以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、車両用自動変速機として好適に用いられる車両用多段変速機(以下、単に変速機と称する)14の構成を説明する骨子図である。この図1に示すように、本実施例の変速機14は、車体に取り付けられる非回転部材であるトランスミッションケース16内において共通の軸心上に順次配設されたロックアップクラッチ18付きのトルクコンバータ20、そのトルクコンバータ20に連結された入力回転部材である入力軸22、遊星歯車装置24を主体として構成される副変速部36、第1遊星歯車装置26、第2遊星歯車装置28、及び第3遊星歯車装置30を主体として構成される主変速部38、上記副変速部36の出力を主変速部38へ伝達するための中間出力部材32、及び出力回転部材である出力軸34を同心に備えて構成されている。
上記変速機14は、車両において縦置きされるFR用自動変速機や、横置きされるFF用自動変速機等として好適に用いられるものであり、原動機であるエンジン10と図示しない駆動輪との間に配設され、そのエンジン10の出力を変速して駆動輪に伝達する。上記トルクコンバータ20は、上記エンジン10のクランク軸12に作動的に連結され、そのエンジン10から出力される動力を上記入力軸22へ出力する。すなわち、上記トルクコンバータ20の出力側回転部材であるタービン軸に連結される上記入力軸22は、上記エンジン10により回転駆動されることになり、上記トルクコンバータ20のタービン軸も上記入力軸22と同様に入力回転部材に相当する。また、上記出力軸34は、例えば図示しない差動歯車装置等を介して左右一対の駆動輪を回転駆動する。なお、上記変速機14は、その軸心に関して対称的に構成されているため、図1に示す骨子図においてはその下側が省略されている。以下の説明に用いる骨子図においても同様である。
前記副変速部36を構成している遊星歯車装置24は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1と、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1と、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に指示するキャリヤCA1と、上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1とを、備えて構成されており、例えば「0.463」程度の所定のギヤ比ρ0を有している。このギヤ比ρ0は、上記サンギヤS1の歯数をZS1、リングギヤR1の歯数をZR1として、ρ0=ZS1/ZR1で表される値である。上記キャリヤCA1は、前記入力軸22に連結されている。また、上記サンギヤS1は、前記トランスミッションケース16に対して回転不能となるように一体的に設けられている。また、上記リングギヤR1は、前記中間出力部材32と一体的に設けられており、同様に中間出力部材に相当する。すなわち、前記副変速部36は、入力回転部材である上記入力軸22の回転を減速して前記中間出力部材32へ出力し、その中間出力部材32を介して前記主変速部38へ伝達する。
前記主変速部38を構成している第1遊星歯車装置26は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、同様に前記主変速部38を構成している第2遊星歯車装置28及び第3遊星歯車装置30は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置である。前記第1遊星歯車装置26は、サンギヤS2と、遊星歯車P2と、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に指示するキャリヤCA2と、上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2とを、備えて構成されており、例えば「0.459」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。また、前記第2遊星歯車装置28は、サンギヤS3と、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P3と、その遊星歯車P3を自転及び公転可能に指示するキャリヤCA3と、上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3とを、備えて構成されており、例えば「0.405」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。これら第1遊星歯車装置26および第2遊星歯車装置28は、キャリヤCA2及びCA3が共通の部材にて構成されていると共に、リングギヤR2及びR3が共通の部材にて構成されており、且つ第1遊星歯車装置26のピニオンギヤが第2遊星歯車装置28の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。また、前記第3遊星歯車装置30は、サンギヤS4と、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P4と、その遊星歯車P4を自転及び公転可能に指示するキャリヤCA4と、上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4とを、備えて構成されており、例えば「0.528」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。前記第1遊星歯車装置26のギヤ比ρ1は、上記サンギヤS2の歯数をZS2、リングギヤR2の歯数をZR2として、ρ1=ZS2/ZR2で表される値である。また、前記第2遊星歯車装置28のギヤ比ρ2は、上記サンギヤS3の歯数をZS3、リングギヤR3の歯数をZR3として、ρ2=ZS3/ZR3で表される値である。また、前記第3遊星歯車装置30のギヤ比ρ3は、上記サンギヤS4の歯数をZS4、リングギヤR4の歯数をZR4として、ρ3=ZS4/ZR4で表される値である。
前記主変速部38では、前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2によって第1回転要素RE1が構成されている。また、前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4が相互に連結されて第2回転要素RE2が構成されている。また、前記第1遊星歯車装置26のリングギヤR2、第2遊星歯車装置28のリングギヤR3、及び第3遊星歯車装置30のリングギヤR4が相互に連結されて第3回転要素RE3が構成されている。また、前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4によって第4回転要素RE4が構成されている。また、前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3によって第5回転要素RE5が構成されている。そして、前記第3回転要素RE3が出力回転部材である前記出力軸34に連結されて回転を出力する。
また、前記主変速部38は、前記中間出力部材32と上記第5回転要素RE5とを選択的に連結する第1クラッチC1と、入力回転部材である前記入力軸22と上記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチC2と、前記中間出力部材32と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチC3と、前記入力軸22と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチC4と、前記中間出力部材32と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第5クラッチC5と、上記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結する第1ブレーキB1と、上記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキB2とを、備えている。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2は、例えば、従来の車両用自動変速機において多用されている油圧式摩擦係合装置であり、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本乃至は2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキ等により構成され、それらが介装されている両側の部材を選択的に連結するための装置である。また、本実施例においては、上記第1クラッチC1が第1クラッチ要素に、第2クラッチC2が第2クラッチ要素に、第3クラッチC3が第3クラッチ要素に、第4クラッチC4が第5クラッチ要素に、第5クラッチC5が第4クラッチ要素に、第1ブレーキB1が第1ブレーキ要素に、第2ブレーキB2が第2ブレーキ要素にそれぞれ相当する。
図3は、前記変速機14を制御するための電子制御装置40に入力される信号及びその電子制御装置40から出力される信号を例示している。この電子制御装置40は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより前記変速機14における変速制御をはじめとする駆動制御を実行するものである。
上記電子制御装置40には、図示しない各センサやスイッチから、エンジン水温を示す信号、シフトポジションを表す信号、前記エンジン10の回転速度であるエンジン回転速度NEを表す信号、エアコンの作動を示すエアコン信号、前記出力軸34の回転速度に対応する車速信号、前記変速機14の作動油温を示すAT油温信号、サイドブレーキ操作を示す信号、フットブレーキ操作を示す信号、触媒温度を示す触媒温度信号、アクセルペダルの操作量を示すアクセル開度信号Acc、カム角信号、スノーモード設定を示すスノーモード設定信号、車両の前後加速度を示す車両加速度信号、図示しない第1電動機MG1の回転速度を表す信号等がそれぞれ供給されるようになっている。また、上記電子制御装置40からは、図示しない電子スロットル弁の開度を操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、前記エンジン10の点火時期を指令する点火信号、図示しない第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動を指令する指令信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、前記変速機14に備えられた油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するための電磁弁を作動させるATソレノイド指令信号、図示しない電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等がそれぞれ出力されるようになっている。
図2は、前記変速機14に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機14では、前記電子制御装置40の指令に従って、例えば図2に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第8速ギヤ段「8th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図2に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ1が最大値、例えば「4.597」である第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.724」である第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されることで、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.864」である第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されることで、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.464」である第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されることで、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.231」である第5速ギヤ段「5th」が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されることで、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」である第6速ギヤ段「6th」が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されると共に、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されることで、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.824」である第7速ギヤ段「7th」が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ8が最小値、例えば「0.685」である第8速ギヤ段「8th」が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γR1が「4.056」である第1後進速ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γR2が第1後進速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.176」である第2後進速ギヤ段「R2」が成立させられる。前記遊星歯車装置24のギヤ比ρ0、第1遊星歯車装置26のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置28のギヤ比ρ2、及び第3遊星歯車装置30のギヤ比ρ3は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図2の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機14では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.688」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.461」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.273」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.189」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.231」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.214」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.203」とされている。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第8速ギヤ段の変速比γ8との比であるギヤ比幅(=γ1/γ8)が「6.711」とされている。
図4は、前記変速機14において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図4の共線図は、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において縦線の間隔が相対的回転速度を示す二次元座標であり、4本の横線のうち最も下側の横線XZが回転速度零を示し、その上側の横線X1が前記副変速部36の出力すなわち前記中間出力部材32の回転速度を示し、その更に上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力回転部材である前記入力軸22の回転速度を示し、最も上側の横線X3が回転速度「2.0」すなわち前記入力軸22の2倍の回転速度を示している。この共線図の左側部分に示す副変速部36の3本の縦線Y1乃至Y3は、左から順に、前記遊星歯車装置24のサンギヤS1、リングギヤR1、キャリヤCA1をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記遊星歯車装置24のギヤ比ρ0に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す主変速部38の5本の縦線Y4乃至Y8は、左から順に、Y4が前記第1回転要素RE1に対応する前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2を、Y5が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4を、Y6が前記第3回転要素RE3に対応する相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のリングギヤR2、第2遊星歯車装置28のリングギヤR3、及び第3遊星歯車装置30のリングギヤR4を、Y7が前記第4回転要素RE4に対応する前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4を、Y8が前記第5回転要素RE5に対応する前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1遊星歯車装置26のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置28のギヤ比ρ2、及び第3遊星歯車装置30のギヤ比ρ3に応じて定められている。共線図の縦軸間においてはサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされることでキャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔とされる関係とされるが、図4の共線図においては副変速部36に関して縦線Y1と縦線Y3との間が「1」に対応する間隔に設定され、主変速部38に関して縦線Y4と縦線Y5との間が「1」に対応する間隔に設定されて他の縦軸間の間隔は上記関係に応じてそれぞれ定められている。
図4の共線図を参照して表現すれば、本実施例の変速機14は、前記副変速部36において、前記遊星歯車装置24を構成する3つの回転要素のうちの1つであるサンギヤS1は非回転部材である前記トランスミッションケース16に回転不能に固定されて回転速度「0」とされ、他の1つであるキャリヤCA1は入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、残りの1つであるリングギヤR1は前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、その中間出力部材32と同様に中間出力部材として機能する。このようにして、前記副変速部36は、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速回転させられる前記中間出力部材32へ出力するように構成されている。
また、前記主変速部38において、前記第1回転要素RE1(S2)は、前記第3クラッチC3を介して前記中間出力部材32に選択的に連結され、前記第4クラッチC4を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結されると共に、前記第1ブレーキB1を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に連結されるように構成されている。また、前記第2回転要素RE2(CA2、CA3、CA4)は、前記第2クラッチC2を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結されると共に、前記第2ブレーキB2を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に連結されるように構成されている。また、前記第3回転要素RE3(R2、R3、R4)は、出力回転部材である前記出力軸34に連結されるように構成されている。また、前記第4回転要素RE4(S4)は、前記第5クラッチC5を介して前記中間出力部材32に選択的に連結されるように構成されている。また、前記第5回転要素RE5(S3)は、前記第1クラッチC1を介して前記中間出力部材32に選択的に連結されるように構成されている。
図4の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(1st)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(2nd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、横軸X1が縦軸Y6と交差する点(3rd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y4及び横軸X2の交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(4th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸X2の交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(5th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、横軸X2が縦軸Y6と交差する点(6th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、縦軸Y4及び横軸X1の交点と縦軸Y5及び横軸X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(7th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸XZの交点と縦軸Y5及び横軸X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(8th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸X1の交点と縦軸Y5及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(Rev1)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸X2の交点と縦軸Y5及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(Rev2)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
図5は、前記変速機14に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係の他の一例を示す係合作動表である。前記変速機14では、前記電子制御装置40の指令に従って、前述した図2に示す関係に代えてこの図5に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第8速ギヤ段「8th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図5に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ1が最大値、例えば「3.531」である第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。
また、前記第5クラッチC5及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.389」である第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。
図5に示す係合作動表において、第3速ギヤ段「3rd」乃至第8速ギヤ段「8th」、後進第1速ギヤ段「R1」、及び後進第2速ギヤ段「R2」を成立させるための関係については、図2を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図5の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機14では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.478」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.282」とされている。また、第1速ギヤ段の変速機γ1と第8速ギヤ段の変速比γ8との比であるギヤ比幅(=γ1/γ8)が「5.155」とされている。
図6は、前記変速機14において、図5に示す係合作動表に対応してギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図6の共線図は、前述した図4と同様に、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、図中における縦線及び横線が示すものは、図4の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図6の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y7及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(1st)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸XZの交点と縦軸Y7及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(2nd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
図6の共線図において、第3速ギヤ段「3rd」乃至第8速ギヤ段「8th」、後進第1速ギヤ段「R1」、及び後進第2速ギヤ段「R2」の関係は、前述した図4の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図7は、前記変速機14に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係の更に別の一例を示す係合作動表である。前記変速機14では、前記電子制御装置40の指令に従って、前述した図2或いは図5に示す関係に代えてこの図7に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第8速ギヤ段「8th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図7に示すように、前記第3クラッチC3及び第5クラッチC5の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されることで、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.864」である第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第5クラッチC5の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されることで、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.566」である第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。
図7に示す係合作動表において、第1速ギヤ段「1st」及び第2速ギヤ段「2nd」を成立させるための関係については、図5を用いて前述したものと同様であり、第5速ギヤ段「5th」乃至第8速ギヤ段「8th」、後進第1速ギヤ段「R1」、及び後進第2速ギヤ段「R2」を成立させるための関係については、図2を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図7の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機14では、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.282」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.190」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.272」とされている。
図8は、前記変速機14において、図7に示す係合作動表に対応してギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図8の共線図は、前述した図4及び図6と同様に、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、図中における縦線及び横線が示すものは、図4及び図6の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図8の共線図において、第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、横軸X1が縦軸Y6と交差する点(3rd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、縦軸Y4及び横軸X2の交点と縦軸Y7及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(4th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
図8の共線図において、第1速ギヤ段「1st」及び第2速ギヤ段「2nd」の関係は、前述した図6の共線図と等しく、第5速ギヤ段「5th」乃至第8速ギヤ段「8th」、後進第1速ギヤ段「R1」、及び後進第2速ギヤ段「R2」の関係は、前述した図4の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図9は、前記変速機14に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係の更に別の一例を示す係合作動表である。前記変速機14では、前記電子制御装置40の指令に従って、前述した図2、図5、或いは図7に示す関係に代えてこの図9に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第8速ギヤ段「8th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図9に示すように、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されることで、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.324」である第5速ギヤ段「5th」が成立させられる。
図9に示す係合作動表において、第1速ギヤ段「1st」及び第2速ギヤ段「2nd」を成立させるための関係については、図5を用いて前述したものと同様であり、第3速ギヤ段「3rd」及び第4速ギヤ段「4th」を成立させるための関係については、図7を用いて前述したものと同様であり、第6速ギヤ段「6th」乃至第8速ギヤ段「8th」、後進第1速ギヤ段「R1」、及び後進第2速ギヤ段「R2」を成立させるための関係については、図2を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図9の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機14では、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.183」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.324」とされている。
図10は、前記変速機14において、図9に示す係合作動表に対応してギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図10の共線図は、前述した図4、図6、及び図8と同様に、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、図中における縦線及び横線が示すものは、図4、図6、及び図8の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図8の共線図において、第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、縦軸Y5及び横軸X2の交点と縦軸Y7及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(5th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
図10の共線図において、第1速ギヤ段「1st」及び第2速ギヤ段「2nd」の関係は、前述した図6の共線図と等しく、第3速ギヤ段「3rd」及び第4速ギヤ段「4th」の関係は、前述した図8の共線図と等しく、第6速ギヤ段「6th」乃至第8速ギヤ段「8th」、後進第1速ギヤ段「R1」、及び後進第2速ギヤ段「R2」の関係は、前述した図4の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
ここで、図2及び図9の係合作動表を対比して参照すると、第1速ギヤ段「1st」乃至第5速ギヤ段「5th」を成立させるための関係において、図2では前記第1クラッチC1を係合させ且つ前記第5クラッチC5を解放させた状態でそれらの変速段が成立させられており、図9では前記第1クラッチC1を解放させ且つ前記第5クラッチC5を係合させた状態でそれらの変速段が成立させられている。すなわち、前記第1クラッチC1と第5クラッチC5とが代替的に用いられていることが分かる。このように、前記変速機14では、所定の変速段を成立させるに際して、前記第1クラッチC1を係合させ且つ前記第5クラッチC5を解放させた状態でその変速段を成立させる第1の態様及び前記第1クラッチC1を解放させ且つ前記第5クラッチC5を係合させた状態で前記変速段を成立させる第2の態様の何れかを選択して変速制御を行うことができる。前記第1クラッチC1を解放させ且つ前記第5クラッチC5を係合させた状態でギヤ段を成立させることにより、例えば第1速ギヤ段「1st」等の低速ギヤ段では、前記第1クラッチC1を係合させ且つ前記第5クラッチC5を解放させた状態でその変速段を成立させる場合に比べて変速比が小さくなる。これにより、変速比、変速比ステップ、トータル変速比幅等の設定自由度を向上させられることに加え、リアラビニヨすなわち前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3に入力されるトルクを比較的小さく抑えることができる。例えば、ノーマルパターンの場合、アクセル開度が比較的低い場合、車重が比較的軽い場合、或いは非牽引走行時にクロスギヤ比すなわち前記第1クラッチC1を解放させ且つ前記第5クラッチC5を係合させた状態で前記変速段を成立させる第2の態様を選択し、スポーツモード等の場合、アクセル開度が比較的高い場合、車重が比較的重い場合、或いは牽引走行時にワイドギヤ比すなわち前記第1クラッチC1を係合させ且つ前記第5クラッチC5を解放させた状態でその変速段を成立させる第1の態様を選択することで、運転者を満足させる好適な走行を実現できる。
このように、本実施例によれば、入力回転部材である前記入力軸22の回転を減速して伝達する中間出力部材32と、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置28及び第3遊星歯車装置30とを、有し、前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2によって第1回転要素RE1が構成され、前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4が相互に連結されて第2回転要素RE2が構成され、前記第1遊星歯車装置26のリングギヤR2、第2遊星歯車装置28のリングギヤR3、及び第3遊星歯車装置30のリングギヤR4が相互に連結されて第3回転要素RE3が構成され、前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4によって第4回転要素RE4が構成され、前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3によって第5回転要素RE5が構成されると共に、前記第3回転要素RE3が出力回転部材である前記出力軸34に連結されて回転を出力する主変速部38と、前記中間出力部材32と前記第5回転要素RE2とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と前記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記中間出力部材32と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記中間出力部材32と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第5クラッチC5と、前記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、前記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、有することから、製造コストや搭載性等に何ら弊害を発生させることなく、変速比、変速比ステップ、トータル変速比幅等の設定自由度を向上させることができる。また、前記第3遊星歯車装置30のギヤ比を調整することで、前記第4回転要素RE4と第5回転要素RE5との相対回転を調整できるため、前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3にかかるトルクが大きくなるのを抑制することができる。
また、前記変速機14は、入力回転部材である前記入力軸22と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第4クラッチC4を有するものであるため、前記変速機14によって成立させられる変速段を更に多くすることができる。
また、所定の変速段を成立させるに際して、前記第1クラッチC1を係合させ且つ前記第5クラッチC5を解放させた状態でその変速段を成立させる第1の態様及び前記第1クラッチC1を解放させ且つ前記第5クラッチC5を係合させた状態で前記変速段を成立させる第2の態様の何れかを選択して変速制御を行うものであるため、運転者の好みを反映した満足度の高い変速制御を行うことができる。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、前述した実施例と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図11は、本発明の他の実施例である変速機42の構成を説明する骨子図である。この図11に示す変速機42は、第5クラッチ要素である第4クラッチC4が設けられていない点、及び各遊星歯車装置のギヤ比が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同じ構成であり、前述した実施例と同様の効果が得られる。
図11に示す変速機42において、前記遊星歯車装置24は、例えば「0.427」程度の所定のギヤ比ρ0を有している。また、前記第1遊星歯車装置26は、例えば「0.541」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。また、前記第2遊星歯車装置28は、例えば「0.392」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。また、前記第3遊星歯車装置30は、例えば「0.433」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。
以上のように構成された変速機42では、例えば、図12に示すように、前記電子制御装置40の指令に従って、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第7速ギヤ段「7th」の何れか、或いは後進ギヤ段「R1」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図12に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ1が最大値、例えば「4.452」である第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.695」である第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されることで、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.745」である第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第5回転要素RE5である前記第2遊星歯車装置28のサンギヤS3との間が連結されると共に、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されることで、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.201」である第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されることで、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」である第5速ギヤ段「5th」が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されると共に、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されることで、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.813」である第6速ギヤ段「6th」が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ7が最小値、例えば「0.649」である第7速ギヤ段「7th」が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γR1が「3.228」である後進ギヤ段「R1」が成立させられる。前記遊星歯車装置24のギヤ比ρ0、第1遊星歯車装置26のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置28のギヤ比ρ2、及び第3遊星歯車装置30のギヤ比ρ3は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図13は、前記変速機42において、図12に示す係合作動表に対応してギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図13の共線図は、前述した図4等と同様に、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、図中における縦線及び横線が示すものは、図4等の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図13の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(1st)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(2nd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、横軸X1が縦軸Y6と交差する点(3rd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第5回転要素RE5は前記第1クラッチC1の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸X2の交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(4th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、横軸X2が縦軸Y6と交差する点(5th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、縦軸Y4及び横軸X1の交点と縦軸Y5及び横軸X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(6th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸XZの交点と縦軸Y5及び横軸X2の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(7th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
後進ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸X1の交点と縦軸Y5及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(Rev1)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
図14は、前記変速機42に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係の他の一例を示す係合作動表である。前記変速機42では、前記電子制御装置40の指令に従って、前述した図12に示す関係に代えてこの図14に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第7速ギヤ段「7th」の何れか、或いは後進ギヤ段「R1」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図14に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ1が最大値、例えば「4.035」である第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。
また、前記第5クラッチC5及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2と、非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることで、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.548」である第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。
図14に示す係合作動表において、第3速ギヤ段「3rd」乃至第7速ギヤ段「7th」、及び後進ギヤ段「R1」を成立させるための関係については、図12を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図14の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機42では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.584」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.460」とされている。
図15は、前記変速機42において、図14に示す係合作動表に対応してギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図15の共線図は、前述した図13と同様に、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、図中における縦線及び横線が示すものは、図13の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図15の共線図において、第1速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y7及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(1st)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y4及び横軸XZの交点と縦軸Y7及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(2nd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
図15の共線図において、第3速ギヤ段「3rd」乃至第7速ギヤ段「7th」、及び後進ギヤ段「R1」の関係は、前述した図13の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図16は、前記変速機42に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係の更に別の一例を示す係合作動表である。前記変速機42では、前記電子制御装置40の指令に従って、前述した図12或いは図14に示す関係に代えてこの図16に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第7速ギヤ段「7th」の何れか、或いは後進ギヤ段「R1」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図16に示すように、前記第3クラッチC3及び第5クラッチC5の係合により、相互に連結された前記遊星歯車装置24のリングギヤR1及び中間出力部材32と、前記第1回転要素RE1である前記第1遊星歯車装置26のサンギヤS2との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されることで、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.745」である第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、入力回転部材である前記入力軸22と、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1遊星歯車装置26のキャリヤCA2、第2遊星歯車装置28のキャリヤCA3、及び第3遊星歯車装置30のキャリヤCA4との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4と、前記中間出力部材32との間が連結されることで、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.226」である第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。
図16に示す係合作動表において、第1速ギヤ段「1st」及び第2速ギヤ段「2nd」を成立させるための関係については、図14を用いて前述したものと同様であり、第5速ギヤ段「5th」乃至第7速ギヤ段「7th」、及び後進ギヤ段「R1」を成立させるための関係については、図12を用いて前述したものと同様であるため、その説明を省略する。また、図16の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機42では、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.460」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.423」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.226」とされている。
図17は、前記変速機42において、図16に示す係合作動表に対応してギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図17の共線図は、前述した図13及び図15と同様に、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、図中における縦線及び横線が示すものは、図13及び図15の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
図17の共線図において、第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされ、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、横軸X1が縦軸Y6と交差する点(3rd)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4である前記第3遊星歯車装置30のサンギヤS4は前記第5クラッチC5の係合により前記中間出力部材32に連結されてその回転速度「Nx」とされるので、縦軸Y5及び横軸X2の交点と縦軸Y7及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y6と交差する点(4th)により、前記出力軸34の回転速度が示される。
図17の共線図において、第1速ギヤ段「1st」及び第2速ギヤ段「2nd」の関係は、前述した図15の共線図と等しく、第5速ギヤ段「5th」乃至第7速ギヤ段「7th」、及び後進ギヤ段「R1」の関係は、前述した図13の共線図と等しいことから、それらの説明は省略する。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例の変速機14、42では、第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段、後進第1速ギヤ段、及び後進第2速ギヤ段というように、複数の変速段が成立させられるものであったが、それらの変速段のうち任意の変速段を用いて変速が実行されるものであってもよい。例えば、第1速ギヤ段乃至第7速ギヤ段或いは第2速ギヤ段乃至第8速ギヤ段を用いることで前進7速の変速が実現される。また、第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のうち何れか6つの変速段を用いることで前進6速の変速が実現される。また、後進第1ギヤ段及び後進第2ギヤ段のうち何れか一方を後進ギヤ段として用いる態様も当然に考えられる。
また、前述の実施例の変速機14、42では、前記エンジン10とトルクコンバータ20とはクランク軸12を介して直結されていたが、例えば、所定のギヤやベルト等を介して作動的に連結されたものであってもよく、更には必ずしも共通の軸心上に配置されなくてもよい。また、原動機として電動モータ等を備えたものであってもよい。
また、前述の実施例の変速機14、42において、前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のうちの何れかには、一方向クラッチが直列又は並列に設けられてもよい。このようにすれば、変速制御が容易となるという利点がある。また、前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のうちの何れかが一方向クラッチに置換されてもよい。このようにしても、一応の変速が実現できる。
また、前述の実施例では、前記エンジン10と入力軸22との間に流体伝動装置としてロックアップクラッチ18付きのトルクコンバータ20が備えられていたが、このロックアップクラッチ18は必ずしも設けられていなくてもよい。また、前記トルクコンバータ20の代替として、フルードカップリング、磁粉式電磁クラッチ、多板式或いは単板式の油圧クラッチが設けられていてもよい。
また、前述の実施例の共線図では、縦線Y1乃至Y8が左から右へ向かって順次配列されていたが、右から左へ向かって順次配列されるものでも構わない。また、回転速度「0」に対応する横線XZの上側に回転速度「1」に対応する横線X2が配置されていたが、横線XZの下側に配置されていてもよい。
また、前述の実施例では、係合要素として前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のように油圧式摩擦係合装置が設けられていたが、電磁クラッチや磁粉式クラッチ等の電磁式係合装置を用いたものであってもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。