JP4517511B2 - 自動変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力軸に連結された変速用複式遊星歯車装置の各要素に連結された制御クラッチ及び制御ブレーキを係脱して前記入力軸の回転を複数段に変速して出力軸に伝達する自動変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
第1及び第2サンギヤ、該第1サンギヤに直接噛合するとともに中間ピニオンを介して前記第2サンギヤに噛合するロングピニオン及び該中間ピニオンを支承するキャリヤ並びに前記ロングピニオンと噛合し前記出力軸に連結されたリングギヤを有する変速用複式遊星歯車装置と、入力軸が連結されたリングギヤ、トランスミッションケースに固定されたサンギヤ及びリングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置とを設け、前記入力軸の回転より回転数が小さくなるように減速された減速用遊星歯車装置のキャリヤの回転を前記第2、第1サンギヤに第1及び第3制御クラッチにより選択的に伝達し、前記入力軸の回転を変速用複式遊星歯車装置のキャリヤに第2制御クラッチにより選択的に伝達し、変速用複式遊星歯車装置の第1サンギヤ及びキャリヤの回転を第1及び第2制御ブレーキで選択的に規制して前進6段、後退1段のギヤ比を成立する自動変速機が特開平4−219553号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の自動変速機は、全長が短く横置きエンジンの前輪駆動車に適している。しかし、近年は燃費及び動力伝達性能向上を図るため、或いは運転者の嗜好にマッチしたギヤ比を得るために、適切に離間した前進7段以上のギヤ比を成立することができる自動変速機が求められている。
【0004】
本発明は係る要望に応えるためになされたもので、高速段側に直結段を含む変速段を追加してギヤ比を更に密にし、車速の高速度域でエンジン性能を最適に引き出すことができ、高効率且つギヤチェンジ時の出力トルク変化が小さくフィーリングの良好な前進7段以上のギヤ比を得ることができる自動変速機を提供することである。
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、入力軸と、該入力軸に連結され入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置と、速度線図においてギヤ比に対応した間隔で順次並べられた4個の要素に並び順にそれぞれ対応する第1、第2、第3及び第4要素を有する変速用複式遊星歯車装置と、前記減速回転出力部材を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段と、前記減速回転出力部材と前記第4、第1要素とを夫々係脱可能に連結する第1及び第3制御クラッチと、前記入力軸と前記第2要素とを係脱可能に連結する第2制御クラッチと、前記第1及び第2要素の回転を選択的に規制する第1及び第2制御ブレーキと、前記第3要素に連結された出力軸とを備え、前記第1、第2及び第3制御クラッチを接続状態にし、前記第1及び第2制御ブレーキを解放状態にすると共に、前記回転状態切替手段により前記減速回転出力部材を自由回転状態にして、前記入力軸の回転を前記出力軸にギヤ比1で伝達する直結段を達成することである。
【0006】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置によって減速回転出力部材を減速回転で回転させ、自由回転状態では、減速回転出力部材を減速回転以外で回転することを許容することである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置によって減速回転を減速回転出力部材に生成することを許容し、自由回転状態では、歯車減速装置によって減速回転を減速回転出力部材に生成させないようにすることである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置を介した入力軸と減速回転出力部材との間の動力伝達を許容し、自由回転状態では、歯車減速装置を介した入力軸と減速回転出力部材との間の動力伝達を遮断することである。
【0009】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、小径及び大径サンギヤ、該小径及び大径サンギヤと夫々噛合する大径及び小径ピニオンからなる段付ピニオンを支承するキャリヤ並びに前記入力軸に連結され前記大径ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用複式遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記小径及び大径サンギヤの回転を夫々選択的に規制する第1、第2回転制御ブレーキで前記回転状態切替手段を構成としたことである。
【0010】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、サンギヤ、該サンギヤに噛合するロングピニオンと該ロングピニオンに噛合する中間ピニオンとを支承するキャリヤ、前記入力軸に連結され前記ロングピニオンに噛合する前段リングギヤ及び前記中間ピニオンに噛合する後段リングギヤを有する減速用複式遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記サンギヤ及び後段リングギヤの回転を夫々選択的に規制する第1、第2回転制御ブレーキで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0011】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、サンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する回転制御ブレーキと、前記サンギヤ、キャリヤ及びリングギヤのいずれか二つを係脱可能に接続する回転制御クラッチとで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0012】
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置と、該減速用遊星歯車装置と同心に回転可能に設けられ前記リングギヤ又はキャリヤの回転が選択的に伝達される減速回転出力部材とで前記歯車減速装置を構成し、該減速回転出力部材を前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記リングギヤ及び前記キャリヤと前記減速回転出力部材とを係脱可能に夫々連結する第1、第2回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0013】
請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記減速用遊星歯車装置のキャリヤ及びリングギヤと前記入力軸とを係脱可能に夫々接続する第1、第2回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0014】
請求項10に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、サンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する回転制御ブレーキで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0015】
請求項11に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置と、該減速用遊星歯車装置と同心に回転可能に設けられ前記キャリヤの回転が選択的に伝達される減速回転出力部材とで前記歯車減速装置を構成し、該減速回転出力部材を前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記キャリヤと前記減速回転出力部材とを係脱可能に連結する回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0016】
請求項12に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを該減速用遊星歯車装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記減速用遊星歯車装置のリングギヤと前記入力軸とを係脱可能に接続する回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0017】
請求項13に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4に記載の自動変速機において、入力軸に固定された複数の歯車と、前記変速用複式遊星歯車装置と同心に回転可能に支承され前記複数の歯車と噛合して入力回転及び減速回転を生成する複数の歯車とからなる減速用歯車列と、前記変速用複式遊星歯車装置と同心に回転可能に設けられ前記減速回転が選択的に伝達される減速回転出力部材とで前記歯車減速装置を構成し、該減速回転出力部材を前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記減速回転出力部材を前記歯車列の減速回転を生成する歯車に係脱可能に連結する回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことである。
【0018】
請求項14に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の自動変速機において、前記変速用複式遊星歯車装置を構成する2組の遊星歯車機構の少なくとも一方をダブルピニオン型の遊星歯車機構とし、第3要素をリングギヤとしたことである。
【0019】
請求項15に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の自動変速機において、第1及び第2サンギヤ、該第1サンギヤに直接噛合するとともに中間ピニオンを介して前記第2サンギヤに噛合するロングピニオン及び該中間ピニオンを支承するキャリヤ並びに前記ロングピニオンと噛合し前記出力軸に連結されたリングギヤにより前記変速用複式遊星歯車装置を構成し、前記第1要素を前記第1サンギヤ、前記第2要素をキャリヤ、前記第3要素をリングギヤ、前記第4要素を第2サンギヤとしたことである。
請求項16に記載の発明の構成上の特徴は、入力軸と、該入力軸に連結され入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置と、速度線図においてギヤ比に対応した間隔で順次並べられた4個の要素に並び順にそれぞれ対応する第1、第2、第3及び第4要素を有する変速用複式遊星歯車装置と、前記減速回転出力部材と前記第4、第1要素とを夫々係脱可能に連結する第1及び第3制御クラッチと、前記入力軸と前記第2要素とを係脱可能に連結する第2制御クラッチと、前記第1及び第2要素の回転を選択的に規制する第1及び第2制御ブレーキと、前記第3要素に連結された出力軸とを備え、前記歯車減速装置は、前記入力軸に連結された第5要素と、前記減速回転出力部材に連結された第6要素と、回転規制可能な第7要素とを備えた遊星歯車装置で構成され、前記第7要素の回転を選択的に規制する第3制御ブレーキをさらに備え、前記第1、第2及び第3制御クラッチを接続状態にし、前記第1及び第2制御ブレーキを解放状態にすると共に、前記第3制御ブレーキを不作動にして、前記入力軸の回転を前記出力軸にギヤ比1で伝達する直結段を達成することである。
【0020】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置を設け、減速回転出力部材を回転状態切替手段により減速回転状態及び自由回転状態のいずれかの状態に切り替え、減速回転出力部材の減速回転を第1、第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に伝達し、第1及び第2要素の回転を第1、第2制御ブレーキで選択的に規制し、第3要素を出力軸に連結したので、従来の自動変速機に最小限の変更を加えるだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進7段以上のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を提供することができる。さらに、高速段側のギヤ比を更に密にすることができるので、車速の高速度域でエンジン性能を最適に引き出すことができ、且つギヤチェンジ時のギヤ比の変化延いては出力トルク変化が小さくなり、良好なフィーリングを得ることができる。また、減速回転出力部材を自由回転状態にして第1乃至第3制御クラッチを接続することにより変速用複式遊星歯車装置の第1及び第4要素を連結して第2要素に伝達された入力軸の回転を第3要素にギヤ比1で伝達する直結段を得ることができるので、燃費向上を図ることができる。
【0021】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、減速回転出力部材を前記回転状態切替手段によって減速回転状態では減速回転で回転させ、自由回転状態では、減速回転出力部材を減速回転以外で回転することを許容するようにしたので、第1乃至第3制御クラッチを接続することにより変速用複式遊星歯車装置の第1及び第4要素を連結して第2要素に伝達された入力軸の回転を第3要素にギヤ比1で伝達する直結段を得ることができ、燃費向上を図ることができる。
【0022】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置によって減速回転を減速回転出力部材に生成することを許容し、自由回転状態では、歯車減速装置によって減速回転を減速回転出力部材に生成させないようにしたので、請求項2の場合と同様に第2要素に伝達された入力軸の回転を第3要素にギヤ比1で伝達する直結段を得ることができ、燃費向上を図ることができる。
【0023】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置を介した入力軸と減速回転出力部材との間の動力伝達を許容し、自由回転状態では、歯車減速装置を介した入力軸と減速回転出力部材との間の動力伝達を遮断するので、請求項2の場合と同様に第2要素に伝達された入力軸の回転を第3要素にギヤ比1で伝達する直結段を得ることができ、燃費向上を図ることができる。
【0024】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、減速用複式遊星歯車装置の小径及び大径サンギヤの回転を第1、第2回転制御ブレーキで夫々選択的に規制してキャリヤを第1、第2回転状態及び自由回転状態のいずれかの状態に切り替え、第1、第2回転を第1、第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機の減速要用遊星歯車装置を段付ピニオンを有する複式のものとし、2個の回転制御ブレーキを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進12段、後退2段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0025】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、減速用複式遊星歯車装置のサンギヤ及び後段リングギヤの回転を第1、第2回転制御ブレーキで夫々選択的に規制してキャリヤを第1、第2回転状態及び自由回転状態のいずれかの状態に切り替え、第1又は第2回転を第1、第3制御クラッチを介して変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機の減速用遊星歯車装置を他のタイプのものとし、2個の回転制御ブレーキを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進12段、後退2段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0026】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、減速用遊星歯車装置のサンギヤの回転を回転制御ブレーキで選択的に規制し、サンギヤ、キャリヤ及びリングギヤのいずれか二つを回転制御クラッチで接続してキャリヤを第1、第2回転状態及び自由回転状態のいずれかの状態に切り替え、第1又は第2回転を第1、第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に回転制御クラッチと回転制御ブレーキを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進9段、後退2段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0027】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、減速回転出力部材を減速用遊星歯車装置と同心に回転可能に設け、該減速回転出力部材を減速用遊星歯車装置のリングギヤ、キャリヤに第1、第2回転制御クラッチにより選択的に連結して減速回転出力部材を第1、第2回転状態及び自由回転状態のいずれかの状態に切り替え、該減速回転出力部材の回転を第1、第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に減速回転出力部材と2個の回転制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進9段、後退2段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0028】
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、入力軸を減速用遊星歯車装置のリングギヤ、キャリヤに第1、第2回転制御クラッチにより選択的に接続してキャリヤを第1、第2回転状態及び自由回転状態のいずれかの状態に切り替え、第1又は第2回転を第1及び第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に連結し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に2個の回転制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進9段、後退2段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0029】
上記のように構成した請求項10に係る発明においては、減速用遊星歯車装置のサンギヤの回転を回転制御ブレーキで選択的に規制してキャリヤを減速回転状態又は自由回転状態に切り替え、減速回転を第1、第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に回転制御ブレーキを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進7段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0030】
上記のように構成した請求項11に係る発明においては、減速回転出力部材を減速用遊星歯車装置と同心に回転可能に設け、該減速回転出力部材を減速用遊星歯車装置のキャリヤに回転制御クラッチにより選択的に連結して減速回転出力部材を減速回転状態又は自由回転状態に切り替え、該減速回転出力部材の回転を第1、第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に減速回転出力部材と回転制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進7段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0031】
上記のように構成した請求項12に係る発明においては、入力軸を減速用遊星歯車装置のリングギヤに回転制御クラッチにより選択的に接続してキャリヤを減速回転状態又は自由回転状態に切り替え、減速回転を第1及び第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に連結し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に回転制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進7段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0032】
上記のように構成した請求項13に係る発明においては、減速回転出力部材を変速用遊星歯車装置と同心に回転可能に設け、該減速回転出力部材を減速用歯車列の減速回転を生成する歯車に回転制御クラッチにより選択的に連結して減速回転出力部材を減速回転状態又は自由回転状態に切り替え、減速回転出力部材を第1及び第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に連結し、減速用歯車列で生成される入力回転を第2制御クラッチにより第2要素に選択的に伝達するようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機の減速用遊星歯車装置を簡単な減速用歯車列に変換し、減速回転出力部材と回転制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進7段以上のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0033】
上記のように構成した請求項14に係る発明においては、変速用複式遊星歯車装置を構成する2組の遊星歯車機構の少なくとも一方をダブルピニオン型の遊星歯車機構とし、第3要素としてのリングギヤに出力軸を連結したので、請求項1に記載の発明の効果に加え、簡単な構成で全長の短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0034】
上記のように構成した請求項15に係る発明においては、第1及び第2サンギヤ、該第1サンギヤに直接噛合するとともに中間ピニオンを介して第2サンギヤに噛合するロングピニオン及び該中間ピニオンを支承するキャリヤ並びにロングピニオンと噛合し出力軸に連結されたリングギヤにより変速用複式遊星歯車装置を構成し、第1要素を第1サンギヤ、第2要素をキャリヤ、第3要素をリングギヤ、第4要素を第2サンギヤとしたので、従来の自動変速機に最小限の変更を加えるだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進7段以上のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる構造簡単で全長が短いコンパクトな自動変速機を得ることができる。
上記のように構成した請求項16に係る発明においては、入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置を設け、減速回転出力部材の減速回転を第1、第3制御クラッチにより変速用複式遊星歯車装置の第4、第1要素に選択的に伝達し、入力軸の回転を第2制御クラッチにより第2要素に伝達し、第1及び第2要素の回転を第1、第2制御ブレーキで選択的に規制し、第3要素を出力軸に連結したこと、入力軸に連結された第5要素と、減速回転出力部材に連結された第6要素と、回転規制可能な第7要素とを備えた遊星歯車装置で構成された歯車減速装置を備えたこと、第7要素の回転を選択的に規制する第3制御ブレーキをさらに備えたことで、従来の自動変速機に最小限の変更を加えるだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進7段以上のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる全長が短いコンパクトな自動変速機を提供することができる。また、第1、第2及び第3制御クラッチを接続状態にし、第1及び第2制御ブレーキを解放状態にすると共に、第3制御ブレーキを不作動にして、入力軸の回転を出力軸にギヤ比1で伝達する直結段を達成することができるので、燃費向上を図ることができる。
【0035】
【実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る自動変速機の第1の実施形態について説明する。図1において、10は本発明に係る自動変速機で、例えば自動車のエンジンにより回転駆動される流体トルクコンバータ11の出力回転を変速して駆動輪に伝達するために使用される。自動変速機10は、車体に取り付けられたトランスミッションケース12内に共通軸線13上に順次支承された入力軸15、減速用複式遊星歯車装置16、変速用複式遊星歯車装置17及び出力軸18で構成されている。減速用複式遊星歯車装置16は、2個のシングルピニオン型の遊星歯車機構51,52のキャリヤC1,C2及びリングギヤR1,R2を連結、共通化して構成されている。即ち、減速用複式遊星歯車装置16は、共通軸線13上に回転可能に支承された大径及び小径サンギヤS1,S2、大径及び小径サンギヤS1,S2と夫々噛合する小径及び大径ピニオン23,24からなる段付ピニオン25、この段付きピニオン25を回転可能に支承し共通軸線13上に回転可能に支承された共通のキャリヤC1,C2、及び大径ピニオン24と噛合し共通軸線13上に回転可能に支承された共通のリングギヤR1,R2から構成されている。入力軸15はリングギヤR1,R2に連結されている。
【0036】
大径及び小径サンギヤS1,S2をトランスミッションケース12に夫々接続して選択的に回転を規制する第2、第1回転制御ブレーキB−2,B−1が大径及び小径サンギヤS1,S2に夫々連結されている。これにより減速回転出力部材55としてのキャリヤC1,C2は、第1回転制御ブレーキB−1により小径サンギヤS2の回転が規制されて入力軸15の回転より小さい第1減速回転で回転される第1減速回転状態、第2回転制御ブレーキB−2により大径サンギヤS1の回転が規制されて第1減速回転より回転数が小さい第2減速回転で回転される第2減速回転状態、第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0037】
減速用複式遊星歯車装置16は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転より回転数が小さい第1及び第2減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2は、減速回転出力部材55としてのキャリヤC1,C2を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。
【0038】
変速用複式遊星歯車装置17は、シングルピニオン型の遊星歯車機構53及びダブルピニオン型の遊星歯車機構54のキャリヤC3,C4及びリングギヤR3,R4をそれぞれ連結、共通化して構成されている。即ち、共通軸線13上に回転可能に支承された第1及び第2サンギヤS3,S4、第1サンギヤS3に直接噛合するとともに第2サンギヤS4に中間ピニオン33を介して噛合するロングピニオン34、ロングピニオン34及び中間ピニオン33を回転可能に支承し共通軸線13上に回転可能に支承された共通のキャリヤC3,C4、及びロングピニオン34と噛合し共通軸線13上に回転可能に支承された共通のリングギヤR3,R4から構成されている。リングギヤR3,R4には出力軸18が連結されている。
【0039】
減速用複式遊星歯車装置16のキャリヤC1,C2と変速用複式遊星歯車装置17の第1、第2サンギヤS3,S4とを夫々係脱可能に連結する第3、第1制御クラッチC−3,C−1と、入力軸15と変速用複式遊星歯車装置17の共通のキャリヤC3,C4とを係脱可能に連結する第2制御クラッチC−2が設けられている。そして、第1サンギヤS3及びキャリヤC3,C4には、第1サンギヤS3及びキャリヤC3,C4をトランスミッションケース12に夫々選択的に接続して回転を規制する第1、第2制御ブレーキB−3,B−4が連結されている。F−1はキャリヤC3,C4の逆転方向の回転を規制するワンウエイクラッチである。
【0040】
なお、流体トルクコンバータ11のポンプインペラ45は図略のエンジンによって回転駆動されてオイルを送り出し、ステータ46がオイルの反力を受け止めてトルクをタービン47に発生するようになっている。入力軸15はタービン47に連結されている。48はポンプインペラ45とタービン47とを直結するロックアップクラッチである。
【0041】
以上のように構成された自動変速機10においては、第1乃至第3制御クラッチC−1〜C−3を選択的に係脱し、第1、第2制御ブレーキB−3,B−4及び第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2を選択的に作動して遊星歯車装置の要素の回転を規制することにより、前進12段、後退2段のギヤ比を成立することができる。図2において、各変速段に対応する各制御クラッチ、制御ブレーキの欄に黒丸が付されている場合、制御クラッチであれば接続状態、制御ブレーキであれば回転規制状態にあることを示す。また、図2には、減速用複式遊星歯車装置16の大径サンギヤS1、段付ピニオン25、キャリヤC1及びリングギヤR1からなる減速用第1遊星歯車機構51のギヤ比λ1が0.778、小径サンギヤS2、大径ピニオン24、キャリヤC2及びリングギヤR2からなる減速用第2遊星歯車機構52のギヤ比λ2が0.361、変速用複式遊星歯車装置17の第1サンギヤS3、ロングピニオン34、キャリヤC3及びリングギヤR3からなる変速用第1遊星歯車機構53のギヤ比λ3が0.458、第2サンギヤS4、中間ピニオン33、ロングピニオン34、キャリヤC4及びリングギヤR4からなる変速用第2遊星歯車機構54のギヤ比λ4が0.375である場合における各変速段におけるギヤ比(入力軸15の回転数/出力軸18の回転数)がギヤ比欄に示されている。
【0042】
シングルピニオン型の減速用第1、第2遊星歯車機構51,52、変速用第1遊星歯車機構53においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、式(1)で示され、ダブルピニオン型の変速用第2遊星歯車機構54においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、式(2)で示され、各変速段におけるギヤ比は、式(1)、(2)に基づいて算出される。大径、小径、第1、第2サンギヤS1,S2,S3,S4の歯数をZs1,Zs2,Zs3,Zs4、リングギヤR1,R2,R3,R4の歯数をZr1,Zr2,Zr3,Zr4とすると、減速用第1、第2及び変速用第1、第2遊星歯車機構51〜54のギヤ比はλ1=Zs1/Zr1,λ2=Zs2/Zr2,λ3=Zs3/Zr3,λ4=Zs4/Zr4である。
【0043】
Nr=(1+λ)Nc−λNs・・・(1)
Nr=(1−λ)Nc+λNs・・・(2)
第1及び第2回転制御ブレーキB−1,B−2を選択的に作動し、第1乃至第3制御クラッチC−1〜C−3を選択的に接続するとともに第1、第2制御ブレーキB−3,B−4を選択的に作動したとき、減速用複式遊星歯車装置16及び変速用複式遊星歯車装置17の各要素の速度比は、図3に示す速度線図のようになる。速度線図は、遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、リングギヤからなる各要素を横軸方向にギヤ比に対応させた間隔で配置し、縦軸方向に各要素に対応してその速度比を取ったものである。図3には、減速用及び変速用複式遊星歯車装置16,17の速度線図が左右に並べて記載されている。減速用複式遊星歯車装置16を構成する減速用第1、第2遊星歯車機構51,52では、キャリヤC1,C2、リングギヤR1,R2がそれぞれ共通するので、C1,C2及びR1,R2がそれぞれ付された各1本の縦線上に共通のキャリヤC1,C2、共通のリングギヤR1,R2の速度比を表し、それぞれS1、S2が付された各1本の縦線上にサンギヤS1,S2の速度比を表す。シングルピニオン型の第1遊星歯車機構51については、キャリヤC1の縦線とリングギヤR1の縦線との間隔aを第1遊星歯車機構51のギヤ比λ1とみなし、サンギヤS1の縦線をキャリヤC1の縦線からリングギヤR1の縦線の反対側に間隔a/λ1だけ離して配置する。シングルピニオン型の第2遊星歯車機構52についても同様に、キャリヤC2の縦線とリングギヤR2の縦線との間隔aを第2遊星歯車機構52のギヤ比λ2とみなし、サンギヤS2の縦線をキャリヤC2の縦線からリングギヤR2の縦線の反対側に間隔a/λ2だけ離して配置する。
【0044】
変速用複式遊星歯車装置17を構成する変速用第1、第2遊星歯車機構53,54では、キャリヤC3,C4、リングギヤR3,R4がそれぞれ共通するので、C3,C4及びR3,R4がそれぞれ付された各1本の縦線上に共通のキャリヤC3,C4、共通のリングギヤR3,R4の速度比を表し、それぞれS3、S4が付された各1本の縦線上にサンギヤS1,S2の速度比を表す。シングルピニオン型の変速用第1遊星歯車機構53については、キャリヤC3の縦線とリングギヤR3の縦線との間隔bを変速用第1遊星歯車機構53のギヤ比λ3とみなし、サンギヤS3の縦線をキャリヤC3の縦線からリングギヤR3の縦線の反対側に間隔b/λ3だけ離して配置する。ダブルピニオン型の変速用第2遊星歯車機構54については、キャリヤC4の縦線とリングギヤR4の縦線との間隔bを変速用第2遊星歯車機構54のギヤ比λ4とみなし、サンギヤS4の縦線をキャリヤC4の縦線からリングギヤR4の縦線と同じ側に間隔b/λ4だけ離して配置する。速度線図には、第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2、第1乃至第3制御クラッチC−1〜C−3、第1、第2制御ブレーキB−3,B−4が選択的に作動された点にB−1〜B−4、C−1〜C−3が記入されている。
【0045】
このように作成された変速用複式遊星歯車装置17の速度線図において、4本の各縦線に対応する要素を縦線の並び順に第1、第2、第3、第4要素とする。第1実施形態の場合、第1要素としての第1サンギヤS3は第3制御クラッチC−3及び第1制御ブレーキB−3に連結され、第2要素としてのキャリヤC3,C4は第2制御クラッチC−2及び第2制御ブレーキB−4に連結され、第3要素としてのリングギヤR3,R4は出力軸18に連結され、第4要素としての第2サンギヤS4は第1制御クラッチC−1に連結されている。
【0046】
以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、回転状態切替手段50を構成する第2回転制御ブレーキB−2の作動により大径サンギヤS1が回転規制されて減速回転出力部材55としてのキャリヤC1,C2が第2減速回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC1,C2と第2サンギヤS4が接続され、ワンウエイクラッチF−1が作動してキャリヤC3,C4の逆転が規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する大径サンギヤS1、キャリヤC1,C2により入力軸15の回転より回転数の小さい第2減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、ワンウエイクラッチF−1で逆転を規制されて反力を支持するキャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第1変速段のギヤ比4.741で正転駆動する。なお、第2制御ブレーキB−4を作動してキャリヤC3,C4の回転を規制してもよい。
【0047】
前進第2変速段の場合、回転状態切替手段50を構成する第1回転制御ブレーキB−1により小径サンギヤS2が回転規制されてキャリヤC1,C2が第1減速回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC1,C2と第2サンギヤS4が接続され、ワンウエイクラッチF−1が作動してキャリヤC3,C4の逆転が規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する小径サンギヤS2、キャリヤC1,C2により回転数が入力軸15の回転より小さく第2減速回転より大きい第1減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、ワンウエイクラッチF−1で逆転を規制されて反力を支持するキャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第2変速段のギヤ比3.630で正転駆動する。
【0048】
前進第3変速段の場合、第2回転制御ブレーキB−2の作動により大径サンギヤS1が回転規制されてキャリヤC1,C2が第2減速回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC1,C2と第2サンギヤS4が接続され、第1制御ブレーキB−3が作動されて第1サンギヤS3が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する大径サンギヤS1、キャリヤC1,C2により第2減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、回転を規制されて反力を支持する第1サンギヤS3、キャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第3変速段のギヤ比2.709で正転駆動する。
【0049】
前進第4変速段の場合、第1回転制御ブレーキB−1により小径サンギヤS2が回転規制されてキャリヤC1,C2が第1減速回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC1,C2と第2サンギヤS4が接続され、第1制御ブレーキB−3が作動されて第1サンギヤS3が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する小径サンギヤS2、キャリヤC1,C2により第1減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、回転を規制されて反力を支持する第1サンギヤS3、キャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第4変速段のギヤ比2.074で正転駆動する。
【0050】
前進第5変速段の場合、第2回転制御ブレーキB−2の作動により大径サンギヤS1が回転規制されてキャリヤC1,C2が第2減速回転状態に切り替えられ、第1、第3制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC1,C2と第2、第1サンギヤS4,S3が接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する大径サンギヤS1、キャリヤC1,C2により第2減速回転に減速され、第1及び第3制御クラッチC−1,C−3を経て第2及び第1サンギヤS4,S3に伝達され、キャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4を第1及び第2サンギヤS3,S4の回転に応じて回転し、出力軸18を第5変速段のギヤ比1.778で正転駆動する。
【0051】
前進第6変速段の場合、第1回転制御ブレーキB−1の作動により小径サンギヤS2が回転規制されてキャリヤC1,C2が第1減速回転状態に切り替えられ、第1、第3制御クラッチC−1,C−3が作動されてキャリヤC1,C2と第2、第1サンギヤS4,S3が接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する小径サンギヤS2、キャリヤC1,C2により第1減速回転に減速され、第1及び第3制御クラッチC−1,C−3を経て第2及び第1サンギヤS4,S3に伝達され、キャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4を第1及び第2サンギヤS3,S4の回転に応じて回転し、出力軸18を第6変速段のギヤ比1.361で正転駆動する。
【0052】
前進第7変速段の場合、第2回転制御ブレーキB−2の作動により大径サンギヤS1が回転規制されてキャリヤC1,C2が第2減速回転状態に切り替えられ、第1及び第2制御クラッチC−1,C−2が作動されてキャリヤC1,C2と第2サンギヤS4、入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する大径サンギヤS1、キャリヤC1,C2により第2減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1を介して第2サンギヤS4に伝達されるとともに、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に直接伝達され、リングギヤR3,R4を第2サンギヤS4とキャリヤC3,C4との回転差に応じて回転し、出力軸18を第7変速段のギヤ比1.196で正転駆動する。
【0053】
前進第8変速段の場合、第1回転制御ブレーキB−1の作動により小径サンギヤS2が回転規制されてキャリヤC1,C2が第1減速回転状態に切り替えられ、第1及び第2制御クラッチC−1,C−2が作動されてキャリヤC1,C2と第2サンギヤS4、入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する小径サンギヤS2、キャリヤC1,C2により第1減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1を介して第2サンギヤS4に伝達されるとともに、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に直接伝達され、リングギヤR3,R4を第2サンギヤS4とキャリヤC3,C4との回転差に応じて回転し、出力軸18を第8変速段のギヤ比1.100で正転駆動する。
【0054】
前進第9変速段の場合、第1、第2及び第3制御クラッチC−1,C−2,C−3が接続状態となり、第1及び第2サンギヤS3,S4が減速回転出力部材55としてのキャリヤC1,C2を介して接続され、回転状態切替手段50としての第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2が不作動となり、キャリヤC1,C2が自由回転状態になるので、入力軸15に入力された回転は、第2制御クラッチC−2により変速用複式遊星歯車装置10のキャリヤC3,C4に直接伝達され、一体化された第1、第2サンギヤS3,S4を介してリングギヤR3,R4を回転し、出力軸18を第9変速段のギヤ比1.000で正転駆動する。
【0055】
前進第10変速段の場合、第1回転制御ブレーキB−1の作動により小径サンギヤS2が回転規制されてキャリヤC1,C2が第1減速回転状態に切り替えられ、第3及び第2制御クラッチC−3,C−2が作動されてキャリヤC1,C2と第1サンギヤS3、入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する小径サンギヤS2、キャリヤC1,C2により第1減速回転に減速され、第3制御クラッチC−3を介して第1サンギヤS3に伝達されるとともに、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に直接伝達され、リングギヤR3,R4を第1サンギヤS3とキャリヤC3,C4との回転差に応じて回転し、出力軸18を第10変速段のギヤ比0.892で正転駆動する。
【0056】
前進第11変速段の場合、第2回転制御ブレーキB−2の作動により大径サンギヤS1が回転規制されてキャリヤC1,C2が第2減速回転状態に切り替えられ、第3及び第2制御クラッチC−3,C−2が作動されてキャリヤC1,C2と第1サンギヤS3、入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する大径サンギヤS1、キャリヤC1,C2により第2減速回転に減速され、第3制御クラッチC−3を介して第1サンギヤS3に伝達されるとともに、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に直接伝達され、リングギヤR3,R4を第1サンギヤS3とキャリヤC3,C4との回転差に応じて回転し、出力軸18を第11変速段のギヤ比0.833で正転駆動する。
【0057】
前進第12変速段の場合、第2制御クラッチC−2が作動されて入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続され、第1制御ブレーキB−3が作動して第1サンギヤS3の回転を規制するので、入力軸15に入力された回転は、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に伝達され、回転を規制された第1サンギヤS3に反力を支持されてリングギヤR3,R4を回転し、出力軸18を第12変速段のギヤ比0.686で正転駆動する。
【0058】
後退第1変速段の場合、第2回転制御ブレーキB−2の作動により大径サンギヤS1が回転規制されてキャリヤC1,C2が第1減速回転状態に切り替えられ、第3制御クラッチC−3が作動されてキャリヤC1,C2と第1サンギヤS3とが接続され、第2制御ブレーキB−4が作動されてキャリヤC1,C2が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する大径サンギヤS1、キャリヤC1,C2により第2減速回転に減速され、第3制御クラッチC−3を介して第1サンギヤS3に伝達され、回転を規制されたキャリヤC3,C4に反力を支持されてリングギヤR3,R4を逆転し、出力軸18を後退第1変速段のギヤ比3.879で逆転駆動する。
【0059】
後退第2変速段の場合、第1回転制御ブレーキB−1の作動により小径サンギヤS2が回転規制されてキャリヤC1,C2が第1減速回転状態に切り替えられ、第3制御クラッチC−3が作動されてキャリヤC1,C2と第1サンギヤS3とが接続され、第2制御ブレーキB−4が作動されてキャリヤC1,C2が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持する小径サンギヤS2、キャリヤC1,C2により第1減速回転に減速され、第3制御クラッチC−3を介して第1サンギヤS3に伝達され、回転を規制されたキャリヤC3,C4に反力を支持されてリングギヤR3,R4を逆転し、出力軸18を後退第2変速段のギヤ比2.970で逆転駆動する。
【0060】
入力軸15に連結された減速用複式遊星歯車装置16のリングギヤR1,R2の回転数を1とした場合の各変速段における大径、小径、第1、第2サンギヤS1〜S4、キャリヤC1,C2およびC3,C4、並びにリングギヤR1,R2及びR3,R4の回転比を示す図3の速度線図から明らかなように、各変速段における共通のリングギヤR3,R4の回転比すなわちギヤ比は、適当な間隔をもって配列し、本発明に係る自動変速機によれば適切に離間した前進12段、後退2段のギヤ比を得ることができる。さらに、いずれの変速段においてもサンギヤ、キャリヤ及びリングギヤのいずれか一つが極めて高速回転するようなことがない。
【0061】
次に、第2の実施形態について、図4に基づいて説明する。第2の実施形態は、変速用複式遊星歯車装置17、第1乃至第3クラッチC−1〜C−3、第1、第2制御ブレーキB−3,B−4及びワンウエイクラッチF−1等については、第1の実施形態と同じであるので、図面に同一符号を付けて説明を省略し、第1実施形態と異なる減速用複式遊星歯車装置60のみについて説明する。
【0062】
減速用複式遊星歯車装置60は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構65及びシングルピニオン型の遊星歯車機構66のサンギヤS1,S2及びキャリヤC1,C2を連結、共通化して構成されている。即ち、共通軸線13上に回転可能に支承された共通のサンギヤS1,S2、サンギヤS1,S2と噛合するロングピニオン62、このロングピニオン62及びロングピニオン62と噛合する中間ピニオン63を回転可能に支承し共通軸線13上に回転可能に支承された共通のキャリヤC1,C2、ロングピニオン62及び中間ピニオン63と夫々噛合し共通軸線13上に回転可能に支承されたリングギヤR2,R1から構成されている。入力軸15は前段のリングギヤR2に連結されている。
【0063】
共通のサンギヤS1,S2及び後段のリングギヤR1をトランスミッションケース12に夫々接続して選択的に回転を規制する第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2がサンギヤS1,S2及びリングギヤR1に夫々連結されている。これにより減速回転出力部材55としてのキャリヤC1,C2は、第1回転制御ブレーキB−1によりサンギヤS1,S2の回転が規制されて入力軸15の回転より小さい第1減速回転で回転される第1減速回転状態、第2回転制御ブレーキB−2によりリングギヤR1の回転が規制されて第1減速回転より回転数が小さい第2減速回転で回転される第2減速回転状態、第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0064】
減速用複式遊星歯車装置60は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転より回転数が小さい第1及び第2減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2は、減速回転出力部材55としてのキャリヤC1,C2を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。
【0065】
第2実施形態においても、入力軸15の回転及び減速用遊星歯車装置60のキャリヤC1,C2に生成された第1、第2減速回転を第1乃至第3制御クラッチC−1〜C−3により変速用複式遊星歯車装置17の第2、第1サンギヤS4,S3及び共通のキャリヤC3,C4に伝達するとともに、第1サンギヤS3及びキャリヤC3,C4の回転を第1、第2制御ブレーキB−3,B−4により選択的に規制することにより入力軸15の回転を前進12段、後退2段に変速することは、第1の実施形態の場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。各変速段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を図5に示す。第2の実施形態においては、第2変速段と第3変速段との間、第4変速段と第5変速段との間で制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態が第1の実施形態の場合と逆になっている。
【0066】
また図5には、減速用複式遊星歯車装置60のサンギヤS1、ロングピニオン62、中間ピニオン63、キャリヤC1及びリングギヤR1からなる減速用第1遊星歯車機構65のギヤ比λ1が0.273、サンギヤS2、ロングピニオン62、キャリヤC2及びリングギヤR2からなる減速用第2遊星歯車機構66のギヤ比λ2が0.391、変速用複式遊星歯車装置17の第1サンギヤS3、ロングピニオン34、キャリヤC3及びリングギヤR3からなる変速用第1遊星歯車機構53のギヤ比λ3が0.556、第2サンギヤS4、中間ピニオン33、ロングピニオン34、キャリヤC4及びリングギヤR4からなる変速用第2遊星歯車機構54のギヤ比λ4が0.417である場合における各変速段におけるギヤ比(入力軸15の回転数/出力軸18の回転数)がギヤ比欄に示されている。
【0067】
第2実施形態の速度線図は図6に示すようになる。第2実施形態においても、第1要素としての第1サンギヤS3は第3制御クラッチC−3及び第1制御ブレーキB−3に連結され、第2要素としてのキャリヤC3,C4は第2制御クラッチC−2及び第2制御ブレーキB−4に連結され、第3要素としてのリングギヤR3,R4は出力軸18に連結され、第4要素としての第2サンギヤS4は第1制御クラッチC−1に連結されている。
【0068】
次に、歯車減速装置に単式の遊星歯車装置を使用した実施形態について説明する。第3の実施形態は、変速用複式遊星歯車装置17、第1乃至第3クラッチC−1〜C−3、第1、第2制御ブレーキB−3,B−4及びワンウエイクラッチF−1等については、第1の実施形態と同じであるので、図7に同一符号を付けて説明を省略し、第1実施形態と異なる減速用遊星歯車装置70及び減速用遊星歯車装置70と変速用複式遊星歯車装置17との接続関係について説明する。
【0069】
減速用遊星歯車装置70は、共通軸線13上に回転可能に支承されたサンギヤS2、サンギヤS2と噛合するピニオン71、このピニオン71を回転可能に支承し共通軸線13上に回転可能に支承されたキャリヤC2、ピニオン71と噛合し共通軸線13上に回転可能に支承されたリングギヤR2から構成されている。入力軸15はリングギヤR2に連結されている。回転制御クラッチC-4がキャリヤC2をリングギヤR2に選択的に接続し、回転制御ブレーキB−2がサンギヤS2の回転を選択的に規制するようになっている。これにより減速回転出力部材55としてのキャリヤC2は、回転制御クラッチC−4によりリングギヤR2に接続されて入力軸15と同一回転数の入力回転で回転される入力回転状態、回転制御ブレーキB−2によりサンギヤS2の回転が規制されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御クラッチC−4、回転制御ブレーキB−2が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0070】
減速用遊星歯車装置70は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転と回転数が等しい入力回転及び入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、回転制御クラッチC−4及び回転制御ブレーキB−2は、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。
【0071】
以上のように構成された第3実施形態では、第1乃至第3制御クラッチC−1〜C−3及び回転制御クラッチC−4を選択的に係脱し、第1、第2制御ブレーキB−3,B−4及び回転制御ブレーキB−2を選択的に作動して遊星歯車装置の要素部材の回転を規制することにより、前進9段、後退2段のギヤ比を成立することができる。
【0072】
各変速段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を図8に示す。図8には、減速用遊星歯車装置70のギヤ比λ2が0.417、変速用複式遊星歯車装置17の第1サンギヤS3、ロングピニオン34、キャリヤC3及びリングギヤR3からなる変速用第1遊星歯車機構53のギヤ比λ3が0.458、第2サンギヤS4、中間ピニオン33、ロングピニオン34、キャリヤC4及びリングギヤR4からなる変速用第2遊星歯車機構54のギヤ比λ4が0.375である場合における各変速段におけるギヤ比(入力軸15の回転数/出力軸18の回転数)がギヤ比欄に示されている。
【0073】
第3実施形態の速度線図は図9に示すようになる。第3実施形態においても、第1要素としての第1サンギヤS3は第3制御クラッチC−3及び第1制御ブレーキB−3に連結され、第2要素としてのキャリヤC3,C4は第2制御クラッチC−2及び第2制御ブレーキB−4に連結され、第3要素としてのリングギヤR3,R4は出力軸18に連結され、第4要素としての第2サンギヤS4は第1制御クラッチC−1に連結されている。
【0074】
以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、回転状態切替手段50を構成する回転制御ブレーキB−2の作動によりサンギヤS2が回転規制されて減速回転出力部材55としてのキャリヤC2が減速回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC2と第2サンギヤS4が接続され、ワンウエイクラッチF−1が作動してキャリヤC3,C4の逆転が規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤC2により減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、ワンウエイクラッチF−1で逆転を規制されて反力を支持するキャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第1変速段のギヤ比3.778で正転駆動する。なお、第2制御ブレーキB−4を作動してキャリヤC3,C4の回転を規制してもよい。
【0075】
前進第2変速段の場合、回転状態切替手段50を構成する回転制御クラッチC−4の作動によりキャリヤC2がリングギヤR2に接続されて入力軸15と一体的に回転する入力回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC2と第2サンギヤS4が接続され、ワンウエイクラッチF−1が作動してキャリヤC3,C4の逆転が規制されるので、入力軸15に入力された回転は、回転制御クラッチC−4によりキャリヤC2に入力回転として直接伝達され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、ワンウエイクラッチF−1で逆転を規制されて反力を支持するキャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第2変速段のギヤ比2.667で正転駆動する。
【0076】
前進第3変速段の場合、回転制御ブレーキB−2の作動によりサンギヤS2が回転規制されてキャリヤC2が減速回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC2と第2サンギヤS4が接続され、第1制御ブレーキB−3が作動されて第1サンギヤS3が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤC2により減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、回転を規制されて反力を支持する第1サンギヤS3、キャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第3変速段のギヤ比2.159で正転駆動する。
【0077】
前進第4変速段の場合、回転制御クラッチC−4の作動によりキャリヤC2がリングギヤR2に接続されて入力軸15と一体的に回転する入力回転状態に切り替えられ、第1制御クラッチC−1が作動されてキャリヤC2と第2サンギヤS4が接続され、第1制御ブレーキB−3が作動されて第1サンギヤS3の回転が規制されるので、入力軸15に入力された回転は、入力回転としてキャリヤC2に直接伝達され、第1制御クラッチC−1、第2サンギヤS4、回転を規制されて反力を支持する第1サンギヤS3、キャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸18を第4変速段のギヤ比1.524で正転駆動する。
【0078】
前進第5変速段の場合、回転制御ブレーキB−2の作動によりサンギヤS2が回転規制されてキャリヤC2が減速回転状態に切り替えられ、第1、第3制御クラッチC−1,C−3が作動されてキャリヤC2と第2、第1サンギヤS4,S3が接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤC2により減速回転に減速され、第1及び第3制御クラッチC−1,C−3を経て第2及び第1サンギヤS4,S3に伝達され、キャリヤC3,C4を介してリングギヤR3,R4を第1及び第2サンギヤS3,S4の回転に応じて回転し、出力軸18を第5変速段のギヤ比1.417で正転駆動する。
【0079】
前進第6変速段の場合、回転制御ブレーキB−2の作動によりサンギヤS2が回転規制されてキャリヤC2が減速回転状態に切り替えられ、第1、第2制御クラッチC−1,C−2が作動されてキャリヤC2と第2サンギヤS4、入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤC2により減速回転に減速され、第1制御クラッチC−1を介して第2サンギヤS4に伝達されるとともに、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に直接伝達され、リングギヤR3,R4を第2サンギヤS4とキャリヤC3,C4の回転差に応じて回転し、出力軸18を第6変速段のギヤ比1.124で正転駆動する。
【0080】
前進第7変速段の場合、第1、第2及び第3制御クラッチC−1,C−2,C−3が接続状態となり、第1及び第2サンギヤS3,S4が減速回転出力部材55としてのキャリヤC2を介して接続され、回転状態切替手段50としての回転制御クラッチC−4及び回転制御ブレーキB−2が不作動となり、キャリヤC2が自由回転状態になるので、入力軸15に入力された回転は、第2制御クラッチC−2により変速用複式遊星歯車装置10のキャリヤC3,C4に直接伝達され、一体化された第1、第2サンギヤS3,S4を介してリングギヤR3,R4を回転し、出力軸18を第9変速段のギヤ比1.000で正転駆動する。
【0081】
前進第8変速段の場合、回転制御ブレーキB−2の作動によりサンギヤS2が回転規制されてキャリヤC2が減速回転状態に切り替えられ、第3、第2制御クラッチC−3,C−2が作動されてキャリヤC2と第1サンギヤS3、入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤC2により減速回転に減速され、第3制御クラッチC−3を介して第1サンギヤS3に伝達されるとともに、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に直接伝達され、リングギヤR3,R4を第1サンギヤS3とキャリヤC3,C4の回転差に応じて回転し、出力軸18を第8変速段のギヤ比0.881で正転駆動する。
【0082】
前進第9変速段の場合、第2制御クラッチC−2が作動されて入力軸15とキャリヤC3,C4とが接続され、第1制御ブレーキB−3が作動されて第1サンギヤS3が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、第2制御クラッチC−2を介してキャリヤC3,C4に伝達され、回転を規制された第1サンギヤS3に反力を支持されてリングギヤR3,R4を回転し、出力軸18を第9変速段のギヤ比0.686で正転駆動する。
【0083】
後退第1変速段の場合、回転制御ブレーキB−2の作動によりサンギヤS2が回転規制されてキャリヤC2が減速回転状態に切り替えられ、第3制御クラッチC−3が作動されてキャリヤC2と第1サンギヤS3とが接続され、第2制御ブレーキB−4が作動されてキャリヤC3,C4が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、リングギヤR2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤC2により減速回転に減速され、第3制御クラッチC−3を介して第1サンギヤS3に伝達され、回転を規制されたキャリヤC3,C4に反力を支持されてリングギヤR3,R4を逆転し、出力軸18を後退第1変速段のギヤ比3.091で逆転駆動する。
【0084】
後退第2変速段の場合、回転制御クラッチC−4の作動によりキャリヤC2がリングギヤR2に接続されて入力軸15と一体的に回転する入力回転状態に切り替えられ、第3制御クラッチC−3が作動されてキャリヤC2と第1サンギヤS3とが接続され、第2制御ブレーキB−4が作動されてキャリヤC3,C4が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、キャリヤC2に直接伝達され、第3制御クラッチC−3により第1サンギヤS3に伝達され、回転を規制されたキャリヤC3,C4に反力を支持されてリングギヤR3,R4を逆転し、出力軸18を後退第2変速段のギヤ比2.182で逆転駆動する。
【0085】
第3実施形態では、減速用遊星歯車装置70のサンギヤS2の回転を回転制御ブレーキB−2で規制してキャリヤC2に入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転を生成し、キャリヤC2をリングギヤR2に回転制御クラッチC−4により接続してキャリヤC2に入力軸15と同一回転数の入力回転を生成しているが、減速回転は同様にサンギヤS2の回転を規制して生成し、入力回転は、図10、図11に示すように、キャリヤC2とサンギヤS2との間、又はリングギヤR2とサンギヤS2との間を回転制御クラッチC−4で係脱可能に接続して生成するようにしてもよい。この場合、変速用複式遊星歯車装置17の速度線図及び各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態は第3実施形態の場合と同一である。
【0086】
サンギヤの回転を規制した単式の遊星歯車装置を減速用遊星歯車装置に使用した第4、第5実施形態を図12、図13に基づいて説明する。図12において、減速用遊星歯車装置72は、回転を規制されたサンギヤS2、サンギヤS2と噛合するピニオン73を支承するキャリヤC2及びピニオン73と噛合するリングギヤR2から構成されている。入力軸15はリングギヤR2に連結されている。従って、キャリヤC2には入力軸15の回転より回転数の小さい第2回転が生成され、リングギヤR2には入力軸15の回転と同一回転数の第1回転が生成される。
【0087】
74は共通軸線13上に回転可能に設けられた連結部材で、この連結部材74は、第1、第3制御クラッチC−1,C−3により第2、第1サンギヤS4,S3に係脱可能に接続され、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5によりリングギヤR2及びキャリヤC2に係脱可能に接続されるようになっている。これにより減速回転出力部材55としての連結部材74は、第1回転制御クラッチC−4によりリングギヤR2に接続されて入力軸15と同一回転数の入力回転で回転される入力回転状態、第2回転制御クラッチC−5によりキャリヤC2に接続されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0088】
減速用遊星歯車装置72及び連結部材74は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転と回転数が等しい入力回転及び入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5は、減速回転出力部材55としての連結部材74を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。
【0089】
また、各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態は、第2回転制御ブレーキB−2に替えて第2回転制御クラッチC−5を作動させれば第3実施形態の場合と同一である。変速用複式遊星歯車装置17の速度線図は第3実施形態の場合と同一である。
【0090】
図13において、減速用遊星歯車装置72は、回転を規制されたサンギヤS2、サンギヤS2と噛合するピニオン73を支承するキャリヤC2及びピニオン73と噛合するリングギヤR2から構成されている。キャリヤC2と第2及び第1サンギヤS4,S3との間に第1及び第3制御クラッチC−1,C−3が設けられ、入力軸15とキャリヤC2との間に第1回転制御クラッチC−4、入力軸15とリングギヤR2との間に第2回転制御クラッチC−5が設けられている。これにより減速回転出力部材55としてのキャリヤC2は、キャリヤC2が第1回転制御クラッチC−4により入力軸15に接続されて入力軸15と同一回転数の入力回転で回転される入力回転状態、入力軸15が第2回転制御クラッチC−5によりリングギヤR2に接続されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0091】
減速用遊星歯車装置72は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転と回転数が等しい第1回転及び入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5は、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。この場合、各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態は、第2回転制御ブレーキB−2に替えて第2回転制御クラッチC−5を作動させれば第3実施形態の場合と同一である。変速用複式遊星歯車装置17の速度線図は第3実施形態の場合と同一である。
【0092】
次に、歯車減速装置に単式の遊星歯車装置を使用した他の実施形態について説明する。第6実施形態は、第3実施形態から回転制御クラッチC−4を取り除いた構成であるので、図14に第3実施形態に対応する部品に同一符号を付けて構成の詳細説明を省略する。この場合、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2は、回転制御ブレーキB−2によりサンギヤS2の回転が規制されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御ブレーキB−2が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0093】
減速用遊星歯車装置70は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、回転制御ブレーキB−2は、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。
【0094】
図15に示すように、各変速段における制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態は、図8に示す第3実施形態の作動状態において、回転制御クラッチC−4が作動状態の変速段2nd,4th,Rev2の欄を取り除いて上から順に変速段の番号を付け直したものと同じであり、各変速段における減速用遊星歯車装置70及び変速用遊星歯車装置17の作動も、各変速段におけるギヤ比を除いて第3実施形態の対応する変速段と同じであるので説明を省略する。各変速段におけるギヤ比については、減速用遊星歯車装置70のギヤ比λ2が0.556、変速用複式遊星歯車装置17の第1サンギヤS3、ロングピニオン34、キャリヤC3及びリングギヤR3からなる変速用第1遊星歯車機構53のギヤ比λ3が0.458、第2サンギヤS4、中間ピニオン33、ロングピニオン34、キャリヤC4及びリングギヤR4からなる変速用第2遊星歯車機構54のギヤ比λ4が0.375である場合について図15のギヤ比欄に示されている。
【0095】
第6実施形態の速度線図は図16に示すようになる。第6実施形態においても、第1要素としての第1サンギヤS3は第3制御クラッチC−3及び第1制御ブレーキB−3に連結され、第2要素としてのキャリヤC3,C4は第2制御クラッチC−2及び第2制御ブレーキB−4に連結され、第3要素としてのリングギヤR3,R4は出力軸18に連結され、第4要素としての第2サンギヤS4は第1制御クラッチC−1に連結されている。
【0096】
次に、サンギヤの回転を規制した単式の遊星歯車装置を減速用遊星歯車装置に使用した第7、第8実施形態を図17、図18に基づいて説明する。第7実施形態は、第4実施形態から第1回転制御クラッチC−4を取り除いた構成であるので、図17に第7実施形態に対応する部品に同一符号を付けて構成の詳細説明を省略する。この場合、減速回転出力部材55としての連結部材74は、回転制御クラッチC−5によりキャリヤC2に接続されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御クラッチC−5が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0097】
減速用遊星歯車装置72及び連結部材74は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、回転制御クラッチC−5は、減速回転出力部材55としての連結部材74を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。 また、各変速段における制御クラッチ及び制御ブレーキの作動状態は、回転制御ブレーキB−2に替えて回転制御クラッチC−5を作動させれば第6実施形態の場合と同一である。変速用複式遊星歯車装置17の速度線図は第6実施形態の場合と同一である。
【0098】
第8実施形態は、第5実施形態から第1回転制御クラッチC−4を取り除いた構成であるので、図18に第5実施形態に対応する部品に同一符号を付けて構成の詳細説明を省略する。この場合、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2は、リングギヤR2が回転制御クラッチC−5により入力軸15に接続されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御クラッチC−5が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0099】
減速用遊星歯車装置72は、入力軸15に連結され、入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、回転制御クラッチC−5は、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。 また、各変速段における制御クラッチ及び制御ブレーキの作動状態は、回転制御ブレーキB−2に替えて回転制御クラッチC−5を作動させれば第6実施形態の場合と同一である。変速用複式遊星歯車装置17の速度線図は第6実施形態の場合と同一である。
【0100】
次に、歯車減速装置49を減速用歯車列で構成した第9実施形態について説明する。第9実施形態は、変速用複式遊星歯車装置17、第1乃至第3制御クラッチC−1〜C−3、第1、第2制御ブレーキB−3,B−4及びワンウエイクラッチF−1等については、第1の実施形態と同じであるので、図19に同一符号を付けて説明を省略し、第1実施形態と異なる減速用歯車列75及び減速用歯車列75と変速用複式遊星歯車装置17との接続関係について説明する。自動変速機10のトランスミッションケース12に回転可能に軸承された入力軸76に流体トルクコンバータ11のタービン47が連結され、この入力軸76に大径、中径及び小径歯車77,78,79が固定されている。大径歯車77と噛合する同径の第1歯車80が変速用複式遊星歯車装置17の軸線21上に回転可能に支承され、中径、小径歯車78,79とそれぞれ噛合する第2、第3歯車81,82が軸線21上に回転可能に支承されている。これにより第1歯車80は入力軸76の回転と同一回転数の入力回転で回転し、第2歯車81は入力回転より回転数が小さい第1減速回転で回転し、第3歯車82は第1回転より回転数が小さい第2減速回転で回転する。
【0101】
83は軸線21上に回転可能に設けられた連結部材で、この連結部材83は、第1、第3制御クラッチC−1,C−3により第2、第1サンギヤS4,S3に係脱可能に接続され、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5により第2、第3歯車81,82に係脱可能に接続されるようになっている。これにより減速回転出力部材55としての連結部材83は、第1回転制御クラッチC−4により第2歯車に接続されて入力回転より回転数が小さい第1減速回転で回転される第1減速回転状態、第2回転制御クラッチC−5により第3歯車82に接続されて第1減速回転より回転数が小さい第2減速回転で回転される第2減速回転状態、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0102】
減速用歯車列75及び連結部材83は、入力軸76に連結され、入力軸76の回転より回転数が小さい第1減速回転及び第1減速回転より回転数が小さい第2減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5は、減速回転出力部材55としての連結部材74を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。また、各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態は、第1、第2回転制御ブレーキB−1,B−2に替えて第1、第2回転制御クラッチC−4,C−5を作動させれば第1実施形態の場合と同一である。変速用複式遊星歯車装置17の速度線図は第1実施形態の場合と同一である。
【0103】
第9実施形態では、減速用歯車列75を大、中、小径歯車77〜79及びこれらに夫々噛合する第1乃至第3歯車80〜82で構成しているが、図20に示すように、小径歯車79及び第3歯車82を取り除いてもよい。この第10実施形態では、第1歯車80は入力軸76の回転と同一回転数の入力回転で回転し、第2歯車81は入力回転より回転数が小さい減速回転で回転する。連結部材83は、第1、第2サンギヤS3,S4に第3、第1制御クラッチC−3,C−1により係脱可能に連結され、第2歯車81と回転制御クラッチC−5により係脱可能に接続される。これにより減速回転出力部材55としての連結部材83は、回転制御クラッチC−5により第2歯車81に接続されて入力軸76の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御クラッチC−5が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0104】
減速用歯車列75及び連結部材83は、入力軸76に連結され、入力軸76の回転と回転数が等しい入力回転、入力回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置49を構成し、回転制御クラッチC−5は、減速回転出力部材55としての連結部材83を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段50を構成する。 また、各変速段における制御クラッチ及び制御ブレーキの作動状態は、回転制御ブレーキB−2に替えて回転制御クラッチC−5を作動させれば第6実施形態の場合と同一である。変速用複式遊星歯車装置17の速度線図は第6実施形態の場合と同一である。
【0105】
次に、歯車減速装置49に第3の実施形態と同一の単式の遊星歯車装置を使用し、変速用複式遊星歯車装置17を上記実施形態と異なる複式遊星歯車装置で構成した他の実施形態について説明する。減速用遊星歯車装置70は、第3実施形態のものと同一であるので、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0106】
第11実施形態の変速用複式遊星歯車装置84は、図21に示すように、ダブルピニオン型の遊星歯車機構93及びシングルピニオン型の遊星歯車機構94のキャリヤC3とサンギヤS4とを連結し、リングギヤR3とキャリヤC4とを連結して構成されている。即ち、共通軸線13上に回転可能に支承されたサンギヤS3,S4、サンギヤS3に中間ピニオン85を介して噛合するピニオン86、ピニオン86及び中間ピニオン85を支承しサンギヤS4と連結されて共通軸線13上に回転可能に支承されたキャリヤC3、共通軸線13上に回転可能に支承されピニオン86と噛合するリングギヤR3、サンギヤS4に噛合するピニオン87、ピニオン87を支承しリングギヤR3に連結されて共通軸線13上に回転可能に支承されたキャリヤC4、共通軸線13上に回転可能に支承されピニオン87と噛合するリングギヤR4から構成されている。リングギヤR4に出力軸18が連結されている。サンギヤS4と連結されたキャリヤC3には、サンギヤS4及びキャリヤC3をトランスミッションケース12に選択的に接続して回転を規制する第1制御ブレーキB−3が連結され、リングギヤR3が連結されたキャリヤC4には、リングギヤR3及びキャリヤC4をトランスミッションケース12に選択的に接続して回転を規制する第2制御ブレーキB−4が連結されている。
【0107】
減速用遊星歯車装置70のキャリヤC2の回転を変速用複式遊星歯車装置84のサンギヤS3及びキャリヤC3に夫々選択的に伝達する第1、第3制御クラッチC−1,C−3と、入力軸15の回転をキャリヤC4に選択的に伝達する第2制御クラッチC−2が設けられている。そして、第3実施形態の場合と同様に、回転制御クラッチC-4が減速用遊星歯車装置70のキャリヤC2をリングギヤR2に選択的に接続し、回転制御ブレーキB−2がサンギヤS2の回転を選択的に規制するので、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2は、回転制御クラッチC−4によりリングギヤR2に接続されて入力軸15と同一回転数の入力回転で回転される入力回転状態、回転制御ブレーキB−2によりサンギヤS2の回転が規制されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御クラッチC−4、回転制御ブレーキB−2が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0108】
以上のように構成された第11実施形態では、第1、第2制御ブレーキB−3,B−4、第1乃至第3制御クラッチC−1〜C−3、回転制御クラッチC−4及び回転制御ブレーキB−2を選択的に作動することにより、前進9段、後退2段のギヤ比を成立することができる。第11実施形態の速度線図は図22に示すようになる。第11実施形態においては、第1要素としてのサンギヤS4及びキャリヤC3は第3制御クラッチC-3及び第1制御ブレーキB−3に連結され、第2要素としてのリングギヤR3及びキャリヤC4は第2制御クラッチC−2及び第2制御ブレーキB−4に連結され、第3要素としてのリングギヤR4は出力軸18に連結され、第4要素としてのサンギヤS3は第1制御クラッチC−1に連結されている。各変速段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態は図8に示す第3実施形態の場合と同一である。
【0109】
第12実施形態の変速用複式遊星歯車装置88は、図23に示すように、2組のダブルピニオン型の遊星歯車機構31,32のサンギヤS3,S4を連結し、リングギヤR3とキャリヤC4とを連結して構成されている。即ち、共通軸線13上に回転可能に支承されて互いに連結されたサンギヤS3,S4、サンギヤS3に中間ピニオン89を介して噛合するピニオン90、サンギヤS4に中間ピニオン91を介して噛合するピニオン92、中間ピニオン89及びピニオン90を支承して共通軸線13上に回転可能に支承されたキャリヤC3、中間ピニオン91及びピニオン92を支承しリングギヤR3と連結されて共通軸線13上に回転可能に支承されたキャリヤC4及び共通軸線13上に回転可能に支承されてピニオン92と噛合し出力軸18に連結されたリングギヤR4から構成されている。キャリヤC3には、キャリヤC3をトランスミッションケース12に選択的に接続して回転を規制する第1制御ブレーキB−3が連結され、キャリヤC4には、キャリヤC4をトランスミッションケース12に選択的に接続して回転を規制する第2制御ブレーキB−4が連結されている。減速用遊星歯車装置70のキャリヤC2の回転を変速用複式遊星歯車装置88のサンギヤS3,S4とキャリヤC3とに夫々選択的に伝達する第1、第3制御クラッチC−1,C−3と、入力軸15の回転を変速用複式遊星歯車装置88のキャリヤC4に選択的に伝達する第2制御クラッチC−2が設けられている。そして、第3実施形態の場合と同様に、回転制御クラッチC-4が減速用遊星歯車装置70のキャリヤC2をリングギヤR2に選択的に接続し、回転制御ブレーキB−2がサンギヤS2の回転を選択的に規制するので、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2は、回転制御クラッチC−4によりリングギヤR2に接続されて入力軸15と同一回転数の入力回転で回転される入力回転状態、回転制御ブレーキB−2によりサンギヤS2の回転が規制されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御クラッチC−4、回転制御ブレーキB−2が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0110】
第12実施形態の速度線図は図24に示すようになる。第12実施形態においては、第1要素としてのキャリヤC3は第3制御クラッチC−3及び第1制御ブレーキB−3に連結され、第2要素としてのリングギヤR3及びキャリヤC4は第2制御クラッチC−2及び第2制御ブレーキB−4に連結され、第3要素としてのリングギヤR4は出力軸18に連結され、第4要素としての2サンギヤS3,S4は第1クラッチC−1に連結されている。各変速段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態は図8に示す第3実施形態の場合と同一である。
【0111】
第13実施形態の変速用複式遊星歯車装置95は、図25に示すように、シングルピニオン型の遊星歯車機構98及びダブルピニオン型の遊星歯車機構99のサンギヤS3,S4、キャリヤC3,C4をそれぞれ連結、共通化して構成されている。即ち、共通軸線13上に回転可能に支承た共通のサンギヤS3,S4、共通軸線13上に回転可能に支承されてサンギヤS3,S4とロングピニオン96を介して噛合するリングギヤR3、共通軸線13上に回転可能に支承されてサンギヤS3,S4とロングピニオン96及び中間ピニオン97を介して噛合するリングギヤR4、ロングピニオン96及び中間ピニオン97を支承して共通軸線13上に回転可能に支承された共通のキャリヤC3,C4から構成されている。リングギヤR4に出力軸18が連結されている。リングギヤR3には、リングギヤR3をトランスミッションケース12に選択的に接続して回転を規制する第1制御ブレーキB−3が連結され、キャリヤC3,C4には、キャリヤC3,C4をトランスミッションケース12に選択的に接続して回転を規制する第2制御ブレーキB−4が連結されている。減速用遊星歯車装置70のキャリヤC2の回転を変速用複式遊星歯車装置95のサンギヤS3,S4とリングギヤR3とに夫々選択的に伝達する第1、第3制御クラッチC−1,C−3と、入力軸15の回転を変速用複式遊星歯車装置95のキャリヤC3,C4に選択的に伝達する第2制御クラッチC−2が設けられている。 そして、第3実施形態の場合と同様に、回転制御クラッチC-4が減速用遊星歯車装置70のキャリヤC2をリングギヤR2に選択的に接続し、回転制御ブレーキB−2がサンギヤS2の回転を選択的に規制するので、減速回転出力部材55としてのキャリヤC2は、回転制御クラッチC−4によりリングギヤR2に接続されて入力軸15と同一回転数の入力回転で回転される入力回転状態、回転制御ブレーキB−2によりサンギヤS2の回転が規制されて入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転で回転される減速回転状態、回転制御クラッチC−4、回転制御ブレーキB−2が不作動で回転を拘束されない自由回転状態との間で切り替えられる。
【0112】
第13実施形態の速度線図は図26に示すようになる。第13実施形態においては、第1要素としてのリングギヤR3は第3クラッチC−3及び第2制御ブレーキB−3に連結され、第2要素としてのキャリヤC3,C4は第2クラッチC−2及び第2制御ブレーキB−4に連結され、第3要素としてリングギヤR4は出力軸18に連結され、第4要素としてのサンギヤS3,S4は第1クラッチC−1に連結されている。各変速段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態は図8に示す第3実施形態の場合と同一である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動変速装置の第1実施形態を示すスケルトン図である。
【図2】 第1実施形態の各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図3】 第1実施形態の各変速段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図4】 第2実施形態を示すスケルトン図である。
【図5】 第2実施形態の各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図6】 第2実施形態の各変速段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図7】 第3実施形態を示すスケルトン図である。
【図8】 第3実施形態の各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図9】 第3実施形態の各変速段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図10】 減速用遊星歯車装置のサンギヤとキャリヤとの間に第1回転制御クラッチを連結することを示す図である。
【図11】 減速用遊星歯車装置のサンギヤとリングギヤとの間に第1回転制御クラッチを連結することを示す図である。
【図12】 第4実施形態を示すスケルトン図である。
【図13】 第5実施形態を示すスケルトン図である。
【図14】 第6実施形態を示すスケルトン図である。
【図15】 第6実施形態の各変速段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図16】 第6実施形態の各変速段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図17】 第7実施形態を示すスケルトン図である。
【図18】 第8実施形態を示すスケルトン図である。
【図19】 第9実施形態を示すスケルトン図である。
【図20】 第10実施形態を示すスケルトン図である。
【図21】 第11実施形態を示すスケルトン図である。
【図22】 第11実施形態の各変速段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図23】 第12実施形態を示すスケルトン図である。
【図24】 第12実施形態の各変速段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図25】 第13実施形態を示すスケルトン図である。
【図26】 第13実施形態の各変速段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【符号の説明】
10・・・自動変速機、11・・・流体トルクコンバータ、12・・・トランスミッションケース、13・・・共通軸線、15,76・・・入力軸、16,60・・・減速用複式遊星歯車装置、17,84,88,95・・・変速用複式遊星歯車装置、18・・・出力軸、23・・・小径ピニオン、24・・・大径ピニオン、25・・・段付ピニオン、31,32,54,93,99・・・ダブルピニオン型の遊星歯車機構、33,63・・・中間ピニオン、34,62・・・ロングピニオン、49・・・歯車減速装置、50・・・回転状態切替手段、53,94,98・・・シングルピニオン型の遊星歯車機構、70,72・・・減速用遊星歯車装置、55・・・減速回転出力部材、71・・・ピニオン、74,83・・・連結部材、75・・・減速用歯車列、84・・・連結部材、S1,S2,S3,S4・・・サンギヤ、C1,C2,C3,C4・・・キャリヤ、R1,R2,R3,R4・・・リングギヤ、C−1〜C−3・・・第1乃至第3制御クラッチ、C−4,C−5・・・回転制御クラッチ、B−1,B−2・・・回転制御ブレーキ、B−3,B−4・・・第1、第2制御ブレーキ、F1・・・ワンウエイクラッチ。
Claims (16)
- 入力軸と、該入力軸に連結され入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置と、速度線図においてギヤ比に対応した間隔で順次並べられた4個の要素に並び順にそれぞれ対応する第1、第2、第3及び第4要素を有する変速用複式遊星歯車装置と、前記減速回転出力部材を減速回転状態又は自由回転状態に切り替える回転状態切替手段と、前記減速回転出力部材と前記第4、第1要素とを夫々係脱可能に連結する第1及び第3制御クラッチと、前記入力軸と前記第2要素とを係脱可能に連結する第2制御クラッチと、前記第1及び第2要素の回転を選択的に規制する第1及び第2制御ブレーキと、前記第3要素に連結された出力軸とを備え、前記第1、第2及び第3制御クラッチを接続状態にし、前記第1及び第2制御ブレーキを解放状態にすると共に、前記回転状態切替手段により前記減速回転出力部材を自由回転状態にして、前記入力軸の回転を前記出力軸にギヤ比1で伝達する直結段を達成することを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置によって減速回転出力部材を減速回転で回転させ、自由回転状態では、減速回転出力部材を減速回転以外で回転することを許容することを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置によって減速回転を減速回転出力部材に生成することを許容し、自由回転状態では、歯車減速装置によって減速回転を減速回転出力部材に生成させないようにすることを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、前記回転状態切替手段は、減速回転状態では、歯車減速装置を介した入力軸と減速回転出力部材との間の動力伝達を許容し、自由回転状態では、歯車減速装置を介した入力軸と減速回転出力部材との間の動力伝達を遮断することを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、小径及び大径サンギヤ、該小径及び大径サンギヤと夫々噛合する大径及び小径ピニオンからなる段付ピニオンを支承するキャリヤ並びに前記入力軸に連結され前記大径ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用複式遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記小径及び大径サンギヤの回転を夫々選択的に規制する第1、第2回転制御ブレーキで前記回転状態切替手段を構成としたことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、サンギヤ、該サンギヤに噛合するロングピニオンと該ロングピニオンに噛合する中間ピニオンとを支承するキャリヤ、前記入力軸に連結され前記ロングピニオンに噛合する前段リングギヤ及び前記中間ピニオンに噛合する後段リングギヤを有する減速用複式遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記サンギヤ及び後段リングギヤの回転を夫々選択的に規制する第1、第2回転制御ブレーキで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、サンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する回転制御ブレーキと、前記サンギヤ、キャリヤ及びリングギヤのいずれか二つを係脱可能に接続する回転制御クラッチとで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置と、該減速用遊星歯車装置と同心に回転可能に設けられ前記リングギヤ又はキャリヤの回転が選択的に伝達される減速回転出力部材とで前記歯車減速装置を構成し、該減速回転出力部材を前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記リングギヤ及び前記キャリヤと前記減速回転出力部材とを係脱可能に夫々連結する第1、第2回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記減速用遊星歯車装置のキャリヤ及びリングギヤと前記入力軸とを係脱可能に夫々接続する第1、第2回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、サンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記歯車減速装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する回転制御ブレーキで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記入力軸に連結され前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置と、該減速用遊星歯車装置と同心に回転可能に設けられ前記キャリヤの回転が選択的に伝達される減速回転出力部材とで前記歯車減速装置を構成し、該減速回転出力部材を前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記キャリヤと前記減速回転出力部材とを係脱可能に連結する回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、回転を規制されたサンギヤ、該サンギヤと噛合するピニオンを支承するキャリヤ及び前記ピニオンと噛合するリングギヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを該減速用遊星歯車装置の減速回転出力部材として前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記減速用遊星歯車装置のリングギヤと前記入力軸とを係脱可能に接続する回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動変速機において、入力軸に固定された複数の歯車と、前記変速用複式遊星歯車装置と同心に回転可能に支承され前記複数の歯車と噛合して入力回転及び減速回転を生成する複数の歯車とからなる減速用歯車列と、前記変速用複式遊星歯車装置と同心に回転可能に設けられ前記減速回転が選択的に伝達される減速回転出力部材とで前記歯車減速装置を構成し、該減速回転出力部材を前記第1及び第3制御クラッチに連結し、前記減速回転出力部材を前記歯車列の減速回転を生成する歯車に係脱可能に連結する回転制御クラッチで前記回転状態切替手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の自動変速機において、前記変速用複式遊星歯車装置を構成する2組の遊星歯車機構の少なくとも一方をダブルピニオン型の遊星歯車機構とし、第3要素をリングギヤとしたことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の自動変速機において、第1及び第2サンギヤ、該第1サンギヤに直接噛合するとともに中間ピニオンを介して前記第2サンギヤに噛合するロングピニオン及び該中間ピニオンを支承するキャリヤ並びに前記ロングピニオンと噛合し前記出力軸に連結されたリングギヤにより前記変速用複式遊星歯車装置を構成し、前記第1要素を前記第1サンギヤ、前記第2要素をキャリヤ、前記第3要素をリングギヤ、前記第4要素を第2サンギヤとしたことを特徴とする自動変速機。
- 入力軸と、該入力軸に連結され入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置と、速度線図においてギヤ比に対応した間隔で順次並べられた4個の要素に並び順にそれぞれ対応する第1、第2、第3及び第4要素を有する変速用複式遊星歯車装置と、前記減速回転出力部材と前記第4、第1要素とを夫々係脱可能に連結する第1及び第3制御クラッチと、前記入力軸と前記第2要素とを係脱可能に連結する第2制御クラッチと、前記第1及び第2要素の回転を選択的に規制する第1及び第2制御ブレーキと、前記第3要素に連結された出力軸とを備え、前記歯車減速装置は、前記入力軸に連結された第5要素と、前記減速回転出力部材に連結された第6要素と、回転規制可能な第7要素とを備えた遊星歯車装置で構成され、前記第7要素の回転を選択的に規制する第3制御ブレーキをさらに備え、前記第1、第2及び第3制御クラッチを接続状態にし、前記第1及び第2制御ブレーキを解放状態にすると共に、前記第3制御ブレーキを不作動にして、前記入力軸の回転を前記出力軸にギヤ比1で伝達する直結段を達成することを特徴とする自動変速機。
Priority Applications (3)
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