JP5671823B2 - 高調波生成方法、高調波生成装置、及び、プログラム - Google Patents
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Description
非可逆な方法によって音声データを圧縮すると、一部の音が省略されてしまう。
このため、非可逆な方法によって圧縮されたディジタルオーディオ信号を再生する従来の信号処理装置では、再生された音声が聴感上好ましくないものとなることがある。
高調波(倍音)を生成する方法として、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)及びI(Inverse)FFTを利用することも考えられる。しかし、FFTやIFFTは多くの演算量を必要とし、ハードウエア及びソフトウエアの負担が大きい。また、生成した高調波の周波数がナイキスト周波数を超える場合がある。このため、FFT法等を用い生成した高調波を再生信号に補完した場合でも、違和感のある音が再生される場合がある。
入力されたディジタルオーディオ信号を、前記入力されたディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数の4n分の1(nは正の整数)の周波数以下に帯域制限するステップと、
前記帯域制限されたディジタルオーディオ信号を2n乗するステップと、
前記2n乗されたディジタルオーディオ信号から予め設定された所定の値を減算することにより直流成分を減算するステップと、
を備えることを特徴とする。
を更に備えてもよい。
を更に備えてもよい。
を更に備えてもよい。
前記直流成分を減算するステップは、前記2n乗され、かつ、前記振幅を調整されたディジタルオーディオ信号から直流成分を減算してもよい。
を更に備えてもよい。
を更に備えてもよい。
を更に備えてもよい。
入力されたディジタルオーディオ信号を、前記入力されたディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数の4n分の1(nは正の整数)の周波数以下に帯域制限する低域通過フィルタと、
前記帯域制限されたディジタルオーディオ信号を2n乗する乗算器と、
前記2n乗されたディジタルオーディオ信号から予め設定された所定の値を減算することにより直流成分を減算する減算器と、
を備えることを特徴とする。
コンピュータに、
入力されたディジタルオーディオ信号を、前記入力されたディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数の4n分の1(nは正の整数)の周波数以下に帯域制限する手順と、
前記帯域制限されたディジタルオーディオ信号を2n乗する手順と、
前記2n乗されたディジタルオーディオ信号から予め設定された所定の値を減算することにより直流成分を減算する手順と、
を実行させることを特徴とする。
本実施例に係る高調波生成回路は、入力されたディジタルオーディオ信号の偶数次の高調波(偶数倍音)を生成するものである。
以下、本発明の実施形態1に係る高調波生成回路100について説明する。この高調波生成回路100は、入力されたディジタルオーディオ信号の二次高調波(2倍音)を生成する。
減算器30は、乗算器20から出力されたディジタルオーディオ信号SSから、DC値記憶部25に記憶されている値DFを減算し、乗算器40に出力する。
乗算器40は、減算器30から出力されたディジタルオーディオ信号STと、α値記憶部35から出力された値αとを受け、ディジタルオーディオ信号STをα倍に増幅して、この高周波生成回路1の出力信号Soとして出力する。
まず、LPF10は、入力ディジタルオーディオ信号Siを、このディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsの1/4以下に帯域制限して出力する。サンプリング周波数の1/4以下に帯域制限することにより、この高調波生成回路100が出力する2倍音の周波数が、最大でもサンプリング周波数の1/2になり、エイリアシングの発生を抑えることができる。
ここで、理解を容易にするため、信号SLがA・sinθで表されるとすると、次式に示すように、この信号を2乗することにより、A2/2の大きさの直流成分と、A2/2の大きさを持った周波数2θの成分(2倍音)が生成される。なお、Aは振幅、θは周波数を表す。
(A・sinθ)2=A2/2−(A2/2)・cos2θ
減算器30は、乗算器20から出力されたディジタルオーディオ信号SSから、DC値記憶部25に記憶されている値DFを減算することにより、DCオフセット補正を行う。即ち、直流成分をカットする。上述の例では、{(A2/2−(A2/2)・cos2θ}−(A2/2)を求めることにより、直流成分がカットされた(−A2/2)・cos2θを求める。
α値記憶部35に記憶されている値αは、上述の例によれば、2である。振幅は1なので、直流成分がカットされた(−A2/2)・cos2θの振幅を2倍することで、振幅α・(−A2/2)=2/(−12/2)=1となる。即ち、入力信号とほぼ同一振幅で、周波数が2倍のディジタルオーディオ信号Soを生成して出力することができる。
乗算器40は、信号STに増幅率2を乗算することにより、図2に符号Soで示す振幅が1で、±1の範囲で振動する周波数884Hzの信号を出力する。
図2に示す信号の対比からも明らかなように、高調波生成回路100は、入力信号の二次高調波を生成して出力することができる。
しかも、LPF10によって、入力信号に含まれている周波数成分のうち、サンプリング周波数fsの1/4以上の周波数については、それをカットし、倍音を生成しないので、エイリアシングが発生しない。
また、乗算器20で2乗されることで生成された2倍音は、減算器30でDCオフセット補正されるため、直流成分が少なく、生成された倍音を高調波の補完に用いた場合には、原音に近い再生音を生成することができる。
また、入力信号Siの振幅に対し出力信号の振幅を抑えることができ、生成された倍音を高調波の補完に用いた場合には、原音に近い再生音を生成することができる。
また、図1からも明らかなように、回路構成は簡単であり、演算量も少なくて済み、DSP等を必要としない(使ってもよい)。
従来の課題の欄で説明したように、非可逆な圧縮方法により圧縮されて、記録されたディジタルオーディオ信号を再生した際には、原音に含まれていた高調波成分が含まれなくなってしまう。
以下、第1実施形態の高周波生成回路を用いて、再生信号の二次高調波を生成し、これを再生信号に加算することにより、高調波を含み、より原音に近い音声を出力することが可能な、ディジタルオーディオ信号処理装置の実施形態を図3を参照して説明する。
なお、図3において、図1と同一部分には、同一符号を付して示す。
記録媒体に記録されているディジタルオーディオ信号は、可逆性圧縮法又は非可逆性圧縮法により圧縮されている。非圧縮でもよい。
プレーヤ50は、非可逆性圧縮法により圧縮されたディジタルオーディオ信号を伸張して出力する際には、スイッチコントール信号Scをオンする。
高調波生成回路100は、スイッチSWが閉じた時に供給される、プレーヤ50の出力ディジタルオーディオ信号を、第1実施形態で説明したように処理し、二次高調波を生成して出力する。なお、乗算器40の倍率αは、信号Soの振幅が、信号Siの振幅より小さくなるように、1/10以下、望ましくは、1/50以下に予め設定されている。
D/Aコンバータ70は、加算器60の出力するディジタルオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
出力アンプ80は、D/Aコンバータ70から出力されたアナログオーディオ信号を増幅して出力する。
放音部90は、スピーカ、ヘッドホン、等から構成され、出力アンプからのアナログオーディオ信号を空気振動に変換して出力する。
プレーヤ50が再生する信号が、非圧縮信号又は可逆性圧縮法により圧縮された信号である場合、プレーヤ50は、スイッチ制御信号SCをオフ状態に維持する。
これにより、スイッチSWは開状態を維持する。
加算器60は、プレーヤ50の再生信号と高調波生成回路100からの値0に相当する信号とを加算して出力する。即ち、プレーヤ50の再生信号をそのまま出力する。
この再生信号は、D/Aコンバータ70によりアナログ信号に変換され、出力アンプ80により増幅され、放音部90により空気信号に変換され、放音される。
この場合、プレーヤ50の再生信号は、原音に忠実な信号であるので、再生音の音質は高い。
高調波生成回路100は、前述のように、供給された再生信号の二次高調波を生成し、加算器60に出力する。
加算器60は、プレーヤ50の再生信号と高調波生成回路100からの二次高調波信号とを加算して出力する。ここで、再生信号は、非可逆性圧縮法により圧縮された信号を伸張して得たものであり、原音のうち、高調波成分が省略されている信号である。これに、100で生成された二次高調波が加算されることにより、欠落している高調波の一部が補完されることとなる。
しかも、第1実施形態で説明したように、LPF10により帯域を制限するので、再生信号に比較的高い周波数の成分が含まれていても、エイリアシングが発生せず、高音質が維持される。また、減算器30により、DC成分がカットされているので、聴者に違和感を与えない。また、乗算器40の増幅率αが比較的小さい値に設定されているので、再生信号に含まれている各周波数成分のレベルと、生成された高調波成分のレベルとのバランスに優れ、聴者に違和感を与えない。
また、ディジタルオーディオ信号処理装置200は、回路構成がシンプルで、演算量が少ない。
上記実施形態1,2では、回路を各種半導体素子で構成する例を示したが、DSP,CPU等のデータ処理により、同様の機能を実現することも可能である。
ディジタルオーディオ信号が入力されると、DSP300は、メモリ310から、予め記憶された高調派生成処置を読み出し、これを実行する。
なお、DSPは、所定時間のディジタルデータについて、図4(b)に示す処理を順次実行すると共に、順次供給されるディジタルデータについて、同様の処理を行う。
DSP300は、DCオフセット補正されたディジタルオーディオ信号の振幅を予め設定され、メモリ310に格納されている定数α倍して振幅を調整する(ステップS104)。
DSP300は、振幅を調整されたディジタルオーディオ信号と入力ディジタルオーディオ信号とを加算する(ステップS105)。
上記実施形態1乃至3では、入力されたディジタルオーディオ信号を2乗して2倍音を生成する場合について説明した。この発明は、これに限定されず、実施形態1と同様の処理を行うことにより、2n(nは正の整数)倍音を生成することが可能である。
ただし、理解を容易にするために、具体的に、4倍音を生成する4倍音生成回路400について説明する。
ここで、理解を容易にするため、信号SLがsinθで表されるとすると、次式に示すように、この信号SLを4乗することにより、3/8の大きさの直流成分と、1/2の大きさを持った周波数2θの成分(2倍音)と、1/8の大きさを持った周波数4θの成分(4倍音)と、が生成される。なお、θは周波数を表し、振幅1であるとしている。
(sinθ)4=3/8−(1/2)・cos2θ+(1/8)・cos4θ
減算器30は、2n乗回路21から出力されたディジタルオーディオ信号SSから、DC値記憶部25に記憶されている値+3/8を減算することにより、DCオフセット補正を行う。即ち、直流成分をカットする。上述の例では、{3/8−(1/2)・cos2θ+(1/8)・cos4θ}−(3/8)を求めることにより、直流成分がカットされた−(1/2)・cos2θ+(1/8)・cos4θを求める。
α値記憶部35は、値8/5を記憶している。即ち信号SLの振幅−(1/2)・cos2θ+(1/8)の最大値である8/5を記憶している。
上述の例では、信号SQ(−1/2)・cos2θ+(1/8)・cos4θを(8/5)倍することにより、−(4/5)・cos2θ+(1/5)・cos4θを出力する。即ち、周波数が4倍の信号を含む、最大値が1のディジタルオーディオ信号Soを生成して出力することができる。
しかも、LPF11によって、入力信号に含まれている周波数成分のうち、サンプリング周波数fsの1/8以上の周波数については、それをカットし、倍音を生成しないので、エイリアシングが発生しない。
また、2n乗回路21で4乗されることで生成された信号SQは、減算器30でDCオフセット補正されるため、直流成分が少なく、生成された倍音を高調波の補完に用いた場合には、原音に近い再生音を生成することができる。
また、入力信号Siの振幅に対し出力信号の振幅を抑えることができ、生成された倍音を高調波の補完に用いた場合には、原音に近い再生音を生成することができる。
非可逆な圧縮において、高周波数帯域の音声は省略或いは抑圧される傾向にある。
このため、高調波のうちでも、比較的低周波域のものはカットされずに、高周波域のものがカットされるというようなことが起こりうる。
このような場合には、乗算器40の出力をHPF(High Pass Filter)に供給し、HPFのカットオフ周波数を、圧縮によりカットされる周波数域の下限値に設定し、カットされた周波数域の高調波のみを通過させ、これを加算器60に供給して原再生信号に加算するようにすればよい。
HPF510は、乗算器40から出力される信号Soのうち、高周波数帯域の高調波のみを通過させて、加算器60に供給する。
加算器60は、HPF510から供給された信号SoHと、入力されたディジタルオーディオ信号Siとを加算して出力する。
例えば、本発明の高調波生成回路の構成は、図1,3,4,5,及び8に示す構成に限定されない。
例えば、図9に示すように、実施形態2のディジタルオーディオ信号処理装置200の、高調波生成回路100の減算器30と乗算器40の配置を置き換えてもよい。
図9に示す例では、乗算器20から出力された信号SSを乗算器40によってα倍し、乗算器40から出力される信号STからDC値記憶部25に記憶されている値DFを減算する。ただし、DC値記憶部25に記憶される値DFは、予めα倍されている。
200 ディジタルオーディオ信号処理装置
300 DSP
400 4倍音生成回路
10,11 LPF
20 乗算器
21 2n乗回路
25 DC値記憶部
30 減算器
35 α値記憶部
40 乗算器
50 プレーヤ
60 加算器
70 D/Aコンバータ
80 増幅アンプ
90 放音器
SW スイッチ
510 HPF
Claims (12)
- 入力されたディジタルオーディオ信号を、前記入力されたディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数の4n分の1(nは正の整数)の周波数以下に帯域制限するステップと、
前記帯域制限されたディジタルオーディオ信号を2n乗するステップと、
前記2n乗されたディジタルオーディオ信号から予め設定された所定の値を減算することにより直流成分を減算するステップと、
を備えることを特徴とする高調波生成方法。 - 前記直流成分を除かれたディジタルオーディオ信号の振幅を調整するステップ、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の高調波生成方法。 - 前記振幅を調整されたディジタルオーディオ信号と、前記入力されたディジタルオーディオ信号と、を加算するステップ、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の高調波生成方法。 - 前記振幅を調整されたディジタルオーディオ信号を所定の周波数帯域のディジタルオーディオ信号に帯域制限するステップ、
を更に備えることを特徴とする請求項2または3に記載の高調波生成方法。 - 前記2n乗されたディジタルオーディオ信号の振幅を調整するステップを更に備え、
前記直流成分を減算するステップは、前記2n乗され、かつ、前記振幅を調整されたディジタルオーディオ信号から直流成分を減算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高調波生成方法。 - 前記直流成分を減算されたディジタルオーディオ信号と、前記入力されたディジタルオーディオ信号と、を加算するステップ、
を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の高調波生成方法。 - 前記直流成分を減算されたディジタルオーディオ信号を所定の周波数帯域のディジタルオーディオ信号に帯域制限するステップ、
を更に備えることを特徴とする請求項5または6に記載の高調波生成方法。 - 前記振幅を調整するステップは、前記直流成分を除かれたディジタルオーディオ信号の振幅を、前記入力されたディジタルオーディオ信号の振幅以下に調整する、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の高調波生成方法。 - 前記帯域制限するステップは、前記振幅を調整されたディジタルオーディオ信号の低周波数帯域を制限して、高周波数帯域を通過させる、
ことを特徴とする請求項4または7に記載の高調波生成方法。 - 前記所定の周波数帯域に帯域制限されたディジタルオーディオ信号と、前記入力されたディジタルオーディオ信号と、を加算するステップ、
を更に備えることを特徴とする請求項4、7及び9のいずれか1項に記載の高調波生成方法。 - 入力されたディジタルオーディオ信号を、前記入力されたディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数の4n分の1(nは正の整数)の周波数以下に帯域制限する低域通過フィルタと、
前記帯域制限されたディジタルオーディオ信号を2n乗する乗算器と、
前記2n乗されたディジタルオーディオ信号から予め設定された所定の値を減算することにより直流成分を減算する減算器と、
を備えることを特徴とする高調波生成装置。 - コンピュータに、
入力されたディジタルオーディオ信号を、前記入力されたディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数の4n分の1(nは正の整数)の周波数以下に帯域制限する手順と、
前記帯域制限されたディジタルオーディオ信号を2n乗する手順と、
前記2n乗されたディジタルオーディオ信号から予め設定された所定の値を減算することにより直流成分を減算する手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
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