JP4815986B2 - 補間装置、オーディオ再生装置、補間方法および補間プログラム - Google Patents

補間装置、オーディオ再生装置、補間方法および補間プログラム Download PDF

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Description

本発明は、補間装置、オーディオ再生装置、補間方法および補間プログラムに関する。
特許文献1は、オーディオ信号再生装置を開示する。このオーディオ信号再生装置は、オーバサンプリングディジタルローパスフィルタの出力オーディオ信号とその絶対値成分を含む信号とを乗算することにより高調波成分を生成してその高調波成分のうちのfs/2以上の高調波成分を抽出して読出原信号成分に重畳する。
特開平7−93900号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明など)
音楽などのデジタル記録および再生は、一般化している。音楽などをデジタル記録する場合、音楽の波形信号をサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングにより得られる量子化ビットのデータを記録することになる。
音楽などのデジタル記録には、CD−DA(Compact Disc Digital Audio)が用いられてきた。CD−DAでは、サンプリング周波数は、44.1kHzであり、量子化ビットは16ビットである。人が聞き取れる音の周波数は、20kHz程度であると言われている。サンプリング周波数を44.1kHzとすることで、CD−DAでは、約22kHzの周波数成分までをデジタル化することができる。人が聞き取れる音の周波数帯(たとえば0〜20kHz)をカバーすることができる。
しかしながら、このように人の聞き取ることができると言われている音域をカバーする音質であったとしても、CD−DAの再生音に違和感を訴えることがある。人によっては、音のツヤが無いとか、音がこもっているとかなどと、再生音に違和感を訴えることがある。特に、クラシックやオーケストラなどの多くのアコースティック楽器を用いた楽曲を聞く人に、再生音に違和感を訴える人が多いように見受けられる。
近年、新たな音楽のデジタル記録方式が提案され、実用化されている。たとえば、SACD(スーパーオーディオCD)である。SACDでは、DSD(ダイレクト・ストリーム・デジタル)信号を記録再生する。DSD信号のサンプリング周波数は、2822.4kHzである。これにより、約80〜100kHz程度までの音の周波数成分をデジタル化することができる。
このように次世代のデジタル記録方式が出現し、音楽のデジタル記録方式の世代交代が図られた場合、従来のCD−DAで記録された楽曲は、音質が悪いデータとなり、その利用価値が低下してしまう可能性が生じている。
そこで、特許文献1に記載される技術を利用して、従来のCD−DAで記録された楽曲の高音質化を図ることが考えられる。しかしながら、特許文献1では、オーバサンプリングディジタルローパスフィルタの出力オーディオ信号とその絶対値成分を含む信号とを乗算して得られる信号の内、fs/2以上の高調波成分を読出原信号成分に重畳している。この重畳乗算の結果として得られる信号は、ノイズ的な音質である。そして、読出原信号に、このノイズ的な高周波成分を高周波成分として加えたとしても、その音質が向上するとはいえない。ノイズ成分の強度を上げて再生音自体の違和感を隠していると言える。
本発明は、高周波帯域に、楽器などの倍音成分を含む成分を好適に補間し、これにより音質を向上することができる補間装置、オーディオ再生装置、補間方法および補間プログラムを得ることを目的とする。
本発明に係る補間装置は、可聴帯域の周波数成分を有し、所定のサンプリング周波数によってサンプリングされる時間軸上の複数の量子化ビットデータからなるオーディオ波形データが入力され、このオーディオ波形データのサンプリング周波数を上げるアップサンプラと、オーディオ波形データが入力され、オーディオ波形データの3つ以上の量子化ビットデータから各量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成し、その平滑化データを、アップサンプラと同様にアップサンプリングする平滑化アップサンプリングフィルタと、アップサンプラによりアップサンプリングされたオーディオ波形データの中の、所定のサンプリング周波数に対応する所定のナイキスト周波数以下の周波数成分に、平滑化アップサンプリングフィルタより生成されたデータの中の、所定の周波数以上の周波数成分を加算する加算器と、を有するものである。
本発明に係る補間装置は、上述した発明の構成に加えて、平滑化アップサンプリングフィルタが、各平滑化データとその1つ前の平滑化データとの差分データを生成する減算部と、減算部により生成される差分データを2回以上遅延してその遅延回数分の差分データを保持する複数の遅延部と、複数の遅延部により保持される2つ以上の差分データを、アップサンプラに入力されるオーディオ波形データの量子化ビットデータに、所定の割合で加算して平滑化データを生成する加算部と、を有するものである。
本発明に係る補間装置は、上述した発明の各構成に加えて、平滑化アップサンプリングフィルタが、アップサンプラに入力されるオーディオ波形データの量子化ビットデータに、それ以前にアップサンプラに入力された2つ以上の量子化ビットデータに基づく2つ以上のデータを加算して、該入力される量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成する加算部と、アップサンプリング後の平滑化データから、所定のナイキスト周波数以上の少なくとも可聴帯域外の周波数成分を抽出するIIRフィルタ部と、を有し、IIRフィルタ部のフィードバックデータが、加算部においてアップサンプラに入力される量子化ビットデータと加算されるものである。
本発明に係る補間装置は、上述した発明の各構成に加えて、補間する高周波成分の強度として、アップサンプラに入力されるオーディオ波形データの強度より低い強度を予測する強度分布判断部と、予測された強度に基づいて、加算器により生成されるオーディオ波形データの中の、少なくとも補間された周波数成分の強度を変化させる可変イコライザと、を有するものである。
本発明に係るオーディオ再生装置は、上述した発明の各構成に加えて、可聴帯域の帯域幅の半分以上の周波数成分を有する所定のサンプリング周波数のオーディオ波形データを生成するデコーダと、デコーダにより生成されたオーディオ波形データに対して高周波成分を補間する上述した発明の各構成に係る補間装置と、補間装置により補間されたオーディオ波形データから、オーディオの波形信号を生成するオーディオアンプと、を有するものである。
本発明に係る補間方法は、可聴帯域の周波数成分を有し、所定のサンプリング周波数によってサンプリングされる時間軸上の複数の量子化ビットデータからなるオーディオ波形データのサンプリング周波数を上げる第一のステップと、オーディオ波形データの3つ以上の量子化ビットデータから各量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成し、その平滑化データを、第一のステップと同様にアップサンプリングする第二のステップと、第一のステップによりアップサンプリングされたオーディオ波形データの中の、所定のサンプリング周波数に対応する所定のナイキスト周波数以下の周波数成分に、第二のステップにより生成されたデータの中の、所定の周波数以上の周波数成分を加算するステップと、を有するものである。
本発明に係る補間装置は、上述した発明の構成に加えて、コンピュータを、可聴帯域の周波数成分を有し、所定のサンプリング周波数によってサンプリングされる時間軸上の複数の量子化ビットデータからなるオーディオ波形データが入力され、このオーディオ波形データのサンプリング周波数を上げるアップサンプラと、オーディオ波形データが入力され、オーディオ波形データの3つ以上の量子化ビットデータから各量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成し、その平滑化データを、アップサンプラと同様にアップサンプリングする平滑化アップサンプリングフィルタと、アップサンプラによりアップサンプリングされたオーディオ波形データの中の、所定のサンプリング周波数に対応する所定のナイキスト周波数以下の周波数成分に、平滑化アップサンプリングフィルタより生成されたデータの中の、所定の周波数以上の周波数成分を加算する加算器として機能させるものである。
本発明では、高周波帯域に、楽器などの倍音成分を含む成分を好適に補間し、これにより音質を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る補間装置、オーディオ再生装置、補間方法および補間プログラムを、図面に基づいて説明する。オーディオ再生装置は、ポータブルオーディオプレーヤを例として説明する。補間装置および補間プログラムは、オーディオ再生装置の構成の一部として説明する。補間方法は、オーディオ再生装置の動作の一部として説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るポータブルオーディオプレーヤを示すブロック図である。ポータブルオーディオプレーヤは、ハードディスクドライブ(HDD)1と、デコーダ2と、補間装置としての補間部3と、オーディオアンプ4と、ヘッドホンジャック5と、を有する。補間部3は、本実施の形態では可聴帯域外成分を補間する。
ハードディスクドライブ1は、楽曲などのロスレス圧縮データ6を記憶する。ハードディスクドライブ1は、複数の楽曲のロスレス圧縮データ6を記憶する。
ロスレス圧縮データ6は、CD(Compact Disc)などでの楽曲記録に使用されるリニアPCM(Pulse Code Modulation)データへ可逆的に変換可能なデータであり、且つ、リニアPCMデータより少ないデータ量になる。
オーディオ波形データの一種としてのリニアPCMデータは、楽曲などを一定時間ごとにサンプリングしたデータである。サンプリングされた各時刻のデータは、量子化ビットデータとなる。リニアPCMデータは、複数の量子化ビットデータからなる。複数の量子化ビットデータは、リニアPCMデータにおいてサンプリングされた時刻の順番で並ぶ。CD用のリニアPCMデータは、44.1kHzのサンプリング周波数でサンプリングしたデータである。この場合、複数の量子化ビットデータには、サンプリング周波数の半分の約22kHzのナイキスト周波数までの周波数成分をデータ化することができる。人の可聴帯域の上限は、約20kHzと言われている。CD用のリニアPCMデータは、この一般的な人の可聴帯域をカバーする。22kHz以上の周波数成分、つまり可聴帯域外の高周波成分は、基本的に含まれない。また、CD用のリニアPCMデータの量子化ビットは、16ビットである。
なお、ロスレス圧縮データ6は、ハードディスクドライブ1以外の記憶装置、たとえば半導体メモリなどに記憶されていてもよい。
デコーダ2は、ロスレス圧縮データ6をデコードし、リニアPCMデータを生成する。デコーダ2が生成するリニアPCMデータは、量子化ビットが16ビットであり、且つ、44.1kHzの周波数である。
図2は、図1中の補間部3を示すブロック図である。補間部3は、アップサンプラ11と、LPF(Low Pass Filter:ローパスフィルタ)12と、平滑化アップサンプリングフィルタ13と、加算器14と、可変イコライザとしての帯域別可変イコライザ15と、入力信号周波数領域変換部16と、強度分布判断部としての電力分布判断部17と、生成信号周波数領域変換部18と、を有する。
なお、補間部3は、図1に示すように、DSP(Digital Signal Processor)7により実現される。DSP7は、プログラムを実行するコンピュータの一種であり、たとえば補間プログラムを実行することで、補間部3を実現する。この補間プログラムは、DSP7の図示外の記憶部に予め記憶された状態でポータブルオーディオプレーヤとともにユーザに提供されても、ポータブルオーディオプレーヤとは別にユーザに提供されて所定の保存処理によりDSP7の図示外の記憶部に記憶されてもよい。補間プログラムを、ポータブルオーディオプレーヤとは別にユーザへ提供する媒体としては、たとえばインターネット、電話通信網などの伝送媒体や、CD、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記憶媒体などがある。DSP7は、補間部3とともに、デコーダ2やオーディオアンプ4を実現するものであってもよい。
アップサンプラ11には、リニアPCMデータが入力される。アップサンプラ11は、リニアPCMデータをアップサンプリングし、サンプリング周波数が88.2kHzであるリニアPCMデータを生成する。リニアPCMデータのサンプリング周波数は、2倍になる。
LPF12には、アップサンプラ11によりアップサンプリングされたリニアPCMデータが入力される。LPF12は、アップサンプリング前のリニアPCMデータが有するナイキスト周波数以上の周波数成分、つまりここでは約22kHz以上の高周波成分を取り除いたリニアPCMデータを生成する。
図3は、図2中の平滑化アップサンプリングフィルタ13を示すブロック図である。平滑化アップサンプリングフィルタ13は、平滑化フィルタ部21と、アップサンプラ部22と、IIR(infinite impulse response)フィルタ部としてのHPF部23と、を有する。
平滑化フィルタ部21は、各量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成するものである。平滑化フィルタ部21は、加算部としての平滑第一加算器31と、減算部としての平滑減算器32と、平滑第一係数乗算器33と、複数の遅延部の一部としての平滑第一遅延器34と、複数の遅延部の一部としての平滑第二遅延器35と、平滑第二係数乗算器36と、平滑第三係数乗算器37と、平滑第二加算器38と、を有する。
平滑第一加算器31は、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータなどが入力される。平滑第一加算器31は、リニアPCMデータの量子化ビットデータ毎に、入力されるすべてのデータを加算し、平滑化データを生成する。
平滑減算器32には、平滑第一加算器31が生成した平滑化データと、1つ前に平滑第一加算器31が生成した平滑化データとが入力される。1つ前の平滑化データは、具体的には、HPF部の後述するHPF第一遅延器51の出力データが、平滑第一係数乗算器33を介して入力される。平滑減算器32は、1つ前の平滑化データから、平滑第一加算器31が生成した平滑化データを減算する。
平滑第一遅延器34は、平滑減算器32が生成する差分データを遅延する。平滑第一遅延器34は、差分データを、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのサンプリング周期(=1/サンプリング周波数)に相当する時間遅延する。これにより、平滑第一遅延器34は、1つ前の量子化ビットデータに基づく差分データを生成する。
平滑第二遅延器35は、平滑第一遅延器34が遅延した差分データを遅延する。平滑第二遅延器35は、差分データを、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのサンプリング周期(=1/サンプリング周波数)に相当する時間遅延する。これにより、平滑第二遅延器35は、2つ前の量子化ビットデータに基づく差分データを生成する。
平滑第二加算器38には、平滑第一遅延器34が遅延した1つ前の量子化ビットデータに基づく差分データが、平滑第二係数乗算器36を介して入力され、且つ、平滑第二遅延器35が遅延した2つ前の量子化ビットデータに基づく差分データが、平滑第三係数乗算器37を介して入力される。平滑第二加算器38は、この2つの差分データを加算する。平滑第二加算器38により加算されたデータは、平滑第一加算器31へ出力される。
なお、平滑第一係数乗算器33、平滑第二係数乗算器36および平滑第三係数乗算器37は、入力されるデータに所定の係数を乗算する。これら係数の値の組合せにより、平滑化フィルタ部のフィルタ特性が決定される。この3つの係数の値は、たとえば、平滑化フィルタ部21が、平滑第一加算器31に連続して入力される3つの量子化ビットデータの平均値を演算するように選択されればよい。
アップサンプラ部22には、平滑化フィルタ部21の平滑第一加算器31が生成する平滑化データが入力される。アップサンプラ部22は、アップサンプラ遅延器41と、二入力切替スイッチ42と、を有する。
アップサンプラ遅延器41は、平滑化データを遅延させる。アップサンプラ遅延器41は、平滑化データを、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのサンプリング周期に相当する時間遅延する。
二入力切替スイッチ42には、平滑第一加算器31が生成した平滑化データと、アップサンプラ遅延器41により遅延された平滑化データとが入力される。二入力切替スイッチ42は、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのサンプリング周期の半分の時間毎に切り換えて、この2つの平滑化データを交互に出力する。二入力切替スイッチ42が出力する平滑化データの周期は、アップサンプラ11が生成するリニアPCMデータのサンプリング周期と同じになる。
このようにアップサンプラ部22によりアップサンプリングされた平滑化データは、 HPF部23へ供給される。HPF部23は、アップサンプリングされた平滑化データの周波数成分の中の、入力リニアPCMデータのナイキスト周波数以上の周波数成分を抽出するものであり、2次のIIRフィルタ構成を有する。
HPF部23は、HPF第一遅延器51と、HPF第二遅延器52と、HPF第一FB(FeedBack)係数乗算器53と、HPF第二FB係数乗算器54と、HPFFB加算器55と、HPF第一FF(FeedFoword)係数乗算器56と、HPF第二FF係数乗算器57と、HPFFF加算器58と、HPF出力加算器59と、HPF出力係数乗算器60と、を有する。
HPF第一遅延器51には、アップサンプラ部22によりアップサンプリングされた平滑化データが入力される。HPF第一遅延器51は、アップサンプリング後の平滑化データを、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのサンプリング周期に相当する時間遅延する。なお、HPF第一遅延器51により遅延された平滑化データは、平滑第一係数乗算器33へ供給される。
HPF第二遅延器52には、HPF第一遅延器51により遅延されたアップサンプリング後の平滑化データが入力される。HPF第一遅延器51は、アップサンプリング後の平滑化データを、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのサンプリング周期に相当する時間遅延する。
HPFFB加算器55には、HPF第一遅延器51が遅延した1つ前の平滑化データが、HPF第一FB係数乗算器53を介して入力され、且つ、HPF第二遅延器52が遅延した2つ前の平滑化データが、HPF第二FB係数乗算器54を介して入力される。HPFFB加算器55は、この2つの平滑化データを加算する。HPFFB加算器55により加算されたデータは、平滑第一加算器31へ出力される。
HPFFF加算器58には、HPF第一遅延器51が遅延した1つ前の平滑化データが、HPF第一FF係数乗算器56を介して入力され、且つ、HPF第二遅延器52が遅延した2つ前の平滑化データが、HPF第二FF係数乗算器57を介して入力される。HPFFF加算器58は、この2つの平滑化データを加算する。HPFFF加算器58により加算されたデータは、HPF出力加算器59へ出力される。
HPF出力加算器59には、HPFFF加算器58が加算したデータの他にも、アップサンプラ部22によりアップサンプリングされた平滑化データが、HPF出力係数乗算器60を介して入力される。HPF出力加算器59は、この2つのデータを加算する。HPF出力加算器59の演算結果は、平滑化アップサンプリングフィルタ13の出力データとなる。
なお、HPF第一FB係数乗算器53、HPF第二FB係数乗算器54、HPF第一FF係数乗算器56、HPF第二FF係数乗算器57およびHPF出力係数乗算器60は、入力されるデータに所定の係数を乗算する。これら係数の値の組合せにより、HPF部13のフィルタ特性が決定される。この5つの係数の値は、たとえば、HPF部13が、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのナイキスト周波数以上の周波数成分を抽出する特性となるように選択されればよい。
平滑化アップサンプリングフィルタ13の出力データは、図2に示すように、加算器14へ供給される。加算器14には、この他にも、LPF12が生成したリニアPCMデータが供給される。加算器14は、この2つのデータを加算する。
図2の上段に示す入力信号周波数領域変換部16は、入力されるデータを周波数領域へ変換したデータを出力する。入力信号周波数領域変換部16には、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータが入力される。入力信号周波数領域変換部16は、リニアPCMデータを周波数領域へ変換する。
生成信号周波数領域変換部18は、加算器14により生成されるリニアPCMデータを周波数領域へ変換する。
電力分布判断部17は、入力信号周波数領域変換部16により変換された周波数領域のデータを解析し、入力信号周波数領域変換部16に入力されるリニアPCMデータの周波数毎の電力強度の分布を得る。電力分布判断部17は、解析により得たリニアPCMデータの周波数毎の電力強度分布に基づいて、そのリニアPCMデータの周波数成分より高周波側となる周波数帯、つまり可聴帯域外の周波数帯を含めた周波数毎の電力強度分布を予測する。電力分布判断部17は、加算器14が生成するデータにおける周波数毎の強度分布が、その予測した周波数毎の電力強度分布となるように、周波数毎の強度補正係数を演算する。
帯域別可変イコライザ15には、加算器14が生成したデータが入力される。帯域別可変イコライザ15は、入力されるデータに含まれる周波数毎の強度を、電力分布判断部17が演算した周波数毎の強度補正係数に基づいて、周波数毎に調整する。なお、この実施の形態において加算器14は後述するように0〜44kHzの周波数成分を有するデータを生成する。帯域別可変イコライザ15は、このデータの中のたとえば22〜44kHzの周波数成分を所定の帯域に分割し、それぞれの帯域の電力強度を調整すればよい。
図1に戻る。補間部3の後段には、オーディオアンプ4が接続される。オーディオアンプ4には、リニアPCMデータが入力される。オーディオアンプ4は、88.2kHzの周波数でサンプリングされたリニアPCMデータから、アナログ波形信号を生成する。アナログ波形信号の振幅は、リニアPCMデータの量子化ビットの値に応じて変化するものになる。オーディオアンプ4は、生成したアナログ波形信号を、ヘッドホンジャック5へ出力する。
ヘッドホンジャック5には、図示外のヘッドホンプラグが接続可能である。図1では、ヘッドホンジャック5には、スピーカ8に接続されたヘッドホンプラグが装着されている。
次に、以上の構成を有するポータブルオーディオプレーヤの動作を説明する。
デコーダ2は、ハードディスクドライブ1からロスレス圧縮データ6を読み込む。なお、デコーダ2は、たとえば、ポータブルオーディオプレーヤの図示外の入力キーの操作などに基づいて選択した楽曲のロスレス圧縮データ6を、ハードディスクドライブ1から読み込むようにすればよい。
デコーダ2は、読み込んだロスレス圧縮データ6をデコードし、リニアPCMデータを生成する。デコーダ2は、44.1kHzの周波数での周期毎に、16ビットの量子化ビットデータを生成する。デコーダ2は、生成したリニアPCMデータの量子化ビットデータを、補間部3へ出力する。
補間部3のアップサンプラ11は、デコーダ2から入力されるリニアPCMデータをアップサンプリングし、88.2kHzのサンプリング周波数にてサンプリングしたリニアPCMデータを生成する。アップサンプラ11は、たとえば、44.1kHzの入力リニアPCMデータの各量子化ビットを、88.2kHzのサンプリング周波数の下で2回続けて出力すればよい。これにより、88.2kHzのサンプリング周波数にてサンプリングしたリニアPCMデータとなる。
図4は、補間部3におけるPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。図4(A)は、デコーダ2から補間部3へ供給される、44.1kHzの周波数でサンプリングされたリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。デコーダ2から出力されるリニアPCMデータは、0から約22kHzまでの周波数成分を有する。図4(B)は、アップサンプラ11により生成される88.2kHzの周波数でサンプリングされたリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。
図4(A)および(B)に示すように、アップサンプラ11により2倍の周波数にアップサンプリングされることで、リニアPCMデータには、オリジナルのリニアPCMデータの周波数成分のイメージ成分が含まれる。イメージ成分は、約22〜44kHzに発生する。
アップサンプラ11は、生成したリニアPCMデータをLPF12へ供給する。LPF12は、入力されるリニアPCMデータから、約22kHz以上の高周波成分を取り除く。
図4(C)は、LPF12が生成するリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。LPF12が生成するリニアPCMデータでは、約22kHz以上の高周波成分が無くなっている。LPF12は、生成したリニアPCMデータを、加算器14へ供給する。
図4(D)は、平滑化アップサンプリングフィルタ13が生成するリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。平滑化アップサンプリングフィルタ13が生成するリニアPCMデータは、図4(D)において実線で示されている約22〜44kHzの周波数成分を有する。
平滑化アップサンプリングフィルタ13の動作について詳しく説明する。平滑化アップサンプリングフィルタ13に入力されるリニアPCMデータは、まず、平滑化フィルタ部21へ供給される。平滑化フィルタ部21の平滑第一加算器31は、このリニアPCMデータに、平滑第二加算器38が生成したデータおよびHPFFB加算器55が生成したデータとを加算する。平滑第一加算器31は、これらの入力データをすべて加算し、入力されるリニアPCMデータの各量子化ビットデータの変化を抑えた、平滑化データを生成する。
図5は、平滑化アップサンプリングフィルタ13におけるリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。図5(A)は、平滑化アップサンプリングフィルタ13に入力されるリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。図5(A)は、図4(A)と同じものである。図5(B)は、平滑化フィルタ部21が生成する平滑化データの周波数成分の模式的な分布図である。図5(B)を図5(A)と比べれば解るように、平滑化フィルタ部21が生成する平滑化データでは、その高周波側の成分が抑制されている。
平滑化フィルタ部21が生成する平滑化データは、平滑第一加算器31からアップサンプラ部22へ供給される。アップサンプラ部22の二入力切替スイッチ42は、平滑第一加算器31から供給されている平滑化データと、1つ前に供給され平滑化データとを交互にアップサンプリングする。
図5(C)は、アップサンプラ部22にアップサンプリングされた後の平滑化データの周波数成分の模式的な分布図である。この周波数成分の高周波側には、アップサンプリングにより生成されるイメージ成分が含まれる。平滑化フィルタ部21により3点以上の量子化ビットデータが平滑化されているため、アップサンプリングにより生成されるこのイメージ成分は、原音データの周波数成分の上限周波数(約22kHz)より低い周波数から、高周波側にかけて生成される。
アップサンプリング後の平滑化データは、HPF部23へ供給される。HPF部23は、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータのナイキスト周波数(約22kHz)以上の周波数成分を抽出する。図5(D)は、HPF部23により抽出される周波数成分の模式的な分布図である。図5(D)は、図4(D)と同じものである。図5(D)では、約22〜44kHzの周波数成分が抽出される。この周波数成分は、アップサンプリングにより生成されるイメージ成分の一部である。
HPF部23が抽出したデータは、平滑化アップサンプリングフィルタ13により生成されたリニアPCMデータとして、加算器14へ供給される。加算器14には、加算するもう一つのデータとして、図4(C)に示すLPF12からのリニアPCMデータが入力される。加算器14は、これら2つのリニアPCMデータの周波数成分同士を加算する。
図4(E)は、加算器14が生成するリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。加算器14が生成するリニアPCMデータは、約22kHz以下の低周波成分として、LPF12が生成したリニアPCMデータと同様の周波数成分を有し、約22〜44kHz以上の高周波成分として、平滑化アップサンプリングフィルタ13が生成したリニアPCMデータと同様の周波数成分を有する。
ところで、図2に示すように、デコーダ2が補間部3へ出力するリニアPCMデータは、アップサンプラ11の他に、図2上段の入力信号周波数領域変換部16へ供給される。入力信号周波数領域変換部16は、入力されるリニアPCMデータを周波数領域へ変換する。また、生成信号周波数領域変換部18は、加算器14により生成されるリニアPCMデータを周波数領域へ変換する。
電力分布判断部17は、入力信号周波数領域変換部16により変換された周波数領域のデータを解析し、入力信号周波数領域変換部16に入力されるリニアPCMデータの周波数毎の電力強度の分布を得る。電力分布判断部17は、入力される周波数領域のデータをたとえば2kHzなどの所定の周波数帯毎に分け、それぞれの周波数帯毎の平均的な電力強度を演算すればよい。
電力分布判断部17は、解析により得たリニアPCMデータの電力強度分布に基づいて、そのリニアPCMデータの周波数成分より高周波側となる周波数帯、つまり可聴帯域外の周波数帯(たとえばここでは44kHzくらいまで)を含めた電力強度分布を予測する。
楽曲などの周波数成分は、全体的に見ると、通常、低周波側において電力強度が高く、高周波側になるほど電力強度が低下する周波数特性を有する。また、電力強度は、全体的に見ると、周波数の上昇に伴ってゆるやかに低下する。
したがって、電力分布判断部17は、たとえば、周波数の上昇に伴って、可聴帯域外の周波数が周波数帯毎に段階的に低下する電力強度分布を予測すればよい。電力分布判断部17は、ここでは44kHzまでの周波数成分の電力強度分布を予測する。
電力分布判断部17には、入力信号周波数領域変換部16により変換された周波数領域のデータの他に、生成信号周波数領域変換部18により周波数領域へ変換された加算器14のリニアPCMデータ(図4(E))が入力される。電力分布判断部17は、この加算器14により生成されたリニアPCMデータの電力強度分布が、予測した電力強度分布となるように、周波数の強度補正係数を演算する。電力分布判断部17は、たとえば、まず、加算器14が生成したリニアPCMデータの電力強度分布に基づいて所定の周波数帯毎の平均的な電力強度を演算し、次に、その周波数帯毎に演算した電力強度を先に予測計算した周波数帯毎の電力強度で除算することで、周波数帯毎の強度補正係数を演算すればよい。
電力分布判断部17が演算した周波数毎の強度補正係数は、帯域別可変イコライザ15に供給される。帯域別可変イコライザ15には、この他にも、加算器14が生成する図4(E)のリニアPCMデータが入力される。
帯域別可変イコライザ15は、加算器14から供給されるリニアPCMデータに、周波数毎の強度補正係数を乗算する。帯域別可変イコライザ15は、たとえば加算器14から供給されるリニアPCMデータを所定の周波数帯毎に分け、その周波数帯毎に、入力される周波数帯毎の強度補正係数を乗算すればよい。
図4(F)は、帯域別可変イコライザ15が生成するリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。帯域別可変イコライザ15が生成するリニアPCMデータでは、約22〜44kHzの周波数成分の電力強度が低下している。また、約22kHzより高い周波数の電力強度と、低い周波数の電力強度とがゆるやかに連続している。
また、図4(F)を、図4(E)の加算器14が生成するリニアPCMデータの周波数成分の模式的な分布図と比較すれば明らかなように、補間された22kHz以上の可聴帯域外の周波数成分の強度は、アップサンプラ11に入力されるオーディオ波形データの周波数成分を基準として、それよりも低い強度分布となるように下げられている。
帯域別可変イコライザ15は、生成したリニアPCMデータを、オーディオアンプ4へ出力する。なお、可聴領域外成分補間部3の帯域別可変イコライザ15が出力するリニアPCMデータは、88.2kHzの周波数でサンプリングされたリニアPCMデータである。また、0〜44kHzの周波数成分を有する。
オーディオアンプ4は、サンプリング周波数が88.2kHzであるリニアPCMデータから、アナログ波形信号を生成する。アナログ波形信号の振幅は、リニアPCMデータのデータに応じたものとなる。オーディオアンプ4は、生成したアナログ波形信号を、ヘッドホンジャック5を介して、スピーカ8へ出力する。スピーカ8は、供給されるアナログ波形信号の波形に従って、図示外の振動板を振動させる。これにより、スピーカ8からは、88.2kHzのサンプリング周波数のリニアPCMデータに基づいて、0から44kHzの周波数成分を有する音を出力する。
図6は、リニアPCMデータのスペクトル強度分布の一例を示す図である。図6(A)は、デコーダ2が出力するリニアPCMデータのスペクトル強度分布の一例であり、図6(B)は、補間部3からオーディオアンプ4へ出力されるリニアPCMデータのスペクトル強度分布の一例である。
図6(A)に示すように、デコーダ2が補間部3へ出力するリニアPCMデータは、0〜22kHzの可聴帯域の周波数成分のみを有する。これに対して、補間部3がオーディオアンプ4へ出力するリニアPCMデータは、図6(B)に示すように、0〜44kHzの周波数成分を有する。約22〜44kHzの可聴帯域外の周波数成分が補間されている。
また、補間部3がオーディオアンプ4へ出力するリニアPCMデータのスペクトル強度分布は、全体に見て周波数が高くなるほど自然に低くなり、低周波側から高周波側にかけてゆるやかに低下している。原音の周波数成分の強度分布と、補間した周波数成分の強度分布との間に、調和がある。
さらに、補間部3からオーディオアンプ4へ出力されるリニアPCMデータにおいて、補間された約22〜44kHzの周波数成分には、原音に含まれる倍音成分と略同様の倍音成分が含まれている。原音の倍音成分の強度分布と、補間した倍音成分の強度分布との間に、自然な調和がある。
なお、このような倍音成分を好適に補間した音質の音をオーディオ評論家に評価してもらったところ、ノイズ的な音質の高周波成分を可聴帯域外に補間した場合とは違って、音質が向上すると結論付けることができた。
以上のように、この実施の形態では、原音に基づく周波数成分を、可聴帯域外の高周波帯域(たとえば22〜44kHz)の成分として補間する。可聴帯域の高周波側の部分には、原音と同様に楽器などの倍音成分が含まれる。このように倍音成分が含まれている成分を可聴帯域外に補間することで、可聴帯域外の高周波帯域には、可聴帯域と整合性のある倍音成分が補間される。
また、補間部3は、入力されるリニアPCMデータの周波数成分と連続させて周波数成分を補間する。入力されるリニアPCMデータの周波数成分と、補間された周波数成分とは連続し、楽器などの倍音成分も、可聴領域から可聴領域外にかけて自然な調和がとれた状態で連続的に含まれる。
その結果、デコーダ2により生成されたリニアPCMデータには、補間部3により、可聴帯域外の高周波帯域に、可聴帯域と連続して調和がとれた倍音成分が補間される。オーディオアンプ4は、良好な音質となるオーディオの波形信号を生成することができる。音質は向上する。
また、この実施の形態では、補間成分を生成する平滑化アップサンプリングフィルタ13では、平滑減算器32が、平滑第一加算器31が生成する各平滑化データとその1つ前の平滑化データとの差分データを生成し、平滑第一遅延器34が、その差分データを遅延し、平滑第二遅延器35が、更に差分データを遅延する。また、平滑第二加算器38は、平滑第一遅延器34により遅延された差分データと、平滑第二遅延器35により遅延された差分データとを、平滑第三係数乗算器37および平滑第二加算器38の係数に従った割合で加算し、平滑第一加算器31へ供給する。これにより、平滑第一加算器31は、アップサンプラ11に入力される量子化ビットデータに、それ以前にアップサンプラ11に入力された2つ以上の量子化ビットデータに基づく2つ以上のデータを加算し、入力される量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成する。平滑第一加算器31は、図5(B)に示すように、3つ以上の量子化ビットデータから、高周波成分を抑制した平滑化データを生成する。
また、平滑化アップサンプリングフィルタ13のアップサンプラ部22は、この3つ以上の量子化ビットデータを平滑化することにより高周波成分を抑制した平滑化データを、アップサンプリングし、これにより、図5(C)に示すように、イメージ成分は、原音のリニアPCMデータの周波数成分の上限値(約22kHz)より低い周波数から生成される。その分、HPF部23は、原音で言えば、高周波側の周波数成分の中の低周波寄りの周波数成分を、抽出することができる。
また、この実施の形態では、HPF部23のHPFFB加算器55が生成するデータは、平滑化フィルタ部21の平滑第一加算器31へ供給され、アップサンプラ部22によりサンプリングされる。したがって、アップサンプラ部22のアップサンプリングより生成される量子化誤差の一部は、アップサンプラ部22により再サンプリングされることとなり、アップサンプリングによる量子化誤差を抑制することができる。
また、この実施の形態では、補間される可聴帯域外の周波数成分の強度は、帯域別可変イコライザ15により、アップサンプラ11に入力されるリニアPCMデータの周波数成分を基準として、それよりも低い強度分布とされる。補間後の周波数分布は、低周波側から高周波側にかけて低くなる自然な強度分布となる。可聴領域の高周波部から可聴領域外にかけて顕著に含まれる倍音成分の分布も、低周波側から高周波側にかけて自然に低下するものとなる。このように倍音成分の調和がオーディオ波形データの帯域の全体において図られることにより、より良好な音質向上が図られる。
また、この実施の形態において、平滑化アップサンプリングフィルタ13には、係数乗算器33,36,37,53,54,56,57,60が8つだけである。平滑化アップサンプリングフィルタ13は、8回の乗算処理により、補間する周波数成分を生成することができる。
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、ハードディスクドライブ1は楽曲のロスレス圧縮データ6を記憶し、デコーダ2は、このロスレス圧縮データ6からリニアPCMデータを生成している。この他にもたとえば、ハードディスクドライブ1はCD用のリニアPCMデータを記憶し、デコーダ2はこのリニアPCMデータを読み込むものであってもよい。さらに他にもたとえば、ハードディスクドライブ1は、たとえばMP3(MPEG Audio Layer−3 )、AAC(Advanced Audio Coding)、WMA(Windows(登録商標) Media Audio)などの非可逆の圧縮方式で圧縮された圧縮データを記憶し、デコーダ2は、この圧縮データからリニアPCMデータを生成するようにしてもよい。
なお、MP3などの圧縮データでは、リニアPCMデータの高音域(約16kHz以上)のデータなどを間引くことで、音質の劣化を抑えながらデータ量を削減している。したがって、デコーダ2がMP3などの圧縮データを単にデコードするだけでは、デコーダ2が生成するリニアPCMデータには、16kHz以上の周波数成分が含まれなくなる。したがって、MP3などの圧縮データをデコードするデコーダ2は、圧縮データをデコードするとともに、22kHzまでの周波数成分を補間する方がよい。この補間処理には、図2に示す補間部と略同様のブロック構成のものを使用することが可能である。
上記各実施の形態では、補間部3には、ナイキスト周波数(たとえば約22kHz)までの周波数成分を有するリニアPCMデータが入力され、このリニアPCMデータを複数のサブバンドに分割し、その入力データのナイキスト周波数以上の周波数成分を補間している。この他にもたとえば、補間部3には、MP3に基づくリニアPCMデータなどのように、周波数成分の上限がナイキスト周波数より低いリニアPCMデータが入力され、このリニアPCMデータを複数のサブバンドに分割し、その高周波側の成分を補間するようにしてもよい。
また、このようにMP3などの圧縮データに可聴帯域外の高周波成分を補間する場合に、まず可聴帯域の周波数成分を補間し、次に可聴帯域外の周波数成分を補間するようにすることで、ポータブルオーディオプレーヤのデコーダ2以降の構成として、CDやロスレス圧縮データ6の再生のための構成を共通に使用することができる。ポータブルオーディオプレーヤが再生可能なデータの種類を容易に増やすことができる。
上記実施の形態では、図2に示す補間部3は、22kHz以上の帯域の周波数成分を補間している。この他にもたとえば、図2に示す補間部3は、22kHz以下の、たとえば可聴帯域の周波数成分を併せて補間するものであってもよい。たとえば、図2に示す補間部3に、周波数成分の上限が約16kHzであるMP3に基づくリニアPCMデータが入力される場合、この補間部3は、16〜32kHzの周波数成分を補間してもよい。また、図2に示す補間部3には、MP3など以外の、たとえばFMラジオやAMラジオなどのように帯域が制限されて伝送される音声データをサンプリングしたものが入力されてもよい。
上記各実施の形態では、補間部3は、可聴帯域外の高周波成分を補間しているが、本発明の補間装置は、可聴帯域の高周波成分を補間するものであってもよい。
上記実施の形態では、オーディオ再生装置は、ポータブルオーディオプレーヤである。この他にもたとえば、オーディオ再生装置は、カーオーディオシステム、カーナビゲーションシステム、家庭用オーディオシステム、CD、DVDなどの再生装置、携帯電話端末、PDAなどの携帯情報端末、音声出力機能を有するパーソナルコンピュータなどであってもよい。
本発明は、ポータブルハードディスクプレーヤなどに利用することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係るポータブルオーディオプレーヤを示すブロック図である。 図2は、図1中の補間部を示すブロック図である。 図3は、図2中の平滑化アップサンプリングフィルタを示すブロック図である。 図4は、補間部におけるPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。 図5は、平滑化アップサンプリングフィルタでのPCMデータの周波数成分の模式的な分布図である。 図6は、リニアPCMデータのスペクトル強度分布の一例を示す図である。
符号の説明
2 デコーダ
3 補間部(補間装置)
4 オーディオアンプ
7 DSP(コンピュータ)
11 アップサンプラ
13 平滑化アップサンプリングフィルタ
14 加算器
15 帯域別可変イコライザ(可変イコライザ)
17 電力分布判断部(強度分布判断部)
31 平滑第一加算器(加算部)
32 平滑減算器(減算部)
34 平滑第一遅延器(複数の遅延部の一部)
35 平滑第二遅延器(複数の遅延部の一部)
23 HPF部(IIRフィルタ部)

Claims (7)

  1. 可聴帯域の周波数成分を有し、所定のサンプリング周波数によってサンプリングされる時間軸上の複数の量子化ビットデータからなるオーディオ波形データが入力され、このオーディオ波形データのサンプリング周波数を上げるアップサンプラと、
    上記オーディオ波形データが入力され、上記オーディオ波形データの3つ以上の量子化ビットデータから各量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成し、その平滑化データを、上記アップサンプラと同様にアップサンプリングする平滑化アップサンプリングフィルタと、
    上記アップサンプラによりアップサンプリングされたオーディオ波形データの中の、上記所定のサンプリング周波数に対応する所定のナイキスト周波数以下の周波数成分に、上記平滑化アップサンプリングフィルタより生成されたデータの中の、所定の周波数以上の周波数成分を加算する加算器と、
    を有することを特徴とする補間装置。
  2. 前記平滑化アップサンプリングフィルタは、
    前記各平滑化データとその1つ前の平滑化データとの差分データを生成する減算部と、
    上記減算部により生成される差分データを2回以上遅延してその遅延回数分の差分データを保持する複数の遅延部と、
    上記複数の遅延部により保持される上記2つ以上の差分データを、前記アップサンプラに入力される前記オーディオ波形データの量子化ビットデータに、所定の割合で加算して前記平滑化データを生成する加算部と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の補間装置。
  3. 前記平滑化アップサンプリングフィルタは、
    前記アップサンプラに入力される前記オーディオ波形データの前記量子化ビットデータに、それ以前に前記アップサンプラに入力された2つ以上の量子化ビットデータに基づく2つ以上のデータを加算して、該入力される量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成する加算部と、
    前記アップサンプリング後の平滑化データから、前記所定のナイキスト周波数以上の少なくとも可聴帯域外の周波数成分を抽出するIIRフィルタ部と、を有し、
    上記IIRフィルタ部のフィードバックデータは、上記加算部において前記アップサンプラに入力される量子化ビットデータと加算されること、
    を特徴とする請求項1記載の補間装置。
  4. 補間する高周波成分の強度として、前記アップサンプラに入力されるオーディオ波形データの強度より低い強度を予測する強度分布判断部と、
    上記予測された強度に基づいて、前記加算器により生成されるオーディオ波形データの中の、少なくとも補間された周波数成分の強度を変化させる可変イコライザと、
    を有することを特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載の補間装置。
  5. 可聴帯域の帯域幅の半分以上の周波数成分を有する所定のサンプリング周波数のオーディオ波形データを生成するデコーダと、
    上記デコーダにより生成されたオーディオ波形データに対して高周波成分を補間する請求項1から4の中のいずれか1項記載の補間装置と、
    前記補間装置により補間されたオーディオ波形データから、オーディオの波形信号を生成するオーディオアンプと、
    を有することを特徴とするオーディオ再生装置。
  6. 可聴帯域の周波数成分を有し、所定のサンプリング周波数によってサンプリングされる時間軸上の複数の量子化ビットデータからなるオーディオ波形データのサンプリング周波数を上げる第一のステップと、
    上記オーディオ波形データの3つ以上の量子化ビットデータから各量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成し、その平滑化データを、上記第一のステップと同様にアップサンプリングする第二のステップと、
    上記第一のステップによりアップサンプリングされたオーディオ波形データの中の、上記所定のサンプリング周波数に対応する所定のナイキスト周波数以下の周波数成分に、上記第二のステップにより生成されたデータの中の、所定の周波数以上の周波数成分を加算するステップと、
    を有することを特徴とする補間方法。
  7. コンピュータを、
    可聴帯域の周波数成分を有し、所定のサンプリング周波数によってサンプリングされる時間軸上の複数の量子化ビットデータからなるオーディオ波形データが入力され、このオーディオ波形データのサンプリング周波数を上げるアップサンプラと、
    上記オーディオ波形データが入力され、上記オーディオ波形データの3つ以上の量子化ビットデータから各量子化ビットデータに対応する平滑化データを生成し、その平滑化データを、上記アップサンプラと同様にアップサンプリングする平滑化アップサンプリングフィルタと、
    上記アップサンプラによりアップサンプリングされたオーディオ波形データの中の、上記所定のサンプリング周波数に対応する所定のナイキスト周波数以下の周波数成分に、上記平滑化アップサンプリングフィルタより生成されたデータの中の、所定の周波数以上の周波数成分を加算する加算器と、
    して機能させることを特徴とする補間プログラム。
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