JP4882383B2 - オーディオ信号の帯域拡張装置 - Google Patents

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この発明は、圧縮オーディオの再生の際の音質改善のための手段として好適な帯域拡張装置に関する。
デジタルオーディオの分野では、原音のオーディオ信号をデジタル符号化して録音等を行う場合に、再生時における折り返し雑音の発生を防ぐため、オーディオ信号からナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)以上の帯域の信号を予め除去した上で、サンプリングおよびデジタル符号化を行う。従って、デジタル符号化により得られたデジタルオーディオ信号を再生すると、原音に含まれていたナイキスト周波数以上の高域のスペクトルが欠落した音が再生されることとなる。しかし、聴感上自然で心地よい再生音を得るためには、再生対象であるオーディオ信号になるべく高域のスペクトルが含まれていた方が好ましい。このため、オーディオ再生装置の中には、再生対象である信号をオーバサンプリングするとともに、オーバサンプリング後の信号に高調波を付加して帯域を拡張する高調波生成方式の帯域拡張装置が設けられたものもある。
図9はこの種の帯域拡張装置において一般的に行われる帯域拡張の処理内容を示すものである。まず、帯域拡張装置の高調波生成部1は、入力オーディオ信号S1に所定の信号処理を施し、スペクトル分布が入力オーディオ信号S1のスペクトル分布よりも高域側に拡張された高調波信号S2を生成する(図9(a)(b)参照)。帯域拡張装置のHPF(ハイパスフィルタ)2は、この高調波信号S2からカットオフ周波数fc以上の帯域の信号S3を選択して出力する(図9(b)(c)参照)。そして、帯域拡張装置の加算器3は、入力オーディオ信号S1とHPF2の出力信号S3を加算し、帯域拡張のなされた信号S4を出力する(図9(d)参照)。
特開2003−108197号公報 特開2005−128387号公報 特開2003−140696号公報
ところで、MP3(MPEG Audio Layer−3)やAAC(Advanced Audio Coding)などの圧縮オーディオでは、圧縮効率を高めるため、圧縮符号化の際、処理対象であるオーディオ信号のナイキスト周波数寄りの高域成分のデータを除去することが一般に行われている。例えばMP3やAACにおいてサンプリング周波数が44.1kHzの場合、14kHz〜22.05kHzの帯域に対応したデータが除去される。従って、このような圧縮符号化により得られたデータを復号化し、音として再生すると、圧縮符号化前のオーディオ信号が有していたナイキスト周波数寄りの高域成分が欠落した音が再生されることとなる。その際の音質を高めるためには、上述した帯域拡張装置を利用し、復号化により得られるオーディオ信号に対して高域スペクトルを補った上で音として再生するのが好ましい。
しかしながら、圧縮符号化の際に、どの程度の帯域のデータを除去するかは、圧縮符号化データのビットレートやエンコーダの構成により区々であり、例えばビットレートが高い場合には除去される帯域が18kHz〜22.05kHzになる等、圧縮符号化データの持つスペクトルの実質帯域が変化する。このため、圧縮符号化データから復号されたオーディオ信号に上述した帯域拡張を行うと、そのオーディオ信号の実質帯域とHPF2のカットオフ周波数fcとの関係如何によっては適切な帯域拡張信号が得られない場合がある。
例えば、図10に示すように、処理対象であるオーディオ信号S1の実質帯域の上限周波数fuに比べて、HPF2のカットオフ周波数fcが高い場合、帯域拡張により得られる信号S4は、周波数軸上、途中に音のない部分のある信号となり、これを音として再生すると、高域の音量感が不自然になる。また、図11に示すように、処理対象であるオーディオ信号S1の実質帯域の上限周波数fuに比べて、HPF2のカットオフ周波数fcが低い場合、帯域拡張により得られる信号S4は、周波数軸上においてオーディオ信号S1の帯域とHPF2の出力信号S3の帯域との重複部分の音量が強調されたものとなり、これを音として再生すると、高域の音量が大きくなり過ぎる。
特許文献1は、入力オーディオ信号の周波数解析を行ってスペクトル情報を取得し、入力オーディオ信号のスペクトル分布における高域側の一部のスペクトルを、そのスペクトル分布の高域側に外挿したスペクトル分布のスペクトル情報を求め、このスペクトル情報を時間領域の信号に戻すことにより帯域拡張を行う技術を開示している。この技術によれば、周波数軸上において元の入力オーディオ信号のスペクトルと高調波信号のスペクトルとが滑らかに接続された信号を得ることができる。しかし、この技術では、入力オーディオ信号をフレーム化し、フレーム単位で周波数解析やスペクトル情報を時間領域の信号に戻す処理を行う必要があり、その処理を行うための複雑な回路やメモリが必要となるとともに、レイテンシが増大するというという問題がある。
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、入力オーディオ信号の実質帯域が固定でない場合でも、入力オーディオ信号本来のスペクトルと、付加された高調波信号のスペクトルとが接続されたスペクトル分布を有するオーディオ信号を生成することができ、しかも簡単な構成の帯域拡張装置を提供することを目的としている。
この発明は、カットオフ周波数以上の帯域の信号を入力オーディオ信号から選択して出力するフィルタ処理と、前記フィルタ処理を経た信号のスペクトル分布を周波数軸に沿ってシフトさせ、高調波信号を生成する周波数シフト処理とを実行し、少なくとも1種類の高調波信号を生成する高調波生成手段と、前記入力オーディオ信号と前記高調波信号とを加算して、帯域拡張のなされたオーディオ信号を出力する加算器と、前記入力オーディオ信号の実質帯域を検出する帯域検出手段と、前記入力オーディオ信号の実質帯域の上限周波数に応じて、前記高調波生成手段におけるフィルタ処理のカットオフ周波数および周波数シフト処理の周波数シフト量を制御する高調波制御手段とを具備することを特徴とするオーディオ信号の帯域拡張装置を提供する。
かかる発明によれば、帯域拡張のなされたオーディオ信号として、周波数軸上において、入力オーディオ信号本来のスペクトルと入力オーディオ信号から生成された高調波信号のスペクトルとが接続されたスペクトル分布を有するオーディオ信号を得ることができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、帯域拡張装置の前段には、例えば記録媒体に記録された圧縮符号化データの復号を行い、所定のサンプリング周波数のPCM信号であるオーディオ信号S11を出力するデコード処理部10が設けられている。そして、本実施形態による帯域拡張装置は、HPF11と、周波数シフト部12と、加算器13と、帯域検出部14と、高調波制御部15とにより構成されている。
図1において、HPF11と周波数シフト部12は、入力オーディオ信号S11から高調波信号S13を生成する高調波生成手段を構成している。まず、HPF11は、例えば急峻な周波数特性を持つFIR(有限インパルス応答)フィルタやIIR(無限インパルス応答)フィルタによるHPFと、ノッチフィルタとの組み合わせ等により構成されており、入力オーディオ信号S11からカットオフ周波数fc以上の帯域の信号を選択して出力する。本実施形態では、高調波制御部15による制御の下、入力オーディオ信号S11において基音スペクトルが少なく、倍音スペクトルが多く存在する帯域の信号を選択し得るようにHPF11のカットオフ周波数fcが定められる。
周波数シフト部12は、高調波制御部15から周波数シフト量Δfを指定する情報を受け取り、HPF11の出力信号S12に対して、スペクトル分布を周波数軸に沿って周波数シフト量Δfだけ平行移動させる周波数シフトを施し、高調波信号S13を出力する。加算器13は、この高調波信号S13と入力オーディオ信号S11とを加算し、帯域拡張のなされた信号S14を出力する。
周波数シフト部12としては、入力オーディオ信号S11に対し、周波数Δfの正弦波を乗算することにより高調波信号S13を生成する装置を用いてもよい。あるいはその他の周波数シフト方法、例えば特許文献2に開示された周波数シフト方法により高調波信号を生成する周波数シフト部12を採用してもよい。
帯域検出部14は、入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuを求める機能を有している。入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuを求める手段には各種の態様があり得る。ある好ましい態様において、帯域検出部14は、デコード処理部10から出力されるオーディオ信号S11のスペクトル解析を行うことにより上限周波数fuを求める。他の態様において、帯域検出部14は、デコード処理部10からデコード情報を受け取る。このデコード情報は、圧縮アルゴリズム種別情報、詳細情報、瞬時または1曲単位の実質帯域を示す情報、サンプリング周波数、ビットレートなどの情報を含む。帯域検出部14は、この情報から入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuを求める。
高調波制御部15は、帯域検出部14により求められた入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuに基づき、HPF11のカットオフ周波数fcおよび周波数シフト部12の周波数シフト量Δfを定める。さらに詳述すると、高調波制御部15は、実質帯域の上限周波数fuに基づき、入力オーディオ信号S11のスペクトル分布において基音スペクトルを多く含む領域と倍音スペクトルを多く含む領域との境界となる周波数を推定し、これをHPF11のカットオフ周波数fcとして設定する。また、高調波制御部15は、下記式により与えられる周波数シフト量Δfを周波数シフト部12に設定する。
Δf=fu−fc ……(1)
このようにHPF11のカットオフ周波数fc1および周波数シフト部12のシフト量Δfの設定がなされると、周波数シフト部12による周波数シフトを経た後の信号S13のスペクトル分布の下限周波数はfc+Δfとなり、これは入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuと一致した周波数となる。
ある態様において、高調波制御部15は、HPF11のカットオフ周波数fcの設定および周波数シフト部12の周波数シフト量Δfの設定を曲単位で行う。他の態様では、帯域検出部14は、入力オーディオ信号S11を一定時間長のフレームに区切り、フレーム単位で周波数解析を行って入力オーディオ信号S11の実質帯域を求める。高調波制御部15は、フレーム毎に得られる実質帯域の上限周波数に合わせて、HPF11のカットオフ周波数fcおよび周波数シフト部12の周波数シフト量Δfをリアルタイムに変化させる。この態様において、フレーム単位の周波数解析により得られる実質帯域の上限周波数fuに関する情報を時間軸方向において安定化させ、この安定化後の上限周波数に基づいてカットオフ周波数fcおよび周波数シフト量Δfを設定してもよい。また、無音区間では、その直前において設定したカットオフ周波数fcおよび周波数シフト量Δfを保持するように構成してもよい。
図2は以上説明した本実施形態の各部の波形を示すものである。まず、高調波制御部15による制御の下、HPF11により、入力オーディオ信号S11から倍音スペクトルを多く含むカットオフ周波数fc以上の帯域の信号S12が選択され(図2(a)(b)(c)参照)、周波数シフト部12により信号S12のスペクトル分布を周波数シフト量Δfだけ高域側にシフトした高調波信号S13が生成される(図2(c)(d)参照)。この高調波信号S13のスペクトル分布の下限周波数はfc+Δf=fc+fu−fc=fuとなる(図2(b)(c)(d)(e)参照)。加算器13は、入力オーディオ信号S11と、周波数シフト部12の出力信号S13とを加算し、帯域拡張のなされた信号S14を出力する(図2(e)参照)。
ここで、加算器13に与えられる入力オーディオ信号S11のスペクトル分布と高調波信号S13のスペクトル分布は、周波数軸上において隙間なく、かつ、大きな重複部分を生じることなく並んだものとなる。従って、加算器13の出力信号S14のスペクトル分布は、周波数軸上において入力オーディオ信号S11が持っていたスペクトルと高調波信号S13が持っていたスペクトルとを隙間なく、かつ、大きな重複部分を生じさせることなく接続したものとなる(図2(e)参照)。
なお、入力オーディオ信号の実質帯域を求めて帯域拡張を行う技術として、特許文献3に開示された技術がある。この特許文献3に開示された帯域拡張装置では、前掲図9の構成において、HPF2に相当するものとして通過帯域の制御が可能なHPFを使用し、処理対象であるオーディオ信号の実質帯域に合わせてHPFの通過帯域を設定する。従って、この帯域拡張装置においても、入力オーディオ信号のスペクトル分布と高調波信号のスペクトル分布とが接続されたスペクトル分布を持った信号が得られる。
しかし、本実施形態による帯域拡張装置は、HPF11により入力オーディオ信号S11から選択した信号S12に周波数シフトを施して高調波信号S13を生成するものである。また、その際の周波数シフト量を入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数に合わせて調整することにより、入力オーディオ信号S11が持っていたスペクトルと高調波信号S13が持っていたスペクトルとを周波数軸上において隙間なく接続されたオーディオ信号S14を得るものである。これらの点において本実施形態による帯域拡張装置は、特許文献3のものと根本的に異なる。また、本実施形態では、特許文献3のものとは異なり、入力オーディオ信号S11のスペクトルから倍音スペクトルを選択し、この倍音スペクトルから高調波信号を生成しているので、帯域拡張のなされたオーディオ信号S14の音質を高めることができる。
<第2実施形態>
図3はこの発明の第2実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。なお、この図において、前掲図1に示されたものに対応した要素には同一の符号が付されている。
この帯域拡張装置は、上記第1実施形態のものに対して、BPF16およびLPF17が追加されている。BPF16は、周波数シフト部12から出力される高調波信号S13のうち通過帯域に属する信号S16を選択して出力する。このBPF16の通過帯域の上限周波数は、ナイキスト周波数付近の周波数となっており、通過帯域の下限周波数は、例えば入力オーディオ信号S11のサンプリング周波数fsが44.1kHzである場合、14kHz程度にするのが良い。この通過帯域のカットオフ周波数は、例えば約10kHz以上などの聴覚特性上知覚し難い帯域の周波数にするのが好ましいが、入力オーディオ信号S11のサンプリング周波数が低い場合には10kHzよりも低い周波数としてもよい。LPF17は、高調波制御部15によりカットオフ周波数が制御されるフィルタであり、入力オーディオ信号S11からカットオフ周波数fc1以下の帯域の信号S15を選択して出力する。
高調波制御部15は、入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuに基づき、HPF11のカットオフ周波数fc、周波数シフト部12の周波数シフト量Δf、LPF17のカットオフ周波数fc1を設定する。
さらに詳述すると、高調波制御部15は、上記第1実施形態と同様、実質帯域の上限周波数に基づき、入力オーディオ信号S11のスペクトル分布において基音スペクトルを多く含む領域と倍音スペクトルを多く含む領域との境界となる周波数を推定し、これをHPF11のカットオフ周波数fcとして設定する。
また、高調波制御部15は、入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数をfuとした場合、下記式より与えられる周波数シフト量Δfを周波数シフト部12に設定する。
Δf=fu−fc−α ……(2)
ここで、αは所定の定数であり、周波数シフト後の信号S13のスペクトル分布の下限周波数を入力オーディオ信号S11のスペクトル分布の上限周波数よりも僅かに低くするために周波数シフト量Δfの算出に用いられる。
また、高調波制御部15は、周波数シフト後の信号S13のスペクトル分布の下限周波数fc+Δf=fc+(fu−fc−α)=fu−αと一致する周波数となるようにLPF17のカットオフ周波数fc1を設定する。
図4は以上説明した本実施形態の各部の波形を示すものである。まず、高調波制御部15による制御の下、HPF11により、入力オーディオ信号S11から倍音スペクトルを多く含むカットオフ周波数fc以上の帯域の信号S12が選択され(図4(a)(b)(c)参照)、周波数シフト部12により信号S12のスペクトル分布を周波数シフト量Δfだけ高域側にシフトした高調波信号S13が生成される(図4(c)(d)参照)。この高調波信号S13のスペクトル分布の下限周波数はfc+Δf=fc+(fu−fc−α)=fu−αとなる(図4(b)(c)(d)参照)。加算器13は、入力オーディオ信号S11のうちLPF17を通過した信号S15と、周波数シフト部12の出力信号S13のうちBPF16を通過した信号S16とを加算し、帯域拡張のなされた信号S14を出力する(図4(d)(e)(f)(g)(h)参照)。
ここで、LPF17のカットオフ周波数は高調波信号S13のスペクトル分布の下限周波数と一致しているため、加算器13に与えられるLPF17の出力信号S15のスペクトル分布とBPF16の出力信号S16のスペクトル分布は、周波数軸上において隙間なく、かつ、大きな重複部分を生じることなく並んだ分布となる。従って、加算器13の出力信号S14のスペクトル分布は、入力オーディオ信号S11が持っていたスペクトルと高調波信号S16が持っていたスペクトルとが周波数軸上において隙間なく、かつ、大きな重複部分を生じることなく接続されたものとなる(図4(h)参照)。
<第3実施形態>
図5は、この発明の第3実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。上記第1実施形態では、HPF11および周波数シフト部12が1種類の高調波信号S13を生成した。これに対し、本実施形態では、高調波制御部15による制御の下、入力オーディオ信号S11から高調波信号を生成する手段として、高調波信号S13aを生成するHPF11aおよび周波数シフト部12aの組と、高調波信号S13bを生成するHPF11bおよび周波数シフト部12bの組が設けられている。加算器13は、前者の組により生成される高調波信号S13aと、後者の組により生成される高調波信号S13bと、入力オーディオ信号S11とを加算して、帯域拡張のなされたオーディオ信号S14を出力する。高調波制御部15は、帯域検出部14により得られる入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数に基づき、HPF11aおよび11bのカットオフ周波数、周波数シフト部12aおよび12bの周波数シフト量を設定する。
図6は本実施形態の動作例を示すものである。上記第1実施形態と同様、高調波制御部15は、帯域検出部14により検出される入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuに基づき、入力オーディオ信号S11のスペクトル分布において基音スペクトルを多く含む領域と倍音スペクトルを多く含む領域との境界となる周波数を推定し、これをHPF11aおよび11bのカットオフ周波数fcとして設定する(図6(a)参照)。そして、高調波制御部15は、HPF11aおよび周波数シフト部12aの組により生成される高調波信号S13aのスペクトル分布の下限周波数が入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuと一致するように、周波数シフト部12aの周波数シフト量を設定する(図6(a)(b)参照)。また、高調波制御部15は、HPF11bおよび周波数シフト部12bの組により生成される高調波信号S13bのスペクトル分布の下限周波数が高調波信号13aのスペクトル分布の上限周波数と一致するように、周波数シフト部12bの周波数シフト量を設定する(図6(b)(c)参照)。このように周波数シフト量の設定が行われることにより、周波数軸上において入力オーディオ信号S11のスペクトルと高調波信号S13aのスペクトルと高調波信号S13bのスペクトルが隙間なく接続されたスペクトル分布を持ったオーディオ信号S14が加算器13から出力される。
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、周波数軸上において隙間なく並んだスペクトル分布を持つ2種類の高調波信号S13aおよびS13bを生成して、入力オーディオ信号S11に付加するので、付加する高調波信号の帯域幅を広くすることができるという利点がある。
<第4実施形態>
図7は、この発明の第4実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。本実施形態における帯域拡張装置では、上記第3実施形態のものに対して、LPF17、BPF16a、BPF16bが追加されている。高調波制御部15は、帯域検出部14により得られる入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数に基づき、HPF11aおよび11bのカットオフ周波数、周波数シフト部12aおよび12bの周波数シフト量、LPF17、BPF16aおよびBPF16bの通過帯域を制御する。
図8は本実施形態の動作例を示すものである。上記第3実施形態と同様、高調波制御部15は、帯域検出部14により検出される入力オーディオ信号S11の実質帯域の上限周波数fuに基づき、HPF11aおよび11bのカットオフ周波数fcを設定する(図8(a)参照)。
また、高調波制御部15は、周波数シフト部12aから出力される高調波信号S13aのスペクトル分布の低域側部分と入力オーディオ信号S11のスペクトル分布の高域側部分とが所定幅の帯域に亙ってオーバラップするように、周波数シフト部12aの周波数シフト量を設定する(図8(a)(b)参照)。そして、高調波制御部15は、この2つのスペクトル分布のオーバラップが発生している帯域の中間の周波数を、LPF17のカットオフ周波数およびBPF16aの下側のカットオフ周波数として設定する(図8(a)(b)(d)参照)。
また、高調波制御部15は、周波数シフト部12bから出力される高調波信号S13bのスペクトル分布の低域側部分と高調波信号13aのスペクトル分布の高域側部分とが所定幅の帯域に亙ってオーバラップするように、周波数シフト部12bの周波数シフト量を設定する(図8(b)(c)参照)。そして、高調波制御部15は、この2つのスペクトル分布のオーバラップが発生している帯域の中間の周波数を、BPF16aの上側のカットオフ周波数およびBPF16bの下側のカットオフ周波数として設定する(図8(a)(c)(d)参照)。
以上のようにHPF11aおよび11bのカットオフ周波数、周波数シフト部12aおよび12bの周波数シフト量、LPF17、BPF16aおよび16bのカットオフ周波数が設定されることにより、周波数軸上において入力オーディオ信号S11が持っていたスペクトルと高調波信号S13aが持っていたスペクトルと高調波信号S13bが持っていたスペクトルとが隙間なく、かつ、大きな重複部分を生じさせることなく接続されたスペクトル分布を持ったオーディオ信号S14が加算器13から出力される(図8(e)参照)。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1〜第4実施形態について説明したが、この発明にはこれ以外にも他の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)圧縮符号化データの復号を行うデコード処理部と上記各実施形態による帯域拡張装置の間にN倍オーバサンプリングフィルタを介挿し、サンプリング周波数fsがN倍されたオーディオ信号に対し、帯域拡張を行うようにしてもよい。この場合、最大、周波数N・fs/2までの高調波信号を元のオーディオ信号に付加することができるので、さらに再生音質を改善することができる。
(2)加算器13における高調波信号の入力経路に利得制御が可能な増幅器を介挿し、周波数軸上において加算器13の出力信号S14のスペクトル分布に大きな段差を生じせないように各高調波信号の振幅を制御するようにしてもよい。
(3)上記第4実施形態において、加算器13の前段の各フィルタの周波数特性の和が、望ましい周波数特性、すなわち、途中に局所的な利得の山または谷を有しない滑らかな周波数特性(例えば全通過帯域においてほぼフラットな特性)を構成するようにしてもよい。このようにすることで、加算器13の出力信号のスペクトル分布はさらに滑らかなものとなる。ここで、望ましい特性は、必ずしもフラットな特性である必要はない。例えば周波数シフトにより高調波信号を生成する場合、元の入力オーディオ信号のスペクトル分布をそのまま高域側にシフトした大きなレベルの高調波信号が生成される。従って、加算器13の前段の各フィルタの周波数特性の和が、フラットな周波数特性ではなく、高域側になるに従って利得が低下する周波数特性となるようにしてもよい。
(4)上記第4実施形態では、入力オーディオ信号と合成する高調波信号を2種類生成したが、入力オーディオ信号と合成する高調波信号は、1種類としてもよく、3種類以上としてもよい。
この発明の第1実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態の動作を示す波形図である。 この発明の第2実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態の動作を示す波形図である。 この発明の第3実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態の動作を示す波形図である。 この発明の第4実施形態である帯域拡張装置を含むオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態の動作を示す波形図である。 従来の帯域拡張装置の処理内容を示す図である。 圧縮符号化データの再生において帯域拡張を行う場合に生じる問題点を説明する図である。 圧縮符号化データの再生において帯域拡張を行う場合に生じる問題点を説明する図である。
符号の説明
11,11a,11b……HPF、12,12a,12b……周波数シフト部、13……加算器、14……帯域検出部、15……高調波制御部、17……LPF、16,16a,16b……BPF。

Claims (1)

  1. カットオフ周波数以上の帯域の信号を入力オーディオ信号から選択して出力するフィルタ処理と、前記フィルタ処理を経た信号のスペクトル分布を周波数軸に沿ってシフトさせ、高調波信号を生成する周波数シフト処理とを実行し、少なくとも1種類の高調波信号を生成する高調波生成手段と、
    前記入力オーディオ信号と前記高調波信号とを加算して、帯域拡張のなされたオーディオ信号を出力する加算器と、
    前記入力オーディオ信号の実質帯域を検出する帯域検出手段と、
    前記入力オーディオ信号の実質帯域の上限周波数に応じて、前記高調波生成手段におけるフィルタ処理のカットオフ周波数および周波数シフト処理の周波数シフト量を制御する高調波制御手段と、
    前記加算器における前記入力オーディオ信号の入力経路に介挿されたローパスフィルタとを具備し、
    前記入力オーディオ信号は楽曲の音波形を表し、
    前記高調波制御手段は、前記ローパスフィルタを通過して前記加算器に入力される信号および前記高調波生成手段により生成される1種類以上の高調波信号の各スペクトル分布が、周波数軸上において隙間なく、かつ、大きな重複部分を生じることなく並ぶように、前記入力オーディオ信号のスペクトル分布において基音スペクトルを多く含む領域と倍音スペクトルを多く含む領域との境界と推定される周波数を前記フィルタ処理のカットオフ周波数として設定する処理と、前記入力オーディオ信号の実質帯域の上限周波数と当該カットオフ周波数との差よりも所定量だけ小さい値を前記周波数シフト量として設定する処理と、当該カットオフ周波数と当該周波数シフト量との和に等しい値を前記ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数として設定する処理と、を楽曲単位で実行する
    ことを特徴とする帯域拡張装置。
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