JP4841515B2 - 片艶紙の製造方法及び片艶紙 - Google Patents

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Description

本発明は、片艶紙の製造方法及び片艶紙に関する。さらに詳しくは、オフセット印刷に対応できる表面強度と内部強度と高い光沢度を有する片艶紙およびかかる片艶紙の製造方法に関する。
近年、商業印刷としてオフセット印刷が主流になっている。オフセット印刷はPS版と呼ばれる刷版にインキと湿し水を供給してブランケットを介して紙にインキを転写する方式である。刷版は、画線部は親油性、非画線部は親水性となるように処理されており、画線部にはインキが付着し、非画線部には水が付着することにより、画線部と非画線部が形成されて印刷される。
オフセット印刷では、フレキソ印刷やグラビア印刷と比較してタック(粘着性)の強いインキが使用されるので、紙の表面強度が高いことが要求される。紙の表面強度が低いと、紙粉がブランケットにとられ、白抜けやカスレ等の印刷不良のトラブルが発生する。また、紙の内部強度が低いと紙むけやブリスターが発生する。
かかる問題に対処するために、パルプスラリーに澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂などの内添紙力増強剤を添加して抄紙し、表面強度や内部強度の向上を図ることも行われている。しかし、紙力増強剤を内添する方法では、添加した薬品のすべてが紙にとどまるのではなく、一部の薬品はワイヤー上に留まらなかった微細繊維とともに流失する。すると、内添する量に比べて、内部強度や表面強度を向上させる効果が低く、とくに表面強度を向上させる効果は低くなる。
一方、表面強度を向上させる方法としては、印刷用紙の表面に澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド系樹脂などの表面処理剤をツーロールサイズプレス、ゲートーロールサイズプレス、メタリングサイズプレスなどのロールコーターを用いて塗布することが行われているが、ロールコーターにより塗布する場合には設備が複雑になるという問題がある。
そこで、ロールコーターよりも比較的設備の簡易なスプレー方式による表面処理剤の塗布が検討されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1はオフセット印刷用紙に関する技術であり、表面処理剤をスプレー方式により乾燥重量で1.0g/m2以上塗布することが開示されている。
特許文献2は新聞用紙の製造方法に関する技術であり、ツインワイヤー型抄紙機のプレスパートにおいて、1流体または気−液の2流体スプレーを用いて湿紙に天然又は合成高分子の水溶液又はエマルジョン若しくはスラリーからなる表面処理剤を噴霧することが開示されている。
特許文献3は発泡性粒子を含有する低密度紙に関する技術であり、乾燥前の湿紙上に天然高分子化合物および/または高分子樹脂をスプレー処理することにより、発泡性粒子脱落防止処理を施すことが開示されている。
特開2005−82906号 特開平5−272097号 特開2003−3396号
スプレー方式によって湿紙に表面処理剤を塗布する方法は、印刷用紙の表面に直接表面処理剤を供給するので内添方式に比べると表面強度を向上する効果は高くなる一方、表面処理剤によって印刷用紙の内部強度も向上させるためには表面処理剤を湿紙に浸透させなければならない。ところが、表面処理剤を湿紙に自然に浸透させる場合には、浸透に時間が掛かるし、また、浸透しない分を見越して余分に表面処理剤を湿紙に塗布しなければならなくなり無駄が多くなるという問題が生じる。
しかし、上記特許文献1〜3には、スプレー方式によって湿紙に表面処理剤を塗布する場合に生じる問題を解決する方法は記載されていない。
また、浸透しない分を見越して余分に表面処理剤を塗布する場合、紙表面に残留する表面処理剤の量が多くなる可能性がある。すると、片艶紙の製造に適用した場合には、余分に残留した表面処理剤によって湿紙とヤンキードライヤーとの接着力が強くなりすぎ、ヤンキードライヤー表面にパルプ繊維が取られる問題が発生する恐れもある。
本発明は上記事情に鑑み、オフセット印刷に対応できる表面強度と内部強度と高い光沢度を有する片艶紙およびかかる片艶紙の製造方法を提供することを目的とする。
第1発明の片艶紙の製造方法は、片艶紙を製造する方法であって、抄紙機のプレスパートにおいて、片艶紙において艶面となる湿紙のオモテ面に、片艶紙の表面強度および内部強度を高くする表面処理剤を0.30〜2.0g/m 2 スプレー塗布し、該スプレー塗布と同時にまたは該スプレー塗布後、前記湿紙のオモテ面からウラ面の方向に吸引脱水を行うことを特徴とする。
第2発明の片艶紙は、紙に含まれる紙の表面強度および内部強度を高くする紙改質剤の合計含有量が0.30〜2.0g/m2であり、紙を2層に分割したときにおいて、艶面層における紙改質剤の含有率(A)と反艶面層における紙改質剤の含有率(B)の比(A/B)が1.2〜3.0であることを特徴とする。
なお、特許請求の範囲でいう表面処理剤の塗布量および紙改質剤の含有量は、固形分の量を示している。
第1発明によれば、表面処理剤が塗布された湿紙を吸引脱水すれば、湿紙に塗布された表面処理剤を湿紙内に強制的に浸透させることができる。よって、表面処理剤を効果的に湿紙に浸透させることができるから、湿紙に塗布する表面処理剤の量を抑えつつ、製造される片艶紙の表面強度と内部強度の両方を向上させることができる。しかも、湿紙オモテ面に残留する表面処理剤を少なくできるので、ヤンキードライヤー表面においてパルプ繊維が取られることも防ぐことができる。そして、表面処理剤の塗布後吸引脱水を行えば、湿紙に均一に表面処理剤を浸透させることができる。また、表面処理剤の塗布と同時に吸引脱水を行えば、表面処理剤が周囲に飛散することを抑えることができ、使用する表面処理剤の量を抑えることができる。さらに、適切な量の表面処理剤を塗布しているので、表面処理剤を湿紙内部に適度に浸透、分散させることができるので、表面処理剤による表面強度および内部強度向上効果をさらに向上させることができる。
第2発明によれば、紙改質剤が紙層内部に適度に浸透、分散した状態となっているから、表面強度と内部強度の両方が高くなり、オフセット印刷にも対応することができる。
つぎに、本発明の実施形態を説明する。
本発明の片艶紙は、オフセット印刷に対応できる表面強度と内部強度、および高い光沢度を有するものである。
まず、片艶紙について簡単に説明する。
片艶紙は、ヤンキードライヤーを備えた抄紙機で製造され、片艶紙の重要品質である艶(光沢度)はヤンキードライヤーとの接触により付与される。具体的には、ワイヤパート、プレスパート、プレドライヤーを通過した紙(湿紙)がタッチロールにより加熱されたヤンキードライヤーの表面に圧接され、加熱乾燥されることによりヤンキードライヤーの平滑性が紙に転写されるから、ヤンキードライヤーに接触した面に光沢が出現させることができる。通常、片艶紙において、光沢のある面を艶面、艶面と異なる面を反艶面という。
本発明の片艶紙は、表面強度と内部強度を高めるために、紙改質剤が含まれている。紙改質剤としては、原料に添加する薬剤、および、製造工程において湿紙のオモテ面に塗布される表面処理剤がある。
そして、本発明の片艶紙は、最終製品となった状態において、紙改質剤の合計含有量が0.30〜2.0g/m2であって、しかも、紙を2層に分割したときにおいて、艶面側の層(艶面層)における紙改質剤の含有率(A)と、反艶面側の層(反艶面層)における紙改質剤の含有率(B)の比(A/B)が1.2〜3.0となっているものである。
上記のごとき本発明の片艶紙は、紙改質剤が紙層内部に適度に浸透、分散した状態となっているから、内部強度が高く、オフセット印刷を行ったときに、紙むけやブリスターが発生することを防ぐことができる。
しかも、艶面層に十分な量の紙改質剤が含有されているので、印刷が行われる艶面の表面強度が高く、オフセット印刷を行ったときに、紙粉がブランケットに取られたり、白抜けやカスレ等の印刷不良のトラブルが発生することを防ぐことができる。
ここで、紙改質剤の合計含有量が0.30〜2.0g/m2であるから、A/Bが1.2より小さい、すなわち紙内部での表面処理剤の均一化がより進んだ状態では、艶面側の紙改質剤濃度が低く艶面において薬品効果が十分発揮されないので、表面強度を十分に向上できない。
逆に、紙改質剤の合計含有量が0.30〜2.0g/m2であるから、A/Bが3.0より大きいと、艶面側の紙改質剤濃度が高いので表面強度は高くできるものの、艶面側以外の部分では紙改質剤が不足した状態となり内部強度が低くなる。
したがって、本発明の片艶紙は、最終製品となった状態において、紙改質剤の合計含有量が0.30〜2.0g/m2であって、しかも、紙を2層に分割したときにおいて、艶面層における紙改質剤の含有率(A)と、反艶面層における紙改質剤の含有率(B)の比(A/B)が1.2〜3.0となっていることが必要であり、とくに、A/Bが1.3〜2.2であることが好ましい。
なお、紙改質剤の合計含有量が0.30 g/m2より少なかった場合には、紙改質剤が不足した状態となるので、表面強度と内部強度と光沢度向上の効果が低くなる。
一方、紙改質剤の合計含有量が2.0g/m2より多いと、表面強度と内部強度と光沢度向上の効果が頭打ちとなる上、ヤンキードライヤーへの接着が強くなり過ぎる。すると、表面処理剤やパルプ繊維がヤンキードライヤーに取られて、汚れが発生する懸念がある。
よって、本発明の片艶紙は、最終製品となった状態において、紙改質剤の合計含有量が0.30〜2.0g/m2であることが好ましく、とくに、0.50〜2.0g/m2が好ましい。
つぎに、本発明の片艶紙に使用する原料を説明する。
本発明の片艶紙は、原料パルプとして、クラフトパルプ、古紙パルプ、機械パルプなどが使用できる。クラフトパルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)などが使用できる。また、古紙パルプとしては、新聞古紙脱墨パルプ、上質古紙脱墨パルプなどの脱墨パルプや段ボール古紙パルプなどが使用できる。機械パルプとしては、ストーングラウンドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等を使用することができる。
また、原料パルプには、薬剤として、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤などを添加できる。サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸などのサイズ剤が使用できる。紙力増強剤としては、カチオン澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂などが使用できる。その他、必要に応じて、湿潤紙力増強剤、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤、染料等の添加剤も薬剤として使用することができる。
また、表面処理剤には、カチオン澱粉、酸化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体などの樹脂が使用できる。薬品の定着が良好なことからカチオン性の表面処理剤を使用するのが好ましく、カチオン澱粉がより好ましい。
なお、後述するように、表面処理剤をスプレー塗布するのであれば、表面処理剤にドライヤー剥離剤、ドライヤー接着剤、粘度調整剤、防腐剤などを添加してもよい。
つぎに、本発明の片艶紙の製造に使用される抄紙機を説明する。
図1は本実施形態の抄紙機におけるプレスパートPPの概略説明図であり、(A)はサクションロールSRを設けた例であり、(B)はサクションボックスSBを設けた例である。
図1において、符号WPは本実施形態の抄紙機のワイヤパートを示しており、符号PPはプレスパートを示している。図1に示すように、ワイヤパートWPである程度脱水された湿紙は、プレスパートPPにおける、第1プレス部P1、第2プレス部P2、第3プレス部P3において、ロール間に挟まれ加圧されてさらに脱水され、図示しないドライヤーパートのヤンキードライヤーに供給される。なお、ドライヤーパートは、ヤンキードライヤーの前に多筒ドライヤーを有するものでもよい。
以下では、湿紙において、片艶紙の艶面となる面をオモテ面、反艶面となる面をウラ面という。
図1に示すように、本実施形態の抄紙機のプレスパートPPには、湿紙のオモテ面側に配設され湿紙のオモテ面に表面処理剤を吹き付けるスプレー部SPと、湿紙のウラ面側に配設され湿紙のオモテ面からウラ面の方向に吸引脱水を行うサクションボックスSBまたはサクションロールSRとが設けられている。
このため、スプレー部SPによって表面処理剤が塗布された湿紙をサクションボックスSBまたはサクションロールSRによって吸引脱水することができるから、湿紙に塗布された表面処理剤を湿紙内に強制的に浸透させることができる。すると、表面処理剤が直接供給される湿紙オモテ面だけでなく、湿紙内部における表面処理剤の濃度を高くすることができる。つまり、湿紙内部における紙改質剤の濃度を高くすることができるので、紙の表面強度と内部強度の両方を向上させることができる。
しかも、湿紙に塗布された表面処理剤を短時間かつ確実効果的に湿紙内に浸透させることができるから、湿紙に浸透定着しない表面処理剤を見越して、余分な表面処理剤を塗布しなくても良くなり、湿紙に塗布する表面処理剤の量を抑えることができる。
なお、スプレー部SPを、サクションボックスSBまたはサクションロールSRの上流側、つまりワイヤパート側(図1ではスプレー部SP1の位置)に配設すれば、スプレー部SPによって表面処理剤が塗布された後サクションボックスSBまたはサクションロールSRによる吸引脱水が行われる。この場合、スプレー部SPから塗布された表面処理剤を湿紙オモテ面や湿紙表層においてある程度拡散させてから湿紙内部に浸透させることできるから、湿紙に均一に表面処理剤を浸透させることができる。
さらになお、スプレー部SPを、湿紙を挟んでサクションボックスSBまたはサクションロールSRと対向する位置(図1ではスプレー部SP2の位置)に配設すれば、スプレー部SPによって表面処理剤が塗布されると同時にサクションボックスSBまたはサクションロールSRによる吸引脱水が行われる。すると、スプレー部SPから塗布された表面処理剤は、サクションボックスSBまたはサクションロールSRの吸引力によって湿紙に吸い付けられるから、表面処理剤が湿紙の周囲に飛散することを抑えることができる。よって、無駄にする表面処理剤が少なくなるから、使用する表面処理剤の量を抑えることができる。
さらになお、サクションボックスSBまたはサクションロールSRのいずれによって吸引脱水を行ってもよいが、サクションロールSRを採用した場合には、サクションボックスSB等の特別なサクション部を設ける必要がないので、抄紙機の構造が複雑化することを防ぐことができる。
なお、本発明の片艶紙の製造に際しては、ヤンキードライヤーで乾燥後に、カレンダー装置により紙厚を均一化することもできる。かかるカレンダー装置としては、チルドカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダーなどの一般に使用されているカレンダー装置が使用できる。
つぎに、本実施形態の抄紙機をより詳しく説明する。
抄紙機のプレスパートPPに使用されるロールとしては、表面が平坦なプレーンロール、ゴム被覆表面に、幅0.2〜0.5mm、深さ2〜3mm、ピッチ3mm前後の溝を切ったグルーブドロール、ロール内部にサクション部を設けて搾水と同時に水を吸引するサクションロール(サクションロールに溝を設けたサクショングルーブドロールも含む)がある。通常、これらのロールが組み合わされた一対のニップ部(図1では第1〜第3プレス部P1〜P3)が複数段設置されてプレスパートPPが構成されている。
スプレー部SPにおいて、スプレー塗布する際の湿紙水分は60〜90%が好ましい。60%より低いとスプレー塗布された表面処理剤の紙層内部での分散が悪く、90%以上であるとプレスパートでの搾水時に表面処理剤の流失量が多くなるという問題がある。
スプレー部SPのスプレー方式は、1流体スプレー、気−液の2流体スプレーのいずれも使用できるが、圧縮空気の必要ない1流体スプレーが好ましい。スプレーの噴霧パターンは扇形、充円錐、空円錐のいずれも使用できる。スプレーノズルについては塗布ムラができないように設置間隔や設置本数を調整する。
また、本発明の片艶紙を製造する場合には、スプレー部SPから塗布される表面処理剤の塗布量は、0.30〜2.0g/m2が好ましい。
表面処理剤の塗布量が0.30g/m2より少ないと、湿紙に対して十分な量の表面処理剤を浸透付着させることができないので、表面強度と内部強度と光沢度向上の効果が低くなる。
一方、表面処理剤の塗布量が2.0g/m2より多いと、表面強度と内部強度と光沢度向上の効果が頭打ちとなる上、ヤンキードライヤーへの接着が強くなり過ぎる。すると、表面処理剤やパルプ繊維がヤンキードライヤーに取られて、汚れが発生する懸念がある。
よって、本発明の片艶紙を製造する場合には、スプレー部SPから塗布される表面処理剤の塗布量は、0.30〜2.0g/m2が好ましく、0.50〜2.0g/m2がより好ましい。
なお、表面処理剤の塗布量は、表面処理剤の濃度やスプレー圧力によって調整することができる。
また、スプレー部SPから塗布する表面処理剤の塗布濃度は表面処理剤の種類によって異なるが、0.50〜2.0重量%とするのが好ましい。表面処理剤の塗布濃度が0.50重量%より低いと、表面強度と内部強度を向上させるために十分な塗布量が得られにくい。一方、表面処理剤の塗布濃度が2.0重量%より高いと吸引脱水による表面処理剤の均一化が難しくなる。
よって、スプレー部SPから塗布する表面処理剤の塗布濃度は、表面処理剤の種類によって異なるものの、概ね0.50〜2.0重量%とするのが好ましい。
以下、本発明の片艶紙の製造方法の有効性を確認した。
有効性は、片艶紙の艶面層と反艶面層の澱粉含有量とその比率(艶面層/反艶面層)、艶面の白紙光沢、白抜け評価、内部強度評価によって評価した。
なお、以下の説明では、重量は固形分の量で表しており、%は特に断りのない限り、重量%を表す。
(実施例1)
NBKP70重量部(ろ水度450mlCSF)、LBKP30重量部(ろ水度400mlCSF)からなる原料パルプを使用し、硫酸バンドでpHを5.5に調整し、酸性ロジンサイズ剤0.50重量%を添加して片艶紙を抄紙した。スプレー装置により、湿紙のオモテ面(艶面となる面)にカチオン澱粉(日本NSC株式会社製 商品名:CATO304)を糊化し濃度0.60%に調整した表面処理剤を圧力4.0kgf/cm2でスプレー塗布して坪量100g/m2の片艶紙を製造した。
表面処理剤は第1プレス部P1(図1参照)の上流側で塗布しており、スプレー塗布した直後の第1プレス部P1は、紙のオモテ面側がプレーンロール、ウラ面側がサクションロールとなっており、搾水とともにオモテ面からウラ面の方向へサクションプレスロールにより吸引脱水を行っている。スプレー装置は、フラット散水型スプレーノズル(株式会社ニイクラ製 1/4 SO495)を抄紙機の幅方向5cm間隔で配列したものを4系列設置して使用した。
(実施例2)
澱粉濃度を0.70%に変化させた以外は実施例1と同様にして片艶紙を製造した。
(実施例3)
澱粉濃度を2.0%、スプレー圧力を4.5kgf/cm2に変化させた以外は実施例1と同様にして片艶紙を製造した。
(実施例4)
澱粉濃度を0.50%、スプレー圧力を3.5kgf/cm2に変化させた以外は実施例1と同様にして片艶紙を製造した。
(比較例1)
表面処理剤をスプレー塗布する場所を第3プレス部P3の上流側で第2プレス部P2の下流側に変更した以外は実施例1と同様に片艶紙を製造した。なお、第3プレス部P3ではサクションプレスロールによる吸引脱水は行っていない。
(比較例2)
表面処理剤のスプレー塗布を行わず、カチオン澱粉(日本NSC株式会社製 商品名:CATO304)を0.50重量%内添した以外は実施例1と同様に片艶紙を製造した。
(比較例3)
澱粉濃度を0.40%にした以外は比較例1と同様にして、片艶紙を製造した。
(比較例4)
澱粉濃度を2.0%に変化させた以外は比較例1と同様にして、片艶紙を製造した。
(比較例5)
澱粉濃度を0.30%に変化させた以外は実施例1と同様にして、片艶紙を製造した。
(比較例6)
澱粉濃度を2.7%に変化させた以外は実施例1と同様にして、片艶紙を製造した。
なお、各実施例および各比較例によって得られる片艶紙において、片艶紙の艶面層と反艶面層の澱粉含有量とその比率(艶面層/反艶面層)、艶面の白紙光沢、白抜け評価、内部強度評価は、以下の方法で試験を行った。
(澱粉含有量の測定)
紙を2層に分割した一方の試料について澱粉を蒸留水と塩酸で抽出し、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液KI‐I(7.5g のWakoよう化カリウム161-03987と5.0gのWakoよう素092-00405を1.0Lの蒸留水に溶解させたもの)を加えて発色させた。そして吸光度計(HITACHI U−1500)により吸光度測定を行い、澱粉含有量を定量した。
(白紙光沢)
JISP8142「紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法」
(白抜け評価)
RI印刷試験機を用いてベタ印刷し、白抜けを以下の4段階で評価した。
◎優れる、○良い、△やや悪い、×悪い
(内部強度評価)
JAPAN TAPPI No.18−2「紙及び板紙−内部結合強さ試験方法―第2部:インターナルボンドテスタ法」により、押さえ圧4.0kgf/cm2、押さえ時間10秒の条件で測定し、内部強度を以下の4段階で評価した。
◎300mJ以上、○270mJ以上300mJ未満、△250mJ以上〜270mJ未満、×250mJ未満
図2に示すように、本発明の実施例では、白紙光沢が高く、白抜け評価、内部強度評価も良くなっている。
一方、比較例1は表面処理剤のスプレー塗布場所を第3プレス部P3の上流側で第2プレス部P2の下流側にした例であり、スプレー塗布後にサクションプレスロールによりオモテ面からウラ面の方向に吸引脱水を行っていないので、表面処理剤の分散が不十分であり、澱粉含有量の比率(艶面/反艶面)が3.2と高くなっており、白抜け評価、内部強度評価ともに悪くなっている。
比較例2は表面処理剤のスプレー塗布を行わず、紙力増強剤を内添した例であるが、白紙光沢、白抜け評価が悪くなっている。
比較例3は塗布量が0.28g/m2と少なくなっており、白紙光沢、白抜け評価、内部強度評価が悪くなっている。
比較例4は塗布濃度が2.0重量%と高く、実施例3と同じであり白紙光沢は実施例3と同じく高いが、スプレー塗布後にサクションプレスロールによりオモテ面からウラ面の方向に吸引脱水を行っていないので、表面処理剤の分散が不十分となり、白抜け評価、内部強度評価が悪くなっている。
比較例5は、塗布量が0.28g/m2と少なくなっており、白紙光沢、白抜け評価、内部強度評価が悪くなっている。
比較例6は、塗布量が2.1g/m2と多くなっており、湿紙とヤンキードライヤーの接着が強くなりパルプ繊維がドライヤー表面にとられる問題が生じた。
以上のごとく、本発明の片艶紙の製造方法は、表面強度および内部強度が強く、高い光沢度を有する片艶紙を製造できることが確認できた。
本発明の片艶紙は、オフセット印刷や、オフセット印刷された包装用紙などに適している。
また、本発明の抄紙機は、片艶紙や非塗工紙などの製造に適している。
本実施形態の抄紙機におけるプレスパートPPの概略説明図であり、(A)はサクションロールSRを設けた例であり、(B)はサクションボックスSBを設けた例である。 本発明の片艶紙と比較例の片艶紙とを比較実験した結果を示す表である。
PP プレスパート
P1 第1プレス部
P2 第2プレス部
P3 第3プレス部
SB サクションボックス
SR サクションロール
SP スプレー部
WP ワイヤパート

Claims (2)

  1. 片艶紙を製造する方法であって、
    抄紙機のプレスパートにおいて、片艶紙において艶面となる湿紙のオモテ面に、片艶紙の表面強度および内部強度を高くする表面処理剤を0.30〜2.0g/m 2 スプレー塗布し、
    該スプレー塗布と同時にまたは該スプレー塗布後、前記湿紙のオモテ面からウラ面の方向に吸引脱水を行う
    ことを特徴とする片艶紙の製造方法。
  2. 紙に含まれる紙の表面強度および内部強度を高くする紙改質剤の合計含有量が0.30〜2.0g/m2であり、紙を2層に分割したときにおいて、艶面層における紙改質剤の含有率(A)と反艶面層における紙改質剤の含有率(B)の比(A/B)が1.2〜3.0である
    ことを特徴とする片艶紙。
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