前述したように前記第1前置遊星歯車装置202及び第2前置遊星歯車装置204に共通のキャリヤCA1(CA2)が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置202のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部206は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して前記第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機200では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図132に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図133の共線図において、第1変速部206の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置202のリングギヤR1を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置202のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置204のキャリヤCA2を、Y3が3つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置204のサンギヤS2を、Y4が4つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置202のサンギヤS1をそれぞれ表している。また、前記第2前置遊星歯車装置204のリングギヤR2の回転速度を一点鎖線で表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図133に示す共線図は、前述した図14に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部206は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置202及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置204から成り、前記第2前置遊星歯車装置204のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つ前記第1前置遊星歯車装置202のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置204のキャリヤCA2が互いに連結されて1つの回転要素を構成すると共に、前記第1前置遊星歯車装置202のリングギヤR1が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記1つの回転要素が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置202のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機200を提供できる。
図134は、本発明の更に別の実施例である変速機210の構成を説明する骨子図である。また、図135は、その変速機210の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図136は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機210は、第1変速部216の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機210に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図134に示すように、上記第1変速部216を構成している第1前置遊星歯車装置212は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置214は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部216において、前記第2前置遊星歯車装置214のリングギヤR2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、第1前置遊星歯車装置212のリングギヤR1が入力回転部材である入力軸22に一体的に連結されている。また、互いに連結された第1前置遊星歯車装置212のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置214のサンギヤS2が第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、互いに連結された第1前置遊星歯車装置212のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置214のキャリヤCA2が第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。第1変速部216は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して第1中間出力部材32へ出力すると共に、前記中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を逆転して第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機210では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図135に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図136の共線図において、第1変速部216の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である互いに連結された第1前置遊星歯車装置212のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置214のキャリヤCA2を、Y2が2つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置214のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置212のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置214のサンギヤS2を、Y4が4つめの回転要素である第1前置遊星歯車装置212のリングギヤR1をそれぞれ表している。これら回転要素を基にすれば、図136に示す共線図は、前述した図16に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、第1変速部216は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置212及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置214から成り、第2前置遊星歯車装置214のリングギヤR2が常に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結され、第1前置遊星歯車装置212のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置214のサンギヤS2が互いに連結されると共に、第1前置遊星歯車装置212のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置214のキャリヤCA2が互いに連結され、第1前置遊星歯車装置212のリングギヤR1が入力軸22に連結されることにより、相互に連結された第1前置遊星歯車装置212のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置214のサンギヤS2が第1中間出力部材32として機能する一方、相互に連結された第1前置遊星歯車装置212のサンギヤS1及び第2遊星歯車装置214のキャリヤCA2が第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機210を提供できる。
図137は、本発明の更に別の実施例である変速機220の構成を説明する骨子図である。また、図138は、その変速機220の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図139は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機220は、第1変速部226の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機220に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図137に示すように、上記第1変速部226を構成している第1前置遊星歯車装置222は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置224は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部226において、第2前置遊星歯車装置224のリングギヤR2が非回転部材であるトランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、互いに連結された第1前置遊星歯車装置222のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置224のキャリヤCA2が入力回転部材である入力軸22に一体的に連結されている。また、第1前置遊星歯車装置222のキャリアCA1が第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、互いに連結された第1前置遊星歯車装置222のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置224のサンギヤS2が第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。第1変速部226は、このような構成により、入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して第1中間出力部材32へ出力すると共に、前記第2中間出力部材34を介して入力軸22の回転を逆転して第2変速部64へ伝達する。
前述のように構成された変速機220では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図138に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図139の共線図において、第1変速部226の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置222のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置224のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置224のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である第1前置遊星歯車装置222のキャリヤCA1を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置222のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置224のキャリヤCA2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図139に示す共線図は、前述した図16に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、第1変速部226は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置222及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置224から成り、第2前置遊星歯車装置224のリングギヤR2が常に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結され、第1前置遊星歯車装置222のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置224のサンギヤS2が互いに連結され、第1前置遊星歯車装置222のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置224のキャリヤCA2が互いに連結されるとともに入力軸22に連結されることにより、第1前置遊星歯車装置222のキャリヤCA1が第1中間出力部材32として機能する一方、相互に連結された第1前置遊星歯車装置222のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置224のサンギヤS2が第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機220を提供できる。
図140は、本発明の更に別の実施例である変速機230の構成を説明する骨子図である。また、図141は、その変速機230の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図142は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機230は、第1変速部236の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機230に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図140に示すように、上記第1変速部236を構成している第1前置遊星歯車装置232は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置234は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部236において、第1前置遊星歯車装置232のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置234のリングギヤR2が非回転部材であるトランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、第1前置遊星歯車装置232のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置234のサンギヤS2が互いに連結され、第1前置遊星歯車装置232のサンギヤS1が入力回転部材である入力軸22に一体的に連結されている。このような構成により、第2前置遊星歯車装置234のキャリアCA2が第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する一方、互いに連結された第1前置遊星歯車装置232のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置234のサンギヤS2が第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。
前述のように構成された変速機230では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図141に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。また、本実施例の変速機230の各変速段における係合作動及び変速比は、図23に示されるものと同様であるため、その説明を省略する。
図142の共線図において、第1変速部236の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置232のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置234のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置232のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置234のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置234のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である第1前置遊星歯車装置232のサンギヤS1をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図142に示す共線図は、前述した図24に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
また、本実施例によれば、前記第1変速部236は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置232及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置234から成り、前記第1前置遊星歯車装置232のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置234のリングギヤR2が常に非回転部材に連結され、前記第1前置遊星歯車装置232のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置234のサンギヤS2が互いに連結され、前記第1前置遊星歯車装置232のサンギヤS1が前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置234のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、互いに連結された前記第1前置遊星歯車装置232のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置234のサンギヤS2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機230を提供できる。
ここで、前記変速機230は、前記電子制御装置42の指示に従って、図143に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、前述の実施例と同等の効果が得られる。また、図144は図143に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図143、144の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図143の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、各変速段を成立させるための摩擦係合要素の作動及び変速比については、図17を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。
図144の共線図において、第1変速部236の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は、骨子図の構成が変わらないため、前述の図142と同様である。また、図143に示す係合作動表において、第1速ギヤ段乃至第10速ギヤ段「10th」を成立させるための摩擦係合装置の作動については、図17を用いて前述したものと同様であるため、回転要素を基にすれば、共線図もそれに対応し図144の共線図は図18に示される共線図と同様となる。
このように、本実施例においても、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第9変速ギヤ段と第10変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
図145は、本発明の更に別の実施例である変速機240の構成を説明する骨子図である。また、図146は、その変速機240の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図147は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機240は、第1変速部246の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機240に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図145に示すように、上記第1変速部246を構成している第1前置遊星歯車装置242は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置244は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部246において、第1前置遊星歯車装置242のリングギヤR1が非回転部材であるトランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、第1前置遊星歯車装置242のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置244のサンギヤS2が互いに連結され、第1前置遊星歯車装置242のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置244のリングギヤR2が入力回転部材である入力軸22に一体的に連結されている。このような構成により、第2前置遊星歯車装置244のキャリアCA2が第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する一方、互いに連結された第1前置遊星歯車装置242のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置244のサンギヤS2が第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。
前述のように構成された変速機240では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図146に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、本実施例の変速機240の各変速段における係合作動及び変速比は、図25に示されるものと同様であるため、その説明を省略する。
図147の共線図において、第1変速部246の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置242のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置244のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である第1前置遊星歯車装置242のリングギヤR1を、Y3が3つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置244のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置242のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置244のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図147に示す共線図は、前述した図26に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進9速、後進2速の変速段を成立させることができ、特に、第8変速ギヤ段と第9変速ギヤ段の間のステップが小さくクロスレシオな設定にすることができる。
また、本実施例によれば、前記第1変速部246は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置242及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置244から成り、前記第1前置遊星歯車装置242のリングギヤR1が常に非回転部材に連結され、前記第1前置遊星歯車装置242のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置244のサンギヤS2が連結され、前記第1前置遊星歯車装置242のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置244のリングギヤR1が入力軸22に連結されることにより、第2前置遊星歯車装置244のキャリヤCA2が第1中間出力部材32として機能する一方、互いに連結された前記第1前置遊星歯車装置242のキャリアCA1及び第2前置遊星歯車装置244のサンギヤS2が第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機240を提供できる。
図148は、本発明の更に別の実施例である変速機250の構成を説明する骨子図である。また、図149は、その変速機250の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図150は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機250は、第1変速部256の構成が異なる点を除けば図12に示す変速機66と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機250に関して、前記変速機66と相違する部分について説明する。
図148に示すように、上記第1変速部256を構成している第1前置遊星歯車装置252は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置254は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部256において、第1前置遊星歯車装置252のキャリヤCA1が非回転部材であるトランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、第1前置遊星歯車装置252のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置254のサンギヤS2が互いに連結され、第1前置遊星歯車装置252のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置254のリングギヤR2が入力回転部材である入力軸22に一体的に連結されている。このような構成により、第2前置遊星歯車装置254のキャリアCA2が第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する一方、互いに連結された第1前置遊星歯車装置252のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置254のサンギヤS2が第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。
前述のように構成された変速機250では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図149に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第11速ギヤ段「11th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図149の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機250では、第1速ギヤ段の変速比γ1が「5.128」程度、第2速ギヤ段の変速比γ2が「3.601」程度、第3速ギヤ段の変速比γ3が「3.060」程度、第4速ギヤ段の変速比γ4が「2.259」程度、第5速ギヤ段の変速比γ5が「1.694」程度、第6速ギヤ段の変速比γ6が「1.444」程度、第7速ギヤ段の変速比γ7が「1.239」程度、第8速ギヤ段の変速比γ8が「1.000」程度、第9速ギヤ段の変速比γ9が「0.853」程度、第10速ギヤ段の変速比γ10が「0.704」程度、第11速ギヤ段の変速比γ11が「0.619」程度、後進第1速ギヤ段の変速比γR1が「4.024」程度、後進第2速ギヤ段の変速比γR2が「2.375」程度とされている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第3ギヤ段の変速比γ3との比(=γ1/γ3)が「1.676」とされ、第2ギヤ段の変速比γ2と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ2/γ4)が「1.594」とされ、第3ギヤ段の変速比γ3と第4ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.354」とされ、第4ギヤ段の変速比γ4と第5ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.333」とされ、第5ギヤ段の変速比γ5と第6ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.174」とされ、第6ギヤ段の変速比γ6と第7ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.165」とされ、第7ギヤ段の変速比γ7と第8ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.239」とされ、第8ギヤ段の変速比γ8と第9ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.173」とされ、第9ギヤ段の変速比γ9と第10ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.212」とされ、第10ギヤ段の変速比γ10と第11ギヤ段の変速比γ11との比(=γ10/γ11)が「1.137」とされ、各変速比γがバランスよく変化させられている。また、第1ギヤ段の変速比γ1と第11ギヤ段の変速比γ11との比であるギヤ比幅(=γ1/γ11)が比較的大きな値である「8.288」とされている。ここで各遊星歯車装置は前述の変速比が得られるように、例えば前記第1前置遊星歯車装置252のギヤ比ρ1は「0.463」、第2前置遊星歯車装置254のギヤ比ρ2は「0.389」、第1後置遊星歯車装置58のギヤ比ρ3は「0.528」、第2後置遊星歯車装置60のギヤ比ρ4は「0.421」程度に設定されている。
図150の共線図において、第1変速部256の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置252のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置254のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である第1前置遊星歯車装置252のキャリヤCA1を、Y3が3つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置254のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置252のサンギヤS1および第2前置遊星歯車装置254のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、第2変速部64の4本の縦線Y5乃至Y8は図14と同様である。これら回転要素を基にすれば、図150に示す共線図は、前述した図90に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進11速、後進2速の変速段を成立させることができ、それぞれの変速段におけるギヤ比のステップがバランスよく設定されているため、実用的な車両用自動変速機となる。
また、本実施例によれば、第1変速部256は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置252及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置254から成り、第1前置遊星歯車装置252のキャリヤが常に非回転部材に連結され、第1前置遊星歯車装置252のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置254のサンギヤS2が互いに連結され、第1前置遊星歯車装置252のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置254のリングギヤR2が入力軸22に連結されることにより、第2前置遊星歯車装置254のキャリヤCA2が第1中間出力部材32として機能する一方、互いに連結された第1前置遊星歯車装置252のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置254のサンギヤS2が第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な車両用多段変速機を提供できる。
図151は、本発明の更に別の実施例である変速機260の構成を説明する骨子図である。また、図152は、その変速機260の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図153は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機260は、第2変速部266の構成が異なる点を除けば図74に示す変速機138と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機260に関して、前記変速機138と相違する部分について説明する。
図151に示すように、上記第2変速部266を構成している第1後置遊星歯車装置262は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P3、それら遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、第2後置遊星歯車装置264は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P4、それら遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部266において、前記第1後置遊星歯車装置262のサンギヤS3が第1回転要素RE1を構成している。また、第1後置遊星歯車装置262のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置264のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、第2後置遊星歯車装置264のリングギヤR4が第3回転要素RE3を構成している。また、第1後置遊星歯車装置262のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置264のサンギヤS4が互いに連結されて第4回転要素RE4を構成している。また、第1中間出力部材32と第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、入力軸22と第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、第1中間出力部材32と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、入力軸22と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、第2中間出力部材34と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、第1回転要素RE1を選択的に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、第2回転要素RE2を選択的にトランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
前述のように構成された変速機260では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図152に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第11速ギヤ段「11th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、本実施例の変速機260の各変速段における係合作動及び変速比は、図149に示されるものと同様であるため、その説明を省略する。また、各遊星歯車装置は前述の変速比が得られるように、例えば前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1は「0.463」、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2は「0.410」、第1後置遊星歯車装置262のギヤ比ρ3は「0.472」、第2後置遊星歯車装置264のギヤ比ρ4は「0.471」程度に設定されている。
図153の共線図において、第1変速部266の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が1つめの回転要素である第1後置遊星歯車装置262のサンギヤS3を、Y6が2つめの回転要素である相互に連結された第1後置遊星歯車装置262のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置264のキャリヤCA4を、Y7が3つめの回転要素である第2後置遊星歯車装置264のリングギヤR4を、Y8が4つめの回転要素である相互に連結された第1後置遊星歯車装置262のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置264のサンギヤS4をそれぞれ表している。また、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4は図80と同様である。これら回転要素を基にすれば、図153に示す共線図は、前述した図150に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進11速、後進2速の変速段を成立させることができ、それぞれの変速段におけるギヤ比のステップがバランスよく設定されているため、実用的な車両用自動変速機となる。また、本実施例では、ダブルピニオン型である第1後置遊星歯車装置262のリングギヤR3の径方向外側に第2ブレーキB2が配置されており軸心から比較的離れているため、例えば第1速ギヤ段「1st」において第2ブレーキB2が係合されるが、その係合の際のブレーキ反力が比較的小さくても係合が可能となる。
また、本実施例によれば、第2変速部266は、ダブルピニオン型の第1後置遊星歯車装置262及びダブルピニオン型の第2後置遊星歯車装置264から成り、第1後置遊星歯車装置262のサンギヤS3によって第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された第1後置遊星歯車装置262のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置264のキャリヤCA4によって第2回転要素RE2が構成され、第2後置遊星歯車装置264のリングギヤR4によって第3回転要素RE3が構成され、互いに連結された第1後置遊星歯車装置262のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置264のサンギヤS4によって第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な車両用多段変速機を提供できる。
また、前記変速機260は、前記電子制御装置42の指示に従って、図154に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図155は図154に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図154、図155の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図154の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。また、各遊星歯車装置は図154の変速比が得られるように、例えば前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1は「0.580」、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2は「0.463」、第1後置遊星歯車装置262のギヤ比ρ3は「0.515」、第2後置遊星歯車装置264のギヤ比ρ4は「0.471」程度に設定されている。
図155の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部266の4本の縦線Y5乃至Y8は骨子図が同一であるため、図153と同様となる。従って、これら回転要素を基にすれば、図155に示す共線図は、前述した図4に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、それぞれの変速段におけるギヤ比のステップがバランスよく設定されているため、実用的な車両用自動変速機となる。
図156は、本発明の更に別の実施例である変速機270の構成を説明する骨子図である。また、図157は、その変速機270の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図158は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機270は、第2変速部276の構成が異なる点を除けば図74に示す変速機138と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機270に関して、前記変速機138と相違する部分について説明する。
図156に示すように、上記第2変速部276を構成している第1後置遊星歯車装置272は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P3、それら遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、第2後置遊星歯車装置274は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P4、それら遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部276において、前記第1後置遊星歯車装置272のキャリヤCA3が第1回転要素RE1を構成している。また、第1後置遊星歯車装置272のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置274のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、第2後置遊星歯車装置274のリングギヤR4が第3回転要素RE3を構成している。また、第1後置遊星歯車装置272のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置274のサンギヤS4が互いに連結されて第4回転要素RE4を構成している。また、第1中間出力部材32と第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、入力軸22と第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、第1中間出力部材32と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、入力軸22と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、第2中間出力部材34と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、第1回転要素RE1を選択的に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、第2回転要素RE2を選択的にトランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
前述のように構成された変速機270では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図157に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第11速ギヤ段「11th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、本実施例の変速機270の各変速段における係合作動及び変速比は、図149に示されるものと同様であるため、その説明を省略する。また、各遊星歯車装置は前述の変速比が得られるように、例えば前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1は「0.463」、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2は「0.410」、第1後置遊星歯車装置272のギヤ比ρ3は「0.528」、第2後置遊星歯車装置274のギヤ比ρ4は「0.471」程度に設定されている。
図158の共線図において、第1変速部276の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が1つめの回転要素である第1後置遊星歯車装置272のキャリヤCA3を、Y6が2つめの回転要素である相互に連結された第1後置遊星歯車装置272のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置274のキャリヤCA4を、Y7が3つめの回転要素である第2後置遊星歯車装置274のリングギヤR4を、Y8が4つめの回転要素である相互に連結された第1後置遊星歯車装置272のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置274のサンギヤS4をそれぞれ表している。また、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4は図80と同様である。従って、これら回転要素を基にすれば、図158に示す共線図は、前述した図150に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進11速、後進2速の変速段を成立させることができ、それぞれの変速段におけるギヤ比のステップがバランスよく設定されているため、実用的な車両用自動変速機となる。
また、本実施例によれば、第2変速部276は、ダブルピニオン型の第1後置遊星歯車装置272及びダブルピニオン型の第2後置遊星歯車装置274から成り、第1後置遊星歯車装置272のキャリヤCA3によって第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された第1後置遊星歯車装置272のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置274のキャリヤCA4によって第2回転要素RE2が構成され、第2後置遊星歯車装置274のリングギヤR4によって第3回転要素RE3が構成され、互いに連結された第1後置遊星歯車装置272のサンギヤS3及び第2後置遊星歯車装置274のサンギヤS4によって第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な車両用多段変速機を提供できる。
また、前記変速機270は、前記電子制御装置42の指示に従って、図159に示されるクラッチ及びブレーキの係合の組合せ、並びに各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによっても前進10速、後進2速の変速段を成立させることができる。また、図-160は図159に対応する各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。以下、この図159、図160の実施例について、前記実施例と相違する部分である係合作動表及び共線図について説明する。
図159の係合作動表に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第10速ギヤ段「10th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。また、各遊星歯車装置は図159の変速比が得られるように、例えば前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1は「0.580」、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2は「0.463」、第1後置遊星歯車装置272のギヤ比ρ3は「0.485」、第2後置遊星歯車装置274のギヤ比ρ4は「0.471」程度に設定されている。
図160の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4及び第2変速部276の4本の縦線Y5乃至Y8は骨子図が同一であるため、図158と同様となる。従って、これら回転要素を基にすれば、図160に示す共線図は、前述した図4に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進10速、後進2速の変速段を成立させることができ、それぞれの変速段におけるギヤ比のステップがバランスよく設定されているため、実用的な車両用自動変速機となる。
図161は、本発明の更に別の実施例である変速機280の構成を説明する骨子図である。また、図162は、その変速機280の変速ギヤ段とそれを成立させるために必要な摩擦係合装置の作動との関係を示す図表であり、図163は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。本実施例の変速機280は、第2変速部286の構成が異なる点を除けば図74に示す変速機138と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機280に関して、前記変速機138と相違する部分について説明する。
図161に示すように、上記第2変速部286を構成している第1後置遊星歯車装置282は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、遊星歯車P3、その遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、第2後置遊星歯車装置284は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P4、それら遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部286において、前記第1後置遊星歯車装置282のサンギヤS3が第1回転要素RE1を構成している。また、第1後置遊星歯車装置282のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置284のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、第1後置遊星歯車装置282のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置284のリングギヤR4が互いに連結されて第3回転要素RE3を構成している。また、第2後置遊星歯車装置284のサンギヤS4が第4回転要素RE4を構成している。また、第1中間出力部材32と第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、入力軸22と第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、第1中間出力部材32と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、入力軸22と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、第2中間出力部材34と第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、第1回転要素RE1を選択的に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、第2回転要素RE2を選択的にトランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
前述のように構成された変速機280では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図162に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第11速ギヤ段「11th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。なお、本実施例の変速機280の各変速段における係合作動及び変速比は、図149に示されるものと同様であるため、その説明を省略する。また、各遊星歯車装置は前述の変速比が得られるように、例えば前記第1前置遊星歯車装置140のギヤ比ρ1は「0.463」、第2前置遊星歯車装置142のギヤ比ρ2は「0.410」、第1後置遊星歯車装置282のギヤ比ρ3は「0.421」、第2後置遊星歯車装置284のギヤ比ρ4は「0.529」程度に設定されている。
図163の共線図において、第1変速部286の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が1つめの回転要素である第1後置遊星歯車装置282のサンギヤS3を、Y6が2つめの回転要素である相互に連結された第1後置遊星歯車装置282のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置284のキャリヤCA4を、Y7が3つめの回転要素である相互に連結された第1後置遊星歯車装置282のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置284のリングギヤR4を、Y8が4つめの回転要素である第2後置遊星歯車装置284のサンギヤS4をそれぞれ表している。また、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4は図80と同様である。これら回転要素を基にすれば、図163に示す共線図は、前述した図150に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、クラッチ及びブレーキの係合の組合せ及び各遊星歯車装置のギヤ比を好適に設定することによって前進11速、後進2速の変速段を成立させることができ、それぞれの変速段におけるギヤ比のステップがバランスよく設定されているため、実用的な車両用自動変速機となる。
また、本実施例によれば、第2変速部286は、シングルピニオン型の第1後置遊星歯車装置282及びダブルピニオン型の第2後置遊星歯車装置284から成り、第1後置遊星歯車装置282のサンギヤS3によって第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された第1後置遊星歯車装置282のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置284のキャリヤCA4によって第2回転要素RE2が構成され、互いに連結された第1後置遊星歯車装置282のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置284のリングギヤR4によって第3回転要素RE3が構成され、第2後置遊星歯車装置284のサンギヤS4によって第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な車両用多段変速機を提供できる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例の変速機14等では、第1速ギヤ段乃至第10速ギヤ段、後進第1速ギヤ段、及び後進第2速ギヤ段というように、複数の変速段が成立させられるものであったが、それらの変速段のうち任意の変速段を用いて変速が実行されるものであってもよい。
また、前述の実施例の変速機14等において、予め定められた第1速ギヤ段乃至第10速ギヤ段のうち何れか8つの変速段を用いて変速を行うものであってもよく、このようにすれば、前進8速の変速が実現される。また、後進第1ギヤ段及び後進第2ギヤ段のうち何れか一方を後進ギヤ段として用いる態様も当然に考えられる。
また、前述の実施例の変速機14等では、前記エンジン10とトルクコンバータ20とはクランク軸12を介して直結されていたが、例えば、所定のギヤやベルト等を介して作動的に連結されたものであってもよく、更には必ずしも共通の軸心上に配置されなくてもよい。また、原動機として電動モータ等を備えたものであってもよい。
また、前述の実施例の変速機14等において、前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のうちの何れかには、一方向クラッチが直列又は並列に設けられてもよい。このようにすれば、変速制御が容易となるという利点がある。また、前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のうちの何れかが一方向クラッチに置換されてもよい。このようにしても、一応の変速が実現できる。
また、前述の実施例では、前記エンジン10と入力軸22との間に流体伝動装置としてロックアップクラッチ18付きのトルクコンバータ20が備えられていたが、このロックアップクラッチ18は必ずしも設けられていなくてもよい。また、前記トルクコンバータ20の代替として、フルードカップリング、磁粉式電磁クラッチ、多板式或いは単板式の油圧クラッチが設けられていてもよい。
また、前述の実施例の共線図では、縦線Y1乃至Y8、或いはY1乃至Y10が左から右へ向かって順次配列されていたが、右から左へ向かって順次配列されるものでも構わない。また、回転速度「0」に対応する横線XZの上側に回転速度「1」に対応する横線X2が配置されていたが、横線XZの下側に配置されていてもよい。
また、前述の実施例では、係合要素として前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のように油圧式摩擦係合装置が設けられていたが、電磁クラッチや磁粉式クラッチ等の電磁式係合装置を用いたものであってもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
14、44、66、74、98、122、138、146、154、168、169、176、184、192、200、210、220、230、240、250、260、270、280:車両用多段変速機
16:トランスミッションケース(非回転部材)
22:入力軸(入力回転部材)
24、68、76、100、124、140、148、156、170、171、178、186、194、202、212、222、232、242、252:第1前置遊星歯車装置
26、70、78、102、126、142、150、158、172、173、180、188、196、204、214、224、234、244、254:第2前置遊星歯車装置
28、46、58、160、262、272、282:第1後置遊星歯車装置
30、48、60、162、264、274、284:第2後置遊星歯車装置
32:第1中間出力部材
34:第2中間出力部材
36:出力軸(出力回転部材)
38、72、80、104、128、136、144、152、164、174、175、182、190、198、206、216、226、236、246、256:第1変速部
40、50、64、166、266、276、286:第2変速部
B1:第1ブレーキ(第1ブレーキ要素)
B2:第2ブレーキ(第2ブレーキ要素)
C1:第1クラッチ(第1クラッチ要素)
C2:第2クラッチ(第2クラッチ要素)
C3:第3クラッチ(第3クラッチ要素)
C4:第4クラッチ(第4クラッチ要素)
C5:第5クラッチ(第5クラッチ要素)
CA1、CA2、CA3、CA4:キャリヤ
R1、R2、R3、R4:リングギヤ
S1、S2、S3、S4:サンギヤ
RE1:第1回転要素
RE2:第2回転要素
RE3:第3回転要素
RE4:第4回転要素