JP5843425B2 - フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマ化学気相蒸着法(PE−CVD法)を用い、有機珪素化合物とフルオロカーボンを蒸着モノマー材料とし、作成したフッ化シリカ膜が極めて低い表面自由エネルギーを有し、かつ撥水性、離型性を有するその表面特性を利用した、フッ素修飾した有機成分含有有機珪素化合物積層フィルム及びその製造方法に関するものであり、粘着テープ、インモールド成形時、繊維強化プラスチックの成形時などに使用するリリースフィルム、ラッピングフィルム等の離型フィルムとして応用するものに関する。
紙やフィルムに離型性のある材料を積層、あるいは基材自体が離型性を有する材料を用いた、いわゆる離型フィルムは、粘着テープ、感光剤のセパレータフィルムといったものから、真空成形、プリント配線基板、フレキシブルプリント基板(FPC)、多層プリント基板などを製造する工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムと銅張積層板又は銅箔との積層物を熱プレス成形などのインモールド成形などのモールディング成形時に使用するリリースフィルム、炭素繊維プリプレグ、電子部品キャリア、セラミックシートなどの剥離性支持基材、繊維強化プラスチック成形体の製造時に使用するラッピングテープなどの工程フィルムなどとして広く使用されている。
そして、具体的な利用面から求められる離型フィルムの性能としては、例えば、FPC、熱圧縮成形やフラットケーブルなどの工程において、ヒートプレス加工されることから、耐熱性、適度な離型性及びクッション性、母材への非転移性、炭素繊維プリプレグ、繊維強化プラスチック成形体などの成形加工に用いられる場合には、柔軟性、成形性、離型性、耐熱性、熱収縮性、非転移性及び表面平滑性などが求められる。
さらに、成形加工に利用する上では、同時にコストメリットとして、繰り返し耐性や低価格性、廃棄の容易さも重要である。
特に、近年は、多機能化、微細化する電子機器の製造工程においては離型工程材料のクリーン性や耐熱、寸法安定性などが必要不可欠となっている。さらには、環境対応の観点から、使用後の離型材料の処理による環境負荷の低減も重要な機能の一つに数えられるようになってきている。
こうした要求性能に対し、主にシリコーン樹脂、フッ素樹脂やポリオレフィン樹脂によるシート、フィルムが使用されてきた。
従来、離型積層フィルムに使用されている最も一般的である、シリコーン系材料を離型層の材料として用いたものには、例えば、ポリエチレンテレフタレート上に、離型材料としてシリコーンを積層する方法がある(特許文献1)。しかしながら、シリコーン積層離型フィルムの場合、優れた離型性、低表面エネルギー、コーティング加工可能である一方、長時間大気暴露された場合、重剥離化が促進され、表面特性が変化するといった問題があり、また、離型材料のシリコーンが剥離時に転移し、欠陥となる問題がある。
フッ素系材料を離型性を付与する材料として用いた場合には、例えば、基材上に離型層としてフッ素化合物の薄膜を形成させる方法(特許文献2)、フッ素樹脂そのものをフィルム状に形成し、離型層として使用する方法(特許文献3)などあるが、耐熱、耐薬品、柔軟性、繰り返し耐久性、防汚性、耐候性などに優れた物性、性能を有するものの、フッ素化合物自体の材料価格が高いことに加え、廃棄処理上、焼却時に有害なフッ化ガスが発生するといった問題が発生する。また、フッ素系材料は他の基材と積層することが難しく、複合材料の作成、複合加工が難しいなどの点で問題がある。
ポリオレフィン系材料を離型層の材料として用いた場合には、例えば、ポリオレフィンフィルムを使用して離型性を発揮させる方法(特許文献4、5)が提案されている。ポリオレフィンフィルムは、汎用プラスチックとして、安価、柔軟性といった離型性と低価格のバランスがとれ、加工性にも優れているが、高ヘイズや、耐熱性に劣るなどあまり高温での成型には使用できないといった面で工業的な利用性という点で劣り、問題がある。
離型積層フィルムの離型層を積層する方法として、ウェットコーティング法あるいはそれ以外の方法として、多層押出によるラミネート法や、ドライコーティング法として蒸着方法を使用する方法も提案されている。
蒸着法の場合、極めて薄い膜が得られるため組み合わせる基材の物性、例えば表面形状やヤング率、厚さといった機能を保持したまま離型性を付加できるといったメリットがある。また、薄膜のため離型層にフッ素材料を使用しても、焼却時のフッ化物の発生量は少ないものとなることが予想される。
例えば、常圧下にてグロー放電プラズマによる、いわゆる大気圧プラズマ中にフッ素ガスを添加して表面処理する方法(特許文献6)がある。しかし、大気圧プラズマは、大量の成膜ガスを使用するため、ヘリウムやフッ素化合物ガスなど高額ガスを使用する場合は工業的に不利となる。また、大面積化した場合、放電の制御と均一性を保持することが難しいといった問題がある。
その他にも、基材上に環状のフッ素化芳香族化合物を使用して、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン薄膜を積層させる方法(特許文献7)を提案している。この場合、離型性に加え、硬度に優れる薄膜が得られるというメリットがあるが、主成膜材料が高価なフッ素化芳香族化合物のみのため、大面積化した場合は工業的には不利である。また、比較的融点の低いプラスチック材料に高温化で蒸着した場合、基材の変形、低分子量物のブリードにより蒸着膜に欠陥が生じる場合がある。
特許第2846155号公報 特開2007−119640公報 特開平8−186141公報 特許第2619034号公報 特開2006−257399公報 特許第2957068号公報 特開2007−213715公報
従来の離型層を塗工により形成する場合、離型性を維持しつつ離型層の剥離のない、制御され、優れた撥水性及び離型性を有する積層フィルムを調製することは困難とされ、離型層を塗工によるにしろ塗工によらない方法で形成するにしろ、優れた撥水性及び離型性を有し、均一かつ非転移性の、安定的で、環境負荷も低減され、低コストの離型積層フィルムは未だ開発されていない。
ところで、有機珪素化合物を主原料として、プラズマ化学気相成長法(PE−CVD法またはCVD法またはプラズマCVD法ということがある)を用い、低酸素濃度で形成された有機珪素化合物の蒸着膜は、撥水性を有することがわかった。その撥水性が、有機珪素化合物材料が酸素の存在下、プラズマCVD法により蒸着処理することで、分子内のSi−C結合のCが酸素と結合してCOとして失われることで、Si−C結合が減少し撥水性が低下するということ、また、フッ素が優れた撥水性を発現できることなどに基づき、発明者らは鋭意研究した結果、蒸着モノマー材料として有機珪素化合物及びフルオロカーボンを用い、酸素ガス濃度が低い状態のガス雰囲気下でプラズマCVD法により有機珪素化合物の蒸着膜をプラスチック基材フィルムに形成した場合でも撥水性であり、離型性を有する蒸着膜が形成できることを発見した。
その撥水膜は接着性に乏しく、印刷やラミネーションを行うには、表面をコロナ放電やプラズマ処理が必要であり、さらに、酸素を添加せずに成膜を行った場合、撥水性はさらに向上する。未処理の低酸化有機珪素化合物の蒸着膜は離型材料として利用可能であることがわかった。
さらに、PE−CVD法はプラスチック基材、特に耐熱性の低い材料や一般の物理蒸着では蒸着困難な低表面エネルギーの材料にも強固に密着した膜を形成することが可能であり、任意のプラスチック材料を選択し、透明な撥水膜を形成することが可能である。
PE−CVD法を用いることにより、撥水性でかつ離型性を有する蒸着膜積層フィルムをドライコーティングで製造でき、かつ、求められる機械物性やコストに合わせて種々のプラスチック基材を選択できることとなり、設計自由度が極めて高くなるというメリットがある。
しかしながら、有機珪素化合物と酸素のみでの炭素含有有機珪素化合物の成膜プロセスでは、撥水性も水の接触角で90°程度が限界であり、より撥水性の向上や撥油を求めることが難しかった。
また、フッ素系材料を表面に形成することで撥水性も離型性も付与することができることもすでに知られていたが、酸化珪素の堆積物とフルオロカーボンプラズマとが接触し、SiFになりガス化して洗浄、排気されてしまうこと、また、金属フッ化物では一般に撥水ではなく逆の濡れ性が高いものとなること、つまり、Si原子にFを反応、結合させた場合、完全に反応させるとSiFでガス化、不飽和でも撥水性は寄与されない可能性があるなどの問題があった。
そこで、本発明ではPE−CVD法の設計自由度を保持しつつ、より撥水性を向上させる方法として、有機珪素化合物にフッ素化合物を加えることで、フッ素修飾された有機珪素化合物の蒸着膜を得ることができることに着目した。
プラズマ場では、フッ素はSiと側鎖のメチル基に同時に反応を開始する。フッ素は酸素とも反応するが窒素とは直接反応しないことから、任意の混合比で酸素もしくは窒素を適量混合し成膜を行うことで、反応のバランスを制御でき、フッ素含有量を調整可能であり、得られた薄膜の撥水性を制御することができることがわかった。
本発明は、上記のような従来技術の状況を鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、かつ撥水性と離型性を同時に発現できるフッ素修飾した有機成分含有有機珪素化合物積層フィルムを低コストで簡単に提供するとともに、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、より具体的には、有機珪素化合物とフッ素炭化水素を含むガス組成物を反応原料として、プラスチック基材を冷却保持し、プラズマ化学気相蒸着法(PE−CVD法)により優れた撥水性及び離型性を有するフッ素修飾した有機珪素化合物の有機成分を含んでなる有機珪素化合物の蒸着膜をプラスチック基材上に形成し、フッ素修飾した有機成分含有有機珪素化合物積層フィルム及びその積層フィルムを製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、以上のようなPE−CVD法によるフッ素修飾した有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜の成膜方法を鋭意検討した結果、有機珪素化合物を材料としてPE−CVD法により低酸素下で酸化することで炭素含有量の多い膜が形成可能であり、エチル基(−CH−CH))、メチル基(−CH)が末端として残り、Si−OH基が少なくなることで、疎水性の膜を得ることができる。しかも、炭素含有量は有機珪素化合物/酸素比で制御可能であり、酸素を使用せず窒素を加える、もしくは全く酸素を加えないことで、より低酸化有機珪素化合物の蒸着膜が形成可能であることを見出し、本発明を開発するに到った。
フッ素材料は、酸化珪素や窒化珪素のエッチング(洗浄)ガスとして一般的に使用されており、非常に安定しかつ無毒のガスである安全性の高いフルオロカーボン(ただし、地球温暖化ガスという意味での環境毒性がある)を用い、また、フッ素の撥水性を発揮させるには炭素に結合させたフッ素化アルキルにする必要があることから、シリコン源としては、上記した有機珪素化合物を使用した。
そして、PE−CVD法で低酸化有機珪素化合物の蒸着膜の形成と同時に、フルオロカーボンの存在によりフッ素化した場合、低酸素下で酸化することで炭素含有量の多い膜が形成可能であり、かつそのような低酸化の有機成分含有有機珪素化合物(以下、「炭素含有有機珪素化合物」という)の蒸着膜が混合ガス組成物中のフルオロカーボンの存在下、プラズマCVD処理を行うことで、Si−C結合に起因する撥水性及び離型性を有する炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を架橋し、緻密な層を形成し、かつフルオロカーボン化合物のフッ素により有機成分に含まれる水素をフッ素で置換し、あるいはフッ素を主鎖構造に結合させ、さらにフルオロカーボン化合物を蒸着膜に取り込むなどにより蒸着膜にフッ素化合物を含有した状態(このような状態を「フッ素修飾した」という)にすることで、優れた撥水性、離型性を発揮するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜が形成されることから、本発明ではあらかじめフルオロカーボンと有機珪素化合物のガスを混合させた状態で、プラズマ反応させる方法によりフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成することとした。
本発明は、以上のようにプラズマ化学気相蒸着法(PE−CVD法)により、プラスチック基材上にフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成させてなる撥水性及び離型性を有する蒸着膜積層フィルム及びその製造方法において、有機珪素化合物とフルオロカーボンを蒸着モノマー材料とし、酸素及び窒素の少なくとも1種類を含有し、He、Arなどの希ガスを必要量含むガス組成物を反応原料とし、プラスチック基材をTg以下に冷却保持した状態で、プラズマ化学気相蒸着を行い、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜をプラスチック基材上に成膜することにより、高速にかつ90°以上の水接触角を有する撥水性かつ離型性に優れた積層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明において、加圧状態、通常3Paの低酸素濃度下でプラズマCVD法により有機珪素化合物とフルオロカーボンを用いて蒸着を行うことにより、Si−C結合の濃度を制御し、撥水性をコントロールできるとともに、表面に表面エネルギーが低く撥水性に優れたフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜が形成されるので、Si−C結合に起因する撥水性と撥水性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜とすることで撥水性と離型性を兼ね備える蒸着膜積層フィルムが形成できる。
本発明は、有機珪素化合物を蒸着モノマー原料としてPE−CVD法で低酸化有機珪素化合物の蒸着膜を形成することから、炭素含有量が大きい膜が形成可能であり、−CH基、−CH−CH基等が末端として残り、Si−OH基が少なくなることで、疎水性の膜が得られる。炭素含有量は有機珪素化合物/酸素比で制御可能であり、また、酸素を使用せず窒素を加えることで、より低酸化有機珪素化合物の蒸着膜が形成可能である。
そして、その際に、共存するフルオロカーボンのフッ素が、有機珪素化合物のC−H結合の水素と置き換わるなどにより、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜が形成され、フッ素化されない膜に比較し、大幅に撥水性が向上し、さらにフッ素に基づく撥油性を付与することができる。
フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を成膜した積層フィルム及びその製造方法では、シリコーン離型剤を塗布した離型コート品と異なり、ドライプロセスのため、有機珪素化合物及びフルオロカーボンの成膜に使用する量が少なくて済み、基材フィルムと化学結合を形成するため密着性に優れ、また、離型フィルムとして使用した際に離型層である有機珪素化合物の蒸着膜の剥離による転移性が極めて低く、ほとんど見られない。
フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜自体の毒性も少なく、リサイクル可能であり、燃焼による廃棄を行っても有害ガスがほとんど発生しないというメリットがある。また、蒸着膜が薄膜であり、かつ膜構造が剛性のある膜ではなく、有機無機系薄膜(ハイブリッド膜)のため、経時変化や温湿度変化に強く、表面状態が安定した膜が形成でき、また、蒸着膜は柔軟性を有するものであるので、巻き取り加工が可能であり、大面積かつ安価に作成可能である。
PE−CVD法により有機珪素化合物とフルオロカーボンからフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物を成膜する方法の特徴と、得られたフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物膜の優位性は、PET、ポリオレフィンなど蒸着可能な基材フィルムであれば、特に、材料を選ばず、何でもよく、撥水性及び離型性を有する積層フィルムの設計自由度が極めて高く、所望の物性、性能のものを安価に製造することができる。
その上、例えば、表面凹凸の基材を使用すれば、基材と同様の表面に凹凸のある撥水性及び離型性を有する積層フィルムも作成可能となり、多種多様な製品を作り出すことができる。また、製品の後処理、製品の品質管理などの面で優れ、歩留まりも向上し、かつフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの使用期間が長くなり、製造コストも低減できる。
本発明の方法によれば、原料としてフルオロカーボンを用い、プラズマCVD法による蒸着により、表面保護膜として各種用途に有用な表面エネルギーが低く、離型性、摺動性に優れた薄膜を大面積に均一な膜厚で効率よく製造することができる。
また原料として用いるフルオロカーボンのフッ素含有量を変えることにより、フッ素化炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜の表面エネルギー及び撥水性を簡単に制御することができる。
本発明のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成するため使用するプラズマ化学気相成長蒸着装置の概略的断面図
本発明は、フッ素含有量を変化させることで、撥水性を制御したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜を基材フィルム上に形成したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルム及びその製造方法である。
本発明は、優れた撥水性及び離型性を有するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物を、その連続蒸着膜の厚さがナノメートルレベルからマイクロメートルレベルまで正確に膜厚レベルを制御して形成することが可能であり、かつ非転移性であり、しかも、フッ素の優れた撥水性及び撥油性を有するとともに離型性に優れた連続蒸着膜を安定的に形成することができるものである。
本発明は、有機珪素化合物の蒸着により形成される炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜を成膜する技術と同様にプラズマCVD法を利用することで、供給される反応系に関与する材料を制御し、離型層表面の離型性を維持しつつ、表面エネルギーが低く、高い撥水性を有するように、制御可能である撥水性及び離型性を有する層を形成する方法を提供するものである。
また、本発明の撥水離型積層フィルムは、離型層に求められる離型性及び撥水性に加えて、プラズマCVD法により基材フィルムと離型層との間に化学結合が形成され、優れた密接着性が発揮される有機珪素化合物の連続蒸着膜が形成でき、被離型材と離型層との剥離力が小さく、基材フィルムと離型層とは密着性に優れ、かつ剥離しにくく、離型層の離型性を長期に維持できる。さらに、省資源、省エネあるいは廃棄処理にも適したものである。
本発明について、以下に更に詳しく説明する。
本発明にかかるフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム及びその製造方法について説明する。
本発明にかかるフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けたフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続膜蒸着膜とからなるものである。
なお、本発明において、フィルムとは、シート、フィルム、フィルム状物又はシート状物のいずれの場合も意味するもので、特別な意味を与えるものではない。
本発明において、有機珪素化合物の連続蒸着膜の離型層中に、C−H結合又はSi−C結合を有する化合物、すなわち蒸着原料のモノマーである有機珪素化合物やそれらの誘導体などの有機成分を化学結合等によって蒸着膜中に含有すること、すなわち、CH基及び/又はC基等を残すように有機珪素化合物の連続蒸着膜をPE−CVD法により形成しつつ、同時にCH基及び/又はC基等のC−H結合の水素原子をフルオロカーボン化合物中に含有するフッ素原子で置換し、C−F結合を含むフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成するものであり、有機珪素化合物の有機成分とフッ素修飾した有機成分の存在により優れた撥水性が付与され、それに基づく離型性が付与されることとなる。
従って、有機珪素化合物の連続蒸着膜層に含有する化合物としては、特に、CH部位を持つハイドロカーボンを基本構造とするものを多く含有するものが、表面エネルギーが低く撥水性に優れたものとなり、離型性層として好ましいものであり、さらに、本発明は、炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜の撥水性及び離型性を、炭素含有の−CH基等をフッ素で修飾する割合を制御することにより撥水性の度合いを制御可能とし、撥水性及び離型性が向上したものとなる。
本発明にかかる撥水性及び離型性の蒸着膜積層フィルムは、広範な用途に利用可能である。特に、生活用資材及び産業用資材である、離型フィルム、セパレータフィルム、FPC、FRP、FFC製造用に適した撥水性及び離型性を有する積層フィルムである。
撥水性及び離型性を示す蒸着膜を形成するプラズマ化学気相成長法は、例えば、図1に示すようなプラズマ化学気相成長蒸着装置を用い、真空チャンバ内でプラスチック基材フィルムをプラズマ化学気相成長する雰囲気下に順次送り出し、巻き取り式のプラズマ化学気相成長方式を適用し、連続的に撥水性及び離型性の蒸着膜を形成するものである。
本発明にかかる撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムにおいて、使用する材料、方法等について説明する。
本発明で用いるプラスチック基材には、用途、使用条件に応じ、撥水性及び離型積層フィルムのプラスチック基材に求められる物性及び性能に適合するプラスチック材料を選択し、かつその表面粗さ、基材の厚さ、表面凹凸形状などの基材性状を設定、選択し、用いることができる。
フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムの基材は、本発明において、一般的には、プラスチック基材が用いられる。プラスチック基材として使用できる材料としては、具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂等の各種樹脂フィルムを挙げることができる。なかでも、耐熱性、機械的性質、寸法安定性、密接着性、価格等の点から、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、又はポリアミド系樹脂のフィルムが好ましい。また、基材として、上記の2種以上の樹脂を用いて2層以上の積層フィルムであってもよい。
本発明では、フィルムの寸法安定性を維持、向上するため熱処理を行うことから、特に、酸化防止剤は、加熱処理を実施する際にポリエステルが着色することのないように添加することが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系、チオ系、リン系などから成形加工条件に適合し、安定化に寄与するものが好ましく用いられる。
本発明のプラスチック基材フィルムの製造法として、特に限定されるものではなく、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、インフレーション法等の従来から一般に知られているフィルムの製法を適宜採用して製造することができる。また、2種以上の樹脂を使用して多層成膜化する方法、さらには、2種以上の樹脂を使用し、成膜化する前に混合して成膜化する方法等により、多層化してもよい。
さらに、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸延伸処理してもよい。
本発明のプラスチック基材フィルムにおいて、基材フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、10〜100μm、より好ましくは20〜50μm程度が好ましい。基材の厚さが離型層の厚さに対する比率が薄くなると、離型層を形成する際、基材の寸法安定性の低下や、CVD法処理又は塗工などの製造時の温度、気流、支持状況などの製造状況の影響を受け易く、基材フィルムの平坦性や平滑状態の維持に支障を来す恐れがある。厚さが100μmを超えると材料の浪費となり、資源及び環境のコストが高くなる。
本発明において、プラスチック基材フィルムの形成に際して、例えば、基材フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、表面粗さなど離型層の形成に影響を及ぼさない範囲で選択、添加することができる。
本発明における一般的な添加剤としては、撥水性及び離型性の積層フィルムのプラスチック基材として必要な機能を維持するため、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等を使用することができる。
本発明において、基材フィルムの表面に、離型層を構成する有機珪素化合物の連続蒸着膜との密接着性を向上させるため、必要に応じて、予め、所望の表面処理をすることができる。上記表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を施すことができる。
基材フィルムと離型層を構成する有機珪素化合物の連続蒸着膜層との密接着性を改善するための方法として、プラズマCVD法により形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜と基材との密接着性が低下しない範囲で、例えば、プライマーコート層、アンダーコート層、アンカーコート層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート層等を形成することもできる。上記の前処理のコート材としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂等を使用することができる。
[フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜の形成]
次に、本発明の撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを製造する方法について説明する。
プラズマ化学気相成長法により形成される撥水性及び離型性の蒸着膜は、例えば、図1に示すようなプラズマ化学気相成長蒸着装置において、蒸着層を形成するプラスチック基材フィルムにプラズマ化学気相蒸着を行なう雰囲気中へ順次送り出し、巻き取るプラズマ化学気相成長方式を適用し、連続的に撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成し、該蒸着膜を有する積層フィルムを製造することができるものである。
本発明に係る撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを製造する方法は、上記のとおり用途毎に基材フィルムとして求められる物性、性能が適合するプラスチック材料を選択し、かつ基材フィルムの表面粗さ、基材の厚さ、フィルムの表面凹凸形状など用途に応じた基材性状を設定し、基材フィルムを特定した後は、分子内に酸素原子を有する有機珪素化合物の蒸着原料モノマーガスを含有するガス組成物を使用し、所定のCVD条件下、プラズマ化学気相成長法により有機珪素化合物の連続蒸着膜を所定の搬送速度で送られるプラスチック基材の一方の面に化学気相成長させて形成するものである。
本発明の方法では、ガス組成物の供給量を変更するだけで形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜中に、有機珪素化合物に起因するフッ素含有の有機成分を含有し、かつ、Si−C結合の含有量を調整してなる撥水性が制御された離型層を形成することができ、本発明にかかる撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを製造することができる。
本発明の撥水性及び離型性層を形成する有機成分を含有する有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成するために使用する有機珪素化合物としては、メチル基あるいはエチル基を含み、且つSiを主鎖とする、次のようなモノマー材料、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン(TMS)、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。また、これらの1種又は2種以上を含むものであってもよい。
しかしながら、撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成するモノマー材料には、上記の例に係わらず、Si原子とCH基及び/又はC基を含む有機珪素化合物で、常温で適当な蒸気圧を持ち、CVD法を実施することが可能な材料であれば、どのような材料でも構わない。
具体例を挙げると、CH32部位を持つハイドロカーボンを挙げることができる。
本発明においては、有機珪素化合物として、特に、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラエトキシシラン(TEOS)又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を原料として使用することが、その取り扱い性、形成された有機珪素化合物の蒸着膜の撥水性等の特性から、特に、好ましい。
本発明では、プラズマCVD法により撥水性及び離型性が向上した有機珪素化合物の蒸着膜を形成するために、Si原子とCH基及び/又はC基を含む有機珪素化合物のCH基及び/又はC基が酸素により酸化して、COx、HOとなって、消失させないことが必要であることから、ガス組成物は上記の蒸着モノマー材料のほかのガス成分として、通常の蒸着法において存在している酸素ガス濃度を低酸素状態にする必要がある。
低酸素状態とするため、酸素ガスのガス組成比が低くなるように酸素ガスを添加する代わりに窒素ガスを供給することもできる。窒素ガスを供給することで、プラズマCVD法により窒素ガスがイオン化し、C−H結合がC−F結合になる際、C−N−F結合を形成して窒化フッ素として取り込まれることもある。
本発明は、低酸素濃度とすることで、形成される蒸着膜において、撥水性を決めるCH基及び/又はC25基の含有量あるいは撥水膜(撥水基)の密度を制御することができ、撥水性及び離型性が制御可能となる。
本発明では、基材フィルムに形成する炭素含有有機珪素化合物の表面エネルギーを更に低くし、撥水性を高め、離型性に優れた表面特性を与えるため、撥水性基であるメチル基及び又はエチル基をフッ素化し、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜とするもので、プラズマCVD法の蒸着モノマー原料として、有機珪素化合物に、さらにフッ素化のためフッ素化反応性ガス原料を使用するものである。
本発明では、炭素含有有機珪素化合物のフッ素修飾した蒸着膜を形成するためフッ素化反応性ガス原料にフッ素化合物が用いられる。そのフッ素化合物としてフルオロカーボンが用いられる。
メチル基あるいはエチル基を含み、且つSiを主鎖とする有機珪素化合物の蒸着膜材料源である有機珪素化合物とともに、常温で気体、あるいはPE−CVD法による処理時の温度で気体化するフルオロカーボンであればいずれでも使用することができる。
このフルオロカーボンとしては、例えば、フッ素化アルカン、フッ素化シクロアルカン、フッ素化アルケン、フッ素化シクロアルケン、フッ素化芳香族化合物などを挙げることができる。これらのフルオロカーボンを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらのうち、特に、フッ素化飽和炭化水素が好ましい。
フッ素化飽和炭化水素としては、含フッ素メタン、含フッ素エタン、含フッ素プロパン、オクタフルオロシクロブタン、フロン23などが挙げられるが、特に一般式(I)C2n+2のもの、4フッ化炭素、6フッ化エタン、8フッ化プロパンなどが挙げられる。
原料として用いるフルオロカーボンとして、フッ素含有量の異なるフルオロカーボンを用いる、あるいは2種以上を混合して用いることによりフッ素化の度合いを制御でき、表面エネルギー又は撥水性を制御することができる。
上記蒸着モノマーガスのほかに、モノマー蒸気を効率よく真空槽内に導入するためのガス(キャリアーガス)やプラズマを発生させたり、プラズマを増強させたりする目的のガスを導入することも必要に応じて行われる。
キャリヤーガスとして、アルゴンガスまたはヘリウムガスからなる不活性ガスを含有させることができる。
プラズマ発生装置には、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、または、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができる。
さらに、プラスチック基材にプラズマ化学気相成長を適用する方法としては、一般的には、上記有機珪素化合物及びフルオロカーボンを含むガス組成物を導入したプラズマ発生装置内でロール状のプラスチック基材を巻き取りながら、あるいはプラズマ発生装置内をプラスチック基材が通過することにより、プラスチック基材上にガス組成物をプラズマ化学気相成長させ、フッ素修飾した有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成し、撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムを製造することができる。
本発明において、有機珪素化合物、フッ素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される有機珪素化合物の連続蒸着膜は、有機珪素化合物、フッ素化合物等の蒸着モノマーガスがプラズマ状態によりプラスチック基材と化学反応し、その反応生成物が基材の少なくとも一方の面に密接着し、緻密で柔軟性に富む連続蒸着膜を形成しているものである。
フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜は、通常、基本骨格は前記珪素酸化物を主体とし、これに有機成分を少なくとも1種類化学結合等により含有する連続蒸着膜からなるものであり、一般式SiOxCy(ただし、0<x≦2.5)で表される炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を主体とする連続蒸着膜であって、有機成分としては、例えば、C−H結合を有する化合物、Si−C結合を有する化合物、または、原料の蒸着モノマーガスである有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有するように形成したもので、その有機成分のC−H結合の水素原子がフッ素原子に置き換わったフッ素修飾したものである。
本発明では、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜の撥水性及び離型性層として、xが0.3〜1.5の範囲内にあって、yが1.2〜2.4の範囲にあるのが好ましく、そして、xが1.0〜1.4の範囲内にあって、yが1.5〜2.1の範囲内にある有機成分を含有するものが好ましく、その有機成分の炭素−水素結合等が炭素−フッ素結合等に置き換わり、フッ素修飾したものである。
上記有機成分がフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜中に含有する量としては、原料となる蒸着モノマーの有機珪素化合物及びフルオロカーボンにより変わるものと考えて差し支えない。表面特性である撥水性及び離型性は、炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜における炭素を含有する密度、及び平面的な広がりの密度分布を有機珪素化合物の分子構造及び有機成分のフッ素化修飾した量から予測し、又はフッ素化修飾する量を制御することで制御することが期待できる。
一般的には、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の有機成分の含有量(C/Si)が20〜80%位、好ましくは、30〜60%位が望ましいものである。炭素含有率が、20%未満であると、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層の撥水性及び離型性のが低下し、あるいは、その耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げ等により、擦り傷、クラック等が発生し易く、その安定性を維持することが困難になり、また、80%を越えると、離型性、蒸着膜の密着性も低下してしまい、好ましくないことに基づいている。
PE−CVD法によりメチル基及び/又はエチル基を導入する条件は、前記した材料を使用することに加え、Si原子とCH基及び/又はC基を含む有機珪素化合物からなるモノマー材料と希ガスとの組成比を、モノマー材料100重量部に対して希ガス30〜100重量部とすることである。希ガスが10重量部未満だとSiO膜を形成することができず、また低酸素条件下での酸素ガスが10重量部を超えるとSiO膜の中にメチル基又はエチル基が含まれなくなり、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の基本となる炭素含有有機珪素化合物の炭素含有割合が低下し、撥水性が失われるので好ましくない。
また、蒸着膜が撥水性及び離型性を発揮するためには、少なくとも10Å以上の撥水性蒸着膜の厚さが必要である。撥水性蒸着膜の厚さが10Å未満だと連続した蒸着膜として存在しなくなる。
本発明においては、撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜において、有機珪素化合物の連続蒸着膜の表面から深さ方向に向かって上記有機成分及びフッ素の含有量を減少させることが好ましく、これにより、有機珪素化合物の連続蒸着膜の表面においては、上記有機成分により離型性及び耐衝撃性等が高められ、他方、プラスチック基材との界面においては、上記有機成分の含有量が少なく、−SiO−による化学結合が基材フィルムとの間で形成されるために、基材フィルムと有機珪素化合物の連続蒸着膜との密着性が強固なものとなるという利点を有する。
本発明において、撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層中の有機成分の含有比C/Si及びF/Siは、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用いて分析する方法を利用して、撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層の元素分析を行うことより求めることができ、C/Si及びF/Siの比により撥水性及び離型性層の特性(物性)を確認することができる。
フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜中に含有される、上記化合物の含有量により、C/Si及びF/Si比が変動するもので、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜中の炭素原子及びフッ素ドープの含有量が、少なくなると、C/Si及びF/Si比は低下することになるので、結果的に、撥水基であるメチル基(CH)の存在が少なくなることを意味し、撥水性及び離型性が低下するという理由により好ましくない、また、炭素原子含有量が多くなると、C/Si及びF/Si比が大きくなり、膜の硬度、強度等が低下し、剥がれ落ちる現象が生じるということから好ましくない。
また、F/Si比が低下すると表面エネルギーが高くなりかつ撥水性が低下する。F/Si比が大きくなると表面エネルギーは低下し撥水性が向上する。なお、本発明でいう表面エネルギーとは、表面自由エネルギーであり、その値は、協和界面科学株式会社全自動接触角計Drop Master700により20℃、50%RHの条件下で水とジヨードメタンの接触角を測定し、その測定した接触角から解析ソフトウェアFAMASを用いて表面自由エネルギーを算出して求めることができるもので、表面自由エネルギーとして把握することにより形成した蒸着膜の緻密状態を評価できる。
有機珪素化合物とフルオロカーボンに、酸素ならびに窒素の少なくとも1種類を混合し、該混合体中の有機珪素化合物中のSi原子とフルオロカーボン中のF原子のモル比率F/SiをXとした場合、0.5<X<6.0の範囲となるようにし、プラスチック基材をガラス転移温度(Tg)以下に冷却保持した状態で、プラズマ化学気相蒸着法によりフッ素修飾した有機成分含有有機珪素化合物膜をプラスチック基材上に成膜することにより、優れた撥水性及び離型性を兼ね備えた表面エネルギーが低い蒸着膜が形成できる。
Xが0.5以下であると、十分な撥水性が得られず、Xが6以上であると基材フィルムと蒸着膜との密着性が低下する。
過剰なフルオロカーボンを添加した場合、SiFが生成し、フッ素化は促進されるが、成膜量が結果として減少する。有機珪素化合物のSiモル比率に対し、反応率にもよるが、50%以下のモル比率のフルオロカーボンが適量となる。
本発明において、蒸着膜が撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物であり、有機・無機の複合的な性質を有する膜であり、無機酸化物膜ほどの剛性がなく、膜が柔軟なためフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜の膜厚としては、膜厚2nm〜400nmの範囲であれば特に問題はない。
具体的には、その膜厚としては、5〜200nmが好ましく、膜厚が200nm、さらには、400nmより厚くなると、剛性を増すため膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、膜厚が5nm以下であると、蒸着膜の平面密度が低下して基材フィルムが表面に露出することとなり、剥離性が低下し、離型層自体が被離型材へ付着し、離型層が剥離する可能性が増加する。さらに、2nm未満であると、離型層として離型性の効果を奏することが困難になることから好ましくない。
その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、測定することができる。また、上記フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層の膜厚を変更するには、蒸着時の条件として連続蒸着膜層の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を多くすること及び基材の搬送速度を遅くすることにより、膜厚を厚くすることができ、また、蒸着する速度を遅くすることにより膜厚を薄くすることができる。
本発明においては、有機珪素化合物の連続蒸着膜層としては、有機珪素化合物の連続蒸着膜層の1層だけではなく、その2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する有機珪素化合物も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した有機珪素化合物の連続蒸着膜層を構成することもできる。
本発明の低温プラズマ化学気相成長法によるフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層の形成法について、プラズマ化学蒸着装置の一例を用いて説明する。
図1は、上記フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層をプラズマ化学気相成長法により形成する際に用いる低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
本発明においては、プラズマ化学気相成長装置11の真空チャンバ12内に配置された巻き出しロール13から基材フィルムを繰り出し、所定の速度で冷却・電極ドラム15周面上に搬送する。ガス供給装置及び原料揮発供給装置16等から酸素ガス、窒素ガス、不活性ガス等を供給し、かつ原料である有機珪素化合物及びフルオロカーボンの蒸着モノマーガスをガス化させ、供給し、目的の蒸着用混合ガス組成物を調製しながら原料供給ノズルを介して真空チャンバ内に該蒸着用混合ガス組成物を導入する。
プラズマの生成については、冷却・電極ドラム15に電源から所定の電圧が印加され、真空チャンバ12内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成する。そして、この状態において、基材フィルムを一定速度で搬送することで、発生したグロー放電プラズマを冷却・電極ドラムの周面上に搬送された基材フィルムの上に照射して、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層を成膜化する。
上記のプラズマ化学気相成長装置11において、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層の形成は、基材フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸化しながら式SiOX の形で連続蒸着膜状に形成され、かつC−H結合がC−F結合に置き換わるなどしてフッ素が取り込まれ、また、プラズマにより基材フィルムの表面が清浄化され、基材フィルムの表面に極性基やフリーラジカル等が発生することで、形成されるフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜と基材フィルムとの密着性が高く、かつ緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続蒸着膜層となる。さらに、真空中で成膜化することからその表面に塵埃等が付着することはなく、基本骨格のSi−O結合が連鎖して蒸着膜を形成することから、分子鎖中に均一にSi−C結合が配置され、均一な撥水性及び離型性を有する優れた特性の蒸着膜が形成される。
なお、混合ガス中の有機珪素化合物、フルオロカーボン、希ガス、及び不活性ガス等の含有量は、有機珪素化合物の連続蒸着膜層に求める性質に応じて任意の組成で変更することができる。
そして、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜を形成した基材フィルムは、所定の巻き取りスピードで巻き取りロール14に巻き取って、本発明にかかるフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜をプラズマ化学気相成長法により形成した撥水性及び離型積層フィルムとするものである。
上記の例示は、プラズマ化学気相成長法の一例を示すものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明において、真空チャンバ内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr、好ましくは、真空度1×10−1〜1×10−2Torrに調整する。従来の真空蒸着法による真空度1×10−4〜1×10−5Torrに比較して低真空度であることから、基材フィルムを原反交換時直前の真空状態にするまでの設定時間を短くすることができ、真空度が安定しやすく、成膜プロセスも安定する。
基材フィルムの搬送速度は、形成するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層の膜厚、密度、生産性等に関係し、通常は10〜500m/min、好ましくは、20〜100m/minに調整することが好ましい。また、プラズマ発生電圧は、形成するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の連続蒸着膜層の膜厚、密度、生産性等に関係し、特に、有機珪素化合物との反応あるいは有機珪素化合物の分解を生じないマイルドな条件下、通常5〜20kwに調整することが好ましい。
本発明の撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムは優れた性質、機能を有することから、リリースフィルム、ラッピングフィルムなど工程フィルムに使用することにより、撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムはシリコーン樹脂を離型剤とする離型積層フィルムに比して、優れた非転移性、離型性及び撥水性を発揮し、繰り返し使用が可能であり、後処理が不要となり、廃棄も容易となるもので、優れた生産性をもたらすものである。
また、本発明の離型積層フィルムは、離型層の厚さをオングストローム単位の厚さで形成することができ、かつフッ素修飾した無機材料系の有機珪素化合物の連続蒸着膜からなることから、離型積層フィルムの廃棄処理に際し環境を破壊するような原因物質の発生を少なくすることができるなど、粘着テープのセパレータや、電子部品キャリア、セラミックフィルム、炭素繊維プリプレグ、成形用フィルム、金型保護フィルム、半導体封止用フィルムなどの製造工程に広く、大量に用いられている工程フィルムを安価に提供することができる。
本発明を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本発明における実施例は、下記測定方法を用いて各種測定を行い、評価する。以下実施例の物性値の測定方法及び評価方法を説明する。
[測定方法]
(1)炭素及びフッ素含有量の測定
X線光電子分析装置(島津製作所製ESCA3400)を使用し、最表面から深さ方向に3.0nmイオンエッチングし、エッチングされた離型層を構成する有機珪素化合物の蒸着膜の元素分析からSi量に対する炭素含有率(C/Si)及びフッ素含有率(F/Si)を算出した。
(2)水接触角の測定
製造した撥水性及び離型性を有するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムの撥水性及び離型性層表面の撥水性を評価するため、作成したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムの表面に対する水の接触角を接触角試験機(協和界面科学株式会社製:DropMaster700)装置を用いて、異なる場所で5回測定を実施し、5回の平均値を以て各接触角の測定値を求めた。
(3)蒸着膜の膜厚
蒸着膜の膜厚は、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、測定した。
(4)離型性;剥離強度の測定
試験片として、実施例で製造したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルム(16μm)を用い、以下の条件でドライラミネートを行いラミネート強度測定用サンプルとした。
撥水性及び離型性を有するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムの離型層側と、貼り合わせ用基材として50μm厚未延伸ポリエチレンフィルム(出光ユニテック製LS−722CN)のコロナ放電処理面とを、2液硬化型ウレタン系接着剤として酢酸エチル:ロックペイント製アドロックRU−77:脂肪族イソシアネート(ロックペイント製:H−7)=30:10:1を乾燥後の塗布量が3.0g/mとなるように塗布(3μm)して貼り合わせた。
剥離強度試験としてORIENTIC TENSILON RTC−1310Aを用い、試験片として15mm巾に切り出した積層品を剥離速度50mm/minにてT字剥離を行い、剥離強度を測定した。
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
基材として、厚さ16μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製の「P60」)の片面にコロナ処理を施したものを用い、該2軸延伸ポリエステルフィルムを巻取り式PE−CVD法蒸着装置の繰り出し側に、コロナ処理面が被蒸着面となるように設置し、その後、該基材フィルムを巻き出し、蒸着ドラム、巻上げ張力を1.4N/mに設定し、巻き取り式PE−CVD法蒸着装置の容器を密閉し、排気ポンプを稼動させて減圧するとともに、蒸着ドラムの冷却装置の出口側温度を0℃に冷却した。
装置内圧力をキャパシタンスマノメーターにより測定し、0.5Paに到達した段階で、蒸着モノマーとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を採用し、HMDSOは常温で液体状態であるので、液体状態で流量を計量し、その供給ラインの流量を1600sccm (standard cc/min、1atm、0℃あるいは、25℃など一定温度で規格化されたccmを意味する)、また、装置内の雰囲気ガスとしてヘリウムを用い、その供給ラインの流量を800sccmに、それぞれ設定し、PE−CVD法蒸着装置の容器内へ供給し、PE−CVD法蒸着装置の容器内の圧力を5.0Paに調整した。
上記のとおりPE−CVD法蒸着装置を設定し、蒸着装置の動作が安定化した後、下記PE−CVD法の蒸着条件として、印加電圧:40KHzの交流電源8kW、フィルムの搬送速度:30m/min、成膜圧力:4.0Pa、基材保持温度:0℃で、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、八フッ化プロパン(C)を蒸着原料としたプラズマ化学気相蒸着を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ放電処理面に施し、厚さ10nmの有機珪素化合物の蒸着膜を成膜し、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを製造した後、基材フィルムの搬送を停止させ、捲き取り部にフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを回収し、リリースフィルムを得た。
上記のとおり作成したフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを用い、所定の物性測定を実施した。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C
雰囲気ガス:酸素ガス(O)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C:O:He=800:100:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
(実施例2)
前記蒸着材料として、フルオロカーボンの導入量を2倍にし、実施例1におけるHMDSOと八フッ化プロパンのガス組成物の混合比を、HMDSOと八フッ化プロパンのガス組成物比を800:200[sccm]としたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定して、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C
雰囲気ガス:酸素ガス(O)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C:O:He=800:200:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
(実施例3)
雰囲気ガスとして、実施例1のガス組成物として酸素ガスに代えて窒素ガスにした以外は、蒸着モノマー材料として実施例1と同様にHMDSOと八フッ化プロパンを使用し、ガス組成物ガス組成物比をHMDSO:八フッ化プロパン:窒素ガス:ヘリウムガス=800:100:100:100[sccm]とし、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定して、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C
雰囲気ガス:窒素ガス(N2)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C:N:He=800:100:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
(実施例4)
前記蒸着モノマー材料としてフルオロカーボンを八フッ化プロパンに代えて六フッ化エタンとしたこと以外は、実施例1と同じ雰囲気ガスとして酸素ガスとヘリウムガスを用い、ガス組成物比をHMDSO:C:O:He=800:133:100:100[sccm]とし、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定して、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C
雰囲気ガス:酸素ガス(O)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C:O:He=800:133:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
(実施例5)
前記蒸着モノマー材料として、使用する有機珪素化合物としてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)に代えてテトラエトキシシラン(TESO)を用いたこと以外は、雰囲気ガスとして酸素ガスとヘリウムガスを用い、ガス組成物比をTEOS:C:O:He=1600:100:50:100[sccm]とし、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:TEOS、C
雰囲気ガス:酸素ガス、ヘリウムガス
ガス組成物比;TEOS:C:O:He=1600:100:50:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度: L/S=30m/min
成膜圧力:5.0[Pa]
基材保持温度:0℃
(比較例1)
プラズマ化学気相蒸着により有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜が成膜される基材フィルムの基材保持温度を基材フィルムのガラス転移温度Tgより高い100℃としたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い、有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C
雰囲気ガス:酸素ガス(O)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C:O:He=800:100:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:100℃
(比較例2)
前記蒸着モノマー材料として、ヘキサメチルジシロキサンに対し、組成比2倍のフルオロカーボンを用い、雰囲気ガスとして酸素ガスとヘリウムの混合ガスをそれぞれ供給し、そのガス組成物比をHMDSO:八フッ化プロパン:O:He=800:1600:100:100[sccm]とし、八フッ化プロパン過剰状態にしたこと以外は実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着膜の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO、C
雰囲気ガス:酸素ガス(O)、ヘリウムガス(He)
ガス組成物比;HMDSO:C:O:He=800:1600:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
(比較例3)
前記蒸着モノマー材料として、フルオロカーボンを用いず、有機珪素化合物であるヘキサメチルジシロキサンのみを用い、雰囲気ガスとして、酸素ガスとヘリウムガスをガス組成物としてそれぞれ供給し、そのガス組成物比をHMDSO:O:He=800:100:100[(フルオロカーボン未添加の場合)]としたこと以外は、実施例1と同様にして、プラズマ化学気相蒸着による有機珪素化合物の蒸着の成膜条件を下記のとおり設定し、有機珪素化合物の蒸着を行い、有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
基材:二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製の「P60」)
蒸着面:コロナ放電処理
蒸着材料:HMDSO
雰囲気ガス:酸素ガス、ヘリウムガス
ガス組成物比;HMDSO:O:He=800:100:100[sccm]
巻き取り型PE−CVD装置
印加電圧:40KHz交流電源、8kW
フィルムの搬送速度:L/S=30m/min
成膜圧力:4.0[Pa]
基材保持温度:0℃
[結果]
上記各実施例及び比較例に記載された方法により得られたフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を有する積層フィルム及び比較例のフィルムについて、1)炭素及びフッ素含有量の測定、2)水接触角測定、3)蒸着膜厚さ、4)剥離強度、それぞれについて上記測定方法により測定し、評価した。
その結果は、以下の表とおりである。
実施例1〜5は、いずれも水の接触角がフッ素未含有の比較例3の75°よりも大きく、一般的に撥水性といわれる90°より大きい値となっており、テトラフルオロエチレンの水接触角104.1°と比べて遜色のない水接触角を示し、剥離強度についても比較例3の15Nよりも十分に小さい、0.5以下の値を示し、優れた撥水性及び離型性を示すフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜が形成された。
しかも、実施例1と2及び比較例2の比較から分かるように、フルオロカーボンのガス組成物中の含有量を多くすると、水接触角が大きくなり、有機成分がフッ素修飾され、撥水性が高まる、同時に蒸着厚さが低下し、膜形成が阻害される傾向がみられる。このことから、撥水性及び離型性の蒸着膜を形成する場合、有機珪素化合物とフルオロカーボンを含むガス組成物を蒸着モノマー原料として使用する場合には、その組成比に注意する必要がある。
また、実施例3のように、雰囲気ガスとして酸素ガスの代わりに窒素ガスを用いると、雰囲気中の酸素がなく、酸化が進まず、有機成分リッチの有機珪素化合物の蒸着膜が形成され、かつ側鎖のメチル基の水素が窒素に置き換わるとともに、窒素とフッ素との結合ができ、SiCHNFが形成されることから、水接触角が大きく蒸着膜の膜厚が厚くなったものと考えられる。
さらに、実施例4のように、フルオロカーボンを用いると水接触角が低下し、蒸着膜の膜厚も僅かに薄くなっているのは、フッ素含有量がすくないためフッ素化が進みにくいためと考えられ、フルオロカーボンのフッ素含有量の異なる化合物を使用することで、撥水性の程度を制御できると考えられる。
実施例5の有機珪素化合物中の有機成分であるメチル基をエチル基に置き換えた場合、有機成分の含有割合を2倍に多くしても、側鎖のメチル基とエチル基の違いと相俟って、フッ素化による水接触角の違いが見られなかった。水接触角により、または有機珪素化合物の種類により撥水性の程度が変更できる。
また、比較例1のようにプラスチック基材の蒸着時における基材保持温度をガラス転移温度以上にして蒸着すると、蒸着膜の水接触角が低下し、かつ膜厚も低下して、好ましくない。
Figure 0005843425
保持温度を基材フィルムのポリエチレンテレフタレートのTg温度以上に上げた状態で表面処理した比較例1は、PET表面を被覆した積層表面の状態が不安定であり、剥離強度も大きくなり、形成した膜が不均一で、被覆層に欠陥が生じていることを示した。
フルオロカーボンが過剰な比較例2では、他の実施例及び比較例と比較して有機珪素化合物の蒸着膜の膜厚が薄く、かつ水接触角の項にみられるように不均一で、撥水性も場所により安定しおらず、その結果として、剥離強度も大きくなっていることから明らかなように、フルオロカーボンに基づくフッ素含有量が多いためSi−O結合の形成及び有機珪素化合物自体の有機成分のフッ素化より珪素のフッ素化が先行し、SiFの反応形成が優先されために、有機珪素化合物の蒸着膜の形成が進行していないためと考えられる。
これらの実施例及び比較例の結果によれば、炭素含有有機珪素化合物膜がフッ素修飾され、フッ素を含有することにより表面エネルギー状態が低下し、撥水性をより向上させることができる(フッ素は弱い撥油性を示す)。フッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物積層フィルムを製造するには、ガス組成物中の、有機珪素化合物の種類(Siに結合するアルキル基の種類)、フルオロカーボンの種類及び含有量、基材保持温度をTg以下に設定するなどの蒸着条件を適正に設定することが必要であり、そのことにより優れた撥水性及び離型性を有するフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜を制御して成膜することができる。
本発明によれば、効率よく、かつ低コストで物性的に優れた撥水性及び離型性のフッ素修飾した炭素含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムを、正確に制御して安定的に製造できる。また、得られた撥水性及び離型性層は、撥水撥油性、防汚性、剥離性、低摩擦性、耐薬品性等に優れたものであることから、本発明の撥水性及び離型性を有する蒸着膜積層フィルムは、各種複合材料の製造時、FPC、多層プリント基板製造時、粘着用セパレートフィルム、感光剤用離型積層フィルム、電子材料・機能性材料などの工程フィルムの用途に用いることができる。
11:プラズマ化学気相成長装置
12:真空チャンバ
13:巻き出しロール
14:巻き取りロール
15:冷却・電極ドラム
16:原料揮発供給装置

Claims (7)

  1. ラスチック基材フィルムの表面上に、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成してなる蒸着膜積層フィルムにおいて、
    前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物のSi原子とF原子のモル比率F/Siが1.9〜3.4で、かつSi原子とC原子のモル比率C/Siが0.6〜1.2であり、
    前記蒸着膜を表面層とすること
    を特徴とするフッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。
  2. 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物が、有機珪素化合物中に含まれるC−H結合に基づく炭素を含有する請求項1に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。
  3. 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物が、窒素原子を有する請求項1に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。
  4. 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜の水の接触角が、90°以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルム。
  5. プラスチック基材フィルムの表面上に、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成してなる蒸着膜積層フィルムであって、前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物のSi原子とF原子のモル比率F/Siが1.9〜3.4で、かつSi原子とC原子のモル比率C/Siが0.6〜1.2であり、前記蒸着膜を表面層とする、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法において、
    プラズマ化学気相蒸着法(PE−CVD法)により前記プラスチック基材フィルム上に、前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成し、この際、
    有機珪素化合物と、フルオロカーボンと、酸素ガスおよび窒素ガスのうち少なくとも1種類と、キャリア−ガスとを含有するガス組成物を使用し、
    前記ガス組成物中の組成を、得られる蒸着膜中の前記モル比率F/Siおよび前記モル比率C/Siが夫々上記の範囲となる組成とし、
    前記プラスチック基材フィルムをガラス転移温度(Tg)以下に冷却保持した状態とすること
    を特徴とする、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法。
  6. 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜を形成する際に、酸素ガスの存在しない窒素ガスを含有するガス組成物を用いて、有機成分として窒素原子を含有する請求項5に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法。
  7. 前記フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜表面の水の接触角が、90°以上である請求項5または6に記載の、フッ素化合物を含有する有機成分含有有機珪素化合物の蒸着膜積層フィルムの製造方法。
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