JP4846396B2 - イントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキット - Google Patents

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Description

本発明は、カテーテル挿入用シースとこのシース内に抜去可能に挿入されたダイレーターとを備えるカテーテルイントロデューサーを体腔内に誘導するためのイントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキットに関するものである。
近年医療において、カテーテルと呼ばれる細長い中空管状の医療器具を用いて様々な形態の治療が行われている。このような治療方法としては、カテーテルの長尺性を利用して直接患部に薬剤を投与する方法、加圧によって拡張するバルーンを先端に取り付けたカテーテルを用いて体腔内の狭窄部を押し広げて開く方法、先端部にカッターが取り付けられたカテーテルを用いて患部を削り取って開く方法、逆にカテーテルを用いて動脈瘤や出血箇所あるいは栄養血管に詰め物をして閉じる方法などがある。また、体腔内の狭窄部を開口した状態に維持するために、側面が網目状になっている管形状をしたステントをカテーテルを用いて体腔内に埋め込んで留置する治療方法などがある。
このようなカテーテルを血管に挿入する手法として、イントロデューサーシースを用いたセルジンガー法が一般的である。この方法は、外管とこの外管内を貫通した穿刺針からなるセルジンガー針が用いられる。セルジンガー針を経皮的に血管に刺込し、穿刺針を抜去し、外管内にその後端からガイドワイヤを挿入する。そして、外管を抜去した後、ガイドワイヤに沿って、シースとシース内に挿入されたダイレーターからなるカテーテルイントロデューサーを経皮的に挿入する。そして、シースより、ダイレーターを抜去し、シース内にカテーテルを挿入する。
セルジンガー法では、シース内にカテーテルを挿入するまでに、セルジンガー針の穿刺、穿刺針の抜去、ガイドワイヤーの挿入、外管の抜去、イントロデューサーの挿入、ダイレーターの抜去という煩雑な複数回の挿入、抜去を行わなければならない。
本件出願人は、特公平3−1026号公報(特許文献1)のカテーテル導入具を提案している。このカテーテル導入具は、刃先が形成されてなる内針を備える内針部と、内針の刃先が突出する状態にまで該内針を挿通可能とするダイレーターとを備えるダイレーター部と、ダイレーターを挿通可能とするシースを備えるシース部とを有してなるカテーテル導入具において、前記ダイレーター部は、内針の刃先が突出可能とされるダイレーターの先端側部分に皮膚から血管壁までの穿刺距離以上の長さを有する比較的小外径の1次挿入部を有するとともに、ダイレーターの上記1次挿入部に続く部分に皮膚から血管壁までの穿刺距離以上の長さを有する比較的大外径の2次挿入部を有し、前記1次挿入部と2次挿入部とを、テーパ状外径部によって滑らかに接続し、さらに前記シース部のシースはダイレーターの前記第2次挿入部を挿通可能とし、該シース部の後端には、カテーテルを液密状態で挿通可能な弁体を備えている。
このカテーテル導入具では、一次挿入部までの血管への穿刺、内針の抜去、ダイレーター挿入用ガイドワイヤーの挿入、2次挿入部を越えシース部の先端部体腔内への挿入、ダイレーターおよびガイドワイヤーの抜去、という作業を行うことにより、カテーテルの挿入が可能となる。このカテーテル導入具によれば、セルジンガー針を用いる場合に比べて作業が煩雑ではない点において優れている。
しかし、このカテーテル導入具では、シースの基部には、サイドポート、サイドチューブなどのかさばるパーツが付属している。このため、このカテーテル導入具の操作では、シースおよびダイレーターとともに上記の付属パーツも含めて把持した状態にて、血管への穿刺作業を行わなければならず、操作性が必ずしも良好なものではなかった。
また、この種のカテーテル導入具では、シースの表面に潤滑性コートが付与されているケースが多く、シースの潤滑性の高さ故、シースを把持した操作が困難であり、操作時における把持部は、通常潤滑性コートが付与されない基端部ハブに限定される。穿刺作業時における把持部が、基端部ハブに限定されることに起因し、先端側の操作が困難なものとなっていた。
最近では、緊急性を有するカテーテル術も多く、カテーテルを導入可能となる状態までの作業、いわゆるイントロデューサーシースによる体腔確保がより容易に行えるものが求められている。
特公平3−1026号公報
本発明は、カテーテル挿入用シースとこのシース内に抜去可能に挿入されたダイレーターとを備えるカテーテルイントロデューサーを体腔内に誘導するためのイントロデューサー誘導具であり、カテーテルを導入可能となる状態までの作業、いわゆるイントロデューサーシースによる血管確保がより容易に行うことができるイントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキットを提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) カテーテル挿入用シースと、該シース内に抜去可能に挿入されたダイレーターとを備えるカテーテルイントロデューサーを体腔内に誘導するためのイントロデューサー誘導具であって、
前記イントロデューサー誘導具は、前記ダイレーターの内径と同等もしくはそれ以下のものとなっており、前記ダイレーターの内腔内に侵入可能な外径および貫通可能な長さを有する誘導用チューブと、該誘導用チューブを取り外し可能に装着する穿刺針組立体とを備え、そして、該穿刺針組立体は、前記誘導用チューブを貫通する穿刺針本体部と、該穿刺針本体部の先端に形成され、前記誘導用チューブの先端より突出する刃先部と、前記穿刺針本体部の後端部に接続され、前記穿刺針本体部の先端方向に所定長延びるとともに前記誘導用チューブを所定長被包するチューブ体であり、かつ内径が前記誘導用チューブの外径より若干大きいものとなっている誘導用チューブ被覆部と、前記誘導用チューブの前記穿刺針組立体の後端側への移動を規制する誘導用チューブ移動規制部とを備えるイントロデューサー誘導具。
) 前記穿刺針組立体は、前記穿刺針本体部の後端部と前記誘導用チューブ被覆部とを接続する接続部を備え、該接続部の内部には、前記誘導用チューブの後端と当接可能な前記誘導用チューブ移動規制部を備えている上記()に記載のイントロデューサー誘導具。
) 前記穿刺針組立体は、前記誘導用チューブ被覆部の先端側部分に設けられた穿刺操作用ハブを有する上記()または()に記載のイントロデューサー誘導具。
) 前記穿刺針組立体は、前記誘導用チューブ被覆部の先端部に設けられ、該誘導用チューブ被覆部を前記誘導用チューブに離脱可能に固定する固定部材を有し、前記誘導用チューブ移動規制部は、該固定部材により構成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のイントロデューサー誘導具。
) 前記穿刺針組立体は、前記穿刺針本体部の先端より該穿刺針組立体の後端まで延びる体腔内挿入確認用血液流路を備えている上記(1)ないし()のいずれかに記載のイントロデューサー誘導具。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
) カテーテル挿入用シースと、該シース内に抜去可能に挿入されたダイレーターとを備えるカテーテルイントロデューサーと、該カテーテルイントロデューサーを体腔内に誘導するためのイントロデューサー誘導具からなるイントロデューサーキットであって、前記イントロデューサー誘導具が、上記(1)ないし()のいずれかに記載のものであるイントロデューサーキット。
本発明のイントロデューサー誘導具は、イントロデューサーのダイレーターの内腔内に侵入可能な外径および貫通可能な長さを有する誘導用チューブと、該誘導用チューブを取り外し可能に装着する穿刺針組立体とを備え、そして、該穿刺針組立体は、前記誘導用チューブを貫通する穿刺針本体部と、該穿刺針本体部の先端に形成され、前記誘導用チューブの先端より突出する刃先部と、前記誘導用チューブの前記穿刺針組立体の後端側への移動を規制する誘導用チューブ移動規制部とを備えている。
このため、本発明のイントロデューサー誘導具を体腔内に穿刺後、穿刺針組立体を抜去することにより、誘導用チューブが残り、この誘導用チューブにより誘導されるように、イントロデューサーのダイレーターを誘導用チューブを被包するように、言い換えれば、ダイレーターの内腔内に誘導用チューブを収納するように押し進めることにより、イントロデューサーを体腔内に誘導できる。そして、イントロデューサーのダイレーターおよび誘導用チューブを抜去することにより、イントロデューサーのシースを体腔内に配置でき、シースによる血管確保が完了する。
本発明のイントロデューサー誘導具を用いた体腔確保における生体に比較的大きな侵襲(刺激)を与える操作は、イントロデューサー誘導具の穿刺操作、生体内に挿入された状態の誘導用チューブ上へのイントロデューサーの押込操作であり、体腔確保に至るまでに生体に与える外科的侵襲が少なく、与える負担も少ない。また、本発明のイントロデューサー誘導具では、イントロデューサー誘導具の穿刺、組立体の抜去、イントロデューサーの挿入、ダイレーターおよび誘導用チューブの抜去という4つの操作のみで体腔確保ができ、体腔確保を容易かつ確実に行うことができる。
以下、本発明のイントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキットについて、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のイントロデューサー誘導具の正面図である。図2は、図1に示したイントロデューサー誘導具の誘導用チューブの正面図である。図3は、図1に示したイントロデューサー誘導具の穿刺針組立体の正面図である。図4は、図1に示したイントロデューサー誘導具の部分省略断面図である。
そこで、図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明のイントロデューサー誘導具1は、カテーテル挿入用シース81と、シース81内に抜去可能に挿入されたダイレーター91とを備えるカテーテルイントロデューサー80を体腔内に誘導するためのものである。
イントロデューサー誘導具1は、ダイレーター91の内腔内に侵入可能な外径および貫通可能な長さを有する誘導用チューブ2と、誘導用チューブ2を取り外し可能に装着する穿刺針組立体3とを備える。穿刺針組立体3は、誘導用チューブ2を貫通する穿刺針本体部31と、穿刺針本体部31の先端に形成され、誘導用チューブ2の先端より突出する刃先部31aと、誘導用チューブ2の穿刺針組立体3の後端側への移動を規制する誘導用チューブ移動規制部23a,33aとを備えている。
図1ないし図3に示す実施例のイントロデューサー誘導具1は、誘導用チューブ2と、誘導用チューブ2を取り外し可能に装着する穿刺針組立体3とからなる。本発明のイントロデューサー誘導具は、カテーテルイントロデューサーを血管、胃、食道、空腸などの体腔内に誘導するために用いられる。
誘導用チューブ2は、図1、図2および図4に示すように、先端および後端が開口し、内部に内腔22を有する所定長延びるチューブ体である。そして、誘導用チューブ2の外径は、ダイレーター91の内腔内に侵入可能なものとなっており、長さは、ダイレーター91を貫通可能なものとなっている。そして、この実施例のイントロデューサー誘導具1では、誘導用チューブ2の基端部23の基端面23aが、誘導用チューブ移動規制部の一部を構成するものとなっている。
誘導用チューブ2の構成材料としては、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの高分子材料またはこれらの混合物などを用いることができる。また、誘導用チューブ2の手元側操作部となる部分は、ショアD硬度が65以上の高分子材料で形成されていることが望ましい。
また、誘導用チューブ2の外径としては、0.6〜1.8mmが好適であり、特に、0.7〜1.7mmが好適である。また、誘導用チューブ2の内径としては、0.5〜1.3mmが好適であり、特に、0.6〜1.0mmが好適である。また、誘導用チューブ2の長さとしては、150〜1000mmが好適であり、特に、300〜500mmが好適である。
そして、誘導用チューブ2としては、ダイレーター91の内腔内への侵入時に障害となる拡径部分(例えば、ハブ)などを備えず、誘導用チューブ2の先端から後端までのダイレーター91の内腔内に侵入可能な外径、すなわちダイレーターの内径と同等もしくはそれ以下のものとなっている。具体的には、誘導用チューブ2としては、先端から後端まで、実質的に同一外径のものが好ましいが、後端もしくは所定位置より先端側が、先端に向かって縮径するものであってもよい。また、誘導用チューブ2の先端部21は、テーパー状に縮径していることが好ましい。このようにすることにより、イントロデューサー誘導具1の血管への穿刺時における抵抗が少ないものとなる。また、誘導用チューブ2の先端は、エッジが面取りされていること、もしくは、エッジが露出しないように先端が丸められていることが好ましい。このようにすることにより、イントロデューサー誘導具1の血管への穿刺時における抵抗が少ないものとなる。
また、誘導用チューブ2としては、先端部に設けられた造影マーカー27a,27bを備えていることが好ましい。造影マーカーは、誘導用チューブ2の先端付近に1つ設けられていればよいが、図に示すもののように、複数設けることが好ましい。造影マーカーとしては、X線造影性物質、超音波造影性物質またはMRI造影性物質を含有した樹脂の塗布、もしくは、X線造影性物質、超音波造影性物質またはMRI造影性物質により形成されたリング状部材を埋設することにより形成したものなどが好ましい。
また、誘導用チューブは、後端部に比べて先端部が柔軟なものとなっているものであってもよい。例えば、チューブ2としては、先端から所定長部分が柔軟先端部となっており、この柔軟先端部以外は、柔軟先端部より硬質なものとなっているものが好ましい。柔軟先端部の長さとしては、5〜100mmが好適であり、特に、10〜50mmが好ましい。また、誘導用チューブとしては、図5に示す誘導用チューブ15のように、複数の硬度の異なる領域15a,15b,15c,15dを備えるものであってもよい。この誘導用チューブ15では、先端側より、最も柔軟な領域15a,領域15aに次いで柔軟な領域15b,領域15bより硬質な領域15c,領域15cより硬質な領域15dを備えるものであってもよい。
また、誘導用チューブは、図6に示す誘導用チューブ16のように、内層16aと、この内層16aを被包する外層16bからなるものであってもよい。そして、図6に示すように、内層16aの先端側部分に螺旋状のスリット18を備えることが好ましい。このような螺旋状スリットを設けることにより、チューブ16の先端部は良好に湾曲可能となる。螺旋状スリット18は、図6に示すように、内層16aの先端もしくは先端より若干基端側の位置より、所定長基端側に延びるものであることが好ましい。そして、螺旋状スリットの基端位置は、誘導用チューブの先端から、5〜30mm基端側となる位置であることが好ましい。さらに、螺旋状スリットは、ピッチが基端側に向かって徐々にもしくは段階的に広くなることが好ましい。このようにすることにより、チューブ16のスリット形成部は、剛性が連続的もしくは段階的に変化し、良好な傾斜物性を備えるものとなり、湾曲が自然なものとなり、キンクを確実に抑制できる。また、血管内壁にダメージを与えにくいものとなる。
螺旋状スリットのピッチとしては、全体が同一ピッチの場合には、0.3mm〜2.0mm程度が好ましく、特に0.5mm〜1.0mmが好ましい。また、螺旋状スリットが、上述のようにピッチが変化する場合には、先端部では、0.3mm〜2.0mm程度、基端部では、2.5〜10mm程度が好適であり、特に、先端部と基端部の中間部では、両者の中間のピッチを有しているか徐々にピッチが変化していることが好ましい。また、図示するものでは、スリットは1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上であってもよい。
また、図示しないが、誘導用チューブは、内層16aと外層16b間にコイルを有するものとし、かつ、コイルとして、先端側が密ピッチであり基端側が疎ピッチのものを用いることにより、先端側が柔軟であるとともに傾斜物性を有するものであってもよい。
また、内層16aおよび外層16bとしては、上述した誘導用チューブ2の構成材料を用いることができる。特に、内層16aは、外層16bより剛性の高いものであることが好ましい。このように、内層16aを剛性の高いものとすることにより、つぶれにくいものとなり、かつ、上述のように螺旋状スリットを設けることにより、キンクの発生がより少ないものとなる。
内層および外層の形成樹脂の組合せとしては、内層として、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂などのある程度の剛性を有するものを選択し、外層として、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)などのスチレン系エラストマーなどの可撓性の高いものを選択することが好ましい。
また、図7に示す誘導用チューブ17のように、穿刺針組立体3からの離脱時において、アングル形状を示すものであってもよい。誘導用チューブ17は、先端部に湾曲部(アングル部)17aを備えている。なお、この誘導用チューブ17においても、穿刺針組立体3への装着時(言い換えれば、穿刺針本体部31の挿通時)には、直線状となる。
なお、このようにアングル形状を設けた誘導用チューブ17に対し、穿刺針本体部31の刃先部31aがアングル部17aを穿孔しないように、穿刺針本体部31を誘導用チューブ17内に挿通する際に刃先部31aの刃面がアングル部17aと反対側に向けることにより、刃先部31aの刃面の向きが、穿刺針組立体3の抜去時に発現するアングル部の湾曲方向の認識の目安となる。
そして、誘導用チューブは、図8に示す誘導用チューブ13のように、血液接触時に膨潤し、誘導用チューブ13の内腔22を閉塞する内腔シール部24を備えていてもよい。内腔シール部24は、チューブ13のどの位置に設けられていてもよい。例えば、図8に示すように、チューブ22の基端部に設けることが考えられる。しかし、これに限定されるものではなく、チューブ13の先端側、中間部であってもよい。なお、内腔シール部は、血液による膨潤時に固くなるため、チューブ13の生体内非挿入部に設けることが好ましい。
内腔シール部24の形成材料としては、水膨潤性高分子材料が好適である。水膨潤性高分子材料としては、常温〜体温程度で水と接触して、10分以内に自重の100〜1000倍に膨潤するものが好ましく、高吸収性樹脂として知られる種々のものが使用できる。例えば、でんぷん−アクリロニトリル、でんぷん−アクリル酸、でんぷん−アクリルアミド、でんぷん−ナトリウムアクリレート等の加水分解物を含むアクリレート系のでんぷんクラフト化物、部分的にけん化したポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩系やアクリル酸−ビニルアルコール系重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロース系重合体、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂、アルファー化デンプン、納豆樹脂(登録商標)、アクリル系重合体などが使用できる。
また、誘導用チューブは、図9に示す誘導用チューブ14のように、穿刺針組立体3の抜去後に、内腔22を閉塞する弁体25を有するものであってもよい。この弁体は、穿刺針組立体3の穿刺針本体部31を挿通可能なものとなっている。弁体25としては、一方の面にのみ到達するスリットと、他方の面にのみ到達するスリットとが形成され、かつ、これらが内部において部分的に交差しているものが挙げられる。
次に、穿刺針組立体3について、説明する。
この実施例のイントロデューサー誘導具1では、図1、図3および図4に示すように、穿刺針組立体3は、先端に刃先部31aを有する穿刺針本体部31と、この穿刺針本体部31の基端部に基端部が固定され、穿刺針本体部31の先端方向に所定長延びるとともに誘導用チューブ2を所定長被包する誘導用チューブ被覆部32を備えている。さらに、この実施例の穿刺針組立体3は、穿刺針本体部31の後端部と誘導用チューブ被覆部32とを接続する接続部33を備え、接続部33の内部には、誘導用チューブ2の後端23aと当接可能な誘導用チューブ移動規制部33aを備えている。
この実施例における穿刺針本体部31は、中実の針体であり、穿刺針本体部の外径としては、18G〜26Gが好ましく、より好ましくは20G〜24Gである。穿刺針本体部としては、金属針が好ましいが、樹脂製針であってもよい。
また、この実施例における誘導用チューブ被覆部32は、所定長延びるチューブ体であり、基端部に穿刺針本体部31の基端部に固定された接続部33を備えている。誘導用チューブ被覆部32のチューブ部分は、上述した誘導用チューブを被包するものであり、その内径は、誘導用チューブ2の外径より若干大きいものとなっている。そして、接続部33の端面33aは、誘導用チューブ2の基端面23aと当接し、誘導用チューブ2のそれ以上の基端側への移動を規制する誘導用チューブ移動規制部を構成している。また、誘導用チューブ被覆部32の先端位置は、穿刺針本体部31の刃先部31aの先端より、30〜150mm基端側となる位置であることが好ましく、特に、40〜80mm基端側となる位置であることが好ましい。なお、誘導用チューブ移動規制部としては、上記のものに限定されるものではなく。例えば、後述するイントロデューサー誘導具45のように誘導用チューブおよび穿刺針本体部の中間部に設けてもよく、また、先端部であってもよい。
さらに、この実施例における穿刺針本体部31は、誘導用チューブ被覆部32の先端側部分に設けられた穿刺操作用ハブ34を有している。この実施例では、穿刺操作用ハブ34は、誘導用チューブ被覆部32の先端より若干基端側に固定された短い筒状部材となっている。このようなハブ34を設けることにより、イントロデューサー誘導具を血管に穿刺する際の操作が良好なものとなる。ハブ34の配置としては、誘導用チューブ2の穿刺針本体部31への装着時において、穿刺針本体部31の刃先部31aの先端より、30〜120mm基端側となる位置であることが好ましく、特に、40〜80mm基端側となる位置であることが好ましい。
なお、上述のものでは、接続部33は、誘導用チューブ被覆部32と一体の物となっているが、別部材としてもよい。さらに、穿刺操作用ハブ34としては、上述したように、誘導用チューブ被覆部が貫通するタイプのものではなく、図17に示し後述する実施例のように、誘導用チューブ被覆部32の先端部に固定されるタイプのものであってもよい。この場合、穿刺操作用ハブ34の先端位置は、穿刺針本体部31の刃先部31aの先端より、30〜120mm基端側となる位置であることが好ましく、特に、40〜80mm基端側となる位置であることが好ましい。
誘導用チューブ被覆部、接続部、穿刺操作用ハブの構成材料としては、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの高分子材料またはこれらの混合物などを用いることができる。
そして、本発明のイントロデューサー誘導具1は、図10に示すように、片手で誘導用チューブ2を把持した状態にて、他方の手で例えば、穿刺操作用ハブ34を持ち、後端側に穿刺針組立体3を引くことにより、穿刺針本体部31の刃先部31aは、誘導用チューブ2内に収納され、さらに、穿刺針組立体3を引くことにより、穿刺針組立体3は、誘導用チューブ2より抜去される。
また、本発明のイントロデューサー誘導具としては、図11に示すイントロデューサー誘導具10の形態のものであってもよい。イントロデューサー誘導具10と上述したイントロデューサー誘導具1との相違は、穿刺針組立体3の穿刺針本体部31が、血液流通用溝部36を備え、かつ基端にその血液流通用溝部からの血液流出を防止する通気性フィルタ37を備える点のみであり、その他の点については、上述したイントロデューサー誘導具1と同じである。相違点のみを説明し、その他の点については、上述した説明を参照する。
穿刺針本体部31が、刃先部31aより後端まで連通する小径の溝36を備えている。そして、接続部33には、溝36の基端を閉塞するように、フィルタ37が固定されている。穿刺針本体部31の刃先部31aが、体腔内に侵入した場合、上記の溝36を有することにより、この溝36を通り血液が流れる。そして、フィルタ37に血液が到達し、フィルタ37が血液により着色されたことを確認することにより、刃先部31aの体腔内到達を確認できる。なお、誘導用チューブ2を透明材料により形成することにより、上記の溝36を通過する血液を確認することによっても刃先部31aの体腔内到達を確認できる。フィルタ37としては、通気性かつ血液不透過性のものが用いられる。
また、本発明のイントロデューサー誘導具としては、図12に示すイントロデューサー誘導具20の形態のものであってもよい。イントロデューサー誘導具20と上述したイントロデューサー誘導具1との相違は、穿刺針組立体3の穿刺針本体部31が、中空針であり内部に通路31bを備え、かつ基端にその通路31bからの血液流出を防止する通気性フィルタ37を備える点のみであり、その他の点については、上述したイントロデューサー誘導具1と同じである。相違点のみを説明し、その他の点については、上述した説明を参照する。
穿刺針本体部31は、刃先部31aから後端まで開通する中空針であり、内部に通路31bを備えている。そして、接続部33には、通路31bの基端を閉塞するように、フィルタ37が固定されている。穿刺針本体部31の刃先部31aが、体腔内に侵入した場合、上記の通路31bを有することにより、この通路31bを通り血液が流れる。そして、フィルタ37に血液が到達し、フィルタ37が血液により着色されたことを確認することにより、刃先部31aの体腔内到達を確認できる。フィルタ37としては、通気性かつ血液不透過性のものが用いられる。
また、本発明のイントロデューサー誘導具としては、図13に示すイントロデューサー誘導具30の形態のものであってもよい。イントロデューサー誘導具30と上述したイントロデューサー誘導具1との相違は、穿刺針組立体3の穿刺針本体部31が、穿刺針部38とその後端に接続されたシャフト部39とにより構成されている点のみであり、その他の点については、上述したイントロデューサー誘導具1と同じである。相違点のみを説明し、その他の点については、上述した説明を参照する。
穿刺針本体部31は、穿刺針部38とその後端に接続されたシャフト部39とにより構成されている。穿刺針部38は、先端に刃先部31aと後端に小径の取付部38aを有している。そして、シャフト部39は、先端部に上記取付部38aを取付可能な凹部39aを備えている。また、シャフト部39の基端部は、誘導用チューブ被覆部32の接続部33に固定されている。このように、穿刺針本体部31を穿刺針部38とシャフト部39に区分することにより、両者を別材料により形成することができる。そして、穿刺針部38を金属により形成し、シャフト部39を剛性樹脂により形成することが好ましい。そして、シャフト部材の構成材料としては、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの高分子材料またはこれらの混合物などを用いることができる。
また、穿刺針部38の長さとしては、30〜150mm程度が好適である。また、穿刺操作用ハブ34の配置位置は、図13に示すように、穿刺針部上もしくは穿刺針部の基端部付近上となっていることが好ましい。穿刺操作用ハブ34を硬質の穿刺針部上とすることにより、穿刺操作時におけるハブ配置位置でのイントロデューサー誘導具の湾曲が少なく穿刺操作が良好となる。
また、本発明のイントロデューサー誘導具としては、図14に示すイントロデューサー誘導具40の形態のものであってもよい。イントロデューサー誘導具40と上述したイントロデューサー誘導具1との相違は、誘導用チューブ移動規制部の形態のみである。このイントロデューサー誘導具40では、図14および図15に示すように、誘導用チューブ12の基端は、傾斜端23aとなっている。そして、誘導用チューブ移動規制部を構成する穿刺針組立体3の接続部33の内腔端面も上記の誘導用チューブ12の基端形態に適合するように、傾斜端33aとなっている。このようにすることにより、イントロデューサー誘導具の穿刺時における誘導用チューブ12に対する穿刺針組立体3の回転が規制され、穿刺作業を良好なものとする。さらに、図15に示すように、誘導用チューブ12の基端が傾斜端23aとなっているため、ダイレーター91の内腔への挿入も容易なものとなる。この実施例のイントロデューサー誘導具における誘導用チューブの後端部23は、ダイレーター91の内腔先端内への易侵入部を形成している。
また、本発明のイントロデューサー誘導具としては、図16に示すイントロデューサー誘導具45の形態のものであってもよい。イントロデューサー誘導具45と上述したイントロデューサー誘導具1との相違は、誘導用チューブ移動規制部の形態のみである。このイントロデューサー誘導具45では、図16に示すように、誘導用チューブ2は、先端側部分が小径内径部2a(言い換えれば、肉厚部)となっており、後端側部分が大径内径部2b(言い換えれば、肉薄部)となっており、両者の境界部分が段差部23bとなっている。また、穿刺針本体部31は、先端側部分が小径外径部31cとなっており、後端側部分が大径外径部31dとなっており、両者の境界部分が段差部33bとなっている。そして、図16に示すように、段差部33bの外径は、段差部23bの内径より大きいものとなっており、誘導用チューブ2の段差部23bと穿刺針本体部31の段差部33bは当接する。このイントロデューサー誘導具45では、2つの段差部23b、33bにより、誘導用チューブ移動規制部が構成されている。なお、穿刺針本体部31は、その全長において小径外径となっており、段差部となる部分に段差部23bと当接可能なリブが設けられたものであってもよい。同様に、誘導用チューブは、その全長において大径内径となっており、段差部となる部分に段差部33bと当接可能なリブが設けられたものであってもよい。
また、本発明のイントロデューサー誘導具としては、図17に示すイントロデューサー誘導具50の形態のものであってもよい。
イントロデューサー誘導具50では、穿刺針組立体は、誘導用チューブ被覆部32の先端部に設けられ、誘導用チューブ被覆部32を誘導用チューブ2に離脱可能に固定する固定部材51を有し、誘導用チューブ移動規制部は、固定部材51により構成されている。穿刺針本体部31は、上述したものと同じである。
この実施例のイントロデューサー誘導具50では、誘導用チューブ被覆部32の先端に穿刺操作用ハブ34が固定されており、この穿刺操作用ハブ34が、誘導用チューブ被覆部32の先端部を構成している。固定部材51は、ハブ34(穿刺針組立体)に摺動可能かつ離脱不能に取付けられている。そして、固定部材51が、図17に示すように、ハブ34の先端を圧迫する状態では、ハブ34の先端を誘導用チューブ2に密着し、誘導用チューブ2にハブ34(穿刺針組立体)を固定する。そして、固定部材51が、図17の状態より、先端側に移動すると、上記の圧迫が解除され誘導用チューブ2の固定も解除される。
具体的には、ハブ34は、先端側に延びるチューブ部を備えその先端には、膨出部34aが設けられている。そして、ハブ34の先端部には、摺動可能に固定部材51が取付けられている。固定部材51は、所定長の筒状体であり、操作用外側リブ52、ハブからの離脱防止用内側リブ54、ハブ34の膨出部圧迫部53を備えている。圧迫部53は、先端側に縮径する内側傾斜面となっている。このため、ハブ34を基端側に移動させ、圧迫部である傾斜面53によりハブ34の膨出部34aが圧迫される状態では、ハブ34の膨出部34aの形成部内径が縮径し、誘導用チューブ2に密着するため、ハブ34(穿刺針組立体)は、誘導用チューブ2に固定された状態となる。この状態が図17に示す状態であり、誘導用チューブ2は、穿刺針組立体の先端側にも基端側にも移動不能となっている。そして、このイントロデューサー誘導具50は、この固定状態にて、血管に穿刺される。このイントロデューサー誘導具50では、誘導用チューブ2は穿刺針組立体の先端方向および基端方向のいずれにも移動しないので、穿刺作業を良好に行うことができる。そして、穿刺作業後、固定部材51を先端側に移動させることにより、ハブ34(穿刺針組立体)と誘導用チューブ2の固定状態は、解除され、誘導用チューブ2より穿刺針組立体を抜去可能となる。
なお、この実施例の場合、誘導用チューブ2の基端は、穿刺針組立体の接続部33に当接しないものであってもよいが、誘導用チューブ2の基端方向への移動をより確実に規制するためには、上述した実施例と同様に、当接するものであることが好ましい。
また、上記の実施例では、ハブ34を備えているが必ずしも備える必要はなく、誘導用チューブ被覆部32の先端に上述した膨出部を設けたものとしてもよい。この場合、固定部材を操作用ハブとして機能させてもよい。また、ハブ34としては、上述したイントロデューサー誘導具1のように、誘導用チューブ被覆部32を貫通するものであってもよい。この場合においても、膨出部は誘導用チューブ被覆部32の先端に設けられるものとなる。
また、本発明のイントロデューサー誘導具としては、図18および図19に示すイントロデューサー誘導具70であってもよい。
イントロデューサー誘導具70と上述したイントロデューサー誘導具1との相違は、穿刺針組立体3の穿刺針本体部31が中空針であり、穿刺針本体部31の基端部が接続部33より突出し、突出する穿刺針本体部31の基端部に基端ハブ35が固定されている点のみであり、その他の点については、上述したイントロデューサー誘導具1と同じである。相違点のみを説明し、その他の点については、上述した説明を参照する。
穿刺針本体部31は、刃先部31aから後端まで開通する中空針であり、内部に通路31bを備えている。そして、この実施例のイントロデューサー誘導具70では、中空針である穿刺針本体部31の基端部が接続部33より突出している。そして、突出する基端部には、図18に示すように、中空状の基端ハブ35が固定されている。この基端ハブ35は、開口部35aを備えており、この開口部35aは、穿刺針本体部31の通路31bと連通している。
さらに、この実施例のイントロデューサー誘導具70では、基端ハブ35の上記開口部35aには、キャップ部材を着脱可能に取り付けてもよい。キャップ部材としては、開口部35aを液密状態にシールするものが好ましい。また、キャップ部材としては、通気性かつ血液不透過性の通気フィルタを備えるものであってもよい。また、この実施例のイントロデューサー誘導具70では、基端ハブ35は、接続部33と別部材となっているが、両者は一体化されたものであってもよい。
そして、このイントロデューサー誘導具70においても、誘導用チューブ2に対して、穿刺針組立体3を基端方向に引くことにより、図19に示す状態となる。そして、誘導用チューブ2より穿刺針本体部31が完全に抜去される前に、基端ハブ35の開口部35aを用いて、誘導用チューブ2内に止血剤を注入することが可能である。
そして、上述したすべての実施例において、誘導用チューブは、表面の全体もしくは一部には、低摩擦性物質が塗布もしくは被覆されていることが好ましい。このようにすることにより、イントロデューサー誘導具の血管への穿刺時における抵抗が少ないものとなり、また、ダイレーター進行時におけるその内面との間の抵抗も少ないものとなる。
また、上述したすべての実施例において、誘導用チューブは、内面の全体もしくは一部には、低摩擦性物質が塗布もしくは被覆されていてもよい。
また、上述したすべての実施例において、穿刺針本体部の外面の全体もしくは一部、誘導用チューブ被覆部の内面の全体もしくは一部には、低摩擦性物質が塗布もしくは被覆されていてもよい。このようにすることにより、誘導用チューブ2からの穿刺針組立体3の抜去時の抵抗が少ないものとなり、抜去作業が容易となる。
低摩擦性物質としては、フッ素系樹脂、親水性樹脂などが好ましい。
フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
親水性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ケイ素樹脂が好ましい。また、ケイ素系樹脂としては、被膜形成性を有するものが好ましい。ケイ素樹脂(水性シリコーン化合物)としては、各種が使用可能であり、例えば、アルコキシシラン化合物やオルガノシロキサン化合物、又はその縮合物からなるポリシロキサンを水性媒体に分散、乳化、溶解したもの、さらにアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを必要に応じて他のビニルモノマーと共重合してなる共重合体エマルション、有機重合体にポリシロキサンを複合化させてなるエマルションなども使用できる。また、ケイ素樹脂としては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルsec−トリオクチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、オクチルトリエトキシシラン、ラウリルトリエトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、ステアリルトリエトキシシランのシラン系化合物など、あるいはこれらの縮合物を水媒体に分散、乳化、溶解したものが挙げられる。
また、上述した全ての実施例において、誘導用チューブの外面の全体若しくは一部に潤滑性物質が被覆されていてもよい。特に、潤滑性物質は、誘導用チューブ2の外面に固定されていることが好ましい。潤滑性物質としては、カルボキシメチルセルロース、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、水溶性ナイロン等が考えられる。また、潤滑性物質の被覆は、誘導用チューブの全体に設けることが好ましい。
そして、本発明のイントロデューサーキットは、上述したイントロデューサー誘導具と、カテーテルイントロデューサー80とにより構成される。カテーテルイントロデューサー80は、カテーテル挿入用シース81とこのシース81内に抜去可能に挿入されたダイレーター91とを備えている。
イントロデューサー80としては、公知のものを用いることができる。
イントロデューサー80としては、例えば、図20および図21に示すものが使用可能である。
カテーテル挿入用シース81は、シースチューブ82と、このシースチューブ82の基端部に固定されたシースハブ83とを有している。シースチューブ82は、経皮的に血管に導入される。そして、シースチューブ82の内腔には、シースハブ83の基端から、例えばカテーテル、ガイドワイヤ等の医療用の長尺物を挿通され、この長尺物が体腔内に導入される。
シースチューブ82は、比較的柔軟な樹脂材料、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ナイロン66のようなポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレートのようなポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリウレタンからなる群より選択される少なくとも1種を主とする樹脂材料で構成されている。
シースハブ83の基端部内側には、流体の逆流を防止する弁体(逆止弁)84が設けられている。この弁体84は、シースハブ83の基端から血液等の液体の漏出を防止する機能を有するものである。弁体84としては、一方の面にのみ到達するスリットと、他方の面にのみ到達するスリットとが形成され、かつ、これらが内部において部分的に交差しているものが挙げられる。
ダイレーター91は、ダイレーターチューブ92と、このダイレーターチューブ92の基端部に固定(固着)されたダイレーターハブ93とを有している。そして、ダイレーターチューブ92の先端部92aは、先端方向に向かって縮径している(テーパ状をなしている)。これにより、内部に挿通される誘導用チューブ2との境界部における段差が小さくなるため、血管に挿入する際の穿刺抵抗が小さくなり、ダイレーターチューブ92の血管への導入(血管の確保)が容易となる。
そして、このダイレーター91は、前述したカテーテル挿入用シース81内にダイレーターチューブ92の先端部92aが、シースチューブ82の先端より突出するように挿入される。
次に、本発明のイントロデューサーキットおよびイントロデューサー誘導具の作用を図22ないし図25を用いて説明する。
図22に示すように、イントロデューサー誘導具1の先端が、皮膚101を通過し、血管102内に到達するまで穿刺する。そして、図23に示すように、誘導用チューブ2の先端の体腔内挿入状態を維持しながら、穿刺針組立体3を後方に引き、誘導用チューブ2より抜去する。これにより、誘導用チューブ2のみが残る状態となる。そして、図24に示すように、誘導用チューブ2の後端が、イントロデューサー80をダイレーターの先端よりその内部に収納されるように、イントロデューサー80を誘導用チューブ2に沿ってその前方に押し進める。この挿入操作は、図24に示すように、イントロデューサー80のダイレーターの先端部92aが、体腔内に侵入し、かつ、誘導用チューブ2の先端より前方となる状態まで行われる。そして、図25に示すように、誘導用チューブ2およびダイレーターを抜去することにより、カテーテル挿入用シース81のみが挿入された状態となる。
図1は、本発明のイントロデューサー誘導具の正面図である。 図2は、図1に示したイントロデューサー誘導具の誘導用チューブの正面図である。 図3は、図1に示したイントロデューサー誘導具の穿刺針組立体の正面図である。 図4は、図1に示したイントロデューサー誘導具の部分省略断面図である。 図5は、本発明のイントロデューサー誘導具に用いられる誘導用チューブの他の例の正面図である。 図6は、本発明のイントロデューサー誘導具に用いられる誘導用チューブの他の例の先端部の拡大断面図である。 図7は、本発明のイントロデューサー誘導具に用いられる誘導用チューブの他の例の先端部の拡大図である。 図8は、本発明のイントロデューサー誘導具に用いられる誘導用チューブの他の例の部分省略断面図である。 図9は、本発明のイントロデューサー誘導具に用いられる誘導用チューブの他の例の部分省略断面図である。 図10は、本発明のイントロデューサー誘導具の作用を説明するための説明図である。 図11は、本発明のイントロデューサー誘導具の他の実施例の部分省略断面図である。 図12は、本発明のイントロデューサー誘導具の他の実施例の部分省略断面図である。 図13は、本発明のイントロデューサー誘導具の他の実施例の部分省略断面図である。 図14は、本発明のイントロデューサー誘導具の他の実施例の部分省略断面図である。 図15は、図14に示したイントロデューサー誘導具の誘導用チューブの正面図である。 図16は、本発明のイントロデューサー誘導具の他の実施例の部分省略断面図である。 図17は、本発明のイントロデューサー誘導具の他の実施例の部分省略断面図である。 図18は、本発明のイントロデューサー誘導具の他の実施例の部分省略断面図である。 図19は、図18に示したイントロデューサー誘導具の作用を説明するための説明図である。 図20は、本発明のイントロデューサーキットに使用されるイントロデューサーの正面図である。 図21は、図20のA−A線断面図である。 図22は、本発明のイントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキットの作用を説明するための説明図である。 図23は、本発明のイントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキットの作用を説明するための説明図である。 図24は、本発明のイントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキットの作用を説明するための説明図である。 図25は、本発明のイントロデューサー誘導具およびイントロデューサーキットの作用を説明するための説明図である。
符号の説明
1 イントロデューサー誘導具
2 誘導用チューブ
3 穿刺針組立体
23a,33a 誘導用チューブ移動規制部
31 穿刺針本体部
31a 刃先部
91 ダイレーター

Claims (6)

  1. カテーテル挿入用シースと、該シース内に抜去可能に挿入されたダイレーターとを備えるカテーテルイントロデューサーを体腔内に誘導するためのイントロデューサー誘導具であって、
    前記イントロデューサー誘導具は、前記ダイレーターの内径と同等もしくはそれ以下のものとなっており、前記ダイレーターの内腔内に侵入可能な外径および貫通可能な長さを有する誘導用チューブと、該誘導用チューブを取り外し可能に装着する穿刺針組立体とを備え、そして、該穿刺針組立体は、前記誘導用チューブを貫通する穿刺針本体部と、該穿刺針本体部の先端に形成され、前記誘導用チューブの先端より突出する刃先部と、前記穿刺針本体部の後端部に接続され、前記穿刺針本体部の先端方向に所定長延びるとともに前記誘導用チューブを所定長被包するチューブ体であり、かつ内径が前記誘導用チューブの外径より若干大きいものとなっている誘導用チューブ被覆部と、前記誘導用チューブの前記穿刺針組立体の後端側への移動を規制する誘導用チューブ移動規制部とを備えることを特徴とするイントロデューサー誘導具。
  2. 前記穿刺針組立体は、前記穿刺針本体部の後端部と前記誘導用チューブ被覆部とを接続する接続部を備え、該接続部の内部には、前記誘導用チューブの後端と当接可能な前記誘導用チューブ移動規制部を備えている請求項に記載のイントロデューサー誘導具。
  3. 前記穿刺針組立体は、前記誘導用チューブ被覆部の先端側部分に設けられた穿刺操作用ハブを有する請求項1または2に記載のイントロデューサー誘導具。
  4. 前記穿刺針組立体は、前記誘導用チューブ被覆部の先端部に設けられ、該誘導用チューブ被覆部を前記誘導用チューブに離脱可能に固定する固定部材を有し、前記誘導用チューブ移動規制部は、該固定部材により構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のイントロデューサー誘導具。
  5. 前記穿刺針組立体は、前記穿刺針本体部の先端より該穿刺針組立体の後端まで延びる体腔内挿入確認用血液流路を備えている請求項1ないしのいずれかに記載のイントロデューサー誘導具。
  6. カテーテル挿入用シースと、該シース内に抜去可能に挿入されたダイレーターとを備えるカテーテルイントロデューサーと、該カテーテルイントロデューサーを体腔内に誘導するためのイントロデューサー誘導具からなるイントロデューサーキットであって、前記イントロデューサー誘導具が、請求項1ないし5のいずれかに記載のものであることを特徴とするイントロデューサーキット。
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