JP4844778B2 - セラミックコンデンサ−製造用離型フィルムおよびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックコンデンサ−製造用離型フィルムおよびその製造法に関し、更に詳しくは、基材の一方の面に膜厚の均一性に優れた離型層を設けることができ、かつ、その離型層は、基材との密着性に優れ、更に、その表面の平滑性に優れていると共に濡れ性が悪く、均一な離型性を有し、更にまた、その表面に塵埃等の異物が付着せず表面の清浄性に優れ、セラミックコンデンサ−を製造するに極めて有用なセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムおよびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、セラミックコンデンサ−は、まず、チタン酸バリウム、アルミナ等のセラミック粉体を分散させた水系ないし有機溶剤系に、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリビニルアセタ−ル、ポリビニルブチラ−ル、または、その他等の高分子結合剤を添加し、更に、例えば、可塑剤、分散剤、帯電防止剤、またはその他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に要すれば、水、溶剤、希釈剤等を用いて十分に混練してセラミック組成物を調製し、次いで、該セラミック組成物を使用し、これを離型フィルムの上にコ−ティングし、乾燥して、セラミックシ−トを有するセラミックグリ−ンシ−トを製造し、しかる後、そのセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トの上に、内部電極等を印刷し、次に、そのセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トを離型フィルムから剥離し、更に、所定の大きさに裁断し、次いで、その複数枚を積層、焼結し、しかる後、外部電極等を取り付けることによって製造されている。
而して、近年、上記のセラミックコンデンサ−においては、小型高容量化を実現するために、セラミックシ−トを構成する層の1層の厚さをより薄膜化することが要望され、このために、セラミック組成物の調製、そのコ−ティング法等の改良を試みてセラミック組成物の均一塗工性等のみならず、離型フィルムについて、離型層の膜厚の均一性、表面平滑性、表面離型性、表面の異物、耐熱性、その他等の高精度の表面特性が要求されているものである。
【0003】
ところで、セラミックコンデンサ−製造用離型フィルムとしては、従来から、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材の一方の面に、硬化型のシリコ−ン系樹脂組成物をコ−ティングして離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜を形成して構成されている。
更に、上記の離型フィルムにおいては、シリコ−ン系樹脂皮膜自身が、離型性を有することから、逆に、基材との密着性に劣ることが知られており、このため、基材と離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜との密着性を改良するものとして、例えば、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材の一方の面に、予め、シランカップリング剤等を含む組成物による下塗り層を設け、その上に、硬化型のシリコ−ン系樹脂組成物をコ−ティングして離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜を形成した構成からなる離型フィルムが提案されている。
更に、上記の離型性フィルムにおいては、基材と離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜との密着性を改良するものとして、例えば、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材の一方の面に、予め、コロナ放電処理等の前処理を施してその表面の濡れ性等を改良し、そのコロナ放電処理面に、硬化型のシリコ−ン系樹脂組成物をコ−ティングして離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜を形成した構成からなる離型フィルムも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような離型フィルムにおいては、それをセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムとして使用すると、しばしば、基材と離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜との層間において剥離する現象が認められ、而して、その両者の密着性を改良した離型フィルムが、種々の提案されているとは言うものの、依然として、十分に満足し得るものではなく、不都合を来しているというのが実状である。
更に、上記のような離型フィルムにおいては、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材の一方の面に形成された離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜中には、しばしば、未反応のシリコ−ンモノマ−等が残存し、これが種々の悪影響を与え、例えば、セラミックコンデンサ−の性能に悪影響を及ぼすという問題点があり、また、例えば、離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜の表面が、空気中の塵埃等を吸着し、その離型性等の機能を低下させるという弊害を生じたりするという問題点があるものである。
また、上記のような離型フィルムにおいては、硬化型のシリコ−ン系樹脂組成物をウエットコ−ティング方式により離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜を形成していることから、例えば、そのコ−ティングむら等により、均一な膜厚を有する離型性を有するシリコ−ン系樹脂皮膜を形成することは極めて困難であり、それにより、例えば、離型フィルムの表面の離型性に不均一性を生じ、その使用に支障を来すという問題点があり、更に、コ−ティング後、溶剤等を回収するという後処理の問題点もある。
そこで本発明は、基材の一方の面に膜厚の均一性に優れた離型層を設けることができ、かつ、その離型層は、基材との密着性に優れ、更に、その表面の平滑性に優れていると共に濡れ性が悪く、均一な離型性を有し、更にまた、その表面に塵埃等の異物が付着せず表面の清浄性に優れ、セラミックコンデンサ−を製造するに極めて有用なセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムおよびその製造法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、セラミックコンデンサ−製造用離型フィルムにおける上記のような問題点を解決すべく種々検討の結果、有機珪素化合物の蒸気をプラズマ発生装置を利用するプラズマ化学気相成長方式により化学気相成長させるてなる珪素酸化物の連続薄膜に着目し、まず、少なくとも、有機珪素化合物の蒸気からなるモノマ−ガスを原料として含み、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガスまたはヘリウムガスからなる不活性ガスを含み、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガスを含むガス組成物を調製し、次いで、基材の一方の面に、これを、プラズマ発生装置を利用するプラズマ化学気相成長方式により化学気相成長させて、上記の基材の一方の面に、珪素酸化物の連続薄膜層からなり、更に、珪素酸化物の連続薄膜層中には、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類あるいは2種類以上からなる化合物を少なくとも1種類以上を含有し、かつ、炭素原子含有量が、5原子%以上からなる離型層を形成し、而して、該離型層を形成した基材をセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムとして使用して通常の方法でセラミックコンデンサ−を製造したところ、上記の基材の上に設けた離型層は、膜厚を一定にして均一性に優れ、更に、基材と極めて強固に密接着してその密着性に優れ、かつ、その表面の平滑性に優れていると共に濡れ性が悪く、その離型性にむらがなく均一な離型性を有し、更にまた、真空中で成膜化することから、その表面に塵埃等の異物が付着せず表面の清浄性に優れ、極めて良好にセラミックコンデンサ−を製造し得ることができることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けた離型層とからなり、更に、上記の離型層が、珪素酸化物の連続薄膜層からなり、更に、珪素酸化物の連続薄膜層中には、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類あるいは2種類以上からなる化合物を少なくとも1種類以上を含有し、かつ、炭素原子含有量が、5原子%以上であることを特徴とするセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムおよびその製造法に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムについてその層構成の一例を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムについてその層構成の一例を示す概略的断面図である。
【0008】
まず、本発明において、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムAとしては、図1に示すように、基材1と、該基材1の少なくとも一方の面に設けた離型層2とからなり、更に、上記の離型層2が、珪素酸化物の連続薄膜層2aからなり、更に、珪素酸化物の連続薄膜層2a中には、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類あるいは2種類以上からなる化合物を少なくとも1種類以上を含有し、かつ、炭素原子含有量が、5原子%以上からなることを基本構造とするものである。
上記の例示は、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムについてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0009】
而して、本発明において、上記の本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造する方法としては、例えば、基材の一方の面に、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスとを含有するガス組成物を使用し、これを、プラズマ発生装置を利用するプラズマ化学気相成長方式により化学気相成長させて、上記の基材の一方の面に、珪素酸化物の連続薄膜層からなり、更に、珪素酸化物の連続薄膜層中には、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類あるいは2種類以上からなる化合物を少なくとも1種類以上を含有し、かつ、炭素原子含有量が、5原子%以上からなる離型層を形成することにより、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造することができる。
上記において、ガス組成物としては、少なくとも、有機珪素化合物の蒸気からなるモノマ−ガスを原料として含み、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガスまたはヘリウムガスからなる不活性ガスを含み、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガスを含む組成からなるガス組成物を使用することができる。
また、上記において、プズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、または、マイクロ波プラズマ等の発生装置等を使用することができる。
更に、上記において、プズマ化学気相成長方式としては、例えば、巻き取り式のプラズマ化学気相成長方式等を使用し、連続的に離型フィルムを製造することもできるものである。
【0010】
而して、本発明において、上記のようにして製造した本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを使用してセラミックコンデンサ−を製造する一例を挙げれば、例えば、まず、チタン酸バリウム、アルミナ等のセラミック粉体を分散させた水系ないし有機溶剤系に、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリビニルアセタ−ル、ポリビニルブチラ−ル、または、その他等の高分子結合剤を添加し、更に、例えば、可塑剤、分散剤、帯電防止剤、またはその他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に要すれば、水、溶剤、希釈剤等を用いて十分に混練してセラミック組成物を調製し、次いで、該セラミック組成物を使用し、これを、上記の本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムの上にコ−ティングし、乾燥して、膜厚約10μm前後のセラミックシ−トを有するセラミックグリ−ンシ−トを製造し、しかる後、そのセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トの上に、内部電極等を印刷し、次に、そのセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トをセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムから剥離し、更に、所定の大きさに裁断し、次いで、その複数枚を積層、焼結し、しかる後、外部電極等を取り付けることによって、種々の形態からなるセラミックコンデンサ−を製造することができるものである。
上記の例示は、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを使用してセラミックコンデンサ−の製造法についてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0011】
次に、本発明において、上記の本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルム、その製造法等において使用する材料、その製造法等について説明すると、まず、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを構成する基材としては、これがセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを構成する基本素材となること、更に、これに離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、本発明において、基材としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0012】
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
【0013】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0014】
また、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面には、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシ−トと離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0015】
次に、本発明において、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを構成する離型層を形成する珪素酸化物の連続薄膜層について説明すると、かかる珪素酸化物の連続薄膜層としては、例えば、化学気相成長法等を用いて、珪素酸化物の連続薄膜層の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜等を形成して製造することができるものである。
【0016】
本発明において、上記の化学気相成長法による珪素酸化物の連続薄膜層について更に説明すると、かかる化学気相成長法による珪素酸化物の連続薄膜層としては、例えば、プラズマ化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて形成することができる。
本発明においては、具体的には、基材の一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用してガス組成物を調製し、次いで、これを、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて珪素酸化物の連続薄膜層を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0017】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による珪素酸化物の連続薄膜層の形成法についてその一例を例示して説明すると、図2は、上記のプラズマ化学気相成長法による珪素酸化物の連続薄膜層の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図2に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置11の真空チャンバ−12内に配置された巻き出しロ−ル13から基材1を繰り出し、更に、該基材1を、補助ロ−ル14を介して所定の速度で冷却・電極ドラム15周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置16、17および、原料揮発供給装置18等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル19を通して真空チャンバ−12内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム15周面上に搬送された基材1の上に、グロ−放電プラズマ20によってプラズマを発生させ、これを照射して、珪素酸化物の連続薄膜層を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム15は、真空チャンバ−12の外に配置されている電源21から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム15の近傍には、マグネット22を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記で珪素酸化物の連続薄膜層を形成した基材1は、補助ロ−ル23を介して巻き取りロ−ル24に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による珪素酸化物の連続薄膜層を形成することができるものである。
なお、図中、25は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、珪素酸化物の連続薄膜層としては、珪素酸化物の連続薄膜層の1層だけではなく、その2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した珪素酸化物の連続薄膜層を構成することもできる。
【0018】
上記において、真空チャンバ−12内を真空ポンプ25により減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置18においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置16、17から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズル19を介して真空チャンバ−12内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物、酸素ガス、不活性ガス等のの含有量は、任意の組成で変更することが可能である。
一方、冷却・電極ドラム15には、電源21から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−12内の原料供給ノズル19の開口部と冷却・電極ドラム15との近傍でグロ−放電プラズマ20が生成され、このグロ−放電プラズマ20は、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、基材1を一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマ20によって、冷却・電極ドラム15周面上の基材1の上に、珪素酸化物の連続薄膜層を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、基材1の搬送速度は、10〜500m/分位、好ましくは、50〜350m/分位に調製することが望ましいものである。
【0019】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置11において、珪素酸化物の連続薄膜層の形成は、基材1の上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながら式SiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、珪素酸化物の連続薄膜層は、基材との密接着性に優れ、更に、膜厚の均一性も高く、また、真空中で成膜化することからその表面に塵埃等の付着することはなく、均一な離型性を有する優れた特性を有する皮膜を形成し得るものである。
また、本発明においては、プラズマにより基材1の表面が、清浄化され、基材1の表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される珪素酸化物の連続薄膜層と基材1との密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように珪素酸化物の連続薄膜層の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、基材1を原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0020】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される珪素酸化物の連続薄膜層は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、基材の一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される珪素酸化物を主体とする連続状の薄膜である。
而して、上記の珪素酸化物の連続薄膜層としては、透明性、離型性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1〜2の数を表す。)で表される珪素酸化物の連続薄膜層を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
【0021】
また、上記の珪素酸化物の連続薄膜層は、珪素酸化物を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する連続薄膜層からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、Si−C結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、珪素酸化物の連続薄膜層中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、珪素酸化物の連続薄膜層に含有する含有量としては、0.1〜80%位、好ましくは、5〜60%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、珪素酸化物の連続薄膜層の離型性が低下したり、また、その耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げ等により、擦り傷、クラック等が発生し易く、その安定性を維持することが困難になり、また、80%を越えると、離型性等が低下したり、膜の密着性も低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、珪素酸化物の連続薄膜層において、上記の化合物の含有量が、珪素酸化物の連続薄膜層の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、珪素酸化物の連続薄膜層の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、樹脂フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、基材フィルムと珪素酸化物の連続薄膜層との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
また、本発明において、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層中に、上記の化合物が含有することにより、上記の珪素酸化物の連続薄膜層中に、炭素原子含有量が、5原子%以上、具体的には、5原子%〜70原子%位、好ましくは、10原子%〜50原子%位の範囲で含有していることが望ましいものである。
上記において、炭素原子含有量が、5原子%未満、更には、10原子%未満であると、撥水基であるメチル(CH3 )基の存在が少なくなり、剥離性が低下する等の理由により好ましくなく、また、炭素原子含有量が、50原子%を超えると、更には、70原子%を超えると、膜の硬度、強度等が低下し、剥がれ落ちる現象が生じるという理由により好ましくないものである。
【0022】
而して、本発明において、上記の離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層について、例えば、X線光電子分光装置(Xray PhotoelectronSpectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、珪素酸化物の連続薄膜層の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の珪素酸化物の連続薄膜層の膜厚としては、膜厚20Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、50Å〜2000Å位が望ましく、而して、上記において、2000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、50Å、更には、20Å未満であると、離型性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて測定することができる。
また、上記において、上記の珪素酸化物の連続薄膜層の膜厚を変更する手段としては、連続薄膜層の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0023】
次に、上記において、珪素酸化物の連続薄膜層を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0024】
次に、本発明において、上記のような材料を使用して製造される本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムは、基材の一方の面に膜厚の均一性に優れた離型層を設けることができ、かつ、その離型層は、基材との密着性に優れ、更に、その表面の平滑性に優れていると共に濡れ性が悪く、均一な離型性を有し、更にまた、その表面に塵埃等の異物が付着せず表面の清浄性に優れ、種々の形態からなるセラミックコンデンサ−を製造するに極めて有用なセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムである。
【0025】
【実施例】
上記の本発明について以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
基材として、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ500Åの珪素酸化物の連続薄膜層からなる離型層を形成して、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=10:1:10(単位:slm)
パワ−;3kW
成膜速度;300m/min
成膜圧力;2×10-2torr
【0026】
実施例2
基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の2軸延伸ナイロン6フィルムの一方の面に、厚さ500Åの珪素酸化物の連続薄膜層からなる離型層を形成して、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=10:1:10(単位:slm)
パワ−;3kW
成膜速度;300m/min
成膜圧力;2×10-2torr
【0027】
実施例3
基材として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、厚さ500Åの珪素酸化物の連続薄膜層からなる離型層を形成して、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=10:1:10(単位:slm)
パワ−;3kW
成膜速度;300m/min
成膜圧力;2×10-2torr
【0028】
比較例1
基材として、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ500Åの珪素酸化物の連続薄膜層からなる離型層を形成して、セラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
パワ−;3kW
成膜速度;300m/min
成膜圧力;2×10-2torr
【0029】
比較例2
基材として、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、その一方の面に、無溶剤型シリコ−ンを塗工し、次いで、硬化させて、膜厚4g/m2(乾燥状態)の硬化シリコ−ン皮膜からなる離型層を形成して、セラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造した。
【0030】
参考例
上記の実施例1〜3、および、比較例1〜2で製造したセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを使用し、下記の処方によりセラミックコンデンサ−を製造した。
まず、下記に示す組成からなるセラミック組成物を調製した。
Figure 0004844778
上記の配合割合からなる組成物をロ−ルミル等を使用し、十分に混練して、セラミック組成物を調製した。
次に、上記で製造した実施例1〜3、および、比較例1〜2で製造したセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを使用し、その一方の上に、上記のセラミック組成物を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法を用いて塗布し、次いで乾燥固化して、膜厚10μmからなるセラミックシ−トを有するセラミックグリ−ンシ−トを製造した。
次に、上記のセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トの上に、常法により、内部電極等を印刷し、次に、そのセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トをセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムから剥離し、更に、所定の大きさに裁断し、次いで、その複数枚を積層、焼結し、しかる後、外部電極等を取り付けることによって、セラミックコンデンサ−を製造した。
【0031】
実験例
上記の実施例1〜3、および、比較例1〜2で製造したセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムについて、(1).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層中の炭素含有量、(2).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の表面の表面接触角(水)、(3).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の塗膜密着性、(4).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の離型性、(5).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の残存接着率、(6).セラミック組成物の塗布性、および、(7).セラミックシ−トの剥離性等を下記に示す測定方法により測定し、離型フィルムの機能を評価した。
【0032】
(1).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層中の炭素含有量の測定
これは、X線光電子分析装置(島津製作所株式会社製、機種名、ESCA3400)を使用し、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の元素分析を行うことより測定した。
(2).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の表面の表面接触角(水)の測定
これは、接触角試験機(協和界面科学株式会社製、機種名、CA−DT型)を使用して測定した。
(3).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の塗膜密着性の測定(ラブオフテスト)
これは、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の表面を指で擦って、珪素酸化物の連続薄膜層が、容易に脱落するものを×、強く5回擦ってやや脱落するものを△、強く5回擦って脱落しないものを○、強く20回擦って全く脱落しないものを◎として評価して測定した。
(4).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の離型性の測定
これは、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の表面に、ポリエステル粘着フィルム(日東電工株式会社製、商品名、31Bテ−プ:50mm巾)を5kgのロ−ラ−で圧着させながら貼り合わせ、次いで、20℃20時間装置した後、180°剥離強度を引張試験機にて300mm/minで測定した。
(5).離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の残存接着率の測定
これは、まず、ポリエステル粘着フィルム(日東電工株式会社製、商品名、31Bテ−プ:50mm巾)をJIS G4305に規定する冷間圧延ステンレス板(SUS304)に貼り付けた後の剥離力を測定し、基礎接着力(f0 )とした。
他方、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の表面に、ポリエステル粘着フィルム(日東電工株式会社製、商品名、31Bテ−プ:50mm巾)を貼り合わせ、5kgの圧着ロ−ラ−で圧着し30秒間放置した後、ポリエステル粘着フィルムを剥がし、しかる後、上記で剥がしたポリエステル粘着フィルムを上記のステンレス板に貼り、その貼合部の剥離力を測定し、残留接着力(f)とした。
次いで、上記で得られた基礎接着力と残留接着力とから下記の式を用いて残留接着率を求めて測定した。
残留接着力(%)=(f/f0 )×100
【0033】
(6).セラミック組成物の塗布性の測定
これは、セラミック組成物として、以下に示す組成からなるセラミック組成物を使用し、これを、上記の実施例1〜3、および、比較例1〜2で製造したセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムの上に、塗布し、乾燥固化させてセラミックグリ−ンシ−トを製造した後、該セラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トを上記のセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムから剥離し、厚さ10μmのセラミックシ−トを製造した。
その際に、セラミック組成物の塗布状態を目視で観察し、はじきの見られたものを×、一部盛り上がりを生じたものを△、はじきも盛り上がりもないものを○、はじきも盛り上がりもなく、塗布面が極めて平滑なものを◎として評価して測定した。
Figure 0004844778
(7).セラミックシ−トの剥離性の測定
これは、上記の(6)のセラミック組成物の塗布性の測定において、セラミックグリ−ンシ−トを製造した後、該セラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トを上記のセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムから剥離し、厚さ10μmのセラミックシ−トを製造する際に、セラミックシ−トの剥離状態を目視で観察し、セラミックシ−トが適度の剥離性をもって剥離可能なものを○、剥離不良化を生じるもの(剥離力が軽過ぎて剥がれ易い領域のもの、あるいは、部分的に剥離力が重過ぎて剥がれない領域があるもの)を×として評価して測定した。
上記で測定した結果について、下記の表1に示す。
【0034】
(表1)
Figure 0004844778
Figure 0004844778
【0035】
上記の表1に示す結果より明らかなように、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムは、従来品と比較すると、基材と離型層との密着性が高く、離型層が基材から剥がれ落ちるということは認められなかった。
また、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムは、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層の離型性も十分であり、更に、残存接着力が高く、すなわち、離型層を構成する珪素酸化物の連続薄膜層中の残存物が粘着剤へ移行する現象も殆ど観察されないものであり、セラミックコンデンサ−製造用離型フィルムとして有用性を有することが認められた。
更にまた、本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムは、セラミック組成物の塗布性、セラミックシ−トの剥離性等においも優れ、実用的なものであることが認められた。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、有機珪素化合物の蒸気をプラズマ発生装置を利用するプラズマ化学気相成長方式により化学気相成長させるてなる珪素酸化物の連続薄膜に着目し、まず、少なくとも、有機珪素化合物の蒸気からなるモノマ−ガスを原料として含み、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガスまたはヘリウムガスからなる不活性ガスを含み、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガスを含むガス組成物を調製し、次いで、基材の一方の面に、これを、プラズマ発生装置を利用するプラズマ化学気相成長方式により化学気相成長させて、上記の基材の一方の面に、珪素酸化物の連続薄膜層からなり、更に、珪素酸化物の連続薄膜層中には、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類あるいは2種類以上からなる化合物を少なくとも1種類以上を含有し、かつ、炭素原子含有量が、5原子%以上からなる離型層を形成し、而して、該離型層を形成した基材をセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムとして使用して通常の方法でセラミックコンデンサ−を製造して、上記の基材の上に設けた離型層は、膜厚を一定にして均一性に優れ、更に、基材と極めて強固に密接着してその密着性に優れ、かつ、その表面の平滑性に優れていると共に濡れ性が悪く、その離型性にむらがなく均一な離型性を有し、更にまた、真空中で成膜化することから、その表面に塵埃等の異物が付着せず表面の清浄性に優れ、極めて良好に種々の形態からなるセラミックコンデンサ−を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】プラズマ化学気相成長装置についてその概要を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
A セラミックコンデンサ−製造用離型フィルム
1 基材フィルム
2 離型層
2a 珪素酸化物の連続薄膜層

Claims (6)

  1. 基材の一方の面に、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスとを含有するガス組成物を使用し、これを、プラズマ発生装置を利用するプラズマ化学気相成長方式により化学気相成長させて、珪素酸化物の連続薄膜層からなり、更に、珪素酸化物の連続薄膜層中には、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類あるいは2種類以上からなる化合物を少なくとも1種類以上を含有し、かつ、炭素原子含有量が、5原子%以上からなる離型層を形成してセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムを製造し、
    他方、チタン酸バリウムまたはアルミナからなるセラミック粉体を分散させた水系ないし有機溶剤系に、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリビニルアセタ−ル、または、ポリビニルブチラ−ルからなる高分子結合剤を添加し、十分に混練してセラミック組成物を調製し、
    次いで、該セラミック組成物を使用し、これを、上記のセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムの離型層の上にコ−ティングし、乾燥して、セラミックシ−トを有するセラミックグリ−ンシ−トを製造し、
    しかる後、そのセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トの上に、内部電極を印刷し、
    次に、上記のセラミックグリ−ンシ−トを構成するセラミックシ−トをセラミックコンデンサ−製造用離型フィルムから剥離し、
    次いで、その複数枚を積層、焼結し、
    しかる後、上記の内部電極に外部電極を取り付けることによってセラミックコンデンサ−を製造すること
    を特徴とするセラミックコンデンサ−の製造法。
  2. ガス組成物が、少なくとも、有機珪素化合物の蒸気からなるモノマ−ガスを原料として含み、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガスまたはヘリウムガスからなる不活性ガスを含み、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガスを含む組成からなることを特徴とする上記の請求項1に記載するセラミックコンデンサ−の製造法。
  3. プラズマ発生装置が、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、または、マイクロ波プラズマ等の発生装置からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載するセラミックコンデンサ−の製造法。
  4. プラズマ化学気相成長方式が、巻き取り式のプラズマ化学気相成長方式からなることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか1項に記載するセラミックコンデンサ−の製造法。
  5. 基材が、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、または、2軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムからなることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載するセラミックコンデンサ−の製造法。
  6. 離型層が、膜厚50Å〜2000Åからなることを特徴とする上記の請求項1〜5のいずれかた1項に記載するセラミックコンデンサ−の製造法。
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