JP4849736B2 - ポリイソシアネート組成物の製造方法 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソシアヌレート化反応あるいはアロファネート化反応を行うポリイソシアネート組成物の製造方法、およびイソシアヌレート化反応あるいはアロファネート化反応を促進する触媒の停止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
触媒を用いて、イソシアヌレート基、あるいはアロファネート基を有するポリイソシアネート組成物を製造する方法については、以下に示すような方法が知られていている。
英国特許明細書第994、890号では、アロファネート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、触媒として、金属カルボキシレート、あるいは金属キレート、あるいは第3級アミンを用いる方法が記載されている。
特開昭46−1671号では、アロファネート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、触媒として、アルキル化能力を持つ化合物を用いる方法が記載されている。
特開平7−304728号では、アロファネート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、触媒として、スズ化合物を用いる方法が記載されている。
しかし、ここで挙げた3つの特許中には、停止剤についての記載がない。従って、該特許に記載の方法でポリイソシアネートを製造した場合、触媒が活性な状態のまま、ポリイソシアネート中に存在するため、イソシアヌレート化反応など重合反応が進行し、長期間保存する時の安定性が悪くなる場合がある。
【0003】
特開昭64−33115号では、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート組成物を製造する際に、触媒として、テトラアルキルアンモニウムのカルボン酸塩や水酸化物、あるいはヒドロキシアルキルアンモニウムのカルボン酸塩や水酸化物、あるいはアルカリ金属のカルボン酸塩、スズ、亜鉛、鉛のカルボン酸塩を用い、停止剤としてリン酸、硫酸を用いる方法が記載されている。
特開平4−306218号では、イソシアヌレート構造とアロファネート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、特開昭64−33115号と同様の触媒および停止剤を用いる方法が記載されている。
【0004】
特開昭61−72013号では、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、触媒として、ヒドロキシアンモニウムのカルボン酸塩、ナトリウムアルコラートを用い、停止剤としてリン酸、モノクロロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸を用いる方法が記載されている。
特開平5−70444号では、イソシアヌレート構造とアロファネート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、触媒として、テトラアルキルアンモニウム水酸化物を用い、停止剤としてリン酸ジアルキルエステルを用いる方法と、触媒を熱失活させる方法が記載されている。
【0005】
特開平6−41270号では、イソシアヌレート構造とアロファネート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、触媒として、テトラアルキルアンモニウムの水酸化物やカルボン酸塩、あるいはヒドロキシアンモニウムの水酸化物、カルボン酸塩、あるいはアルカリ金属、スズ、亜鉛、鉛などのカルボン酸塩、金属キレート化合物、アミノシリル基含有化合物を用い、停止剤として、リン酸、塩化ベンゾイル、モノクロロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの酸性物質を用いる方法が記載されている。
【0006】
上記の5つの出願には、停止剤としてリン酸を挙げているものもあるが、単にリン酸と記述されているのみであり、水の含有量については記述されていない。一般に広く用いられているリン酸水溶液や、リン酸アルキルエステル、硫酸、塩化ベンゾイル、モノクロロ酢酸、ベンゼンスルホン酸などを停止剤として用いると、反応終了時に、熱失活した触媒、あるいは停止剤と触媒の反応生成物が残留する場合がある。また、停止剤の種類によっては、反応を停止させるために、触媒に対して数倍のモル量の停止剤を入れる必要が生じる場合もあり、その時には、過剰に加えた停止剤がポリイソシアネート中に残存することになる。これらの物質は濾過などである程度除去することができる場合もあるが、反応生成物や過剰に加えた停止剤を完全に取り除くことは困難であり、ポリイソシアネート中に、反応生成物が残留することとなる。この反応生成物によって、ポリイソシアネートを長期間保存したときの安定性が悪くなる場合がある。
【0007】
特開平8−27123号では、イソシアヌレート構造あるいはアロファネート構造を有するポリイソシアネートを製造する際に、ヒドロキシアンモニウムのカルボン酸塩、鉛のカルボン酸塩等の公知の触媒を用い、停止剤として酸性基含有のイオン交換樹脂、あるいはキレート樹脂を用いる方法が用いられ、この方法では、触媒に由来する物質を全て除去できると記載されている。しかし、イオン交換樹脂を用いる方法は、コストが高く、また触媒が樹脂中に吸収された後、反応が停止することになるため、停止剤を投入してから反応が停止するまでに時間がかかり、その間に、反応が進みすぎたり、副反応が起こる場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、イソシアヌレート基、あるいはアロファネート基を有するポリイソシアネートを、触媒を用いて製造する際に、効果的に停止することができる停止剤を用いたポリイソシアネート組成物を製造すること、更には触媒と停止剤の反応生成物、あるいは触媒、停止剤に由来する物質が、ポリイソシアネート組成物中に残存しないような停止剤を用いたポリイソシアネート組成物を製造することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため検討を重ね、水分量が5.0質量%未満の1分子中にリン原子を2つ以上有するリン酸酸性化合物及び/又は水分量が5.0質量%未満のリン酸から成る停止剤をアルコールに溶解して用いることを見いだし、それを用いたポリイソシアネート組成物の製造方法を確立することによって、本発明を完成した。すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0010】
1)脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートを原料として、触媒を用いてイソシアヌレート化反応、アロファネート化反応の少なくとも一方を行った後に、水分量が5.0質量%未満の一分子中にリン原子を少なくとも2つ有するリン酸酸性化合物及び/又は水分量が5.0質量%未満のリン酸から成る停止剤をアルコールに溶解した溶液を用いて、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応を停止させることを特徴とするポリイソシアネート組成物の製造方法。
【0011】
2)前記停止剤が、水分量が5.0質量%未満のピロリン酸及び/又はメタリン酸である上記のポリイソシアネート製造方法。
)水分量が5.0質量%未満の一分子中にリン原子を少なくとも2つ有するリン酸酸性化合物、及び/又は水分量が5.0質量%未満のリン酸から成る停止剤をアルコールに溶解してなるイソシアヌレート化反応、アロファネート化反応の少なくとも一方を促進する触媒を失活させる停止剤。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明では、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートを原料として使用する。
脂肪族ジイソシアネート、あるいは脂環式ジイソシアネートとして、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等が挙げられる。HDI、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネートは、工業的に入手し易いため好ましい。中でもHDIは最も好ましい。
【0013】
本発明で用いる触媒とは、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応の少なくとも一方の反応を促進する触媒である。
イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応の少なくとも一方を促進する触媒としては、1)例えばテトラメチルアンモニウム、モノエチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや酢酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸、安息香酸等のカルボン酸塩、2)例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドやカルボン酸塩、3)例えば、酢酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸、安息香酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩、4)例えば、上記カルボン酸のスズ、亜鉛、鉛、ビスマス、ジルコニル(酸化ジルコニウム)等の金属塩、5)例えば、ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物等の中の1種類、またはそれら混合物が挙げられる。この中で、テトラアルキルアンモニウムのカルボン酸塩、ヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、スズ、鉛、ジルコニル、亜鉛、ビスマスのカルボン酸塩は、イソシアヌレート化反応やアロファネート化反応の活性が高く好ましい。この中でも、スズ、鉛、ジルコニル、亜鉛、ビスマスのカルボン酸塩、テトラメチルアンモニウムのカルボン酸塩は、触媒由来の金属が製品中に混入しない効果が現れやすいために、より好ましい。中でもジルコニルのカルボン酸塩は、最も好ましい。
イソシアヌレート化反応とは、イソシアネート基3分子から、イソシアヌレート基を生成する反応である。この反応は、以下の一般式で表すことができる。
【0014】
【化1】
Figure 0004849736
【0015】
(式中R1は、イソシアネート残基を表す。なお、式中ではイソシアヌレート基に結合しているイソシアネート残基は3分子全てR1であるが、これは異なっていてもかまわない)
【0016】
アロファネート化反応とは、ウレタン基1分子とイソシアネート基1分子から、アロファネート基を生成する反応である。この反応は、以下の一般式で表すことができる。
【0017】
【化2】
Figure 0004849736
【0018】
(式中R1はイソシアネート残基、R2はウレタン基を作る際に用いたアルコールの水酸基残基を表す。なお、式中ではアロファネート基に結合しているイソシアネート残基は2つともR1であるが、これは異なっていてもかまわない)
【0019】
イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応は、ウレタン基の有無や触媒の種類によって、単独で起こる場合もあり、競争的に起こる場合もある。
例えば、ウレタン基が存在しない条件で、テトラアルキルアンモニウムのカプリン酸塩やヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドを触媒として用いた場合は、イソシアヌレート化反応が単独で起こる。ウレタン基が存在する条件で、テトラアルキルアンモニウムのカプリン酸塩やヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドを触媒として用いる場合は、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応が競争的に起こる。ウレタン基が存在する条件で、スズ、鉛、ジルコニルのカルボン酸塩を触媒として用いた場合は、アロファネート化反応が優先的に起こる。
アロファネート化反応を行う際には、ウレタン基を含有する有機化合物を用いる。ウレタン基を含有する有機化合物としては、例えば、以下の一般式
【0020】
【化3】
Figure 0004849736
【0021】
(式中、Aはn個の水酸基を有する化合物から、水酸基を除いた残基。R3は、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、及びそれらのジイソシアネートから得られるイソシアネートプレポリマーから選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物から、2つのイソシアネート基を除いた残基。nは1以上の整数、好ましくは1〜10の整数)で示される化合物が好ましい。
【0022】
上記の一般式で示した有機化合物は、n個の水酸基を有する化合物と、過剰量の脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート及びそれらから得られるイソシアネートプレポリマーから選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を、ウレタン化反応することによって得られる。
このウレタン化反応の際に、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基のうち2個以上に、水酸基を有する化合物が反応した複雑な化合物が、イソシアネート基と水酸基のモル比によって、化学量論的に生成するが、この化合物もそのままウレタン基を含有する有機化合物として用いて良い。nの数は1以上であればいくつでも良いが得られるポリイソシアネート組成物の粘度を考慮すると、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0023】
水酸基を有する化合物としては、アルコール類とフェノール類がある。どちらを使用することも出来るが、耐候性を考えるとアルコール類がより好ましい。
アルコール類を以下に例示する。
1個の水酸基を有するアルコール類、すなわちモノアルコールとして、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノールなどの飽和脂肪族アルコール、シクロヘキサノール、シクロペンタノールなどの飽和環状脂肪族アルコール、ビニルアルコール、プロペン−1−オール、ブテン−1−オール、ヘキセン−1−オール、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの不飽和脂肪族アルコールなどが挙げられる。
【0024】
2個の水酸基を有するアルコール類、すなわちジオールとして、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0025】
3個の水酸基を有するアルコール類、すなわちトリオールとして、例えばグリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられる。
4個以上の水酸基を有するアルコール類として、例えばエリスロース等のテトリトール、キシリトールなどのペンチトール、ソルビトール等のヘキシトールのような糖アルコールなどが挙げられる。
【0026】
フェノール類としては、フェノール、ベンジルフェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、エチルフェノール、オクチルフェノール、キシレノール、ナフトール、ノニルフェノールなどが挙げられる。
更に、上記のアルコール類、あるいはフェーノル類を原料としたポリエステルポリオールや、ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコールや、ポリテトラエチレングリコールなども水酸基を有する化合物として適している。また、水酸基を有するアクリルポリオールも水酸基を有する化合物として使用することが出来る。
【0027】
触媒は、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル化合物や、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン化合物、ヘキサン、ペンタン、ミネラルスピリットなどの炭化水素化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、エタノール、プロパノール、ブタノール、1,3−ブタンジオールなどのアルコール化合物等の有機溶剤で希釈して使用することができる。
触媒は、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートに対して、0.0001〜1.0質量%、好ましくは0.0005〜0.20質量%、より好ましくは0.001〜0.10質量%添加する。
【0028】
本発明において、触媒の添加方法は限定されない。例えば、ウレタン基を含有する場合、ウレタン化反応に先立って添加しても良いし、ウレタン化反応中に添加しても良く、ウレタン化反応終了後に添加しても良い。また、添加方法として、所要量のアロファネート化触媒を一括して添加しても良いし、何回かに分割して添加しても良い。または、一定の添加速度で連続的に添加する方法も採用できる。
【0029】
イソシアヌレート化反応あるいはアロファネート化反応は、反応時間や、副反応の起こりにくさを考慮して、好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜180℃、さらに好ましくは50〜160℃で行われる。
イソシアヌレート化反応やアロファネート化反応は、無溶媒中で行うことができるが、必用に応じて酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレンなどのイソシアネート基との反応基を有していない有機溶剤を溶媒として使用することが出来る。
【0030】
反応時間は、生産効率などを考慮して、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは20分〜12時間、さらに好ましくは30分〜8時間行われる。なお、アロファネート化反応の進行は、反応液の屈折率を測定することや、イソシアネート基含有量を測定することによって指標とすることが出来る。
イソシアヌレート化反応やアロファネート化反応が、所定の反応率に達した後に、停止剤を添加し、反応を終了させる。
【0031】
本発明では、停止剤として水分量が5.0質量%未満の一分子中にリン原子を少なくとも2つ有するリン酸酸性化合物、及び/又は水分量が5.0質量%未満のリン酸を用いることができる。リン原子を少なくとも2つ有するリン酸酸性化合物とは、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、あるいはこれらのアルキルエステルなどである。中でも、ピロリン酸、ピロリン酸アルキルエステル、メタリン酸、メタリン酸アルキルエステルは、リン酸と比較して、酸性度が高いため、酸によって触媒を失活させる場合には、停止剤量が少なくなるという効果がある。なかでもピロリン酸、ピロリン酸アルキルエステルは特に好ましい。
【0032】
本発明では、水分量が5.0質量%未満のピロリン酸及び/又はメタリン酸を用いることができる。水分量が5.0質量%未満の状態で用いた場合は、停止剤と触媒の反応生成物が、析出しやすくなるため、ポリイソシアネート組成物中に停止剤と触媒の反応生成物が残留しないという効果があり、非常に好ましい。更に、水分量が5.0質量%未満の状態で用いると、水とイソシアネートの反応生成物がポリイソシアネート中に混入しないために、ポリイソシアネートの粘度上昇がなく、また有機溶剤に対する希釈性を低下することもないために、非常に好ましい。なお、本発明の停止剤の水分量の目安を言えば、停止剤に対して5.0質量%未満、好ましくは2.0質量%未満、更に好ましくは0.50質量%未満である。
【0033】
ピロリン酸は粘調な液体であり、メタリン酸は固体である。そのままでは使いにくいため、溶剤に溶解して使用するのは特に好ましい。
また、本発明では実質的に水を含有しないリン酸を用いることもできる。この場合にも、実質的に水を含有しないピロリン酸とメタリン酸を用いた場合と同様の効果が得られるため、非常に好ましい。実質的に水を含有しないリン酸は、固体であるので、溶剤に溶解して使用するのは特に好ましい。
【0034】
水分量が5.0質量%未満のリン酸、ピロリン酸、メタリン酸を溶かすアルコールの例として特に好ましい例はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、アミルアルコール、1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノールである。停止剤を添加する量は、イソシアヌレート化触媒、アロファネート化触媒の総量に対して、好ましくは0.20〜20倍のモル量、より好ましくは0.5〜15倍のモル量、さらに好ましくは1.0〜12倍のモル量である。
【0035】
アロファネート化反応を停止した後、必用に応じて未反応の脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートを、例えば、薄膜蒸留法や溶媒抽出法などによって留去して使用することもできる。
本発明におけるイソシアヌレート化反応、アロファネート化反応は、1つの反応器で行うことができる。または、2つの反応器を連結し、工程に分けて実施することもできる。又は、複数の反応器を並べて配置することにより連続的に実施することもできる。
【0036】
本発明では、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応を行う前、あるいは同時に、あるいは後に、ウレタン化反応、ビウレット化反応、ウレトジオン化反応、イミノオキサジアジンジオン化反応、カルボジイミド化反応、ウレトイミン化反応、アシルウレア化反応、アミド化反応を行うこともできる。これらの反応は、公知の製造方法で行うことができる。
本発明は、また、上記の方法で製造したアロファネート基を有するポリイソシアネート組成物と、主剤ポリオールからなるコーティング組成物に関するものである。
【0037】
本発明で用いる主剤ポリオールとは、二液ポリウレタン塗料分野で使用されるポリオールである。例えば脂肪族炭化水素ポリオール類、フッ素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹脂類、アクリルポリオール類、及びアルキドポリオール類等の中の1種類またはその混合物などが挙げられる。特にフッ素ポリオール類やアクリルポリオール類は耐候性が優れているため、より好ましい。これらのポリオールは、溶液重合や、縮合反応など公知の技術で製造される。1分子中に2つ以上の水酸基を有するポリオールである。
【0038】
本発明で用いられる主剤ポリオールは、塗膜の強靱さや、平滑さを考慮すると、好ましくは1〜300mgKOH/g、より好ましくは5〜150mgKOH/g、さらに好ましくは10〜100mgKOH/gの水酸価を有する。
本発明で用いられる主剤ポリオールとポリイソシアネート組成物の、イソシアネート基と水酸基の当量比は、塗膜の強靱さを考慮すると、好ましくは0.3〜5.0、より好ましくは0.4〜3.0、さらに好ましくは0.5〜2.0である。
【0039】
本発明のポリイソシアネート組成物及び二液ポリウレタン塗料組成物は、有機溶剤と混合して使用することもできる。この場合、有機溶剤は、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが必要である。また、有機溶剤は本発明のポリイソシアネート組成物、及び本発明で用いる主剤ポリオールと相溶する事が必要である。このような有機溶剤として、一般に塗料溶剤として用いられているエステル化合物や、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物などを用いても良い。
【0040】
なお、本発明のポリイソシアネート組成物、及び本発明の製造方法で作成したポリイソシアネート組成物中には、目的及び用途に応じて、ウレタン化反応などを促進する硬化促進触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、表面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
【0041】
本発明のポリイソシアネート組成物の製造方法を用いると、少ない停止剤量で反応を停止させることができるだけでなく、触媒と停止剤の反応生成物が残留しないポリイソシアネート組成物を製造することもできる。得られるポリイソシアネート組成物には濁りや、着色がなく、また長期間保存したあとでも、粘度の上昇やイソシアネート基含有率の低下、あるいは着色などが起こり難いという特徴を有し、さらに塗料組成物とした場合には耐候性に優れるという特徴を有している。従って、本発明のポリイソシアネート組成物及びポリイソシアネート組成物と主剤ポリオールからなるコーティング組成物は、二液型ポリウレタン塗料、シーリング剤、接着剤、インキ、コーティング剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤、一液湿気硬化型ポリイソシアネート等幅広い分野に応用することが出来る。
【0042】
本発明の方法を用いたポリイソシアネート組成物の製造方法と、コーティング組成物について、実施例に基づいて説明する。
イソシアネート基含有率(以下、NCO含有率)は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定を行って求めた。
粘度は、E型粘度計(株式会社トキメック社)を用いて25℃にて測定した。
なお、反応液、及びポリイソシアネート組成物中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分析(分析機器:IRIS/AP、サーモジャーレルアッシュ社製)で測定した。
なお、特に記載がある場合を除き%は質量%を示す。
【0043】
【実施例1】
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ッ口フラスコにHDI300gとイソブタノール20.4gを仕込み、攪拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。温度を130℃に上げた後、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%のミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックスジルコニウム12%」をミネラルスピリットで希釈)を0.26g加え、アロファネート化反応を行った。60分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸(片山化学工業株式会社製の試薬)の固形分50%のイソブタノール溶液(水分量はピロリン酸固形分に対し0.10%)を0.097g(アロファネート化触媒に対して2.0倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0044】
反応液を1μmのフィルターで濾過した後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(27Pa)、2回目150℃(13Pa)の条件で未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収率32%、粘度120mPa.s、NCO含有率19.0%であった。ポリイソシアネート中に残留するZrの量を測定した所、残留率は0%であった。
得られたポリイソシアネートを50℃で1ヶ月保存した結果、粘度は10mPa.sしか上昇せず、NCO含有率は、0.1%しか低下しなかった。
【0045】
【実施例2】
実施例1と同様の装置にHDI600gとエチレングリコール14.8gを仕込み、攪拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.68g加え、アロファネート化反応を行った。2時間後、反応液の屈折率上昇が0.0073となった時点でピロリン酸の固形分50%イソブタノール溶液0.26g(アロファネート化触媒に対して2.2倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0046】
反応液を1μmのフィルターで濾過した後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収率27%、粘度1800mPa.s、NCO含有率20.9%であった。ポリイソシアネート組成物中のZr量を測定した所、残留率は3%であった。
得られたポリイソシアネートを50℃で1ヶ月保存した結果、粘度は20mPa.sしか上昇せず、NCO含有率は、0.1%しか低下しなかった。
【0047】
【実施例3】
実施例1と同様の装置にHDI300gとイソブタノール20.4gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%のミネラルスピリット溶液を0.26g加え、アロファネート化反応を行った。1時間後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分55%のイソプロパノール溶液(水分量0.2%)を0.11g(アロファネート化触媒に対して2.5倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0048】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するZr量を測定した所、残留率は1%しかなかった。
精製は行わなかった。
【0049】
【実施例4】
実施例1と同様の装置にHDI300gとイソブタノール20.4gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%のミネラルスピリット溶液を0.26g加え、アロファネート化反応を行った。40分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点で結晶化リン酸(アルドリッチ社製の試薬)の固形分52%のイソブタノール溶液(水分量0.2%)0.10g(アロファネート化触媒に対して4.2倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0050】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するジルコニウム量を測定した所、残留率は0%であった。
精製は行わなかった。
【0051】
【実施例5】
実施例1と同様の装置にHDI100gとイソブタノール6.8gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。90℃で、触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウム塩の固形分10%のn−ブタノール溶液を0.021g加え、イソシアヌレート化反応及びアロファネート化反応を行った。60分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分55%のイソプロパノール溶液0.0064g(イソシアヌレート化、アロファネート化触媒に対して2.3倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0052】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するリン量を測定した所、残留率は8%しかなかった。
精製は行わなかった。
【0053】
【実施例6】
実施例1と同様の装置にHDI300gとイソブタノール20.4gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%のミネラルスピリット溶液を0.26g加え、アロファネート化反応を行った。60分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分39%のエタノール溶液0.13g(アロファネート化触媒に対して2.3倍mol)を加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0054】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するZr量を測定した所、残留率は2%しかなかった。
精製は行わなかった。
【0055】
【実施例7】
実施例1と同様の装置にHDI300gとイソブタノール20.4gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%のミネラルスピリット溶液を0.26g加え、アロファネート化反応を行った。60分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分39%のエタノール溶液0.61g(アロファネート化触媒に対して10.3倍mol)を加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0056】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するZr量を測定した所、残留率は0%であった。
精製は行わなかった。
【0057】
【実施例8】
実施例1と同様の装置にHDI100gとイソブタノール6.8gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。90℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸スズの固形分50%のミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックス錫28%」をミネラルスピリットで希釈)を0.062g加え、アロファネート化反応を行った。30分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分55%のイソプロパノール溶液0.052g(アロファネート化触媒に対して2.1倍mol)を加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0058】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するスズ量を測定した所、残留率は5%しかなかった。
精製は行わなかった。
【0059】
【実施例9】
実施例1と同様の装置にHDI100gとイソブタノール6.8gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。90℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸鉛の固形分43%のミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックス鉛20%」)を0.099g加え、アロファネート化反応を行った。20分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分55%のイソプロパノール溶液0.093g(アロファネート化触媒に対して2.5倍mol)を加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0060】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留する鉛量を測定した所、残留率は0%であった。
精製は行わなかった。
【0061】
【実施例10】
実施例1と同様の装置にHDI581gと2−エチルヘキサノール69gを仕込み、攪拌下130℃で30分ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%のミネラルスピリット溶液を0.29g加え、アロファネート化反応を行った。1時間後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分50%のイソブタノール溶液0.011g(アロファネート化触媒に対して2.1倍mol)を加え反応は停止し、反応液は白濁した。
【0062】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するZr量を測定した所、残留率は、2%であった。
精製は行わなかった。
【0063】
比較例4
実施例1と同様の装置にHDI300gとイソブタノール20.4gを仕込み、攪拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニウムの固形分20%のミネラルスピリット溶液を0.26g加え、アロファネート化反応を行った。1時間後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分80%の水溶液を0.059g(触媒に対して2.0倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0064】
反応液を1μmのフィルターで濾過した後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収率34%、粘度140mPa.s、NCO含有率18.9%であった。ポリイソシアネート組成物中のZr量を測定した所、残留率は87%であった。
【0065】
【比較例1】
実施例1と同様の装置にHDI546gとイソブタノール54.5gを仕込み、攪拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。90℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.41g加え、アロファネート化反応を行った。20分後、反応液の屈折率上昇が0.01となった時点でリン酸の固形分85%の水溶液(片山化学工業株式会社製の試薬)0.14g(アロファネート化触媒に対して6.0倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0066】
反応液を1μmのフィルターで濾過した後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収率45%、粘度160mPa.s、NCO含有率17.7%であった。ポリイソシアネート組成物中のZr量を測定した所、残留率は87%であった。
得られたポリイソシアネートを50℃で1ヶ月保存した結果、粘度は、30mPa.sも上昇し、NCO含有率は、0.2%低下した。
【0067】
【比較例2】
実施例1と同様の装置にHDI1200gとエチレングリコール14.8gを仕込み、攪拌下130℃で1時間ウレタン化反応を行った。130℃で、触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を1.03g加え、アロファネート化反応を行った。80分後、反応液の屈折率上昇が0.0034となった時点でリン酸の固形分85%の水溶液0.36g(アロファネート化触媒に対して5.9倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0068】
反応液を1μmのフィルターで濾過した後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収率15%、粘度850mPa.s、NCO含有率21.8%であった。ポリイソシアネート組成物中のZr量を測定した所、残留率は87%であった。
得られたポリイソシアネートを50℃で1ヶ月保存した結果、粘度は、3000mPa.sも上昇し、NCO含有率は、1.7%も低下した。さらにGPCで測定した結果、高分子ポリマーの生成が観察された。
【0069】
【比較例3】
実施例1と同様の装置にHDI550gと2−エチルヘキサノール55gを仕込み、攪拌下90℃で60分ウレタン化反応を行った。90℃で、触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウム塩の10%n−ブタノール溶液を0.15g加え、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を行った。120分後、反応液の屈折率上昇が0.014となった時点でリン酸の固形分85%の水溶液0.042g(イソシアヌレート化、アロファネート化触媒に対して6.0倍mol)加えたところ、反応は停止し、反応液は白濁した。
【0070】
反応液を、1.0μmのフィルターで濾過した後、反応液に残留するリン量を測定した所、残留率は80%であった。
精製は行わなかった。
【0071】
【発明の効果】
本発明のポリイソシアネート組成物の製造方法を用いると、少ない停止剤量で反応を停止させることができるだけでなく、触媒と停止剤の反応生成物が残留しないポリイソシアネート組成物を製造することもできる。得られるポリイソシアネート組成物には濁りや、着色がなく、また長期間保存したあとでも、粘度の上昇やイソシアネート基含有率の低下、あるいは着色などが起こり難いという特徴を有し、さらに塗料組成物とした場合には耐候性に優れるという特徴を有している。従って、本発明のポリイソシアネート組成物及びポリイソシアネート組成物と主剤ポリオールからなるコーティング組成物は、二液型ポリウレタン塗料、シーリング剤、接着剤、インキ、コーティング剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤、一液湿気硬化型ポリイソシアネート等幅広い分野に応用することが出来る。

Claims (3)

  1. 脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートを原料として、触媒を用いてイソシアヌレート化反応、アロファネート化反応の少なくとも一方を行った後に、水分量が5.0質量%未満の一分子中にリン原子を少なくとも2つ有するリン酸酸性化合物及び/又は水分量が5.0質量%未満のリン酸から成る停止剤をアルコールに溶解した溶液を用いて、イソシアヌレート化反応、アロファネート化反応を停止させることを特徴とするポリイソシアネート組成物の製造方法。
  2. 前記停止剤が、水分量が5.0質量%未満のピロリン酸及び/又はメタリン酸である請求項1のポリイソシアネート製造方法。
  3. 水分量が5.0質量%未満の一分子中にリン原子を少なくとも2つ有するリン酸酸性化合物、及び/又は水分量が5.0質量%未満のリン酸から成る停止剤をアルコールに溶解してなるイソシアヌレート化反応、アロファネート化反応の少なくとも一方を促進する触媒を失活させる停止剤。
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