本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。まず、第1実施形態について説明する。
第1実施形態の排気ガス回収装置が適用された車両の内燃機関システムおよびその周辺構成の概略図を図1に示す。本第1実施形態における内燃機関10は、燃料である軽油を燃料噴射弁12から圧縮状態にある燃焼室に直接噴射することにより自然着火させる型式の内燃機関、すなわちディーゼル機関である。
気筒14の燃焼室に臨むと共に吸気通路16の一部を区画形成する吸気ポートは、シリンダヘッドに形成されていて、吸気弁によって開閉される。シリンダヘッドには、吸気通路16の一部を区画形成する吸気マニフォルド18が接続され、さらにその上流側には同じく吸気通路16の一部を区画形成する吸気管20が接続されている。吸気管20の上流端側には、吸気通路16に導かれる空気中の塵埃などを除去するべくエアクリーナ22が設けられている。また、スロットルアクチュエータ24によって開度が調整されるスロットル弁26が、吸気通路16の途中に設けられている。
他方、気筒14の燃焼室に臨むと共に排気通路28の一部を区画形成する排気ポートは、シリンダヘッドに形成されていて、排気弁によって開閉される。シリンダヘッドには、排気通路28の一部を区画形成する排気マニフォルド30が接続され、さらにその下流側には同じく排気通路28の一部を区画形成する排気管32が接続されている。なお、排気ガス浄化触媒が充填された触媒コンバータ34が排気通路28の途中に設けられている。
さらに、排気ガスにより回転駆動されるタービンホイールを含むタービン36が排気通路28の途中に設けられている。ただし、タービン36は、触媒コンバータ34よりも上流側に配置されている。これに対応して、タービンホイールに同軸で連結され、タービンホイールの回転力で回転するようにしたコンプレッサホイールを含むコンプレッサ38が吸気通路16の途中に設けられている。すなわち、内燃機関10には、排気エネルギーを取り出すタービン36と、タービン36により取り出された排気エネルギーによって内燃機関10に過給するコンプレッサ38とを有するターボ過給器40が設けられている。そして、コンプレッサ38により圧縮された空気を冷却すべく、インタークーラ42がコンプレッサ38よりも下流側に設けられている。
内燃機関10には、排気通路28を流れる排気ガスの一部を吸気通路16に導く排気ガス還流(EGR)装置44が設けられている。EGR装置44は、排気通路28と吸気通路16とをつなぐEGR通路46を区画形成するEGR管48と、EGR通路46の連通状態調節用のEGR弁50と、還流される排気ガス(EGRガス)冷却用のEGRクーラ52とを有している。ここでは、EGR管48上流側の一端は排気マニフォルド30に接続され、その下流側の他端は吸気マニフォルド18に接続されている。EGR弁50はEGRクーラ52よりも下流側に設けられていて、その開度はアクチュエータ54により調節される。ただし、ここではEGR弁50はポペット式弁である。
さらに、排気通路28の途中には、排気絞り弁56が設けられている。ここでは排気絞り弁56はバタフライ式弁である。排気絞り弁56は、その閉弁時には排気通路28を流れる排気ガスすなわち燃焼ガスや空気等である流体を効果的にせき止め、そのような流体の排気絞り弁56よりも下流側への流れを概ね遮断する遮断弁として機能する。排気絞り弁56は、アクチュエータ58により開閉駆動される。このアクチュエータ58は、ここでは電動モータから構成されている。しかし、アクチュエータ58は、他のタイプのアクチュエータ、例えば負圧式アクチュエータであってもよい。なお、排気絞り弁56は、閉弁時に、排気通路の断面積を50%程度減少させるような構成を有する弁であってもよく、あるいは、閉弁時に、排気通路28を完全に閉塞するような構成を有する弁であってもよい。
排気絞り弁56上流側の排気通路Jには、管部材60により区画形成された連通路62が連通されている。この連通路62により排気通路28と蓄圧容器64内とは連通可能にされている。蓄圧容器64は、排気通路Jであればいずれの箇所に連通可能にされてもよいが、ここでは排気マニフォルド30に連通可能に接続されている。ただし、この連通路62は、ここでは、後述するように蓄圧容器64への排気ガス回収および蓄圧容器64からタービンホイールへ向けた排気ガス放出の両方の用途に用いられる。したがって、ここでは、連通路62は、タービンホイール上流側の排気通路Kにも連通可能にされている。蓄圧容器64内と排気通路28との連通状態の調節用に、連通路62に流量調節弁65が設けられている。なお、流量調節弁65が開弁することで蓄圧容器64内と排気通路28とは連通し、他方、流量調節弁65が閉弁することで蓄圧容器64内と排気通路28との連通は遮断され、蓄圧容器64内は密閉状態になる。ただし、流量調節弁65はアクチュエータ66により開閉駆動される。なお、ここでは流量調節弁65はポペット式弁である。
さらに、排気絞り弁56を迂回する(バイパスする)バイパス通路67がバイパス管68により区画形成されている。バイパス通路67の一端は、排気絞り弁56上流側の排気通路Jであってタービン36下流側の排気通路に連通され、その他端は、排気絞り弁56下流側の排気通路であって触媒コンバータ34上流側の排気通路に連通されている。バイパス通路67には、バイパス通路67の連通状態調節用にバイパス弁69が設けられている。バイパス弁69はアクチュエータ70によって駆動される。なお、バイパス弁69はポペット式弁である。
他方、内燃機関10の駆動系71は、マニュアル変速機72を含んで構成されている。内燃機関10のクランクシャフトは、内部にクラッチ74を備えたマニュアル変速機72に接続すなわち連結されている。クラッチ74は、内燃機関10のクランクシャフト側に連結される入力軸(不図示)と、変速ギヤに連結される出力軸(不図示)とを有している。クラッチ74は、係合、解放の各状態に制御される。
マニュアル変速機72は、有段変速機であり、図示しないシフト装置において変速される1速から6速までの6つの変速段を有する。なお、変速段数はいくつであってもよい。マニュアル変速機72の出力軸82はドライブシャフト84、ディファレンシャルギヤ86、車軸88等を介して、被伝達部としての駆動輪90に接続されている。
内燃機関10や駆動系71は、電子制御ユニット(ECU)94に、各種値を求める(検出するあるいは推定する)ための信号を電気的に出力する各種センサ類を備えている。ここで、その内のいくつかを具体的に述べる。吸入空気量を検出するためのエアフローメーター96が吸気通路16に備えられている。また、エアフローメーター96近傍に吸入空気の温度を検出するための吸気温度センサ98が、そしてインタークーラ42下流側にも温度を検出するための吸気温度センサ100が備えられている。また、過給圧を検出するための圧力センサ102が吸気通路16の途中に設けられている。また運転者によって操作されるアクセルペダル104の踏み込み量に対応する位置、すなわちアクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ106が備えられている。また、スロットル弁26の開度を検出するためのスロットルポジションセンサ108も備えられている。さらに、EGR弁50の開度を検出するための、ここではそのリフト量を検出するための弁リフトセンサ110も備えられている。また、ピストンが往復動する、シリンダブロックには、連接棒を介してピストンが連結されているクランクシャフトのクランク回転信号を検出するためのクランクポジションセンサ112が取り付けられている。ここでは、このクランクポジションセンサ112は機関回転数(機関回転速度)を検出するための機関回転数センサとしても利用される。さらに、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの排気ガスの圧力を検出するための圧力センサ114が備えられている。また、蓄圧容器64内の圧力を検出するための圧力センサ116も備えられている。さらに、内燃機関10の冷却水温を検出するための温度センサ118が備えられている。さらに、車速を検出するための車速センサ120も備えられている。さらに、シフト装置のシフトレバーの選択位置、すなわちシフトポジションを検出するためのシフトポジションセンサ122が設けられている。なお、ここでは、シフトポジションセンサ122は、リバース(R)、ニュートラル(N)、および1速〜6速等のレンジ位置の内、いずれにシフトレバーが位置しているのかを検出するために設けられている。
ECU94は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器、入力インタフェース、出力インタフェース等を含むマイクロコンピュータで構成されている。入力インタフェースには、前記各種センサ類が電気的に接続されている。これら各種センサ類からの出力信号(検出信号)に基づき、予め設定されたプログラム等にしたがって円滑な内燃機関10や駆動系71の運転ないし作動がなされるように、ECU94は出力インタフェースから電気的に作動信号(駆動信号)を出力する。こうして、燃料噴射弁12の作動、スロットル弁26、EGR弁50、排気絞り弁56、流量調節弁65およびバイパス弁69の各開度などが制御される。ただし、ECU94は、スロットル弁26、EGR弁50、排気絞り弁56、流量調節弁65、バイパス弁69の各開度を制御するため、各アクチュエータ24、54、58、66、70に作動信号を出力する。
なお、ここでは、燃料カット状態判定手段、圧力設定手段、圧力調節手段の各々はECU94の一部を含んで構成され、そして圧力検出手段はECU94の一部と圧力センサ114とを含んで構成される。また、ここでは、排気絞り弁制御手段はアクチュエータ58とECU94の一部とを含んで構成され、EGR弁制御手段はアクチュエータ54とECU94の一部とを含んで構成され、そして、バイパス弁制御手段はアクチュエータ70とECU94の一部とを含んで構成される。
内燃機関10では、エアフローメーター96からの出力信号に基づいて求められる吸入空気量、クランクポジションセンサ112からの出力信号に基づいて求められる機関回転数など、すなわち機関負荷および機関回転数で表される機関運転状態に基づいて燃料噴射量(燃料量)、燃料噴射時期が設定される。そして、それら燃料噴射量、燃料噴射時期に基づいて、燃料噴射弁12からの燃料の噴射が行われる。
なお、内燃機関10では、クランクポジションセンサ112からの出力信号に基づいて求められる機関回転数が所定回転数(燃料カット回転数)以上であり、かつ、アクセル開度センサ106からの出力信号に基づいて求められるアクセル開度が0%、すなわちアクセルペダル104が踏まれていないときに、燃料噴射弁12からの燃料噴射が停止(燃料カット)されるように設定されている。ただし、このような燃料カット実行条件が満たされたために内燃機関10が燃料カット状態であるとき、機関回転数が低下して別の所定回転数(燃料カット復帰回転数)に達すると、燃料噴射は再開される。また、内燃機関10が燃料カット状態にあるとき、アクセルペダル104が踏まれてアクセル開度が0%を超えるようになった場合にも、燃料噴射は再開される。なお、内燃機関が燃料カット状態にあるときは、概ね減速時に対応する。なお、燃料カット実行条件には他の条件が含まれてもよく、またそれは他の条件のみであってもよい。
そして、内燃機関10が燃料カット状態であるとき、ここでは、クラッチ74を介して、特に係合状態にあるクラッチ74を介していわゆるエンジンブレーキを用いて制動が行われると共に、駆動輪90からの回転トルクが内燃機関10側に伝達されている。すなわち、内燃機関10が燃料カット状態であるとき、内燃機関10と、マニュアル変速機72あるいは駆動輪90とは、それらの間でトルク伝達可能な状態にされている。なお、概して、内燃機関10が燃料噴射状態にあるとき、内燃機関10の出力トルクはマニュアル変速機72を介して駆動輪90へ伝達可能であり、また、内燃機関10が燃料カット状態にあるとき(内燃機関10からの出力トルクが実質的にないとき)、駆動輪90の回転トルクがマニュアル変速機72を介して内燃機関10のクランクシャフトに伝達される。
そして、上記のように内燃機関10が燃料カット状態になる、機関運転状態のとき、上記スロットル弁26が閉状態に保持されるように、予め上記プラグラムは設定されている。ただし、後述する排気ガス回収の所定条件が満たされているときには、強制的にスロットル弁26は排気ガス回収用の開度(回収開度)になるように制御される。なお、スロットル弁26は内燃機関10の始動時は全開に制御され、他方、内燃機関10の停止時は全閉に制御される。そして、通常走行時には、機関状態および冷却水温などに応じて、スロットル弁26の開度は適切な開度になるように制御される。
また、上記各種センサ類からの出力信号に基づいて定まる内燃機関10の機関運転状態に基づいてEGR弁50の開度は制御される。ここでは、機関運転状態の属する領域が高負荷側にあるほどEGR量が減少するように構築された、予め実験により定められたデータがROMに記憶されている。ただし、後述する排気ガス回収の所定条件が満たされているときには、EGR弁50も、機関運転状態にかかわらず、強制的に排気ガス回収用の開度になるように制御される。また、アクセルペダル104が踏まれて内燃機関10すなわち車両が加速される過渡期には、EGR弁50が一旦閉弁されるように、機関運転状態に基づいて導出されたEGR開度は補正される。
ところで、通常走行時、排気絞り弁56は全開の開状態に保持制御されているので、排気通路28を流れる排気ガスは触媒コンバータ34を通過して外気に放出される。これに対して、排気ガス回収の所定条件が満たされたとき、排気絞り弁56は閉状態になるように制御され、排気通路28を流れる流体は概ねせき止められる。そして、このようにしてせき止めた流体を有効に活用して排気ガス回収(圧力エネルギー回収)が行われる。
以下、排気ガス回収について、図2、3のフローチャートにしたがって詳細に説明する。ただし、図2、3のフローチャートの各々は、所定時間、例えばおよそ8ms毎に繰り返されるものである。なお、以下の記載から明らかになるように、蓄圧容器64内に回収される排気ガスは主として空気で構成される。
ただし、以下で説明される制御は、内燃機関10が燃料カット状態にあるときに、排気通路28の排気絞り弁56を閉弁制御して、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を高めて、流量調節弁65を介して、排気通路Jから蓄圧容器64内へ排気ガスを回収する際に、排気通路Jの圧力を調節することを具体化した例である。
内燃機関10が起動されると、まずECU94は、ステップS201において、回収フラグが「1」、すなわちONであるか否かを判定する。ここで、回収フラグが「1」ということは、排気ガス回収の所定条件が満たされていることを表す。これに対してそれが「0」ということは、排気ガス回収の所定条件が満たされていないことを表す。初期状態では同回収フラグはリセットされているためここでは否定判定される。なお、本第1実施形態において、排気ガス回収の所定条件が満たされるとは、以下の記載から明らかなように、内燃機関が燃料カット状態であること、および、蓄圧容器64内の圧力が所定圧以下であることが満たされることである。しかしながら、本発明は、排気ガス回収の所定条件が、内燃機関10が燃料カット状態にあることのみであることや、さらに他の条件が含まれることをも許容する。
ステップS201で否定されると、次ぐステップS203で、内燃機関10が燃料カット状態か否か、すなわち燃料カット中か否かが判定される。具体的には、燃料カット中か否かは、燃料噴射量が「0」とされているか否かで判定される。ただし、燃料カット実行条件が満たされているか否かの判定がここで行われてもよい。なお、通常走行時には、概して、内燃機関10により所定出力を生み出すべく、「0」より大きな燃料噴射量が上述の如く導かれて燃料噴射が行われている。それ故、そのようなときには、ステップS203において否定判定されて、該ルーチンは終了する。
上記ステップS203で燃料カット中として肯定判定されると、次ぐステップS205で、蓄圧容器64内の圧力(図2中の「容器内圧」)が、蓄圧容器64に許容される圧力であって、所定圧である容器上限圧以下か否かが判定される。後述するように、容器上限圧は、変数とされていて、その都度設定される。蓄圧容器64内の圧力は圧力センサ116からの出力信号に基づいて求められる。なお、このステップS205で否定判定されると、該ルーチンは終了する。
ここで、ステップS205での容器上限圧について説明する。容器上限圧は、基本的には、蓄圧容器64内に十分な量の圧力エネルギーすなわち排気ガスが蓄えられているときに、さらに排気ガス回収が行われることを防ぐために定められている。容器上限圧は、可変であり、マニュアル変速機72の変速比に基づいて設定される。本第1実施形態では、マニュアル変速機72は有段変速機であるので、変速比に基づいて容器上限圧を定めるということは、マニュアル変速機72の変速段に基づいてそれが定められることに等しい。ステップS205に至ったときあるいは至るまでの間に、現在の(その時々の)マニュアル変速機72の変速段が読み込まれる。そして、その変速段で、予め実験により求められてROMに記憶されているデータを検索することで、容器上限圧が書き換え可能に設定される。このデータは、各変速段と、容器上限圧値とを1対1で対応させたデータであり、ローギヤ段ほど、低い圧力値が定められている。すなわち、変速機の変速比が高いほど、低い圧力が蓄圧容器64内の圧力の上限値として定められる。そして、この容器上限圧は、後述する、排気ガス回収用の排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力の目標圧力と同じあるいはそれよりもわずかに低い圧力であり得る。したがって、マニュアル変速機72の選択されている変速段の変速比が高いほど、後述する記載から明らかなように回収され得る排気ガス量は少なくなる。これは、内燃機関10と駆動輪90との間でトルク伝達可能な状態であり、かつ、内燃機関10が燃料カット状態にあるとき、マニュアル変速機72の変速比が高いほど、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力の、車両の減速度への影響が増すからである。ただし、容器上限圧は、マニュアル変速機72の選択変速段にかかわらず、固定値とされてもよい。この場合、容器上限圧は、蓄圧容器64に許容される圧力であって、できるだけ大きな圧力に定められ得る。
ステップS205で肯定判定されると、次ぐステップS207で、排気ガス回収の所定条件が満たされているとして、上記回収フラグが「1」にされる。これにより、通常の上記制御よりも、排気ガス回収用の制御が優先して行われることになる。そして、ステップS209に至ると、EGR弁50の開度が回収開度ここでは全閉になるように、スロットル弁26の開度が回収開度ここでは全開になるように、そして流量調節弁65が閉弁するように、各アクチュエータ54、24、66に作動信号が出力される。そして次ぐステップS211で排気絞り弁56が閉弁するようにアクチュエータ58に作動信号が出力される(排気絞り弁56が閉弁制御される)。こうして該ルーチンは終了する。
次のルーチンのステップS201では回収フラグが「1」であるので肯定判定される。ステップS201で肯定判定されると、次ぐステップS213で、上記ステップS203と同様に燃料カット中か否かが判定される。ここで肯定判定されると次ぐステップS215で、上記ステップS205と同様に蓄圧容器64内の圧力が容器上限圧以下か否かが判定される。なお、ステップS213およびステップS215での判定が行われるのは、ステップS207で回収フラグが「1」にされた後、排気ガス回収の所定条件が満たされなくなったときに、排気ガス回収を終了する制御をするためである。なお、ステップS215では、容器上限圧として、既にステップS205で定められた容器上限圧が用いられてもよいが、ここではその都度、上記ステップS205でのときと同様にして容器上限圧は定められる。したがって、回収フラグが「1」にされている間、その時々のマニュアル変速機72の変速比に基づく量の排気ガスの回収が、可能にされる。なお、ステップS215での容器上限圧は、上記ステップS205のそれとは別に、蓄圧容器64に許容されると共に大きな圧力値に固定されてもよい。
さてステップS215で肯定判定されると次ぐステップS217で、蓄圧容器64内の圧力が、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力(図2中の「通路圧力」)以下か否かが判定される。このとき既に、排気絞り弁56が閉弁制御されているので、時間の経過につれて、排気絞り弁56によってせき止められた流体の圧力(圧力エネルギー)は高くなる。そして、その圧力が回収可能なほど高まっているかを調べるために、ステップS217での判定が行われる。ステップS217で否定判定される場合には次ぐステップS219で、流量調節弁65が閉弁するようにアクチュエータ66に作動信号が出力される。これは、既に流量調節弁65が閉じられている場合には、流量調節弁65が閉じたままにされることを意味している。他方、ステップS217で肯定判定される場合には次ぐステップS221で、流量調節弁65が開弁するようにアクチュエータ66に作動信号が出力される。これにより、排気通路Jの高められた圧力エネルギーを有する排気ガスが連通路62を介して、蓄圧容器64内に回収される。
高い圧力エネルギー、換言すると高い圧力エネルギーを有する排気ガスが回収されることで、蓄圧容器64内の圧力は増す。こうした排気ガス回収は、上記ステップS213あるいはステップS215で否定判定されない限りは概ね続けて行われる。
排気ガス回収中に、ステップS213あるいはステップS215で否定判定されるに至ると、排気ガス回収を終了するための制御が行われる。それらのいずれかで否定判定されると次ぐステップS223で、EGR弁50が運転状態に基づく通常時の開度(通常開度)になり、スロットル弁26が通常開度になり、流量調節弁65が閉弁し、そして排気絞り弁56が開弁するように、アクチュエータ54、24、66、58に作動信号が出力される。そして、次ぐステップS225で回収フラグが「0」にされて該ルーチンは終了する。この結果、排気ガス回収を行わない通常の制御状態に復帰される。
このように、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき(回収フラグが「1」のとき)、排気絞り弁56が閉弁制御されて、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が高まったとき、流量調節弁65を介して蓄圧容器64内に排気ガスが回収される。ただし、このとき、内燃機関10は燃料カット実行条件が満たされているが故にそれが燃料カット状態であるので、内燃機関10は正の出力トルクを生み出すことはできない。このようなとき、排気絞り弁56を閉弁することで、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が高まれば高まるほど、いわゆるポンピングロスにより内燃機関10の機関制動力が高まる。さらにこれに加えて、マニュアル変速機72の選択されている変速比が高いほど、そのときに内燃機関10からマニュアル変速機72を介して駆動輪90に伝えられる機関制動力に由来する負のトルクが高められる。これでは、車両に非常に大きな制動力が働くことになり、運転者の望む車両の走行状態が維持できなくなる虞がある。例えば、運転者等に違和感を与えるほどの減速ショックが車両に生じることにもなりかねない。そこで、ここでは、排気ガス回収用に排気絞り弁56が閉弁制御されたとき、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を、例えば減速ショックが出ない圧力とするように調節することが行われる。具体的には、本第1実施形態では、バイパス弁69の開度を調節することで、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が調節される。すなわち、本第1実施形態では、バイパス弁69が圧力調節弁として用いられる。
図3にバイパス弁69の制御用のフローチャートを示す。ECU94は、ステップ301で、回収フラグが「1」か否かを判定する。この判定は、上記ステップS201での判定に等しい。ステップS301で肯定判定されると、次ぐステップS303で排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力の目標圧力(通路目標圧力)が設定される。この通路目標圧力とは、排気絞り弁56の閉弁制御により排気絞り弁56上流側の排気通路Jの高められる圧力を調節するべく、排気通路Jの圧力調節制御上、目標とされるその圧力のことである。この通路目標圧力は、その時々の、マニュアル変速機72の選択された変速比、すなわちその変速段に基づいて、予め実験により求められてROMに記憶されたデータを検索することで定められる。この通路目標圧力の設定は上記ステップS205あるいはS215での容器上限圧の設定と同様にして行われる。通路目標圧力に関するそのデータは、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力と車両に生じる減速度とを考慮して、予め実験により定められている。具体的には、マニュアル変速機72の変速段が小さいほど(その変速比が大きいほど)、低い圧力が通路目標圧力として設定されるように、予めそのデータは定められている。すなわち、1速変速段、2速変速段、・・・、6速変速段の各々に対応して設定されている通路目標圧力P1、P2、・・・、P6は、P1からP6に至るにつれて大きくなる関係を有する(P1<P2<P3<P4<P5<P6)。
次ぐステップS305では排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力(図3中の「通路圧力」)が検出される。これは圧力センサ114からの出力信号に基づいて求められる。なお、排気通路Jの圧力は、種々の検出値等に基づいて推定されてもよい。ステップS305で検出した排気通路Jの圧力に基づいて、ステップS307ではバイパス弁69用の回収開度が設定される。つまり、この回収開度は可変である。この回収開度は当初はリセットされていて、初期値として全閉の開度が設定されている。そして、その後、バイパス弁69用の回収開度は、上記ステップS303で設定した通路目標圧力とステップS305で検出した排気通路Jの圧力との比較結果に基づいて、その通路目標圧力に排気通路Jの圧力が一致するように、定められる。そして、バイパス弁69の開度がこの回収開度になるように、ステップS309でアクチュエータ70へ作動信号が出力される。このように、バイパス弁69は、排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するようにフィードバック制御される。
このようにして、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するようにバイパス弁69が制御される。すなわち、バイパス弁69の開度は、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が通路目標圧力に向かって近づくように調節される。こうすることで、蓄圧容器64内に、通路目標圧力に実質的に等しい圧力を有する排気ガスを回収して、好ましくは蓄圧容器64内の圧力を上記容器上限圧にまで高めることが可能になる。したがって、上述の如く制御することで、減速ショックが出ないように、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を適切に高めて、より高い圧力エネルギーを有する排気ガスを蓄圧容器64内に回収することが可能になる。
他方、上記ステップS301で否定判定されると、ステップS311でバイパス弁69が通常時の開度(通常開度)である全閉にまで閉じるようにアクチュエータ70に作動信号が出力される。なお、ステップS301で否定判定されることで、バイパス弁69の回収開度はリセットされる。
以上、本第1実施形態の排気ガス回収制御によれば、排気ガス回収条件が満たされているとき、排気通路Jの圧力がマニュアル変速機72の変速比に基づいて定められる上記通路目標圧力に一致するように、バイパス弁69の開度がフィードバック制御される。したがって、内燃機関10と駆動輪90との間の伝達トルクを適切に調節しつつ、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を排気ガス回収可能な圧力にするように、排気通路Jの圧力を適切に高めることが可能になる。
さらに、上記通路目標圧力は、マニュアル変速機72の変速比に基づいて定められ、かつ、その変速比が高いほど低く定められるので、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を例えば減速ショックが出ない圧力に抑制することが可能になる。すなわち、排気通路28に設けた排気絞り弁56を閉じて蓄圧容器64へ排気ガスを回収しようとするとき、車両の車輪といった被伝達部へ過度に大きな制動トルクが生じないように、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を適切に高めることが可能になる。したがって、車両の走行状態を運転者の望む状態に維持することが可能になる。
上記の如くして排気絞り弁56を閉弁制御したときに、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を調節することの効果を図4および図5に基づいてさらに具体的に説明する。図4のグラフは、排気絞り弁56を閉弁制御したときのバイパス弁69の開度と、車両に生じる減速度との関係を表している。また、図5のグラフは、排気絞り弁56を閉弁制御したときのバイパス弁69の開度と、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力との関係を表している。なお、図4、5中、変速機の変速段が3速でありかつバイパス弁69が閉弁されているときに関する曲線に符号αを付し、変速段がそれと同じでありバイパス弁69の開度が第1開度、第2開度、第3開度であるときに関する曲線に符号α1、α2、α3を付す。なお、バイパス弁69の第1から第3開度は、「全閉<第1開度<第2開度<第3開度」の関係を有する。ただし、図4、5中には、比較対象として、マニュアル変速機72の変速段が4速でありかつバイパス弁69が閉弁されているときに関する曲線も重ねて表され、該曲線には符号βが付されている。なお、図4、5において、時刻t1で、排気絞り弁56が閉弁制御され、それまで閉弁されていたバイパス弁69の開度が上記各開度に調節される。
図4の符号α、βの曲線を比較すると、バイパス弁69が閉弁された状態では、変速機の変速段が小さいほどすなわちその変速比が大きいほど減速度が大きくなることが理解できる。他方、図5の符号α、βの曲線を比較すると、バイパス弁69が閉弁された状態では、変速機の変速段にかかわらず、概ね同程度まで排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が高まることが理解できる。したがって、排気絞り弁56を閉弁制御したときの変速機の選択変速比が大きいほど、運転者の望む走行状態を維持するために何らかの対策を講じることが求められる可能性が高くなる。
図4、5を比較すると、変速機の変速段が3速変速段に固定されているとき、バイパス弁69を開くと、その開度が大きいほど、排気絞り弁56上流側の排気通路の圧力が低下するが、これに対応して減速度も低下する。したがって、バイパス弁56の開度を制御することで、排気通路Jの圧力上昇度合いをある程度犠牲にしつつも、例えば減速ショックを出さないように排気絞り弁56上流側の排気通路の圧力を高めることができることが分かる。そこで、本第1実施形態では、上記した如く、排気絞り弁56を閉弁するときの変速機の変速比が大きいほど、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力の目標値である通路目標圧力を低くし、例えば車両に減速ショックが出ないようにしつつ、適切に排気通路Jから排気ガスを回収することを可能にする。
なお、上記したように、ここでは、変速機の変速比が大きいほど低い圧力を通路目標圧力として定め、この通路目標圧力に合うように排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を高めることで、例えば減速ショックが出ないようにした。しかしながら、運転者は大きな減速度つまり制動力の発生を求めて、変速機の変速比を大きくする場合もある。例えば、車両が下り坂を走行しているときに、運転者がシフトレバーを2速や1速のレンジに位置させる場合である。それ故、このような場合には、より大きな減速度を車両に生じさせることができる。具体的には、このようなときには変速比が大きいほど通路目標圧力を高めて、それにより生じる減速度を高めることができる。そして、こうすることで、より高い圧力を有する排気ガスを蓄圧容器64に回収することが可能になる。なお、運転者が大きな減速度の発生を求めて、変速機の変速比を大きくしているか否かは、例えば車両の傾斜状態を傾斜せンサや加速度センサ等を用いて検出または推定することで、判断され得る。
なお、このように、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき、変速機の変速比が大きいほど通路目標圧力を高めることと、上記の如く変速機の変速比が高いほど通路目標圧力を低めることとを両方採用し、それらを所定条件下で切り分けて実行してもよい。この場合、その制御の切り分けを可能にするように、傾斜センサ、加速度センサ等が設けられるとよい。これらのセンサを用いることで、車両が坂を下っている状態か否かを適切に判断することが可能になる。
ところで、一般的なターボ過給機において、機関回転数が低回転域に属するときには、排気ガスの流量が少ないためにターボ過給機40の回転が低いので、そのときにアクセルペダル104が踏まれると、アクセルペダル104が踏み込まれてから吸入空気の過給効果が現れるまでに時間的な遅れすなわちタイムラグが生じる。そこで、アクセルペダル104が踏み込まれて車両が加速される過渡期に、速やかに過給圧を高めるべく、ターボ過給機40の作動アシストが行われる。このターボ過給機40の作動アシストに関して図6のフローチャートにしたがって詳細に説明する。ただし、図6のフローチャートは、所定時間毎、例えばおよそ8ms毎に繰り返されるものである。
ただし、以下で図6に基づいて説明される制御は、加速要求があったとき、タービン回転数の上昇率を上げてターボ過給機40の応答性向上を図るべく、タービン36のタービンホイールへ向けて蓄圧容器64内の排気ガスを供給することを具体化した例である。
まず、ECU94は、ステップS601において、上記回収フラグが「0」、すなわちOFFであるか否かを判定する。初期状態では同フラグはリセットされているためここでは肯定判定される。なお、ステップS601で否定判定されると、当該ルーチンは終了する。
ステップS601で肯定判定されると、次ぐステップS603では、アシストフラグが「1」、すなわちONであるか否かが判定される。ここで、アシストフラグが「1」であるということは、ターボ過給器40の作動アシスト条件が満たされていることを表し、これに対してそれが「0」であるということは、そのターボ過給機40の作動アシスト条件が満たされていないことを表す。初期状態では同アシストフラグはリセットされているためここでは否定判定される。
ステップS603で否定判定されると、次ぐステップS605では、車速が所定車速以下か否かが判定される。これは、ここでは、ターボ過給機40の作動アシストは、低速走行状態からの加速性能を高めるために行われるためである。なお、ここでは所定車速は90km/hに設定されているが他の値に設定されてもよい。ステップS605で否定判定されると該ルーチンは終了する。
ステップS605で肯定判定されると次ぐステップS607で機関回転数が所定回転数以下か否かが判定される。機関回転数が所定回転数より高いときには、ターボ過給器40の作動に関してアシストの必要がないので、機関回転数が上記所定回転数を越えているときにはステップS607で否定判定されて、当該ルーチンは終了する。他方、ステップS607で機関回転数が所定回転数以下であるとして肯定判定されると、ステップS609へ進む。例えば、ステップS607の判定での所定回転数は3000rpmである。
ステップS609では、加速か否かすなわち加速要求の有無が判定される。この判定は、内燃機関10への要求過給量が増加したか否かの判定に対応する。加速か否かの判定は、加速開始時期を求めることに等しく、アクセル開度に基づいて行われる。アクセル開度が所定値以上であり、かつ、アクセル開度が大きくなる方へ変化したときであって単位所定時間におけるその変化量すなわちその開き速度(アクセル開度開き速度)が所定速度を超えたときに、ECU94は加速、すなわち加速要求有りと判断する。より具体的には、ECU94は、アクセル開度センサ106からの出力信号に基づいてアクセル開度を求め、そのアクセル開度が例えば20%開度以上であり、かつ、それのアクセル開度開き速度が、予め設定されてROMに記憶されている基準速度である上記所定速度を超えたとき、加速と判断する。ステップS609で肯定判定されると、次いでステップS611での判定が行われる。なお、ステップS609で否定判定されると、当該ルーチンは終了する。
ステップS611では、蓄圧容器64内の圧力が所定圧以上か否かが判定される。この所定圧とは、ターボ過給機40の作動アシストを行うのに最低限必要とされる排気ガス量に相当する圧力のことであり、予め実験により求められてROMに記憶されている。そして、ステップS611で否定判定されると、該ルーチンは終了する。
他方、ステップS611で肯定判定されると、次ぐステップS613でターボ過給機40の作動アシスト条件が満たされているとしてアシストフラグが「1」にされる。そして次ぐステップS615で流量調節弁65が開弁するように、アクチュエータ66へ作動信号が出力される(流量調節弁65が開弁制御される)。このようにして、ターボ過給機40の作動アシストが開始される。
こうして蓄圧容器64内からタービンホイール上流側の排気通路Kに供給された排気ガスは、タービンホイールの回転駆動補助に用いられる。したがって、タービンホイールの回転数を速やかに上昇させることが可能になり、ターボラグを低減することが可能になる。
他方、次回以降のルーチンでは、回収フラグが「0」であり、かつ、アシストフラグが「1」であるので、上記ステップS601およびステップS603でそれぞれ肯定判定される。次ぐステップS617では、上記ステップS607と同様に、機関回転数が所定回転数以下か否かが判定される。
そして、ステップS617で肯定判定されると、次ぐステップS619で、アシスト時間が経過していないか否かが判定される。ここで、判定対象となる時間は、流量調節弁65が開かれて連通路62が開通したときからの経過時間である。ここではECU94は、内蔵するタイマ手段で、ステップS613に至ったときからの時間を計測し、この時間を判定対象の時間と擬制して採用する。また、判定基準となるアシスト時間は、予め実験により求められて設定された所定時間であり、ここでは変数ではなく固定値とされて、ROMに記憶されている。ただし、ステップS619での判定に用いられるアシスト時間は可変とされてもよく、加速要求があったときの機関運転状態や、タービンホイール上流側の排気通路Kの圧力などに基づいて定められ得る。
ステップS619でアシスト時間が経過していないとして肯定判定されると、次ぐステップS621で、上記ステップS611と同様に、蓄圧容器64内の圧力が上記所定圧(ステップS611参照)以上か否かが判定される。そして、ここで肯定判定されると、当該ルーチンは終了する。
上記ステップS617から上記ステップS621のいずれかで否定判定されることで、ターボ過給器40の作動アシストを終了するための制御が行われる。ステップS617からステップS621のいずれかで否定判定されると、ステップS623で流量調節弁65が閉弁するようにアクチュエータ66へ作動信号が出力される。そして、次ぐステップS625でアシストフラグが「0」にされる。これにより、該ルーチンは終了する。なお、これにより、タイマ手段はリセットされる。
ただし、一旦、ターボ過給機40の作動アシストが開始された後、それを終了するか否かの判定には、上記ステップS617からステップS621の判定の他、さらに、加速(要求)が継続されているか否かの判定が加えられてもよい。加速が継続されていないときには、もはやターボ過給機40の作動アシストを行う必要はないからである。具体的には、アクセル開度が加速要求有りと判定されたときのアクセル開度から所定量分閉じ側に変化したり、あるいはアクセル開度開き速度が負になってその大きさが所定量以上になったりしたとき、加速が継続されていないとして、作動アシストを終了するための上記制御(ステップS623およびステップS625)が行われ得る。
また、一旦、ターボ過給機40の作動アシストが開始された後、それを終了するか否かの判定には、他に、上記ステップS605と同様の判定が加えられてもよい。なお、上記では、ターボ過給機40の作動アシスト条件として、ステップS605、S607、S611の条件をかしたが、これらのいずれか、あるいは全てが省かれてもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態が適用された車両の内燃機関システムは、バイパス通路およびバイパス弁が設けられていない点で、上記第1実施形態のそれと相違するが、駆動系71を含む他の構成は上記第1実施形態と概ね同じである。そこで、本第2実施形態が適用された車両の内燃機関システムおよびその周辺構成に関してのさらなる説明を省略する。なお、以下では、上で説明した構成要素と同じ構成要素あるいはそれに対応する構成要素に同様の符号を付す。
本第2実施形態は、排気ガス回収用に排気絞り弁56を閉弁制御したときに、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を調節するために、開度が調節される弁が、排気絞り弁56である点で、上記第1実施形態と相違する。それ以外の点では、本第2実施形態の排気ガス回収用制御およびターボ過給機40の作動アシスト制御は、上記第1実施形態の制御と概ね同じであり、上記したのと同様の変形が許容され、上記したのと同様の効果を奏する。したがって、その相違点に関することのみ以下説明する。
ここでは、上記第1実施形態の図2のフローチャートから、排気絞り弁56の閉弁制御および開弁制御を行う工程が除かれたフローチャートが用いられる。すなわち、ステップS211全体が除かれ、ステップS223からその一部の排気絞り弁56の開弁制御が除かれる。第2実施形態では、排気ガス回収用の排気絞り弁56の制御は図7のフローチャートに基づいて行われる。なお、図7のフローチャートは、図3のフローチャートに対応し、上記したように変更される図2のフローチャートと共に用いられ、所定時間ごとに繰り返される。
ECU94は、ステップ701で回収フラグが「1」か否かを判定する。ここで肯定判定されると、次ぐステップS703で排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力の通路目標圧力が設定される。この通路目標圧力の設定は、上記ステップS303と同様にして行われる。次ぐステップS705では排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が検出される。ステップS705で検出した排気通路Jの圧力に基づいて、ステップS707では排気絞り弁56用の回収開度が設定される。つまり、ここでは、排気絞り弁56の開度は、排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するように(換言すると近づくように)、可変される。ここでの排気絞り弁56の回収開度は当初はリセットされていて、初期値として全閉の開度が設定されている。そして、その後、排気絞り弁56用の回収開度は、上記ステップS703で設定した通路目標圧力とステップ705で検出した排気通路Jの圧力との比較結果に基づいて、上記ステップS703で定めた通路目標圧力に排気通路Jの圧力が一致するように、定められる。そして、ステップS709で、排気絞り弁56の開度がこの回収開度になるように、アクチュエータ58へ作動信号が出力される。このようにして、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するように排気絞り弁56がフィードバック制御される。
他方、上記ステップS701で否定判定されると、ステップS711で排気絞り弁56が通常開度である全開の開度に開くようにアクチュエータ58に作動信号が出力される。この結果、通常の制御状態に復帰される。なお、ステップS701で否定判定されることで、ステップS707での回収開度はリセットされる。
なお、第2実施形態では、排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するように、排気絞り弁56をフィードバック制御することにしたが、排気絞り弁56は、通路目標圧力と検出あるいは推定した排気通路Jの圧力との比較結果に基づいて、排気通路Jの圧力が通路目標圧力を超えないように制御されてもよい。具体的には、排気通路Jの圧力が上昇して通路目標圧力に概ね合ったとき、例えばそれがその通路目標圧力を越えたと判断されたときに排気絞り弁56は開弁制御されてもよい。そして、このような排気絞り弁56の閉弁制御と開弁制御とは、排気ガス回収の所定条件が満たされている間、1回のみ行われるようにされてもよいが、複数回繰り返されてもよい。すなわち、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき、排気絞り弁56の閉弁、これによる排気通路Jの圧力の通路目標圧力への実質的な到達、排気絞り弁56の開弁、所定時間経過後あるいは直後の排気絞り弁56の閉弁、・・・が、繰り返されてもよい。こうすることでも、蓄圧容器64内に、通路目標圧力に実質的に等しい圧力を有する排気ガスを回収して、好ましくは蓄圧容器64内の圧力を上記容器上限圧にまで高めることが可能になる。なお、通路目標圧力に一致するように、かつ、それを超えないように、排気通路Jの圧力が調節されて高められてもよい。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態が適用された車両の内燃機関システム等は、上記第2実施形態のそれらと概ね同じである。そこで、本第3実施形態が適用された車両の内燃機関システムおよびその周辺構成に関しては、さらなる説明を省略する。なお、以下では、上で説明した構成要素と同じ構成要素あるいはそれに対応する構成要素に同様の符号を付す。
本第3実施形態は、排気ガス回収用に排気絞り弁56を閉弁制御したときに、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を調節するために、開度が調節される弁がEGR弁50である点で、上記第1、2実施形態と相違する。それ以外の点では、本第3実施形態の排気ガス回収用制御およびターボ過給機40の作動アシスト制御は、上記第1、2実施形態の制御と概ね同じであり、上記したのと同様の変形が許容され、上記したのと同様の効果を奏する。したがって、その相違点に関することのみ以下説明する。
ここでは、上記第1実施形態の図2のフローチャートから、EGR弁50の閉弁制御および開弁制御を行う工程が除かれたフローチャートが用いられる。すなわち、ステップS209からその一部のEGR弁50を回収開度にする制御が除かれ、ステップS223からその一部のEGR弁50を通常開度にする制御が除かれる。第3実施形態では、排気ガス回収用のEGR弁50の制御は図8のフローチャートに基づいて行われる。なお、図8のフローチャートは、図3、7のフローチャートに対応し、上記したように変更される図2のフローチャートと共に用いられ、所定時間ごとに繰り返される。
ECU94は、ステップ801で回収フラグが「1」か否かを判定する。ここで肯定判定されると、次ぐステップS803で排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力の通路目標圧力が設定される。この通路目標圧力の設定は、上記ステップS303と同様にして行われる。次ぐステップS805では排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が検出される。ステップS805で検出した排気通路Jの圧力に基づいて、ステップS807ではEGR弁50用の回収開度が設定される。つまり、ここでは、排気通路Jに連通するEGR通路46に設けられたEGR弁56の開度は、上記ステップS803で設定した通路目標圧力とステップS805で検出した排気通路Jの圧力との比較結果に基づいて、排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するように、可変とされる。ここでのEGR弁50の回収開度は当初はリセットされていて、初期値として全閉の開度が設定されている。なお、初期値として全開の開度が設定されてもよい。そして、その後、EGR弁50用の回収開度は、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するように、定められる。そして、ステップS809で、EGR弁50の開度がこの回収開度になるように、アクチュエータ54へ作動信号が出力される。このようにして、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力が通路目標圧力に一致するようにEGR弁50がフィードバック制御される。
他方、上記ステップS801で否定判定されると、ステップS811でEGR弁50が通常開度になるようにアクチュエータ54に作動信号が出力される。なお、ステップS801で否定判定されることで、ステップS807の回収開度はリセットされる。なお、ステップS811での、EGR弁50を通常開度にするEGR弁50の制御は、上記第1実施形態で説明した機関運転状態に基づく制御であるので、ここでの詳細な説明は省略される。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本第4実施形態が適用された車両の内燃機関システム等は、上記第2実施形態や第3実施形態のそれらと概ね同じである。そこで、本第4実施形態が適用された車両の内燃機関システムおよびその周辺構成に関しては、さらなる説明を省略する。なお、以下では、上で説明した構成要素と同じ構成要素あるいはそれに対応する構成要素に同様の符号を付す。
本第4実施形態は、排気ガス回収用に排気絞り弁56を閉弁制御したときに、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を調節するために開度が調節される弁がEGR弁50である点で、上記第3実施形態と共通する。しかしながら、EGR弁50のその開度は、後で詳述するように、上記通路目標圧力と排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力との比較結果に基づくように、蓄圧容器64内の圧力の目標圧力(容器目標圧力)と、蓄圧容器64内の圧力との比較結果に基づいて可変とされる。それ以外の点では、本第4実施形態の排気ガス回収用制御およびターボ過給機40の作動アシスト制御は、上記第3実施形態の制御と概ね同じであり、上記したのと同様の変形が許容され、上記したのと同様の効果を奏する。したがって、その相違点に関することのみ以下説明する。なお、通路目標圧力と排気通路Jの圧力との比較結果に基づくように、容器目標圧力と蓄圧容器64内の圧力との比較結果に基づいてEGR弁50の開度を可変とさせて排気通路Jの圧力を調節することは、通路目標圧力と排気通路Jの圧力との比較結果に基づいて排気通路Jの圧力を調節することに含まれる。
ここでは、上記第3実施形態に関する説明で述べたのと同様に、上記第1実施形態の図2のフローチャートから、EGR弁50の閉弁制御および開弁制御を行う工程が除かれたフローチャートが用いられる。すなわち、ステップS209からその一部のEGR弁50を回収開度にする制御が除かれ、ステップS223からその一部のEGR弁50を通常開度にする制御が除かれる。第4実施形態では、排気ガス回収用のEGR弁50の制御は図9のフローチャートに基づいて行われる。なお、図9のフローチャートは、図3、7、8のフローチャートに対応し、上記したように変更される図2のフローチャートと共に用いられ、所定時間ごとに繰り返される。
なお、強調するべく再度説明するが、ECU94は、排気ガス回収の所定条件が満たされているか否かを判定するために、上記実施形態と同様に、上記ステップS203での判定と上記ステップS205での判定とを実行する。つまり、ステップS205では、蓄圧容器64内の圧力が、蓄圧容器64に許容される圧力であって、所定圧である容器上限圧以下か否かが判定される。その容器上限圧は、可変であり、マニュアル変速機72の変速比に基づいて上記の如く設定される。そして、この容器上限圧は、排気ガス回収用の排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力の目標圧力すなわち上記通路目標圧力と同じあるいはそれよりも低い圧力である。
さて図9に基づいて説明する。ECU94は、ステップS901で回収フラグが「1」か否かを判定する。ここで肯定判定されると、次ぐステップS903で蓄圧容器64内の圧力の容器目標圧力が設定される。この容器目標圧力は、排気絞り弁56の閉弁制御により排気絞り弁56上流側の排気通路Jの高められる圧力を調節するべく、排気通路Jの圧力調節制御上、目標とされる、蓄圧容器64内の圧力のことである。なお、この容器目標圧力は、上記第1から第3実施形態での通路目標圧力と関連付けられ、この通路目標圧力と排気通路Jの圧力との比較結果に基づいてあたかも排気通路Jの圧力が調節されるように規定されているデータを用いて定められる。具体的には、この容器目標圧力は、その時々の、マニュアル変速機72の選択された変速比、すなわちその変速段に基づいて、予め実験により求められてROMに記憶されたデータを検索することで定められる。そして、容器目標圧力に関するそのデータは、当然の如く、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力と車両に生じる減速度とを考慮して、予め実験により定められている。具体的には、マニュアル変速機72の変速段が小さいほど(その変速比が大きいほど)、低い圧力が容器目標圧力として設定されるように、予めそのデータは定められている。つまり、この容器目標圧力の設定は、上記ステップS303の通路目標圧力の設定と同じようにかつ上記ステップS205での容器上限圧の設定と同じようにして行われる。
次ぐステップS905では蓄圧容器64内の圧力が検出される。蓄圧容器64内の圧力は、圧力センサ116からの出力信号に基づいて求められる。ステップS905で検出される蓄圧容器64内の圧力値は、上記ステップ221で流量調節弁65が開かれるまでは上記ステップS205やステップS215での容器上限圧よりも低く、排気絞り弁56が閉弁されていてもその閉弁時(ステップS211の時点)の圧力そのものである。これに対して、流量調節弁65が開かれているとき、排気通路Jの圧力と蓄圧容器64内の圧力とは関連し、蓄圧容器64内の圧力を変化する。
そして、ステップS903で設定された容器目標圧力とステップS905で検出した蓄圧容器64内の圧力との比較結果に基づいて、ステップS907ではEGR弁50制御用の回収開度が設定される。ここでは、蓄圧容器64内の圧力が排気絞り弁56が閉弁された時点での圧力そのものである場合、EGR弁50の回収開度は、初期値としての全閉の開度に設定されつづける。一旦、流量調節弁65が開かれると、排気通路Jに連通するEGR通路46に設けられたEGR弁56の開度は、上記ステップS903で設定した容器目標圧力とステップS905で検出した蓄圧容器64内の圧力との比較結果に基づいて、蓄圧容器64内の圧力が容器目標圧力に一致するように可変とされる。流量調節弁65が開かれているときには、排気通路Jの圧力は、蓄圧容器64内の圧力と相互依存関係にあり、実質的に対応関係にあるとみなすことができるからである。そして、その後、流量調節弁65が開かれているとき、EGR弁50用の回収開度は、蓄圧容器64内の圧力が容器目標圧力に一致するように、定められる。そして、ステップS909で、EGR弁50の開度がこの回収開度になるように、アクチュエータ54へ作動信号が出力される。このようにして、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を上記通路目標圧力に一致させるべく、蓄圧容器64内の圧力を容器目標圧力に一致させるように、EGR弁50がフィードバック制御される。
他方、上記ステップS901で否定判定されると、ステップS911でEGR弁50が通常開度になるようにアクチュエータ54に作動信号が出力される。なお、ステップS901で否定判定されることで、ステップS907の回収開度はリセットされる。なお、ステップS911での、EGR弁50を通常開度にするEGR弁50の制御は、上記第1実施形態で説明した機関運転状態に基づく制御であるので、ここでの詳細な説明は省略される。
上記第4実施形態では、排気通路Jの圧力を調節するべく、蓄圧容器64内の圧力が容器目標圧力に一致するように、EGR弁50を制御した。しかしながら、同様の作用効果を奏するように制御される弁は、EGR弁50でなくて、排気絞り弁56であっても、あるいは上記第1実施形態の如くバイパス弁69が設けられている場合にはそのバイパス弁69であってもよい。このようにEGR弁50以外の弁を制御することでも、上記の如く、排気通路Jの圧力を調節するべく、蓄圧容器64内の圧力を容器目標圧力に一致させることが可能である。
以上、本発明に係る排気ガス回収装置を上記4つの実施形態およびその変形例に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されない。例えば、上記第1から第3実施形態の3つの実施形態およびその変形例では、排気ガス回収の所定条件が満たされているとき、変速機の変速比に基づいて排気絞り弁上流側の排気通路の圧力の目標圧力を設定し、この目標圧力と検出等された排気通路Jの圧力との比較結果に基づいて排気通路Jの圧力を調節するべく、バイパス弁69、排気絞り弁56、あるいはEGR弁50を制御した。そして、上記それら3つの実施形態では、その目標圧力と、検出された排気通路Jの圧力とが一致するように、それら弁の内のいずれかをフィードバック制御した。また、上記第2実施形態の変形例として、排気通路Jの圧力がその目標圧力を超えないように、排気絞り弁56を制御してもよいことを説明した。これに加えて、本発明の範囲には、排気通路Jの圧力がその目標圧力を超えないように、バイパス弁69あるいはEGR弁50を制御することが含まれる。これは、上記第4実施形態にも同様に適用され得、排気通路Jの圧力がその目標圧力を超えないように、蓄圧容器64内の圧力を容器目標圧力に対して調節するべく、排気絞り弁56、バイパス弁69あるいはEGR弁50が制御されてもよい。
また、例えば、排気絞り弁56上流側の排気通路Jの圧力を調節するために、開度が調節される弁は複数であってもよい。バイパス弁69、排気絞り弁56、EGR弁50の内のいずれか2つあるいはこれら3つを並行して制御することで、排気通路Jの圧力が調節されてもよい。すなわち、排気通路Jの圧力は、バイパス弁69、排気絞り弁56、EGR弁50の内の少なくとも1つの開度を調節することで調節されるとよい。これは、同様に、排気通路Jの圧力を調節するために、蓄圧容器64内の圧力を調節する場合にも適用できる。
また、上では、マニュアル変速機72を用いたが、これ以外の構成を有するトルク伝達装置、例えば自動変速機が用いられてもよい。ただし、排気ガス回収の所定条件が満たされているときには、内燃機関10と変速機との間で、ある程度のトルク伝達すなわち動力伝達が可能にされるとよい。
また、上記4つの実施形態では、変速機は有段のマニュアル変速機72であったが、無段自動変速機であってもよい。無段変速機としては、既知の種々の無段変速機を採用することができる。無段変速機を変速機として採用した場合、上記排気絞り弁上流側の排気通路Jの圧力の目標圧力は、無断変速機の変速比に基づいて細かく変更設定され得る。
なお、上記4つの実施形態では、蓄圧容器64内に回収された排気ガスを、ターボ過給器40の作動アシストに用いることとした。しかしながら、これは回収された排気ガスの用途を制限するものではなく、回収された排気ガスは、種々の機能部品の作動アシストなどに用いられ得る。なお、排気通路28と蓄圧容器64とをつなぐ排気ガス回収用の通路と、種々の機能部品と蓄圧容器64とをつなぐ排気ガス放出用の通路とは、分けられてもよい。この場合、排気ガス回収用通路に設けられる弁は逆止弁であり得る。
また、上記4つの実施形態では、排気絞り弁56はバタフライ式弁であったが、それ以外の形式の弁であってもよい。排気絞り弁56は、例えば、ポペット式弁、シャッター式弁であり得る。なお、排気絞り弁56として、排気ブレーキ用に設けられた弁が用いられてもよい。また、EGR弁50、流量調節弁65、バイパス弁69は、ポペット式弁以外の形式の弁であってもよく、バタフライ式弁、シャッター式弁であり得る。
また、蓄圧容器内には、蓄圧容器内への排気ガスの回収量を増やすべく、活性炭、ゼオライト、アルミナ、カーボンモレキュラーシーブの内の少なくとも1つを含んで構成され得る、ガスを吸着可能な吸着材が配置されるとよい。ただし、このような吸着材は耐熱性に劣ることがあるので、採用する吸着材の種類に応じた許容温度を超えないように、蓄圧容器内に回収および保持される排気ガスの温度は調節あるいは制限されるとよい。
また、上記4つの実施形態では、加速するときに、タービンホイール上流側の排気通路Kに蓄圧容器64内の排気ガスを供給するとしたが、加速するときに限らず、要求負荷が増加するときにそのような排気ガス供給がなされてもよい。要求負荷が増加するときには、加速するとき、および、車両が上り坂に面して負荷が上昇した場合などの内燃機関への要求負荷が増加するときが含まれる。なお、「要求負荷」との表現における「負荷」には「トルク」や「出力」という概念が含まれる。
なお、上記4つの実施形態では、本発明をディーゼル機関に適用して説明したが、これに限定されず、本発明は、ポート噴射型式のガソリン機関、筒内噴射形式のガソリン機関等の各種の内燃機関に適用可能である。また、用いられる燃料は、軽油やガソリンに限らず、アルコール燃料、LPG(液化天然ガス)等でもよい。また、本発明が適用される内燃機関の気筒数などはいくつであってもよい。
なお、上記4つの実施形態およびその変形例では本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。