JP4839881B2 - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

ディスクブレーキ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4839881B2
JP4839881B2 JP2006045549A JP2006045549A JP4839881B2 JP 4839881 B2 JP4839881 B2 JP 4839881B2 JP 2006045549 A JP2006045549 A JP 2006045549A JP 2006045549 A JP2006045549 A JP 2006045549A JP 4839881 B2 JP4839881 B2 JP 4839881B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric film
shims
self
shim
actuation member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006045549A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007224988A (ja
Inventor
宏 磯野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006045549A priority Critical patent/JP4839881B2/ja
Publication of JP2007224988A publication Critical patent/JP2007224988A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4839881B2 publication Critical patent/JP4839881B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)

Description

本発明は、振動を抑制するディスクブレーキ装置に関する。
ディスクブレーキ装置は、車輪と共に回転するディスクロータを左右両側からブレーキパッドで挟み、ピストンの作動によって2つのブレーキパッドをディスクロータに接触させることによって、制動力を発生させる。ディスクブレーキ装置では、ディスクロータやブレーキパッドの振動によって、鳴きや異音が発生する。そこで、ディスクブレーキ装置における振動を抑制するための技術が各種開発されている。制振技術の一つとして、センサとしての機能とアクチュエータとしての機能を有する圧電素子を用いたものがある。その一例として、左右のピストン内に圧電素子をそれぞれ設け、一方の圧電素子で電圧変化からディスクロータの振動を検知し、他方の圧電素子で電圧印加によってそのロータ振動を打ち消すための加振を行う(特許文献1参照)。
特開平8−320038号公報
圧電素子によって振動を検知する場合には電気回路が必要となり、圧電素子によって加振する場合には電気回路や電源が必要となる。そのため、ピストン内に電気回路や電源を組み込む必要があり、構成が複雑化し、搭載性も悪い。また、制振するために検知した振動に対して逆位相で加振する必要があるが、圧電素子を用いた電気制御によって逆位相加振を行うのは非常に困難である。
そこで、本発明は、簡単な構成でディスクロータの振動を抑制するディスクブレーキ装置を提供することを課題とする。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備えることを特徴とする。
このディスクブレーキ装置では、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間にセルフセンシングアクチュエーション部材が配置されている。セルフセンシングアクチュエーション部材は、センサとしての機能とアクチュエータとしての機能を有している部材であり、例えば、ピエゾ素子などの圧電素子からなる部材である。圧電素子の場合、変形すると電圧を発生する圧電効果と電圧を印加すると変形する逆圧電効果を持っており、圧電効果を利用してセンサとして機能し、逆圧電効果を利用してアクチュエータとして機能する。したがって、このディスクブレーキ装置では、振動(例えば、ディスクロータの振動、ブレーキ入力)が発生し、その振動がセルフセンシングアクチュエーション部材に入力すると、セルフセンシングアクチュエーション部材がその振動を検知するとともに変形し、その変形によりブレーキ荷重伝達系の機械的特性(剛性など)を変化させ、振動伝達系の振動特性(固有振動数(ばね特性)、減衰特性など)を変化させる。振動特性が変化することによって、振動が低減し、鳴きや異音を抑制することができる。この際、セルフセンシングアクチュエーション部材は、電気回路や電源無しでセンサやアクチュエータとして機能するが、電気回路を設けることによってセンシング量を取り出すことも可能である。このように、このディスクブレーキ装置では、押圧手段とブレーキパッドとの間にセルフセンシングアクチュエーション部材を配置させるという簡単な構成によって、振動を抑制することができる。また、電気回路などを必要としないので、低コスト、コンパクト化、搭載性に優れ、電気回路における温度による抵抗バラツキもなく、センサやアクチュエータとしての精度も高い。さらに、このディスクブレーキ装置では、ブレーキ入力に対してもブレーキ荷重伝達系の機械的特性を変化させるので、ブレーキ入力に対する制動力も高めることができる。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させると好適である。
このディスクブレーキ装置では、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に設けられる複数枚のシムの間に挟むことによってセルフセンシングアクチュエーション部材を配置する。シム間に配置することによって、セルフセンシングアクチュエーション部材を容易に設けることができ、セルフセンシングアクチュエーション部材を備えるシムの交換も容易であり、搭載性にも優れている。さらに、セルフセンシングアクチュエーション部材の変形によってブレーキパッドの面圧が安定化し、ブレーキパッドの偏磨耗を抑制する。さらに、面圧安定化によって圧縮歪が低減し、押圧手段の作動ストロークを低減できる。また、セルフセンシングアクチュエーション部材は、2枚のシムに挟まれるので、その耐久性が向上する。
本発明の上記ディスクブレーキ装置では、シムのセルフセンシングアクチュエーション部材との接触面を波状としてもよい。
このディスクブレーキ装置では、シムの接触面を波状とすることにより、セルフセンシングアクチュエーション部材が波状となる。そのため、セルフセンシングアクチュエーション部材が、様々な方向からの入力(横振動、縦振動、ブレーキ入力など)を受けることができ、その様々な入力に対して変形する。したがって、センシング性能が向上するとともに、その変形によって様々な振動を抑制することができる。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、シム間に挟まれるセルフセンシングアクチュエーション部材をブレーキパッド側にオフセット配置させることを特徴とする
このディスクブレーキ装置では、セルフセンシングアクチュエーション部材をブレーキパッド側にオフセットさせることにより、セルフセンシングアクチュエーション部材の変形方向(屈曲方向)を押圧手段側に凸状になるように制御できる。これによって、押圧手段の作動ストロークを低減でき、ブレーキペダルストロークに対するブレーキ油圧を高めることができ、常用域においてブレーキ効きを高めることができる。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、シムのセルフセンシングアクチュエーション部材との接触面を波状とし、セルフセンシングアクチュエーション部材を波状とし、シムの波の曲率とセルフセンシングアクチュエーション部材の波の曲率とを調整することを特徴とする
このディスクブレーキ装置では、シムの接触面とセルフセンシングアクチュエーション部材を共に波状とし、その各波の曲率を調整する。この際、セルフセンシングアクチュエーション部材の曲率をシムより大きくするほど、セルフセンシングアクチュエーション部材の長さが長くなり(波の振幅が大きくなり)、シム間の空間が広がる。一方、セルフセンシングアクチュエーション部材の曲率をシムより小さくするほど、セルフセンシングアクチュエーション部材の長さが短くなり(波の振幅が小さくなり)、シム間の空間が狭まる。このように、セルフセンシングアクチュエーション部材によって空間を形成することにより、2枚のシムの相対変位が可能となり、振動発生時にシムの相対移動によってセルフセンシングアクチュエーション部材の荷重負荷効果を高めることができる。その結果、振動の抑制効果が向上する。また、曲率を調整することによりセルフセンシングアクチュエーション部材の長さを変えることにより、振動発生時に振動エネルギによってセルフセンシングアクチュエーション部材の収縮に応じて2枚のシムの密着度合いを変化させることができる。この振動発生時のシム間の密着度合いにより、シム部分の剛性を変化させることができる。振動発生時に、密着度合いが増加するほど剛性が大きくなり、密着度合いが薄れるほど剛性が小さくなる。剛性が大きくするかあるいは小さくすると振動の抑制効果が高まるかはディスクブレーキ装置における振動伝達系(ブレーキ荷重伝達系)の特性によって変わるので、その特性に応じてシムとセルフセンシングアクチュエーション部材の曲率を調整する。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、シムは3枚であり、セルフセンシングアクチュエーション部材を挟むシム間を2つ構成し、一方のシム間では、セルフセンシングアクチュエーション部材を波状とし、他方のシム間では、セルフセンシングアクチュエーション部材をブレーキパッド側にオフセット配置させることを特徴とする
このディスクブレーキ装置では、3枚のシムによって2つのシム間が構成され、一方のシム間ではセルフセンシングアクチュエーション部材を波状とし、他方のシム間ではセルフセンシングアクチュエーション部材をブレーキパッド側にオフセットさせる。セルフセンシングアクチュエーション部材を波状とすることにより、上記したように様々な方向からの入力を受けることができ、主にセンシング性能が向上する。また、セルフセンシングアクチュエーション部材をオフセット配置することにより、上記したように変形方向(屈曲方向)を制御でき、主にアクチュエータ性能が向上する。このように、このディスクブレーキ装置は、セルフセンシングアクチュエーション部材の波状による効果とセルフセンシングアクチュエーション部材のオフセットによる効果を有している。なお、セルフセンシングアクチュエーション部材を波状とする方法としては、上記のようにシムの接触面を波状としてもよいし、あるいは、上記のようにシムの接触面とセルフセンシングアクチュエーション部材を共に波状とし、その各波の曲率を調整するようにしてもよい。この場合、主に、波状のセルフセンシングアクチュエーション部材がセンサとして機能し、オフセット配置したセルフセンシングアクチュエーション部材がアクチュエータとして機能するが、その逆の場合もある。
この際、一方と他方のセルフセンシングアクチュエーション部材を異なる極性間で接続することにより、一方のセルフセンシングアクチュエーション部材によるセンシングによって発生した電位を逆電位で他方のセルフセンシングアクチュエーション部材に印加でき、そのセンシングに対して逆位相で他方のセルフセンシングアクチュエーション部材が変形する。その結果、発生した振動を打ち消すような加振ができ、振動を抑制することができる。このように、このディスクブレーキ装置では、電気回路無しに、一方のセルフセンシングアクチュエーション部材がセンサとして機能し、他方がアクチュエータとして機能する。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、シム間に、空間を形成し、当該空間に粘性体を封入し、セルフセンシングアクチュエーション部材にオリフィス孔を設けることを特徴とする
このディスクブレーキ装置では、シム間に形成された空間に粘性体が封入され、セルフセンシングアクチュエーション部材に設けられたオリフィス孔によって粘性体が移動可能である。そのため、振動発生時に、その空間内でセンシングアクチュエーション部材が変動すると、オリフィス効果によって減衰力が発生する。この減衰力によって振動エネルギを減衰でき、振動抑制効果を高めることができる。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、シムは3枚であり、セルフセンシングアクチュエーション部材を挟むシム間を2つ構成し、2つのシム間では、セルフセンシングアクチュエーション部材を同周期の波状とし、一方のシム間の波の位相と他方のシム間の波の位相とを調整することを特徴とする
このディスクブレーキ装置では、3枚のシムによって2つのシム間が構成され、2つのシム間のセルフセンシングアクチュエーション部材を同周期の波状とし、その各波の位相を調整する。振動発生時に、2つのシム間のセルフセンシングアクチュエーション部材が変形し、セルフセンシングアクチュエーション部材に挟まれるシムが可動子として働く。そして、この可動子が一方側と他方側とが互いに振動を打ち消しあうように位相をコントロールすることによって、振動を抑制することができる。位相のずれ量をどの程度にすると振動抑制効果が高まるかはディスクブレーキ装置における振動伝達系(ブレーキ荷重伝達系)の特性によって変わるので、その特性に応じて位相を調整する。
本発明は、セルフセンシングアクチュエーション部材を押圧部材とブレーキパッド間に配置させるという簡単な構成によって、振動を抑制でき、鳴きや異音の発生を抑制することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るディスクブレーキ装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係るディスクブレーキ装置を、浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置に適用する。本実施の形態に係るディスクブレーキ装置は、セルフセンシングアクチュエーション部材として圧電フィルムを用い、左右のパッド部に圧電フィルムがそれぞれ設けられるとともに、ピストンの対向側のキャリパの爪部に圧電フィルムが設けられる。本実施の形態には、シム部の圧電フィルムの構成の違いにより7つの形態があり、第1の実施の形態がシムの圧電フィルムとの接触面が平面状の形態であり、第2の実施の形態がシムの圧電フィルムとの接触面が波状の形態であり、第3の実施の形態が圧電フィルムをオフセット配置する形態であり、第4の実施の形態がシムの接触面と圧電フィルムの各波の曲率を調整する形態であり、第5の実施の形態が第3の実施の形態と第4の実施の形態の構成を有する形態であり、第6の実施の形態が波状の圧電フィルムにオリフィス孔が形成され、シム間の空間にグリースを封入する形態であり、第7の実施の形態が2枚の同周期の圧電フィルムの位相を調整する形態である。
まず、図1及び図2を参照し、本実施の形態に係るディスクブレーキ装置1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るディスクブレーキ装置のキャリパの正断面図である。図2は、本実施の形態に係るキャリパに設けられる圧電フィルムの正面図である。
ディスクブレーキ装置1は、車輪に共に回転するディスクロータ2が配設され、キャリパ3にディスクロータ2を跨いで一対のパッド4,5が配設される。キャリパ3には、シリンダ3aが形成され、シリンダ3aにピストン6がディスクロータ2の接線方向に沿って摺動自在に設けられている。パッド4には、裏金4aを介して圧電フィルム付シム部7が取り付けられている。パッド5には、裏金5aを介して圧電フィルム付シム部8が取り付けられている。
ディスクブレーキ装置1では、ドライバがブレーキペダル(図示せず)を操作すると、ピストン6が圧電フィルム付シム部7を介してインナ側のパッド4を押圧し、パッド4でディスクロータ2(一方の押圧手段)を押圧する。さらに、ディスクブレーキ装置1では、キャリパ3がディスクロータ2からの反力を受けてインナ側に移動し、キャリパ3におけるピストン6の対向側(他方の押圧手段)が圧電フィルム付シム部8を介してアウタ側のパッド5を押圧する。これによって、ディスクブレーキ装置1では、一対のパッド4,5をディスクロータ2に押し付け、制動力を発生させる。
各圧電フィルム付シム部7,8は、同様の構成を有しており、2枚又は3枚のシムと1枚又は2枚の圧電フィルムを備えており、各圧電フィルムがシム間に挟まれた状態で配置される。第1〜第7の実施の形態では、このシム、圧電フィルムの枚数及びシムの圧電フィルムとの接触面の形状や圧電フィルムの形状などが異なっている。また、キャリパ3には、ピストン6の対向側の爪部3bの内側に圧電フィルム9が接着されている。
各圧電フィルムは、ピエゾ素子などの圧電素子からなるフィルムである。圧電素子は、変形すると電圧を発生する圧電効果と電圧を印加すると変形する逆圧電効果を持っている。圧電フィルムは、圧電効果を利用してセンサとして機能し、逆圧電効果を利用してアクチュエータとして機能する。したがって、各圧電フィルムは、ピストン6の作動によるパッド4,5の押圧あるいはディスクロータ2などの振動が入力すると、その押圧や振動を検知し、その検知に応じて変形(収縮、引張など)する。
この圧電フィルムの変形によって、圧電フィルム付シム部7,8に設けられる圧電フィルムは、シリンダ3a、ピストン6、パッド4,5、シム部7,8などからなるブレーキ荷重伝達系の機械的特性(シム部の剛性など)を変化させ、ひいては、振動伝達系の振動特性(固有振動数(ばね特性)、減衰特性など)を変化させる。
また、圧電フィルム9は、ピストン6の作動による圧電フィルム付シム部8を介したパッド5の押圧に対して、ディスクロータ2の半径方向に収縮する。この圧電フィルム9の収縮によって、パッド4,5の半径方向の面圧が安定化する。その結果、パッド4,5の半径方向の偏磨耗を抑制でき、圧縮歪が低減し、ピストン6の作動ストロークも低減できる。
このディスクブレーキ装置1によれば、シム間に挟みこんで圧電フィルムを配置させる簡単な構成により、振動伝達系の振動特性を変化させることができる。それによって、振動を低減でき、鳴きや異音を抑制することができる。また、ブレーキ入力に対してもブレーキ荷重伝達系の機械的特性を変化させることができるので、ブレーキ入力に対する制動力も高めることができる。
さらに、ディスクブレーキ装置1は、圧電フィルムに対して電気回路や電源を設ける必要がないので、小型化でき、車両搭載性に優れ、コストも低減できる。また、電気回路における温度による抵抗バラツキの影響によって、センサやアクチュエータとして精度が低下することもない。
図1〜図3を参照して、第1の実施の形態に係るディスクブレーキ装置11について説明する。図3は、第1の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図である。なお、図3には、ピストン6側の圧電フィルム付シム部17を示すが、ピストン6の対向側の圧電フィルム付シム部18も同様の構成を有する。
ディスクブレーキ装置11は、ピストン6側に圧電フィルム付シム部17が設けられ、ピストン6の対向側に圧電フィルム付シム部18が設けられる。圧電フィルム付シム部17は、2枚のシム17a,17bと1枚の圧電フィルム17cを備えている。シム17a,17bは、圧電フィルム17cとの接触面が平面状であり、同程度の厚さを有している。圧電フィルム17cは、薄いフィルム状であり、外形状がシム17a,17bと同じ形状である。圧電フィルム17cは、2枚のシム17a,17bに挟まれた状態で配置され、シム17a,17bに全面接着される。したがって、圧電フィルム17cは、シム17a,17bの接触面に沿った平面状となる。
圧電フィルム17cは、主にディスクロータ2の接線方向の振動(例えば、ピストン6の作動によるパッド4,5からの押圧)を検知し、その検知に応じてディスクロータ2の半径方向あるいは接線方向に変形(収縮、引張など)する。この変形によって、圧電フィルム付シム部17,18の剛性が変化し、ブレーキ荷重伝達系の機械的特性が変化する。その結果、振動伝達系の固有振動数が変化する。このときに、ディスクロータ2などの振動が発生していれば、振動伝達系の固有振動数の変化によって、その振動を抑制することができる。
なお、圧電フィルム17cが接線方向あるいは半径方向のいずれの方向に変形するかは圧電フィルム17cの特性によって決まり、この収縮方向によって圧電フィルム付シム部17,18の剛性も変わる。そこで、ディスクブレーキ装置11の振動伝達系の特性(固有振動数など)に対して、制振効果が高い特性を持った圧電フィルム(圧電素子)を選択するようにする。
特に、ディスクブレーキ装置11によれば、圧電フィルム付シム部17,18により、ディスクロータ2の接線方向の振動を抑制することができる。また、ディスクブレーキ装置11によれば、ブレーキパッド4,5の面圧が安定化し、ブレーキパッド4,5の偏磨耗を抑制することができる。この面圧安定化によって圧縮歪が低減し、ピストン6の作動ストロークを低減できる。さらに、ディスクブレーキ装置1によれば、圧電フィルム17cが2枚のシム17a,17bに挟まれるので、圧電フィルム17cの耐久性が向上する。
図1、図2及び図4を参照して、第2の実施の形態に係るディスクブレーキ装置21について説明する。図4は、第2の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図である。なお、図4には、ピストン6側の圧電フィルム付シム部27を示すが、ピストン6の対向側の圧電フィルム付シム部28も同様の構成を有する。
ディスクブレーキ装置21は、ピストン6側に圧電フィルム付シム部27が設けられ、ピストン6の対向側に圧電フィルム付シム部28が設けられる。圧電フィルム付シム部27は、2枚のシム27a,27bと1枚の圧電フィルム27cを備えている。シム27a,27bは、圧電フィルム27cとの接触面が同じ周期と同じ曲率を持つ波状であり、同程度の厚さを有している。圧電フィルム27cは、薄いフィルム状であり、外形状がシム27a,27bと同じ形状である。圧電フィルム27cは、2枚のシム27a,27bに挟まれた状態で配置され、シム27a,27bに全面接着される。したがって、圧電フィルム27cは、シム27a,27bの接触面に沿った波状となる。
圧電フィルム27cは、波状なので、ディスクロータ2の接線方向の振動や半径方向の振動などの様々な方向からの振動を検知でき、その検知に応じてディスクロータ2の半径方向あるいは接線方向に変形(収縮、引張など)する。この変形によって、第1の実施の形態と同様に、圧電フィルム付シム部27,28の剛性が変化し、ブレーキ荷重伝達系の機械的特性が変化し、振動動伝達系の固有振動数が変化する。なお、第1の実施の形態と同様に、ディスクブレーキ装置21の振動伝達系の特性に対して制振効果が高い特性を持った圧電フィルム(圧電素子)を選択するようにする。
特に、ディスクブレーキ装置21によれば、第1の実施の形態と同様の効果を有する上に、圧電フィルム27cを波状としているので、様々な方向の振動を検知でき、センシング性能が向上する。
図1、図2及び図5を参照して、第3の実施の形態に係るディスクブレーキ装置31について説明する。図5は、第3の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図であり、(a)がシム部の変形前であり、(b)がシム部の変形後である。なお、図5には、ピストン6側の圧電フィルム付シム部37を示すが、ピストン6の対向側の圧電フィルム付シム部38も同様の構成を有する。
ディスクブレーキ装置31は、ピストン6側に圧電フィルム付シム部37が設けられ、ピストン6の対向側に圧電フィルム付シム部38が設けられる。圧電フィルム付シム部37は、2枚のシム37a,37bと1枚の圧電フィルム37cを備えている。シム37a,37bは、圧電フィルム37cとの接触面が平面状である。パッド4側のシム37aの厚さは薄く、ピストン6側のシム37bの厚さは厚い。圧電フィルム37cは、薄いフィルム状であり、外形状がシム37a,37bと同じ形状である。圧電フィルム37cは、2枚のシム37a,37bに挟まれた状態で配置され、シム37a,37bに全面接着される。したがって、圧電フィルム37cは、シム37a,37bの接触面に沿った平面状となる。また、圧電フィルム37cは、パッド4側にオフセットされた位置に配置される。圧電フィルム付シム部38の圧電フィルム37cは、パッド5側にオフセットされた位置に配置される。
圧電フィルム37cは、パッド4,5側にオフセットされているので、ピストン6の作動によってパッド4,5からの押圧を受けると、その変形方向が一定方向に制御される。そのため、圧電フィルム付シム部37は、屈曲方向がピストン6側に凸状になる(図5(b)参照)。一方、圧電フィルム付シム部38は、屈曲方向がピストン6に対向するキャリパ3側に凸状になる。なお、第1の実施の形態と同様に、ディスクブレーキ装置31の振動伝達系の特性に対して、制振効果が高い特性を持った圧電フィルム(圧電素子)を選択するようにする。
特に、ディスクブレーキ装置31によれば、第1の実施の形態と同様の効果を有する上に、圧電フィルム37cをパッド4,5側にオフセットさせることにより、圧電フィルム付シム部37,38が凸状となるので、ピストン6の作動ストロークを低減できる。そのため、ブレーキペダルストロークに対するブレーキ油圧を高めることができ、常用域においてブレーキ効きを高めることができる。
図1、図2及び図6、図7を参照して、第4の実施の形態に係るディスクブレーキ装置41(41A,41B)について説明する。図6は、第4の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(圧電フィルム長が長いパターン)の正面図であり、(a)がシムの相対変位前であり、(b)がシムの相対変位後である。図7は、第4の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(圧電フィルム長が短いパターン)の正面図であり、(a)がシムの相対変位前であり、(b)がシムの相対変位後である。なお、図6,7には、ピストン6側の圧電フィルム付シム部47A,47Bを示すが、ピストン6の対向側の圧電フィルム付シム部48A,48Bも同様の構成を有する。
ディスクブレーキ装置41は、ピストン6側に圧電フィルム付シム部47が設けられ、ピストン6の対向側に圧電フィルム付シム部48が設けられる。圧電フィルム付シム部47は、2枚のシム47a,47bと1枚の圧電フィルム47cを備えている。シム47a,47bは、圧電フィルム47cとの接触面が同じ周期と同じ曲率を持つ波状であり、同程度の厚さを有している。圧電フィルム47cは、薄いフィルム状であり、外形状がシム47a,47bと同じ形状である。さらに、圧電フィルム47cは、シム47a,47bと同じ周期であり、シム47a,47bの曲率以上の曲率を持つ波状である。圧電フィルム47cは、2枚のシム47a,47bに挟まれた状態で配置され、一端部がシム47a,47bのうちの一方の端部に接着され、他端部がシム47a,47bのうちの他方の端部に接着される。したがって、圧電フィルム47cはその波の凸部分がシム47a,47bと接触した状態となり、圧電フィルム47cによってシム47a,47b間に空間が形成される。この空間によって、2枚のシム47a,47bの相対変位が可能となる。
圧電フィルム47cは、その曲率が大きいほど、振幅が大きくなり、ディスクロータ2の半径方向の長さが長くなる。図6(a)には、圧電フィルム47cの曲率をシム47a,47bの曲率よりかなり大きくした場合を示しており、圧電フィルム47cの振幅が大きい。そのため、圧電フィルム付シム部47A,48Aのシム47a,47b間には、大きな空間が形成される。図7(a)には、圧電フィルム47cの曲率をシム47a,47bの曲率と同じかあるいは少し大きくした場合を示しており、圧電フィルム47cの振幅がシム47a,47bと同程度である。そのため、圧電フィルム付シム部47B,48Bのシム47a,47b間には、殆ど空間が形成されない。
圧電フィルム47cは、振動を受けるとその振動を検知し、その検知に応じてディスクロータ2の半径方向に収縮する。この収縮によって、第1の実施の形態と同様に、圧電フィルム付シム部47,48の剛性が変化し、ブレーキ荷重伝達系の機械的特性が変化し、振動動伝達系の固有振動数が変化する。
図6に示すように、圧電フィルム47cの曲率が大きい場合、振動発生時に圧電フィルム47が収縮すると、圧電フィルム47cのディスクロータ2の半径方向の長さが短くなり、シム47a,47bと同程度の曲率となり、シム47a,47bの空間が狭くなる(極端な場合には圧電フィルム47cがシム47a,47bと密着する)。その結果、密着度合いが増加し、圧電フィルム付シム部47A,48Aの剛性が大きくなる。
一方、図7に示すように、圧電フィルム47cの曲率が小さい場合、振動発生時に圧電フィルム47が収縮すると、圧電フィルム47cのディスクロータ2の半径方向の長さが短くなり、シム47a,47bより曲率が小さくなり、シム47a,47bの空間が広くなる。その結果、密着度合いが低下し、圧電フィルム付シム部47B,48Bの剛性が小さくなる。
なお、圧電フィルム47cの曲率をどの程度にするかは、振動発生時に圧電フィルム付シム部47,48の剛性をどの程度にするかによって決まる。また、振動発生時に圧電フィルム付シム部47,48の剛性をどの程度にすると制振効果が高いかは、ディスクブレーキ装置41の振動伝達系の特性(固有振動数など)によって決まる。したがって、ディスクブレーキ装置41の振動伝達系の特性に対して、制振効果が高くなるように圧電フィルム47cの曲率を設定する。
特に、ディスクブレーキ装置41によれば、シム47a,47bと圧電フィルム47cの曲率を調整することによって空間を形成することにより、2枚のシム47a,47bの相対変位が可能となり、振動発生時にシム47a,47cの相対移動によって圧電フィルム47cの荷重負荷効果を高めることができ、振動の抑制効果が向上する。また、ディスクブレーキ装置41によれば、圧電フィルム47cの曲率を調整することにより、振動発生時に圧電フィルム付シム部47,48の剛性を制御することができ、振動伝達系の特性に応じて制振効果を高めることができる。
図1、図2及び図8、図9を参照して、第5の実施の形態に係るディスクブレーキ装置51について説明する。図8は、第5の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図であり、(a)がシム部の変形前であり、(b)がシム部の変形後である。図9は、第5の実施の形態に係る2枚の圧電フィルムの結線図である。なお、図8には、ピストン6側の圧電フィルム付シム部57を示すが、ピストン6の対向側の圧電フィルム付シム部58も同様の構成を有する。
ディスクブレーキ装置51は、ピストン6側に圧電フィルム付シム部57が設けられ、ピストン6の対向側に圧電フィルム付シム部58が設けられる。圧電フィルム付シム部57は、3枚のシム57a,57b,57cと2枚の圧電フィルム57d,57eを備えている。シム57b,57cは、第4の実施の形態に係るシム47a,47bと同様の構成のシムである。シム57a,57bは、圧電フィルム57dとの接触面が平面状である。したがって、シム57bは、一方の接触面が波状であり、他方の接触面が平面状である。パッド4側のシム57aの厚さは、ピストン6側の57b,57cを合わせた厚さより十分に薄い。また、圧電フィルム57dは、第3の実施の形態に係る圧電フィルム37cと同様の構成の圧電フィルムである。圧電フィルム57eは、第4の実施の形態に係る圧電フィルム47cと同様の構成の圧電フィルムである。
圧電フィルム57dは、2枚のシム57a,57bに挟まれた状態で配置され、シム57a,57bに全面接着される。圧電フィルム57eは、2枚のシム57b,57cに挟まれた状態で配置され、一端部がシム57b,57cのうちの一方の端部に接着され、他端部がシム57b,57cのうちの他方の端部に接着される。したがって、第4の実施の形態と同様に、圧電フィルム57eによってシム57b,57c間に空間が形成される。また、圧電フィルム57dは、第3の実施の形態と同様に、パッド4側にオフセットされた位置に配置される。圧電フィルム付シム部58の圧電フィルムは、パッド5側にオフセットされた位置に配置される。このように、圧電フィルム付シム部57,58は、第3の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部37,38と第4の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部47,48の構成を合わせ持った構成を有する。
圧電フィルム57dと圧電フィルム57eとは、2本の電線57f,57gによって、異なる極性間で結線される。したがって、振動発生時に、一方の圧電フィルムが変形した場合、その変形に応じて発生した電位が、その電線57f、57gによって他方の圧電フィルムに逆電位として印加される。この逆電位によって他方の圧電フィルムが逆方向に変形する。つまり、他方側が、一方側の振動とは逆相で加振する。その結果、一方側と他方側とで打ち消しあい、振動を吸収することができる。
なお、圧電フィルム57dと圧電フィルム57eとは、振動発生時に互いに打ち消しあうように、異なる特性の圧電フィルム(圧電素子)を用いるとよい。
特に、ディスクブレーキ装置51によれば、第3の実施の形態と第4の実施の形態の効果を有する。さらに、ディスクブレーキ装置51によれば、振動発生時に一方側で発生した電位が他方側に逆電位で印加されることによって他方側が逆相で加振することにより、発生した振動を打ち消すような加振ができ、振動を抑制することができる。
ディスクブレーキ装置51では、電気回路無しに、一方の圧電フィルムがセンサとして機能し、他方の圧電フィルムがアクチュエータとして機能する。この際、主に、様々な方向からの振動を受けることができる波状の圧電フィルム57eがセンサとして機能し、オフセット配置した圧電フィルム57dがアクチュエータとして機能すると、制振効果が高くなる。なお、センサ機能とアクチュエータ機能とが逆に働く場合もある。
図1、図2及び図10、図11を参照して、第6の実施の形態に係るディスクブレーキ装置61について説明する。図10は、第6の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図である。図11は、第6の実施の形態に係る圧電フィルムの斜視図である。なお、図10には、ピストン6側の圧電フィルム付シム部67を示すが、ピストン6の対向側の圧電フィルム付シム部68も同様の構成を有する。
ディスクブレーキ装置61は、ピストン6側に圧電フィルム付シム部67が設けられ、ピストン6の対向側に圧電フィルム付シム部68が設けられる。圧電フィルム付シム部67は、2枚のシム67a,67bと1枚の圧電フィルム67cを備えている。シム67aは、圧電フィルム67cとの接触面が平面状である。シム67bは、圧電フィルム67cとの接触面が波状である。シム67aとシム67bとは、同程度の厚さを有する。圧電フィルム67cは、薄いフィルム状であり、外形状がシム67a,67bと同じ形状である。さらに、圧電フィルム67cは、シム67bの波と同じ周期であり、シム67bの波の曲率以下の曲率を持つ波状である。また、圧電フィルム67cには、多数のオリフィス孔67d,・・・が形成される(図11参照)。
圧電フィルム67cは、2枚のシム67a,67bに挟まれた状態で配置され、一端部がシム67a,67bのうちの一方の端部に接着され、他端部がシム67a,67bのうちの一方又は他方の端部に接着される。したがって、シム67a,67b間には空間が形成され、圧電フィルム67cがディスクロータ2の接線方向に変動することが可能である。さらに、シム67a,67b間には、粘性体であるグリースが封入される。このグリースは、圧電フィルム67cのオリフィス孔67d,・・・を通って、シム67a側とシム67b側に移動自在である。
振動発生時に、圧電フィルム67cは、その振動を検知し、その検知に応じてディスクロータ2の接線方向に変動する。その際、グリースがオリフィス孔67d,・・・を通って移動する。これによって、圧電フィルム付シム部67,68に減衰力が発生し、振動動伝達系に減衰効果を作用させる。
特に、ディスクブレーキ装置61によれば、振動発生時に圧電フィルム付シム部67,68の減衰力により、振動エネルギを減衰でき、振動抑制効果を高めることができる。
図1、図2及び図12、図13を参照して、第7の実施の形態に係るディスクブレーキ装置71(71A,71B)について説明する。図12は、第7の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(2枚の圧電フィルムの位相が逆相パターン)の正面図である。図13は、第7の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(2枚の圧電フィルムの位相が同相パターン)の正面図である。なお、図12,13には、ピストン6側の圧電フィルム付シム部77A,77Bを示すが、ピストン6の対向側の圧電フィルム付シム部78A,78Bも同様の構成を有する。
ディスクブレーキ装置71は、ピストン6側に圧電フィルム付シム部77が設けられ、ピストン6の対向側に圧電フィルム付シム部78が設けられる。圧電フィルム付シム部77は、3枚のシム77a,77b,77cと2枚の圧電フィルム77d,77eを備えている。シム77a,77bは、圧電フィルム77dとの接触面が同じ周期と同じ曲率を持つ波状である。シム77b,77cは、圧電フィルム77eとの接触面が同じ周期と同じ曲率を持つ波状である。シム77a,77b間の波の位相とシム77b,77c間の波の位相とは、同位相から逆位相の間で設定される。圧電フィルム77d,77eは、薄いフィルム状であり、外形状がシム77a,77b,77cと同じ形状である。圧電フィルム77dと圧電フィルム77eとは、第5の実施の形態と同様に、2本の電線77f,77gによって、異なる極性間で結線される。
圧電フィルム77dは、2枚のシム77a,77bに挟まれた状態で配置され、シム77a,77bに全面接着される。圧電フィルム77eは、2枚のシム77b,77cに挟まれた状態で配置され、シム77b,77cに全面接着される。したがって、2枚の波状の圧電フィルム77d,77e間に、シム77bが可動子として構成される。この可動子が、振動発生時に、位相のコントローラとして機能する。この可動子による位相のコントロールは、シム77a,77b間の波の位相とシム77b,77c間の波の位相との位相差によって規定される。
図12には、シム77a,77b間の波の位相とシム77b,77c間の波の位相とを逆相にしたパターンを示している。一方、図13には、シム77a,77b間の波の位相とシム77b,77c間の波の位相とを同相にしたパターンを示している。
振動発生時には、2つの圧電フィルム77d,77eが変動し、圧電フィルム77d,77eに挟まれるシム77bが可動する。そして、このシム77bの可動によって、一方側の振動に対して他方側が逆振動となるように、位相をコントロールする。
なお、2つの波の位相差をどの程度にするかは、ディスクブレーキ装置71の振動伝達系の特性(固有振動数など)によって決まり、制振効果が最も高くなるように位相差を設定する。圧電フィルム77d,77eは、同じ特性の圧電フィルム(圧電素子)を用いる。
特に、ディスクブレーキ装置71によれば、振動発生時に可動子による位相コントロールにより、一方側と他方側の振動を打ち消すように振動を抑制することができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置に適用したが、対向ピストン型などの他の形態のディスクブレーキ装置にも適用可能である。
また、本実施の形態では圧電フィルムに電気回路を設けない構成としたが、圧電フィルムに電気回路を設け、圧電フィルムの電位変化を取り出すことにより、センシング量を取り出すことができる。センサで使用する場合も、各実施の形態における特徴に応じて、優れたセンシング性能が得られる。
また、第3の実施の形態ではシムの圧電フィルムとの接触面を平面状としたが、第2の実施の形態のように波状としてもよい。
また、第4の実施の形態では2枚のシム間を空間としたが、減衰効果を高めるために、第6の実施の形態のようにシム間にグリースを封入し、圧電フィルムにオリフィスを形成してもよい。
また、第5の実施の形態では圧電フィルムを波状とする構成を第4の実施の形態と同様の構成としたが、第2の実施の形態のように全面接着で波状とする構成としてもよい。
また、第5、第7の実施の形態では2枚の圧電フィルムを結線する構成としたが、1枚の圧電フィルムを折り返して2つのシム間に配置するようにしてもよい。
また、第6の実施の形態では圧電フィルムをオフセットしない構成としたが、第3の実施の形態のように圧電フィルムをパッド側にオフセットする構成としてもよい。
また、第7の実施の形態では圧電フィルムをシムに全面接着する構成としたが、第4の実施の形態のように圧電フィルムの端部だけを接着する構成としてもよく、また、第4の実施の形態のように圧電フィルムとシムとの曲率とを異なる曲率に調整してもよい。
また、圧電フィルムをシムの間に挟んで配置し、CPUなどの演算手段と電気的に接続することにより、振動状態を検出するためのセンシング部材として用いてもよい。
本実施の形態に係るディスクブレーキ装置のキャリパの正断面図である。 本実施の形態に係るキャリパに設けられる圧電フィルムの正面図である。 第1の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図である。 第2の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図である。 第3の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図であり、(a)がシム部の変形前であり、(b)がシム部の変形後である。 第4の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(圧電フィルム長が長いパターン)の正面図であり、(a)がシムの相対変位前であり、(b)がシムの相対変位後である。 第4の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(圧電フィルム長が短いパターン)の正面図であり、(a)がシムの相対変位前であり、(b)がシムの相対変位後である。 第5の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図であり、(a)がシム部の変形前であり、(b)がシム部の変形後である。 第5の実施の形態に係る2枚の圧電フィルムの結線図である。 第6の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部の正面図である。 第6の実施の形態に係る圧電フィルムの斜視図である。 第7の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(2枚の圧電フィルムの位相が逆相パターン)の正面図である。 第7の実施の形態に係る圧電フィルム付シム部(2枚の圧電フィルムの位相が同相パターン)の正面図である。
符号の説明
1,11,21,31,41,41A,41B,51,61,71,71A,71B…ディスクブレーキ装置、2…ディスクロータ、3…キャリパ、3a…シリンダ、3b…爪部、4,5…パッド、4a,5a…裏金、6…ピストン、7,8,17,18,27,28,37,38,47,47A,47B,48,48A,48B,57,58,67,68,77,77A,77B,78,78A,78B…圧電フィルム付シム部、17a,17b,27a,27b,37a,37b,47a,47b,57a,57b,57c,67a,67b,77a,77b,77c…シム、17c,27c,37c,47c,57d,57e,67c,77d,77e…圧電フィルム、57f,57g,77f,77g…電線、67d…オリフィス孔、9…圧電フィルム

Claims (5)

  1. ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、
    ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、
    前記セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、
    前記シム間に挟まれる前記セルフセンシングアクチュエーション部材をブレーキパッド側にオフセット配置させることを特徴とするディスクブレーキ装置。
  2. ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、
    ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、
    前記セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、
    前記シムの前記セルフセンシングアクチュエーション部材との接触面を波状とし、
    前記セルフセンシングアクチュエーション部材を波状とし、
    前記シムの波の曲率と前記セルフセンシングアクチュエーション部材の波の曲率とを調整することを特徴とするディスクブレーキ装置。
  3. ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、
    ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、
    前記セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、
    前記シムは3枚であり、前記セルフセンシングアクチュエーション部材を挟むシム間を2つ構成し、
    前記一方のシム間では、前記セルフセンシングアクチュエーション部材を波状とし、
    前記他方のシム間では、前記セルフセンシングアクチュエーション部材をブレーキパッド側にオフセット配置させることを特徴とするディスクブレーキ装置。
  4. ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、
    ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、
    前記セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、
    前記シム間に、空間を形成し、当該空間に粘性体を封入し、
    前記セルフセンシングアクチュエーション部材にオリフィス孔を設けることを特徴とするディスクブレーキ装置。
  5. ディスクロータにブレーキパッドを押圧させることによって制動力を発生させるディスクブレーキ装置において、
    ブレーキパッドの押圧手段とブレーキパッドとの間に配置されるセルフセンシングアクチュエーション部材を備え、
    前記セルフセンシングアクチュエーション部材をシムの間に挟んで配置させ、
    前記シムは3枚であり、前記セルフセンシングアクチュエーション部材を挟むシム間を2つ構成し、
    前記2つのシム間では、前記セルフセンシングアクチュエーション部材を同周期の波状とし、
    前記一方のシム間の波の位相と前記他方のシム間の波の位相とを調整することを特徴とするディスクブレーキ装置。
JP2006045549A 2006-02-22 2006-02-22 ディスクブレーキ装置 Expired - Fee Related JP4839881B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006045549A JP4839881B2 (ja) 2006-02-22 2006-02-22 ディスクブレーキ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006045549A JP4839881B2 (ja) 2006-02-22 2006-02-22 ディスクブレーキ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007224988A JP2007224988A (ja) 2007-09-06
JP4839881B2 true JP4839881B2 (ja) 2011-12-21

Family

ID=38546988

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006045549A Expired - Fee Related JP4839881B2 (ja) 2006-02-22 2006-02-22 ディスクブレーキ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4839881B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024187205A1 (de) * 2023-03-10 2024-09-19 NET-Automation GmbH Vorrichtung zum erfassen der druckkräfte zwischen zwei körpern

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011000928A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Advics Co Ltd ディスクブレーキ用制振装置
ITTO20130307A1 (it) 2013-04-17 2014-10-18 Itt Italia Srl Metodo per realizzare un elemento frenante, in particolare una pastiglia freno, sensorizzato, pastiglia freno sensorizzata, impianto frenante di veicolo e metodo associato
US9939035B2 (en) * 2015-05-28 2018-04-10 Itt Italia S.R.L. Smart braking devices, systems, and methods
ITUB20153709A1 (it) 2015-09-17 2017-03-17 Itt Italia Srl Dispositivo di analisi e gestione dei dati generati da un sistema frenante sensorizzato per veicoli
ITUB20153706A1 (it) 2015-09-17 2017-03-17 Itt Italia Srl Dispositivo frenante per veicolo pesante e metodo di prevenzione del surriscaldamento dei freni in un veicolo pesante
ITUA20161336A1 (it) 2016-03-03 2017-09-03 Itt Italia Srl Dispositivo e metodo per il miglioramento delle prestazioni di un sistema antibloccaggio e antiscivolamento di un veicolo
IT201600077944A1 (it) 2016-07-25 2018-01-25 Itt Italia Srl Dispositivo per il rilevamento della coppia residua di frenatura in un veicolo equipaggiato con freni a disco
EP3722768B1 (de) * 2019-04-08 2023-09-13 Joanneum Research Forschungsgesellschaft mbH Sensorvorrichtung zur erfassung von bremskräften in einem fahrzeug und messsystem
IT201900015839A1 (it) 2019-09-06 2021-03-06 Itt Italia Srl Pastiglia freno per veicoli e suo processo di produzione
CN117377603A (zh) 2021-05-25 2024-01-09 意大利Itt有限责任公司 用于估计车辆的被制动元件和制动元件之间的残余扭矩的方法和装置
AT524872B1 (de) * 2021-09-15 2022-10-15 Net Automation Gmbh Vorrichtung zum Erfassen der Zuspannkräfte zwischen einem Bremskörper und einem Bremsrotor einer Scheiben- oder Trommelbremse

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5310081A (en) * 1976-07-15 1978-01-30 Sumitomo Electric Ind Ltd Manufacturing method of water-proof cables
JP2000249174A (ja) * 1999-02-26 2000-09-12 Aisin Seiki Co Ltd ブレーキパッド用シム
JP2005324677A (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Advics:Kk ディスクブレーキの制振制御装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024187205A1 (de) * 2023-03-10 2024-09-19 NET-Automation GmbH Vorrichtung zum erfassen der druckkräfte zwischen zwei körpern

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007224988A (ja) 2007-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4839881B2 (ja) ディスクブレーキ装置
JP5351377B2 (ja) 力制限アセンブリ
JP5155179B2 (ja) 車両の駆動システム、アクチュエーターなどに使用される圧電モーター
JP5587806B2 (ja) バネ部材
US9803709B2 (en) Disk brake device and pair of brake pads
US10422397B1 (en) Methods to dynamically alter the stiffness of nonlinear structures
EP2868923B1 (en) Variable negative stiffness actuation
WO2007013498A1 (ja) 小型バルブ
JP5787142B2 (ja) バネ部材
JP2006509130A (ja) 音響機能性窓体
JP2008099399A (ja) 圧電アクチュエータおよび与圧方法
US8633632B2 (en) Vibration actuator and method for manufacturing the same
US6291928B1 (en) High bandwidth, large stroke actuator
JP4876788B2 (ja) 圧電発電装置
CN109314474B (zh) 超声波电机
JP5584834B2 (ja) 摩擦ブレーキ
JP6447638B2 (ja) 電動式パワーステアリング装置
CN104245247B (zh) 用于串联式弹性致动器的弯曲元件及相关方法
JP2006288060A (ja) 振動波駆動装置及び該振動波駆動装置を備える機器
EP1767804B1 (en) Disk-brake device with shape memory damping means
WO2009095950A1 (ja) クランプ装置
JP6812907B2 (ja) ウォーム減速機
JP6477522B2 (ja) タッチセンサ装置
KR20210040384A (ko) 압전 구동부, 특히 차량 요소용 자동 액추에이터 요소로서 압전 구동부
JP2011000928A (ja) ディスクブレーキ用制振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080902

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110906

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110919

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4839881

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141014

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees