JPH05215749A - ヒトインタ−ロイキン−8の免疫学的測定法 - Google Patents

ヒトインタ−ロイキン−8の免疫学的測定法

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JPH05215749A
JPH05215749A JP2219192A JP2219192A JPH05215749A JP H05215749 A JPH05215749 A JP H05215749A JP 2219192 A JP2219192 A JP 2219192A JP 2219192 A JP2219192 A JP 2219192A JP H05215749 A JPH05215749 A JP H05215749A
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human
human interleukin
interloikin
monoclonal antibody
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JP2219192A
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Nobuo Ida
伸夫 井田
Nobutake Sakurai
信豪 桜井
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は低濃度のヒトインターロイキン
−8を検出することにあり、また血液などの体液成分中
でも体液成分が測定系に与える影響が極めて少ない測定
系を提供することにある。 【構成】抗ヒトインターロイキン8ポリクローナル抗体
および抗ヒトインターロイキン−8モノクローナル抗体
を組み合わせて用い、最低検出感度10pg/ml以下
である高感度免疫学的ヒトインタ−ロイキン−8測定
法、クローンEL139および測定用キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトインタ−ロイキン
−8(以下IL−8と略す)を測定するための方法、さ
らに詳しくは、IL−8に対するポリクロ−ナル抗体お
よびモノクロ−ナル抗体を用いた免疫学的測定方法、ク
ローンEL139および測定を行なうためのキットに関
する。
【0002】
【従来の技術】インタ−ロイキン−8(IL−8)は、
単球由来好中球走化性因子(MCNCF)、好中球活性
化ペプチド−1(NAP−1)、好中球活性化因子(N
AF)など、種々の名前で研究されてきた分子量約80
00のポリペプチドであり、炎症局所への白血球(とく
に好中球)の遊走およびその活性化など、炎症反応の初
期メディエ−タ−として重要な役割を担うサイトカイン
である(松島;MedicalImmunology, 18, p9 (1989) な
ど)その一次構造は、connective tissue activating
peptide III(CTAP-III)、β-thromboglobulin(β
−TG)、platelet factor 4 (PF4)、γ-interfe
ron inducible protein (IP−10)、growth relat
ed oncogene (GRO)などと類似性があり、一群のI
L−8ファミリ−タンパク質を形成している。また、単
球遊走活性化因子(MCAF)をはじめとする他の一群
の蛋白質とも若干のホモロジ−を有することが知られて
いる。IL−8に関する研究は、1988年にその遺伝
子が単離され、一次構造が決定されて以来、NMR、X
線結晶解析による3次構造の決定、レセプタ−遺伝子の
単離など急速に進んでおり、また慢性関節リウマチ、乾
癬、敗血症、メサンギウム増殖性腎炎などいくつかの疾
患との関連性も注目されはじめている。
【0003】現在、IL−8の測定には、ヒト好中球に
対する遊走活性または好中球からのリソゾ−ム酵素の放
出を測定するバイオアッセイ法が用いられているが(Yo
shimura,T. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84, p92
33 (1987) ,Schroder,J.M.et al., J.Immunol., 139,
p3474 (1987) )、感度が高くないこと、測定操作が煩
雑であること、また他の生理活性物質の影響を受けやす
いことなどいくつかの問題点から、臨床検体に広く適用
されるには至っていない。また、ポリクロ−ナル抗体お
よびモノクロ−ナル抗体を用いた免疫学的測定法も報告
されているが(Sticherling,M. et al., J.Immunol., 1
43, p1628 (1989), Sylvester,I. et al., Am.Rev.Resp
ir.Dis., 141, p683 (1990), Ceska,M. et al., Cytoki
ne, 1, p136 (1989), DeForge, L.E. et al., Immunol.
Invest., 20, p89 (1991) )、測定感度は必ずしも十分
ではなく、通常の血液中に見出される10pg/ml以
下といった低濃度のIL−8を精度良く測定できる系は
知られていなかった。また、血液など各種体液成分が測
定系に与える影響についての十分な検討もなされていな
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のように各種疾患との関連性が報告されているIL−8
を、体液中で高感度かつ精度良く定量するため、低濃度
のIL−8を検出可能な免疫学的測定法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の課題を解決
するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
本発明は、抗ヒトインタ−ロイキン−8モノクローナル
抗体と抗ヒトインタ−ロイキン−8ポリクローナル抗体
とを組み合わせて用い、ヒトインタ−ロイキン−8の最
低検出感度が10pg/ml以下であることを特徴とす
る高感度免疫学的測定法である。
【0006】本発明に用いる抗体は、哺乳動物をIL−
8で免疫して得られる抗血清から精製されるポリクロ−
ナル抗体およびIL−8で免疫された哺乳動物から取り
出した抗体産生細胞をミエロ−マ細胞と融合し、得られ
たハイブリド−マから産生されるモノクロ−ナル抗体の
いずれもが使用できる。このようにして得られる各種の
抗体のなかから、抗原に対する親和性の高いものを選択
することにより、10pg/ml、より好ましくは3p
g/mlといった低濃度のIL−8を測定することがで
きる高感度な免疫学的測定方法の確立に成功し、本発明
を完成した。以下に、本発明の具体的な方法を説明す
る。
【0007】(a)ポリクロ−ナル抗体の作製 IL−8に対するポリクロ−ナル抗体は、ウサギ、ヤ
ギ、ヒツジなど種々の生物に抗原IL−8を感作して得
られる抗血清を材料とし、塩析、イオン交換クロマトグ
ラフィ−、アフィニティ−クロマトグラフィ−など種々
の手段で精製することにより得ることができる。なお、
親和性の高い抗体を得るためには、抗原固定化カラムに
よるアフィニティ−クロマトグラフィ−を用いて抗原と
結合する抗体のみを選択的に精製することが望ましい。
また、免疫に用いる抗原は、ヒト由来の細胞から産生さ
れる天然型IL−8および組換えDNA技術によって作
製された遺伝子組換え型IL−8のいずれもが使用され
得る。
【0008】(b)モノクロ−ナル抗体 IL−8に対するモノクロ−ナル抗体は、常法に従って
作製することができる。すなわち、マウスなど適当な動
物をIL−8で免疫したのち、脾細胞をミエロ−マ細胞
と融合し、得られたハイブリド−マの中からIL−8と
特異的に結合する抗体を産生するクロ−ンをELISA
などの手法を用いて選択する。高感度な測定系を確立す
るためには、この段階でできるだけ抗原との親和性の高
い抗体を選ぶことが重要である。次に、得られたハイブ
リド−マを培養し、その培養上清またはハイブリド−マ
を適当な動物に接腫して得られる腹水を材料として、モ
ノクロ−ナル抗体を精製することができる。
【0009】(c)免疫学的測定法 免疫学的測定法としては、サンドイッチ法、競合法など
種々の測定原理を用いることができる。また、標識物質
としては、酵素、ビオチンなどのハプテン、ラジオアイ
ソト−プなどが用いられるが、高感度かつ測定の簡便な
系とするためには、酵素標識抗体を用いたサンドイッチ
法が望ましい。固相担体への抗体の固定および抗体の酵
素標識は、常法に従って行なうことができる。固定化さ
れた抗体に検体中のIL−8を結合させ、さらに酵素標
識抗体を反応させることにより、固相上に3者のサンド
イッチ複合体を形成させる。最後に酵素基質を加え固相
上の酵素活性を測定することにより、検体中のIL−8
濃度を定量することができる。
【0010】抗ヒトインタ−ロイキン−8モノクローナ
ル抗体と抗ヒトインタ−ロイキン−8ポリクローナル抗
体とを組み合わせることによりキットが構成されるが、
必要に応じ、96穴マイクロプレートなど適当な担体に
固相化した抗体、標識抗体および標準となる既知濃度の
IL−8などを組み合わせてキットを構成する。
【0011】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0012】1.ポリクロ−ナル抗体の作製 ウサギ(ニュ−ジ−ランドホワイト、雌)2羽に対し
て、350μgのヒト線維芽細胞由来天然型IL−8を
2−3週間の間隔で3回皮下投与した。初回免疫時はフ
ロイント完全アジュバント(FCA)と、2回目および
3回目はフロイント不完全アジュバント(FIA)と混
合後投与した。最終免疫の10日後に全採血を行ない、
抗血清を分離した。
【0013】抗血清からの抗体精製は、IL−8固定化
カラムを用いたアフィニティ−精製の手法により行な
い、抗血清30mlより精製抗体7.5mgを得た。
【0014】2.モノクロ−ナル抗体の作製 免疫は、8週令の雌balb/cマウス10匹を用い、
腹腔内投与で3−4回行なった。初回免疫は、10−2
0μgのIL−8を、1×1010個の百日咳死菌添加硫
酸アルミニウムカリウムアジュバントと混合して投与
し、2回目は硫酸アルミニウムカリウムアジュバントと
混合、3回目以降はPBS溶液で、それぞれ10μgの
IL−8を追加免疫した。最終免疫の3−4日後にマウ
スより脾臓を摘出し、脾細胞を単離した。これを、対数
増殖期のマウスミエロ−マ細胞P3U1(P3-X63-Ag8U
1)と10:1の細胞数比で混合し、50%ポリエチレ
ングリコ−ル(PEG)1500を用いて細胞融合を行
なった。融合後の細胞は、15%牛胎児血清、2ng/
mlヒトIL−6およびHATを含むRPMI1640
培地に浮遊し、5×105 個/200μl/ウェルの細
胞密度で96穴マイクロプレ−トに分注し、7%CO2
存在下、37℃で培養を行なった。
【0015】抗体産生細胞のスクリ−ニングは、固相化
IL−8に対する抗体の結合を検出する下記のELIS
A法により行なった。96穴マイクロプレ−トの各ウェ
ルに0.5μg/mlのIL−8PBS溶液を分注し、
4℃で1晩固相化を行なった。0.5%ウシ血清アルブ
ミン(BSA)PBS溶液でブロッキングを行なった
後、ハイブリド−マのHAT培地培養上清(細胞融合後
7−10日目)100μlを室温で1時間反応させ、さ
らにビオチン標識ヤギ抗マウスIgG、ストレプトアビ
ジン−HRPをそれぞれ室温で30分、15分順次反応
させた。なお、各反応の間は、0.05%Tween2
0を含むPBS溶液にてウェルを3回洗浄し、未反応の
試薬を除いた。最後に酵素基質(0.006%過酸化水
素および0.2mg/ml3、3´、5、5´−テトラ
メチルベンジジン(TMB)を含む0.1M酢酸クエン
酸ナトリウム緩衝液pH5.5)を加えて発色反応を行
ない、その着色から陽性ウェルの判定を行なった。
【0016】陽性ウェルは、HT培地100μlを加え
てさらに一晩培養を行ない、翌日培養上清を3倍段階希
釈して再度ELISAを行なった。低濃度抗体(高希釈
倍率)まで発色が認められたウェルを選択することによ
り、比較的親和性の高い抗体を産生するクロ−ンを選
び、限界希釈法でクロ−ニングを行なった。上記スクリ
−ニング、クロ−ニングの操作を2回繰り返して、単一
クロ−ンとして18個ののハイブリド−マを確立した。
【0017】3.モノクロ−ナル抗体の解析 抗体の解析は、各ハイブリド−マの無血清培地培養上清
を用いて行なった。まず、抗体のサブクラスの決定は、
ELISA法を用いたタイピングキットを用いて行なっ
た。また、ウェスタンブロッティングは、以下に示すTo
wbinらの方法に従って行なった。約75μg/mlのI
L−8を含むサンプル100μlをSDS−PAGE
(20%ゲル)で分離後、メンブレンにブロッティング
し、2μg/mlの各モノクロ−ナル抗体、ビオチン化
ヤギ抗マウスIgGまたはビオチン化ヤギ抗マウスIg
M、ストレプトアビジン−HRPを順次反応させた。H
RP活性の検出は、発色キット(コニカ社製 イムノス
テインHRP)を用いて行なった。
【0018】各抗体の抗原IL−8に対する親和性の評
価は、下記の4通りのELISA法を用いて行なった。
【0019】評価では、マイクロプレ−トに固相化し
た抗原IL−8(0.5μg/ml、4℃、1晩)に対
して、段階希釈した各モノクロ−ナル抗体を25℃30
分間反応させ、さらにビオチン化ヤギ抗マウスIgGま
たはビオチン化ヤギ抗マウスIgM、ストレプトアビジ
ン−HRP、酵素基質を順次反応させて、各ウェルの発
色から結合した抗体量を測定した。最大結合量の1/2
を与える抗体濃度(BC50)を算出し、親和性の指標
とした。評価では、IL−8を直接プレ−トに固相化
するかわりにウサギポリクロ−ナル抗IL−8抗体を固
相化し、これに過剰量(10ng/ウェル)のIL−8
を反応させた後、この抗原に対する親和性を評価と同
様の方法で求めた。評価では、プレ−トにウサギ抗I
L−8ポリクロ−ナル抗体(1μg/ml)を固相化
し、これに対して段階希釈した抗原IL−8を加えて2
5℃1時間反応を行なった。その後各モノクロ−ナル抗
体(2μg/ml)、ビオチン化ウサギ抗マウスIg
G、ストレプトアビジン−HRP、酵素基質を順次反応
させ、吸光度を測定した。抗体の親和性は、1ng/m
lのIL−8を測定したときの吸光度とバックグラウン
ド(IL−8無添加の吸光度)の差を求め、これをΔO
Dとして表示した。評価では、評価とは逆に各モノ
クロ−ナル抗体(2μg/ml)を固相化し、これに対
して段階希釈したIL−8を25℃1時間反応させた。
ビオチン標識したウサギ抗IL−8ポリクロ−ナル抗
体、ストレプトアビジン−HRP、酵素基質を順次反応
させ吸光度を測定し、評価と同様に1ng/mlのI
L−8とバックグラウンドの吸光度差ΔODを求めた。
【0020】最後に、抗体のエピト−プの解析は、合成
ペプチドを用いた以下の方法で行なった。IL−8(7
2アミノ酸型)の全アミノ酸配列をカバ−し、それぞれ
6−7残基のオ−バ−ラップを持つ15アミノ酸残基の
ペプチド8種類(SAKELRCQCIKTYSK、C
IKTYSKPFHPKFIK、FHPKFIKELR
VIESG、LRVIESGPHCANTEI、HCA
NTEIIVKLSDGR、VKLSDGRELCLD
PKE、LCLDPKENWVQRVVE、VQRVV
EKFLKRAENS)を合成した。それぞれを1−
1.6μg/mlの濃度で96穴プレ−トに分注し、室
温で2時間結合反応を行なった。ブロッキング後、各モ
ノクロ−ナル抗体を2−0.016μg/mlの濃度範
囲で段階希釈した抗体溶液を添加して室温で1時間イン
キュベ−トし、さらにビオチン化ヤギ抗マウスIgGま
たはビオチン化ヤギ抗マウスIgM、ストレプトアビジ
ン−HRP、酵素基質を順次反応させた。各ペプチドを
固相化したウェルの発色をペプチドを固相化していない
コントロ−ルウェルと比較することにより、各ペプチド
に対する抗体の反応性を調べた。
【0021】得られた18クロ−ンのモノクロ−ナル抗
体についての解析結果を表1にまとめる。抗体のクラス
は、IgG1、κが14クロ−ンと最も多く、IgG
1,λが2クロ−ン、IgG2a,κおよびIgM、κ
が1クロ−ンであった。18クロ−ンのうち、13クロ
−ンはウエスタンブロット法でもIL−8と強く反応
し、これらクロ−ンはいずれも72アミノ酸型IL−8
および77アミノ酸型IL−8と思われる近接する2本
のバンドをともに染色した。また、合成ペプチドにたい
する反応性を調べた結果、EK50、EK56、EK6
0の各クロ−ンがそれぞれCys9−Lys23、Le
u49−Glu63、Val58−Ser72の各領域
の配列を持つペプチドCIKTYSKPFHPKFI
K、LCLDPKENWVQRVVE、VQRVVEK
FLKRAENS、と反応性を示し、エピト−プを同定
することができた。しかし、残りの15クロ−ンは、8
種のペプチドのいずれとも反応性を示さなかった。抗体
の抗原親和性について4通りの方法で調べた結果を合わ
せて表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】評価方法により成績の異なる場合もあった
が、実際のサンドイッチELISA系に近い評価法であ
る、の結果を重視して、有望なクロ−ンとしてEC
81、EK35、EL139、EM12、EM30の5
クロ−ンを選択し、さらに詳細な検討を行なった。
【0024】なお、EL139を産生するハイブリドー
マは微工研菌寄第12710号として工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託されている。
【0025】4.抗体組み合わせの選択 上で選択した5クロ−ンのモノクロ−ナル抗体とウサギ
ポリクロ−ナル抗体を含めた6種の抗体について、それ
ぞれを固相化第1抗体およびビオチン化第2抗体として
用いる36通りのサンドイッチ系を組み、比較検討を行
なった。サンプルとしては、抗原IL−8を緩衝液
(0.25%BSAおよび0.05%Tween20を
含むPBS)またはヒトプ−ル血清で希釈したものを用
いた。結果の例として、緩衝液サンプルで特に良好な性
能(高感度)を与えた2つの組み合わせの結果を図1
A、Bに示す。この2つの組み合わせ例でもみられるよ
うに、ほとんどの組み合わせにおいて血清で希釈した検
体は緩衝液で希釈した検体よりも発色が低くなり血清成
分により反応が阻害されることが示唆された。阻害要因
についての検討を行なった結果、EC81/ビオチン化
EL139の系についてはその阻害物質をセファクリル
S−200ゲル濾過カラムおよびEC81抗体固定化カ
ラムで精製し、N末端アミノ酸配列を分析した結果よ
り、血中に存在しIL−8とホモロジ−を有するタンパ
ク、Connective tissue activating peptide-III(CT
AP−III )が EC81抗体と交差反応するためと判
明した。EM30/EL139については、これとは異
なるより熱不安定な因子が原因と考えられたが、物質を
特定することはできなかった。
【0026】調べた抗体組み合わせの中で、比較的血清
の影響を受けず、また感度的にも良い結果を与えたポリ
クロ−ナル抗体/ビオチン化EL139(図1C)の系
に絞ってさらに検討を行なった。その結果、第1反応時
に検体(50μl)を100μlの0.1Mトリス塩酸
緩衝液(pH8.0、0.25%BSAおよび0.05
%Tween20を含む)で3倍希釈し、また、第2抗
体EL139をFab'化後直接HRP標識することによ
り、血清成分の影響を受けず、かつ簡便な測定系を確立
することができた。最終的に決定した測定プロトコ−ル
を図2に示す。以下ポリクローナル抗体/ビオチン化E
L139系のさらに詳細な検討を示す。
【0027】5.酵素免疫測定(ELISA)系の確立
およびその基本性能評価 96穴マイクロプレ−トの各ウェルに0.5μg/ml
のウサギ抗IL−8ポリクロ−ナル抗体PBS溶液10
0μlを入れ、4℃で一晩固相化を行なった。0.5%
BSA/PBS溶液でブロッキング後、各ウェルを洗浄
液(0.05%Tween20を含むPBS)で洗浄
し、反応緩衝液(0.25%BSA,0.05%Twe
en20および5μl/ml正常マウス血清および正常
ウサギ血清を含む0.1Mトリス塩酸緩衝液pH8.
0)100μlおよび検体50μlを入れ25℃で1時
間反応を行なった。各ウェルを洗浄後、0.5μg/m
lのHRP標識EL139F(ab')2抗体液100μlを
入れ25℃で30分間反応を行ない、さらに各ウェルを
洗浄後基質液(0.006%過酸化水素および0.2m
g/ml3、3´、5、5´−テトラメチルベンジジン
(TMB)を含む0.1M酢酸クエン酸ナトリウム緩衝
液pH5.5)100μlを分注して25℃で30分間
発色反応を行なった。なお、反応中は常時マイクロプレ
−ト振盪器を用いてプレ−トの振盪を行なった。最後に
100μlの1N硫酸を入れて反応を停止し、450n
m(対照波長595nm)の吸光度を測定した。
【0028】この方法に従って測定を行ない、得られた
標準曲線および最低検出感度の算出結果を図3に示す。
標準曲線は、0−300pg/mlの範囲で良好な直線
性を示し、また、バックグラウンドレベル(0pg/m
lでの発色)も0.030と低く良好な結果であった。
0pg/mlの吸光度の平均+2SDより算出した最低
検出感度は、2.4pg/ml(0.12pg/ウェ
ル)となった。次に、測定値のアッセイ内変動(同時再
現性)について検討を行なった。健常者プ−ル血漿にI
L−8を添加して調製した3種の管理検体(L、M、
H)をそれぞれ16回測定し、その変動係数(CV)を
算出した。
【0029】
【表2】 表2に示すように、CV値の平均は5.2%、最大でも
5.8%となり、測定間のばらつきは少なかった。
【0030】6.各種検体からの添加回収率 各種検体からの添加回収実験の結果を表3に示す。
【表3】
【0031】健常者血清、血漿、尿、および培地(RP
MI1640+10%FCS)からの平均回収率はそれ
ぞれ91.5%、92.3%、105.0%、および1
08.0%となり、本測定系はこれら成分の影響を受け
ないことが示された。なお、血清検体および尿検体で見
られた陽性例について、偽陽性の可能性を調べるために
抗体による吸収実験を行なった結果も合わせて示した
が、サンプルを抗IL−8ポリクロ−ナル抗体とあらか
じめインキュベ−トすることにより測定値は顕著に低下
し、コントロ−ルとして同濃度のウサギIgGとインキ
ュベ−トした場合には測定値は変らないことより、これ
ら陽性検体は実際にIL−8を含むことが確認された。
【0032】7.他のサイトカインとの交差反応 本ELISA系の他のサイトカインとの交差反応性につ
いて検討した結果を表4に示す。
【表4】
【0033】IFN−α、IFN−β、IFN−γ、I
L−2、IL−6、G−CSF、GM−CSF(いずれ
もヒト由来)の各物質を1ng/mlで含む緩衝液をサ
ンプルとして測定を行なったが、測定値はいずれも検出
感度以下であり、交差反応性は全く認められなかった。
また、一次構造上IL−8とホモロジ−のあることが知
られている5種類のタンパク、β−thromboglobulin
(β−TG)、connectivetissue activating peptide
III(CTAP-III)、platelet factor 4 (PF−
4)、γ-interferon inducible protein (IP−1
0)、growth related oncogene (GRO)それぞれを
45−100ng/mlの濃度で含む緩衝液での測定結
果もいずれもほぼ検出感度以下であり、またこれら溶液
に添加したIL−8の回収率も89−105%と問題が
見られなかったことから、このELISA系は、これら
類似タンパクの影響も受けないことが確認された。
【0034】8.血清検体と血漿検体の比較 表3の結果およびその他いくつかの予備検討結果より、
血清検体は健常者でも陽性例がかなり見られ、また、検
体群(採血時期、場所の違い)により全体的に高値にな
る場合と低値になる場合があることから、血清検体では
採血時の条件により測定値が変動する可能性が疑われ
た。そこで、同一検体より血清、血漿検体を調製し、測
定値を比較したところ、表5に示すように血清検体は血
漿検体よりも明らかに高値を示した。
【0035】
【表5】
【0036】表3の実験と同様に抗体による吸収試験を
行った結果、抗IL−8抗体の添加により特異的に測定
値が低下し偽陽性ではないことより、血清分離時に血球
細胞より産生されるIL−8の存在が示唆された。一
方、添加回収率については、血清、血漿検体とも89−
107%と問題はなかった。
【0037】9.臨床検体の測定 ELISA系の実際の臨床検体への適用例として、敗血
症患者血漿16例を測定し、健常者と比較した結果を図
4に示す。敗血症患者検体の測定値平均は157.6p
g/mlとなり、個人差は大きいものの、健常者(平均
0.8pg/ml)と比べて明らかに高濃度のIL−8
を含むことが示された。
【0038】
【発明の効果】本発明により、生体中に微量存在するI
L−8を高感度かつ簡便に定量することが可能となっ
た。この方法は、各種疾患とIL−8との関連性を解明
するための有効な手段となる。また、特定の疾患との関
連性が明らかとなれば、その診断のために有効に活用さ
れ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種抗体組み合わせによる緩衝液中および血清
中のIL−8の測定結果を示す。
【図2】ELISA系の測定プロトコ−ルを示す。
【図3】標準曲線および最低検出感度の算出結果を示
す。
【図4】健常者血漿および敗血症患者血漿中のIL−8
測定値の分布を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗ヒトインタ−ロイキン−8モノクローナ
    ル抗体と抗ヒトインタ−ロイキン−8ポリクローナル抗
    体とを組み合わせて用い、ヒトインタ−ロイキン−8の
    最低検出感度が10pg/ml以下であることを特徴と
    する高感度なヒトインタ−ロイキン−8の免疫学的測定
    法。
  2. 【請求項2】請求項1において、抗ヒトインタ−ロイキ
    ン−8ポリクロ−ナル抗体を固相化抗体として、抗ヒト
    インタ−ロイキン−8モノクロ−ナル抗体を酵素標識抗
    体として用いることを特徴とするヒトインタ−ロイキン
    −8の酵素免疫測定法。
  3. 【請求項3】抗ヒトインタ−ロイキン−8モノクローナ
    ル抗体がクローンEL139である請求項1または2記
    載の免疫学的測定法。
  4. 【請求項4】抗ヒトインタ−ロイキン−8モノクローナ
    ル抗体クローンEL139。
  5. 【請求項5】抗ヒトインタ−ロイキン−8モノクローナ
    ル抗体と抗ヒトインタ−ロイキン−8ポリクローナル抗
    体とを組み合わせて用いることを特徴とする最低検出感
    度が10pg/ml以下の高感度免疫学的ヒトインター
    ロイキン−8測定キット。
JP2219192A 1992-02-07 1992-02-07 ヒトインタ−ロイキン−8の免疫学的測定法 Pending JPH05215749A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005111616A1 (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Toray Industries, Inc. 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット
JP2005351889A (ja) * 2004-05-14 2005-12-22 Toray Ind Inc 標的物質を迅速簡便に検出する方法およびそのための酵素免疫学的キット
JP2013527454A (ja) * 2010-05-19 2013-06-27 エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト 併用療法及び治療耐性評価方法

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