JP3302642B2 - 紙力増強剤および紙力増強方法 - Google Patents

紙力増強剤および紙力増強方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は(メタ)アクリル酸
を含有する水溶性モノマーの重合体微細粒子の分散液か
ら成る非水溶性重合体微細粒子の分散液を、単に水によ
る希釈のみでスプレー可能な状態とし、湿紙にスプレー
後含浸させて使用する事を特徴とする紙力増強剤を提供
することに関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開昭62−20511号公報には高分
子電解質の共存下、単量体を溶解し生成重合体を溶解し
ない塩水溶液中で単量体を重合し水溶性高分子分散液を
える方法が開示されている。 一方、単量体を溶解し生
成重合体を溶解しない塩水溶液中でアクリル酸・アクリ
ルアミドの重合を行い重合体微細粒子の分散液を得る方
法(特開昭60−185900号公報)が知られてい
る。 本方法においては高分子電解質の共存なしに微細
粒子が得られる。 ここに得られる重合体微細粒子は中
和しないと水溶性ではない。 すなわち特開昭62−2
0511号公報に記載された技術と異なる技術である。
またビーター等で紙料に添加して使用する、いわゆる内
添用の紙力増強剤は各種知られているが、歩留りの悪い
欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は内添紙
力剤の歩留りの悪さを改善し効率良く破裂強度やリング
クラッシュ強度等の紙力増強を図る事にある。
【0004】
【課題を解決する為の手段】本発明者は(メタ)アクリ
ル酸を含有する単量体を水溶性高分子の共存下、該単量
体を溶解し生成重合物を溶解しない塩水溶液中で重合を
行うことにより低粘性で作業性が良くかつ保存安定性に
すぐれる重合体微細粒子の分散液を製造できることを発
見し、その用途を各種模索する内にスプレーによる紙力
増強に卓効を見いだし本発明を成すに至った。 また、
本発明の重合体微細粒子の分散液は中和操作を経ること
なく、その水希釈液を簡易にスプレーに供する事ができ
る。
【0005】 (1)(メタ)アクリル酸5〜40モル
%アクリルアミド60〜95モル%アクリロニトリル0
〜20モル%を含有する水溶性モノマーからなる(メ
タ)アクリル酸塩構造単位を含有しない重合体微粒子が
水溶性高分子の共存する塩水溶液中に分散したポリマー
分散液であって、(2)該ポリマー分散液中の(メタ)
アクリル酸(コ)ポリマーの濃度が5重量%以上であ
り、(3)該ポリマー分散液中の(メタ)アクリル酸
(コ)ポリマー粒子の平均粒径が1〜100μmであ
り、(4)該ポリマー分散液の粘度が製造直後および製
造より1ケ月後において30〜1000CPであり、
(5)蒸留水で10倍に希釈した状態の液を顕微鏡にて
400倍に拡大して観察した場合においてポリマー粒子
が観察され、(6)該希釈液にアルカリを添加してPH
を7.0に調整した場合に該ポリマー粒子が溶解して水
溶液と成る性質を有することを特徴とする紙力増強剤で
ある。
【0006】本発明の請求項2の発明は、ワイヤーパー
ト上で湿紙に含浸させて用いる事を特徴とする請求項1
に記載の紙力増強剤である。
【0007】本発明の請求項3の発明は、請求項1ない
し請求項2に記載の紙力増強剤の水希釈液を、ワイヤー
パート上で湿紙にスプレー含浸させる事を特徴とする紙
力増強方法である。
【0008】本発明の請求項4の発明は、サクションパ
ートあるいはサクションパートの前において、ポリマー
分散液の水希釈液を湿紙にスプレーし含浸させる事を特
徴とする請求項3に記載の紙力増強方法。
【0009】 本発明の請求項5の発明は、湿紙が一層
である事を特徴とする請求項3ないし請求項4に記載の
紙力増強方法である。
【0010】
【0011】
【発明の実施態様】本発明の限定の第一は、(1)(メ
タ)アクリル酸5〜40モル%アクリルアミド60〜9
5モル%アクリロニトリル0〜20モル%を含有する水
溶性モノマーからなる(メタ)アクリル酸塩構造単位を
含有しない重合体微粒子が水溶性高分子の共存する塩水
溶液中に分散したポリマー分散液であって、(2)該ポ
リマー分散液中の(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーの
濃度が5重量%以上であり、(3)該ポリマー分散液中
の(メタ)アクリル酸(コ)ポリマー粒子の平均粒径が
1〜100μmであり、(4)該ポリマー分散液の粘度
が製造直後および製造より1ケ月後において30〜10
00CPであり、(5)蒸留水で10倍に希釈した状態
の液を顕微鏡にて400倍に拡大して観察した場合にお
いてポリマー粒子が観察され、(6)該希釈液にアルカ
リを添加してPHを7.0に調整した場合に該ポリマー
粒子が溶解して水溶液と成る性質を有することを特徴と
する紙力増強剤である。本発明の限定の第二は、ワイヤ
ーパート上で湿紙に含浸させて用いる事を特徴とする
求項1に記載の紙力増強剤である。本発明の限定の第三
は、請求項1ないし請求項2に記載の紙力増強剤の水希
釈液を、ワイヤーパート上で湿紙にスプレー含浸させる
事を特徴とする紙力増強方法である。本発明の限定の第
四は、サクションパートあるいはサクションパートの前
において、ポリマー分散液の水希釈液を湿紙にスプレー
し含浸させる事を特徴とする請求項3に記載の紙力増強
方法である。本発明の限定の第五は、湿紙が一層である
事を特徴とする請求項3ないし請求項4に記載の紙力増
強方法である。
【0012】本発明に用いられる(メタ)アクリル酸を
含有する単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸もし
くはこれらの混合物から成る酸を5〜40モル%と、ア
クリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタクリレー
ト、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、ビニルメチルエーテル、ビニルアセテ
ートおよびこれらの混合物の中から選ばれる一種のノニ
オン性単量体60〜85モル%の混合物が用いられる。
これらの中でも(メタ)アクリル酸を含有する単量体の
組成がアクリル酸5〜40モル%アクリルアミド60〜
95モル%アクリロニトリル0〜20モル%を含有する
モノマー組成であるものが最も賞用される。
【0013】本発明に用いられる塩水溶液を形成する塩
としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩ある
いはアンモニウム塩の塩化物、硫酸塩、硝酸塩等を挙げ
ることができる。 これらの塩水溶液中の塩濃度は5重
量%以上飽和濃度に至る量の塩濃度が適時用いられる。
塩水溶液の特徴的性質として(メタ)アクリル酸を含
有する単量体を溶解し生成重合体を溶解しないことが必
須条件である。
【0014】本発明の紙力増強方法は他の内添薬品例え
ば填料等の歩留り向上剤や濾水性向上剤と組み合わせて
用いる事もできる。 カチオン澱粉あるいはカチオン性
ポリアクリルアミド等の水溶液を紙料に添加混合したの
ち、ワイヤー上で本発明の紙力増強剤の水希釈液をスプ
レーする事ができる。 湿紙に吹きつけられたポリマー
は大部分紙層内に留まりサクション水への漏出は少な
い。水溶性であるところの(メタ)アクリル酸塩を含有
する単量体の重合体を用いないところに本発明の特徴が
ある。(メタ)アクリル酸(共)重合体は難溶性であ
り、高分子量物であっても低粘性であり水希釈液を用意
にスプレーできる。澱粉の如く腐敗することが無くポリ
マー水溶液の如く粘性があがりダレる心配が無い。ポリ
マー分散液の希釈の程度はポリマー濃度0.1〜0.5
重量%に希釈してスプレーする。 吹きつけ添加量は対
パルプSSあたり0.1〜1.0重量%のポリマー純分
量である。
【0015】
【実施例】次に実施例によって、本発明を具体的に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に制約されるものではない。
【0016】(合成例−1)攪拌機、窒素曝気管および
温度制御装置を備えた反応槽に20重量%塩化ナトリウ
ム水溶液79部を採り、アクリル酸15モル%アクリル
アミド75モル%アクリロニトリル10モル%の組成の
モノマー20部および分散剤としてポリジメチルジアリ
ルアンモニウムクロリド1部(シーピーエス社製商品名
エージフロックーWT40HV)を溶解した後、2,
2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩を重合
開始剤として添加し、攪拌下、53°Cで10時間重合
し、塩水溶液に分散した粒径10〜20μmの微粒子の
重合体分散液(PH3)が得られた。 この液を試料ー
1と呼ぶ。 該高分子分散液の粘度は500mPa・s
以下であり、上記分散液は脱イオン水で20倍に希釈し
ても顕微鏡にて微粒子が観察され本質的に非水溶性であ
ることが確認された。 該分散液を炭酸ソーダを加えた
水に混合しPH7にすると溶解し、該水溶液をもとに極
限粘度より分子量を求めた。
【0017】(合成例−2)アクリル酸15モル%アク
リルアミド70モル%アクリロニトリル15モル%の組
成のモノマーを用いた以外は合成例−1と同様の操作を
行い非水溶性高分子分散液から成る試料−2を得た。
【0018】(合成例−3)アクリル酸30モル%アク
リルアミド60モル%アクリロニトリル10モル%のモ
ノマーを用いた以外は合成例−1と同様の操作を行い非
水溶性高分子分散液から成る試料−3を得た。
【0019】(合成例−4)アクリル酸10モル%アク
リルアミド70モル%アクリロニトリル20モル%のモ
ノマーを用いた以外は合成例−1と同様の操作を行い非
水溶性高分子分散液から成る試料−4を得た。以上試料
ー1〜試料ー4のポリマー特性を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】段ボール古紙をナイアガラ式ビーターにて
叩解し、カナディアンスタンダードフリーネス(C.
S.F.)400mlに調整したパルプに液体バンド2
%添加したのち、攪拌し均一に混合した。 得られたパ
ルプスラリーを0.5%まで希釈し、手抄き試験機によ
り乾燥坪量125g/m2 水分量96%の湿紙Aを調製
し、湿紙Aの片面に、ポリマー濃度0.25%の各試料
の水希釈液を、表2に記載のポリマー量(対パルプ固形
分あたりのポリマー純分)を圧力2気圧でノズルよりス
プレーしたのち、湿紙Aの塗布面の反対側より吸引し
た。 その後、毛布にはさんでテストカレンダーを2回
通してプレスし乾燥して紙力測定用紙を得た。 得られ
た紙力測定用紙を調湿後、破裂強度およびリングクラッ
シュ強度を測定した結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【評価】本発明の紙力増強剤は、低粘性で作業性のよい
水希釈液として容易にスプレーされ、スプレーノズルを
つまらせたり、ダレて不均一付着を引き起こしたりする
ことなく、紙中への歩留り定着が良く、高い紙力を有す
る紙を提供できる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)(メタ)アクリル酸5〜40モル
    %アクリルアミド60〜95モル%アクリロニトリル0
    〜20モル%を含有する水溶性モノマーからなる(メ
    タ)アクリル酸塩構造単位を含有しない重合体微粒子が
    水溶性高分子の共存する塩水溶液中に分散したポリマー
    分散液であって、(2)該ポリマー分散液中の(メタ)
    アクリル酸(コ)ポリマーの濃度が5重量%以上であ
    り、(3)該ポリマー分散液中の(メタ)アクリル酸
    (コ)ポリマー粒子の平均粒径が1〜100μmであ
    り、(4)該ポリマー分散液の粘度が製造直後および製
    造より1ケ月後において30〜1000CPであり、
    (5)蒸留水で10倍に希釈した状態の液を顕微鏡にて
    400倍に拡大して観察した場合においてポリマー粒子
    が観察され、(6)該希釈液にアルカリを添加してPH
    を7.0に調整した場合に該ポリマー粒子が溶解して水
    溶液と成る性質を有することを特徴とする紙力増強剤で
    ある。
  2. 【請求項2】 ワイヤーパート上で湿紙に含浸させて用
    いる事を特徴とする請求項1に記載の紙力増強剤。
  3. 【請求項3】 請求項1ないし請求項2に記載の紙力増
    強剤の水希釈液を、ワイヤーパート上で湿紙にスプレー
    含浸させる事を特徴とする紙力増強方法。
  4. 【請求項4】 サクションパートあるいはサクションパ
    ートの前において、ポリマー分散液の水希釈液を湿紙に
    スプレーし含浸させる事を特徴とする請求項3に記載の
    紙力増強方法。
  5. 【請求項5】 湿紙が一層である事を特徴とする請求項
    3ないし請求項4に記載の紙力増強方法。
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