JP4842351B2 - 線状物束の包装装置 - Google Patents

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本発明は、線状物束を包装する技術に関し、より詳しくはフィルムシートにより所定の長さで囲繞包装する装置に係るものである。
従来から1本または多数本の連続した線状物を巻取って線状物の束を作ることが行われており、例えば、中空糸膜、合成畳表、ブラシなどは線状物の束を作成した後に、それを一定長に裁断して生産されている。特に中空糸膜は、自動車産業、半導体産業、医薬食品産業(例えば、医療用の血液透析フィルター)などの多方面において使用されており、その用途からも高い品質が求められている。
上記のように中空糸や中空糸束などの線状物を巻取る際には、巻枠体上に巻取ると共に、巻取られた線状物束を切断したり、フィルムで囲繞包装することが行われている。
従来知られている技術として、特許文献1に挙げられるような中空糸束を包み込むための方法及び装置がある(特許文献1)。
該開示によると、フィルムウェブを中空糸束に巻きかけてフィルムチューブを形成し、所定の長さに切断し、かつフィルム同士を互いに結合する方法を提供している。そして、フィルムウェブを中空糸束を囲繞する第2区分と、その両側に第1区分および第3区分を形成し、第1区分と第3区分とを結合させた上で切断するとしている。このような方法は従来から用いられており、該開示では特に第2区分において凹部を成形し、その凹部に中空糸束を挿入する構成を開示している。
本構成は中空糸束が結束してないため、凹部をあらかじめ成形して中空糸の形状が崩れるのを防ぐものであり、凹部に挿入した中空糸束を該開示の図3におけるようにフィルムウェブを巻取ることで包装するようにしている。
しかしながら、このような従来の方法は中空糸束が結束していないことを前提として、自在に移動させることが可能な場合には一定の効果を有するが、巻枠体上に巻取られた状態の線状物束を包装する方法としては好ましくない。
すなわち、巻枠体上の線状物束は中心から放射状に延設されたハンドにより固定されており、該ハンド間で線状物束を包装し切断する場合には、線状物束に対して包装装置を接近させて包装する構成をとるのが望ましい。
従って、線状物束が移動可能な従来の構成とは全く異なり、固定された線状物束を必要最小限の構成で包装する構成が必要である。
同時に、線状物束を包装する際にフィルムで囲繞するとその結合部に線状物の一部が巻き込まれ、特にフィルムを溶融する場合には線状物と共に溶融されてしまう場合がある。
包装によるこのような製品不良は許容されないものであり、生産効率の低下を招くものである。特に医療用の血液透析フィルターなど高精度な中空糸束を製造する場合にはフィルター性能に影響を及ぼす重大な問題である。
特開2000−238710号公報
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、その目的は、線状物束を巻枠体などに固定した状態で、線状物束を包装するフィルムに巻き込むことなく確実に包装する装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明による線状物束の包装方法は次のような特徴を備える。
すなわち、線状物束をフィルムシートにより所定の長さで囲繞包装する線状物束の包装方法であって、次の各ステップからなる。
第1のステップは、線状物束に向けて、所定の引張力で張架したフィルムシート表面を押圧してフィルムシートを谷状に屈折させる工程である。第2のステップは、該谷面のフィルムシート裏面側から、対向する1組の囲繞手段により線状物束を挟み込む工程である。続く第3のステップは、該囲繞手段により線状物束を絞り込む工程である。第4のステップは、線状物束外周部においてフィルムシート表面側同士を接着し切断する工程である。
更に、線状物束の包装方法の第3のステップにおいて、囲繞手段により線状物束を絞り込んだ後に、その谷面のフィルムシート裏面側から、対向する1組の固定手段によりフィルムシート表面同士を押接固定するものであってもよい。
また、上記第3のステップにおいて、囲繞手段が線状物束方向に押圧することにより線状物束を絞り込むものであってもよい。
また、上記第3のステップにおいて、フィルムシートの引張力を増加させることにより線状物束を絞り込むことを特徴とする。本構成は、これだけで絞り込むようにしてもよい。
また、線状物束の包装方法の第4のステップにおいて、接着切断手段が、フィルムシート表面同士を溶着すると共に、切断する構成をとることができる。
また、本発明は以上に示したような包装方法を用いた包装装置として、次のような構成を提供することもできる。
すなわち、請求項に記載の発明は、線状物束をフィルムシートにより所定の長さで囲繞包装する線状物束の包装装置であって、フィルムシートを所定の引張力で張架する包装機構と、前記包装機構によって張架されたフィルムシート表面を線状物束に向けて押圧前記フィルムシートが谷状に屈折するまで前記包装機構を変動する変動手段を備え、前記包装機構は、該谷面のフィルムシート裏面側から線状物束を挟み込む、対向する1組の囲繞手段と、該フィルムシートの引張力を調整する引張力調整手段と、該囲繞手段の直近に並列して配置され、線状物束外周部においてフィルムシート表面側同士を接着し切断する接着切断手段とを少なくとも備えたことを特徴とする線状物束の包装装置を提供する。
請求項に記載の発明によれば、上記の囲繞手段により線状物束を絞り込んだ後に、該谷面のフィルムシート裏面側からフィルムシート表面同士を押接固定する、対向する1組の固定手段を備えることができる。
また、請求項に記載の発明によれば、上記の変動手段が、囲繞手段が線状物束を挟み込んだ後に、該囲繞手段を線状物束方向に変動させて線状物束を絞り込む構成を提供するものである。
以上の手段により次の効果を奏する。すなわち、本発明によれば、フィルムシートを線状物束に押圧すると共に、囲繞手段が移動して線状物束を挟み込んで囲繞することができるので、線状物が巻枠体に固定された状態でも好適に包装作業を行うことができる。
また、線状物束の束太の変化に伴って装置に変更を加えることなく、多様な束太に柔軟に対応することができる。
特に、請求項2及び3に記載の方法によれば、線状物を巻き込むことなく、適度な力で包装を行うことができる。
本発明による線状物束の包装機を示す側面図断面図である。 同、第1のステップにおける状態図である。 同、第3のステップにおける状態図である。 同、第4のステップにおける状態図である。 同、包装完了時の状態図である。 同、回転カッタにより中空糸束を切断する時の状態図である。 同、第2のステップにおける動作を詳細に説明する状態図である。 同、第3のステップにおける動作を詳細に説明する状態図1である。 同、第3のステップにおける動作を詳細に説明する状態図2である。 本発明に係る溶断の様子を示す側面図説明図である。 本発明に係る巻枠体の構造を示す正面図である。 本発明に係る把持体の動作を説明する側面図である。
以下、本発明の最良と考えられる実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
始めに、本発明の包装装置と共に用いる線状物の巻枠体につき概説する。図11は本発明に係る中空糸を巻取る巻枠体(A)の正面図である。
巻枠体(A)は本実施例では図示しない駆動装置により回転する回転中心部(100)と、該回転軸支部(100)から放射状に所定の角度で配設されたハンド部(101)〜(106)を備え、中空糸(B)の巻取り時には6角形形状をなす。
なお、本発明では1本の線状物を巻取る場合だけでなく、既に複数本例えば数百本の束になった線状物をさらに巻取って数千本、数万本といった多数の線状物から成る束を製造する際に用いることができる。以下、線状物の例として中空糸を挙げるが、その素材は任意である。また、以下において単に中空糸と呼ぶ場合にも、1本の中空糸の場合及び複数の中空糸束を指すものとする。
複数のハンド部(101)〜(106)の先端部は図12に示すようにそれぞれ両側部に巻取りした中空糸を把持するための把持体(107)(107)を付設している。把持体(107)は、ガイド部(108)において上下摺動自在に構成され、図中の下方に向けて付勢することにより中空糸を把持する。
本構成では、中空糸の太束が変化しても良好な把持を得ることができる。
ハンド部(101)〜(106)に巻取られた中空糸(B)は図11のように下端位置において包装機(10)により包装部分(109)の包装を行う。巻枠体(A)が回転し、順次多角形の全ての辺について包装する。その際、包装機は下方から辺の上方まで回り込んで包装を行う。
以上のような巻枠体を用い、本発明における包装方法及び包装機(10)の構成を以下に説述する。図1は、本発明に係る包装機(10)の側面図断面図及びその近傍を表しており、一例としてハンド体(102)に巻回された中空糸束(B)を包装する。
包装機(10)は、側面視における左右(以下、図1の側面視を基準に上下・左右と表す)に一対の包装機構(11)(12)を備えており、それぞれの包装機構には対向して上から固定手段である固定ガイド(20)(21)、溶断シーラ(22)(23)、囲繞手段である囲繞ガイド(24)(25)が配設されている。
固定ガイド(20)(21)は、溶断シーラ(22)(23)が付設されるシーラベース(26)(27)上を左右方向に摺動自在であり、またシーラベース(26)(27)自体も、上下及び左右に摺動自在に構成されている。
固定ガイド(20)(21)の上部にはフィルムシート送り時の摩擦を低減するガイドローラ(30)(31)が配設され、フィルムシート(C)を右方向又は左方向からフィルムシートを送り、包装後には随時新しいフィルムシートを供給するようになっている。本実施例では、フィルムシートとして熱可塑性樹脂を用いている。
溶断シーラ(22)(23)はシーラベース(26)(27)に伴って、上下左右自在に位置を変動させることができる。
さらに囲繞ガイド(24)(25)も、シーラベース(26)(27)上に配設され、図示しない摺動機構により左右方向に摺動自在に構成されている。
そして、まず包装機(10)を巻枠体(A)の下方に配置し、図1のようにフィルムシート(C)を所定の引張力を与えた状態で略水平に架設する。なお図11で示したとおり、ハンド体(102)は傾斜しているため、図1ではハンド体(102)がフィルムシート(C)と重複しているが、実際には干渉しない。
フィルムシート(C)は、図示しない引張力制御機構により引張力を制御可能であり、例えばフィルムシートの巻取り・供給ローラにおける駆動モータ間の駆動力制御によって実現することができる。
そして、本発明の第1のステップとして、図2に示すようにシーラベース(26)(27)を上昇させてフィルムシート(C)が中空糸束(B)を押圧する状態にする。このとき、フィルムシート(C)は応力により谷型に屈折し、谷面の傾斜角は、固定ガイド(20)(21)の傾斜角と略同一になる。これにより、フィルムシート(C)は固定ガイド(20)(21)上面により確実に中空糸束(B)に向けて保持される。
次に、本発明の第2のステップとして、囲繞手段である囲繞ガイド(24)(25)が中空糸束(B)の上部で閉じてフィルムシート(C)が中空糸束(B)を挟み込むようにする。
さらに、第3のステップでは、図3のようにシーラベース(26)(27)が下降し、図3のように中空糸束(B)に当接する程度まで中空糸束(B)を絞り込む。
ここで、第2のステップ及び第3のステップにつき、本発明の実施に好適な構成を示す。
まず、第2のステップでは、図7のように囲繞ガイド(24)(25)が左右からそれぞれフィルムシート(C)に向けて閉じ、フィルムシートの表面同士を密着させる。このとき、中空糸束(B)と囲繞ガイド(24)(25)の当接部は適当な間隔を開けておく。
そして、第3のステップとして、図8に示すように、シーラベース(26)(27)を下降させることにより、囲繞ガイド(24)(25)が中空糸束(B)にフィルムシート(C)を介して押し当たるようにする。同時に、前記引張力制御機構の作用により、フィルムシート(C)を図中の矢印方向に引き込むことで中空糸束(B)を絞り込むようにしている。
従来、このような方法でフィルムシート(C)を絞り込むと、囲繞ガイド(24)(25)が開いてフィルムシート(C)と共にはみ出す場合があり、製品不良の原因となっていた。
本発明では、囲繞ガイド(24)(25)の閉じる力が、引張力制御機構の引張力よりも大きくなるように制御することで、囲繞ガイド(24)(25)が開く恐れを解消している。
さらに第3のステップにおいて、図9のように固定ガイド(20)(21)を閉じてフィルムシート(C)を上部でも固定する。ここで、固定ガイド(20)(21)は、フィルムシート(C)をずれないように固定する。一方、囲繞ガイド(24)(25)は絞り込み時にフィルムシート(C)を滑らせるため、固定しない程度の押さえ力で閉じている。
さらに、本包装機(10)は接着切断手段として溶断シーラ(22)(23)を設けているので、本発明の第4のステップでは、フィルムシート(C)を溶断する。溶断シーラ(22)(23)は、固定ガイド(20)(21)と囲繞ガイド(24)(25)との間に位置し、ヒータ(28)(29)によって加熱される。シーラベース(26)(27)がフィルムシート(C)に向けて閉じることで、溶断シーラ(22)(23)の先端同士が突き当たり、フィルムシート(C)が溶断される。
図10は該溶断の様子を示す図であり、溶断シーラ(22)の先端(22a)は山型、対向する溶断シーラ(23)の先端(23a)は台型を形成し、先端のヒータが加熱することで、フィルムシート(C)を溶融し、切断する。フィルムシート(C)は言うまでもなく、中空糸束(B)を巻回した後、合掌形態で表面同士が密着した状態である。
そして、図5に示すように溶断が完了すると、フィルムシート(C)は切断部の上部・下部共に溶着しているため、中空糸束(B)は包装が完了すると同時に、上部のフィルムシート(C)も再び連続したシート状となり、フィルムシートの巻取り・供給ローラによって次の包装動作に備えてシート位置を合わせる。
さらに、図6に示すように包装機構(11)(12)を左右に退避させると、回転カッタ(32)が下方から上昇して、中空糸束を予め決められた長さ毎に切断する。以上の一連の工程によって、巻枠体(A)に巻取られた中空糸束は、包装され、切断されて取り外される。
このように本発明は、巻枠体上で固定された中空糸束を良好に包装できる包装機を提供できるものであり、従来のように中空糸束を移動させることなく、包装の自動化を図ることもできる。特に、ステップ2及びステップ3に示す動作は、中空糸のはみ出しを防止し、生産効率を図る技術であり、本願の核心をなすものである。
なお、本実施例では、接着切断手段として溶断シーラを用いているが、これはフィルムシートが熱可塑性樹脂であるために好適な手段であり、接着剤を塗布して合掌形態で接着し、カッタ等により切断する構成でもよい。フィルムシートは紙やその他の樹脂など任意の素材を用いることができる。
線状物束を巻枠体などに固定した状態で、線状物束を包装するフィルムに巻き込むことなく確実に包装する装置を提供できる。
A・・・巻枠体、
B・・・中空糸束、
C・・・フィルムシート、
10・・・包装機、
11、12・・・包装機構、
20、21・・・固定ガイド、
22、23・・・溶断シーラ、
24、25・・・囲繞ガイド、
26、27・・・シーラベース、
30、31・・・ガイドローラ、
32・・・回転カッタ、
102・・・ハンド体

Claims (3)

  1. 線状物束をフィルムシートにより所定の長さで囲繞包装する線状物束の包装装置であって、
    フィルムシートを所定の引張力で張架する包装機構と、
    前記包装機構によって張架されたフィルムシート表面を線状物束に向けて押圧前記フィルムシートが谷状に屈折するまで前記包装機構を変動する変動手段を備え、
    前記包装機構は、
    該谷面のフィルムシート裏面側から線状物束を挟み込む、対向する1組の囲繞手段と、
    該フィルムシートの引張力を調整する引張力調整手段と、
    該囲繞手段の直近に並列して配置され、線状物束外周部においてフィルムシート表面側同士を接着し切断する接着切断手段と
    を少なくとも備えたことを特徴とする線状物束の包装装置。
  2. 前記線状物束の包装装置において、
    前記囲繞手段により線状物束を絞り込んだ後に、該谷面のフィルムシート裏面側からフィルムシート表面同士を押接固定する、対向する1組の固定手段を備えた
    請求項に記載の線状物束の包装装置。
  3. 前記線状物束の包装装置の変動手段が、
    前記囲繞手段が線状物束を挟み込んだ後に、該囲繞手段を線状物束方向に変動させて線状物束を絞り込む
    請求項1又は2に記載の線状物束の包装装置。
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