JP4842416B2 - 透明導電薄膜付きフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

透明導電薄膜付きフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電薄膜付きフィルム及びその製造方法に関し、さらに詳しくは高分子フィルム基板上に主としてインジウム酸化物からなり、結晶性が異なる複数の透明導電薄膜が形成された透明導電薄膜付きフィルムおよびその製造方法に関する。この透明導電薄膜付きフィルムの応用例としては液晶表示用基板、タッチパネル、電子写真、帯電防止材料、面発熱体、固体ディスプレイ、太陽エネルギ−用材料などの幅広い用途がある。
【0002】
【従来の技術】
従来、スパッタリング法によって得られるITO(In−Sn−O)膜は、高導電性、高透明性の特性を活かし、液晶ディスプレイ、タッチパネル等の電極材料として広く用いられている。近年、成膜速度の制御性、形成された薄膜の均一性等の点から、製造ラインではDC マグネトロンスパッタリング法がその製造法として一般的となっている。特に最近の薄膜形成技術の進歩は目覚しく、耐熱性のあまりない高分子フィルム基板上に透明導電薄膜を形成できるようになった。中でもスパッタリング法は、長時間にわたって成膜が可能、長時間膜形成を行っても組成の変動が少ない、大面積化が容易などの特徴を有し、最も利用されている技術の一つである。そこで、本発明者等も、スパッタリング法で高分子フィルム基板上にITO膜を形成しその実用性を評価した。しかし、ITM(In−SnMetal)またはITOターゲットを使用してDCマグネトロンスパッタリング法により高分子フィルム上に連続成膜した場合には、成膜時間が長くなるに従って作製した透明導電薄膜付きフィルムの変形が激しくなるなどの問題があった。
【0003】
この透明導電薄膜付きフィルムの変形について説明する。高分子フィルム自身は平坦であるが、フィルム上に薄膜を堆積するとその薄膜の応力によって透明導電薄膜付きフィルム自身が変形してしまうことが知られている。この変形を一般的にカールと称する。カールを抑制するためには堆積する薄膜の応力を低減しなければならない。従来の技術としてこの膜応力を低減する手法としては、成膜圧力をできるだけ高くして、作製される薄膜の密度を疎にする方法がある。その様な薄膜は膜の密度が小さいために膜応力は若干低下して、透明導電薄膜付きフィルムの変形は抑制される。しかし、成膜条件によっては圧力を高くしてもその効果が発揮されないことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高分子フィルム上に透明導電薄膜を成膜した場合に、膜応力が低く透明導電薄膜付きフィルムとしたときのカールが小さくなるような透明導電薄膜付きフィルム及びその製造方法を提案する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、主としてスパッタリング法により高分子フィルム上に透明導電薄膜を形成するに当たり、透明導電薄膜を複数回積層して少なくとも一層を非晶質層とすることによってカールが小さい透明導電薄膜付きフィルムが得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、高分子フィルムとその上に積層された複数の透明導電薄膜とからなり、該透明導電薄膜が、3層以上であり、該高分子フィルムと接する非晶質層と、該非晶質層の上に設けられた結晶層と、該結晶層の上に設けられた非晶質層とを有することを特徴とする透明導電薄膜付きフィルムである。
【0007】
また本発明は、高分子フィルム上に複数の透明導電薄膜を積層して透明導電薄膜付きフィルムを製造する方法において、高分子フィルム上に、結晶層と非晶質層が交互に積層され、該結晶層が該非晶質層に挟まれた構造を含む透明導電薄膜を形成することを特徴とする透明導電薄膜付きフィルムの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、透明導電薄膜を形成するに当たり、主にスパッタリング法が使用される。主としてインジウム酸化物を含む層を形成するスパッタリング法には、インジウムを主成分とする合金、または酸化インジウムを主成分とする焼結体をターゲットとして用いることができる。前者はアルゴンなどの不活性ガスおよび酸素ガスなどの反応性ガスを真空槽内に導入して、反応性スパッタリングを行う。後者においては、アルゴンなどの不活性ガス単独かあるいはアルゴンなどの不活性ガスに微意量の酸素ガスなどの反応性ガスを混合したものを用いてスパッタリングを行う。スパッタリングの方式は、直流または高周波二極スパッタリング、直流または高周波マグネトロンスパッタリング、イオンビームスパッタなど公知の方式が適用できる。中でもマグネトロン方式は基板へのプラズマ衝撃が少なく、高速成膜が可能であり好ましい。
【0009】
また、スパッタリング装置としてはその生産性からロールツーロール方式を用いることが好ましい。
【0010】
本発明者は鋭意検討の末、透明導電薄膜を形成するに当たり、透明導電薄膜を複数回積層することによって薄膜の応力を低減できることを見出し本発明に到達したものである。また、その積層膜の内少なくとも一層を非晶質とすることで結晶層で発生する薄膜の応力を分散させ、高分子フィルムに伝わる応力を低減できることを見出した。
【0011】
本発明の透明導電薄膜付きフィルムは、断面TEM観察によって層と層の界面で膜の垂直方向の成長が切断されている様子が観察され、膜の応力が分散さている可能性が示されているものである。この透明導電薄膜は各層の結晶性が異なることを特徴としているが、望ましくは結晶層と非晶質層が交互に積層され、結晶層が非晶質層に挟まれた構造の方が結晶層で発生した応力緩和の緩和効果が高い。更に望ましくは高分子フィルムと接する第一層目が非晶質である方が透明導電薄膜で発生した応力の伝達を緩和しカール低減効果が高い。各層を全て非晶質とする事により更にカール低減が可能であるが、移動度の向上による表面抵抗の低減や耐熱性の安定化が困難であり、また耐屈曲性が悪化するため少なくとも一層の結晶層を含むことが好ましい。ここで断面TEM観察によって柱状の結晶粒が観察される層を結晶層、柱状の結晶粒が観察されないものを非晶質層とする。ここで言う柱状結晶粒とは各層の膜厚で高さが限定された円柱状の結晶のことである。従来、高分子フィルム上に主としてインジウム酸化物からなる透明導電薄膜を形成してなる透明導電薄膜付きフィルムの製造方法において、ロールツーロール方式では、放電電力密度とフィルム搬送スピードを調節して一回の搬送で目的の膜厚の透明導電薄膜を形成している。本発明においては、同じ放電電力密度下でフィルム搬送スピードを変化させかつ搬送方向を反転させながら任意の割合で分割して複数回積層し、その搬送の中で少なくとも一層を非晶質として透明導電薄膜を形成すると本発明の透明導電薄膜付きフィルムを好ましく得ることができる。
【0012】
ここで複数回とは2回以上であるが、3回以上の積層の方が所望の膜厚を得るための各層の厚さを少なくできるため、カールの低減の効果は大きい。また実質的な上限は10回以下である。
【0013】
またそれぞれの層の厚みは同一である必要はなく、それぞれの層の厚みが異なる場合のそれぞれの積層順はそれほど重要ではないが、厚い層が非晶質である方が応力が低く、更にフィルムに接する第一層目は非晶質である方がカール低減効果が大きい。
【0014】
本発明の透明導電薄膜付きフィルムの製造方法は、スパッタリング法により高分子フィルム上に上記透明導電薄膜を形成することが望ましい。この場合、一つのターゲットを用いて透明導電薄膜を形成させる場合は1回透明導電膜を形成させてから巻き取り、続いてフィルムの搬送方向を反転させ次の透明導電膜を形成させて製造することができる。1層目の透明導電薄膜を形成させてから、続いて2層目、さらには3層目の透明導電薄膜を形成させる操作は、連続して行われるか、あるいは一端巻き取ったロールを改めて別の装置や、別の日時に積層することも可能である。
【0015】
また生産効率を考えると一つのターゲットを用いてフィルム搬送方向を反転させるよりも、ターゲットを複数にして一回のフィルム搬送で作製する方が好ましい。このように複数のターゲットを用いて連続して透明導電薄膜の複数層を形成させても同様に膜応力が低くカールを低減した透明導電薄膜付きフィルムを得ることができる。
【0016】
こうして複数層積層されてできた透明導電薄膜は、同じ膜厚であっても一回の搬送で目的の膜厚を得た単層膜よりも膜応力が低く透明導電薄膜付きフィルムとした時のカールが小さい。
【0017】
上記透明導電薄膜は、主としてインジウム酸化物を含む層である。インジウム酸化物は本来透明な電気絶縁体であるが、▲1▼微量の不純物を含有する場合、▲2▼わずかに酸素不足になっている場合などに半導体になる。好ましい半導体金属酸化物としては、例えば不純物としてスズまたはフッ素を含む酸化インジウムを挙げることができる。特に好ましくは、酸化スズを2〜20重量%含むインジウム酸化物の層である。本発明に用いられる主としてインジウム酸化物を含む透明導電薄膜の最終的な膜厚は充分な導電性を得るためには100Å以上であることが好ましい。
【0018】
また、透明導電薄膜付きフィルムとした時のカールは透明導電薄膜の膜厚が厚くなるほど大きくなるため、本発明は目的の膜厚が500Å以上、5000Å以下である透明導電薄膜を得ようとする場合に特にそのカール低減の効果を発揮する。
【0019】
本発明における高分子フィルムは、例えばポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィンなどが挙げられる。もちろんこれらはホモポリマー、コポリマーとして、また単独のポリマーまたはポリマーブレンドとしても使用できる。
【0020】
本発明により得られる透明導電薄膜付きフィルムは膜応力が少ないので、膜厚0.0025mm以上、0.4mm以下の上記高分子フィルム上に形成したときに特にそのカール低減の効果を発揮する。
【0021】
さらに、透明導電薄膜との密着性を向上させるため、透明導電薄膜形成前に上記高分子フィルム上に中間層を形成してもよい。中間層としては、厚さ0.01〜10μmで、例えば有機ケイ素化合物、チタンアルキルエステル、ジルコニウムアルキルエステルなどの有機金属化合物の加水分解により生成された層が好ましく用いられる。該中間層は、多層構成としても良い。該中間層は、高分子フィルム上に塗布後、乾燥し、加熱、イオンボンバードあるいは紫外線、β線、γ線などの放射線により硬化させる。また、本発明における透明導電薄膜付きフィルムは、主としてインジウム酸化物を含む透明導電薄膜上に耐スクラッチ性を向上させる、あるいは他の塗工層との密着性を向上させるなどの目的のために保護層を積層させても良い。
【0022】
本発明の透明導電薄膜付きフィルムは、透明タッチパネルやエレクトロルミネッセンス用電極として適しているだけでなく、例えば液晶表示装置、電子写真、帯電防止材料、面発熱体、固体デイスプレイ、太陽エネルギ−用材料などと広い用途を有する。
【0023】
図1は、本発明の透明導電薄膜付きフィルムを製造するための装置の構成図の一例である。各種の高分子フィルムのロールを基板フィルムとして巻き出し軸4にセットし、フィルムを巻き出して図示の成膜経路を沿って巻き取り軸7にセットされた巻き芯に巻き取りできるようにセットする。成膜時には11の四重極質量分析計(超小型分圧計MPA)で成膜中の水分圧と酸素分圧をモニターしながら水導入量、酸素導入量を調節する。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0025】
(カール測定)
本発明の薄膜の応力による透明導電薄膜付きフィルムとしたときの変形率の測定方法を以下に記載するが、その変形量をカールとする。透明導電薄膜付きフィルムを10cm角の正方形に切り取り、恒湿、常温下(25℃、50%RH環境下)で24時間放置する。その後該透明導電薄膜付きフィルムを水平な支持板上に透明導電薄膜を設ける面が下になるように置き、四隅の支持板からの高さの平均値(カール)を評価する。
【0026】
(断面TEM観察方法)
試料をエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームで薄切した。薄切にカーボン蒸着を行った後、透過型電子顕微鏡JEM2010を用いて200KVで測定した。
【0027】
(耐熱性の評価方法)
成膜直後のITO付フィルムの表面抵抗(Ω/cm2)R0を測定し、その後130℃、4時間の熱処理を施して同様に表面抵抗(Ω/cm2)Rを測定する。この熱処理後の表面抵抗Rを熱処理前の表面抵抗R0で割ったものをR/R0耐熱性と称する
【0028】
[実施例1]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入し、かつ水と酸素の分圧比がH2O/O2=2.0となるように水分を導入した。圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.3m/minとしてスパッタリングを行い第1層目のA層を形成した。その後水の導入を止め、それ以外はA層形成時と同じ条件でフィルムの搬送方向を逆転させて第2層目のB層を形成した。更にフィルムの搬送方向を逆転させて第1層目と同様の条件で第3層目を成膜してA/B/A/PETの3層積層構造の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
【0029】
下記表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。カール特性は下記の比較例1、2と比べて低減できている。また、比抵抗も比較例1、2と比べて低減されている。
【0030】
[比較例1]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入し、圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.1m/minとしてスパッタリングを行い、単層の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。下記表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。実施例1と比べてカール特性の悪いものであった。
【0031】
[比較例2]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入し、水と酸素の分圧比がH2O/O2=2.0となるように水分を導入した。圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.1m/minとしてスパッタリングを行い、単層の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。下記表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。比較例1と比べてカール特性は良好であるが耐熱性が悪かった。
【0032】
参考例1
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して5x10-5Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に200sccm導入しかつ水と酸素の分圧比がH2O /O2=2.0となるように水分を導入した。 圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.1m/min としてスパッタリングを行い第1層目のA層を形成した。その後水の導入を止め、それ以外はA層形成時と同じ条件でフィルムの搬送方向を逆転させて第2層目のB層を形成しB/A/PET の2層積層構造の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
下記表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。カール特性は比較例3と比べて低減できている。
【0033】
[比較例3]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入し、圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.05m/min としてスパッタリングを行い、単層の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。実施例2と比べてカール特性の悪いものであった。
【0034】
参考例2
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して5x10-5Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に200sccm導入し 圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.1m/min としてスパッタリングを行い第1層目のB層を形成した。その後水と酸素の分圧比がH2O /O2=2.0となるように水分を導入して第2層目のA層を形成しA/B/PET の2層積層構造の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。比較例3と比べてカール特性は良好であったが実施例2と比べてカール特性にやや劣るものであった。
【0035】
[実施例4]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccmを導入しかつ水と酸素の分圧比がH2O /O2=2.0となるように水分を導入した。圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.3m/minとしてスパッタリングを行い第1層目のA層を形成した。その後水の導入を止め、それ以外はA層形成時と同じ条件でフィルムの搬送方向を逆転させて第2層目のB層を形成した。この操作を交互に繰り返してB/A/B/A/B/A/PET の6層積層構造の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。カール特性は比較例4、5と比べて低減できている。
【0036】
図2にB/A/B/A/B/Aの6層積層構造透明導電薄膜の断面TEM観察結果、図3にこの写真の模式図を示す。模式図に示すように柱状の結晶粒が観察される層を結晶層、柱状の結晶粒が観察されないるものを非晶質層とする。ここで言う柱状結晶粒とは各層の膜厚で高さが限定された円柱状の結晶のことである。
6層の積層構造が観察され膜の垂直方向の成長が切断されていることが分かる。
【0037】
[比較例4]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入し、圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.05m/min としてスパッタリングを行い、単層の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。実施例4と比べてカール特性の悪いものであった。
【0038】
[比較例5]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入しかつ水と酸素の分圧比がH2O /O2=2.0となるように水分を導入した。圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.05m/min としてスパッタリングを行い、単層の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。実施例4と比べてカール特性、耐熱性の悪いものであった。
【0039】
[実施例5]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccmを導入しかつ水と酸素の分圧比がH2O /O2=2.0となるように水分を導入した。圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.12m/minとしてスパッタリングを行い第1層目のA層を形成した。その後水の導入を止め第2層目のB層を形成した。この操作を交互に繰り返してB/A/B/A/PET の4層積層構造の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。カール特性は比較例6と比べて低減できている。
【0040】
[比較例6]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入し、圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.03m/minとしてスパッタリングを行い、単層の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。実施例5と比べてカール特性の悪いものであった。
表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。
【0041】
[実施例6]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入しかつ水と酸素の分圧比がH2O /O2=2.0となるように水分を導入した。圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.15m/minとしてスパッタリングを行い第1層目のA層を形成した。その後水の導入を止め第2層目のB層を形成した。この操作を交互に繰り返してA/B/A/B/A/PETの5層積層構造の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。カール特性は比較例7と比べて低減できている。
【0042】
[比較例7]
高分子フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して6x10-6Torrまで排気した。ターゲットにはITO(Sn/In=5wt%/95wt%)ターゲットを用いた。その後、 Ar/O2混合ガス(O2:Ar=1.2:98.8)を槽内に100sccm導入し、圧力を1.0x10-3mTorrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1.0W/cm2に設定して、フィルム速度をVf=0.03m/minとしてスパッタリングを行い、単層の透明導電薄膜を形成することにより透明導電薄膜付きフィルムを作製した。
表1に作製した透明導電薄膜付きフィルムの諸特性を示す。実施例6と比べてカール特性の悪いものであった。
【0043】
【表1】
Figure 0004842416
【0044】
【発明の効果】
本発明により、ロールツーロール方式のスパッタリング法を用いて、少なくとも1層が非晶質である透明導電薄膜を複数回積層して目的の膜厚を得ることによってカールの小さい透明導電薄膜付きフィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることのできる一般的なロールツーロール式成膜法の製造装置の断面図である。
【図2】実施例4におけるB/A/B/A/B/Aの6層積層構造の透明導電薄膜の断面TEM観察の断面図である。
【図3】実施例4における透明導電薄膜の断面TEM観察の模式図である。
【符号の説明】
1. 真空チャンバー
2. 長尺ロール状ポリマーフィルム
3. ターゲット
4. 巻きだし軸
5. メインロール
6. サブロール
7. 巻き取り軸
8. Arガス導入系
9. O2ガス導入系
10.H2O導入系
11.四重極質量分析計(MPA)

Claims (3)

  1. 高分子フィルムとその上に積層された複数の透明導電薄膜とからなり、該透明導電薄膜が、3層以上であり、該高分子フィルムと接する非晶質層と、該非晶質層の上に設けられた結晶層と、該結晶層の上に設けられた非晶質層とを有することを特徴とする透明導電薄膜付きフィルム。
  2. 前記透明導電薄膜が、インジウム酸化物を主成分としてなり、かつ錫、亜鉛およびガリウムの酸化物から選ばれた少なくとも1種の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明導電薄膜付きフィルム。
  3. 前記高分子フィルムの膜厚が0.0025mm以上0.4mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電薄膜付きフィルム。
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