JP4839674B2 - 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット - Google Patents

標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット Download PDF

Info

Publication number
JP4839674B2
JP4839674B2 JP2005140754A JP2005140754A JP4839674B2 JP 4839674 B2 JP4839674 B2 JP 4839674B2 JP 2005140754 A JP2005140754 A JP 2005140754A JP 2005140754 A JP2005140754 A JP 2005140754A JP 4839674 B2 JP4839674 B2 JP 4839674B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
enzyme
recognizes
support
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005140754A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005351889A5 (ja
JP2005351889A (ja
Inventor
尚子 柴山
敬史 三和
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2005140754A priority Critical patent/JP4839674B2/ja
Publication of JP2005351889A publication Critical patent/JP2005351889A/ja
Publication of JP2005351889A5 publication Critical patent/JP2005351889A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4839674B2 publication Critical patent/JP4839674B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、1種または複数種の標的物質を迅速簡便に検出する測定キットと該測定キットを用いた方法に関するものである。特に、血液中等に存在する細菌毒素あるいはサイトカインの検出に用いることによって、細菌毒素あるいはサイトカインに関連した疾患を迅速に診断するために好適に用いられる。
感染に起因した疾患や重症膵炎、熱傷、外傷など非感染性の疾患では重篤な全身性の炎症反応が観察され、その際の患者血中のサイトカイン濃度は高値(高サイトカイン血症)であることが知られている(医学のあゆみ 2001/1/6 Vol.196 No.1 医歯薬出版株式会社)。 サイトカインは、本来は生体防御のために感染、外傷などの刺激により免疫担当細胞をはじめとする各種の細胞によって産生され細胞外に放出されて作用する免疫関連のタンパク質であると考えられるが、生体内で過剰に産生されることにより各種炎症性疾患における組織傷害や病態に関与することが明らかになっている。明らかな感染が認められない場合でも、黄色ブドウ球菌やA群β溶血性連鎖球菌などが産生する毒素であるスーパー抗原によって免疫系が過剰に活性化され、高サイトカイン血症となる場合がある。スーパー抗原とは、従来の抗原とは異なり、抗原提示細胞内におけるプロセッシング過程を経ることなく、抗原提示細胞上の主要組織適合性抗原クラスII(Major Histocompatibility Antigen Complex Class II;以下、MHCクラスIIと略す。)に結合し、さらにはこのMHCクラスIIとの複合体を形成することにより特定のVβ領域を有するT細胞を刺激し、免疫系を異常に活性化させる化合物であり、発熱や発疹、血圧低下や食中毒時の嘔吐あるいは自己免疫疾患の誘発等を引き起こすとされている。スーパー抗原としては、黄色ブドウ球菌外毒素であるスタフィロコッカル腸管毒素A,B,C,D,E,H,I(Staphylococcal Enterotoxin A,B,C,D,E,H,I;以下それぞれ、SEA,SEB,SEC,SED,SEE,SEH,SEIと略す。)あるいはトキシックショック症候群トキシン−1(Toxic Shock Syndrome Toxin−1;以下、TSST−1と略す。)やA群β溶血性連鎖球菌外毒素であるストレプトコッカル発熱性外毒素A、C(Streptcocal Pyrogenic Exotoxin A,C;以下それぞれ、SPEA,SPECと略す。)、ウイルス蛋白質や植物蛋白質を含め、十数種類確認されているが、今後も特定化されていく可能性がある。 スーパー抗原が関与している疾患としては、TSST−1に起因する毒素性ショック症候群(toxic shock syndrom;以下,TSSと略す。)や新生児TSS様発疹症(Neonatal TSS−like exanthematous disease;以下、NTEDと略す。)などがある。さらに、猩紅熱や劇症性A群連鎖球菌感染症(Streptcoccal Toxic Shock Syndrome;以下、STSSと略す 。)、急性全身性血管炎である川崎病にも、スーパー抗原の関与が示唆されている。
高サイトカイン血症では全身の炎症によって臓器不全となったり、炎症反応が進行して死に至ることが報告されているが、病状の進行が速いため、血中のサイトカイン濃度をいかに迅速に測定し、且つ、治療により低下させるかが患者の予後を大きく左右している。TSSでは早期の診断・治療開始により重症化を防ぐことが重要であるし、STSSにおいても症状の進行が速いため、早期に診断し適切な治療を施さないと四肢の壊死とその治療のための四肢切断、ひいては死の転帰をとる。
しかしながら現在、患者の血中サイトカイン濃度を測定するためには、採取した検体は、病院の検査室、または外部の検査会社に提出しなければならない。検査室では高度・複雑な手技や機器を必要とする酵素免疫学的測定法(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay;以下、ELISA法と略す。)にてサイトカインを測定しているところがほとんどであり、結果が出るまでには相応の時間と費用を要する。TSSやSTSSの診断のためにスーパー抗原を測定する場合にも、複雑な手技と時間を必要としており、従って極めて短時間で、かつベッドサイドで濃度を測定できる、迅速簡便な測定方法が望まれている。この問題に対して、A群β溶血性連鎖球菌感染の迅速診断に関してはストレプA抗原の測定方法が特許文献1に開示されているが、検出対象はA群β溶血性連鎖球菌に限られ、さらには検体中のスーパー抗原濃度を測定できるものではない。特許文献1に開示されている測定方法は、支持体上で標的物質を認識する物質−標的物質−標識抗体の結合複合体を形成させ、標識抗体から発せられるシグナルを検出することにより標的物質を検出することを目的としている。このような測定方法は種々存在した。例えば、上記のELISAも支持体上に標的物質を認識する物質−標的物質−酵素標識抗体の結合複合体を形成させ、液系で酵素反応を行わせ発色させ、液の吸光度を測定して標的物質を検出するというものであった。また、種々のイムノクロマトグラフィー法も知られており、イムノクロマトグラフィー法においても支持体上で標的物質を認識する物質−標的物質−標識抗体の結合複合体を形成させ、標的物質を検出する。ELISA法は、吸光度を吸光度計を用いて測定するため、標的物質を正確にて定量することが可能であったが、上述のように迅速且つ容易に測定することは困難であった。一方、特許文献1に開示されている測定法やイムノクロマトグラフィー法は、元来迅速且つ容易に測定することを目的に開発された方法であるため、迅速且つ容易に標的物質を測定することは可能であった。しかしながら、容易性を重視しているため、目視により陽性か陰性化のみを判断する定性のための方法であり、標的物質を正確に定量することはできなかった。
このように従来は迅速且つ容易な測定というニーズと正確な定量という両方のニーズを満たす測定法は存在しなかった。
特開平6−50973号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、1種または複数種の標的物質を同時に迅速簡便に検出できる測定キット、および該測定方法、さらには該キットまたは該測定方法により標的物質が関係する疾患を診断する方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために下記の構成を有する。
(1)少なくとも1種類の標的物質を認識する物質を表面に固定化した後に非標的物質の非特異吸着を阻害する処理を施した支持体、少なくとも1種類の該標的物質に対する酵素標識抗体、少なくとも1種類の該酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質およびそれらを収容する少なくとも1つの容器を含んでなり、該容器中で抗体抗原反応および発色反応させ、かつ標的物質を認識する物質が前記支持体表面に、サンプル量に対して2cm2/ml以上になるように固定化されている、該支持体表面の発色によってサンプル中の標的物質を検出することを特徴とする酵素免疫学的キット。
(2)少なくとも1種類の標的物質を認識する物質を表面に固定化した後に非標的物質の非特異吸着を阻害する処理を施し、さらに少なくとも1種類の既知濃度の標的物質を反応させた支持体、少なくとも1種類の該標的物質に対する酵素標識抗体、少なくとも1種類の該酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質およびそれらを収容する少なくとも1つの容器を含んでなり、該容器中で抗体抗原反応および発色反応させ、かつ標的物質を認識する物質が前記支持体表面に、サンプル量に対して2cm2/ml以上になるように固定化されている、該支持体表面の既知濃度の標的物質が反応している部分とそれ以外の部分の発色の比較によって未知濃度のサンプル中の標的物質の濃度を測定することを特徴とする酵素免疫学的キット。
(3)さらに、同時に該支持体表面の発色によってサンプル中の標的物質を検出するとともに該支持体表面の既知濃度の標的物質が反応している部分とそれ以外の部分の発色の比較によって未知濃度のサンプル中の標的物質の濃度を測定することを特徴とする(2)に記載の酵素免疫学的キット。
(4)標的物質を認識する物質を含む溶液と支持体を接触させることで支持体の表面に標的物質を認識する物質を固定化する酵素免疫学的キットであって、
固定化する際の前記溶液中の標的物質を認識する物質の濃度が0.1〜20μg/mlである(1)〜(3)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(5)さらに、固定化する際のpHが6.5〜8.0である(4)記載の酵素免疫学的キット。
(6)さらに、標的物質に対する酵素標識抗体の濃度が0.1〜20μg/mlである(4)または(5)に記載の酵素免疫学的キット。
(7)支持体に固定化された標的物質を認識する物質が、サンプル中の標的物質の濃度と発色の強さが一次的な相関関係になる量で固定化されている、(1)〜(6)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(8)前記標的物質を認識する物質が標的物質に対する抗体であって、かつ該抗体がポリクローナル抗体であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(9)防腐剤による処理、加圧処理もしくは加熱処理、または不活性ガスもしくは真空状態での保存により処理後6ヶ月経つまで標的物質を認識する物質の活性が低下しないことを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(10)前記支持体が、棒状、板状またはくぼみを有した形状であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(11)前記酵素標識抗体がモノクローナル抗体である、(1)〜(10)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(12)モノクローナル抗体がヒトインターロイキンに対する抗体である(11)記載の酵素免疫学的キット。
(13)前記モノクローナル抗体がIgGである(11)または(12)に記載の酵素免疫学的キット。
(14)前記モノクローナル抗体がIgG1である(13)に記載の酵素免疫学的キット。
(15)前記ヒトインターロイキンがIL−6またはIL−8である(12)〜(14)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(16)モノクローナル抗体がヒトIL−6のアミノ酸配列の149〜173番のアミノ酸からなる断片を認識するモノクローナル抗体である(15)に記載の酵素免疫学的キット。
(17)モノクローナル抗体がヒトIL−6のアミノ酸配列の153〜162番のアミノ酸からなる断片を認識するモノクローナル抗体である(15)に記載の酵素免疫学的キット。
(18)ヒトIL−6に対する抗体が微工研菌寄託第10713号として微生物工業技術院研究所に寄託されているハイブリドーマが産生するクローンIG61である(16)に記載の酵素免疫学的キット。
(19)ヒトIL−8に対する抗体が微工研菌寄託第12710号として微生物工業技術院研究所に寄託されているハイブリドーマが産生するクローンEL139である(17)記載の酵素免疫学的キット。
(20)前記酵素標識抗体の酵素がホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼのいずれかから選択される、(1)〜(19)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(21)前記酵素標識抗体の酵素がホースラディッシュペルオキシダーゼであり、かつ、前記基質が、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、5−アミノサリチル酸、4−クロロ−1−ナフトール、o−フェニレンジアミン、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルフォン酸)、3,3−ジアミノベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、o−ジアニシジン、3,3−ジメトキシベンジジンのいずれかを含んだ溶液から選択される、(1)〜(20)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(22)前記酵素標識抗体の酵素がアルカリフォスファターゼであり、かつ前記基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェート、ニトロブルーテトラゾリウム、p−ニトロフェニルリン酸のいずれかを含んだ溶液から選択される、(1)〜(21)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(23)前記酵素標識抗体の酵素がβ−D−ガラクトシダーゼであり、かつ、前記基質がo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシドまたは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドール−β−D−ガラクトピラノシドのいずれかを含んだ溶液から選択される、(1)〜(22)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(24)前記標的物質がサイトカイン、黄色ブドウ球菌外毒素、A群連鎖球菌外毒素のいずれかである、(1)〜(23)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(25)前記サイトカインが炎症性のサイトカインである、(24)に記載の酵素免疫学的キット。
(26)前記炎症性のサイトカインが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、TNF−α、IFN−γのいずれかである、(25)に記載の酵素免疫学的キット。
(27)前記サイトカインの検出限界濃度を500pg/mlとしたことを特徴とする、(24)〜(26)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(28)前記黄色ブドウ球菌外毒素がスーパー抗原である、(24)に記載の酵素免疫学的キット。
(29)前記スーパー抗原がSEA、SEB、SEC、SED、SEE、SEH、SEI、SEJ、TSST−1のいずれかである、(28)に記載の酵素免疫学的キット。
(30)前記A群連鎖球菌外毒素がスーパー抗原である、(24)に記載の酵素免疫学的キット。
(31)前記スーパー抗原がSPEA、SPEC、SPEF、SPEG、SPEHのいずれかである、(30)に記載の酵素免疫学的キット。
(32)高サイトカイン血症が原因の疾患を迅速に判定するための、(1)〜(27)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(33)黄色ブドウ球菌が原因の疾患を迅速に判定するための、(1)〜(24)、(28)および(29)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(34)A群β溶血性連鎖球菌が原因の疾患を迅速に判定するための、(1)〜(24)、(30)および(31)のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
(35)支持体表面の発色を測定装置により数値化し、該数値を用いて発色を定量化する(1)〜(35)のいずれかに記載の酵素免疫学的キットであって、支持体から反射した光を400〜700nmの範囲で分光し、各波長毎の反射率を測定してXYZまたはLで表色系におけるパラメーターを測定することを特徴とする酵素免疫学的キット。
(36)(1)〜(35)のいずれかに記載の酵素免疫学的キットを用いて、サンプル中の標的物質を検出、またはサンプル中の標的物質濃度を測定する方法。
(37)標的物質を認識する物質で被覆された部分を有する支持体、サンプルおよび標的物質に対する酵素標識抗体を同時にインキュベーションするインキュベーション工程と、反応産物が水不溶性となる基質によって発色させる発色工程の2段階の反応工程からなり、インキュベーション工程において、標的物質を認識する物質が前記支持体表面に、サンプル量に対して、2cm/ml以上になるように添加し、かつ発色反応後の支持体表面の色を目視によって判断することを特徴とする、サンプル中の標的物質を検出するための方法。
(38)標的物質を認識する物質で被覆された部分を有する支持体に標的物質を認識する物質を固定化する際の標的物質を認識する物質の溶液の濃度が0.1〜20μg/mlであり、pHが6.5〜8.0である、(36)に記載のサンプル中の標的物質を検出するための方法。
(39)発色工程において用いる標的物質に対する酵素標識抗体の濃度が0.1〜20μg/mlである(37)または(38)に記載のサンプル中の標的物質を検出するための方法。
(40)(37)〜(39)のいずれかに記載の方法であって、発色反応後の支持体表面の色を目視によって判断することを特徴とする、サンプル中の標的物質濃度を測定するための方法。
(41)(37)〜(39)のいずれかに記載の方法であって、かつ発色反応後の支持体表面の色を機器によって数値化し、それを用いて発色を定量することを特徴とする、サンプル中の標的物質を検出するための方法。
(42)試料から反射された光を400〜700nmの範囲で分光し、各波長ごとの反射率を測定して表色系におけるパラメーターを測定する(36)〜(41)のいずれかに記載の方法であって、表色系がXYZまたはLであることを特徴とするサンプル中の標的物質を検出するための方法。
(43)前記インキュベーション工程と発色工程との間に、洗浄工程を含む、(37)〜(42)のいずれかに記載の方法。
(44)インキュベーション、洗浄、発色の各工程で反応温度が4℃〜40℃の範囲であることを特徴とする(37)〜(43)のいずれかに記載のサンプル中の標的物質を検出するための方法。
(45)前記インキュベーション工程、発色工程、洗浄工程が室温によって実施される、(44)に記載の方法。
(46)サンプルの量が200μl以下である、(37)〜(45)のいずれかに記載のサンプル中の標的物質を検出するための方法。
(47)前記インキュベーション工程の時間が5〜60分の範囲であり、かつ、前記発色工程の時間が5〜30分の範囲とする、(37)〜(46)のいずれかに記載のサンプル中の標的物質を検出するための方法。
(48)標的物質を認識する物質で被覆された部分を有する支持体の当該標的物質を認識する物質で被覆された部分の一部および被覆されていない部分の一部の少なくとも一方に、少なくとも1種類の既知濃度の標的物質を反応させた後、既知濃度の標的物質が反応している部分とそれ以外の部分の発色の比較によって未知濃度のサンプル中の標的物質濃度を測定する、(37)〜(47)のいずれかに記載のサンプル中の標的物質を検出するための方法。
(49)(37)〜(48)のいずれかに記載された方法であって、標的物質を認識する物質で被覆された部分を有する支持体が、少なくとも2種類の、異なる濃度の標的物質を認識する物質で被覆されており、少なくとも2カ所の発色具合を比較することによってサンプル中の標的物質濃度を測定する方法。
(50)前記標的物質がサイトカインであり、その検出限界濃度が500pg/mlである、(37)〜(49)のいずれかに記載の方法。
(51)(24)〜(27)および(32)のいずれかに記載の酵素免疫学的キットによってサイトカインを検出し、高サイトカイン血症を診断する方法。
(52)(28)、(29)、および(33)のいずれかに記載の酵素免疫学的キットによって黄色ブドウ球菌外毒素を検出し、黄色ブドウ球菌が原因の疾患を診断する方法。
(53)(30)、(31)および(34)のいずれかに記載の酵素免疫学的キットによってA群β溶血性連鎖球菌外毒素を検出し、A群β溶血性連鎖球菌が原因の疾患を診断する方法。
本発明は、標的物質を迅速簡便に検出できる測定キット、標的物質を迅速簡便に検出する測定方法、および標的物質が関係する疾患の診断方法に関するものである。
本発明者らは、標的物質を認識する物質を固定化した支持体と標的物質に対する酵素標識抗体を測定対象であるサンプルとともにインキュベーションし、その後支持体を酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質を利用して発色させる方法で、1種または複数種の標的物質の濃度を迅速簡便に検出できる方法を見いだした。
本発明において、「標的物質を認識する物質」は、標識物質に結合し得る物質をいい、標的物質に対する抗体や標的物質とレセプター−リガンドの関係にある場合のレセプターもしくはリガンド、または標的物質と結合する酵素や基質等が含まれるが、好ましくは結合力の強い抗体が用いられる。
また、本発明における「インキュベーション」とは、抗原抗体反応の際に一定の温度にて放置することである。抗原抗体反応とは、抗体が相補的な構造を持つ抗原と特異的に結合することをいい、本発明においては、標的物質を認識する物質と標的物質の結合をいう。
また、本発明における「洗浄」とは、インキュベーション工程において抗原抗体反応をしなかった物質を洗い流すことであり、洗浄材料としては洗浄効果があって抗原抗体反応で結合した物質に影響を与えるものでなければ特に限定はなく、洗浄効果を高めるために界面活性剤を加えても良い。また、洗浄方法としても支持体自体に傷が付くような方法でなければ特に限定されない。
本発明でのインキュベーション、洗浄、発色の各工程での反応温度は特に限定されないが、反応溶液が凍結あるいは蒸発せず、かつ酵素が失活しないよう、4℃〜40℃の範囲であることが好ましいが、酵素を活性化させて反応を迅速に終了させるために15℃〜40℃の範囲であることが最も好ましい。
本発明におけるインキュベーション工程では、インキュベーションの時間が長いほど標的物質とそれを認識する物質および標的物質に対する酵素標識抗体の反応する割合が増え、結果として発色の度合いも高まるが、ある程度の時間が経つと抗原抗体反応が飽和する。また、迅速に測定を完了するためにはインキュベーション時間を短くする必要がある。インキュベーション工程に要する時間を短くするためには、支持体の標的物質を認識する物質を固定化した部分に対してサンプル量の比を高くするか、またはインキュベーション工程で用いる溶液中の標的物質に対する酵素標識抗体の濃度を高くするか、あるいは標的物質を認識する物質の支持体への固定化密度を高くすればよい。標的物質を認識する物質は、標的物質を認識する物質を含む溶液と支持体を接触させることで支持体の表面に固定化できる。支持体に結合している抗体の量が多いほどより多くの抗原を吸着させることができるため、感度を向上させ、反応時間の短縮を測ることができるが、逆に、抗原が吸着できる部分を相互に遮ってしまうほどの量であると分子同士が反応部分を遮ってしまい吸着効率が低下してしまうため、固定化量を最適化することが必要である。発明者らは鋭意検討の結果、標的物質を認識する物質を含む溶液と支持体を接触させる際の溶液中の標的物質を認識する物質の濃度が0.1〜20μg/mlである場合に標的物質を感度良く検出できることを見出した。また、さらに検出感度を上げるためには溶液中の標的物質を認識する物質の濃度が0.5〜10μg/mlとするとさらに好ましいことを発見した。支持体の標的物質を認識する物質を固定化した部分の面積対サンプル量の比が高くなればなるほど、固定化した物質と標的物質が接触する機会が多くなり、その分インキュベーション時間を短くすることができる。具体的には、支持体において、標的物質を認識する物質を固定化した部分に対するサンプル量の比が2cm2/ml以上であることが好ましい。すなわち、標的物質を認識する物質が前記支持体表面に、サンプル量に対して、2cm2/ml以上になるように固定化されている。本発明の測定において容器中で抗体抗原反応させるときに、支持体の標的物質を固定化した部分をサンプル中に浸漬した状態でインキュベーションを行うが、この際にサンプル1ml当たり支持体上の標的物質を認識知る物質を固定化した部分の2cm2以上が浸漬するように固定化、添加するサンプル量および/または容器の大きさを調整すればよい。例えば、図4は本発明の測定方法の一態様の工程概略図であるが、図4に示す例においては、典型的には250μlのサンプルを容器に添加してインキュベーションを行う。この場合、標的物質を固定化した支持体を浸漬するときに、標的物質を固定化した部分の少なくとも0.5cm2がサンプル中に浸漬されればよい。インキュベーション工程で用いる溶液中の標的物質に対する酵素標識抗体の濃度は、高すぎれば支持体や固定化した物質への非特異的な結合による発色の増加を招いてしまうため、インキュベーション時間が最も短く、さらに非特異結合による発色をしないような最適濃度とすることが好ましい。発明者らは鋭意検討の結果、インキュベーション工程で用いる溶液中の標的物質に対する酵素標識抗体の濃度が0.1〜20μg/mlである場合に非特異結合による発色なしにインキュベーション時間を最も短くできることを見出した。本発明においては、支持体において、標的物質を認識する物質を固定化した部分に対するサンプル量の比が2cm2/ml以上であり、かつ、標的物質を認識する物質を含む溶液と支持体を接触させる際の溶液中の標的物質を認識する物質の濃度が0.1〜20μg/mlであり、かつインキュベーション工程で用いる溶液中の標的物質に対する酵素標識抗体の濃度が0.1〜20μg/mlである場合には、インキュベーション工程時間は5〜60分が好ましく、15〜60分が最も好ましい。
本発明における発色工程では、発色工程の時間が長いほど発色度合いが増し、逆に発色時間が長すぎる場合は発色基質自体が自然分解により発色してしまう。本発明においては、支持体において、標的物質を認識する物質を固定化した部分に対するサンプル量の比が2cm2/ml以上であり、かつ、標的物質を認識する物質を含む溶液と支持体を接触させる際の溶液中の標的物質を認識する物質の濃度が0.1〜20μg/mlであり、かつインキュベーション工程で用いる溶液中の標的物質に対する酵素標識抗体の濃度が0.1〜20μg/mlであり、かつインキュベーション工程時間が5〜60分である場合に、発色工程は5〜30分であることが好ましく、15分〜30分が最も好ましい。また、支持体に抗原抗体反応で結合した酵素と発色基質とが接触する機会を多くし、発色時間を短くするために、酵素標識抗体が結合している部分に対する発色基質量の比を2cm2/mlとすると良い。
また、本発明における「発色」とは、物質を検出するために試薬を加え、目的とする色を表すことである。本発明の測定方法および酵素免疫学的キットでは、発色の度合いを目視で直に確認することができるが、機器によって表色系におけるパラメーターを測定し、それを用いて発色を定量することもできる。すなわち、本発明においては、反射光を測定することにより、標的物質を定量することができる。
表色系とは、物体の色や光源の色を数値や記号で表現する方法をいう。なかでも、L***表色系は国際照明委員会(CIE)が定めた均等色空間のひとつであり、また、JIS(JIS Z8729)にも採用されている。L***表色系は、試料のXYZ表色系における三刺激値のX、Y、Zから計算される。XYZ表色系は現在CIE標準表色系として各表色系の基礎となっている光の三原色の加法混色の原理に基づいており、色度図を使って色をYxyの3つの値で表す。Yは反射率で明度に対応し、xyが色度になる。L***表色系では、明度がL*、色相と彩度を表す色度がa*、b*で表され、L*が大きいほど白に近づき、L*が小さいほど黒に近づく。a*は赤方向、−a*は緑方向、b*は黄方向、−b*は青方向を示しており、数字の絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、数字の絶対値が小さくなるほどくすんだ色になる。そのため、人間の色覚に最も近いとされている。本発明において、機器による表色系パラメーター測定は発色の度合いを機器によって数値化し、それを用いて発色を定量することができれば限定はない。具体的には試料から反射された光を可視領域である400〜700nmの範囲で分光し、各波長ごとの反射率を測定して表色系におけるパラメーターを計算できれば良く、この反射率測定からXYZ表色系でのパラメーターやL***表色系でのパラメーターなどが計算できる。反射率の測定は、例えば市販の分光測色計(色彩計)を用いて行うことができる。
この際、上記の条件で測定を行った場合、サンプル中の標的物質の濃度と分光反射率から計算されるL*、a*、b*等の値やL***表色系における座標L*、a*、b*の差であるΔL*、Δa*、Δb*から計算できるΔE*(ab)の値は、一定範囲濃度で一次的な相関関係にあるので、サンプル中の標的物質の濃度を正確に定量することができる。また、L***法により数値化された値は、人間の色覚により判断した明度や彩度に近いため、目視による迅速な判定結果とも相関が高く、かつ精度も高いという特徴を有しており、迅速測定と正確な定量を同時に行う際には吸光度による定量方法よりも優れている。
以下、本発明の酵素免疫学的キットについて詳述し、併せて本発明の測定方法について
説明する。
本発明の酵素免疫学的キットはサンプル中の標的物質を検出するためのものである。ここでいう「検出」とは、標的物質の存在を確認することであり、標的物質の濃度を定量、または半定量することを含む。標的物質が含まれているサンプルとしては、標的物質、支持体に固定化した物質、および標的物質に対する酵素標識抗体との抗原抗体反応をスムーズにするためにも流動性のある溶液であることが好ましいが、特に液体でなければならないわけではなく、例えばサンプルが固体である場合には適当な溶媒によって溶解もしくは溶媒中に分散させればよい。また、測定に必要なサンプル量としては、サンプルが支持体の標的物質を認識する物質が固定化されている部分に接することのできる程度の量であれば特に制限はない。血液等、採取量が限られているためにサンプル量が少量である場合も多く、そのような場合には希釈することによりサンプル量を増加させることもできるが、標的物質濃度のみを低下させただけでは、標的物質、支持体に固定化した物質および標的物質に対する酵素標識抗体とが単位時間当たりに接触する回数が減り、反応の低下により目視および表色系測定機器による標的物質の検出あるいは定量が困難になる可能性がある。総反応量を減らさないためにインキュベーション時間を延長させても良いが、測定を迅速にするという観点から次の方法を採用することが好ましい。すなわち、サンプル量が少ない場合には、既に述べたように支持体の標的物質を認識する物質が固定化されている部分の面積に対するサンプル量の比、またはインキュベーション工程における溶液中の標的物質に対する酵素標識抗体の濃度、あるいは標的物質を認識する物質の支持体への固定化密度を高くすればよい。また、できるだけ少量でありかつ取り扱いやすい量のサンプル、例えば10μl〜200μlで測定することが望ましい。
本発明において標的物質を認識する物質を被覆すること、または固定化することとは、共有結合、金属結合、イオン結合、疎水結合、水素結合、親水性結合などで標的物質を認識する物質を支持体に結合させることをさす。この固定化後に標的物質の非特異吸着を阻害する処理を施して標的物質を認識する物質が固定化されなかった部分に標的物質が吸着することを防ぐことで、効率よく標的物質を検出することができる。非特異吸着を阻害する処理方法としては、標的物質を認識する物質が結合しなかった隙間部分を他の物質で覆う、ブロッキングと呼ばれる方法を用いることができる。標的物質を認識する物質がタンパク質である場合は、固定化した分子の立体構造を維持することが期待される、カゼインやウシアルブミンを含む溶液を用いてブロッキングすることが好ましい。
また、本発明では、支持体を複数の異なる濃度の標的物質を認識する物質で被覆させた後、サンプル中の標的物質を抗原抗体反応させることによって標的物質を検出し、発色によりサンプル中の標的物質を検出することができる。また、該支持体表面の既知濃度の標的物質が反応している部分とそれ以外の発色を比較することによってサンプル中の濃度を測定することもできる。さらに、同時に該支持体表面の発色によってサンプル中の標的物質を検出するとともに該支持体表面の既知濃度の標的物質が反応している部分とそれ以外の部分の発色の比較によって未知濃度のサンプル中の標的物質の濃度を測定することができる。
「標的物質を認識する物質」としては、標的物質に対する抗体や標的物質とレセプター−リガンドの関係にある場合のレセプターもしくはリガンドまたは標的物質と結合する酵素や基質等が含まれるが、結合力の強い抗体が好ましく用いられる。
本発明における標的物質、すなわち検出対象の物質は、特に限定されず、タンパク質、ペプチド、脂質などの生体分子や薬剤、色素、重金属などの非生体物質等が含まれる。標的物質を2種類の抗体で捕捉する方法を用いる場合は、標的物質は12〜15個のアミノ酸から成るペプチド以上の分子量を持つことが好ましい。また、本発明における標的物質としてのサイトカインとしては特に限定されず、サイトカインの由来としては、ヒト、マウス、ウサギ、ブタなど種々の動物由来のサイトカインや培養細胞が産生するサイトカインなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明における標的物質としての黄色ブドウ球菌外毒素およびA群β溶血性連鎖球菌外毒素としては該細菌により産生される物質であれば限定はされないが、好ましくは、抗原呈示細胞によるプロセッシングを受けずにMHCクラスII分子とT細胞受容体(T Cell Recepter;以下、TCRと略す)Vβの外側に結合することで免疫学的な特異性を超えてT細胞を過剰に活性化する、一般にスーパー抗原として分類されている物質である。
本発明において支持体は、材質は特に限定されないが、標的物質を認識する物質を固定化する部分においては標的物質を認識する物質と親和性を有するような材料が好ましい。標的物質を認識する物質がタンパク質である場合には、ポリスチレンやポリメチルメタクリレート等の吸着性の高い高分子物質を主材料とした材料が好適である。形状としても特に限定はされないが、目視または表色系測定機器によって発色を確認するため、棒状または板状あるいはくぼみを有した形状が好ましく、ステック棒状あるいは板状の場合はへら状、スティック状あるいはプレート状等、平面部分を有する形状がより好適である。くぼみを有した形状の場合は、サンプル、酵素標識抗体をインキュベーションできるよう、液体がこぼれないような形状が良い。また、支持体は、標的物質を固定化する部分(測定部分)と測定者が支持体を持つための部分(保持部分)とを有していた方が作業操作上好ましい。また、保持部分の材料は特に限定されず測定部分と異なる素材であってもよい。支持体には、サンプル名を記載するスペースがあると良い。
本発明に用いる標的物質に対する抗体は、標的物質を特異的に認識でき、かつ、標的物質に対して支持体に固定化した物質が認識する部位と酵素標識抗体が認識する部位とがそれぞれ異なれば特に限定されず、抗体としては哺乳動物を標的物質で免疫して得られる抗血清から精製されるポリクローナル抗体および標的物質で免疫された哺乳動物から取り出した抗体産生細胞をミエローマ細胞と融合させることで得られたハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体のいずれもが使用できる。標的物質に対するポリクローナル抗体は、哺乳動物に標的物質を感作して得られる抗血清を材料とし、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなど種々の手段で精製することにより得ることができる。標的物質に対するモノクローナル抗体は、マウスなど適当な動物を標的物質で免疫したのち、脾細胞をミエローマ細胞と融合し、得られたハイブリドーマの中から標的物質と特異的に結合する抗体を産生するクローンをELISAなどの手法を用いて選択後、得られたハイブリドーマの培養上清またはハイブリドーマを適当な動物に接種して得られる腹水を材料として、モノクローナル抗体を精製することができる。こうして得られた標的物質に対する抗体は標的物質を認識する物質として支持体に固定化するために用いることができるし、また、抗体を酵素標識化して支持体に結合した標的物質を認識するためにも用いられる。酵素標識抗体としては、標的物質に対する高い選択性を得るためにモノクローナル抗体を用いることが好ましいが、支持体に固定化した標的物質を認識する物質がモノクローナル抗体である場合には、酵素標識抗体としてポリクローナル抗体を用いることもできる。
本発明における酵素標識抗体は、酵素と抗体、あるいは抗体フラグメントをつなぎ合わせた(抗体に酵素を標識化した)もので、免疫組織化学染色、免疫測定などの目的で使われているものを用いることができる。酵素標識抗体に標識されている酵素には特に限定はないが、基質の検出物への転換能力が高いことと酵素の失活が少ないことから、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Horseradish Peroxidase;以下、HRPと略す)、アルカリフォスファターゼ(Alkaline Phosphataze;以下、ALPと略す)、β−D−ガラクトシダーゼ(β−D−galactosidase;以下、β−Galと略す)のいずれかを選択することが好ましい。
酵素の標識の方法としては、共有結合による標識法と非共有結合による標識法の二つに大別される。共有結合による標識法としては、抗体や抗体フラグメントのアミノ基と酵素のアミノ基を利用してつなぎ合わせる方法や、酵素と抗体を遺伝子レベルで結合しておき酵素標識抗体を調整する方法、また、抗体や抗体フラグメントを還元して生成するヒンジ部のチオール基を選択的に用いて酵素とつなぎ合わせる方法などがある。非共有結合による方法としては、酵素と抗酵素抗体を反応させておき、これと目的の抗体との間を抗体に対する抗体で架橋するもの、また、抗体をビオチン標識しておき、これと酵素標識アビジンを反応させても酵素標識抗体が調整できる。本発明における酵素標識抗体の作製方法としては特に限定はないが、酵素標識抗体のFab’フラグメントの非特異吸着が少なく抗体活性も損なわれない、還元後共有結合によってチオール基を酵素とつなぎ合わせる方法が好ましい。
本発明において、酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質とは、酵素標識抗体を発色させるものであり、その後の反応産物が水不溶性となる物質をいう。酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質としては、特に限定されないが、例えば酵素標識抗体としてHRP標識を選択した場合は、基質としては3−アミノ−9−エチルカルバゾール、5−アミノサリチル酸、4−クロロ−1−ナフトール、o−フェニレンジアミン、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルフォン酸)、3,3−ジアミノベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、o−ジアニシジン、3,3−ジメトキシベンジジンのいずれかが含まれる溶液が良い。また、酵素標識抗体としてALP標識を選択した場合は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェート、ニトロブルーテトラゾリウム、p−ニトロフェニルリン酸のいずれかが含まれる溶液を基質として用いることができる。さらに、酵素標識抗体としてβ−Gal標識を選択した場合は、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシドまたは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドール−β−D−ガラクトピラノシドのいずれかを含んだ溶液を用いることができる。
発色の検出は、目視で行ってもよいし、分光測色計を用いて反射光を測定してもよい。この場合、支持体上の標的物質を認識する物質を固定化してあり、インキュベーションの際にサンプル中の標的物質と反応し、標的物質を認識する物質−標的物質−酵素標識抗体の結合複合体が形成している部分の発色と、それ以外の部分の色を比較することにより標的物質の存在の有無を決定することができ、または標的物質を定量することができる。また、予め既知の濃度の標的物質を含むサンプルを用いて濃度対反射光の標準曲線を作成しておき、該曲線に基づいて測定したサンプル中の標的物質の濃度を求めてもよい。
図4に、本発明の測定方法の一態様の工程を示す。
本発明の酵素免疫学的キットは、少なくとも1種類の標的物質を認識する物質を表面に固定化した後に非標的物質の非特異吸着を阻害する処理を施した支持体、少なくとも1種類の該標的物質に対する酵素標識抗体、少なくとも1種類の該酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質、およびそれらの物質を収容する少なくとも1つの容器、を少なくとも含む。これは、標的物質を認識する物質を被覆した支持体、標的物質、標的物質に対する酵素標識抗体の3種類を別々の容器に収容していてもよいし、3種類を1つの容器に収容していてもよいし、または標的物質を被覆した支持体と基質の2種類、もしくは支持体および酵素標識抗体の2種類を1つの容器に収容し、残りの1種類を別の容器に収容するような態様でもよいことを意味する。そしてこの容器を抗原抗体反応および発色反応させるための容器として利用する。標的物質を認識する物質を被覆した支持体、標的物質、標的物質に対する酵素標識抗体、の3種類を収容し、かつそれらを反応させるための容器の材質としては特に限定されないが、タンパク質である酵素標識抗体が容器に付着しにくいものが好ましい。標的物質を被覆した支持体と基質の2種類を収容し、かつそれらを反応させるための容器、もしくは支持体および酵素標識抗体の2種類を収容し、かつ反応させるための容器の材質としても特に限定はない。支持体や容器には、サンプル名を記載できるスペースがあると良い。
本発明の酵素免疫学的キットは、その性能が6ヶ月以上維持されることが好ましいが、性能を6ヶ月以上維持するために、標的物質を認識する物質を固定化した支持体や標的物質に対する酵素標識抗体および発色工程で用いる基質を保存処理する方法が好ましく用いられる。性能の低下とは、主に標的物質の検出感度が低下することである。本発明においては、支持体に固定化した標的物質を認識する物質やブロッキング剤、または酵素標識抗体が劣化しないよう、保存液として、チメロサールや安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ヒノキチオール、パラオキシ安息香酸ブチル、ε−ポリリジン、プロタミン、抗生物質などを添加した溶液や、高濃度サッカロース溶液やNaCl溶液を用いるなどして防腐加工をすることができる。防腐のためにアジ化ナトリウムを用いることもできるが、HRP標識抗体を使用する場合には、発色の低下を招くので好ましくない。標的物質に対する酵素標識抗体や発色工程で用いる基質は分子の大きさが濾過膜の孔径より小さければ濾過によって滅菌することもできるし、加圧や加熱によって変質する恐れがなければオートクレーブ処理によって溶液を滅菌しても良い。また、キットを希ガスや不燃性の窒素などの不活性ガス中で保存したり、キットを真空状態で保存することですることでキットの性能の劣化を防ぐことができるし、紫外線によるダメージを防ぐためには収納容器を遮光容器にすると良い。
本発明では、支持体を標的物質を認識する物質で固定化した後に支持体の一部分に既知濃度の標的物質を反応させておき、その支持体を用いて未知濃度の標的物質を含むサンプルを標的物質に対する酵素標識抗体とともにインキュベーションし、洗浄工程を経たあとで基質により発色させ、既知濃度の標的物質を反応させた部分とそれ以外の部分の発色を比較することによって未知濃度のサンプル中の標的物質濃度を測定することができる。この方法では、サンプル中の標的物質濃度をより正確に知ることができる。既知濃度の標的物質を反応させる部分は、標的物質を認識する物質で被覆した部分でも良いし、標的物質を認識する物質で被覆されていない部分でも良いし、その両方でも良いが、つづくインキュベーション工程において、酵素標識抗体と接しなければならないし、さらに、発色工程にて基質と接しなければならない。
本発明における酵素免疫学的キット、および本発明におけるインキュベーション工程と酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質によって発色させる発色工程の2段階の反応工程からなる測定方法によって、疾患を迅速に診断し、患者に対しての治療方法を短時間で決定することができる。疾患としては、標的物質の増減が原因で発症するものでも良いし、また標的物質が直接発症には関与しているわけではないが、その疾患によって標的物質が増減するものでも良い。
サイトカインが高値であることが問題である疾患では、サイトカイン濃度が500pg/ml以上である場合に治療を必要とすることが多いことから(週刊医学のあゆみ 2001/1/6 Vol.196 No.1)、サンプル中のサイトカイン濃度が500pg/ml以上であるかどうかを知ることが重要である。該測定キットおよび該測定方法を用いると、500pg/ml以上のサンプル中のサイトカインを検出することができるため、高サイトカイン血症を診断することができる。
例えば、サイトカインが高値であることが知られている疾患としてSIRS(全身反応炎症性症候群;Systemic Inflammatory Response Syndrome)と呼ばれる状態があり、急性の重篤な全身性の炎症反応に対して提案されている概念である。体温、心拍数、呼吸数、白血球数のうち2項目以上が異常であったときにSIRSの状態であるとしているが、この状態では炎症性サイトカインの作用によって臓器不全となったり、全身性の炎症反応が進行して死に至ることが報告されている。SIRSを引き起こす原因として、インターロイキン(以下、ILと略す)や腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;以下、TNFと略す)やインターフェロン類が知られており、特にIL−1、IL−2、IL−6、TNF、IL−8、IFN−γなどといった炎症性サイトカインがSIRSに深く関わっていると示唆されている。
サイトカインは免疫反応、炎症反応に深く関わる微量生理活性物質で、おもに白血球から産生され、IL−1、IL−6、TNFはいずれも急性期反応を引き起こし、肝細胞に一連の急性期タンパク質を合成、分泌させるほか、内因性発熱物質として作用する。IL−2はキラー細胞の誘導や活性化、B細胞増殖など多様な作用を示す。IL−8は好中球とT細胞を炎症局所に引き寄せる。IFN−γはマクロファージを活性化して活性酸素の産生を促進したりする。
膵炎患者においても重症度と血中サイトカイン濃度が相関していることが報告されている。その原因として、サイトカインによって活性化された好中球が臓器を破壊し、さらにその刺激によってサイトカインが誘導される、という悪循環が挙げられている(医歯薬出版株式会社 別冊医学のあゆみ サイトカイン−基礎から臨床応用まで)。また、重症急性膵炎において血中のIL−6の濃度が高値である場合には臓器不全を合併するなどの重症化の危険性が高いことが報告されている(「日本救急医学会雑」Volume 11,Number 10,October 2000)。
血球貪食症候群では、リンパ球系細胞が増殖することにより高サイトカイン血症をきたしている状態にあり、サイトカインによってリンパ球や単球などの貪食能が亢進して血球を破壊し、重症化すると多臓器不全などを引き起こす場合もある。この疾患の診断は難しく、また原因や治療法などの研究も途上である。
IL−8を腹腔もしくは静脈注射すると、1時間以内に末梢血中の好中球が増加し、皮下投与や関節腔内投与では投与された局所に大量の好中球ならびにTリンパ球の動員が観察される。とくに持続静脈内投与によって肺胞の破壊を引き起こしてacute respiratory distress syndrome(急性呼吸窮迫症候群;以下、ARDSと略す)様の様相を示したり、関節腔内投与では滑膜破壊が認められるなどの強い臓器障害作用もある。in vivoにおいても、痛風、慢性関節リウマチ、腎盂腎炎、喘息、敗血症、ARDS、クローン病、潰瘍性大腸炎等の疾患でIL−8が検出されている。
その他、血管炎を伴う川崎病、免疫系の疾患である膠原病、スティル病などにも高サイトカイン血症が関与しているとされているし、また、切迫早産症例における羊水中のサイトカインが早産のマーカーとして有用であるとされている(Ginekol Pol. 2003 Oct;74(10):1343−7)。
さらに、外傷侵襲後、免疫担当細胞の過剰活性によるサイトカインの産生がSIRSを誘導し、臓器障害の原因となることが示されている。炎症性サイトカインのin vivo投与によりショックが再現され、また受傷後に高サイトカイン血症が持続すると、感染症の併発率やそれに基づく死亡率と有意に相関することが報告されている。外傷死の50%以上は事故直後の不可逆的な神経損傷や大量出血ではなく、それを乗り越えた後の敗血症や多臓器不全(MOF)によるものとされる。熱傷モデルにおいても、外毒素が早期のT細胞性反応を増強して致死的なショック様の病体を誘導することが報告されている。これらはSIRS病態において免疫応答が亢進されている事実を示すものであり、しかもそれが病態の重篤化に関与するという報告である。臨床的にはARDSやTSSが該当すると考えられているが、この場合不全臓器に基本的には感染はなく、あたかも自己免疫疾患のように活性化された免疫担当細胞によって重要臓器が障害される。
また、感染に起因した疾患でも高サイトカイン血症となることが知られている。明らかな感染が認められない場合でも、黄色ブドウ球菌やA群β溶血性連鎖球菌などが産生するスーパー抗原によって免疫系が過剰に活性化され、高サイトカイン血症となる場合があり、早期の診断が重要である。スーパー抗原が関与している疾患としては、TSS、NTED、全身エルシニア菌感染症、猩紅熱やSTSSなどが挙げられ、急性全身性血管炎である川崎病にも、スーパー抗原の関与が示唆されている。これらの疾患では早期の迅速な診断とその診断に基づく治療の開始により重症化を防ぐことが重要である。特にSTSSでは咽頭痛、発熱、消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢)、低血圧などの敗血症症状、筋肉痛の症状から始まるが、症状の進行は急速であり、24時間以内に軟部組織病変、循環・呼吸器不全、血液凝固異常、腎・肝症状など多臓器不全を起こす。早期に適切な処置を施さない場合は、多臓器不全、四肢の壊死、死亡、といった転帰をとる。これら感染症の原因菌の存在は菌培養によって証明することもできるが、培養には1週間以上かかる場合が多い。また、A群β溶血性連鎖球菌感染の迅速検出に関してはストレプA抗原の測定方法が特開平6−50973号公報に開示されているが、検出対象はA群β溶血性連鎖球菌に限られ、さらには検体中のスーパー抗原濃度を測定できるものではない。黄色ブドウ球菌感染の迅速検出キットも販売されているが、これらは培養後の菌を対象としている。
血中のサイトカイン濃度やスーパー抗原濃度が高値である状態では、迅速に状態を把握し、問題物質の濃度を急速に低下させることが患者の予後を左右している。また現在、サイトカインやスーパー抗原を測定する場合には菌培養やELISAなどの複雑な手技と時間を必要としており、極めて短時間で、かつベッドサイドで濃度を測定できる、迅速簡便な測定方法が望まれている。診断が難渋する場合でもこれら疾患に関連した物質の濃度を手軽に調べることができれば、病気が見落とされることなく、早期に適切な治療を受けることができるようになる。
以下に実施例を用いて詳細に説明を加えるが、発明の内容が実施例に限定されるものではない。
実施例1:支持体へのIL−8に対する抗体の固定化、ブロッキングおよび保存処理 抗ヒトIL−8ポリクローナル抗体が2μg/mlとなるようリン酸緩衝食塩水にて調製し、ポリプロピレン容器に1ml分注した。これにポリスチレン製支持体(ヌンク社製)を浸漬し、4℃で18時間静置することでスティックに抗IL−8抗体を固定化した。
その後容器中およびスティックに付着している溶液を除去し、牛血清アルブミン(セロロジカル社製)が0.5%添加されたリン酸緩衝食塩水1mlに支持体を浸漬し、室温(22℃)で2時間静置することでブロッキング処理を施した。その後容器中およびスティックに付着している溶液を除去し、30%のサッカロースを含むリン酸緩衝溶液1mlに浸漬し保存処理を施した。その後容器中および支持体に付着している溶液を除去した。抗ヒトIL−8ポリクローナル抗体は、ヒト線維芽細胞由来天然型IL−8をウサギに皮下投与して得られた抗血清を、IL−8固定化カラムを用いたアフィニティー精製したものを用いた。
実施例2:インキュベーション工程、水洗工程および発色工程
HRP標識化抗IL−8モノクローナル抗体が0.5μg/mlとなるよう、牛血清アルブミン(セロロジカル社製)が0.25%、Tween20(東京化成社製)が0.05%添加されているリン酸緩衝食塩水にて調整し、これをポリプロピレン製容器に250μlずつ分注した。HRP標識モノクローナル抗体は、工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されている微工研菌寄第12710号 EL139を培養することにより得たモノクローナル抗体を、HRPにて標識化して得た。これに、ヒトIL−8(バイオソース社製)が、それぞれ4ng/ml、2ng/ml、1ng/ml、0.5ng/ml、0.25ng/ml、0ng/mlとなるよう調整されたヒト血漿(バイオソース社製ELISAによってIL−8が検出感度以下の濃度であることを確認済)をそれぞれ別々の容器に250μlずつ分注した。これに実施例1で作製した支持体を浸漬し、30分間室温(22℃)で静置した。支持体は実施例1の操作後41日経過していた。このとき、支持体において、抗ヒトIL−8ポリクローナル抗体を表面に固定化した部分に対するヒト血漿量の比は6.7cm2/mlであった。その後、容器中および支持体に付着している溶液を除去し、蒸留水にて洗浄した。容器に3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを含む基質(プロメガ社製)を1ml分注し、15分間室温で静置した。その後、溶液中および支持体に付着している溶液を除去し、蒸留水にて洗浄した。支持体の発色の度合いを目視およびL***表色系にて確認した。L*値、a*値、b*値は、コニカミノルタ社分光測色計(CM−2600d)を使用して測定し、0ng/mlのL*値、a*値、b*値と比較した。図1にIL−8を添加したヒト血漿による支持体の発色を示す写真を示し、表1にΔL*値、Δa*値、Δb*値を示す。
実施例3:支持体へのIL−6に対する抗体の固定化、ブロッキングおよび保存処理
抗ヒトIL−6ポリクローナル抗体が2μg/mlとなるようリン酸緩衝食塩水にて調製し、ポリプロピレン容器に1ml分注した。これにポリスチレン製支持体(ヌンク社製)を浸漬し、4℃で18時間静置することでスティックに抗IL−6抗体を固定化した。その後容器中およびスティックに付着している溶液を除去し、牛血清アルブミン(セロロジカル社製)が0.5%添加されたリン酸緩衝食塩水1mlに支持体を浸漬し、室温(22℃)で2時間静置することでブロッキング処理を施した。その後容器中およびスティックに付着している溶液を除去し、30%のサッカロースを含むリン酸緩衝溶液1mlに浸漬し保存処理を施した。その後容器中および支持体に付着している溶液を除去した。抗ヒトIL−6ポリクローナル抗体は、ヒト線維芽細胞由来の天然型IL−6をヤギに皮下投与して得られた抗血清を、IL−6固定化カラムを用いたアフィニティー精製したものを用いた。
実施例4:インキュベーション工程、水洗工程および発色工程
HRP標識化抗IL−6モノクローナル抗体が0.5μg/mlとなるよう、牛血清アルブミン(セロロジカル社製)が0.25%、Tween20(東京化成社製)が0.05%添加されているリン酸緩衝食塩水にて調整し、これをポリプロピレン製容器に250μlずつ分注した。HRP標識モノクローナル抗体は、工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されている微工研菌寄第10713号(国際寄託第2878号) IG61を培養することにより得たモノクローナル抗体を、HRPにて標識化して得た。これにヒトIL−6(バイオソース社製)が、それぞれ5ng/ml、2.5ng/ml、1ng/ml、0.5ng/ml、0.25ng/ml、0ng/mlとなるよう調整されたヒト血漿(バイオソース社製ELISAによってIL−6が検出感度以下の濃度であることを確認済)をそれぞれ別々の容器に250μlずつ分注した。これに実施例1で作製した支持体を浸漬し、30分間室温(22℃)で静置した。支持体は実施例1の操作後41日経過していた。このとき、支持体において、抗ヒトIL−6ポリクローナル抗体を表面に固定化した部分に対するヒト血漿量の比は6.7cm2/mlであった。その後、容器中および支持体に付着している溶液を除去し、蒸留水にて洗浄した。容器に3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを含む基質(プロメガ社製)を1ml分注し、15分間室温で静置した。その後、溶液中および支持体に付着している溶液を除去し、蒸留水にて洗浄した。支持体の発色の度合いを目視およびL***表色系にて確認した。L*値、a*値、b*値は、コニカミノルタ社分光測色計(CM−2600d)を使用して測定し、0ng/mlのL*値、a*値、b*値と比較した。図2に、IL−6を添加したヒト血漿による支持体の発色を示す写真を示し、表2にΔL*値、Δa*値、Δb*値を示す。
このようにサイトカインの濃度によって支持体の発色度合いが異なること、およびヒト
サイトカインの濃度とL*値、a*値、b*値が相関すること、またサンプル中のサイトカインの濃度が500pg/ml以上である場合にのみ発色が確認できることが示された。
比較例1:支持体への標的物質に対する抗体の固定化量による発色度合い
実施例1における抗ヒトIL−8ポリクローナル抗体および実施例3における抗ヒトIL−6ポリクローナル抗体が0.05μg/ml、25μg/mlとなるよう調製した。後の操作はサンプルとして、IL−6、IL−8がそれぞれ0.5ng/mlとなるよう調整されたヒト血漿(バイオソース社製ELISAによってIL−6およびIL−8が検出感度以下の濃度であることを確認済)を用いた他、実施例1〜4に従った。
このように、支持体への標的物質に対する抗体の固定化量が少なすぎる場合、および多すぎる場合には発色度合いが低下し、サンプル中のサイトカインの濃度が500pg/mlである発色が確認できなかった。
比較例2:標的物質に対する酵素標識抗体の濃度による発色度合い
実施例2におけるHRP標識化抗IL−8モノクローナル抗体および実施例*におけるHRP標識化抗IL−6モノクローナル抗体が0.05μg/ml、25μg/mlとなるよう調製した。後の操作はサンプルとして、IL−6、IL−8がそれぞれ0.5ng/mlとなるよう調整されたヒト血漿(バイオソース社製ELISAによってIL−6およびIL−8が検出感度以下の濃度であることを確認済)とサイトカインを含まないヒト血漿を用いた他、実施例1〜4に従った。
このように、標的物質に対する酵素標識抗体の濃度が低すぎる場合にはサンプル中のサイトカインの濃度が500pg/mlである発色が確認できなかった。また多すぎる場合には非特異発色によりサイトカインが含まれていないサンプルでも発色してしまうことを確認した。
実施例5:高サイトカイン血症患者血液中のサイトカイン測定
実施例2において、ヒトIL−8が添加されたヒト血漿の代わりに、サイトカイン濃度が既知である高サイトカイン患者の血清を使用し、支持体の発色の度合いを確認した。
患者血中サイトカイン濃度は、ELISA(バイオソース社製)によって確認した。図3に患者血清中のIL−8による支持体の発色(L***表色系による定量)を示す写真を示し、表3にΔL*値、Δa*値、Δb*値を示す。
このように、実施例2における支持体の発色と比較することにより血中サイトカイン濃
度を測定することができ、高サイトカイン血症を診断することができた。
IL−8を添加したヒト血漿による支持体の発色を示す写真。 IL−6を添加したヒト血漿による支持体の発色を示す写真。 患者血清中のIL−8による支持体の発色(L***表色系による定量)。

本発明の測定方法の一態様の工程概略図。

Claims (25)

  1. IL−6を認識する抗体及び/又はIL−8を認識する抗体をそれぞれサンプル中のIL−6及び/又はIL−8の濃度と発色の強さが一次的な相関関係になる濃度で表面に固定化した後に非特異吸着を阻害する処理を施した支持体、IL−6及び/又はIL−8に対する酵素標識抗体、該酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質および少なくとも1つの容器、を含んでなり、
    該容器は、該容器中で抗体抗原反応および発色反応をさせるためのものであり、かつ、前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体が前記支持体の表面に固定化された部分が、サンプル1ml当たり2cm 浸漬するような大きさである、
    前記支持体の表面の発色によってサンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出することを特徴とする、酵素免疫学的キット。
  2. IL−6を認識する抗体及び/又はIL−8を認識する抗体をそれぞれサンプル中のIL−6及び/又はIL−8の濃度と発色の強さが一次的な相関関係になる濃度で表面に固定化した後に非特異吸着を阻害する処理を施し、さらに既知濃度のIL−6及び/又はIL−8を反応させた支持体、IL−6及び/又はIL−8に対する酵素標識抗体、該酵素標識抗体を発色させた後の反応産物が水不溶性となる基質および少なくとも1つの容器、を含んでなり、
    該容器は、該容器中で抗体抗原反応および発色反応をさせるためのものであり、かつ、前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体が前記支持体の表面に固定化された部分が、サンプル1ml当たり2cm 浸漬するような大きさである、
    前記支持体の表面の既知濃度のIL−6及び/又はIL−8が反応している部分とそれ以外の部分の発色の比較によって未知濃度のサンプル中のIL−6及び/又はIL−8の濃度を測定することを特徴とする、酵素免疫学的キット。
  3. 前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体を含む溶液と支持体を接触させることで支持体の表面に前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体を固定化し、固定化する際の前記溶液中の前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体の濃度が0.1〜20μg/mlである、請求項1又は2に記載の酵素免疫学的キット。
  4. 固定化する際のpHが6.5〜8.0である、請求項記載の酵素免疫学的キット。
  5. IL−6及び/又はIL−8に対する酵素標識抗体の濃度が0.1〜20μg/mlである、請求項又は4に記載の酵素免疫学的キット。
  6. 前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体がIL−6及び/又はIL−8に対する抗体であり、かつ該抗体がポリクローナル抗体であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
  7. 前記支持体が、棒状、板状またはくぼみを有した形状であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
  8. 前記酵素標識抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
  9. 前記モノクローナル抗体がヒトIL−6のアミノ酸配列の149〜173番のアミノ酸からなる断片を認識するモノクローナル抗体である、請求項に記載の酵素免疫学的キット。
  10. 前記モノクローナル抗体がヒトIL−6のアミノ酸配列の153〜162番のアミノ酸からなる断片を認識するモノクローナル抗体である、請求項に記載の酵素免疫学的キット。
  11. 前記酵素標識抗体の酵素がホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼまたはβ−D−ガラクトシダーゼのいずれかから選択される、請求項1〜1のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
  12. 前記酵素標識抗体の酵素がホースラディッシュペルオキシダーゼであり、かつ、前記基質が、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、5−アミノサリチル酸、4−クロロ−1−ナフトール、o−フェニレンジアミン、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルフォン酸)、3,3−ジアミノベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、o−ジアニシジンまたは3,3−ジメトキシベンジジンのいずれかを含んだ溶液から選択される、請求項1〜1のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
  13. 前記酵素標識抗体の酵素がアルカリフォスファターゼであり、かつ前記基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェート、ニトロブルーテトラゾリウムまたはp−ニトロフェニルリン酸のいずれかを含んだ溶液から選択される、請求項1〜1のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
  14. 前記酵素標識抗体の酵素がβ−D−ガラクトシダーゼであり、かつ、前記基質がo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシドまたは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドール−β−D−ガラクトピラノシドのいずれかを含んだ溶液から選択される、請求項1〜1のいずれかに記載の酵素免疫学的キット。
  15. 前記支持体の表面の発色を測定装置により数値化し、数値化された値を用いて発色を定量化する請求項1〜1のいずれかに記載の酵素免疫学的キットであり、前記支持体から反射した光を400〜700nmの範囲で分光し、各波長毎の反射率を測定してXYZまたはL*a*b*で表色系におけるパラメーターを測定することを特徴とする、酵素免疫学的キット。
  16. IL−6を認識する抗体及び/又はIL−8を認識する抗体を被覆した部分を有する支持体、サンプルおよびIL−6及び/又はIL−8に対する酵素標識抗体を同時にインキュベーションするインキュベーション工程と、反応産物が水不溶性となる基質によって発色させる発色工程と、の2段階の反応工程からなり、前記インキュベーション工程において、前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体が前記支持体の表面に固定化された部分が、サンプル1ml当たり2cm 上になるようにサンプルに浸漬され、かつ発色反応後の前記支持体の表面の色を目視によって判断することを特徴とする、サンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出するための方法。
  17. 前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体で被覆された部分を有する支持体に前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体を固定化する際の前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体の溶液の濃度が0.1〜20μg/mlであり、pHが6.5〜8.0である、請求項1に記載のサンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出するための方法。
  18. 前記発色工程において用いるIL−6及び/又はIL−8に対する酵素標識抗体の濃度が0.1〜20μg/mlである、請求項1又は1に記載のサンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出するための方法。
  19. 請求項118のいずれかに記載の方法であり、発色反応後の前記支持体の表面の色を目視によって判断することを特徴とする、サンプル中のIL−6及び/又はIL−8の濃度を測定するための方法。
  20. 請求項118のいずれかに記載の方法であり、かつ発色反応後の支持体表面の色を機器によって数値化し、それを用いて発色を定量することを特徴とする、サンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出するための方法。
  21. 試料から反射された光を400〜700nmの範囲で分光し、各波長ごとの反射率を測定して表色系におけるパラメーターを測定する請求項1〜2のいずれかに記載の方法であり、表色系がXYZまたはL*a*b*であることを特徴とする、サンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出するための方法。
  22. 前記インキュベーション工程と前記発色工程との間に、洗浄工程を含む、請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
  23. サンプルの量が200μl以下である、請求項1〜2のいずれかに記載のサンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出するための方法。
  24. 前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体で被覆された部分を有する支持体の前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体で被覆された部分の一部および被覆されていない部分の一部の少なくとも一方に、それぞれ既知濃度のIL−6及び/又はIL−8を反応させた後、既知濃度のIL−6及び/又はIL−8が反応している部分とそれ以外の部分の発色の比較によって未知濃度のサンプル中のIL−6及び/又はIL−8の濃度を測定する、請求項1〜2のいずれかに記載のサンプル中のIL−6及び/又はIL−8を検出するための方法。
  25. 請求項1〜2のいずれかに記載された方法であり、前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体で被覆された部分を有する前記支持体が、少なくとも2種類の、異なる濃度の前記IL−6を認識する抗体及び/又は前記IL−8を認識する抗体で被覆されており、少なくとも2カ所の発色具合を比較することによってサンプル中のIL−6及び/又はIL−8の濃度を測定する方法。
JP2005140754A 2004-05-14 2005-05-13 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット Active JP4839674B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005140754A JP4839674B2 (ja) 2004-05-14 2005-05-13 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004144511 2004-05-14
JP2004144511 2004-05-14
JP2005140754A JP4839674B2 (ja) 2004-05-14 2005-05-13 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005351889A JP2005351889A (ja) 2005-12-22
JP2005351889A5 JP2005351889A5 (ja) 2008-06-26
JP4839674B2 true JP4839674B2 (ja) 2011-12-21

Family

ID=35586481

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005140754A Active JP4839674B2 (ja) 2004-05-14 2005-05-13 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4839674B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8309299B2 (en) * 2010-05-19 2012-11-13 Hoffmann-La Roche Inc. Combination therapy and method for assessing resistance to treatment
JP6141123B2 (ja) * 2013-07-02 2017-06-07 オリンパス株式会社 膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法、及び膵疾患マーカーの検出方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03139292A (ja) * 1989-05-22 1991-06-13 Toray Ind Inc ヒトインタ―ロイキン―6に対するモノクロ―ナル抗体
JPH05215749A (ja) * 1992-02-07 1993-08-24 Toray Ind Inc ヒトインタ−ロイキン−8の免疫学的測定法
JPH06118000A (ja) * 1992-10-07 1994-04-28 Morinaga Milk Ind Co Ltd 臨床検査方法
EP0636696B1 (en) * 1992-10-15 2002-09-04 Toray Industries, Inc. Process for producing recombinant major histocompatibility antigen class ii protein in microorganisms
JP3177964B2 (ja) * 1997-06-25 2001-06-18 富士レビオ株式会社 発色方法、該方法を用いる酵素免疫測定法及びイムノクロマト法
JP3204932B2 (ja) * 1997-09-02 2001-09-04 ナカライテスク株式会社 膜結合した特定タンパク質の検出方法および脱色液調製キット
JP2003107089A (ja) * 2001-05-10 2003-04-09 Internatl Reagents Corp 超迅速超高感度測定法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005351889A (ja) 2005-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6916626B1 (en) Detection of Candida
JP2901296B2 (ja) カンピロバクター・ピロリの高分子型細胞関連蛋白の調製法とカンピロバクター・ピロリ感染の血清学的検出のための用法
CN102759631A (zh) 一种定量检测降钙素原pct的胶乳增强免疫比浊试剂盒
JPS61247965A (ja) 酵素免疫測定法
JP5818916B2 (ja) 尿路感染症の診断方法
EP0840126B1 (en) Marker and immunological reagent for dialysis-related amyloidosis, diabetes mellitus and diabetes mellitus complications
KR20160072626A (ko) 패혈증 인자 il-6 간이 진단 키트
JP5891230B2 (ja) 細菌性髄膜炎の治療方法
CN202916286U (zh) 一种定量检测降钙素原pct的胶乳增强免疫比浊试剂盒
EP0311492A2 (fr) Trousse et méthode de dosage immunométrique applicables à des cellules entières
JP2011502244A (ja) Edta耐性s100a12複合体(erac)
US20230341392A1 (en) Detection of antibodies to sars-cov2
JP4839674B2 (ja) 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット
Gebhard et al. Dermatitis Herpetiformis IMMUNOLOGIC CONCOMITANTS OF SMALL INTESTINAL DISEASE AND RELATIONSHIP TO HISTOCOMPATIBILITY ANTIGEN HL-A8
US20100267009A1 (en) Method for the in vitro diagnosis and/or in vitro therapy monitoring of infections
KR20070018995A (ko) 표적 물질을 신속 간편하게 검출하는 방법 및 그를 위한효소 면역학적 키트
US6235487B1 (en) Method of diagnosing Crohn's disease
US20080038757A1 (en) Method for Rapidly and Conveniently Detecting Target Substances and Enzyme Immunological Kit Therefor
KR102132964B1 (ko) 쯔쯔가무시균 유래 엑소좀을 이용한 쯔쯔가무시병의 진단방법
RU2715899C1 (ru) Способ количественного определения в вакцинном препарате антигена, адсорбированного на частицах гидроксида алюминия
JP3341629B2 (ja) ヘリコバクター・ピロリ除菌治療の診断用試薬
JP2003502643A (ja) アッセイ
CN117491650A (zh) 一种外周血Hb-Aβ复合物定量检测试剂盒、检测方法及应用
JP3542245B2 (ja) 糖尿病もしくは糖尿病合併症用マーカーとしての使用および免疫試薬
RU2237249C2 (ru) Иммуноферментный способ определения растворимой формы hla-dr антигенов в сыворотке крови человека

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080513

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110405

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110603

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110906

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110919

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4839674

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141014

Year of fee payment: 3