JP5843425B2 - フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、成形加工に利用する上では、同時にコストメリットとして、繰り返し耐性や低価格性、廃棄の容易さも重要である。
従来、離型積層フィルムに使用されている最も一般的である、シリコーン系材料を離型層の材料として用いたものには、例えば、ポリエチレンテレフタレート上に、離型材料としてシリコーンを積層する方法がある(特許文献1)。しかしながら、シリコーン積層離型フィルムの場合、優れた離型性、低表面エネルギー、コーティング加工可能である一方、長時間大気暴露された場合、重剥離化が促進され、表面特性が変化するといった問題があり、また、離型材料のシリコーンが剥離時に転移し、欠陥となる問題がある。
蒸着法の場合、極めて薄い膜が得られるため組み合わせる基材の物性、例えば表面形状やヤング率、厚さといった機能を保持したまま離型性を付加できるといったメリットがある。また、薄膜のため離型層にフッ素材料を使用しても、焼却時のフッ化物の発生量は少ないものとなることが予想される。
PE−CVD法を用いることにより、撥水性でかつ離型性を有する蒸着膜積層フィルムをドライコーティングで製造でき、かつ、求められる機械物性やコストに合わせて種々のプラスチック基材を選択できることとなり、設計自由度が極めて高くなるというメリットがある。
また、フッ素系材料を表面に形成することで撥水性も離型性も付与することができることもすでに知られていたが、酸化珪素の堆積物とフルオロカーボンプラズマとが接触し、SiF4になりガス化して洗浄、排気されてしまうこと、また、金属フッ化物では一般に撥水ではなく逆の濡れ性が高いものとなること、つまり、Si原子にFを反応、結合させた場合、完全に反応させるとSiF4でガス化、不飽和でも撥水性は寄与されない可能性があるなどの問題があった。
プラズマ場では、フッ素はSiと側鎖のメチル基に同時に反応を開始する。フッ素は酸素とも反応するが窒素とは直接反応しないことから、任意の混合比で酸素もしくは窒素を適量混合し成膜を行うことで、反応のバランスを制御でき、フッ素含有量を調整可能であり、得られた薄膜の撥水性を制御することができることがわかった。
また原料として用いるフルオロカーボンのフッ素含有量を変えることにより、フッ素化炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜の表面エネルギー及び撥水性を簡単に制御することができる。
本発明にかかるフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム及びその製造方法について説明する。
本発明にかかるフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けたフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続膜蒸着膜とからなるものである。
なお、本発明において、フィルムとは、シート、フィルム、フィルム状物又はシート状物のいずれの場合も意味するもので、特別な意味を与えるものではない。
撥水性及び離型性を示す蒸着膜を形成するプラズマ化学気相成長法は、例えば、図1に示すようなプラズマ化学気相成長蒸着装置を用い、真空チャンバ内でプラスチック基材フィルムをプラズマ化学気相成長する雰囲気下に順次送り出し、巻き取り式のプラズマ化学気相成長方式を適用し、連続的に撥水性及び離型性の蒸着膜を形成するものである。
本発明で用いるプラスチック基材には、用途、使用条件に応じ、撥水性及び離型積層フィルムのプラスチック基材に求められる物性及び性能に適合するプラスチック材料を選択し、かつその表面粗さ、基材の厚さ、表面凹凸形状などの基材性状を設定、選択し、用いることができる。
さらに、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸延伸処理してもよい。
次に、本発明の撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを製造する方法について説明する。
プラズマ化学気相成長法により形成される撥水性及び離型性の蒸着膜は、例えば、図1に示すようなプラズマ化学気相成長蒸着装置において、蒸着層を形成するプラスチック基材フィルムにプラズマ化学気相蒸着を行なう雰囲気中へ順次送り出し、巻き取るプラズマ化学気相成長方式を適用し、連続的に撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成し、該蒸着膜を有する積層フィルムを製造することができるものである。
本発明においては、有機珪素化合物として、特に、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラエトキシシラン(TEOS)又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を原料として使用することが、その取り扱い性、形成された有機珪素化合物の蒸着膜の撥水性等の特性から、特に、好ましい。
低酸素状態とするため、酸素ガスのガス組成比が低くなるように酸素ガスを添加する代わりに窒素ガスを供給することもできる。窒素ガスを供給することで、プラズマCVD法により窒素ガスがイオン化し、C−H結合がC−F結合になる際、C−N−F結合を形成して窒化フッ素として取り込まれることもある。
メチル基あるいはエチル基を含み、且つSiを主鎖とする有機珪素化合物の蒸着膜材料源である有機珪素化合物とともに、常温で気体、あるいはPE−CVD法による処理時の温度で気体化するフルオロカーボンであればいずれでも使用することができる。
原料として用いるフルオロカーボンとして、フッ素含有量の異なるフルオロカーボンを用いる、あるいは2種以上を混合して用いることによりフッ素化の度合いを制御でき、表面エネルギー又は撥水性を制御することができる。
キャリヤーガスとして、アルゴンガスまたはヘリウムガスからなる不活性ガスを含有させることができる。
さらに、プラスチック基材にプラズマ化学気相成長を適用する方法としては、一般的には、上記有機珪素化合物及びフルオロカーボンを含むガス組成物を導入したプラズマ発生装置内でロール状のプラスチック基材を巻き取りながら、あるいはプラズマ発生装置内をプラスチック基材が通過することにより、プラスチック基材上にガス組成物をプラズマ化学気相成長させ、フッ素修飾した有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成し、撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムを製造することができる。
また、蒸着膜が撥水性及び離型性を発揮するためには、少なくとも10Å以上の撥水性蒸着膜の厚さが必要である。撥水性蒸着膜の厚さが10Å未満だと連続した蒸着膜として存在しなくなる。
過剰なフルオロカーボンを添加した場合、SiF4が生成し、フッ素化は促進されるが、成膜量が結果として減少する。有機珪素化合物のSiモル比率に対し、反応率にもよるが、50%以下のモル比率のフルオロカーボンが適量となる。
具体的には、その膜厚としては、5〜200nmが好ましく、膜厚が200nm、さらには、400nmより厚くなると、剛性を増すため膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、膜厚が5nm以下であると、蒸着膜の平面密度が低下して基材フィルムが表面に露出することとなり、剥離性が低下し、離型層自体が被離型材へ付着し、離型層が剥離する可能性が増加する。さらに、2nm未満であると、離型層として離型性の効果を奏することが困難になることから好ましくない。
本発明においては、プラズマ化学気相成長装置11の真空チャンバ12内に配置された巻き出しロール13から基材フィルムを繰り出し、所定の速度で冷却・電極ドラム15周面上に搬送する。ガス供給装置及び原料揮発供給装置16等から酸素ガス、窒素ガス、不活性ガス等を供給し、かつ原料である有機珪素化合物及びフルオロカーボンの蒸着モノマーガスをガス化させ、供給し、目的の蒸着用混合ガス組成物を調製しながら原料供給ノズルを介して真空チャンバ内に該蒸着用混合ガス組成物を導入する。
上記の例示は、プラズマ化学気相成長法の一例を示すものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明における実施例は、下記測定方法を用いて各種測定を行い、評価する。以下実施例の物性値の測定方法及び評価方法を説明する。
(1)炭素及びフッ素含有量の測定
X線光電子分析装置(島津製作所製ESCA3400)を使用し、最表面から深さ方向に3.0nmイオンエッチングし、エッチングされた離型層を構成する有機珪素化合物の蒸着膜の元素分析からSi量に対する炭素含有率(C/Si)及びフッ素含有率(F/Si)を算出した。
製造した撥水性及び離型性を有するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムの撥水性及び離型性層表面の撥水性を評価するため、作成したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムの表面に対する水の接触角を接触角試験機(協和界面科学株式会社製:DropMaster700)装置を用いて、異なる場所で5回測定を実施し、5回の平均値を以て各接触角の測定値を求めた。
蒸着膜の膜厚は、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、測定した。
試験片として、実施例で製造したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルム(16μm)を用い、以下の条件でドライラミネートを行いラミネート強度測定用サンプルとした。
撥水性及び離型性を有するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムの離型層側と、貼り合わせ用基材として50μm厚未延伸ポリエチレンフィルム(出光ユニテック製LS−722CN)のコロナ放電処理面とを、2液硬化型ウレタン系接着剤として酢酸エチル:ロックペイント製アドロックRU−77:脂肪族イソシアネート(ロックペイント製:H−7)=30:10:1を乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるように塗布(3μm)して貼り合わせた。
剥離強度試験としてORIENTIC TENSILON RTC−1310Aを用い、試験片として15mm巾に切り出した積層品を剥離速度50mm/minにてT字剥離を行い、剥離強度を測定した。
(実施例1)
基材として、厚さ16μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製の「P60」)の片面にコロナ処理を施したものを用い、該2軸延伸ポリエステルフィルムを巻取り式PE−CVD法蒸着装置の繰り出し側に、コロナ処理面が被蒸着面となるように設置し、その後、該基材フィルムを巻き出し、蒸着ドラム、巻上げ張力を1.4N/mに設定し、巻き取り式PE−CVD法蒸着装置の容器を密閉し、排気ポンプを稼動させて減圧するとともに、蒸着ドラムの冷却装置の出口側温度を0℃に冷却した。
上記のとおり作成したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを用い、所定の物性測定を実施した。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C3F8
雰囲気ガス:酸素ガス(O2)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C3F8:O2:He=800:100:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
前記蒸着材料として、フルオロカーボンの導入量を2倍にし、実施例1におけるHMDSOと八フッ化プロパンのガス組成物の混合比を、HMDSOと八フッ化プロパンのガス組成物比を800:200[sccm]としたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定して、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C3F8
雰囲気ガス:酸素ガス(O2)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C3F8:O2:He=800:200:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
雰囲気ガスとして、実施例1のガス組成物として酸素ガスに代えて窒素ガスにした以外は、蒸着モノマー材料として実施例1と同様にHMDSOと八フッ化プロパンを使用し、ガス組成物のガス組成物比をHMDSO:八フッ化プロパン:窒素ガス:ヘリウムガス=800:100:100:100[sccm]とし、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定して、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C3F8
雰囲気ガス:窒素ガス(N2)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C3F8:N2:He=800:100:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
前記蒸着モノマー材料としてフルオロカーボンを八フッ化プロパンに代えて六フッ化エタンとしたこと以外は、実施例1と同じ雰囲気ガスとして酸素ガスとヘリウムガスを用い、ガス組成物比をHMDSO:C2F6:O2:He=800:133:100:100[sccm]とし、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定して、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C2F6
雰囲気ガス:酸素ガス(O2)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C2F6:O2:He=800:133:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
前記蒸着モノマー材料として、使用する有機珪素化合物としてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)に代えてテトラエトキシシラン(TESO)を用いたこと以外は、雰囲気ガスとして酸素ガスとヘリウムガスを用い、ガス組成物比をTEOS:C3F8:O2:He=1600:100:50:100[sccm]とし、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:TEOS、C3F8
雰囲気ガス:酸素ガス、ヘリウムガス
ガス組成物比;TEOS:C3F8:O2:He=1600:100:50:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力:5.0[Pa]
基材保持温度:0℃
プラズマ化学気相蒸着により有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜が成膜される基材フィルムの基材保持温度を基材フィルムのガラス転移温度Tgより高い100℃としたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い、有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C3F8
雰囲気ガス:酸素ガス(O2)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C3F8:O2:He=800:100:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:100℃
前記蒸着モノマー材料として、ヘキサメチルジシロキサンに対し、組成比2倍のフルオロカーボンを用い、雰囲気ガスとして酸素ガスとヘリウムの混合ガスをそれぞれ供給し、そのガス組成物比をHMDSO:八フッ化プロパン:O2:He=800:1600:100:100[sccm]とし、八フッ化プロパン過剰状態にしたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C3F8
雰囲気ガス:酸素ガス(O2)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C3F8:O2:He=800:1600:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
前記蒸着モノマー材料として、フルオロカーボンを用いず、有機珪素化合物であるヘキサメチルジシロキサンのみを用い、雰囲気ガスとして、酸素ガスとヘリウムガスをガス組成物としてそれぞれ供給し、そのガス組成物比をHMDSO:O2:He=800:100:100[(フルオロカーボン未添加の場合)]としたこと以外は、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い、有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO
雰囲気ガス:酸素ガス、ヘリウムガス
ガス組成物比;HMDSO:O2:He=800:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
上記各実施例及び比較例に記載された方法により得られたフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルム及び比較例のフィルムについて、1)炭素及びフッ素含有量の測定、2)水接触角測定、3)蒸着膜厚さ、4)剥離強度、それぞれについて上記測定方法により測定し、評価した。
その結果は、以下の表とおりである。
また、比較例1のようにプラスチック基材の蒸着時における基材保持温度をガラス転移温度以上にして蒸着すると、蒸着膜の水接触角が低下し、かつ膜厚も低下して、好ましくない。
フルオロカーボンが過剰な比較例2では、他の実施例及び比較例と比較して有機珪素化合物の蒸着膜の膜厚が薄く、かつ水接触角の項にみられるように不均一で、撥水性も場所により安定しおらず、その結果として、剥離強度も大きくなっていることから明らかなように、フルオロカーボンに基づくフッ素含有量が多いためSi−O結合の形成及び有機珪素化合物自体の有機成分のフッ素化より珪素のフッ素化が先行し、SiF4の反応形成が優先されために、有機珪素化合物の蒸着膜の形成が進行していないためと考えられる。
12:真空チャンバ
13:巻き出しロール
14:巻き取りロール
15:冷却・電極ドラム
16:原料揮発供給装置
Claims (7)
- プラスチック基材フィルムの表面上に、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成してなる蒸着膜積層フィルムにおいて、
前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物のSi原子とF原子のモル比率F/Siが1.9〜3.4で、かつSi原子とC原子のモル比率C/Siが0.6〜1.2であり、
前記蒸着膜を表面層とすること
を特徴とする、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。 - 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物が、有機珪素化合物中に含まれるC−H結合に基づく炭素を含有する請求項1に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。
- 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物が、窒素原子を有する請求項1に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。
- 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜の水の接触角が、90°以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。
- プラスチック基材フィルムの表面上に、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成してなる蒸着膜積層フィルムであって、前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物のSi原子とF原子のモル比率F/Siが1.9〜3.4で、かつSi原子とC原子のモル比率C/Siが0.6〜1.2であり、前記蒸着膜を表面層とする、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法において、
プラズマ化学気相蒸着法(PE−CVD法)により前記プラスチック基材フィルム上に、前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成し、この際、
有機珪素化合物と、フルオロカーボンと、酸素ガスおよび窒素ガスのうち少なくとも1種類と、キャリア−ガスと、を含有するガス組成物を使用し、
前記ガス組成物中の組成を、得られる蒸着膜中の前記モル比率F/Siおよび前記モル比率C/Siが夫々上記の範囲となる組成とし、
前記プラスチック基材フィルムをガラス転移温度(Tg)以下に冷却保持した状態とすること
を特徴とする、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法。 - 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成する際に、酸素ガスの存在しない窒素ガスを含有するガス組成物を用いて、有機成分として窒素原子を含有する請求項5に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法。
- 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜表面の水の接触角が、90°以上である請求項5または6に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法。
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