JP2004309980A - 楽音信号処理装置 - Google Patents

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裕行 戸田
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Abstract

【課題】処理対象の楽音信号の信号レベルによらず、楽音に関する信号処理を制御するためのパラメータの切り替わりに伴うノイズの発生を抑制することが可能な楽音信号処理装置を提供すること。
【解決手段】レベル検出器440は、楽音信号SIG1の信号レベルを検出し、この信号レベルを表すレベル信号LVをレート変換器450に出力する。レート変換器450は、レベル信号LVを反映させてレート制御信号Rをレート制御信号RAに変換する。補間器460は、レート制御信号RAに従い、音質等を制御するためのパラメータPAを補間してパラメータPAAを生成する。これにより、パラメータPAが切り替わる際のパラメータPAAの変化の度合いが、楽音信号SIG1の信号レベルに応じて適切に制御される。信号処理部430は、パラメータPAAに基づき、楽音信号SIG1に所定の信号処理を施す。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音色や音量に関する信号処理を楽音データに施す楽音信号処理装置に関し、特に、信号処理の内容を制御するためのパラメータの切り替わりに伴って発生するノイズを低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子楽器等に使用される楽音信号処理装置にはデジタルフィルタが組み込まれており、このフィルタ係数を適応的に切り替えることで、所望の楽音特性を実現している。この楽音信号処理装置の従来技術としては、低音域よりも高音域の方が時間変化が速いことに着目したものがあり、フィルタ係数の時間変化の速さをピッチ(音高)に応じて可変制御することにより、自然に近い楽音の再生を可能としている(特許文献1参照)。また、この種の楽音信号処理装置では、フィルタ特性を切り替える際にフィルタ係数の補間が行われており、これにより、フィルタ特性の急激な変化を抑え、聴感上の不連続感を抑制している。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−274493号公報(段落番号0009,0010,0021、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術によれば、処理対象の楽音信号の信号レベルが大きくなると、信号処理を制御するためのパラメータであるフィルタ係数の切り替えに伴ってノイズが発生するという問題がある。即ち、信号レベルが大きいほど、フィルタ係数切り替え時の楽音信号の不連続幅が大きくなり、ノイズが顕在化する。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、楽音に関する信号処理を制御するためのパラメータの切り替わりに伴うノイズの発生を抑制することが可能な楽音信号処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明は以下の構成を有する。
即ち、この発明に係る楽音信号処理装置は、楽音信号を入力し、楽音の再生に伴って切り替わる楽音制御用の第1のパラメータを補間して第2のパラメータを生成し、該第2のパラメータに基づき前記楽音信号に所定の信号処理を施す楽音信号処理装置において、前記楽音信号の信号レベルを検出する検出手段(例えば後述するレベル検出器440に相当する構成要素)と、前記検出手段で検出された信号レベルに対応したレート制御信号を発生するレート制御信号発生手段(例えば後述するレート変換器450に相当する構成要素)と、前記レート制御信号に従い前記第1のパラメータを補間して前記第2のパラメータを生成する補間手段(例えば後述する補間器460に相当する構成要素)と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明の構成によれば、楽音制御用の第1のパラメータが切り替わる際に、補間手段が、第1のパラメータの現在値(第1のパラメータが切り替わる前の値)と目標値(第1のパラメータが切り替わった後の値)との間を補間して第2のパラメータを生成する。これにより、第2のパラメータは、第1のパラメータの現在値から目標値に向かって徐々に変化するものとなる。このとき、第2のパラメータの変化の度合いは、レート制御信号発生手段で得られたレート制御信号により制御される。この第2のパラメータの変化の度合いは、例えば楽音信号の信号レベルが所定値にあるときの変化の度合いを基準とし、検出手段で検出された楽音信号の信号レベルに応じたものとなる。このため、例えば、入力される楽音信号の信号レベルが大きい場合に第2のパラメータの変化の度合いを基準より小さく制御することが可能になる。従って、楽音信号の信号レベルが大きい状態で第1のパラメータが切り替わっても、第2のパラメータに基づく信号処理の過程で発生するノイズを抑制することが可能になる。
【0008】
また、上記楽音信号処理装置において、例えば、前記信号処理手段が、楽音の音質または音量に関する信号処理を行うことを特徴とする。また、例えば、前記レート制御信号発生手段が、前記検出手段で検出された信号レベルと予め設定された基準レート制御信号との差を反映させて前記レート制御信号を発生することを特徴とする。また、例えば、前記レート制御信号発生手段が、前記検出手段で検出された信号レベルと予め設定された基準レート制御信号との比を反映させて前記レート制御信号を発生することを特徴とする。さらに、例えば、前記レート制御信号発生手段が、前記検出手段で検出対象とされる信号レベルと前記レート制御信号との対応関係が規定されたテーブルを参照して前記レート制御信号を発生することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態に係る楽音信号処理装置を説明する。なお、この実施形態では、楽音信号処理装置をデジタルコントロールドフィルタ(DCF;Digital Controled Filter)として構成した場合を説明する。図1に、この実施形態の楽音信号処理装置に係るデジタルコントロールドフィルタ43が適用された楽音再生装置の構成を示す。この楽音再生装置は、例えばMIDI(Musical Instruments Digital Interface)規格に準拠した楽音信号を再生するものであり、CPU(Central Processing Unit)からなる制御部10、ROM(Read Only Memory)からなる記憶部20、RAM(Random Access Memory)からなる記憶部30、この発明によるデジタルコントロールドフィルタ43が内蔵された音源40を含んで構成され、これらはバス50を介して相互に接続されている。
【0010】
同図において、制御部10は、この楽音再生装置の全体動作を制御するものであり、その動作プログラムが記憶部20に格納されている。記憶部30には、楽曲データ(例えばSMF(Standard Midi File)形式のデータ)や、動作の過程で発生する各種のテンポラリデータ等が格納される。制御部10は、記憶部20に格納された動作プログラム(シーケンス)に従い、記憶部30に格納された楽曲データを解読し、後述する楽音の波形データを合成するためのパラメータや、パラメータPA,PB,PC等の発音制御用の各種のパラメータを生成して音源40に供給する。
【0011】
音源40は、いわゆるウェーブテーブル音源であり、制御部10から与えられるパラメータに基づきピッチに対応した楽音の波形データを合成して出力するものであり、アドレスジェネレータ41、ウェーブテーブル42、デジタルコントロールドフィルタ43、乗算器44、デジタルコントロールドアンプ(DCA;Digital Controled Amplifire)45、エンベロープジェネレータ46から構成される。このうち、アドレスジェネレータ41は、楽音の音色に対応したアドレスを先頭アドレスとして楽音のピッチ(音高)に対応したレートで歩進するアドレスを発生するものであり、このアドレスはウェーブテーブル42に出力される。ウェーブテーブル42には、楽音の音色に対応する各種の波形データが格納されており、アドレスジェネレータ41から入力するアドレスに対応した波形データを楽音信号SIG1として出力する。
【0012】
デジタルコントロールドフィルタ43は、この発明に係る楽音信号処理装置であり、楽音の音質(音色等)を制御するためのパラメータPA(第1のパラメータ)に従い、上述のウェーブテーブル42から出力された楽音信号SIG1に対して楽音の音質に関する所定の信号処理を施すものである。パラメータPAは、制御部10から与えられ、その値は楽音の再生に伴って切り替わる。このように、音源40に供給されるパラーメータPAの値を切り替えることによって、信号処理の内容を楽音の内容に応じて変化させ、所望の楽音特性を実現している。また、このデジタルコントロールドフィルタ43は、後述するように、パラメータPAを補間する機能を有している。デジタルコントロールドフィルタ43により信号処理が施された楽音信号SIG2は、乗算器44の一方の入力信号とされる。
【0013】
エンベロープジェネレータ46は、制御部10から与えられる発音制御用のパラメータPCに従ってエンベロープ信号を発生するものである。このエンベロープ信号は乗算器44の他方の入力信号とされる。乗算器44は、デジタルコントロールドフィルタ43から入力する楽音信号SIG2に上述のエンベロープ信号を乗じて振幅制御するものである。振幅制御された楽音信号は、デジタルコントロールドアンプ45に出力される。このデジタルコントロールドアンプ45は、制御部10から与えられる発音制御用のパラメータPBに従い、乗算器44から入力する楽音信号の音量を制御するものである。デジタルコントロールドアンプ45から出力された楽音信号は、図示しないD/A変換器によりアナログ信号に変換され、この信号がスピーカの駆動に供される。
【0014】
図2に、上述のデジタルコントロールドフィルタ43の詳細な構成を示す。このデジタルコントロールドフィルタ43は、同図に示すように、信号処理部430、レベル検出器440、レート変換器450、補間器460から構成される。ここで、信号処理部430とレベル検出器440には、前述のウェーブテーブル42から楽音信号SIG1が入力される。楽音信号SIG1の信号レベルはレベル検出器440で検出され、このレベル検出器440からは、楽音信号SIG1の信号レベルの絶対値を表すレベル信号LVが出力される。
【0015】
レート変換器450には、上述のレベル信号LVと、制御部10から与えられるレート制御信号R(基準レート制御信号)とが入力される。このレート変換器450は、レート制御信号Rを楽音信号SIG1の信号レベルが反映されたレート制御信号RAに変換する。補間器460には、上述のレート制御信号RAとパラメータPAとが与えられる。この補間器460は、レート制御信号RAに従いパラメータPAを補間してパラメータPAA(第2のパラメータ)を生成し、信号処理部430に与える。上述のレート制御信号Rは、パラメータPAが切り替わる際のパラメータPAAの変化のレート(変化の度合い)の基準値を与える信号である。この基準値は、ユーザによって任意に設定されるものであり、レスポンス重視の場合は大きな値に設定され、ノイズ低減重視の場合には小さな値に設定される。
【0016】
信号処理部430は、基本的には巡回フィルタ(IIR)として構成され、補間器460から入力するパラメータPAAの値に応じて種々のフィルタ特性を示し、このフィルタ特性を利用して音質に関する所定の信号処理を楽音信号SIG1に施すものである。即ち、信号処理部430は、加算器431,432,434,436、乗算器433,435,439、遅延部437,438から構成される。このうち、加算器431,432、乗算器433、加算器434、乗算器435、加算器436はこの順に従属接続され、加算器431の一方の入力部に楽音信号SIG1が入力される。乗算器433,435には、パラメータPAAが与えられ、このパラメータPAAの値が各乗算器の入力信号に乗じられる。遅延部437,438は、フィードバック系を構成し、その入力部に与えられる信号を1サンプリング周期だけ遅延させて巡回させるものである。乗算器439はレゾナンス値を制御するものである。この信号処理部430は公知のローパスフィルタであり、乗算器433,435に与えるパラメータPAAを変えることによりカットオフ周波数 を変えることができる。
【0017】
次に、この実施形態の楽音信号処理装置に係るデジタルコントロールドフィルタ43の動作を説明する。
(1)レート変換器450の静的な動作
先ず、デジタルコントロールドフィルタ43を構成するレート変換器450について、3つの基本的な静的動作を説明する。第1に、レベル信号LVが所定値LM(図示なし)の値、またはその近傍にある場合には、レート変換器450は、レート制御信号Rと同値のレート制御信号RAを出力する。この場合、レート制御信号RAを入力する補間器460が生成するパラメータPAAの変化のレートは標準的な値(基準値)を示す。第2に、レベル信号LVが所定値LMよりも大きい値を示す場合には、レート制御信号Rで定まる基準のレートよりも小さな値を示すレート制御信号RAを出力する。第3に、レベル信号LVが所定値LMよりも小さい値を示す場合には、レート制御信号Rで定まる基準のレートよりも大きい値を示すレート制御信号RAを出力する。このように、レート制御信号RAの値は、所定値LMを中心として、楽音信号SIG1の信号レベルが大きい場合には小さくなり、逆に信号レベルが小さい場合には大きくなる。
【0018】
(2)補間器460の動作
続いて、図3に示すフローに沿って、補間器460の補間処理を説明する。
なお、デジタルコントロールドフィルタ43には、或る信号レベルの楽音信号SIGが入力されており、レート変換器450からは、このときの楽音信号SIGの信号レベルを検出して得られるレート制御信号RAが出力されているものとする。また、初期状態では、パラメータPAAの値はパラメータPAと同値であるものとする。
この状態からパラメータPAが切り替わると、補間器460は、パラメータPAの現在値(切り替わる前のパラメータPAの値)と目標値(切り替わった後のパラメータPAの値)とを比較する(ステップS1)。ここで、目標値が現在値よりも大きい場合(ステップS1;YES)、補間器460は、パラメータPAを補間するための補間演算により、パラメータPAの現在値よりも大きい補間値を発生し(ステップS2)、この補間演算の結果(補間値)を新たにパラメータPAの現在値とする。
【0019】
続いて、補間器460は、目標値と新たな現在値(補間演算の結果)とを比較し(ステップS3)、新たな現在値が目標値よりも小さく、目標値に到達していなければ(ステップS3;YES)、この新たな現在値をパラメータPAAとして出力する(ステップS4)。即ち、パラメータPAAの値がパラメータPAの現在値から補間演算により得られた補間値に置き替わる。そして、処理を上述のステップS2に戻して同様の処理を繰り返し行い、補間演算の結果として新たに得られる現在値が目標値よりも大きくなると(ステップS3;NO)、それまでの上述のステップS2〜S4のループ処理を抜け出し、後述するステップS8に処理を移す。ここまでの処理により、現在値から目標値に向けて段階的に増加する補間値が生成される。
【0020】
これに対し、上述のステップS1において、目標値が現在値よりも小さい場合(ステップS1;NO)、以下のようにパラメータPAが補間され、パラメータPAの現在値から段階的に減少するパラメータPAAが生成される。即ち、補間器460は、補間演算によりパラメータPAの現在値よりも小さい補間値を発生し(ステップS5)、これを新たに現在値とする。そして、目標値と新たな現在値とを比較し(ステップS6)、新たな現在値が目標値よりも大きければ(ステップS6;NO)、この新たな現在値をパラメータPAAとして出力する(ステップS7)。そして、処理を上述のステップS5に戻して同様の処理を繰り返し、補間演算により得られる現在値が目標値よりも小さくなると(ステップS6;YES)、次のステップS8に処理を移す。ここまでの処理により、現在値から目標値に向けて段階的に減少する補間値が生成される。
上述のステップS3,S6の処理に続き、最後に、補間器460は、目標値を現在値に置き替え(ステップS8)、この置き換えられた現在値をパラメータPAAとして出力する(ステップS9)。以上により、段階的に増加または減少する補間値によりパラメータPAが補間され、現在値から目標値に向かって徐々に変化するパラメータPAAが得られる。
【0021】
(3)デジタルコントロールドフィルタ43の全体動作
続いて、図4を参照しながら、楽音信号SIGの信号レベルにより場合を分けて、デジタルコントロールドフィルタ43の全体動作を説明する。
図4(a)は、楽音信号SIG1の信号レベルが大きい状態にあり、レベル信号LVが所定値LMよりも大きい場合のパラメータPAAの変化を示す。また、同図(b)は、楽音信号SIG1の信号レベルが標準的な状態にあり、レベル信号LVの値が所定値LMと概ね同等である場合のパラメータPAAの変化を示す。さらに、同図(c)は、楽音信号SIG1の信号レベルが小さい状態にあり、レベル信号LVの値が所定値LMよりも小さい場合のパラメータPAAの変化を示す。なお、図4において、V1は、パラメータPAAの変化前の現在値を示し、切り替わる前のパラメータPAの値と一致するものとする。また、V2は、パラメータPAAの変化後の目標値を示し、切り替わった後のパラメータPAの値と一致するものとする。H11,H12,H13,H2は、補間器460で生成されたパラメータPAAの補間値を示している。
【0022】
図4(a)を参照して、楽音信号SIG1の信号レベルが大きい状態にある場合を説明する。この場合、上述の静的な動作の説明で述べたように、レート制御信号RAの値は小さくなる。この状態で、時刻t1においてパラメータPAが切り替わると、補間器460は、緩やかな傾きを有する破線Q1に沿った値を有する補間値H11,H12,H13を順次発生し、これら補間値を用いてパラメータPAを補間する。この結果、現在値V1から目標値V2に向けて徐々に変化するパラメータPAAが得られる。
【0023】
ここで、パラメータPAAの変化のレート(変化の度合い)を表す破線Q1の傾きは、上述のレート制御信号RAで規定され、楽音信号SIG1の信号レベルが大きい場合には破線Q1の傾きが小さくなり、パラメータPAAの変化のレートが小さく制御される。従って、パラメータPAAを入力する信号処理部430は、そのフィルタ特性を緩やかに変化させながら、楽音信号SIG1に対して音質に関する信号処理を施し、楽音信号SIG2を生成して出力する。よって、楽音信号SIG1の信号レベルが大きい状態でパラメータPAが切り替わっても、信号処理部430のフィルタ特性が急激に変化することがなく、パラメータPAの切り替わりに伴うノイズの発生が抑制されることになる。
【0024】
続いて、図4(b)を参照して、楽音信号SIGの信号レベルが標準的な状態にあり、レベル信号LVが概ね所定値LMにある場合を説明する。この場合、レート制御信号RAの値はレート制御信号Rと概ね同値となる。この状態で、時刻t1においてパラメータPAが切り替わると、補間器460は、レート制御信号RAで定まる標準的な傾きを有する破線Q2に沿って補間値H2を発生し、パラメータPAAを生成する。従って、この場合、パラメータPAAの変化のレートが標準的な値に制御され、パラメータPAAを入力する信号処理部430は、そのフィルタ特性を標準的な速さで段階的に変化させながら、楽音信号SIG1に対して信号処理を施す。この場合、パラメータPAAの変化のレートは上述の図4(a)に示す場合に比較して速くなるが、楽音信号SIG1の信号レベルが大きくはないので、ノイズの発生は有効に抑制される。
【0025】
続いて、図4(c)を参照して、楽音信号SIGの信号レベルが小さい状態(例えば信号レベルが「0」の状態)にあり、レベル信号LVが所定値LMよりも小さい場合を説明する。この場合、レート制御信号RAの値は大きくなる。この状態で、時刻t1においてパラメータPAが切り替わると、補間器460は、レート制御信号RAで定まる比較的大きな傾きを有する破線Q3に沿って補間値H3を発生し、パラメータPAAを生成する。この例では、補間値H3は、目標値V2と等しい値になっている。従って、パラメータPAAの変化のレートが大きな値に制御され、パラメータPAAを入力する信号処理部430は、そのフィルタ特性を急峻に変化させて楽音信号SIG1に信号処理を施す。また、この場合、パラメータPAAの変化のレートは上述の図4(a),(b)に示す場合に比較して極めて大きくなるが、楽音信号SIG1の信号レベルが小さい状態にあるので、ノイズの発生は抑制される。しかも、パラメータPAがパラメータPAAとして信号処理部430に供給されるので、パラメータPAによりリアルタイムに信号処理部430の特性を制御することができる。
【0026】
なお、図4(c)に示す例では、目標値V2と等しい値を有する補間値H3を発生するものとしたが、この場合、補間値H3の値は、切り替わった後のパラメータPAの値と同値であるから、補間演算を行わずに、パラメータPAをそのままパラメータPAAとして出力するように構成してもよい。
上述したように、楽音信号SIG1の信号レベルの絶対値に応じてパラメータPAAの変化の度合いが制御され、この変化の度合いは、楽音信号SIG1の信号レベルの絶対値が小さい程大きく制御され、逆にこの信号レベルの絶対値が大きい程小さく制御される。
なお、楽音信号の信号レベルは時々刻々変化するので、図4(a)〜(c)に示す各時刻での破線Q1〜Q3の傾きは一様ではなく、頻繁に変化する。このため、実際には図5に示すように破線は曲線を描く。図5は、楽音信号の信号レベルが大きい状態から小さい状態に時々刻々変化するときのパラメータPAAの変化を示しており、破線の傾きも楽音の信号レベルに応じて時々刻々変化する。このように、実際には図5に示すように破線は曲線を描く。
【0027】
続いて、上述の図4に示す破線Q1〜Q3の傾きの算出方法の一例を説明する。上述のように、破線Q1〜Q3の傾きは、レート制御信号RAで規定され、このレート制御信号RAはレート制御信号Rをレート変換器450により変換して得られるが、この変換方法の一例としては、下式(1)または(2)に示される数式による方法がある。ここで、式(1)は、信号レベルLVの値とレート制御信号Rの値との差(V−VLV)を反映させて、レート制御信号Rをレート制御信号RAに変換するための変換式である。また、式(2)は、信号レベルLVとレート制御信号Rとの比(V/VLV)を反映させて、レート制御信号Rをレート制御信号RAに変換するための変換式である。各式において、「k」は比例係数、「V」はレート制御信号Rの値、「VLV」はレベル信号LVの値を表す。
(レート制御信号RAの値)=k×(V−VLV) ・・・(1)
(レート制御信号RAの値)=k×(V/VLV) ・・・(2)
【0028】
他の変換方法の例としては、レート制御信号Rで定まる値を基準として信号レベルLVとレート制御信号RAとの対応関係が規定されたテーブルをレート変換器450に備え、このテーブルを参照してレート制御信号Rをレート制御信号RAに変換するようにしてもよい。
なお、この実施形態では、レート制御信号Rを、ユーザの好みにより変えられるものとしたが、レート制御信号Rは固定値であってもよい。その場合には、上記テーブルはもっとシンプルに構成できる。また、レート変換器450にレート制御信号Rを入力する必要もなくなる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上述の実施形態では、この発明に係る楽音信号処理装置をデジタルコントロールドフィルタとして構成したが、楽音の音量に関する所定の信号処理を行うデジタルコントロールドアンプ45(図1)に対してこの発明を適用することも可能である。この場合、デジタルコントロールドアンプ45に供給されるパラメータPB(第1のパラメータ)を補間する過程で、乗算器44の出力信号の信号レベルを検出し、この信号レベルに応じて、補間により得られるパラメータ(第2のパラメータ)の変化の度合い(変化のレート)を制御するようにすればよい。
【0030】
また、図4に示す例では、楽音信号SIGの信号レベルにより3つの場合に分けて説明したが、この例に限定されることなく、楽音信号SIG1の信号レベルを更に細く分けてもよく、逆に大小の2つの場合に分けてもよく、何れにしてもノイズが顕在化しない限度において、任意の場合に分けて、適切な個数の補間値を発生すればよい。さらに、図4に示す例では、線形的な補間を行う場合を示しているが、これに限らず、パラメータPAAの変化の度合いを表現できる限度において、どのような補間を行うものとしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、楽音信号の信号レベルを検出し、この信号レベルに応じて楽音制御用のパラメータの変化の度合いを制御するようにしたので、処理対象の楽音信号の信号レベルによらず、楽音に関する信号処理を制御するためのパラメータの切り替わりに伴うノイズの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る楽音信号処理装置(デジタルコントロールドフィルタ)が適用された楽音再生装置のブロック図である。
【図2】この発明の実施形態に係る楽音信号処理装置(デジタルコントロールドフィルタ)の構成図である。
【図3】この発明の実施形態に係る楽音信号処理装置(デジタルコントロールドフィルタ)が備える補間器の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施形態に係る楽音信号処理装置(デジタルコントロールドフィルタ)の補間動作を説明するための波形図である。
【図5】この発明の実施形態に係る楽音信号処理装置(デジタルコントロールドフィルタ)の補間動作を補足説明するための波形図である。
【符号の説明】
43;デジタルコントロールドフィルタ(楽音信号処理装置)、430;信号処理部、431,432,434,436;加算器、433,435,439;乗算器、437,438;遅延部。

Claims (5)

  1. 楽音信号を入力し、楽音の再生に伴って切り替わる楽音制御用の第1のパラメータを補間して第2のパラメータを生成し、該第2のパラメータに基づき前記楽音信号に所定の信号処理を施す楽音信号処理装置において、
    前記楽音信号の信号レベルを検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出された信号レベルに対応したレート制御信号を発生するレート制御信号発生手段と、
    前記レート制御信号に従い前記第1のパラメータを補間して前記第2のパラメータを生成する補間手段と、
    を備えたことを特徴とする楽音信号処理装置。
  2. 前記信号処理手段が、楽音の音質または音量に関する信号処理を行うことを特徴とする請求項1に記載された楽音信号処理装置。
  3. 前記レート制御信号発生手段が、前記検出手段で検出された信号レベルと予め設定された基準レート制御信号との差を反映させて前記レート制御信号を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載された楽音信号処理装置。
  4. 前記レート制御信号発生手段が、前記検出手段で検出された信号レベルと予め設定された基準レート制御信号との比を反映させて前記レート制御信号を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載された楽音信号処理装置。
  5. 前記レート制御信号発生手段が、前記検出手段で検出対象とされる信号レベルと前記レート制御信号との対応関係が規定されたテーブルを参照して前記レート制御信号を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載された楽音信号処理装置。
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WO2018003728A1 (ja) * 2016-06-28 2018-01-04 ヤマハ株式会社 音データ生成装置及び音データ生成方法

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