JP4254479B2 - オーディオ帯域拡張再生装置 - Google Patents

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本発明は、音声信号の帯域を拡張して音響機器の再生音質を改善するオーディオ帯域拡張再生装置に関するものである。
従来、人の可聴上限周波数は20kHzであると言われてきたが、最近の研究で20kHz以上の音を知覚していることが分かってきた。ところが、CDプレイヤー等のディジタル音響機器においては、サンプリング周波数によって高域の再生上限周波数が決まり、この再生上限周波数以上の帯域を切り捨てる形でCD等の媒体に音声を記録するため、媒体に記録された音声信号を再生するときには、再生上限周波数以上の帯域が欠落した音声を聞くことになり、聴感上不自然な感じがする場合がある。そこで、欠落した高音域の音声信号を補完して音響機器の再生音質を改善するオーディオ帯域拡張再生装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
図8は特許文献1に開示されたオーディオ帯域拡張再生装置の構成を示すブロック図である。このオーディオ帯域拡張再生装置では、帯域拡張処理の前段階として、オーバーサンプリングフィルタ101によりディジタル音声信号にオーバーサンプリングを施し、オーバーサンプリングしたディジタル音声信号を非線形回路102に通すことにより高調波を発生させる。非線形回路102としては、全波整流回路、半波整流回路、クリップ回路などがある。そして、発生した高調波からハイパスフィルタ103により20kHz以上の成分のみを抽出して、この抽出した成分とオーバーサンプリングしたディジタル音声信号とを加算器104により混合するようにしていた。
図9は特許文献2に開示されたオーディオ帯域拡張再生装置の帯域拡張方法を示す図である。このオーディオ帯域拡張再生装置では、図9(a)に示す入力音声信号の周波数スペクトル情報から自己相関演算により調波構造の周期Tを検出し、入力音声信号の再生上限周波数以上の高域に、調波周期Tを有する拡張周波数スペクトル情報を付加する(図9(b))。このとき、拡張周波数スペクトル情報を単純に付加すると入力音声信号の周波数スペクトル情報と拡張周波数スペクトル情報との間に位相ずれが生じるので、この位相ずれを検出して、入力音声信号の周波数スペクトル情報の最終の局所的なピークaと拡張周波数スペクトル情報の最初の局所的なピークbとの間隔が調波周期Tに等しくなるように、拡張周波数スペクトル情報のオフセットoffsetを設定している。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
特開2003−015695号公報 特開2003−108197号公報
一般的な音楽において20kHz以上の非可聴帯域は、各楽器のピッチ(基音)の整数倍の高調波である倍音列が混ざり合った周波数帯域である。したがって、音声信号を帯域拡張して再生音質を改善する場合には、これらの倍音列を再現できることが望ましい。
しかしながら、特許文献1に開示されたオーディオ帯域拡張再生装置では、倍音列の高調波を生成することになり、原音の高音域とは異なる余分な高調波を発生させてしまうという問題点があった。
一方、特許文献2に開示されたオーディオ帯域拡張再生装置では、入力音声信号のうち信号レベルの強い倍音列の周期Tを自己相関演算で求め、この周期Tの倍音列を生成して入力音声信号に付加することになるので、補完の対象となるのは信号レベルの強い倍音列のみとなり、信号レベルの弱い倍音列を再現できないという問題点があった。また、このオーディオ帯域拡張再生装置では、倍音列の周期Tを求めるために入力音声信号の全帯域を使用しているので、10kHz以下の低音域に存在して20kHz以上の非可聴帯域には存在しない倍音列の周期を検出してしまう可能性があり、このような倍音列の周期を用いて帯域拡張を行うと、20kHz以上の非可聴帯域には存在しないはずの余分な倍音列を発生させてしまう可能性があった。さらに、特許文献2には、他の帯域拡張方法として、周期Tの間の低域周波数スペクトル情報をそのまま高音域にコピーする方法が開示されているが、このような方法では、信号レベルの強い倍音列については整合性を保つことができるが、信号レベルの弱い倍音列の整合性を考慮していないため、入力音声信号の周波数スペクトル情報と拡張周波数スペクトル情報との間で信号レベルの弱い倍音列の整合性が保たれず、音質に悪影響を与える可能性があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、原音に近い倍音列を再現して再生音質の向上を図ることができるオーディオ帯域拡張再生装置を提供することを目的とする。
本発明のオーディオ帯域拡張再生装置は、入力音声信号から第1の特定周波数f1以上の成分を取り出す第1のハイパスフィルタと、この第1のハイパスフィルタの出力音声信号の周波数をシフトする第1の周波数シフト手段と、前記入力音声信号と前記第1の周波数シフト手段の出力音声信号との相互相関演算を前記第1の周波数シフト手段による周波数シフト量を変更しながら繰り返し行い、前記演算の結果が最大相関を示す周波数シフト量を確定する演算手段と、前記入力音声信号の周波数を前記確定した周波数シフト量だけシフトする第2の周波数シフト手段と、前記第2の周波数シフト手段の出力音声信号から第2の特定周波数f2(f2>f1)以上の成分を取り出す第2のハイパスフィルタと、前記入力音声信号と前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号とを加算する加算手段とを有するものである。
また、本発明のオーディオ帯域拡張再生装置の1構成例は、前記第2のハイパスフィルタの後段に、音声信号の周波数を前記確定した周波数シフト量だけシフトする1個以上の第3の周波数シフト手段を直列に接続し、前記加算手段は、前記入力音声信号と前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号と前記第3の周波数シフト手段の各出力音声信号とを加算するものである。
また、本発明のオーディオ帯域拡張再生装置の1構成例は、前記入力音声信号の周波数スペクトルと前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号の周波数スペクトルとが連続した包絡線をなすように、前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号のレベルを調整する第1のレベル調整手段を有するものである。
また、本発明のオーディオ帯域拡張再生装置の1構成例は、前記第3の周波数シフト手段に入力される音声信号の周波数スペクトルとこの第3の周波数シフト手段を通過した音声信号の周波数スペクトルとが連続した包絡線をなすように、前記第3の周波数シフト手段の各出力音声信号のレベルを調整する1個以上の第2のレベル調整手段を有するものである。
本発明では、非線形回路を使用しないため、余分な高調波が発生することがない。また、本発明によれば、可聴帯域に含まれる倍音列を第1のハイパスフィルタによって取り出し、この倍音列をシフトした信号と入力音声信号とが最大相関を示す周波数シフト量を確定することにより、入力音声信号と第2の周波数シフト手段により入力音声信号を周波数シフトした信号とが高い相関性を有するように周波数シフトを行って、この周波数シフトした信号から入力音声信号と重複する帯域を第2のハイパスフィルタによって取り除いた上で、入力音声信号と第2のハイパスフィルタの出力とを加算手段で加算するようにしたので、信号レベルの強い倍音列のみならず、信号レベルの弱い倍音列についても原音に近い倍音列を再現することができ、再生音質の向上を図ることができる。また、本発明では、入力音声信号を周波数シフトした信号に含まれる倍音列と入力音声信号の可聴帯域に含まれる倍音列とが高い相関性を有するように入力音声信号を周波数シフトして帯域拡張を行うので、信号レベルの強い倍音列のみならず、信号レベルの弱い倍音列についても、入力音声信号の周波数スペクトルと帯域拡張した周波数スペクトルの整合性を保つことができる。さらに、本発明では、入力音声信号のうち第1の特定周波数以上の高域に含まれる倍音列を用いて周波数シフト量を確定しており、このような帯域に含まれる倍音列は非可聴帯域まで存在していた可能性が高いので、従来のオーディオ帯域拡張再生装置のように非可聴帯域には存在しないはずの余分な倍音列を発生させることがない。
また、第2のハイパスフィルタの後段に1個以上の第3の周波数シフト手段を直列に接続して、加算手段で入力音声信号と第2のハイパスフィルタの出力音声信号と第3の周波数シフト手段の各出力音声信号とを加算することにより、音声信号の帯域を更に拡張することができる。
また、入力音声信号の周波数スペクトルと第2のハイパスフィルタの出力音声信号の周波数スペクトルとが連続した包絡線をなすように、第2のハイパスフィルタの出力音声信号のレベルを調整する第1のレベル調整手段を設けることにより、入力音声信号と第2のハイパスフィルタの出力音声信号との結合を滑らかにすることができる。
また、第3の周波数シフト手段に入力される音声信号の周波数スペクトルとこの第3の周波数シフト手段を通過した音声信号の周波数スペクトルとが連続した包絡線をなすように、第3の周波数シフト手段の各出力音声信号のレベルを調整する第2のレベル調整手段を設けることにより、第3の周波数シフト手段に入力される音声信号と第3の周波数シフト手段の出力音声信号との結合を滑らかにすることができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態となるオーディオ帯域拡張再生装置の構成を示すブロック図である。図1のオーディオ帯域拡張再生装置は、サンプリング周波数fs0のディジタル音声データに対して周波数fs1(fs1>fs0)のオーバーサンプリングを施すオーバーサンプリングフィルタ1と、オーバーサンプリングフィルタ1の出力音声データをフレーム単位で蓄積するフレームバッファ2と、フレームバッファ2の出力音声データから第1の特定周波数f1以上の成分を取り出す第1のハイパスフィルタ3と、ハイパスフィルタ3の出力音声データの周波数をシフトする第1の周波数シフト部4と、フレームバッファ2の出力音声データと周波数シフト部4の出力音声データとの相互相関演算を行い、最大相関を示す周波数シフト量を確定値として記憶する相互相関演算部5と、周波数の異なる複数の正弦波データを順次発生する正弦波テーブル6と、フレームバッファ2の出力音声データの周波数を確定した周波数シフト量だけシフトする第2の周波数シフト部7と、周波数シフト部7の出力音声データから第2の特定周波数f2(f2>f1)以上の成分を取り出す第2のハイパスフィルタ8と、フレームバッファ2の出力音声データとハイパスフィルタ8の出力音声データのレベルを比較して、ハイパスフィルタ8の出力音声データを適切なレベルに調整して出力する第1のレベル調整部9と、レベル調整部9の出力音声データを確定した周波数シフト量だけシフトする第3の周波数シフト部10と、レベル調整部9の出力音声データと周波数シフト部10の出力音声データのレベルを比較して、周波数シフト部10の出力音声データを適切なレベルに調整して出力する第2のレベル調整部11と、フレームバッファ2の出力音声データとレベル調整部9,11の出力音声データとを加算する加算器12とから構成される。相互相関演算部5と正弦波テーブル6とは、周波数シフト量を確定する演算手段を構成している。
次に、図1のオーディオ帯域拡張再生装置の動作を説明する。図2は図1のオーディオ帯域拡張再生装置の動作を示す周波数スペクトル図である。図2では、音声データの周波数スペクトルを模式的に表している。
オーバーサンプリングフィルタ1は、例えばCDプレイヤー等のディジタル音響機器(不図示)から出力されたサンプリング周波数fs0の音声データに対して周波数fs1のオーバーサンプリングを施す。本実施の形態では、サンプリング周波数fs0によって決まる音声データの再生上限周波数の2倍まで帯域拡張するため、fs1=2×fs0としている。
フレームバッファ2は、音声データに対する一定の時間単位毎の処理を実現するため、オーバーサンプリングフィルタ1の出力音声データを所定のフレーム単位で蓄積する。
続いて、ハイパスフィルタ3は、フレームバッファ2の出力音声データから第1の特定周波数f1以上の成分を取り出す。音声データから基音成分を含まない倍音列の成分のみを取り出すために、第1の特定周波数(カットオフ周波数)f1は10kzに設定されている。図2(a)に示す周波数スペクトルの入力音声データから10kz以上の成分を取り出すことにより、ハイパスフィルタ3の出力音声データの周波数スペクトルは図2(b)のようになる。
正弦波テーブル6には、ディジタル化された正弦波データが直流付近の低周波(例えば数十Hz)から前記第1の特定周波数f1まで一定周波数毎に予め登録されている。正弦波テーブル6は、これら周波数の異なる複数の正弦波データを順次出力する。
周波数シフト部4は、ハイパスフィルタ3の出力音声データの周波数を正弦波テーブル6の出力正弦波の周波数だけシフトする。周波数シフトを実信号の乗算で実行した場合、周波数をシフトアップした信号だけでなく、シフトダウンの成分も発生するため、シフトアップした信号にシフトダウンの成分が混入してしまう。そこで、本実施の形態では、ヒルベルトフィルタを使用した複素乗算による周波数シフトを実行する。
図3は周波数シフト部4の構成を示すブロック図である。ハイパスフィルタ3の出力音声データをn次(nタップ)FIRフィルタ41とn/2サンプル(n/2タップ)遅延回路42とに通すことで、音声データ(実信号)を虚数部と実数部とが直交関係にある複素信号に変換することができる。同様に、正弦波テーブル6から出力された正弦波データをn次FIRフィルタ43とn/2サンプル遅延回路44とに通すことで、正弦波データ(実信号)を虚数部と実数部とが直交関係にある複素信号に変換することができる。
乗算器45は、n/2サンプル遅延回路42から出力された音声データの実数部とn/2サンプル遅延回路44から出力された正弦波データの実数部とを乗算する。乗算器46は、n次FIRフィルタ41から出力された音声データの虚数部とn次FIRフィルタ43から出力された正弦波データの虚数部とを乗算する。そして、加算器47は、乗算器45の出力データと乗算器46の出力データとを加算する。以上のようにして、音声データの周波数シフトを行う。
図4(a)に周波数シフト部4の振幅特性および位相特性を示し、図4(b)に周波数シフト部4のインパルス応答特性を示す。
相互相関演算部5は、フレームバッファ2の出力音声データと周波数シフト部4の出力音声データとの相互相関演算を行い、演算した相互相関値を保存する。相互相関演算の終了後、正弦波テーブル6は、正弦波データの周波数を切り替えて、次の周波数の正弦波データを出力する。
こうして、正弦波データの出力とこの正弦波データに基づく音声データの周波数シフトと相互相関演算とを図2(c)に示すように周波数シフト量(正弦波データの周波数)Δfを変更しながら繰り返し行う。
正弦波テーブル6に登録された全ての周波数の正弦波データについて相互相関演算が終了した後に、相互相関演算部5は、最大相関値が得られた周波数シフト量Δffix を確定値として記憶し、出力正弦波データの周波数を確定値Δffix に固定するよう正弦波テーブル6を制御する。以後、正弦波テーブル6は、周波数Δffix の正弦波データを出力する。なお、図5に示すように、相互相関値に複数の極大値が現れた場合には、最初の極大値(最も低い周波数の極大値)が得られた周波数シフト量Δfを確定値Δffix とする。
次に、周波数シフト部7は、フレームバッファ2の出力音声データの周波数を周波数シフト量確定後の正弦波データの周波数Δffix だけシフトする。この周波数シフト部7の構成は周波数シフト部4と同じである。図2(a)に示したフレームバッファ2の出力音声データを周波数シフトすることにより、周波数シフト部7の出力音声データの周波数スペクトルは図2(d)のようになる。
ハイパスフィルタ8は、周波数シフト部7の出力音声データから第2の特定周波数f2(f2>f1)以上の成分を取り出す。フレームバッファ2の出力音声データと周波数シフト部7の出力音声データとの重複を避けるために、第2の特定周波数(カットオフ周波数)f2は、サンプリング周波数fs0によって決まる音声データの再生上限周波数(本実施の形態では20kHz)に設定されている。
レベル調整部9は、フレームバッファ2の出力音声データから前記再生上限周波数の近傍(例えば18kHz〜20kHz)の成分をバンドパスフィルタによって取り出すと共に、ハイパスフィルタ8の出力音声データから前記再生上限周波数の近傍(例えば20kHz〜22kHz)の成分をバンドパスフィルタによって取り出し、取り出した2つの成分のレベルが一致するようにハイパスフィルタ8の出力音声データのレベルを調整して、このレベル調整した音声データを出力する。こうして、図2(e)に示すように、フレームバッファ2の出力音声データとハイパスフィルタ8の出力音声データとの境界の周波数となる20kHzの近傍において、ハイパスフィルタ8の出力音声データの周波数スペクトルがフレームバッファ2の出力音声データの周波数スペクトルと連続した包絡線をなすようにレベル調整される。
次に、周波数シフト部10は、レベル調整部9の出力音声データの周波数を周波数シフト量確定後の正弦波データの周波数Δffix だけシフトする。この周波数シフト部10の構成は周波数シフト部4と同じである。図2(e)に示したレベル調整部9の出力音声データを周波数シフトすることにより、周波数シフト部10の出力音声データの周波数スペクトルは図2(f)のようになる。
レベル調整部11は、周波数シフト部10の出力音声データとの境界付近の成分をレベル調整部9の出力音声データからバンドパスフィルタによって取り出すと共に、レベル調整部9の出力音声データとの境界付近の成分を周波数シフト部10の出力音声データからバンドパスフィルタによって取り出し、取り出した2つの成分のレベルが一致するように周波数シフト部10の出力音声データのレベルを調整して、このレベル調整した音声データを出力する。レベル調整部9の出力音声データと周波数シフト部10の出力音声データの境界の周波数は、(20kHz+Δffix )である。したがって、レベル調整部11は、レベル調整部9の出力音声データから例えば(18kHz+Δffix )〜(20kHz+Δffix )の成分を取り出し、周波数シフト部10の出力音声データから例えば(20kHz+Δffix )〜(22kHz+Δffix )の成分を取り出す。
こうして、図2(g)に示すように、レベル調整部9の出力音声データと周波数シフト部10の出力音声データの境界の周波数(20kHz+Δffix )の近傍において、周波数シフト部10の出力音声データの周波数スペクトルがレベル調整部9の出力音声データの周波数スペクトルと連続した包絡線をなすようにレベル調整される。
加算器12は、フレームバッファ2の出力音声データとレベル調整部9の出力音声データとレベル調整部11の出力音声データとを加算する。こうして、図2(h)に示すように、帯域拡張された音声データが加算器12から出力される。
以上のフレームバッファ2、ハイパスフィルタ3、周波数シフト部4、相互相関演算部5、正弦波テーブル6、周波数シフト部7、ハイパスフィルタ8、レベル調整部9、周波数シフト部10、レベル調整部11および加算器12の処理が終わると、フレームバッファ2がクリアされ次のフレーム単位の音声データがフレームバッファ2に格納されて、同様の処理が行われる。こうして、所定のフレーム単位毎に音声データが処理される。
図6は、本実施の形態のオーディオ帯域拡張再生装置と特許文献2に開示されたオーディオ帯域拡張再生装置の帯域拡張処理を比較した周波数スペクトル図である。ここでは、図6(a)の倍音列Aと図6(b)の倍音列Bと図6(c)の倍音列Cとが混ざり合ったものを原音とする(図6(d))。このような原音をCD等の媒体に記録すると、再生上限周波数20kHz以上の高音が切り捨てられる。したがって、フレームバッファ2に格納される音声データは、20kHz以上の高音が切り捨てられた図6(e)のようなデータである。
図6(e)に示した音声データの周波数をΔffix だけシフトすると、周波数シフト部7の出力音声データの周波数スペクトルは図6(f)のようになり、この音声データからハイパスフィルタ8により20kHz以上の成分を取り出すことで、音声データの周波数スペクトルは図6(g)のようになる。さらに、レベル調整後のハイパスフィルタ8の出力音声データをΔffix だけシフトすることにより、周波数シフト部10の出力音声データの周波数スペクトルは図6(h)のようになる。そして、フレームバッファ2の出力音声データとレベル調整部9,11の出力音声データとを加算することにより、加算器12の出力音声データの周波数スペクトルは図6(i)のようになる。
このように、本実施の形態では、フレームバッファ2の出力音声データを周波数シフトした信号に含まれる倍音列とフレームバッファ2の出力音声データの可聴帯域に含まれる倍音列とが高い相関性を有するように音声データを周波数シフトして帯域拡張を行うので、信号レベルの強い倍音列のみならず、信号レベルの弱い倍音列についても原音に近い倍音列を再現することができる。
一方、特許文献2に開示されたオーディオ帯域拡張再生装置では、図6(e)に示した入力音声信号のうち信号レベルの強い倍音列の周期Tを自己相関演算で求め、図6(j)のように周期Tの倍音列を生成して、この周期Tの倍音列を図6(k)のように入力音声信号の20kHz以上の帯域に付加するので、信号レベルの弱い倍音列を再現することができない。
また、本実施の形態では、信号レベルの強い倍音列のみならず、信号レベルの弱い倍音列についても、フレームバッファ2の出力音声データの周波数スペクトルと20kHz以上の帯域拡張した周波数スペクトルの整合性を保つことができる。さらに、本実施の形態では、第1の特定周波数以上の高域に含まれる倍音列を用いて周波数シフト量を確定しており、このような帯域に含まれる倍音列は図6(d)の原音では非可聴帯域まで存在していた可能性が高いので、従来のオーディオ帯域拡張再生装置のように非可聴帯域には存在しないはずの余分な倍音列を発生させることがない。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、第3の周波数シフト部10と第2のレベル調整部11とをそれぞれ1個ずつ使用しているが、演算負荷に余裕があれば、これらを複数設けることで帯域の拡張幅を広げてもよい。周波数シフト部10とレベル調整部11とを2個ずつ使用した場合の構成を図7に示す。周波数シフト部10とレベル調整部11とを複数設ける場合には、レベル調整部9の後段に周波数シフト部10とレベル調整部11の組を複数組直列に接続し、レベル調整部11により調整した周波数シフト部10の各出力を加算器12に入力すればよい。
なお、第1、第2の実施の形態において、帯域拡張後のスペクトルカーブをより自然なものにするために適当な低次のローパスフィルタを加算器12の後ろに追加してもよい。
また、第1、第2の実施の形態では、20kHzの非可聴帯域を補償する帯域拡張を行っているが、例えばMP3(MPEG1 Audio Layer III )等の圧縮音声データ(高音域がある程度切り捨てられたもの)の切り捨てられた高音域を補償する帯域拡張にも適用することができる。すなわち、可聴帯域での帯域拡張にもより有用に使用可能である。
本発明は、ディジタル音響機器に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態となるオーディオ帯域拡張再生装置の構成を示すブロック図である。 図1のオーディオ帯域拡張再生装置の動作を示す周波数スペクトル図である。 本発明の第1の実施の形態の周波数シフト部の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態の周波数シフト部の振幅特性、位相特性およびインパルス応答特性を示す図である。 本発明の第1の実施の形態の相互相関演算部で得られる相互相関値の様子を示す図である。 本発明の第1の実施の形態のオーディオ帯域拡張再生装置と従来のオーディオ帯域拡張再生装置の帯域拡張処理を比較した周波数スペクトル図である。 本発明の第2の実施の形態となるオーディオ帯域拡張再生装置の構成を示すブロック図である。 従来のオーディオ帯域拡張再生装置の1例を示すブロック図である。 従来の他のオーディオ帯域拡張再生装置の帯域拡張方法を示す図である。
符号の説明
1…オーバーサンプリングフィルタ、2…フレームバッファ、3…第1のハイパスフィルタ、4…第1の周波数シフト部、5…相互相関演算部、6…正弦波テーブル、7…第2の周波数シフト部、8…第2のハイパスフィルタ、9…第1のレベル調整部、10…第3の周波数シフト部、11…第2のレベル調整部、12…加算器。

Claims (4)

  1. 入力音声信号から第1の特定周波数f1以上の成分を取り出す第1のハイパスフィルタと、
    この第1のハイパスフィルタの出力音声信号の周波数をシフトする第1の周波数シフト手段と、
    前記入力音声信号と前記第1の周波数シフト手段の出力音声信号との相互相関演算を前記第1の周波数シフト手段による周波数シフト量を変更しながら繰り返し行い、前記演算の結果が最大相関を示す周波数シフト量を確定する演算手段と、
    前記入力音声信号の周波数を前記確定した周波数シフト量だけシフトする第2の周波数シフト手段と、
    前記第2の周波数シフト手段の出力音声信号から第2の特定周波数f2(f2>f1)以上の成分を取り出す第2のハイパスフィルタと、
    前記入力音声信号と前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号とを加算する加算手段とを有することを特徴とするオーディオ帯域拡張再生装置。
  2. 前記第2のハイパスフィルタの後段に、音声信号の周波数を前記確定した周波数シフト量だけシフトする1個以上の第3の周波数シフト手段を直列に接続し、
    前記加算手段は、前記入力音声信号と前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号と前記第3の周波数シフト手段の各出力音声信号とを加算することを特徴とするオーディオ帯域拡張再生装置。
  3. 請求項1記載のオーディオ帯域拡張再生装置において、
    前記入力音声信号の周波数スペクトルと前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号の周波数スペクトルとが連続した包絡線をなすように、前記第2のハイパスフィルタの出力音声信号のレベルを調整する第1のレベル調整手段を有することを特徴とするオーディオ帯域拡張再生装置。
  4. 請求項2記載のオーディオ帯域拡張再生装置において、
    前記第3の周波数シフト手段に入力される音声信号の周波数スペクトルとこの第3の周波数シフト手段を通過した音声信号の周波数スペクトルとが連続した包絡線をなすように、前記第3の周波数シフト手段の各出力音声信号のレベルを調整する1個以上の第2のレベル調整手段を有することを特徴とするオーディオ帯域拡張再生装置。
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