JP4852612B2 - 倍音生成装置及び倍音生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、倍音生成装置及び倍音生成方法に関するものである。
CD(コンパクトディスク)のサンプリングフォーマットは、サンプリング周波数が44.1kHzとなっているので、CDに記録されている音楽信号は、人間の可聴帯域(20〜20kHz)を越えるような高音域をカットしている。また、MP3やWMAといった圧縮された音楽信号は、ファイルサイズを縮小するため人間の耳に聞こえにくいとする高音域をカットしている。このためCDに記録されている音や圧縮された音は元の音に比べて音質が劣化してしまうという問題があった。そこで、上記音楽信号から倍音を生成して失われた高音域を復活させる倍音発生器が提案されている。
例えば、特許文献1には、音楽信号の偶数次倍音と奇数次倍音とを別々に生成して、偶数次倍音と奇数次倍音とのバランスを制御できる倍音付加装置が記載されている。上記偶数次倍音とは、音楽信号の周波数に対して偶数倍、即ち2、4、6、8…2n倍(nは整数)となる周波数成分を含む倍音である。一方、奇数次倍音とは、音楽信号の周波数に対して奇数倍、即ち3、5、7、9…2(n+1)倍(nは整数)となる周波数成分を含む倍音である。また、特許文献2には、全波整流回路を用いて整数倍の倍音を生成する音響信号処理装置が記載されている。何れの倍音発生器も、音楽信号の周波数に対して整数倍の倍音を生成している。
特開平8−95567号公報 特開2004−101797号公報
しかしながら、倍音は音楽信号の周波数に対して必ずしも整数倍である必要はない。電子楽器による音質は自然楽器と比べてしばしば「人工的である」と言われる。これは、自然楽器の音に含まれる倍音は少なからず非整数倍の倍音が含まれるため、電子楽器の整数倍のみの倍音からなる音楽信号では音質に不自然感が生じるためである。
そこで、本発明者は、音楽信号から奇数倍の周波数に対して前後にずれた非整数倍の周波数成分を含んだ倍音信号を生成する奇数次倍音生成装置を提案した(特願2006−93092)。しかしながら、この奇数次倍音生成装置では、奇数倍の周波数からずれた倍音しか得ることができず、偶数倍の周波数に対して前後にずれた非整数倍の周波数成分を得ることができないという問題があった。
また、音楽信号から偶数倍の周波数に対して前後にずれた非整数倍の周波数成分を含んだ倍音信号を生成する偶数次倍音生成装置を用いて、奇数次倍音生成装置と偶数次倍音生成装置とが生成したそれぞれの倍音を加算することを試みてみたが、上記偶数次倍音生成装置はいまだ確立されていない。たとえ確立されていたとしても、奇数次倍音生成装置と偶数次倍音生成装置との両装置に非整数倍の周波数成分を発生させる構成を設ける必要があり、構成が複雑となる。また、奇数次倍音生成装置が生成する奇数倍の周波数に対する前後のズレ量と偶数次倍音生成装置が生成する偶数倍の周波数に対する前後のズレ量とを同じ程度に調整することは非常に難しい。
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、例えば、簡単な構成で、奇数倍及び偶数倍の周波数から前後にずれた非整数倍の周波数成分を得ることができる倍音生成装置及び倍音生成方法を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、音楽信号の倍音を生成する倍音生成装置において、前記音楽信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の奇数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第一倍音信号を生成する第一倍音生成手段と、前記第一倍音生成手段によって生成された第一倍音信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の偶数倍の周波数から前記所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を生成する第二倍音生成手段と、を備え、前記第一倍音生成手段が、前記音楽信号のデジタル信号処理を行い該デジタル信号処理可能な信号レベルの最大値よりも大きい信号レベルが発生すると当該信号レベルを前記最大値に抑制するデジタル信号処理装置から構成され、前記第一倍音生成手段が、前記音楽信号の信号レベルに第一補正係数を乗じる第一補正係数乗算手段と、前記第一補正係数を乗じた信号レベルにさらに第二補正係数を乗じる第二補正係数乗算手段と、前記第一補正係数を乗じた信号レベルと予め定めた目標値を前記第二補正係数で除した値との差が0になるように前記第一補正係数を補正することにより、前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルが前記最大値を越えるように前記第一補正係数を補正する係数補正手段と、前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルに{1/(前記第一補正係数×前記第二補正係数)}を乗じてレベル補正を行って前記第一倍音信号を生成する第二レベル補正手段と、を有することを特徴とする倍音生成装置に存する。
請求項4記載の発明は、音楽信号の倍音を生成する倍音生成方法において、前記音楽信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の奇数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第一倍音信号を生成する工程と、前記第一倍音信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の偶数倍の周波数から前記所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を生成する工程と、を順次行い、前記第一倍音信号を生成する工程において、前記音楽信号のデジタル信号処理を行い該デジタル信号処理可能な信号レベルの最大値よりも大きい信号レベルが発生すると当該信号レベルを前記最大値に抑制するデジタル信号処理装置が前記音楽信号の信号レベルに第一補正係数を乗じる工程と、前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数を乗じた信号レベルにさらに第二補正係数を乗じる工程と、前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数を乗じた信号レベルと予め定めた目標値を前記第二補正係数で除した値との差が0になるように前記第一補正係数を補正することにより、前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルが前記最大値を越えるように前記第一補正係数を補正する工程と、前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルに{1/(前記第一補正係数×前記第二補正係数)}を乗じてレベル補正を行って前記第一倍音信号を生成する工程と、を行うことを特徴とする倍音生成方法に存する。
本発明に係る倍音生成装置の基本構成の一例を示す構成図である。 図1に示す第一倍音生成部の一例を示す構成図である。 図1に示す第一倍音生成部の一例を示す構成図である。 本発明に係る倍音生成装置を組み込んだ再生装置の一実施の形態を示すブロック図である。 図4に示す再生装置を構成するDSPの構成を示すブロック図である。 (A)は第一倍音生成部から生成された第一倍音信号の周波数特性を示し、(B)は第二フィルタ部から出力される第一倍音信号の周波数特性を示し、(C)は第二倍音信号の周波数特性を示し、(D)は第一倍音信号、第二倍音信号を加算した音楽信号の周波数特性を示すグラフである。 図5に示す第一倍音生成部の詳細な構成を示すブロック図である。 (A)は第一レベル補正部によるレベル補正が行われる前の音楽信号の信号レベルであり、(B)は第一レベル補正部によるレベル補正が行われた後の音楽信号の信号レベルであり、(C)は第二レベル補正部によりレベル補正されて生成された第一倍音信号の信号レベルを示すタイムチャートである。 (A)及び(B)はそれぞれ第一倍音信号を分解して得られた波形のタイムチャートである。 第一倍音信号を全波整流して得た第二倍音信号の信号レベルを示すタイムチャートである。 (A)及び(B)はそれぞれ第二倍音信号を分解して得られた波形のタイムチャートである。
以下、本発明に係る倍音生成装置の一最良の形態を、図1〜図3の図面を参照して説明する。なお、図1〜図3は本発明に係る倍音生成装置の基本構成の一例を示す構成図である。
図1〜図3において、倍音生成装置は、音楽信号の倍音を生成する倍音生成装置において、音楽信号に基づいて、音楽信号の周波数の奇数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第一倍音信号を生成する第一倍音生成部1と、第一倍音生成部1によって生成された第一倍音信号に基づいて、音楽信号の周波数の偶数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を生成する第二倍音生成部2と、を備え、第一倍音生成部1が、音楽信号のデジタル信号処理を行い該デジタル信号処理可能な信号レベルの最大値よりも大きい信号レベルが発生すると当該信号レベルを最大値に抑制するデジタル信号処理装置から構成され、第一倍音生成部1が、音楽信号の信号レベルに第一補正係数を乗じる第一補正係数乗算部12Aと、第一補正係数を乗じた信号レベルにさらに第二補正係数を乗じる第二補正係数乗算部12Bと、第一補正係数を乗じた信号レベルと予め定めた目標値を第二補正係数で除した値との差が0になるように第一補正係数を補正することにより、第一補正係数及び第二補正係数を乗じた音楽信号の信号レベルが最大値を越えるように第一補正係数を補正する係数補正部13と、第一補正係数及び第二補正係数を乗じた音楽信号の信号レベルに{1/(第一補正係数×第二補正係数)}を乗じてレベル補正を行って第一倍音信号を生成する第二レベル補正部14と、を有する。
これによれば、第二倍音生成部2が非整数倍の周波数成分を含んだ第一倍音信号に基づいて偶数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号を生成することにより、音楽信号の偶数倍の周波数成分から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を得ている。従って、第一倍音生成部1だけに非整数倍の周波数成分を発生させる構成を設けておけばよく、第一倍音生成部1と第二倍音生成部2との両者に非整数倍の周波数成分を発生させる構成を設ける必要がなく、簡単な構成で奇数倍及び偶数倍の周波数から前後にずれた非整数倍の周波数成分を得ることができる。しかも、第一倍音信号の奇数倍の周波数に対するズレ量と第二倍音信号の偶数倍の周波数に対するズレ量とを同じにすることができる。
また、係数補正部13によって補正係数が変動するため、その変動周波数に応じた信号を第一倍音信号に乗算できる。このため、奇数倍の周波数から変動周波数(所定周波数)前後にずれた非整数倍の周波数成分を生成することができる。また、小信号レベルの音楽信号であっても第一補正係数乗算部12A及び第二補正係数乗算部12Bのレベル補正により信号レベルが最大値を越えるため、確実に音楽信号の信号レベルを抑制して倍音を発生させることができる。即ち、小信号レベルの音楽信号であっても確実に倍音を生成することができる。しかも、デジタル信号処理装置をオーバーフローさせて倍音を生成することができるため、デジタル信号処理装置に非線形関数に従って演算処理などを行わせなくても倍音を生成することができ、少ない演算処理で倍音を生成することができる。
また、係数補正部13が、信号レベルが目標値よりも小さい(目標値/第二補正係数)になるように第一補正係数を補正する。このため、目標値を最大値に近い値に設定しても、信号レベルに第一補正係数を乗じた時点で信号レベルが最大値を越えないようにすることができ、係数補正部13がデジタル信号処理装置のオーバーフローの影響を受けることなく第一補正係数の補正を行うことができる。
また、倍音生成装置は、音楽信号に第一倍音信号及び第二倍音信号の両信号を加算する加算部(加算手段)4を備えていてもよい。
これによれば、音楽信号に奇数倍及び偶数倍の周波数から前後にずれた非整数倍の周波数成分を加算することができる。
また、倍音生成装置は、第二倍音生成部2が、第一倍音信号を全波整流する全波整流部21から構成されていてもよい。
これによれば、全波整流部21を用いた簡単な構成で第二倍音信号を生成することができる。
また、本発明の一実施の形態に係る倍音生成方法は、音楽信号の倍音を生成する倍音生成方法において、前記音楽信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の奇数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第一倍音信号を生成する工程と、前記第一倍音信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の偶数倍の周波数から前記所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を生成する工程と、を順次行い、前記第一倍音信号を生成する工程において、前記音楽信号のデジタル信号処理を行い該デジタル信号処理可能な信号レベルの最大値よりも大きい信号レベルが発生すると当該信号レベルを前記最大値に抑制するデジタル信号処理装置が前記音楽信号の信号レベルに第一補正係数を乗じる工程と、前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数を乗じた信号レベルにさらに第二補正係数を乗じる工程と、前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数を乗じた信号レベルと予め定めた目標値を前記第二補正係数で除した値との差が0になるように前記第一補正係数を補正することにより、前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルが前記最大値を越えるように前記第一補正係数を補正する工程と、前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルに{1/(前記第一補正係数×前記第二補正係数)}を乗じてレベル補正を行って前記第一倍音信号を生成する工程と、を行う。
これによれば、非整数倍の周波数成分を含んだ第一倍音信号に基づいて偶数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号を生成することにより、音楽信号の偶数倍の周波数成分から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を得ている。従って、第一倍音信号を生成する装置だけに非整数倍の周波数成分を発生させる構成を設けておけばよく、第一倍音生信号、第二倍音信号それぞれを生成する装置の両方に非整数倍の周波数成分を発生させる構成を設ける必要がなく、簡単な構成で奇数倍及び偶数倍の周波数から前後にずれた非整数倍の周波数成分を得ることができる。しかも、第一倍音信号の奇数倍の周波数に対するズレ量と第二倍音信号の偶数倍の周波数に対するズレ量とを同じにすることができる。
また、補正係数が変動するため、その変動周波数に応じた信号を第一倍音信号に乗算できる。このため、奇数倍の周波数から変動周波数(所定周波数)前後にずれた非整数倍の周波数成分を生成することができる。また、小信号レベルの音楽信号であってもデジタル信号処理装置のレベル補正により信号レベルが最大値を越えるため、確実に音楽信号の信号レベルを抑制して倍音を発生させることができる。即ち、小信号レベルの音楽信号であっても確実に倍音を生成することができる。しかも、デジタル信号処理装置をオーバーフローさせて倍音を生成することができるため、デジタル信号処理装置に非線形関数に従って演算処理などを行わせなくても倍音を生成することができ、少ない演算処理で倍音を生成することができる。
また、デジタル信号処理装置によって信号レベルが目標値よりも小さい(目標値/第二補正係数)になるように第一補正係数を補正する。このため、目標値を最大値に近い値に設定しても、信号レベルに第一補正係数を乗じた時点で信号レベルが最大値を越えないようにすることができ、デジタル信号処理装置のオーバーフローの影響を受けることなく第一補正係数の補正を行うことができる。
次に、上述した倍音生成装置を音楽再生装置に組み込む場合の実施例を以下説明する。なお、図4は倍音生成装置及びデジタル信号処理装置を組み込んだ音楽再生装置の構成の一例を示す構成図である。
この音楽再生装置は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)、ハードディスク(Hard Disk)などの記録媒体に記録されているデジタルの音楽信号をスピーカによって再生可能な信号に処理する。この音楽再生装置100には、処理した音楽情報を再生する出力部200が接続されている。
出力部200は、音楽再生装置100から出力される音楽信号を再生出力する。この出力部200は、デジタル/アナログ(D/A)変換器210と、アンプ220と、スピーカ230とを備えている。D/A変換器210は、音楽再生装置100に接続され、音楽再生装置100から出力されるデジタルの音楽信号をアナログに変換する。そして、D/A変換器210は、アナログに変換した音楽信号をアンプ220へ出力する。
アンプ220は、D/A変換器210に接続されているとともに、スピーカ230に接続されている。このアンプ220は、D/A変換器210から出力されるアナログの音楽信号を増幅してスピーカ230から出力させる。
音楽再生装置100は、上述した記憶媒体から読み取ったデジタルの音楽信号が入力されるDIR(Digital Interface Receiver:デジタルインタフェースレシーバ)101と、圧縮された音楽信号を復調するデコーダ102と、復調された音楽信号の例えばミキシング処理やエフェクト処理などの各種信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor:デジタル信号処理装置)103と、DSP103を制御するCPU104とから構成されている。
上述したDSP103は、デジタル信号処理可能な信号レベルの最大値xmax(=所定値)よりも大きい信号レベルが発生するとオーバーフローして、その信号レベルを最大値xmaxに抑制(クリップ)する。通常、デジタルの音楽信号の信号レベルは、DSP103の最大値xmaxを越えないようになっている。なお、上記信号レベルは絶対値である。
次に、上述したDSP103の構成について図5を参照して以下説明する。DSP103は図示しないメモリに記憶されたプログラムにより、第一フィルタ部5と、第一倍音生成部1と、第一増幅部6と、全波整流部21と、第二増幅部7と、第一加算部4Aと、第二フィルタ部8と、第二加算部4Bとを備えている。第一フィルタ部5は、音楽信号から所定周波数帯のみを抽出する。第一倍音生成部1は、第一倍音生成手段として働き、第一フィルタ部5によって抽出された音楽信号の周波数をfとすると、図6(A)に示すように、音楽信号に基づいて奇数倍の周波数f、3f、5f…から所定周波数Δf前後にずれた非整数倍の周波数成分を含んだ第一倍音信号を生成する。
第一増幅部6は、第一倍音信号を増幅する。全波整流部21は、第二倍音生成手段として働き、増幅前の第一倍音信号を全波整流して、偶数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号を生成する。第一倍音信号を全波整流すると、図6(B)に示すように、偶数倍の周波数2f、4f…から所定周波数Δf前後にずれた非整数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号が生成される。
第二増幅部7は、第二倍音信号を増幅する。第一加算部4Aは、上記第一倍音信号及び第二倍音信号を加算する。第二フィルタ部8は、図6(C)に示すように、第一倍音信号及び第二倍音信号を加算した信号から上記所定周波数帯を除去して倍音成分のみを取り出す。第二加算部4Bは、図6(C)に示す第二フィルタ部8の出力信号を音楽信号に加算して、図6(D)に示すように、音楽信号に偶数倍及び奇数倍の周波数2f、3f、4f…から所定周波数Δf前後にずれた非整数倍の周波数成分を得る。なお、上述した第一加算部4A及び第二加算部4Bが、加算手段としての加算部4を構成している。
次に、図7を参照して、上記第一倍音生成部1の構成について説明する。同図に示すように、第一倍音生成部1は、音楽信号の信号レベルに補正係数2Wを乗じる第一レベル補正手段としての第一レベル補正部12と、補正係数2Wを乗じた音楽信号の信号レベルがDSP103の最大値Xmaxを越えるように補正係数2Wを補正する係数補正手段としての係数補正部13と、音楽信号の信号レベルに(1/補正係数2W)を乗じる第二レベル補正手段としての第二レベル補正部14とから構成されている。
上述した第一レベル補正部12は、音楽信号の信号レベルxに第一補正係数Wを乗じる第一補正係数乗算手段としての第一補正係数乗算部12Aと、信号レベルxに第一補正係数Wを乗じた値(以下x・W)にさらに2(=第二補正係数)を乗じる第二補正係数乗算手段としての第二補正係数乗算部12Bとを備えている。また、係数補正部13は、x・Wと予め定めた目標値Vを2で除した値(=以下V/2)との差が0になるように第一補正係数Wを補正する。上記第一補正係数乗算部12Aと係数補正部13との間には、信号レベルxに第一補正係数Wを乗じた値の絶対値(以下|x・W|)を係数補正部13に出力する絶対値部15が設けられている。なお、本実施例では、目標値Vは最大値Xmaxよりも高い値に設定されている。
上述した係数補正部13は、上記(V/2)から上記|x・W|を減算する減算部13Aと、その減算値e(=(V/2)−|x・W|)にステップサイズαを乗じた値α・eを基に、x・WがV/2に近づくように適応信号処理によって第一補正係数Wを補正する補正部13Bとを備えている。
上記補正部13Bによって(n−1)回目の補正が行われた時点での第一補正係数をW(n)、n回目の補正が行われた時点での第一補正係数をW(n−1)としたときW(n)とW(n−1)とは以下の式(1)に示す関係となる。なお、nは任意の整数である。
W(n)=W(n−1)+|x|αe
=W(n−1)+|x|α(V/2−|x・W|) …(1)
上記式(1)から明らかなように、係数補正部13は、|x・W|が(V/2)よりも大きければαeがマイナスとなり、第一補正係数Wが小さくなるように補正され、|x・W|が(V/2)よりも小さければαeがプラスとなり、第一補正係数Wが大きくなるように補正される。また、|x・W|と(V/2)との差が大きければαeの値も大きくなり、大きいαeが第一補正係数Wに加算又は減算され、|x・W|と(V/2)との差が小さければαeが小さくなり、小さいαeが第一補正係数Wに加算又は減算される。即ち、係数補正部13は、信号レベルxに第一補正係数Wを乗じた値|x・W|がV/2となるように第一補正係数Wの補正を行う。これにより、第一補正係数乗算部12Aによって音楽信号の信号レベルxがV/2に近づくようにレベル補正され、第二補正係数乗算部11Bによって音楽信号の信号レベルxがVに近づくようにレベル補正される。
次に、上述したDSP103内での信号処理動作について、図8〜図11を参照して以下説明する。今、DSP103内に図8(A)に示すような正弦波の音楽信号が入力されたとする。第一レベル補正部12は、上述したように図8(A)に示す音楽信号の信号レベルxが目標値Vに近づくように信号レベルxに補正係数2Wを乗じて信号レベルxを補正する。この結果、図8(B)の点線で示すように音楽信号の信号レベルが目標値Vに対してオーバーシュート、アンダーシュートを繰り返すような補正係数2Wが信号レベルxに乗算される。目標値Vは最大値xmaxよりも大きな値に設定されている。
信号レベルが最大値xmaxを越えると、DSP103がオーバーフローして最大値xmaxを越える信号レベルを最大値xmaxに抑制する。従って、第一レベル補正部12により、図8(B)に示すように最大値xmaxを越えた部分が歪み、倍音成分が発生した音楽信号が得られる。その後、第二レベル補正部14が、図8(B)に示す音楽信号の信号レベルに(1/補正係数2W)を乗じて信号レベルが第一レベル補正部12による補正が行われる前のレベルに戻す。これにより、図8(C)に示すように信号レベルが歪み、倍音成分が発生した第一倍音信号が得られる。以上のことから明らかなようにDSP103が倍音発生手段に相当する。
なお本実施例では目標値Vとしては最大値xmaxよりも大きく設定していたが、第一レベル補正部12のレベル補正により信号レベルが目標値Vをオーバーシュートして、最大値xmaxを越えるようであれば最大値xmaxよりも小さい値に設定してもよい。即ち、目標値Vは音楽信号の信号レベルが最大値xmaxを越えるような値に設定されていればよい。
図8(C)に示す第一倍音信号の波形を分解すると、図9(A)及び(B)の波形を得ることができる。つまり、第一倍音信号は、図9(A)に示す信号と、図9(B)に示す正弦波の乗算で表すことができる。同図(A)に示す信号をフーリエ変換すると、オリジナルの音楽信号の周波数fの奇数倍f、3f、5f…の倍音が生成されることが分かる。一方、図8(C)の第一倍音信号は、二点鎖線で示すようにゆっくりと揺らいでおり、図9(B)に示すような低周波の正弦波が存在することがわかる。これは、係数補正部13によって補正係数2Wが変動するため、その変動周波数(所定周波数)に応じた信号が第一倍音信号に乗算されるためである。
一般的に、2つの信号を乗算した信号が含む周波数成分は、各信号の周波数成分f、fの畳み込み(f+f)、(f−f)で表されることが知られている。上述したように図9(A)に示す信号が、オリジナルの音楽信号の周波数fの奇数倍f、3f、5f…の周波数成分を有し、図9(B)に示す正弦波が、所定周波数Δfの周波数成分を有しているとする。図9(A)に示す信号と図9(B)に示す正弦波とを乗算した図8(C)に示す第一倍音信号は、図6(A)に示すように、(f+Δf)、(f−Δf)、(3f+Δf)、(3f−Δf)、(5f+Δf)、(5f−Δf)…の周波数成分を有する。即ち、奇数倍の周波数からΔf前後にずれた非整数倍の周波数成分を含んだ第一倍音信号が生成される。
以上のことから明らかなように、所定周波数Δfは、補正部13Bのステップサイズαによって調整することができる。つまり、ステップサイズαを大きくすれば、補正係数2Wの変動周波数が大きくなり、所定周波数Δfが大きくなる。一方、ステップサイズαを小さくすれば、補正係数2Wの変動周波数が小さくなり、所定周波数Δfが小さくなる。
さらに、全波整流部21により上記第一倍音信号を全波整流すると、図10に示すような第二倍音信号が得られる。この図10に示す第一倍音信号の波形を分解すると、図11(A)及び図11(B)の波形を得ることができる。つまり、第二倍音信号は、図11(A)に示す信号と、図11(B)に示す正弦波の乗算で表すことができる。図11(A)は、図9(A)に示す信号を全波整流した波形に相当する。
図11(B)は、図9(B)と同じ正弦波である。上記図11(A)に示す信号は、オリジナルの音楽信号の周波数fの偶数倍の2f、4f…の周波数成分を有している。図11(A)に示す信号と図11(B)に示す正弦波とを乗算した図10(C)に示す第二倍音信号は、図6(C)に示すように、(2f+Δf)、(2f−Δf)、(4f+Δf)、(4f−Δf)、(6f+Δf)、(6f−Δf)…の周波数成分を有する。即ち、偶数倍の周波数からΔf前後にずれた非整数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号が生成される。
次に、上述した構成の音楽再生装置100全体の動作について以下説明する。まず、記録媒体などから読み取ったデジタルの音楽信号がDIR101を介してデコーダ102に入力される。デコーダ102は、MP3やWMAといった圧縮形式で圧縮された音楽信号を復調して、DSP103に対して供給する。DSP103により、図6(D)に示すように音楽信号に偶数倍及び奇数倍の周波数2f、3f、4f…から所定周波数Δf前後にずれた非整数倍の周波数成分を得る。倍音成分が付加された音楽信号はその後各種信号処理を施された後、D/A変換器210に出力される。
D/A変換器210は、倍音成分が付加されたデジタルの音楽信号をアナログに変換した後、アンプ220を介してスピーカ230に出力する。そして、スピーカ230によって倍音成分が付加された音楽信号が再生される。
上述した音楽再生装置100によれば、音楽信号に基づいてその奇数倍の周波数成分を含んだ信号と所定周波数の信号とを乗算した第一倍音信号を生成して、この第一倍音信号に奇数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を発生させる第一倍音生成部1と、第一倍音信号に基づいて偶数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号を生成する全波整流部21とを備えている。即ち、第二倍音生成手段としての全波整流部21が非整数倍の周波数成分を含んだ第一倍音信号に基づいて偶数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号を生成することにより、音楽信号の偶数倍の周波数成分からΔf前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を得ている。これにより、第一倍音生成部1だけに非整数倍の周波数成分を発生させる構成を設けておけばよく、第二倍音生成手段としては上記全波整流部21のような簡単な構成で奇数倍及び偶数倍の周波数から前後にずれた非整数倍の周波数成分を得ることができる。しかも、第一倍音信号の奇数倍の周波数に対するズレ量Δfと第二倍音信号の偶数倍の周波数に対するズレ量Δとを同じにすることができる。
また、上述した音楽再生装置100によれば、音楽信号に基づいてその奇数倍の周波数成分を含んだ信号と所定周波数の信号とを乗算した第一倍音信号を生成して、この第一倍音信号に奇数倍の周波数から前記所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を発生させる工程と、第一倍音信号に基づいて奇数倍の周波数成分を含んだ第二倍音信号を生成する工程とを順次行っている。これにより、第一倍音生成部1だけに非整数倍の周波数成分を発生させる構成を設けておけばよく、第二倍音生成手段としては上記全波整流部21のような簡単な構成で奇数倍及び偶数倍の周波数から前後にずれた非整数倍の周波数成分を得ることができる。しかも、第一倍音信号の奇数倍の周波数に対するズレ量Δfと第二倍音信号の偶数倍の周波数に対するズレ量Δとを同じにすることができる。
また、上述した音楽再生装置100のDSP103によれば、奇数倍の周波数から前後にずれた周波数を含む第一倍音信号(=奇数次倍音)と、偶数倍の周波数から前後にずれた周波数を含む第二倍音信号(=偶数次倍音)とをそれぞれ別々に生成することができるため、第一増幅器6、第二増幅器7の増幅ゲインを調整して奇数次倍音と偶数次倍音とのバランスを簡単に制御することができる。
また、上述したDSP103によれば、音楽信号に第一倍音信号及び第二倍音信号の両信号を加算する加算部4を設けることにより、音楽信号に奇数倍及び偶数倍の周波数から前後にずれた非整数倍の周波数成分を加算することができる。
また、上述したDSP103によれば、第二倍音生成手段が、第一倍音信号を全波整流する全波整流部21から構成されているので、簡単な構成で第二倍音信号を生成することができる。
上述したDSP103によれば、係数補正部13によって補正係数2Wが変動するため、図9(A)、(B)に示すように、その変動周波数に応じた信号を第一倍音信号に乗算できる。このため、奇数倍の周波数から変動周波数(所定周波数)前後にずれた非整数倍の周波数成分を生成することができる。また、小信号レベルの音楽信号であっても第一レベル補正部12のレベル補正により信号レベルがDSP103の最大値Xmaxを越えるため、確実に倍音発生部11によって音楽信号の信号レベルを抑制して倍音を発生させることができる。即ち、小信号レベルの音楽信号であっても確実に倍音を生成することができる。しかも、DSP103をオーバーフローさせて倍音を生成することができるため、DSP103に非線形関数に従って演算処理などを行わせなくても倍音を生成することができ、少ない演算処理で倍音を生成することができる。
また、上述したDSP103によれば、第一レベル補正部12が信号レベルに乗じる補正係数2Wを第一補正係数乗算部12Aと第二補正係数乗算部12Bとによって2回に分けて乗算している。そして、係数補正部13が、信号レベルxに第一補正係数Wを乗じた値x・Wが目標値Vよりも小さい(V/2)になるように第一補正係数Wを補正している。たとえば、係数補正部13によってx・Vが目標値Vになるように第一補正係数Wを補正した場合、信号レベルに第一補正係数Wを乗じた時点で信号レベルが最大値xmaxを越えてしまい、係数補正部13は最大値と目標値Vとの差が0になるように補正係数の補正を行ってしまい、x・Vと目標値Vとの差が0になるような補正係数の補正を行うことができない。しかし本実施例では、目標値Vを最大値xmaxに近い値に設定しても、信号レベルに第一補正係数Wを乗じた時点で信号レベルが最大値xmaxを越えないようにすることができ、係数補正部13がDSP103のオーバーフローの影響を受けることなく第一補正係数Wの補正を行うことができる。
また、上述したDSP103によれば、第一フィルタ部5によって音楽信号から所定周波数帯のみを抽出している。そして、該抽出した所定周波数帯の音楽信号に倍音成分を発生させた後、第二フィルタ部8によって所定周波数帯を除去して倍音成分のみを抽出して、最後に第二加算部4Bによって元の音楽信号に倍音成分を加算している。これによれば、音楽信号を構成する周波数帯のうち所定周波数帯が特に良く聞こえる音楽信号を得ることができる。たとえば、所定周波数帯をボーカル領域となるように設定すると、ボーカルがより響く音楽信号となり、所定周波数帯を低音領域となるように設定すると、低音がより響く音楽信号となる。
なお、本実施形態では、MP3やWMAなどの圧縮形式で圧縮させた音楽信号に倍音を発生していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、CDに録音されているような高音域がカットされた音楽信号に倍音を発生させても同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施例によれば、第二倍音生成手段として全波整流部21を用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。第二倍音生成手段としては、入力信号の周波数に対して偶数倍の倍音を生成するものであればよく、例えばゼロクロス法、べき乗法などを用いたものであってもよい。
また、上述した実施例によれば、第一倍音生成手段として補正係数2Wを変動させることにより、音楽信号に基づいその奇数倍の周波数成分を含んだ信号と補正係数2Wの変動周波数(所定周波数)の信号とを乗算した第一倍音信号を生成するものを用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。第一倍音生成手段としては、例えば、音楽信号に基づいてその奇数倍の周波数成分を含んだ倍音信号を生成させる奇数次倍音生成部と、この奇数次倍音生成部が奇数倍の周波数成分を発生させる前の音楽信号、または奇数次倍音生成部によって生成された倍音信号に所定周波数の正弦波(信号)を乗算する乗算部とから構成しても良い。奇数次倍音生成部としては、波形を歪ませて奇数倍の周波数を発生させるコンプレッサーやピークホールド回路など色々なものが提案されている。
また、上述した実施例によれば、加算部4は、第一倍音信号と第二倍音信号とを加算した後に、その加算信号を音楽信号に加算していたが、本発明はこれに限ったものではない。加算部4としては、第一倍音信号及び第二倍音信号を音楽信号に加算できればよく、例えば第一倍音信号及び第二倍音信号を各々別々に音楽信号に加算するようにしてもよい。
また、上述した実施例によれば、DSP103をオーバーフローさせて倍音を生成しているが、本発明はこれに限ったものではない。たとえば、DSP103に所定値を越える信号レベルを所定値に抑制する非線形関数の演算を行わせるプログラムを組み込んで倍音を生成できるようにしてもよい。この場合、上記所定値を上記最大値xmaxよりも小さい値に設定して、第一レベル補正部12に音楽信号の信号レベルが所定値を越えるように音楽信号の信号レベルに補正係数を乗じてレベル補正を行わせれば、上記DSP103の非線形演算により倍音を生成することができる。
また、所定値を上記最大値xmaxよりも小さい値に設定すれば、第一レベル補正部12としては、信号レベルに補正係数を乗じる補正係数乗算部と、信号レベルに補正係数を乗じた値と目標値Vとが0になるように補正係数を補正する係数補正部とから構成してもよい。
また、所定値を越える信号レベルを所定値に抑制するような入出力特性を有するアナログのコンプレッサーを倍音発生手段としてもよい。この場合も、上記所定値を上記最大値xmaxよりも小さい値に設定して、DSP103の第一レベル補正部12に音楽信号の信号レベルが所定値を越えるように音楽信号の信号レベルに補正係数を乗じてレベル補正を行わせる。そして、第一レベル補正部12によりレベル補正を行った音楽信号をD/A変換して、アナログの音楽信号に変換した後に、上記アナログのコンプレッサーに供給すれば倍音を生成することができる。
また、上述した実施例によれば、第二補正係数乗算部12Bでは第二補正係数として2を乗じていたが、本発明はこれに限ったものではない。第二補正係数としては、目標値V/第二補正係数が上記最大値xmaxよりも小さい値になればどんな値でもよい。
また、上述した実施例によれば、第一及び第二レベル補正部12、14をDSP103で構成していたが、本発明はこれに限ったものではなく、同等の働きをするアナログ回路で構成してもよい。
また、上述した実施例によれば、第一レベル補正手段としては、信号レベルxを目標値(V/2)に近づける評価値として、誤差eそのものを用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、評価値として二乗誤差eを用いてこの二乗誤差eが0になるように補正係数Wを補正してもよい。即ち、第一レベル補正手段としては、本発明の目的に反しない限りどんなアルゴリズムであってもよい。
また、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
max 最大値
1 第一倍音生成部(第一倍音生成手段)
2 第二倍音生成部(第二倍音生成手段)
4 加算部(加算手段)
21 全波整流部
12 第一レベル補正部(第一レベル補正手段)
12A 第一補正係数乗算部(第一補正係数乗算手段)
12B 第二補正係数乗算部(第二補正係数乗算手段)
13 係数補正手段(係数補正部)
14 第二レベル補正部(第二レベル補正手段)
103 DSP(倍音発生手段)

Claims (4)

  1. 音楽信号の倍音を生成する倍音生成装置において、
    前記音楽信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の奇数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第一倍音信号を生成する第一倍音生成手段と、
    前記第一倍音生成手段によって生成された第一倍音信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の偶数倍の周波数から前記所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を生成する第二倍音生成手段と、を備え、
    前記第一倍音生成手段が、前記音楽信号のデジタル信号処理を行い該デジタル信号処理可能な信号レベルの最大値よりも大きい信号レベルが発生すると当該信号レベルを前記最大値に抑制するデジタル信号処理装置から構成され、
    前記第一倍音生成手段が、前記音楽信号の信号レベルに第一補正係数を乗じる第一補正係数乗算手段と、
    前記第一補正係数を乗じた信号レベルにさらに第二補正係数を乗じる第二補正係数乗算手段と、
    前記第一補正係数を乗じた信号レベルと予め定めた目標値を前記第二補正係数で除した値との差が0になるように前記第一補正係数を補正することにより、前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルが前記最大値を越えるように前記第一補正係数を補正する係数補正手段と、
    前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルに{1/(前記第一補正係数×前記第二補正係数)}を乗じてレベル補正を行って前記第一倍音信号を生成する第二レベル補正手段と、を有する
    ことを特徴とする倍音生成装置。
  2. 前記音楽信号に前記第一倍音信号及び前記第二倍音信号の両信号を加算する加算手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の倍音生成装置。
  3. 前記第二倍音生成手段が、前記第一倍音信号を全波整流する全波整流部から構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の倍音生成装置。
  4. 音楽信号の倍音を生成する倍音生成方法において、
    前記音楽信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の奇数倍の周波数から所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第一倍音信号を生成する工程と、
    前記第一倍音信号に基づいて、前記音楽信号の周波数の偶数倍の周波数から前記所定周波数前後にずれた非整数倍の周波数成分を含む第二倍音信号を生成する工程と、を順次行い、
    前記第一倍音信号を生成する工程において、
    前記音楽信号のデジタル信号処理を行い該デジタル信号処理可能な信号レベルの最大値よりも大きい信号レベルが発生すると当該信号レベルを前記最大値に抑制するデジタル信号処理装置が前記音楽信号の信号レベルに第一補正係数を乗じる工程と、
    前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数を乗じた信号レベルにさらに第二補正係数を乗じる工程と、
    前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数を乗じた信号レベルと予め定めた目標値を前記第二補正係数で除した値との差が0になるように前記第一補正係数を補正することにより、前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルが前記最大値を越えるように前記第一補正係数を補正する工程と、
    前記デジタル信号処理装置が前記第一補正係数及び前記第二補正係数を乗じた前記音楽信号の信号レベルに{1/(前記第一補正係数×前記第二補正係数)}を乗じてレベル補正を行って前記第一倍音信号を生成する工程と、を行う
    ことを特徴とする倍音生成方法。
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