JP4627737B2 - デジタルデータ復号化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ミニディスク(MD)やフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された圧縮されたデジタルオーディオデータやデジタルビデオデータ等のデジタルデータを復号化するデジタルデータ復号化装置に関する。
近年では、楽音や音声等からなるアナログオーディオ信号を音質の劣化を最小限度に抑えつつ小さなデータサイズのデジタルオーディオデータに符号化する圧縮符号化技術が開発されている。この種の圧縮符号化技術を用いれば、圧縮されたデジタルオーディオデータは、圧縮されていないデジタルオーディオデータの1/10程度にデータが圧縮されているため、多数の楽曲のデジタルオーディオデータをそれほど記録容量が多くないハードディスク(HD)やフラッシュメモリあるいはミニディスク(MD)に記録することができる。
しかし、上記圧縮されたデジタルオーディオデータは、圧縮符号化技術により符号化する際に一部の情報が削除されているため、楽音や音声等を忠実に再生できる本格的なオーディオ再生装置に供給した場合には、人は物足りなさや違和感を受けることがしばしばある。これは、以下に示す理由による。すなわち、圧縮符号化技術では、符号化する際に、聴覚心理特性上人の耳には聴こえにくい又は聴き分けにくいと考えられるスペクトルの情報を削除している。ところが、上記した本格的なオーディオ再生装置では、そのようなスペクトルの情報であっても忠実に再生することができるため、上記圧縮されたデジタルオーディオデータを再生した場合には、本来あるべき情報が再生されないからである。
そこで、最近では、上記問題を解決するために、上記圧縮されたデジタルオーディオデータを伸長復号化する際に、圧縮符号化時に削除した情報を擬似的に補間する技術が提案されている。例えば、従来のデジタルオーディオデータ復号化装置には、核復号化手段と、拡張復号化手段とを備えているものがある。核復号化手段は、入力された符号化列を復号化して、第1周波数スペクトル情報を生成する。拡張復号化手段は、上記第1周波数スペクトル情報に基づいて、符号化列によって表されていない周波数帯域に、第1周波数スペクトル情報が示す調波構造を周波数軸上で延長したものに等しい調波構造を示す第2周波数スペクトル情報を生成する(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−108197号公報(請求項1,[0009]〜[0019]、図1〜図5)
上記した従来のデジタルオーディオデータ復号化装置では、符号化列に表された帯域内でオーディオ信号に比較的一般的な性質である調波構造を抽出して、高域に拡張スペクトル情報を追加的に復元したり(上記特許文献1の段落[0017]参照)、周波数スペクトル情報のエネルギー分布が調波周期Tにおいて余弦関数で表現できると仮定して、1つの調波周期Tの間の低域周波数スペクトル情報をそのまま高域に繰り返しコピーしたり増幅したりしている(上記特許文献1の段落[0019]参照)。
ところが、ある符号化列の復号化された低域周波数スペクトル情報に含まれる調波構造と、符号化の際に削除された実際の高域の調波構造とが同一であるとは限らない。また、周波数スペクトル情報のエネルギー分布が調波周期Tにおいて余弦関数で表現できるという仮定が常に当てはまるとは限らない。一方、この仮定が妥当だとしても、低域周波数スペクトル情報をそのまま高域に繰り返しコピーや増幅しただけでは、符号化の際に削除された実際の高域が復元できたとはいいがたい。従って、補間は不完全であり、上記した物足りなさや違和感が解消されない場合がある。また、上記した従来のデジタルオーディオデータ復号化装置では、圧縮符号化時に完全に削除された高域に、原音に近い成分をたとえ付加することができたとしても、量子化ビット数が非零の帯域の量子化ノイズを除去することができないという課題があった。
以上説明した不都合は、アナログビデオ信号を、視覚心理特性等に基づいて、デジタルビデオデータに圧縮符号化した後、記録媒体に記録し、記録媒体から読み出された圧縮符号化されたデジタルビデオデータを伸長復号化する場合にも同様に当てはまる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上述のような課題を解決することができるデジタルデータ復号化装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、複数の周波数帯域に分割され、周波数帯域毎に設定される指標に基づいて周波数帯域毎に量子化、符号化されているスペクトルデータを復号化するデジタルデータ復号化装置に係り、量子化ビット割り当てが零である前記周波数帯域の前記スペクトルデータを、前記量子化ビット割り当てが非零の前記周波数帯域に存在する前記スペクトルデータを用いて補間する補間処理部を具備し、前記補間処理部は、前記量子化ビット割り当てが非零の前記周波数帯域に存在する前記スペクトルデータを用いて算出したマスキングしきい値と最小可聴限特性とを合成して作製した合成マスキングしきい値と、前記補間で得られたスペクトルデータの量子化雑音パワー又はエネルギーとの比が、前記量子化ビット割り当てが非零の帯域の前記比を超えないように、前記補間で得られたスペクトルデータに乗算すべき係数を決定し、前記補間で得られたスペクトルデータにそれぞれ乗算することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載のデジタルデータ復号化装置に係り、前記補間処理部は、前記補間、前記係数の乗算、前記係数の補正を、前記量子化ビット割り当てが非零の前記周波数帯域に存在する複数の前記スペクトルデータのうち、最大値及びそれに次ぐ値を有する複数のスペクトルデータを用いて行うことを特徴としている。
本発明によれば、圧縮されたデジタルデータを復号化する際に、量子化分解能が2値、4値等の低いスペクトルの分解能を高めることができ、符号化時に削除されたスペクトルを、物足りなさや違和感を受けることなく、補間することができる。この結果、再生された楽音や音声等からなるアナログ信号は高品質である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るデジタルデータ復号化装置を構成する補間処理部の構成を示すブロック図、図2は、図1に示す補間処理部を適用したデジタルオーディオ記録再生システムの構成を示すブロック図である。この例のデジタルオーディオ記録再生システムは、ミニディスク(MD)等で採用されている音声圧縮符号化技術の1つであるATRAC(Adaptive TRanceform Acoustic Coding)方式が適用されており、図2に示すように、デジタルオーディオデータ符号化装置1と、デジタルオーディオデータ復号化装置2とから構成されている。量子化ビット数は、例えば、0〜16ビットであり、量子化データは符号を持つため、量子化ビット数の1は存在せず、0以外の最低量子化ビット数は2となっている。
デジタルオーディオデータ符号化装置1は、デジタルオーディオデータDADをデジタルオーディオ符号化データCDADに圧縮符号化した後、ミニディスク等の記録媒体3に記録する。ここで、デジタルオーディオデータDADは、楽音や音声等からなるアナログオーディオ信号がリニアPCM(Pulse Code Modulation)と呼ばれる符号化方式により、圧縮することなく符号化されたものである。記録媒体3がデジタルオーディオデータ復号化装置2にセットされると、デジタルオーディオデータ復号化装置2は、記録媒体3からデジタルオーディオ符号化データCDADを読み出した後、デジタルオーディオデータDAD'に復号化する。
デジタルオーディオデータ符号化装置1は、周波数帯域分割部11と、時間周波数変換部12と、帯域毎のパワー算出部13と、マスキング算出部14と、最小可聴限合成部15と、量子化ビット数算出部16と、スケールファクタ算出部17と、量子化部18と、パッキング部19とを有している。デジタルオーディオデータ符号化装置1の入力端には、例えば、44.1kHzのサンプリング周波数でサンプリングされた圧縮されていないデジタルオーディオデータDAD(マルチビットデータ)が所定時間毎、例えば約11.6msのフレーム単位で入力される。
周波数帯域分割部11は、帯域分割フィルタの1種である直交鏡像フィルタ(QMF;Quadrature Mirror Filter)を有し、入力されたデジタルオーディオデータDADを複数の周波数帯域(サブバンドフレーム)に分割する。サブバンドフレームとしては、例えば、約0〜5.5kHzの低帯域サブバンドフレームSB11、約5.5〜11kHzの中帯域サブバンドフレームSB12及び約11〜22kHzの高帯域サブバンドフレームSB13の3帯域からなるものや、約0〜5.5kHzの低帯域サブバンドフレームSB21、約5.5〜11kHzの中帯域サブバンドフレームSB22、約11〜16.5kHzの中高帯域サブバンドフレームSB23及び約16.5〜22kHzの高帯域サブバンドフレームSB24の4帯域からなるものがある。
時間周波数変換部12は、複数のサブバンドフレーム単位に分割されたデジタルオーディオデータについて、修正離散余弦変換(MDCT;Modified Discrete Cosine Transform)処理を施すことにより、対応する周波数帯域の周波数成分のMDCT係数(スペクトルデータ)に直交変換する。帯域毎のパワー算出部13は、上記周波数帯域毎に設けられており、対応する周波数帯域の周波数成分のMDCT係数を2乗和等して、i個の各周波数帯域のスペクトルパワーSi(i=1,2,…,I、例えば、I=25)を算出する。ただし、このスペクトルパワーSiの算出方法については特に限定しない。ここで、上記周波数帯域には、臨界帯域(単位:Bark)等が用いられる。臨界帯域とは、周波数選択性、マスキングしきい値等の特定の音響心理学的規則性が有効な広帯域オーディオスペクトルの特性的部分をいう。また、パワーとは、単位時間当たりのエネルギーをいう。なお、マスキングしきい値については後述する。
マスキング算出部14は、上記周波数帯域毎に、各々のスペクトルパワーSiが他の周波数帯に与える同時マスキング効果によるマスキングしきい値を算出し、その最大値を当該スペクトルパワーSiに対するマスキングしきい値とする。ここで、同時マスキング効果とは、複数の周波数成分の音が同時に発生している場合、ある大きな音圧レベルの音によって、その近傍の周波数に存在する音圧レベルの低い別の音がマスキングされ、人には聴こえない又は聴こえにくいという聴感効果をいう。
最小可聴限合成部15は、式(1)等で表される最小可聴限特性lt(f)(dB)等と上記マスキングしきい値とを合成して、図3に示す最終のマスキングしきい値Mi(i=1,2,…,I、例えば、I=25)を各周波数帯域について決定する。この合成処理において、最小可聴限特性lt(f)(dB)と上記マスキングしきい値とのうち、大きい値の方を採用する。最小可聴限特性lt(f)は、テーブルROMに予め記憶しておいても良い。図3において、破線が合成されたマスキングカーブを示している。
lt(f)=−0.6×3.64×(f/1000)−0.8+6.5×exp{−0.6×(f/1000−3.3)}−10−3×(f/1000) …(1)
なお、上記のfは周波数(Hz)である。
量子化ビット数算出部16は、まず、i(周波数帯域のインデックス)毎に、帯域毎のパワー算出部13において算出されたスペクトルパワーSiと、最小可聴限合成部15において算出された各周波数帯域のマスキングしきい値Miとの比SMRi(式(2)参照)をすべての周波数帯域について算出する。
SMRi=Si/Mi …(2)
次に、量子化ビット数算出部16は、各周波数帯域の上記スペクトルパワーSiをnビット(n=0〜16)で量子化した場合の、当該スペクトルパワーSiと量子化雑音パワーNi(n)との比SNRi(n)(式(3)参照)を算出する。
SNRi(n)=Si/Ni(n) …(3)
上記比SNRi(n)は、統計的には、信号の特性に応じた定数(20×log10)となるので、統計処理によって予め算出しておいても良い。
さらに、量子化ビット数算出部16は、上記比SNRi(n)と上記比SMRiとの比から、マスキングしきい値Miと量子化雑音パワーNi(n)との比MNRi(n)(式(4)参照)を算出する。
MNRi(n)=SNRi(n)/SMRi …(4)
これ以降、量子化ビット数算出部16は、上記ビット数nを0から順に大きくしてゆき、その都度、各周波数帯域のマスキングしきい値Miと量子化雑音パワーNi(n)との比MNRi(n)を算出し、当該比MNRi(n)が最小となる周波数帯域から順にビットを割り当ててゆき、上記ビット数nを更新する毎に、同様に比MNRi(n)が最小となる周波数帯域にビット割り当てを行い、所望のビットレートに応じた所定の割当可能ビット数となるまでビット割り当てを行う。すなわち、上記スペクトルパワーSiのうち、マスキングしきい値Miを超えた部分の長さが最も長い周波数帯域から順次ビット割り当てが行われることになる。このように算出された量子化ビット数WL(i)は、同一周波数帯域内のスペクトルに対し、同一に配分される。ただし、スペクトルパワーSiを基に、聴覚心理特性を利用するビット配分の方法は、これに限ったものではない。
一方、スケールファクタ算出部17は、時間周波数変換部12において直交変換された各周波数帯域の周波数成分のMDCT係数の絶対最大値(例えば、16ビット、フル振幅を0dBとする。)から約2dB毎にスケールファクタ(指標)(例えば、0dBの場合、60)を算出する。このスケールファクタは、スペクトル(MDCT係数)のスケール(大きさ)の因子を表しており、一般的には、量子化される周波数単位の中で、最大スペクトルの絶対値をコード化することにより算出される。すなわち、各周波数帯域のMDCT係数の絶対最大値をKmax(i)、その時のスケールファクタをSF(i)とすれば、式(5)を満たすスケールファクタSF(i)が算出される。
SF(i)×2−1/3≦Kmax(i)<SF(i) …(5)
量子化部18は、量子化ビット数算出部16において算出された各周波数帯域の量子化ビット数WL(i)と、スケールファクタ算出部17において算出されたスケールファクタSF(i)と、時間周波数変換部12において直交変換された各周波数帯域の周波数成分のMDCT係数K(m)とに基づいて、式(6)に示す量子化した量子化係数MK(m)を算出する。
MK(m)=Round{K(m)×(2WL(i)−1−1)/SF(i)} …(6)
式(6)において、mはMDCT係数のインデックス、iは量子化周波数帯域のインデックスを表しており、Roundは小数点以下を四捨五入する関数である。
パッキング部19は、量子化部18において量子化された量子化係数MK(m)、量子化ビット数算出部16において算出された各周波数帯域の量子化ビット数WL(i)、スケールファクタ算出部17において算出されたスケールファクタSF(i)をフレーム情報とともにパッキングした後、デジタルオーディオ符号化データCDADに符号化し、記録媒体3に記録する。
デジタルオーディオデータ復号化装置2は、アンパッキング部21と、逆量子化部22と、純音性判定部23と、切換部24と、補間処理部25と、周波数時間変換部26と、周波数帯域合成部27とを有している。アンパッキング部21は、記録媒体3から読み出されたデジタルオーディオ符号化データCDADを構成するフレーム情報に基づいて、量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)をアンパッキングする。
逆量子化部22は、量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を逆量子化するとともに、これらに基づいて、式(7)に示す逆量子化した、各周波数帯域の周波数成分の逆修正離散余弦変換(IMDCT;Inverse Modified Discrete Cosine Transform)係数I(m)(スペクトルデータ)を算出する。
I(m)=SF(i)×MK(m)/(2WL(i)−1−1) …(7)
式(7)において、mはIMDCT係数のインデックス、iは逆量子化周波数帯域のインデックスを表している。
純音性判定部23は、逆量子化部22で逆量子化されたスケールファクタSF(i)の最大値SFmaxと平均値SFav(=ΣSFj/J)との差分値(SFmax−SFav)を求めるとともに、当該差分値(SFmax−SFav)の大小に基づいてデジタルオーディオ符号化データCDADの純音性の高低を判定し、その判定結果に基づいて切換部24の切換制御を行う。すなわち、純音性判定部23は、差分値(SFmax−SFav)が非常に大きい場合(例えば、70dBより大)に純音性が高いと判定し、切換部24に対して、逆量子化部22で逆量子化された量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を周波数時間変換部26に供給するように制御する。一方、純音性判定部23は、差分値(SFmax−SFav)が例えば70dB以下の場合に、純音性が低いと判定し、切換部24に対して、逆量子化部22で逆量子化された量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を補間処理部25に供給するように制御する。
ここで、純音性判定部23を設け、純音性の高いデジタルオーディオ符号化データCDADに後述する補間処理を施さない理由について説明する。正弦波のように純音性の高いデジタルオーディオ符号化データCDADの場合、極めて狭い帯域にデータビットが集中しているため、後述する補間処理を施すと、上記した物足りなさや違和感が解消されないばかりか却って音質が劣化してしまうのである。
なお、純音性判定部23の詳細については、例えば、特開2005−195983号公報を参照されたい。
切換部24は、純音性判定部23の制御の下、逆量子化部22で逆量子化された量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を補間処理部25又は周波数時間変換部26のいずれかに供給する。補間処理部25は、量子化ビット数WL(i)が「0」ビット、「2」ビット又は「3」ビットであるIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)について補間する。周波数時間変換部26は、サブバンドフレーム毎に、補間処理部25又は逆量子化部22から供給されるIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)について、IMDCT処理を施すことにより、対応する時間軸のデータに直交変換する。周波数帯域合成部27は、帯域合成フィルタの1種である逆直交鏡像フィルタ(Inverse QMF;Quadrature Mirror Filter)を有し、入力された複数の周波数帯域(サブバンドフレーム)を帯域合成してデジタルオーディオデータDAD'に復号化する。
次に、補間処理部25の機能及び構成について説明する。この実施の形態1では、補間処理部25は、以下に示す処理を行う。
(1)量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットである帯域に関する補間処理
(a)量子化ビット数が「2」ビット又は「3」ビットに丸められている複数のスペクトルデータについて、量子化ビット数WL(i)が「4」ビット以上の他の帯域に存在する複数のスペクトルデータと自身の帯域に存在するスペクトルデータを用いて補正する。
(b)上記帯域は量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットにビット割り当てされているために、本来値を有すべきであるが、0に丸められているスペクトルデータについて、(a)で補正された複数のスペクトルデータと、量子化ビット数WL(i)が「4」ビット以上の他の帯域に存在する複数のスペクトルデータとを用いて補正する。
(2)圧縮符号化される段階において、比SMRiが、採用されるビットレートで定まるオフセット(しきい)値に対して小さいために、量子化ビット数WL(i)が「0」ビットとされた帯域に本来存在すべき複数のスペクトルデータに関する補正処理
(a)すべてのスペクトルデータについて、量子化ビット数WL(i)が「0」ビット以上の他の帯域に存在する複数のスペクトルデータを用いて補間する。
(b)量子化ビット数WL(i)が「2」ビット以上の他の帯域に存在する複数のスペクトルデータを用いて算出したマスキングしきい値と最小可聴限特性lt(f)(dB)等とを合成して作製した合成マスキングカーブに基づいて、(a)における補間で得られたすべてのスペクトルデータの係数を補正する。
(3)(1)及び(2)の処理において、前のフレーム又は後のフレームのいずれか一方又は両方の同一帯域に複数のスペクトルデータが存在する場合には、これら複数のスペクトルデータを用いて補間する。
次に、補間処理部25の構成について、図1を参照して説明する。補間処理部25は、量子化ビット数判定部31と、IMDCT係数1次補正部32と、1次ゲイン制御部33と、帯域毎のパワー算出部34と、マスキング算出部35と、最小可聴限合成部36と、MNR算出部37と、係数保存部38と、IMDCT係数2次補間部39と、2次ゲイン制御部40とから構成されている。
量子化ビット数判定部31は、入力されたIMDCT係数I(m)の量子化ビット数WL(i)が何ビットであるかを判定し、判定結果をIMDCT係数1次補正部32に供給する。IMDCT係数1次補正部32は、量子化ビット数WL(i)と、スケールファクタSF(i)と、逆量子化部22で逆量子化されたIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)とに基づいて、周波数領域において、量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットのスペクトルデータについてラグランジュ補間又はスプライン補間を行い、既存の量子化されたスペクトルデータを上記ラグランジュ補間又はスプライン補間で得られる補間曲線上のスペクトルデータに置き換える。ラグランジュ補間は、ある区間の全部の点を通る単一の補間多項式を算出する補間であり、既知のデータの間隔が等しくない場合でも目的の値を算出することができるという特徴がある。スプライン補間は、ある区間毎に分けてその区間毎に式を算出することにより与えられた全部の点を通る式を構成する区分的多項式を算出する補間の代表である。
また、IMDCT係数1次補正部32は、量子化ビット数WL(i)と、スケールファクタSF(i)と、係数保存部38に保存された、前のフレームの補間処理後のIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)と、逆量子化部22で逆量子化されたIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)とに基づいて、前後のフレームの同一周波数について、量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットのスペクトルデータについてラグランジュ補間又はスプライン補間を行い、既存の量子化されたスペクトルデータを上記ラグランジュ補間又はスプライン補間で得られる補間曲線上のスペクトルデータに置き換える。この場合、IMDCT係数1次補正部32は、補正対象のスペクトルデータに隣接するスペクトルデータが前後のフレームの同一周波数及び同一フレームの隣接する周波数にともに存在する場合は、補正対象のスペクトルデータに隣接するスペクトルデータのうち、大きな振幅値を有するスペクトルデータに基づいて補正されたスペクトルデータを使用する。ここで、上記した「前後のフレームの同一周波数」とは、図3において、t1、t2、t3を各々のフレームの番号とし、被補間フレームをt2とすれば、被補間帯域がiの場合に、t1、t3の同一周波数の複数のIMDCT係数(スペクトル)であるI(t1)、I(t3)を用いてI(t2)の補間を行うことを示している。また、前記「同一フレームの隣接する周波数」とは、被補間フレームをt2とすれば、被補間帯域がiの場合に、Ii−1(t2)、Ii+1(t2)を用いてI(t2)の補間を行うことを示している。図3において、実線はIのスペクトルパワーを表している。
1次ゲイン制御部33は、量子化係数MK(m)に関する上記した式(6)に基づいて、量子化係数MK(m)が、量子化ビット数WL(i)とスケールファクタSF(i)と量子化係数MK(m)から定まるMDCT係数K(m)の理論範囲に収まるように、IMDCT係数1次補正部32によって補正されたスペクトルデータの大きさを調整する。例えば、図4で示すように、量子化ビット数WL(i)が「2」ビットであり、スケールファクタSF(i)が2、量子化周波数帯域iのスペクトルデータの本数が6本である場合、補正処理前のスペクトルデータが0に丸められており、かつ、補正処理後のスペクトルデータが0.5×2を超える場合は、補正する範囲が0〜0.5×2に収まるように、ゲイン係数を決定し、補正された量子化周波数帯域iのすべてのスペクトルデータに乗算する。補正された範囲全体がMDCT係数K(m)の理論範囲に収まらない場合は、0.5×2又は0でクリップされる。図4において、×は量子化丸め前のスペクトルデータの値、○は量子化丸め後のスペクトルデータの値を表している。
帯域毎のパワー算出部34は、上記周波数帯域毎に設けられており、量子化ビット数判定部31から供給された判定結果が、入力されたIMDCT係数I(m)の量子化ビット数WL(i)が非零ビットであることを示す場合には、入力された対応する周波数帯域の周波数成分のIMDCT係数I(m)を2乗和等して、i個の各周波数帯域のスペクトルパワーSi(i=1,2,…,I、例えば、I=25)を算出する。ただし、このスペクトルパワーSiの算出方法については特に限定しない。ここで、上記周波数帯域には、臨界帯域(単位:Bark)等が用いられる。
マスキング算出部35は、帯域毎のパワー算出部34において算出された各々のスペクトルパワーSiが他の周波数帯に与える同時マスキング効果によるマスキングしきい値を算出し、その最大値を当該スペクトルパワーSiに対するマスキングしきい値とする。このマスキングしきい値は、後述するIMDCT係数2次補間部39での補間において、データの値が振動することがあるが、それを抑止する効果がある。最小可聴限合成部36は、式(1)等で表される最小可聴限特性lt(f)(dB)等と上記マスキング算出部35において算出された上記マスキングしきい値とを合成して、図3に示す最終のマスキングしきい値Mi(i=1,2,…,I、例えば、I=25)を各周波数帯域について決定する。最小可聴限特性lt(f)は、テーブルROMに予め記憶しておいても良い。
MNR算出部37は、入力された量子化ビット数WL(i)が上記した式(4)に基づいて線形変換されたものであると仮定し、すなわち、圧縮符号化時に採用されたビットレートで定まるマスキングしきい値に基づいて機械的にビット割り当てが行われていると仮定し、この量子化ビット数WL(i)に基づいて周波数帯域毎のMNRi(n)の範囲を算出する。式(4)において、比SNRi(n)は、上記したように、統計的には、信号の特性に応じた定数(20×log10)となるので、統計処理によって予め算出しておいても良い。これにより、例えば、量子化ビット数WL(i)が「3」ビットである場合には、MNRi(n)は、6dBより大きく、12dB以下となる。
MNR算出部37は、まず、i(周波数帯域のインデックス)毎に、帯域毎のパワー算出部34において算出されたスペクトルパワーSiと、最小可聴限合成部36において算出された各周波数帯域のマスキングしきい値Miとの比SMRi(上記式(2)参照)をすべての周波数帯域について算出する。次に、MNR算出部37は、各周波数帯域の上記スペクトルパワーSiをnビット(n=0〜16)で量子化した場合の、当該スペクトルパワーSiと量子化雑音パワーNi(n)との比SNRi(n)(上記式(3)参照)を算出する。
上記比SNRi(n)は、上記したように、統計的には、信号の特性に応じた定数(20×log10)となるので、統計処理によって予め算出しておいても良い。
さらに、MNR算出部37は、上記比SNRi(n)と上記比SMRiとの比から、マスキングしきい値Miと量子化雑音パワーNi(n)との比MNRi(n)(上記式(4)参照)を算出し、算出された周波数帯域毎のMNRi(n)の範囲のうち、量子化ビット数WL(i)が、すべての周波数帯域についてのMNRi(n)の範囲に含まれるように、全体のMNRi(n)のオフセットを調整する。このオフセット値は、上記線形変換の際の切片を表している。
係数保存部38は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ、FD(フレキシブルディスク)が装着されるFDドライブ、HDが装着されるHDドライブ、MO(光磁気)ディスクが装着されるMOディスクドライブ、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)やDVD−R、DVD−RW等が装着されるCD/DVDドライブ等からなる。係数保存部38には、前又は後のフレームのいずれか一方又は両方の補間処理後のIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)が保存される。
IMDCT係数2次補間部39は、量子化ビット数WL(i)が「0」ビット、すなわち無音の帯域について、逆量子化部22で逆量子化されたIMDCT係数I(m)の有音スペクトルデータと、IMDCT係数1次補正及び1次ゲイン制御がそれぞれ施された有音スペクトルデータ、及び「0」ビットの帯域のいずれかの無音スペクトルデータを用いて、ラグランジュ補間又はスプライン補間を行い、有音化する。
ゲイン制御部40は、IMDCT係数2次補間部39によって補間された「0」ビットの帯域のスペクトルデータが、MNR算出部37において算出されたMNRi(n)以下の値に収まるように、補間されたスペクトルデータに乗算する係数を決定し、補正された量子化周波数帯域iのすべてのスペクトルデータに乗算する。
次に、上記構成を有するデジタルオーディオ記録再生システムの動作のうち、まず、デジタルオーディオデータ復号化装置2の動作の概略について説明する。図示せぬスピンドルモータにより回転駆動される図示せぬターンテーブルに記録媒体3がセットされると、スピンドルモータは、記録媒体3を回転駆動する。これにより、アンパッキング部21は、記録媒体3から読み出されたデジタルオーディオ符号化データCDADを構成するフレーム情報に基づいて、量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)をアンパッキングする。
次に、逆量子化部22は、量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を逆量子化するとともに、これらに基づいて、上記した式(7)に示す逆量子化した各周波数帯域の周波数成分のIMDCT係数I(m)を算出する。また、純音性判定部23は、逆量子化部22で逆量子化されたスケールファクタSF(i)の最大値SFmaxと平均値SFavとの差分値(SFmax−SFav)を求めるとともに、差分値(SFmax−SFav)が非常に大きい場合(例えば、70dBより大)に純音性が高いと判定し、切換部24に対して、逆量子化部22で逆量子化された量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を補間処理部25に供給するように制御する。一方、純音性判定部23は、差分値(SFmax−SFav)が例えば70dB以下の場合に、純音性が低いと判定し、切換部24に対して、逆量子化部22で逆量子化された量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を周波数時間変換部26に供給するように制御する。
これにより、純音性判定部23において純音性が低いと判定された場合には、切換部24は、逆量子化部22で逆量子化された量子化係数MK(m)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)を補間処理部25に供給する。従って、補間処理部25は、純音性判定部23において純音性が低いと判定された場合には、量子化ビット数WL(i)が「0」ビット、「2」ビット又は「3」ビットであるIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)について補間する。
そして、周波数時間変換部26は、純音性判定部23において純音性が低いと判定された場合には、サブバンドフレーム毎に、補間処理部25から供給されるIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)について、IMDCT処理を施すことにより、対応する時間軸のデータに直交変換する。一方、純音性判定部23において純音性が高いと判定された場合には、周波数時間変換部26は、サブバンドフレーム毎に、逆量子化部22から切換部24を経て供給される供給されるIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)について、IMDCT処理を施すことにより、対応する時間軸のデータに直交変換する。次に、周波数帯域合成部27は、入力された複数の周波数帯域(サブバンドフレーム)を帯域合成してデジタルオーディオデータDAD'に復号化する。
以下、補間処理部25の動作についてより具体的に説明する。
まず、量子化ビット数判定部31は、逆量子化されたIMDCT係数I(m)の量子化ビット数WL(i)が何ビットであるかを判定し、判定結果をIMDCT係数1次補正部32に供給する。IMDCT係数1次補正部32は、量子化ビット数WL(i)と、スケールファクタSF(i)と、逆量子化部22で逆量子化されたIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)とに基づいて、周波数領域において、量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットのスペクトルデータについてラグランジュ補間又はスプライン補間を行い、既存の量子化されたスペクトルデータを上記ラグランジュ補間又はスプライン補間で得られる補間曲線上のスペクトルデータに置き換える。
また、IMDCT係数1次補正部32は、量子化ビット数WL(i)と、スケールファクタSF(i)と、係数保存部38に保存された、前のフレームの補間処理後のIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)と、逆量子化部22で逆量子化されたIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)とに基づいて、前後のフレームの同一周波数について、量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットのスペクトルデータについてラグランジュ補間又はスプライン補間を行い、既存の量子化されたスペクトルデータを上記ラグランジュ補間又はスプライン補間で得られる補間曲線上のスペクトルデータに置き換える。この場合、IMDCT係数1次補正部32は、補正対象のスペクトルデータに隣接するスペクトルデータが前後のフレームの同一周波数及び同一フレームの隣接する周波数にともに存在する場合は、補正対象のスペクトルデータに隣接するスペクトルデータのうち、大きな振幅値を有するスペクトルデータに基づいて補正されたスペクトルデータを使用する。
1次ゲイン制御部33は、量子化係数MK(m)に関する上記した式(6)に基づいて、量子化係数MK(m)が、量子化ビット数WL(i)とスケールファクタSF(i)と量子化係数MK(m)から定まるMDCT係数K(m)の理論範囲に収まるように、IMDCT係数1次補正部32によって補正されたスペクトルデータの大きさを調整する。例えば、図4で示すように、量子化ビット数WL(i)が「2」ビットであり、スケールファクタSF(i)が2、量子化周波数帯域iのスペクトルデータの本数が6本である場合、補正処理前のスペクトルデータが0に丸められており、かつ、補正処理後のスペクトルデータが0.5×2を超える場合は、補正する範囲が0〜0.5×2に収まるように、ゲイン係数を決定し、補正された量子化周波数帯域iのすべてのスペクトルデータに乗算する。補正された範囲全体がMDCT係数K(m)の理論範囲に収まらない場合は、0.5×2又は0でクリップされる。
上記周波数帯域毎に設けられた帯域毎のパワー算出部34は、量子化ビット数判定部31から供給された判定結果が、入力されたIMDCT係数I(m)の量子化ビット数WL(i)が非零ビットであることを示す場合には、入力された対応する周波数帯域の周波数成分のIMDCT係数I(m)を2乗和等して、i個の各周波数帯域のスペクトルパワーSiをそれぞれ算出する。
マスキング算出部35は、帯域毎のパワー算出部34において算出された各々のスペクトルパワーSiに基づいて、マスキングしきい値を算出する。最小可聴限合成部36は、上記した式(1)等で表される最小可聴限特性lt(f)等と上記マスキング算出部35において算出された上記マスキングしきい値とを合成して、図3に示す最終のマスキングしきい値Miを各周波数帯域について決定する。
MNR算出部37は、入力された量子化ビット数WL(i)が上記した式(4)に基づいて線形変換されたものであると仮定し、量子化ビット数WL(i)に基づいて周波数帯域毎のMNRi(n)の範囲を算出する。例えば、量子化ビット数WL(i)が「3」ビットである場合には、MNRi(n)は、6dBより大きく、12dB以下であるとする。
MNR算出部37は、まず、i毎に、帯域毎のパワー算出部34において算出されたスペクトルパワーSiと、最小可聴限合成部36において算出された各周波数帯域のマスキングしきい値Miとの比SMRi(上記式(2)参照)をすべての周波数帯域について算出する。次に、MNR算出部37は、各周波数帯域の上記スペクトルパワーSiをnビット(n=0〜16)で量子化した場合の、当該スペクトルパワーSiと量子化雑音パワーNi(n)との比SNRi(n)(上記式(3)参照)を算出する。
さらに、MNR算出部37は、上記比SNRi(n)と上記比SMRiとの比から、マスキングしきい値Miと量子化雑音パワーNi(n)との比MNRi(n)(上記式(4)参照)を算出し、算出された周波数帯域毎のMNRi(n)の範囲のうち、量子化ビット数WL(i)が、すべての周波数帯域についてのMNRi(n)の範囲に含まれるように、全体のMNRi(n)のオフセットを調整する。このオフセット値は、上記線形変換の際の切片を表している。
係数保存部38には、前又は後のフレームのいずれか一方又は両方の補間処理後のIMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)が保存される。
IMDCT係数2次補間部39は、量子化ビット数WL(i)が「0」ビット、すなわち無音の帯域について、逆量子化部22で逆量子化されたIMDCT係数I(m)の有音スペクトルデータと、IMDCT係数1次補正及び1次ゲイン制御がそれぞれ施された有音スペクトルデータ、及び「0」ビットの帯域のいずれかの無音スペクトルデータを用いて、ラグランジュ補間又はスプライン補間を行い、有音化する。
ゲイン制御部40は、IMDCT係数2次補間部39によって補間された「0」ビットの帯域のスペクトルデータが、MNR算出部37において算出されたMNRi(n)以下の値に収まるように、補間されたスペクトルデータに乗算する係数を決定し、補正された量子化周波数帯域iのすべてのスペクトルデータに乗算する。
以上説明したように、補間処理部25では、以下に示す処理が行われている。
(1)量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットである帯域に関する補間処理
(a)量子化ビット数WL(i)が「4」ビット以上の他の帯域に存在する複数のスペクトルデータのうち、最大値及びそれに次ぐ値を有する複数のスペクトルデータと自身の帯域に存在するスペクトルデータとに基づいて、量子化ビット数が「2」ビット又は「3」ビットに丸められている複数のスペクトルデータを補正する。さらに、上記補正されたスペクトルデータがスケールファクタSF(i)及び量子化ビット数WL(i)で定まる範囲内に存在する場合には、上記補間及び係数乗算により得られたスペクトルデータをそのまま採用し、上記範囲外に存在する場合には、上記範囲内の値に補正する。
(b)上記帯域が量子化ビット数WL(i)が「2」ビット又は「3」ビットにビット割り当てされているために、本来値を有すべきであるが、0に丸められているスペクトルデータについて、(a)で補間及び補正された複数のスペクトルデータと、量子化ビット数WL(i)が「4」ビット以上の他の帯域に存在する複数のスペクトルデータとを用いて、(a)と同様に、補正する。
(2)圧縮符号化される段階において、比SMRiが、採用されるビットレートで定まるオフセット(しきい)値に対して小さいために、量子化ビット数WL(i)が「0」ビットとされた帯域に本来存在すべき複数のスペクトルデータに関する補正処理
(a)すべてのスペクトルデータについて、量子化ビット数WL(i)が「2」ビット以上の他の帯域に存在する複数のスペクトルデータのうち、最大値及びそれに次ぐ値を有する複数のスペクトルデータに基づいて、無音の周波数帯域iを補間する。
(b)量子化ビット数WL(i)が「2」ビット以上の他の帯域に存在するスペクトルデータを用いて算出したマスキングしきい値と最小可聴限特性lt(f)(dB)を合成して合成マスキングカーブを作製する。上記(a)で補間した帯域iのスペクトルデータのパワー値を上記合成マスキングカーブで除算して得た比SMRiが、圧縮符号化時にWL(i)を「0」にしたと想定されるオフセット(しきい)値より小さい場合には、上記(a)で補間した帯域iに存在するスペクトルデータをそのまま採用し、上記オフセット(しきい)値より大きい場合には、上記(a)で求めた帯域iに存在するスペクトルデータの係数を補正する。
(3)(1)及び(2)の処理において、前のフレーム又は後のフレームのいずれか一方又は両方の同一帯域に複数のスペクトルデータが存在する場合には、これら複数のスペクトルデータを用いて補間する。
このように、本発明の実施の形態1によれば、量子化分解能が2値、4値等の低いスペクトルの分解能を高めることができ、マスキング効果が高いスペクトルデータの量子化ビット数を小さくするという圧縮符号化の手法(アルゴリズム)を可能な限り流用することにより、圧縮されたデジタルデータを復号化する際に、符号化時に削除されたスペクトルの情報を、物足りなさや違和感を受けることなく、補間することができる。この結果、再生された楽音や音声等からなるアナログ信号は高品質である。
また、本発明の実施の形態1によれば、比MNRi(n)を算出し、この比MNRi(n)に基づいて、補間された複数のスペクトルデータに乗算すべき係数を決定しているので、如何なるビットレートの圧縮符号化であっても、無音のスペクトルデータの大きさを適切に補間することができる。
実施の形態2.
上述の実施の形態1においては、デジタルオーディオデータ復号化装置2をハードウェアで構成した例を示したが、これに限定されない。すなわち、上記デジタルオーディオデータ復号化装置2のうち、補間処理部25を、CPU(中央処理装置)と、ROMやRAM等の内部記憶装置と、FDドライブ、HDドライブ、MOディスクドライブ、CD/DVDドライブ等の外部記憶装置と、出力手段と、入力手段とを有するコンピュータによって構成しても良い。そして、CPUの機能が補間処理プログラムとして、ROM等の半導体メモリや、FD、HDやCD−ROM等の記憶媒体に記憶されていると構成しても良い。この場合、上記内部記憶装置、あるいは外部記憶装置が係数保存部38となり、補間処理プログラムは、記憶媒体からCPUに各々読み込まれ、CPUの動作を制御する。補間処理プログラムが起動されると、CPUは上記補間処理部25を構成する量子化ビット数判定部31と、IMDCT係数1次補正部32と、1次ゲイン制御部33と、帯域毎のパワー算出部34と、マスキング算出部35と、最小可聴限合成部36と、MNR算出部37と、IMDCT係数2次補間部39と、2次ゲイン制御部40として機能し、補間処理プログラムの制御により、上記した処理を実行するのである。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、上述の各実施の形態では、本発明は、ATRAC方式が適用されたデジタルオーディオ記録再生システムに適用する例を示したが、これに限定されない。本発明は、IMDCT係数I(m)(スペクトルデータ)、量子化ビット数WL(i)及びスケールファクタSF(i)があれば良いので、例えば、MP3(MPEG Audio Layer-3)方式、AAC(Advanced Audio Coding)方式、あるいはWMA(Windows Media Audio)(Windowsは登録商標)方式等の音声圧縮符号化技術が適用されたデジタルオーディオ記録再生システムにも適用することができる。
また、上述の各実施の形態では、量子化ビット数は、0〜16ビットである例を示したが、これに限定されず、量子化ビット数は、何ビットでも良い。また、量子化係数がハフマン符号により符号化された方式にも適応することができる。これと関連して、上述の各実施の形態では、量子化ビット数WL(i)が「0」ビット、「2」ビット又は「3」ビットである帯域に関する補間処理を行う例を示したが、これに限定されず、量子化ビット数WL(i)が「4」ビット以上である帯域に関する補間処理を行うようにしても良い。
また、上述の各実施の形態では、本発明をミニディスク(MD)等の記録媒体に記録された圧縮されたデジタルオーディオデータから圧縮されていないデジタルオーディオデータを復号化する場合に適用する例を示したが、これに限定されない。本発明は、例えば、通常の生活者レベル程度の速度で変化するアナログビデオ信号を、視覚心理特性等に基づいて、デジタルビデオデータに圧縮符号化した後、記録媒体に記録し、記録媒体から読み出された圧縮符号化されたデジタルビデオデータを圧縮されていないデジタルビデオデータに復号化する場合にも適用することができる。
また、上述の各実施の形態では、記録媒体としてミニディスク(MD)を用いる例を示したが、これに限定されず、記録媒体は、例えば、コンパクトディスク(CD)、DVD(Digital Versatile Disk)、ハードディスク(HD)、あるいはフラッシュメモリなどの半導体メモリでも良い。
また、上述の各実施の形態では、符号化デジタルデータを生成するための変換方法としては、MDCTを挙げたが、DCTといった直交変換する変換方法であれば本発明が適用可能である。
また、上述の各実施の形態では、マスキングとして同時マスキングを用いる例を示したが、これに限定されず、経時マスキングを用いたり、同時マスキング及び経時マスキングの両方を用いたりしても良い。
本発明の実施の形態1に係るデジタルオーディオデータ復号化装置を構成する補間処理部の構成を示すブロック図である。 図1に示す補間処理部を適用したデジタルオーディオ記録再生システムの構成を示すブロック図である。 図1及び図2に示す最小可聴限合成部におけるパワー算出部において算出された各周波数帯域のスペクトルパワーを示す図である。 MDCT係数の一例を示す図である。
符号の説明
1 デジタルオーディオデータ符号化装置
2 デジタルオーディオデータ復号化装置
3 記録媒体
11 周波数帯域分割部
12 時間周波数変換部
13,34 帯域毎のパワー算出部
14,35 マスキング算出部
15,36 最小可聴限合成部
16 量子化ビット数算出部
17 スケールファクタ算出部
18 量子化部
19 パッキング部
21 アンパッキング部
22 逆量子化部
23 純音性判定部
24 切換部
25 補間処理部
26 周波数時間変換部
27 周波数帯域合成部
31 量子化ビット数判定部
32 IMDCT係数1次補正部
33 1次ゲイン制御部
37 MNR算出部
38 係数保存部
39 IMDCT係数2次補間部
40 2次ゲイン制御部

Claims (2)

  1. 複数の周波数帯域に分割され、周波数帯域毎に設定される指標に基づいて周波数帯域毎に量子化、符号化されているスペクトルデータを復号化するデジタルデータ復号化装置であって、
    量子化ビット割り当てが零の前記周波数帯域の前記スペクトルデータを、前記量子化ビット割り当てが非零の前記周波数帯域に存在する前記スペクトルデータを用いて補間する補間処理部を具備し、
    前記補間処理部は、
    前記量子化ビット割り当てが非零の前記周波数帯域に存在する前記スペクトルデータを用いて算出したマスキングしきい値と最小可聴限特性とを合成して作製した合成マスキングしきい値と、前記補間で得られたスペクトルデータの量子化雑音パワー又はエネルギーとの比が、前記量子化ビット割り当てが非零の帯域の前記比を超えないように、前記補間で得られたスペクトルデータに乗算すべき係数を決定し、前記補間で得られたスペクトルデータにそれぞれ乗算することを特徴とするデジタルデータ復号化装置。
  2. 前記補間処理部は、
    前記補間、前記係数の乗算、前記係数の補正を、前記量子化ビット割り当てが非零の前記周波数帯域に存在する複数の前記スペクトルデータのうち、最大値及びそれに次ぐ値を有する複数のスペクトルデータを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のデジタルデータ復号化装置。
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