JP4882382B2 - オーディオ信号の帯域拡張装置 - Google Patents

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この発明は、圧縮オーディオの再生の際の音質改善のための手段として好適な帯域拡張装置に関する。
デジタルオーディオの分野では、原音のオーディオ信号をデジタル符号化して録音等を行う場合に、再生時における折り返し雑音の発生を防ぐため、オーディオ信号からナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)以上の帯域の信号を予め除去した上で、サンプリングおよびデジタル符号化を行う。従って、デジタル符号化により得られたデジタルオーディオ信号を再生すると、原音に含まれていたナイキスト周波数以上の高域のスペクトルが欠落した音が再生されることとなる。しかし、聴感上自然で心地よい再生音を得るためには、再生対象であるオーディオ信号になるべく高域のスペクトルが含まれていた方が好ましい。このため、オーディオ再生装置の中には、再生対象である信号をオーバサンプリングするとともに、オーバサンプリング後の信号に高調波を付加して帯域を拡張する高調波生成方式の帯域拡張装置が設けられたものもある。
図10はこの種の帯域拡張装置において一般的に行われる帯域拡張の処理内容を示すものである。まず、帯域拡張装置の高調波生成器1は、入力オーディオ信号S1に所定の信号処理を施し、スペクトル分布が入力オーディオ信号S1のスペクトル分布よりも高域側に拡張された高調波信号S2を生成する(図10(a)(b)参照)。帯域拡張装置のHPF(ハイパスフィルタ)2は、この高調波信号S2からカットオフ周波数fc以上の帯域の信号S3を選択して出力する(図10(b)(c)参照)。そして、帯域拡張装置の加算器3は、入力オーディオ信号S1とHPF2の出力信号S3を加算し、帯域拡張のなされた信号S4を出力する(図10(d)参照)。
特開2003−108197号公報 特開2003−140696号公報
ところで、MP3(MPEG Audio Layer−3)やAAC(Advanced Audio Coding)などの圧縮オーディオでは、圧縮効率を高めるため、圧縮符号化の際、処理対象であるオーディオ信号のナイキスト周波数寄りの高域成分のデータを除去することが一般に行われている。例えばMP3やAACにおいてサンプリング周波数が44.1kHzの場合、14kHz〜22.05kHzの帯域に対応したデータが除去される。従って、このような圧縮符号化により得られたデータを復号化し、音として再生すると、圧縮符号化前のオーディオ信号が有していたナイキスト周波数寄りの高域成分が欠落した音が再生されることとなる。その際の音質を高めるためには、上述した帯域拡張装置を利用し、復号化により得られるオーディオ信号に対して高域スペクトルを補った上で音として再生するのが好ましい。
しかしながら、圧縮符号化の際に、どの程度の帯域のデータを除去するかは、圧縮符号化データのビットレートやエンコーダの構成により区々であり、例えばビットレートが高い場合には除去される帯域が18kHz〜22.05kHzになる等、圧縮符号化データの持つスペクトルの実質帯域が変化する。このため、圧縮符号化データから復号されたオーディオ信号に上述した帯域拡張を行うと、そのオーディオ信号の実質帯域とHPF2のカットオフ周波数fcとの関係如何によっては適切な帯域拡張信号が得られない場合がある。
例えば、図11に示すように、処理対象であるオーディオ信号S1の実質帯域の上限周波数fuに比べて、HPF2のカットオフ周波数fcが高い場合、帯域拡張により得られる信号S4は、周波数軸上、途中に音のない部分のある信号となり、これを音として再生すると、高域の音量感が不自然になる。また、図12に示すように、処理対象であるオーディオ信号S1の実質帯域の上限周波数fuに比べて、HPF2のカットオフ周波数fcが低い場合、帯域拡張により得られる信号S4は、周波数軸上においてオーディオ信号S1の帯域とHPF2の出力信号S3の帯域との重複部分の音量が強調されたものとなり、これを音として再生すると、高域の音量が大きくなり過ぎる。
特許文献1は、入力オーディオ信号の周波数解析を行ってスペクトル情報を取得し、入力オーディオ信号のスペクトル分布における高域側の一部のスペクトルを、そのスペクトル分布の高域側に外挿したスペクトル分布のスペクトル情報を求め、このスペクトル情報を時間領域の信号に戻すことにより帯域拡張を行う技術を開示している。この技術によれば、周波数軸上において元の入力オーディオ信号のスペクトルと高調波信号のスペクトルとが滑らかに接続された信号を得ることができる。しかし、この技術では、入力オーディオ信号をフレーム化し、フレーム単位で周波数解析やスペクトル情報を時間領域の信号に戻す処理を行う必要があり、その処理を行うための複雑な回路やメモリが必要となるとともに、レイテンシが増大するというという問題がある。
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、入力オーディオ信号の実質帯域が固定でない場合でも、入力オーディオ信号本来のスペクトルと、付加された高調波信号のスペクトルとが滑らかに接続されたスペクトル分布を有するオーディオ信号を生成することができ、しかも簡単な構成の帯域拡張装置を提供することを目的としている。
この発明は、入力オーディオ信号に信号処理を施し、スペクトル分布が前記入力オーディオ信号のスペクトル分布よりも高域側に拡張された高調波信号を生成する高調波生成手段と、カットオフ周波数以下の帯域の信号を前記入力オーディオ信号から選択して出力する第1のフィルタと、前記第1のフィルタの通過帯域と連続する高域側の帯域の信号を前記高調波信号から選択して出力する第2のフィルタと、前記第1および第2のフィルタの各出力信号を加算して、帯域拡張のなされたオーディオ信号を出力する加算器とを具備することを特徴とするオーディオ信号の帯域拡張装置を提供する。
かかる発明によれば、入力オーディオ信号本来のスペクトルと、付加された高調波信号のスペクトルとが滑らかに接続されたスペクトル分布を有し、帯域拡張のなされたオーディオ信号が得られる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である帯域拡張装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、この帯域拡張装置は、高調波生成部11と、HPF12と、LPF(ローパスフィルタ)13と、加算器14とにより構成されている。この帯域拡張装置の前段には、例えば記録媒体に記録された圧縮符号化データの復号を行い、所定のサンプリング周波数のPCM信号であるオーディオ信号S11を出力するデコーダ(図示略)が設けられている。
高調波生成部11は、オーディオ信号S11に信号処理を施し、元々有していたスペクトル分布に比べて上限周波数が高域側にシフトされたスペクトル分布を有する高調波信号S12を生成する装置である。この高調波生成部11としては、入力信号をxとした場合に例えばa・x+an−1・xn−1+……+a・x+aなどの特性多項式により表わされる演算を入力信号x(この場合、x=S11)に施して高調波信号を生成する装置、入力信号xの半波整流を行って高調波成分の付加された信号を出力する装置、あるいは所定周波数の正弦波を入力信号xに乗算する等の信号処理を実行することにより、入力信号xのスペクトル分布を周波数軸方向に沿ってシフトさせたスペクトル分布を持った高調波信号を生成する装置等、周知の装置を用いることができる。
LPF13は、カットオフ周波数以下の帯域の信号を入力オーディオ信号S11から選択して出力する。HPF12は、LPF13の通過帯域と連続する高域側の帯域の信号を高調波信号S12から選択して出力する。加算器14は、HPF12の出力信号S13とLPF13の出力信号S14とを加算して、帯域拡張のなされたオーディオ信号S15を出力する。入力オーディオ信号S11のサンプリング周波数fsが44.1kHzである場合、LPF13のカットオフ周波数fc1およびHPF12のカットオフ周波数fc2は14kHz程度にするのが良い。これらのカットオフ周波数は、例えば約10kHz以上などの聴覚特性上知覚し難い帯域の周波数にするのが好ましいが、入力オーディオ信号S11のサンプリング周波数が低い場合には10kHzよりも低い周波数としてもよい。
図2に例示するように、LPF13は、カットオフ周波数fc1付近において利得が周波数の増加に応じて緩やかなスロープを描いて低下する周波数特性を有し、HPF12は、カットオフ周波数fc2付近において利得が周波数の増加に応じて緩やかスロープを描いて上昇する周波数特性を有する。好ましい態様において、LPF13のカットオフ周波数fc1とHPF12のカットオフ周波数fc2は接近している。そして、本実施形態において、LPF13およびHPF12は、両者の周波数特性の和が、望ましい周波数特性、すなわち、途中に局所的な利得の山または谷を有しない滑らかな周波数特性(例えば全通過帯域においてほぼフラットな特性)を構成する。
図3は、以上説明した本実施形態の動作を示すものである。まず、高調波生成部11は、入力オーディオ信号S11から高域側に拡張されたスペクトル分布を持った高調波信号S12を生成する(図3(a)(b)参照)。そして、LPF13およびHPF12は、周波数軸上において連続した各帯域の信号S14およびS13を、入力オーディオ信号S11および高調波信号S12から各々選択して出力する(図3(a)(b)(c)参照)。そして、加算器14は、このLPF13およびHPF12の出力信号S14およびS13を加算し、帯域拡張のなされた信号S15を出力する(図3(d)参照)。ここで、LPF13および12の各周波数特性は、上述したように、両者の和が望ましい周波数特性を構成するような組み合わせとなっている(図3(c)参照)。従って、加算器14から得られる出力信号S15は、周波数軸上において入力オーディオ信号S1から選択された低域成分と高調波信号S12から選択された高域成分とが滑らかに接続された自然なスペクトル分布を持った信号となる(図3(d)参照)。
入力オーディオ信号S11は、MP3やAACなどの符号化圧縮データを復号することにより得られたものであるため、その実質帯域の上限周波数fuは固定されていない。しかし、本実施形態では、入力オーディオ信号S11からLPF13により選択された低域の信号S14と高調波信号S12からHPF12により選択された高域の信号S13とを加算することにより出力信号S15を得るようにしている。従って、入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuが変動したとしても、常に、元の入力オーディオ信号S11から得られた低域成分S14と高調波信号S12から得られた高域成分S13とが周波数軸上において滑らかに接続された出力信号S15が得られる。
<第2実施形態>
図4はこの発明の第2実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。図4において、デコード処理部10は、圧縮符号化データの復号を行い、復号結果である入力オーディオ信号S11を帯域拡張装置に与える装置である。本実施形態における帯域拡張装置には、フィルタ制御部15が追加されている。また、この帯域拡張装置におけるHPF12は、通過帯域の下限周波数であるカットオフ周波数fc2の制御が可能な構成となっており、LPF13は、通過帯域の上限周波数であるカットオフ周波数fc1の制御が可能な構成となっている。フィルタ制御部15は、入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuを求め、図5に示すように、LPF13のカットオフ周波数fc1およびHPF12のカットオフ周波数fc2をこの上限周波数fuの変化に連動させる制御を行う。さらに詳述すると、フィルタ制御部15は、入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuよりもやや低い周波数となるように、LPF13のカットオフ周波数fc1およびHPF12のカットオフ周波数fc2を設定する。
入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数を求める手段には各種の態様があり得る。ある好ましい態様において、フィルタ制御部15は、デコード処理部10から出力されるオーディオ信号S11のスペクトル解析を行うことにより上限周波数を求める。他の態様において、フィルタ制御部15は、デコード処理部10からデコード情報を受け取る。このデコード情報は、圧縮アルゴリズム種別情報、詳細情報、瞬時または1曲単位の実質帯域を示す情報、サンプリング周波数、ビットレートなどの情報を含む。フィルタ制御部15は、この情報から入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数を求める。LPF13およびHPF12のカットオフ周波数の設定は、曲単位で行ってもよいし、時々刻々と変化する入力オーディオ信号S11の実質帯域に合わせてリアルタイムに変化させてもよい。この態様において、フレーム単位の周波数解析により得られる実質帯域の上限周波数fuに関する情報を時間軸方向において安定化させ、この安定化後の上限周波数に基づいてカットオフ周波数fc1およびfc2を設定してもよい。また、無音区間では、その直前において設定したカットオフ周波数fc1およびfc2を保持するように構成してもよい。
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、LPF13により入力オーディオ信号S11から選択された低域成分S14とHPF12により高調波信号S12から選択された高域成分S13とが周波数軸上において滑らかに接続された出力信号S15が得られる。それに加え、本実施形態では、LPF13およびHPF12のカットオフ周波数が常に入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuよりもやや低い周波数とされるので、入力オーディオ信号S11が元々持っているスペクトルのうち可能な限り広い帯域のスペクトルを出力信号S15に含ませることができるという効果がある。
なお、入力オーディオ信号の実質帯域を求めて帯域拡張を行う技術として、特許文献2に開示された技術がある。この特許文献2に開示された帯域拡張装置では、前掲図10の構成において、HPF2に相当するものとして通過帯域の制御が可能なHPFを使用し、処理対象であるオーディオ信号の実質帯域に合わせてHPFの通過帯域を設定する。この帯域拡張装置によれば、入力オーディオ信号のスペクトル分布と高調波信号のスペクトル分布とが接続されたスペクトル分布を持った信号が得られる。
しかし、この技術のようにHPFの通過帯域の設定を行ったとしても、帯域拡張装置に与えられる入力オーディオ信号における実質帯域の上限周波数付近のスペクトルエンベロープは時々刻々と変化するので、入力オーディオ信号のスペクトルとこれに付加する高調波信号のスペクトルとを常に滑らかに接続するのは困難である。
これに対し、本実施形態および上記第1実施形態では、入力オーディオ信号S11からLPF13により選択された低域成分S14と高調波信号S12からHPF12により選択された高域成分S13とを加算することにより帯域拡張のなされた信号S15を生成するので、生成される信号S15は、常に周波数軸上において入力オーディオ信号S11本来のスペクトル(低域成分S14)と高調波信号のスペクトル(高域成分S13)とが滑らかに接続されたものとなる。
<第3実施形態>
図6はこの発明の第3実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。図6において、デコード処理部10は、上記第2実施形態のものと同様、圧縮符号化データの復号を行い、復号結果である入力オーディオ信号S11を帯域拡張装置に与える装置である。LPF13は、上記第1実施形態のものと同様、入力オーディオ信号S11からカットオフ周波数fc1以下の帯域の信号S14を選択して出力する。
HPF18は、入力オーディオ信号S11からカットオフ周波数fc3以上の帯域の信号を選択して出力する。本実施形態では、後述する高調波制御部17による制御の下、入力オーディオ信号S11において基音スペクトルが少なく、倍音スペクトルが多く存在する帯域の信号を選択し得るようにHPF18のカットオフ周波数が定められる。高調波生成部11dは、後述する高調波制御部17による制御の下、HPF18の出力信号S11’に対して、スペクトル分布を周波数軸に沿ってΔfだけ平行移動させる周波数シフトを施し、高調波信号S12’を出力する。
BPF(バンドパスフィルタ)12dは、高調波信号S12d’から通過帯域内の信号S13’を選択して出力する。このBPF12dの通過帯域は、その上限周波数がナイキスト周波数付近の周波数となっており、その下限周波数fc4はLPF13のカットオフ周波数fc1とほぼ一致している。そして、LPF13およびBPF12dは、両者の周波数特性の和が、途中に局所的な利得の山または谷を有しない滑らかな周波数特性(例えば全通過帯域においてほぼフラットな特性)を構成する。加算器14は、このLPF13の出力信号S14とBPF12dの出力信号S13’とを加算し、帯域拡張のなされた信号S15を出力する。
高調波制御部17は、第2実施形態のフィルタ制御部15と同様、入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数を求める機能を有している。そして、高調波制御部17は、この実質帯域の上限周波数に基づき、HPF18のカットオフ周波数fc3および高調波生成部11dの周波数シフト量Δfを定める。さらに詳述すると、高調波制御部17は、実質帯域の上限周波数に基づき、入力オーディオ信号S11のスペクトル分布において基音スペクトルを多く含む領域と倍音スペクトルを多く含む領域との境界となる周波数を推定し、これをHPF18のカットオフ周波数fc3として設定する。また、高調波制御部17は、高調波生成部11dによる周波数シフトを経た後の信号S12’のスペクトル分布の下限周波数fc3+ΔfがLPF13のカットオフ周波数fc1およびBPF12dのカットオフ周波数fc4よりもやや低い周波数となるように高調波生成部11dの周波数シフト量Δfを設定する。カットオフ周波数fc3および周波数シフト量Δfの設定は、曲単位で行ってもよいし、時々刻々と変化する入力オーディオ信号S11の実質帯域に合わせてリアルタイムに変化させてもよい。
図7は以上説明した本実施形態の各部の波形を示すものである。まず、LPF13により、入力オーディオ信号S11からカットオフ周波数fc1以下の帯域の信号S14が選択されて出力される。また、HPF18により入力オーディオ信号S11からカットオフ周波数fc3以上の帯域の信号S11’が選択され(図7(a)(b)(c)参照)、高調波生成部11により信号S11’のスペクトル分布を周波数シフト量Δfだけ高域側にシフトした高調波信号S12’が生成される(図7(c)(d)参照)。この高調波信号S12’のスペクトル分布の下限周波数はfc3+Δfとなり、この周波数はLPF13のカットオフ周波数fc1およびBPF12dの通過帯域の下限であるカットオフ周波数fc4よりもやや低い周波数となる(図7(b)(c)(d)(e)参照)。BPF12dは、この高調波信号S12’から通過帯域内の信号S13’を選択して出力する。加算器14は、LPF13の出力信号S14と、BPF12dの出力信号S13’とを加算し、帯域拡張のなされた信号S15を出力する(図7(f)参照)。
ここで、LPF13およびBPF12dは、両者の周波数特性の和が、途中に局所的な利得の山または谷を有しない滑らかな周波数特性を構成する。従って、加算器14の出力信号S15のスペクトル分布は、入力オーディオ信号S11が持っていたスペクトルと高調波信号S12’が持っていたスペクトルとを周波数軸上において滑らかに接続したものとなる(図7(f)参照)。このように本実施形態においても、上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態では、入力オーディオ信号S11のスペクトルから倍音スペクトルを選択し、この倍音スペクトルから高調波信号を生成しているので、帯域拡張のなされた信号S15の音質を高めることができる。
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、LPF13により入力オーディオ信号S11から選択した信号S14と、HPF12により高調波信号S12から選択した信号S13を加算器14により加算して出力信号S15を合成した。これに対し、本実施形態では、入力オーディオ信号S11から2種類以上の高調波信号を発生する。そして、入力オーディオ信号および2種類以上の高調波信号からなるM種類(Mは3以上)の各信号から、周波数軸上において並んだM個の通過帯域に属する信号を各々選択する。この選択はM個のフィルタを用いて行う。そして、M個のフィルタにより選択したM個の信号を加算して、帯域拡張のなされたオーディオ信号を生成する。M個のフィルタの周波数特性は、各々の和が途中に局所的な利得の山または谷を有しない滑らかな周波数特性を構成するような組み合わせになっている。
図8は本実施形態のM=3の場合の構成例を示すものである。また、図9は同構成例の動作を示すものである。この構成例において、高調波生成部11aは、高調波信号S12aを入力オーディオ信号S11から生成し、高調波生成部11bは、高調波信号S12aよりもさらに高域のスペクトルを含んだ高調波信号S12bを同入力オーディオ信号S11から生成する(図9(c)(d)参照)。
LPF13、BPF12aおよびHPF12bは、周波数軸上において連続した各帯域の信号S14、S13aおよびS13bを、入力オーディオ信号S11、高調波信号S12aおよびS12bから各々選択して出力する(図9(a)(b)(c)(d)参照)。そして、加算器14は、このLPF13、BPF12aおよびHPF12bの各出力信号S14、S13aおよびS13bを加算し、帯域拡張のなされた信号S15を出力する(図9(e)参照)。
ここで、LPF13、BPF12aおよびHPF12bは、周波数軸上において連続して並んだ通過帯域を有しており、各々の周波数特性の和は、途中に局所的な利得の山または谷を有しない滑らかな周波数特性を構成する(図9(a)参照)。従って、加算器14から得られる出力信号S15は、周波数軸上において入力オーディオ信号S1から選択された低域成分と高調波信号S12aから選択された中域成分S13aと高調波信号S12bから選択された高域成分S13bが滑らかに接続された自然なスペクトル分布を持った信号となる(図9(e)参照)。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1〜第4実施形態について説明したが、この発明にはこれ以外にも他の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記第1実施形態、第2実施形態においてHPF12は、通常、0dBの利得で高調波信号を通過させるものを用いるが、0dB以外の利得で高調波信号を通過させるものを用いてもよい。また、このHPF12は、BPFに置き換えてもよい。
(2)上記各実施形態において、高調波生成器の直前に、生成する高調波信号の帯域を制御するためのLPFやBPFやHPFを配置してもよい。
(3)圧縮符号化データの復号を行うデコード処理部と上記各実施形態による帯域拡張装置の間にN倍オーバサンプリングフィルタを介挿し、サンプリング周波数fsがN倍されたオーディオ信号に対し、帯域拡張を行うようにしてもよい。この場合、最大、周波数N・fs/2までの高調波信号を元のオーディオ信号に付加することができるので、さらに再生音質を改善することができる。
(4)上記第2実施形態において、入力オーディオ信号S11の実質帯域に合わせて、高調波信号を生成するための特性多項式の種類を変化させ、実質帯域の幅に見合った帯域幅の高調波信号を付加するようにしてもよい。
(5)高調波生成器11またはHPF12の後段に利得制御が可能な増幅器を配置し、入力オーディオ信号S11の振幅に合わせて、付加する高調波信号の振幅を制御するようにしてもよい。
(6)上記各実施形態では、加算器14の前段の各フィルタ(例えば第1実施形態ではLPF13およびHPF12)の周波数特性の和が「望ましい特性」となるように各フィルタの周波数特性を定めるが、この「望ましい特性」は、必ずしもフラットな特性ではない。例えば高調波生成部11が周波数シフトにより高調波信号を生成するものである場合、元の入力オーディオ信号のスペクトル分布をそのまま高域側にシフトした大きなレベルの高調波信号が生成される。従って、この場合の「望ましい特性」は、フラットな周波数特性ではなく、高域側になるに従って利得が低下するような周波数特性となる。一方、高調波生成部11が特性多項式により高調波信号を生成するものである場合、高調波信号のレベルは高域になるに従って低くなる。従って、この場合の「望ましい特性」は、高域側において利得がやや持ち上がった周波数特性となる。このように各フィルタの周波数特性に関しては、それらの和が、高調波信号の生成方式に適した「望ましい特性」を構成するように定めればよい。
この発明の第1実施形態である帯域拡張装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態におけるLPF、HPFの周波数特性を例示する図である。 同実施形態の動作を示す図である。 この発明の第2実施形態である帯域拡張装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態の動作を示す図である。 この発明の第3実施形態である帯域拡張装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態の動作を示す図である。 この発明の第4実施形態である帯域拡張装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態の動作を示す図である。 従来の帯域拡張装置の処理内容を示す図である。 圧縮符号化データの再生において帯域拡張を行う場合に生じる問題点を説明する図である。 圧縮符号化データの再生において帯域拡張を行う場合に生じる問題点を説明する図である。
符号の説明
11,11a,11b,11d……高調波生成部、12,12b,18……HPF、13……LPF、12a,12d……BPF、14……加算器、15……フィルタ制御部、17……高調波制御部。

Claims (2)

  1. 入力オーディオ信号に信号処理を施し、スペクトル分布が前記入力オーディオ信号のスペクトル分布よりも高域側に拡張された高調波信号を生成する高調波生成手段と、
    カットオフ周波数以下の帯域の信号を前記入力オーディオ信号から選択して出力する第1のフィルタと、
    前記第1のフィルタの通過帯域と連続する高域側の帯域の信号を前記高調波信号から選択して出力する第2のフィルタと、
    前記第1および第2のフィルタの各出力信号を加算して、帯域拡張のなされたオーディオ信号を出力する加算器と、を備え、
    前記入力オーディオ信号は楽曲の音波形を表し、
    前記入力オーディオ信号の表す楽曲の実質帯域を示す情報を取得し、前記実質帯域の上限周波数に応じて前記第1のフィルタの通過帯域の上限周波数および前記第2のフィルタの通過帯域の下限周波数の設定を楽曲単位で行うフィルタ制御手段をさらに備え、
    前記高調波生成手段は、
    入力オーディオ信号に高域通過処理を施すハイパスフィルタと、
    前記ハイパスフィルタの出力信号に周波数シフトを施すことにより前記高調波信号を生成する周波数シフト手段と、
    前記入力オーディオ信号の表す楽曲の実質帯域を示す情報を取得し、前記実質帯域の上限周波数に応じて前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数および前記周波数シフト手段の周波数シフト量を互いに連動させつつ楽曲単位で設定する手段であって、前記入力オーディオ信号のスペクトル分布において基音スペクトルを多く含む領域と倍音スペクトルを多く含む領域との境界と推定される周波数を前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数として設定する一方、当該カットオフ周波数に前記周波数シフト量を加算した周波数が前記第1のフィルタの通過帯域の上限周波数よりも低く、かつ前記第2のフィルタの通過帯域の下限周波数よりも低くなるように前記周波数シフト量を設定する高調波制御手段と、を含んでいる
    ことを特徴とするオーディオ信号の帯域拡張装置。
  2. 前記第1および第2のフィルタは、各々の周波数特性の和が途中に局所的な利得の山または谷を有しない滑らかな周波数特性を構成することを特徴とする請求項1に記載の帯域拡張装置。
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