JP7384556B2 - 撥水性ライナーおよび段ボールシート - Google Patents

撥水性ライナーおよび段ボールシート Download PDF

Info

Publication number
JP7384556B2
JP7384556B2 JP2018241646A JP2018241646A JP7384556B2 JP 7384556 B2 JP7384556 B2 JP 7384556B2 JP 2018241646 A JP2018241646 A JP 2018241646A JP 2018241646 A JP2018241646 A JP 2018241646A JP 7384556 B2 JP7384556 B2 JP 7384556B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
liner
repellent
base paper
paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018241646A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020100923A (ja
Inventor
郁加 松本
一行 阿部
勇貴 喜多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP2018241646A priority Critical patent/JP7384556B2/ja
Publication of JP2020100923A publication Critical patent/JP2020100923A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7384556B2 publication Critical patent/JP7384556B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Description

本発明は、撥水性ライナーおよび当該撥水性ライナーを有する段ボールシートに関する。
水気のある環境下で使用することを前提とした段ボールシートは、水分の影響を排除するために、撥水性を有することが必要とされる。段ボールシートに撥水性を付与するためには、多くの場合、段ボールシートの表(オモテ)側のライナーに撥水剤を塗工することが行われる。
ところが、ライナーに撥水剤を塗工する際に、塗工ムラが生じることがある。その結果、撥水剤塗工後のフレキソ印刷工程において、水系インクの印刷スジが生じたり、その後の製函工程において、印刷面のコスレ汚れ等が生じるおそれがある。いずれの場合においても、梱包材として製品を包装する上で重要な印刷情報の伝達能力、および外観の見栄えを大きく損なう可能性があり、改善を図ることが必要とされる。
ライナー表面の印刷適性を向上させる方法については、既にいくつかの方法が開示されている。例えば、特許文献1には、ライナー表面の平滑性を改善して、印刷網点の欠落を低減し、光沢や印刷品質を向上させる方法が開示されている。特許文献1に記載の方法は、基紙の片面に水および必要に応じて水溶性物質を主成分とする水性組成物を塗布し、その後ソフトカレンダー処理を行うというものである。
また、特許文献2には、ライナーのフレキソ印刷における印刷ムラを低減させる方法が開示されている。特許文献2に記載の方法は、ライナーの表層の表面に少なくともサイズ剤が塗工されており、動的液体浸透性測定装置により測定したライナー表面の浸透特性曲線のピーク出現時間を特定の範囲に制御するというものである。
特開2000-303384号公報 特開2014-70316号公報
特許文献1の方法では、印刷ムラの低減効果にさらに改良の余地を有するものであり、また、製造装置としてソフトニップカレンダーを用いているため、新たな設備の導入を必要とするものであった。また、特許文献2の方法では、ライナー表面の凹凸ムラが改善されないため、印刷ムラの低減効果にさらに改良の余地を有するものであった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の課題は、撥水剤の塗工ムラを改善し、フレキソ印刷時の印刷ムラや製函時の印刷面のコスレ汚れの発生を抑制し、印刷特性に優れた撥水性ライナーおよび段ボールシートを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ライナー原紙の表面の凹凸が印刷特性に大きく関わっていることを見出した。また、ライナー原紙の表面の凹凸はパルプ原料や抄造工程におけるフェルト表面の凹凸が関係していることを見出した。さらに、抄紙工程にてライナー上の周期的な凹凸を抑制することにより、撥水剤の塗工ムラを改善し、撥水ライナーの印刷性を向上させることに成功した。本発明は、このような知見を基に完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、以下のような構成を有している。
(1)ライナー原紙の表側表面に撥水層を備えた撥水性ライナーであって、前記ライナー原紙のパルプ中の針葉樹クラフトパルプの含有割合が50質量%以下であり、前記ライナー原紙の表側表面における、1.0~2.0mmのピッチで存在する凹凸の深さの標準偏差が0.2μm以下であることを特徴とする撥水性ライナー。
(2)前記撥水層の形成量が0.3~0.5g/mである前記(1)に記載の撥水性ライナー。
(3)前記ライナー原紙中の内添サイズ剤の含有割合が0.20~3.00質量%である前記(1)または前記(2)に記載の撥水性ライナー。
(4)前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の撥水性ライナーを有する段ボールシート。
本発明の撥水性ライナーによれば、撥水剤の塗工ムラが改善されるので、フレキソ印刷時の印刷ムラや製函時の印刷面のコスレ汚れの発生を抑制することができる。また、本発明の段ボールシートは、前記撥水性ライナーを有するため、印刷特性に優れている。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[撥水性ライナー]
撥水性ライナーは、ライナー原紙と、当該ライナー原紙の表側表面に形成された撥水層とを備えている。以下、本実施形態を構成する各部材について説明する。
[ライナー原紙]
ライナー原紙は、セルロースパルプを主成分とする。ここで、主成分とは、ライナー原紙を構成する成分のうち50質量%以上を占める成分をいう。
(パルプ)
セルロースパルプとしては、強度の観点から化学パルプを用いることが好ましい。代表的な化学パルプとして、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とがある。NKPは繊維が長いために、抄紙された紙の引張強度を大きくすることができる。しかし、NKPの配合量を増やすと、紙の表面の凹凸が大きくなり、印刷品質を低下させるおそれがある。
そのため、本実施形態のライナー原紙では、印刷品質を保持するため、パルプ中のNKPの含有割合を50質量%以下とする。パルプ中のNKPの含有割合は、15~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましく、30~40質量%がさらに好ましい。
パルプは晒パルプでもよく、未晒パルプでもよい。特に断りのない限り、LKPとNKPにはそれぞれ晒パルプまたは未晒パルプを含む。広葉樹晒クラフトパルプをLBKP、針葉樹晒クラフトパルプをNBKPということがある。広葉樹未晒クラフトパルプをLUKP、針葉樹未晒クラフトパルプをNUKPということがある。
パルプ成分には、上記NKPおよびLKP以外のパルプ(以下、他のパルプと称す)を含んでいてもよい。他のパルプとしては、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ(DIP)、あるいはケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的にまたは機械的に製造されたパルプ等が挙げられる。パルプ成分の合計質量に対して、他のパルプの含有割合は、50~85質量%であることが好ましく、60~80質量%であることがより好ましい。
パルプの離解フリーネス(csf)は、抄紙工程での脱水性を良好に保つと共に、強度、平滑性及び印刷適性を向上させる観点から、200~630mlが好ましく、380~600mlがより好ましく、450~550mlがさらに好ましい。ここで、離解フリーネス(csf)とは、紙を離解して得られたパルプスラリーを用いて測定したカナディアンスタンダードフリーネスの値を指す。離解フリーネス(csf)は、抄紙される前のセルロースパルプのフリーネスを増減することにより調整することができる。
(填料)
ライナー原紙を抄紙する際に配合する填料は、製紙分野で一般に使用されている填料が使用可能であり、特に限定されない。填料の例としては、クレー、焼成カオリン、デラミネートカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの有機填料が挙げられる。これらの填料は単独または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
(内添サイズ剤)
ライナー原紙中に内添サイズ剤を添加することによって、撥水剤の塗工ムラを改善することができる。これは、ライナー原紙に対する撥水剤の内部への浸透が抑制され、ライナー原紙表層部への撥水剤の固着が均一になるためと推定される。ライナー原紙中の全固形分に対する内添サイズ剤の含有割合は、0.20~3.00質量%が好ましく、0.20~2.00質量%がより好ましく、0.20~0.50質量%がさらに好ましい。内添サイズ剤としては、例えばロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アクリル系サイズ剤、高級脂肪酸系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤等の公知の内添サイズ剤を用いることができる。これらの中でもロジン系サイズ剤が好ましい。
(内添助剤)
ライナー原紙を抄紙する際に、サイズ剤以外の各種内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用することができる。内添助剤の例としては、歩留まり向上剤、ろ水度向上剤、紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類、硫酸バンド、多価金属化合物、シリカゾル、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。
[撥水性ライナー]
段ボールシートに撥水性を付与するためには、通常、段ボールシートを構成するライナーの表側表面に撥水剤を塗工する。しかし、ライナー原紙の表面に撥水剤を塗工する際に、撥水剤の塗工が不均一となり、撥水剤の塗工ムラが生じることがある。
段ボールシートのライナーへの印刷では、一般に、フレキソ印刷法が用いられる。フレキソ印刷法では、水系の比較的粘度の低いインクが使用される。そのため、ライナー原紙の表面に撥水剤の塗工ムラがあると、段ボールシートにフレキソ印刷を施したときに、インクが部分的にはじかれて、印刷ムラや印刷スジが生じ易くなる。また、印刷後の製函工程において、印刷面のコスレ汚れが生じ易くなるおそれがある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、ライナー原紙の表面に撥水剤の塗工ムラが生じる原因について検討を重ねた。撥水剤の塗工ムラの発生状況を子細に観察したところ、塗工ムラには規則性があることが分かった。すなわち、塗工ムラが、幅方向に、1.0~2.0mm程度のピッチで繰り返し発生していることが判明した。この1.0~2.0mm程度のピッチで発生する塗工ムラの発生原因について、ライナー原紙の抄紙工程を遡って調査したところ、プレスパートで用いられるフェルトのフェルトマークに起因することを突き止めた。ここで、ピッチとは、塗工ムラの規則性の周期(距離)のことをいう。
プレスパート(搾水工程)では、ワイヤーパートで製造された湿紙をフェルト(毛布)に乗せ、プレスロールで挟んで両面から圧縮することによって、湿紙が含有する水分を低減させる。このとき、フェルト表面に1.0~2.0mm程度のピッチの凹凸が存在すると、当該フェルトマークが転写されて、ライナー原紙に繊維の密度ムラが生じる。このライナー原紙の繊維の密度ムラが、撥水剤の塗工の際に、塗工量の微妙な差異を引き起こすものと推定される。
次に、本発明者らは、撥水剤の塗工ムラの発生を低減させ、印刷特性に優れた撥水性ライナーとするために、表面粗さに着目し、ライナー原紙に許容される表面の凹凸のばらつきの程度について検討を進めた。ライナー原紙の表面において、表面の凹凸曲線を測定し、隣り合う凸部と凹部との高さの差を、凹凸の深さと定義する。ライナー原紙の表面の凹凸の深さのばらつきを定量化して評価する方法として、所定の面積のライナー原紙の表面において、1.0~2.0mmのピッチで存在する凹凸の深さの数値を多数測定し、それらの多数の凹凸の深さの数値のばらつきを標準偏差として表わすこととした。
具体的には、ライナー原紙の表面の凹凸の深さの標準偏差を測定するための測定装置として、KEYENCE社製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR-3000」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR-H2A」を使用することができる。また、測定条件は、倍率12倍、視野面積50mm×50mmである。なお、測定倍率と視野面積は、凹凸の深さの大きさによって、適宜変更してもよい。ワンショット3D測定の場合、面全体を測定するため、全体の形状やうねりがわかりやすい。
凹凸の深さの標準偏差の数値は、KEYENCE社製ワンショット3D形状測定機VR-3000およびKEYENCE社製解析アプリケーションVR-H2Aにて取得した紙表面情報を、株式会社アイ・スペック製汎用画像処理/解析ソフトウェアパッケージIOMateにて周波数解析することにより得ることができる。
実際に種々の表面の凹凸の深さの標準偏差を有するライナー原紙について、撥水剤を塗工した後の印刷濃淡ムラを評価して、ライナー原紙に許容される表面の凹凸の深さのばらつきの程度について検討を進めた。その結果、ライナー原紙の表側表面における、1.0~2.0mmのピッチで存在する凹凸の深さの標準偏差が0.2μm以下であるときに、塗工ムラの発生が低減し、印刷特性に優れた撥水性ライナーとなることを見出した。ライナー原紙の表側表面における、1.0~2.0mmのピッチで存在する凹凸の深さの標準偏差は、0.15μm以下であることがより好ましい。
ライナー原紙の表側表面における、1.0~2.0mmのピッチで存在する凹凸の深さの標準偏差を0.2μm以下とするためには、プレスパートで用いるフェルト表面を平滑にして表面の微細な凹凸を低減させること、プレスロールで圧縮するときの線圧を低減させること等の方法がある。
ライナー原紙の坪量は、好ましくは160~340g/mであり、より好ましくは200~340g/mである。坪量が160g/m未満であると、強度の低下や、段ボール形成時の表面波うちの発生による外観の悪化に繋がるおそれがある。一方、坪量が340g/mを超えると、近年の軽量化、省資源化の要請に反するおそれがある。
ライナー原紙の密度は、所望に応じて適宜設定すればよく、特に限定されることはないが、0.70~0.90g/cmとすることが好ましい。ライナー原紙の密度が0.70g/cm未満であると、ライナー表層の強度が低くなるおそれがある。一方、ライナー原紙の密度が0.90g/cmを超えると、十分な量の接着剤水溶液を吸収できず、十分な貼合強度が維持されないおそれがある。
(抄紙)
プレスパート以外のライナー原紙の抄紙方法および抄紙機の種類は、特に限定されるものではない。長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公知の抄紙方法および抄紙機を適宜選択して用いることができる。
[撥水層]
撥水層は、ライナー原紙の表側表面に設けられる。ライナー原紙の表面に撥水剤塗工液を塗工して、撥水層を設けることによって、撥水性ライナーが形成される。
(撥水剤)
撥水層は、撥水剤を含有している。撥水剤は、特に限定されないが、例えば、ワックス、合成樹脂などが挙げられる。ワックスの具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、マレイン化石油樹脂などの変性ワックスなどが挙げられる。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。合成樹脂系の撥水剤は、これらの合成樹脂の溶液、分散液、乳化液として用いられる。撥水剤として、これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、撥水剤と合わせて、撥水助剤を用いることができる。撥水助剤としては、硫酸バンド、カチオン系表面サイズ剤、その他カチオン系混合物等を用いることができる。
撥水剤塗工液には、撥水剤に加えて、通常、塗膜形成用のバインダー樹脂および溶剤が添加される。バインダー樹脂および溶剤を添加することにより、塗工液の粘度を調整し、塗工性を向上させることができる。バインダー樹脂としては、例えば、澱粉、変性デンプン、ポリビニルアルコール、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂、アクリルアミドまたはポリエステル等を挙げることができる。
塗工液に添加する溶剤としては、水、有機溶剤があり、水が好ましく用いられる。必要に応じて、水に可溶のアルコール等の有機溶剤を混合して用いてもよい。有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類等を用いることができる。
塗工液には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、染料、顔料、分散剤、可塑剤、pH調整剤、保水剤、紫外線防止剤等の各種公知の助剤を添加してもよい。
撥水層の形成量は、乾燥重量で0.3~0.5g/mであることが好ましく、0.30~0.45g/mであることがより好ましい。撥水層の形成量がこの範囲にあると、合成樹脂が顔料や微細セルロース繊維を十分に覆うことができ、十分な耐水性が発揮される。
[撥水層の形成方法]
ライナー原紙上に撥水層を形成する方法については特に制限されず、公知の塗工装置が用いられる。塗工装置としては、例えば、カレンダーサイズプレス、ツーロールサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター等が挙げられる。これらの中では、ブレードコーターとロッドコーターが好ましい。ブレードコーターまたはロッドコーターを用いて塗工することにより、撥水剤の塗工量やライナー原紙への浸透厚さをより均一に制御することが可能となる。
撥水剤塗工液を塗布した後に、塗工層を乾燥させる方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法が用いられる。乾燥設備としては、例えば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板などが挙げられる。
ライナー原紙上に撥水層を形成した後に、必要に応じて平滑化処理を行うことができる。平滑化処理は、通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等の平滑化処理装置を用いて、オンマシンまたはオフマシンで行われる。
(段ボールシート)
撥水性ライナーを用いて、撥水層を外側に置いて、中芯とともに段ボールシートを構成することによって、撥水性を有する段ボールシートを得ることができる。
以下、実施例により本発明の効果を詳細に説明する。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
各種性能の測定方法は以下のとおりである。
(1)パルプの離解フリーネス(csf):基材をJIS P8220:2012に準じて離解することで得られたパルプスラリーについて、JIS P8121:2012に準じて測定した。
(2)坪量:JIS P8124:2011に準じて測定した。
(3)厚さ:JIS P8118:2014に準じて測定した。
(4)密度:JIS P8118:1998に準じて測定した。
[実施例1]
(ライナー原紙の作製)
NUKP(フリーネス580ml)とDIP(フリーネス280ml)からなるパルプスラリーに、さらに、紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)、ロジン系サイズ剤をそれぞれ添加し、紙料スラリーを得た。この紙料スラリーを一層抄きの長網抄紙機で抄紙し、トータル線圧1100kg/cmでプレスすることでライナー原紙を得た。
なお、ライナー原紙における各材料の含有割合は、表1に示すとおりであった。
(撥水性ライナーの作製)
固形分換算でポリオレフィン樹脂系撥水剤:ポリビニルアルコール系高分子=85部:15部となるように混合し、固形分濃度が5%の撥水剤塗工液を調製した。
次いで、得られたライナー原紙の表側表面に、ブレードコーターにより撥水剤塗工液を乾燥重量で0.42g/mとなるように塗工し、乾燥して、撥水性ライナーを得た。
[実施例2]
実施例1のライナー原紙の作製において、DIPのフリーネスを280mlに代えて235mlとし、撥水性ライナーの作製において、撥水剤塗工液の乾燥重量を0.42g/mに代えて0.35g/mとし、ライナー原紙と撥水性ライナーを得た。
なお、ライナー原紙における各材料の含有割合は、表1に示すとおりであった。
[実施例3]
実施例1のライナー原紙の作製において、NUKPのフリーネスを580mlに代えて480mlとし、DIPのフリーネスを280mlに代えて235mlとし、撥水性ライナーの作製において、撥水剤塗工液の乾燥重量を0.42g/mに代えて0.35g/mとし、ライナー原紙と撥水性ライナーを得た。
なお、ライナー原紙における各材料の含有割合は、表1に示すとおりであった。
[比較例1]
実施例1のライナー原紙の作製において、DIPのフリーネスを280mlに代えて235mlとし、サイズ剤の含有割合が表1に示すとおりとなる量とし、トータル線圧を1100kg/cmに代えて1400kg/cmとし、ライナー原紙と撥水性ライナーを得た。
なお、ライナー原紙における各材料の含有割合は、表1に示すとおりであった。
[比較例2]
(ライナー原紙)
実施例1のライナー原紙の作製において、NUKPのフリーネスを580mlに代えて620mlとし、サイズ剤の含有割合が表1に示すとおりとなる量とし、ライナー原紙と撥水性ライナーを得た。
なお、ライナー原紙における各材料の含有割合は、表1に示すとおりであった。
[評価方法]
以上のようにして得られたライナー原紙および撥水性ライナーについて以下の評価を行った。評価結果は、表1に示すとおりであった。
[周波数解析方法]
<評価手順>
(1)ライナー原紙試料の形状を、撮影手段である下記のマイクロスコープを用いて、ワンショット3D撮影する。この際の画像サイズは50mm×50mmとした。
(2)前記3D画像において、任意の基準面を高さ=0μmとし、対象物の凹凸の高さを数値化する。
(3)前記取得した凹凸情報を高速フーリエ変換して、パワースペクトルを取得する。
(4)前記パワースペクトルから強度(パターンの周期性の高さ)が22以上の輝点を抽出する。このとき、1.0~2.0mmのピッチのパターンに相当する輝点のみを抽出する。
(5)前記抽出した輝点の周波数を逆高速フーリエ変換して、対応するパターンの凹凸情報を取得する。
(6)(a)輝点の有無、(b)輝点の座標(中心からの距離=パターンの周波数、中心角=パターンの方向)、(c)パターンの標準偏差(パターンの凹凸の深さ)の3項目を各試料で比較する。
パワースペクトル取得に使用した機器装置
マイクロスコープ:KEYENCE社製 ワンショット3D形状測定機 VR-3000
画像解析アプリケーション:KEYENCE社製 VR-H2A
画像解析ソフトウェア:株式会社アイ・スペック製 汎用画像処理/解析ソフトウェアパッケージ IOMate
[フレキソ印刷による印刷濃淡ムラ、コスレ汚れの評価]
撥水性ライナーの撥水剤塗工面にフレキソインキをハンドプルーファで塗工し、自然乾燥後、インクの印刷濃淡ムラを目視評価した。さらに、得られた撥水性ライナーをコルゲーターで中芯(商品名:S120、王子板紙社製)と裏ライナー(商品名:SF210、王子板紙社製)を使用して貼合し、Aフルート形態で段ボールシートを作成した。その後、製函工程を経て段ボールケースを作成し、印刷コスレ汚れを官能評価した。
各評価の基準は下記の通りである。なお、印刷濃淡ムラについては、◎、○を合格、△、×を不合格と判定した。印刷コスレ汚れについては、○、△を合格、×を不合格と判定した。
(印刷濃淡ムラ)
◎:印刷の濃淡ムラがない。
○:一部にムラが認められるが、印刷の濃淡がほとんどなく、実用上問題ないレベルである。
△:部分的に印刷の濃淡ムラが認められ、実用上問題があるレベルである。
×:全体的に印刷の濃淡ムラが認められる。
(印刷コスレ汚れ)
○:ライナー表面に印刷コスレによる汚れが全く見られない。
△:ライナー表面に印刷コスレによる汚れがわずかに見られる。
×:ライナー表面に印刷コスレによる汚れが著しく見られる。
[染料含浸による撥水剤均一性の評価]
撥水性ライナーを任意の染料に10秒間含浸し、水道水で表面を洗浄後、染料の付着ムラから塗工された撥水剤の均一性を下記の評価基準で目視評価した。なお、◎、○を合格、△、×を不合格と判定した。
(撥水剤の均一性)
◎:染料の付着ムラがなく、塗工された撥水剤の均一性に優れる。
○:一部に淡い付着ムラが認められるが、ほぼ均一に撥水剤が塗工されている。
△:部分的に染料の濃い付着ムラが認められ、撥水剤の塗工がやや不均一である。
×:全体的に染料の付着ムラが著しく、撥水剤の塗工不良で均一性が劣る。
Figure 0007384556000001
表1から分かるように、実施例1~実施例3の撥水性ライナーは、NKPの含有量が50質量%以下であり、周波数解析における凹凸の深さの標準偏差が0.2μm以下であり、印刷濃淡ムラ、印刷コスレ汚れ、撥水剤の均一性の各性能において優れたものであった。
尚、実施例2のライナー原紙では、1.27mm、1.42mm、1.72mmの3つのピッチで繰り返される凹凸の溝が共存していた。
比較例1の撥水性ライナーは、NKPの含有割合が50質量%を超え、内添サイズ剤の含有量が少なく、プレス時のトータル線圧がやや高いことにより、各性能において劣っていた。また、比較例2の撥水性ライナーは、NKPの含有割合が50質量%を超え、内添サイズ剤の含有量が少なく、離解フリーネスがやや高いことにより、各性能において劣っていた。

Claims (4)

  1. ライナー原紙の表側表面に撥水層を備えた撥水性ライナーであって、
    前記ライナー原紙のパルプ中の針葉樹クラフトパルプの含有割合が50質量%以下であり、
    前記ライナー原紙のパルプの離解フリーネスが450~550mlであり、
    前記ライナー原紙中の内添サイズ剤の含有割合が0.20~3.00質量%であり、
    前記ライナー原紙の表側表面における、1.0~2.0mmのピッチで存在する凹凸の深さの標準偏差が0.15μm以下である
    ことを特徴とする撥水性ライナー。
  2. 前記撥水層の形成量が0.3~0.5g/mである請求項1に記載の撥水性ライナー。
  3. 前記ライナー原紙の坪量が160~340g/mであり、前記ライナー原紙の密度が0.70~0.90g/cmである請求項1または請求項2に記載の撥水性ライナー。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の撥水性ライナーを有する段ボールシート。
JP2018241646A 2018-12-25 2018-12-25 撥水性ライナーおよび段ボールシート Active JP7384556B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018241646A JP7384556B2 (ja) 2018-12-25 2018-12-25 撥水性ライナーおよび段ボールシート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018241646A JP7384556B2 (ja) 2018-12-25 2018-12-25 撥水性ライナーおよび段ボールシート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020100923A JP2020100923A (ja) 2020-07-02
JP7384556B2 true JP7384556B2 (ja) 2023-11-21

Family

ID=71139132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018241646A Active JP7384556B2 (ja) 2018-12-25 2018-12-25 撥水性ライナーおよび段ボールシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7384556B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007297728A (ja) 2006-04-28 2007-11-15 Oji Paper Co Ltd 多層構造ライナーおよびその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005089931A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Daio Paper Corp 印刷用ライナー
JP4500056B2 (ja) * 2004-01-13 2010-07-14 大王製紙株式会社 段ボール用ライナー及びその製造方法
JP2007119947A (ja) * 2005-10-27 2007-05-17 Mitsubishi Paper Mills Ltd オフセット印刷用塗工紙の製造方法
JP2007204081A (ja) * 2006-01-31 2007-08-16 Daio Paper Corp 段ボール外装用ライナ

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007297728A (ja) 2006-04-28 2007-11-15 Oji Paper Co Ltd 多層構造ライナーおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020100923A (ja) 2020-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6625046B2 (ja) ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを内填した紙
JP7348251B2 (ja) 新聞用紙
EP2701920A1 (en) Media used in digital high speed inkjet web press printing
JP5406438B2 (ja) 吸湿・耐油板紙
JP4600864B2 (ja) オフセット輪転印刷用塗被紙
JP2005200773A (ja) ライナー
JP2018178343A (ja) 熱転写紙用原紙および熱転写紙
JP7384556B2 (ja) 撥水性ライナーおよび段ボールシート
JP6967465B2 (ja) 片艶クラフト紙及びその製造方法
WO2018155649A1 (ja) コールドセット型オフセット印刷用塗工紙
JP5140373B2 (ja) 多層抄き板紙
JP4496435B2 (ja) オフセット印刷用新聞用紙
JP6633251B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP5971856B2 (ja) 中質印刷用紙及びその製造方法
JP2020056131A (ja) 包装容器用塗工紙及び包装容器
JP2020056117A (ja) 段ボールシート用ライナー、段ボールシートおよび印刷物の製造方法
JP7029028B2 (ja) 軽質炭酸カルシウムを内添した紙
JPH0657686A (ja) オフセット輪転印刷用塗被紙用原紙
JP5246536B2 (ja) 印刷用紙の製造方法及び印刷用紙
JP4093122B2 (ja) オフセット輪転印刷用塗被紙
JP6549461B2 (ja) 金属合紙およびその製造方法
JPH02169796A (ja) 特殊紙
JP5301133B2 (ja) 塗工紙の製造方法
JP6231834B2 (ja) オフセット印刷用非塗工紙の製造方法
JP6108266B2 (ja) オフセット印刷用コミック用紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210720

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210917

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20211118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220308

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220606

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20230418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7384556

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150