JP4841896B2 - 電磁波抑制紙 - Google Patents

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本発明は、電子機器等に対する電磁波抑制材に関し、更に詳細には加工、取り扱いが容易な基材に電磁波抑制性(電磁波シールド性)に優れる皮膜を形成し、上記機器部品に不可欠な難燃性を有した電磁波抑制紙に関する。
現在「ハイテク社会」に生きる私たちの身の回りでは、各種の情報通信、医療機器、精密機器等の制御分野において、また、電化製品、自動車等の日常生活品の分野においても高度に自動化された電子機器が広く使用されている。特にコンピューターやテレビ、電子機器の性能が飛躍的に向上するにつれて、電子機器から漏洩する電磁波は他の電子機器に障害を及ぼし、精密機器の誤動作や作業者の生命に関わるような大きな事故を引き起こしており、電磁波障害(EMI)に対する対策が急務になってきた。
電磁波障害と一口にいってもいろいろなケースがあり、その原因や現象も多岐にわたっている。身近な現象としては、テレビの画面が乱れる、放送番組とは関係のない音声が混信する、電話が混線する、インターフォンが作動する、リモコンのスイッチが切れる、甚だしい場合では電気着火式ストーブに着火するなどという事例まで報告されている。更に、自動車、船舶、列車の運行に支障をきたすレーダーの鏡像現象、また携帯電話から発信される電波による医療機器の誤動作などが社会問題になっている。
電磁波障害の発生原因となるものをあげてみると、およそ電子機器と称されるものからは多かれ少なかれ不要な電磁波が漏れ出ているといってよい。テレビやラジオ、電子レンジやパソコンなどからも微量ではあるが電磁波がでており、最近話題の携帯電話などからも電磁波障害の原因となる電波が出る場合がある。また、トラックなどに搭載されたハイパワーの違法無線よる電波も社会問題となっている。
この対策として、従来から、これらの電波や電磁波の反射を防ぎ、電磁波のエネルギーを熱のエネルギーにかえる多種多様な電磁波吸収材が用いられてきた。なお、金属板は、厚みの如何に拘らず一般にその表面で電磁波を反射してしまい、吸収能力はない。
その中で、電磁波シールド材に難燃性を施した例としては、以下の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜6を参照。)。
特許文献1は、電磁波シールド性金属箔の片面側に樹脂製保護膜を付着し、電磁波シールド性金属箔の他側面に不燃紙を付着して、積層状シートにしたことを特徴とする電磁波シールド内装材に関する。
特許文献2は、金属箔層の表面に、接着強度が約200〜450g/15mm幅面の弱接着剤を介して、フィルムを剥離可能に表層し、裏面に接着剤によって不燃紙層を付着させてなり、フィルム面が室内側の表層面となり、不燃紙層が躯体に貼着される構成としてなる電磁波シールド内装材に関する。
特許文献3は、電波吸収成型体と、該電波吸収成型体の少なくとも一部に一体的に接合された不燃性層とを備え、前記電波吸収成型体は導電材としてのカーボンブラック、グラファイトおよび炭素繊維の少なくとも1種と無機質中空体の粉粒体とを無機接着剤で結合したものであり、前記不燃性層はセピオライトを主成分としたスラリーから抄造した不燃性シートおよび無機コーティング剤層の少なくとも1種からなることを特徴とする電波吸収体に関する。
特許文献4は、電磁波吸収体と、電磁波吸収体の少なくとも背面側に設けられた不燃性の背面板と、電磁波吸収体の少なくとも前面側に設けられ電磁波透過性で不燃性のシート状のカバー材とからなり、背面板とカバー材により電磁波吸収体を被包することで、不燃性が具備されていることを特徴とする電波吸収体に関する。
特許文献5は、無機短繊維の表面にカーボン微粉末を被着した不燃性のカーボン含有無機短繊維ボード、あるいは、カーボン微粉末含有抵抗膜を形成した難燃性〜不燃性の有機質又は無機質繊維織布、不織布と無機短繊維ボードを単層又は複層に積層した不燃性のカーボン含有無機短繊維ボードに通気性、不燃性、引裂強度の大きい意匠性の外被材を装着したボードを加工して中空型ピラミッド形状、楔型形状、多角形状あるいは多波型形状の誘電損失材からなる電波吸収体であって、あらかじめ折り曲げと接着加工が可能なピラミッド形状、楔型形状、多角形状あるいは多波型形状の展開図に打ち抜き加工したボードを電波暗室の施工現場又はあらかじめ、中空型ピラミッド形状、楔型形状、多角形状あるいは多波型形状に組み立て、壁面、天井面、床面に接着等の手段で取付けることを特徴とする現場簡易施工型の不燃性電波吸収体に関する。
特許文献6は、銀めっき合成繊維と炭化物形成繊維と熱収縮性繊維とから成る繊維マットに結合剤を付着した難燃性シールド層から成り、炭化物形成繊維と熱収縮性繊維との混率が4:1〜3:1であり、かつ上記結合剤がエチレン−塩ビ共重合体とエチレン−塩ビ−酢ビ共重合体とから選択した1種とアンチモン系難燃剤との混合樹脂であることを特徴とする電磁波シールド材に関する。
また本発明に関係する電磁波吸収性樹脂組成物に関する例としては、例えば以下の技術がある(例えば、特許文献7〜9を参照。)。
特許文献7には銅を主成分とする特殊銅合金が記載されている。特許文献7は、黄金色に極めて近い色合いで、優れた耐蝕性と良好な機械的強度を有する銅合金に関するものであり、電子部品、バネ材料、軸受材等への利用が期待される。なお、この特殊銅合金が電磁波シールド材料用の金属フィラーとしての用途を併せ持つという記載はない。
また、非金属であるスピネル型フェライト焼結体粉末やカーボン粉末を含有する特殊に変性されたポリエステル樹脂からなる塗被組成物が特許文献8に記載されている。特許文献8には、特殊に変性された三次元の架橋構造をもつポリエステル樹脂中に、粉末にした磁気損失材料及び/又は誘電損失材料を配合し、広範囲な周波数帯域に対して優れた電波吸収能を有するとともに、加工性及び電波吸収性能を低下させることなく塗布可能で、かつ密着性の優れた電磁波吸収性樹脂組成物に関する。塗布する対象としては、構造物や機器,構築物が記載されている。
また、高炉水砕スラグの微粉末、ベンゾフェノン系化合物および/又は水酸化リチウムを含有する特殊に変性されたポリエステル樹脂からなる塗被組成物が特許文献9に記載されている。特許文献9も、特許文献8と同様に、イソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートの共重合体からなる変性ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解した液体として用いる電磁波吸収性樹脂組成物である。
特開平3−280500号公報 特公平08−31706号公報 特開2000−82892号公報 特開2003−41523号公報 特開2000−59067号公報 特許第2640779号公報 特開平11−279671号公報 特開平10−7867号公報 特開2001−329137号公報
本発明の目的は、コンピューターをはじめとする各種電子機器等に使用される電磁波抑制紙を対象とし、通常の紙の製造と同様の工程によって加工することができ、電子部品のクリアランスに差し込むことができるほど薄く且つ軽量で、その一方で電磁波に対して所定以上の優れた電磁波抑制効果(電磁波シールド効果)を併せ持つとともに、上記機器部品に不可欠な難燃性を有した電磁波抑制紙を提供することである。
本発明は、上記課題に着目し、基材に難燃化処理を行い、導電性塗料を塗布するという検討を重ね、上記課題を解決しようとするものである。すなわち、本発明に係る電磁波抑制紙は、難燃剤が、基材の絶乾質量に対して10〜100質量%の量で塗布又は含浸処理されている該基材の少なくとも片面に、層の厚さが20〜100μmで、銅を主成分とした銅合金からなる球状粒子と分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体を主体とし、該共重合体中に前記銅合金からなる球状粒子が点在した多孔性の導電性塗料層を有し、数1で求められる前記導電性塗料層の透気度が1500秒以下であり、前記導電性塗料層の上に、難燃剤を合成樹脂中に添加してなるオーバーコート層が設けられ、且つ、全体の厚さが0.3mm以下であり、且つ、前記難燃剤が、有機リン窒素化合物、無機及び有機リン系窒素系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、スルファミン酸アンモニウム、硫酸グアニジン、又は硫酸アンモニウム或いはこれらの組み合わせであることを特徴とする。ここで、難燃剤が、基材の絶乾質量に対して10〜100質量%の量で塗布又は含浸処理されていると、添加量に見合った十分な難燃性効果が得られる。
(数1)導電性塗料層の透気度={(JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5−2、紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法 2000年版で測定した導電性塗料層を設けた後の該導電性塗料層を含む基材の王研式透気度)−(前記王研法で測定した導電性塗料層を設ける前の基材自体の王研式透気度)}
表面のざらつきを低減すると共に、折れ割れの発生を抑制する。電子機器の用途では、塗布層がざらついていたり、折られた時に塗布層の粉が脱落したりすると、ショートや絶縁が起こり、電気回路に悪い影響を及ぼすので表面のざらつきが低減されていること及び折れ割れ性を有していることが好ましい。
本発明に係る電磁波抑制紙では、前記銅合金は、主成分である銅に対し、アルミニウムを2〜10質量%、ニッケルを2〜5質量%、ボロンを0.001〜0.5質量%、鉄を0.5〜5質量%、マンガンを0.1〜3質量%、チタンを0.001〜1質量%、含有していることが好ましい。
本発明に係る電磁波抑制紙では、前記共重合体の分子量が30万〜100万であることが好ましい。
本発明に係る電磁波抑制紙では、前記基材の一方の表面に前記導電性塗料層を有し、他方の表面に粘着剤層を有する場合が包含される。粘着剤層を設けることで、本発明に係る電磁波抑制紙を、電子機器など電磁波を発生する機器に容易に貼付することができる。
本発明に係る電磁波抑制紙では、前記粘着剤層の表面に剥離紙が貼付されている場合が包含される。剥離紙を添付することで、ラベル用紙の形態で電磁波抑制紙を提供することができる。
本発明に係る電磁波抑制紙では、前記基材は、酸性紙、中性紙又はアルカリ性紙、ガラスペーパー、片面又は両面塗工紙、合成紙、或いは、プラスチックフィルムであることが好ましい。基材は、紙基材に限定されない。ここで、ガラスペーパーとは、ガラス繊維による紙状構造体である。紙ベースと同様抄造により製造が可能となる。また軽量で嵩高くすることができる。
本発明に係る電磁波抑制紙では、近傍界用電波吸収材料測定法であるS−パラメーター法(S−21)を用いて測定した、周波数2.4543GHzでの電波吸収率[dB]及び回路への影響度[dB]がいずれも−6dB以下である場合が包含される。
本発明の電磁波抑制紙は、通常の紙の製造と同様の工程によって加工することができる。また、電子部品のクリアランスに差し込むことができるほど薄く且つ軽量で、難燃性、電磁波抑制効果を併せ持つ。更にオーバーコート層を設ければ、塗布層の表面性が良好で、また折れ割れ性にも優れている。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
図1に本実施形態に係る電磁波抑制紙の、導電性塗料層を含む基材の断面の概略図を示す。本実施形態に係る電磁波抑制紙100は、難燃剤が、基材5の絶乾質量に対して10〜100質量%の量で塗布又は含浸処理されている基材5の少なくとも片面に、層の厚さが20〜100μmで、銅を主成分とした銅合金からなる球状粒子2と分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体7を主体とし、分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体7中に銅合金からなる球状粒子2が点在した多孔性の導電性塗料層3を有し、数1で求められる前記導電性塗料層の透気度が1500秒以下であり、且つ、電磁波抑制紙100の全体の厚さが0.3mm以下であり、且つ、前記難燃剤が、有機リン窒素化合物、無機及び有機リン系窒素系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、スルファミン酸アンモニウム、硫酸グアニジン、又は硫酸アンモニウム或いはこれらの組み合わせである。ここで、塗布層の表面性と折れ割れ性の向上のため導電性塗料層3の上に難燃剤を合成樹脂中に添加してなるオーバーコート層1を有する。さらに、ラベル用紙とするためには、粘着剤層6を有していても良く、好ましくは基材5の一方の表面に導電性塗料層3を有し、他方の表面に粘着剤層6を有していても良い。このとき、粘着剤層6の表面に剥離紙(不図示)が貼付されている場合が包含される。
(数1)導電性塗料層の透気度={(JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5−2、紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法 2000年版で測定した導電性塗料層を設けた後の該導電性塗料層を含む基材の王研式透気度)−(前記王研法で測定した導電性塗料層を設ける前の基材自体の王研式透気度)}
(基材)
本実施形態に用いられる基材5としては、広葉樹材若しくは針葉樹材を蒸解して得られる未晒若しくは晒化学パルプ、又は、GP、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、又は、脱墨古紙パルプから選ばれたパルプを単独で若しくは混合し、公知の湿式抄紙機において単層で又は多層で抄紙された通常坪量が30〜250g/m程度の紙が用いられる。抄紙方法は、特に限定されず酸性紙、中性紙或いはアルカリ性紙のいずれであってもよい。又、前記の紙や板紙からなる紙基材の上に公知の澱粉、ポリビニルアルコール、外添用サイズ剤、合成樹脂等から選ばれたサイズ剤をサイズプレスやロールコーターで塗布したものでも良い。更には、ガラスペーパー(ガラス繊維による紙状構造体)、片面又は両面塗工紙、合成紙、プラスチックフィルム等も本実施形態のための基材として使用することができる。
(基材の難燃化処理)
本実施形態に用いられる難燃化処理は、基材5に難燃剤、例えば有機リン窒素化合物、無機及び有機リン系窒素系化合物リン酸アルミニウム系化合物スルファミン酸アンモニウム硫酸グアニジン硫酸アンモニウム等の水溶液化が可能なもの又は水に分散が可能なものを塗布又は含浸する方法である。また、これに、澱粉、サイズ剤、染料等の製紙用副資材やジシアンジアミド、メラミンのメチロール化物、ジシアンジアミドのメチロール化物等の耐熱助剤を併用することも行われる。これら塗布又は含浸処理される難燃剤の量は、難燃剤の種類にも左右されるが、通常、基材5の絶乾質量に対して10〜100質量%であり、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。10質量%未満であると難燃性効果が劣り、100質量%を超えると生産性が低下する場合があり、またコストに見合う性能向上も少ない。
本実施形態では、基材5上への難燃剤の塗布又は含浸は、抄紙機のサイズプレス装置、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ツーストリームコーター、ベルバパコーター、含浸コーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター等の公知のコーターを用いてオンマシン又はオフマシンで行われる。
(導電性塗料層の形成)
本実施形態で使用する導電性塗料は、特許文献7に基づく金属フィラーと特許文献8又は9に基づく分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体にて合成されたもので、ヘルツ化学株式会社の商品である。導電性塗料は、金属フィラーと分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体を主体として含有し、具体的には分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体を溶剤に溶かした液体組成物として金属フィラーと共に含有するものである。
金属フィラー2は、銅を主成分とした銅合金からなる球状粒子であり、好ましい組成は、主成分である銅に対し、アルミニウムを2〜10質量%、ニッケルを2〜5質量%、ボロンを0.001〜0.5質量%、鉄を0.5〜5質量%、マンガンを0.1〜3質量%、チタンを0.001〜1質量%、含有している場合がより好ましい。残部は銅が主成分として含有される。この特殊銅合金は、特許文献7に記載された特殊銅合金であり、同文献と同製法に得られるものである。金属フィラー2の粒子径は0.8〜35μmとすることが好ましく、1.0〜20μmとすることがより好ましい。
一方、超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体7は、固化すると立体規則性を持った3次元のグラフト型構造を有する、分子量が20万以上のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体であることが好ましく、より好ましくは、分子量が30万〜100万のものである。このイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体は、一般のポリマーの100倍以上の分子量があり、分子構造がリニアではなく、3次元構造になっている。溶剤に溶かすことで液体組成物となるが、固化すると立体規則性をもった3次元のグラフト型構造の強固で安定的な塗膜を形成する。このイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体は、特許文献8又は9に記載された共重合体であり、同文献と同製法に得られるものである。レオロジー的な性能に富み、流動性があって金属フィラー(銅を主成分とした銅合金)2をハシゴ状の高機能構造に取り込み、酸化や劣化から確実に保護する。基軸ポリマーは、OH基も2重結合、3重結合もなく、長鎖型のポリマーである。分子構造的に極めて安定しており、このため電磁波に対する強力な遮蔽性能が10年以上の長期にわたって確保される。この分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体7からなる基軸ポリマーは、10%硫酸水溶液に9時間浸漬して全く変化なく、JIS K−5400による5%塩水の耐塩水噴霧試験で1500時間以上耐える。またポリマーは炭素原子の巨大な塊であり、電磁波の根元をなす電子レベルで見た場合、炭素原子はこの電子と深く関わっている。炭素、つまりカーボンは、電波の反射を防ぎ、電磁波を熱エネルギーに変える抵抗体である。導電性高分子材料としてポリアセチレンが有名であるが、基軸ポリマーは、その電子的な機能の点でポリアセチレンを上回っている。
走査型電子顕微鏡で、導電性塗料の塗布層である導電性塗料層を含む基材の断面を観察すると、図1に示すように、銅を主成分とした銅合金からなる球状粒子2が点在している多孔性の導電性塗料層3を有した特殊な構造であり、球状粒子2をセンターにして、その上下が強固で緻密な分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体7(基軸ポリマー)で覆われている。これによって外部の空気、水分を完全に遮断し、耐水性、耐熱性及び耐薬品性に富んだ塗膜を形成でき、長期安定的な電磁波抑制効果が確保される。また、分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体7は、基材5の表面から内部に向かって染み込んでいて(図1の符号4で示される部分)、導電性塗料層3は基材5に強固に接合されている。
導電性塗料層3の透気度としては、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5−2、紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法 2000年版に準拠して測定した導電性塗料層形成前後の基材の王研式透気度の差、すなわち、数1で求められる導電性塗料層の透気度が1500秒以下であることが好ましい。導電性塗料層の透気度が1500秒を超えると、電磁波抑制性が悪化する場合がある。
(数1)導電性塗料層の透気度={(JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5−2、紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法 2000年版で測定した導電性塗料層を設けた後の該導電性塗料層を含む基材の王研式透気度)−(前記王研法で測定した導電性塗料層を設ける前の基材自体の王研式透気度)}
導電性塗料中の金属含有量は、分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体100質量%に対し、50〜500質量%が好ましい。すなわち、導電性塗料を塗布して形成した導電性塗料層は、金属フィラーを前記共重合体に対して、質量換算で0.5〜5倍含有していることが好ましい。5倍を超えると柔軟性が阻害される場合があり、0.5倍未満であると電磁波抑制効果が十分に発揮されないことがある。導電性塗料層では、金属フィラーが前記共重合体に取り囲まれている状態であることが好ましい。
本実施形態では、前記のような塗布組成物の導電性塗料を基材上へ塗布するには公知のコーター、例えばパイプコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、スプレーコーター等から選ばれたコーターを用いて、一層或いは多層に分けて塗布される。なお、導電性塗料層は基材の少なくとも片面に設けられる。
導電性塗料層3の厚さは特に制限されないが、通常20〜100μm程度であり、好ましくは50〜80μmであり、より好ましくは60〜70μmである。20μm未満であると電磁波シールド効果が劣り、100μmを超えると生産性が低下する場合があり、またそれに見合う性能向上も少ない。
導電性塗料塗布後に加熱により乾燥させることが好ましい。導電性塗料塗布後の乾燥方式は特に限定されるものではなく、以下の乾燥方式、すなわち熱風乾燥、赤外乾燥、常温乾燥等の乾燥方式が挙げられるが、その乾燥効率から赤外乾燥、熱風乾燥が好ましい。なお、乾燥温度は電磁波抑制効果を考慮すると20℃以上150℃未満であることが好ましく、50〜100℃であることがさらに好ましい。150℃以上であると分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体が分解されて電磁波抑制効果が悪化し、20℃未満では乾燥時間がかかり生産性が劣る。
(オーバーコート層の形成)
本実施形態では導電性塗料層面のざらつき改善の目的及び折れ割れ性の改善の目的で、導電性塗料層3上にオーバーコート層1を設けることが好ましい。本実施形態で導電性塗料層3上に塗布されるオーバーコート層1用の薬品は、耐熱性又は難燃性を有したものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、熱可塑ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル樹脂、珪素系無機化合物、スチレン系樹脂、前記難燃剤を合成樹脂中に添加したもの、前記難燃剤の単独使用などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
本実施形態では、前記のような塗布組成物のオーバーコート層1用の薬品を導電性塗料層3上へ塗布する方法は、導電性塗料層3の形成の塗布方式と同様である。
オーバーコート層1の厚さは特に制限されないが、通常1〜20μm程度であり、好ましくは3〜10μmである。1μm未満であると導電性塗料層3のザラツキが出て表面性の改善効果がなく、塗布面に折れ割れが発生しやすい。20μmを超えるとコスト的に好ましくない。
オーバーコート層1用の薬品の塗布後に加熱により乾燥させることが好ましい。オーバーコート層1用の薬品の塗布後の乾燥方式は特に限定されるものではなく、以下の乾燥方式、すなわち熱風乾燥、赤外乾燥、常温乾燥等の乾燥方式が挙げられるが、その乾燥効率から赤外乾燥、熱風乾燥が好ましい。なお、乾燥温度は電磁波抑制効果を考慮すると20℃以上150℃未満であることが好ましく、60〜100℃であることがさらに好ましい。150℃以上であると分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体が分解されて電磁波抑制効果が悪化し、20℃未満では乾燥時間がかかり生産性が悪い。
(粘着シートの形成)
粘着シートは、家庭用、商業用、工業用等、非常に広範囲に使用される。本実施形態の具体的な利用方法としては、各種電気機器への電磁波抑制ラベル等である。ラベル化するために例えば粘着シートとすることが考えられる。粘着シートの構成は、支持体と剥離紙との間に粘着剤層6を設けたものであり、支持体には本実施形態に係る電磁波抑制紙、すなわち導電性塗料層3を設けた難燃剤で処理された基材5が使用される。導電性塗料層3の上にオーバーコート層1をさらに設けたものがより好ましい。
一方、本実施形態における剥離紙としては、上質紙等の非塗工紙、一般コート紙、アート紙等の塗工紙、グラシン紙、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等を用いたフィルム又はフィルムラミネート紙が使用される。目的に応じて剥離剤としてシリコーン樹脂やフッ素樹脂を、乾燥質量で0.1〜3g/m程度塗布、乾燥したものを使用できる。本実施形態における粘着剤層6に使用される粘着剤ポリマーとしては、天然ゴム系、合成ゴム系、ポリウレタン系、アクリル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、酢酸ビニル−アクリル酸エステルコポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー等の各種粘着剤が目的に応じて使用される。
以上のように形成した本実施形態に係る電磁波抑制紙100は、オーバーコート層1や粘着剤層6を設けた場合を含めて、全体の厚さが0.3mm以下とすることが好ましい。全体が0.3mm以下の厚さの電磁波抑制紙とすることで、電子機器等の電磁波を発生する機器の部品間のクリアランスに差し込むことが可能となり、且つ軽量である。また、本実施形態に係る電磁波抑制紙の電磁波抑制効果は、近傍界用電波吸収材料測定法であるS−パラメーター法(S−21)を用いて測定した、周波数2.4543GHzでの電波吸収率[dB]及び回路への影響度[dB]がいずれも−6dB以下であることが好ましい。電波吸収率[dB]及び回路への影響度[dB]が−6dBを超えると、電磁波抑制率が75%未満となるので効果が薄い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を示す。なお、物性の測定方法は次の通りである。
(参考例1)
含浸原紙(坪量50±5g/m、厚さ0.075±0.005mm)に難燃剤(無機及び有機リン系窒素系化合物、製品名ピロガードF−400N、第一工業製薬社製)を基材絶乾質量に対して15質量%含浸させた後、熱風乾燥機にて120℃で2分乾燥した。その後、含浸基材の片面に導電性塗料(商品名:エコゴールドPLS−200−US、ヘルツ化学社製)をアプリケーターロールにて膜厚が70±5μmになるように塗布した。参考例1で使用した導電性塗料は、本実施形態の欄で説明した銅及び銅合金とイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体とを含有する組成物である。ここで、この共重合体の分子量は30万〜100万のものを用いた。その後、熱風乾燥機にて60±5℃で1分乾燥し、参考例1の電磁波抑制紙を得た。参考例1では、オーバーコート層を設けなかった。なお、導電性塗料層の厚さは、JIS P8118: 1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠し、塗被紙とその原紙との厚さの差として求めた。
[電磁波抑制紙の物性評価]
このようにして得られた電磁波抑制紙において、導電性塗料層の透気度、難燃性及び電磁波抑制性について、以下の方法に準拠して行い、表1に示した。
[導電性塗料層の透気度]
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5−2、紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法 2000年版に準拠し、導電性塗料層形成前後の基材の王研式透気度を測定し、その差で評価した。
導電性塗料層の透気度=塗料層形成後基材の王研式透気度−基材自体の王研式透気度
すなわち、数1により求められる。
[難燃性]
導電性塗料層面をバーナーで着火し、燃焼具合を評価した。
○:炎上せずに炭化する。
×:着火後、すぐに炎上する。
[電磁波抑制性]
近傍界用電波吸収材料測定法であるS−パラメーター法(S−21)を用いて測定し、周波数2.4543GHzでの電波吸収率[dB]、回路への影響度[dB]とも−6dB以下(75%以上の電磁波抑制率)なら電磁波抑制紙として使えるレベルと判断される。また−10dB(90%の電磁波抑制率)なら電波吸収率[dB]は良好であり、回路への影響度[dB]もないと判断される。更に、−20dBであれば99%、−30dBであれば99.9%の電磁波抑制率となる。
評価基準
×:電波吸収率[dB]及び回路への影響度[dB]とも−6dBより大きく、電磁波抑制紙として不可。
△:電波吸収率[dB]及び回路への影響度[dB]とも−6dB〜−10dBであり、電磁波抑制紙として使えるレベルである。
○:電波吸収率[dB]及び回路への影響度[dB]とも−10dB未満であり、電磁波抑制紙として極めて良好なレベルである。
Figure 0004841896
参考例1では、難燃性及び電磁波抑制性がいずれも優れていた。
電磁波抑制紙の用途によっては、導電性塗料層の塗布面の表面のざらつきが少ないことが要望され、また、折り曲げて使用される場合もある。そこで、導電性塗料層の塗布面の表面性と導電性塗料層の折れ割れ性とをさらに評価項目として加えた場合を検討した。参考例1について、導電性塗料層の塗布面の表面性と導電性塗料層の折れ割れ性の評価は、23℃、50%RHで調湿後、以下の方法に準拠して行った。
[導電性塗料層の塗布面の表面性]
導電性塗料の塗布面を指で触り、触感を評価した。
○:塗布面にザラツキ感無し。
×:塗布面にザラツキ感有り。
[導電性塗料層の折れ割れ性]
導電性抑制紙の導電性塗料の塗布面を二つ折に折り曲げた後、元に戻して、導電性塗料層の折れ割れの発生の有無を調べた。
○:導電性塗料層の塗布面に折れ割れの発生無し。
×:導電性塗料層の塗布面に折れ割れの発生有り。
参考例1では、塗布面にザラツキ感が有り(評価×)、導電性塗料層の折れ割れが発生した(評価×)。
用途によっては、参考例1のように、導電性塗料層の塗布面の表面性と導電性塗料層の折れ割れ性とを持ち合わせていなくても良い場合があるが、導電性塗料層の塗布面の表面をざらつきがないものとし、導電性塗料層の折れ割れの発生を防止するために、耐熱性又は難燃性を有するオーバーコート層を設け、その場合について、実施例2以降で検討した。評価項目は、参考例1の場合と同様に、難燃性、電磁波抑制性とし、さらに、導電性塗料層の塗布面の表面性と導電性塗料層の折れ割れ性も加えた。導電性塗料層の塗布面の表面性は、次のように判断し、それ以外は参考例1と同様とした。
[導電性塗料層の塗布面の表面性]
オーバーコート層用の薬品の塗布面を指で触り、触感を評価した。
○:塗布面にザラツキ感無し。
×:塗布面にザラツキ感有り。
(実施例2)
参考例1と同様に、含浸原紙に難燃剤を含浸させて乾燥した後、含浸原紙の片面に導電性塗料層を形成し、その後、オーバーコート層となるウレタン系樹脂(商品名:メジウムUP−TOP/UP502溶剤=100/20、東洋インキ社製)を丸棒にて膜厚が5±2μmになるように塗布した。その後、乾燥機にて60±5℃で1分乾燥し、実施例2の電磁波抑制紙を得た。
(実施例3)
実施例2において導電性塗料層の膜厚を60±5μmになるように塗布した以外は実施例2と同様にして実施例3の電磁波抑制紙を得た。
(実施例4)
実施例2において難燃剤(無機及び有機リン系・窒素系化合物、製品名ピロガードF−400N、第一工業製薬社製)を基材絶乾質量に対して30±3質量%含浸した以外は実施例2と同様にして実施例4の電磁波抑制紙を得た。
(実施例5)
実施例2において、含浸原紙に代えてガラス繊維紙(坪量40±5g/m、厚さ0.185±0.005mm)とし、難燃剤(無機及び有機リン系・窒素系化合物、製品名ピロガードF−400N、第一工業製薬社製)を基材絶乾質量に対して100±5質量%含浸した以外は実施例2と同様にして実施例5の電磁波抑制紙を得た。
(実施例6)
実施例2においてウレタン系樹脂(商品名:メジウムUP−TOP/UP502溶剤=100/20、東洋インキ社製)を丸棒にて膜厚が10±3μmになるように塗布した以外は実施例2と同様にして実施例6の電磁波抑制紙を得た。
(実施例7)
実施例2において、両面ポリラミ紙85±5g/mを剥離基材として、溶剤シリコーン剥離剤(商品名:KS−776、信越シリコーン社製)を1±0.5g/m、アクリル系粘着剤(商品名:BPS5303−20J1/BHS8515=100/1.5、東洋インキ社製)を20±3g/m塗布、乾燥したものを含浸原紙の非塗布面に貼り合わせて粘着シートを製造した以外は実施例2と同様にして実施例7の電磁波抑制紙を得た。
(実施例8)
実施例2において、ウレタン系樹脂の代わりに常温硬化型シリコーン樹脂(商品名:KR−400、信越シリコーン社製)を丸棒にて膜厚が5±2μmになるように塗布した以外は実施例2と同様にして実施例8の電磁波抑制紙を得た。
(比較例1)
参考例1において、難燃剤を含浸させなかった以外は参考例1と同様にして比較例1の電磁波抑制紙を得た。
(比較例2)
参考例1において、難燃剤の代わりにスチレン系樹脂(商品名:T−XP152、星光PMC社製)を基材絶乾質量に対して38.0±5質量%含浸させた以外は参考例1と同様にして比較例2の電磁波抑制紙を得た。
(比較例3)
参考例1において、難燃剤の代わりに珪素系水性無機化合物(商品名:LC−2000、コーミックス社製)を基材絶乾質量に対して52.0±5質量%含浸させた以外は参考例1と同様にして比較例3の電磁波抑制紙を得た。
(比較例4)
導電性塗料の膜厚を10±3μmになるように塗布した以外は実施例2と同様にして比較例4の電磁波抑制紙を得た。
(比較例5)
導電性塗料の膜厚を120±5μmになるように塗布した以外は実施例2と同様にして比較例5の電磁波抑制紙を得た。
(比較例6)
参考例1において導電性塗料塗布後の乾燥条件を150±5℃で1分とした以外は参考例1と同様にして比較例6の電磁波抑制紙を得た。
(比較例7)
参考例1において導電性塗料塗布後の乾燥条件を160±5℃で1分とした以外は参考例1と同様にして比較例7の電磁波抑制紙を得た。
Figure 0004841896
実施例2〜実施例8ではオーバーコート層を設けたので、参考例1とは異なり、導電性塗料層の塗布面の表面をざらつきがないものとし、導電性塗料層の折れ割れの発生を防止することができた。さらに、実施例2〜実施例8は、参考例1と同様に、難燃性に優れ、また電磁波抑制性はいずれも−10dB以下であり、良好であった。
一方、比較例1〜比較例3では、参考例1と同様にオーバーコート層を設けなかったので、導電性塗料層の塗布面の表面にざらつきが生じ、また、導電性塗料層の折れ割れが発生した。さらに比較例1、比較例2及び比較例3は、難燃剤が含まれていないため、難燃性が不良であった。
比較例4では、導電性塗料層が薄く、電磁波抑制性のうち電波吸収率が不十分であった。比較例5では、導電性塗料層が厚すぎて導電性塗料層の透気度が大きく、また電磁波抑制性のうち電波吸収率が不十分であった。
比較例6及び比較例7は、導電性塗料層の塗布後の乾燥温度が高すぎたために、基軸ポリマーの劣化が生じ、電磁波抑制性のうち電波吸収率が不十分であり、また、導電性塗料層の塗布面の表面にざらつきが生じ、また、導電性塗料層の折れ割れが発生した。
以上のことから、参考例1では難燃性及び電磁波抑制性が良好であり、さらに実施例2〜実施例8では難燃性及び電磁波抑制性が優れていることに加えて、塗布層の表面性と折れ割れ性に優れていた。
本実施形態に係る電磁波抑制紙の、導電性塗料層を含む基材の断面の概略図である。
符号の説明
1,オーバーコート層
2,銅合金からなる球状粒子(金属フィラー)
3,多孔性の導電性塗料層
4,基材のうち分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体が染み込んだ部分
5,難燃剤を含浸した基材(原紙)
6,粘着剤層
7,分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体
100,電磁波抑制紙

Claims (7)

  1. 難燃剤が、基材の絶乾質量に対して10〜100質量%の量で塗布又は含浸処理されている該基材の少なくとも片面に、層の厚さが20〜100μmで、銅を主成分とした銅合金からなる球状粒子と分子量が20万以上の超高分子量のイソブチルメタアクリレートとブチルアクリレートとの共重合体を主体とし、該共重合体中に前記銅合金からなる球状粒子が点在した多孔性の導電性塗料層を有し、数1で求められる前記導電性塗料層の透気度が1500秒以下であり、前記導電性塗料層の上に、難燃剤を合成樹脂中に添加してなるオーバーコート層が設けられ、且つ、全体の厚さが0.3mm以下であり、且つ、前記難燃剤が、有機リン窒素化合物、無機及び有機リン系窒素系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、スルファミン酸アンモニウム、硫酸グアニジン、又は硫酸アンモニウム或いはこれらの組み合わせであることを特徴とする電磁波抑制紙。
    (数1)導電性塗料層の透気度={(JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5−2、紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法 2000年版で測定した導電性塗料層を設けた後の該導電性塗料層を含む基材の王研式透気度)−(前記王研法で測定した導電性塗料層を設ける前の基材自体の王研式透気度)}
  2. 前記銅合金は、主成分である銅に対し、アルミニウムを2〜10質量%、ニッケルを2〜5質量%、ボロンを0.001〜0.5質量%、鉄を0.5〜5質量%、マンガンを0.1〜3質量%、チタンを0.001〜1質量%、含有していることを特徴とする請求項1に記載の電磁波抑制紙。
  3. 前記共重合体の分子量が30万〜100万であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波抑制紙。
  4. 前記基材の一方の表面に前記導電性塗料層を有し、他方の表面に粘着剤層を有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の電磁波抑制紙。
  5. 前記粘着剤層の表面に剥離紙が貼付されていることを特徴とする請求項4に記載の電磁波抑制紙。
  6. 前記基材は、酸性紙、中性紙又はアルカリ性紙、ガラスペーパー、片面又は両面塗工紙、合成紙、或いは、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の電磁波抑制紙。
  7. 近傍界用電波吸収材料測定法であるS−パラメーター法(S−21)を用いて測定した、周波数2.4543GHzでの電波吸収率[dB]及び回路への影響度[dB]がいずれも−6dB以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の電磁波抑制紙。
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