JP2000125867A - コイのビテロジェニンに対するモノクロ―ナル抗体 - Google Patents
コイのビテロジェニンに対するモノクロ―ナル抗体Info
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Abstract
ル抗体の提供。 【解決手段】 コイのビテロジェニンに対するモノクロ
ーナル抗体、及び該モノクローナル抗体とコイの体液中
のビテロジェニンとを反応させることを特徴とするコイ
のビテロジェニンの濃度測定方法。
Description
ニンに対するモノクローナル抗体、並びに該抗体を用い
た化学物質の毒性又は環境汚染の評価方法及びコイの雌
雄判定方法に関する。
ている動物の生殖異常が世界各地で観察されている。例
えば、アメリカ合衆国、フロリダ州のアポプカ湖におけ
る生殖異常に関する報告が最もよく知られている。その
調査報告によると、雄ワニのペニスが正常の1/4〜1/2の
大きさに萎縮した個体が多数発見され、その一方、雌ワ
ニでは、正常に比べて卵巣の多卵性ろ胞、多核卵の形成
が顕著であった。その原因は、湖畔に立地する化学工場
から出されたDDT関連物質であるジコホルと呼ばれる物
質によるものであることが判明し、ジコホルは女性ホル
モンと同様の作用を有するものであることが分かってき
た。
障害する化学物質は、内分泌撹乱物質(endcrine disru
ptors)(いわゆる環境ホルモン)と呼ばれ、これまでに
有機塩素化合物、ビスフェノールA、有機金属化合物等
が内分泌撹乱作用をもつ物質として知られている。そし
て、これらの物質以外の様々な未知化合物の中にも同様
の作用をもつ物質が存在するのではないかと疑われてい
る。
化合物に類似の構造を持つ化学物質は、その生体内レセ
プターへの結合を示すことで、ある種のホルモン作用を
惹起することが知られている。1950年〜1970年に米国で
DES(合成ホルモン剤)を服用した母親から生まれた子
供に生殖器異常の多くを引き起こしたのもその例であ
る。しかしながら、上述した化学物質は必ずしもエスト
ロジェンと類似の構造でない場合も多く、内分泌撹乱物
質として予測することは非常に困難であった。
る方法として、試験管内において酵母にエストロジェン
受容体を発現させ、当該化合物がその受容体に結合する
度合を測定する方法、あるいは生体内においてマウス等
に化学物質を投与し、その生殖機能等を解析する等の方
法が採用されている。しかし、前者の試験管内における
試験方法においては、化学物質の生体内での代謝物の影
響を評価できない。また、後者の生体内における試験方
法においては、観察及び解析に大量の動物を使用し、ま
た、その解析に多大な労力を要する等、問題も多い。
質の存在下で魚類などを飼育すると、雌特有の卵黄蛋白
前駆物質であるビテロジェニンが雄の生体中にも誘導さ
れることが知られている(Steroids 1980 Mar;35(3):31
5-328 、Le Menn Fら)。従って、ビテロジェニンの濃
度を測定することによって化学物質が有する内分泌撹乱
作用を評価しようとする試みがなされてきた。しかしな
がら、ビテロジェニンは不安定な物質であるため、高速
液体クロマトグラフィーなどの機器分析によっては正確
に測定することに大きな問題があった。また、免疫学的
な測定についても汎用的に用いられる方法がなく、ビテ
ロジェニンの誘導を指標とした内分泌撹乱作用の評価方
法は確立されていない。
ロジェニンに対するモノクローナル抗体、並びに該抗体
を用いた化学物質の毒性又は環境汚染の評価方法及びコ
イの雌雄判定方法を提供することを目的とする。
解決するため鋭意研究を行った結果、ビテロジェニンの
一部を構成するタンパク質であるリポビテリンを抗原と
して用いることにより、体液中に存在する卵巣に由来す
る他の関連タンパク質には反応せず、ビテロジェニンに
のみ特異的に反応するモノクローナル抗体を作製するこ
とに成功し、本発明を完成するに至った。
ンに対するモノクローナル抗体である。該モノクローナ
ル抗体として、受託番号がFERM P-16943であるハイブリ
ドーマにより産生されるものが挙げられる。
体とコイの体液中のビテロジェニンとを反応させること
を特徴とする化学物質の毒性又は環境汚染を評価する方
法である。化学物質としては、例えば内分泌撹乱作用を
引き起こすものが挙げられ、環境汚染としては、当該化
学物質が原因で生じる内分泌撹乱作用によるものが挙げ
られる。
体とコイの体液中のビテロジェニンとを反応させること
を特徴とするコイの雌雄判定方法である。さらに、本発
明は、前記モノクローナル抗体を含む、化学物質の毒性
又は環境汚染を評価するためのキットである。以下、本
発明を詳細に説明する。
白であるビテロジェニンを特異的に認識することができ
るモノクローナル抗体に関するものであり、該モノクロ
ーナル抗体をコイの体液中のビテロジェニンと反応させ
ることにより、ビテロジェニンを簡便かつ高感度に測定
することを可能とするものである。その結果、本発明に
より化学物質の毒性(特に内分泌撹乱作用の強度)を評
価し、ある地域における内分泌撹乱物質の汚染状況を把
握し、さらにコイの雌雄を判別することが可能となる。
するリポビテリンを抗原として動物を免疫することによ
り、体液中に遊離して存在するビテロジェニンの他の構
成成分とは反応せず、ビテロジェニンを特異的に認識す
るモノクローナル抗体が得られると考えた。これによ
り、体液中に存在する卵巣に由来する他の関連タンパク
質の影響を受けることなく、正確にビテロジェニン濃度
の測定が可能になるものと考えた。また、本発明者は、
複数の魚類のビテロジェニンをスクリーニングに用いる
ことにより、コイのビテロジェニンを特異的に認識する
モノクローナル抗体を得ることができると考えた。そこ
で、本発明では、ビテロジェニンに対するモノクローナ
ル抗体を作製するとともに、該モノクローナル抗体を用
いて、簡便かつ正確で、高速液体クロマトグラフィーな
どに比べて高感度なビテロジェニンの測定法を確立す
る。そして、本発明のモノクローナル抗体を用いて化学
物質が有する毒性(内分泌撹乱作用)の強度を検討す
る。この強度は、内分泌撹乱作用を有する化学物質によ
り生体内のビテロジェニン濃度が有意に上昇するか否か
を測定することにより評価することができる。
を指標としてコイの雌雄判別が可能であると考えた。そ
こで、本発明では、上記モノクローナル抗体をビテロジ
ェニンと反応させてビテロジェニン濃度を測定すること
により、コイの雌雄判別法を確立する。
製 本発明のモノクローナル抗体を作製するにあたり、動物
を免疫するため、およびコイのリポビテリンを特異的に
認識するハイブリドーマを選択するために、ビテロジェ
ニン及びリポビテリンを調製する必要がある。これらの
タンパク質は、以下のようにして調製することができ
る。
駆体であり、肝臓で大量に作られ血中に分泌される。本
発明においては、コイから採取した血液を遠心分離にか
けて血清を調製し、さらに遠心分離やゲルろ過カラムク
ロマトグラフィーなどを適宜組み合わせることによりビ
テロジェニンを精製することができる。精製されたビテ
ロジェニンは、コイのビテロジェニンを特異的に認識す
るモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスク
リーニングなどに用いられる。
ある。従って、コイの卵黄から遠心分離やゲルろ過カラ
ムクロマトグラフィーなどを組合せることによりリポビ
テリンを精製することができる。精製されたリポビテリ
ンは、ビテロジェニンを特異的に認識する抗体を作製す
るための免疫に用いられる。
ローナル抗体の作製 本発明のモノクローナル抗体は、通常は、コイのビテロ
ジェニンに結合し得る抗体分子全体を意味するが、コイ
のビテロジェニンに結合し得る限り、その断片(例え
ば、Fab又はF(ab')2断片)であってもよい。本発明のモ
ノクローナル抗体は、種々の方法のいずれかによって製
造することができる。このような抗体の製造法は当該分
野で周知である[例えばSambrook, Jet al., Molecular
Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)
を参照]。
して、哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに
投与する。抗原の動物1匹当たりの投与量は、アジュバ
ントを用いないときは0.1〜100mgであり、アジュバント
を用いるときは1〜100μgである。アジュバントとして
は、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不
完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバ
ント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、
腹腔内等に注入することにより行われる。また、免疫の
間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましく
は2〜5週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を
行う。そして、最終の免疫日から1〜60日後、好ましく
は1〜14日後に抗体産生細胞を採集する。抗体産生細胞
としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙
げられるが、脾臓細胞又は局所リンパ節細胞が好まし
い。
細胞との細胞融合を行う。抗体産生細胞と融合させるミ
エローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可
能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株
は、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、ア
ミノプテリン及びチミジンを含む)中で生存できず、抗
体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる薬剤選択性
を有するものが好ましい。ミエローマ細胞としては、例
えば P3X63-Ag.8.U1(P3U1)、NS-Iなどのマウスミエロー
マ細胞株が挙げられる。
とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDME
M、RPMI-1640培地などの動物細胞培養用培地中で、1×
106〜2.5×106個/mlの抗体産生細胞と2×105〜2×106
個/mlのミエローマ細胞とを混合し(抗体産生細胞とミ
エローマ細胞との細胞比5:1が好ましい)、細胞融合
促進剤存在のもとで融合反応を行う。細胞融合促進剤と
して、平均分子量1000〜6000ダルトンのポリエチレング
リコール等を使用することができる。また、電気刺激
(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞
融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融
合させることもできる。
グ 細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを
選別する。その方法として、細胞懸濁液を例えばウシ胎
児血清含有RPMI-1640培地などで適当に希釈後、マイク
ロタイタープレート上に3×105個/well程度まき、各ウ
エルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して
培養を行う。その結果、選択培地で培養開始後、14日前
後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得るこ
とができる。
上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリー
ニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常
の方法に従えばよく、特に限定されるものではない。例
えば、ハイブリドーマとして生育したウエルに含まれる
培養上清の一部を採集し、酵素免疫測定法、放射性免疫
測定法等によってスクリーニングすることができる。
により行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であ
るハイブリドーマを樹立する。以上のようにして、本発
明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとし
て1G2、 2A2、 2A6及び2H8が得られる。このうち1G2は
「Mouse-Mouse hybridoma C-1G2」と称し、工業技術院
生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3
号)に、平成10年8月18日付でFERM P-16943として寄託
されている。
する方法として、通常の細胞培養法又は腹水形成法等を
採用することができる。細胞培養法においては、ハイブ
リドーマを10%ウシ胎児血清含有RPMI-1640培地、MEM培
地又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培
養条件(例えば37℃、5% CO2濃度)で7〜14日間培養
し、その培養上清から抗体を取得する。
の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約
1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させ
る。そして、1〜2週間後に腹水を採集する。上記抗体
の採取方法において抗体の精製が必要とされる場合は、
硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾
過、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の方
法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることによ
り精製することができる。
テロジェニンと特異的に反応するが、マダイ、マミチョ
グなど他の種のビテロジェニンとは反応しない性質を有
する。また、本発明のモノクローナル抗体のサブタイプ
は、市販のタイピングキットにより調べた結果、IgG1で
ある。
コイの体液(例えば血漿、血清など)のビテロジェニン
の濃度を測定(定量)することができる。例えば、コイ
の血清をプレートにコーティングした後、前記モノクロ
ーナル抗体を加えて反応させる。プレートを洗浄後、さ
らに西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識した抗マウ
スIgG抗体をプレート上の本発明のモノクローナル抗体
に結合させる。その後、発色基質を加えて発色させ吸光
度を測定することにより、試料中のビテロジェニン濃度
を測定することができる。
ロジェニンの濃度の上昇を指標として化学物質の毒性又
は環境汚染を評価することができる。例えば、雄のコイ
を評価対象となる化学物質の存在下で飼育した後、血液
などを採取し、試料中に含まれるビテロジェニンを本発
明のモノクローナル抗体と反応させてビテロジェニン濃
度を測定する。得られた測定値の大小により、化学物質
の毒性(例えば内分泌撹乱作用の強度)を評価すること
ができる。すなわち、評価対象となる化学物質(例えば
ビスフェノールA、フタル酸エステル)の存在下で雄の
コイを飼育し、経時的に血清中のビテロジェニン濃度を
測定し、対照のコイから得られた血清中のビテロジェニ
ン濃度と比較する。その結果、ビテロジェニン濃度が対
照と比較して高い場合は、評価対象となる化学物質は、
内分泌撹乱作用を有すると判断される。
飼育したときのビテロジェニン濃度と、評価対象となる
化学物質存在下で飼育したときのビテロジェニン濃度と
を比較することにより、評価対象となる化学物質の内分
泌撹乱作用の強度をエストロジェンと相対化して評価す
ることが可能である。すなわち、ある濃度(例えば100p
pm)のエストロジェン存在下で飼育したときのビテロジ
ェニン濃度が、内分泌撹乱作用の強度が不明であってエ
ストロジェンと同濃度(例えば100ppm)である化学物質
の存在下で飼育したときのビテロジェニン濃度よりも10
分の1である場合は、当該化学物質の内分泌撹乱作用は
エストロジェンに対して10倍強いと判断することができ
る。なお、ビテロジェニン濃度は、前記3の方法により
測定することができる。
る環境汚染状態を評価する方法 本発明においては、評価対象となる河川や湖沼などに生
息する雄のコイの体液中のビテロジェニンを本発明のモ
ノクローナル抗体と反応させてビテロジェニンの濃度を
測定することにより、内分泌撹乱作用を有する化学物質
によるその環境の汚染状態を評価することができる。そ
の測定結果が対照と比較して高い場合には、何らかの内
分泌撹乱作用を有する化学物質によって、その環境が汚
染されていると判断できる。なお、ビテロジェニン濃度
は、前記3の方法により測定することができる。
体液中のビテロジェニンと反応させてビテロジェニン濃
度を測定することにより、コイの雌雄を判別することが
可能である。例えば、コイの血液を採取し、そのビテロ
ジェニン濃度を測定し、検出できなければ雄、濃度が高
ければ雌と判断できる。なお、ビテロジェニン濃度は、
前記3の方法により測定することができる。但し、コイ
の雌雄判定をするには、化学物質によって汚染されてい
ない実験室又は養殖場などから捕獲されたコイを用いる
ことが必要である。
価用、又はコイの雌雄判定用キット 本発明のモノクローナル抗体は、1M〜10Mの公知緩衝液
(pH7〜8)で希釈して0.01μg/ml〜1μg/mlの濃度にし、
化学物質の毒性若しくは環境汚染の評価用、又はコイの
雌雄判定用キットとして用いることができる。緩衝液と
しては、リン酸緩衝液、マクラーレン緩衝液、トリス緩
衝液、ベロナール緩衝液、グリシン緩衝液等が挙げられ
る。
に固定化して使用することもできる。担体としては、セ
ファロースなどが挙げられる。例えば、本発明のモノク
ローナル抗体を担体に結合させ、緩衝液中に分散させ、
あるいはカラムに詰めることにより使用することができ
る。
説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範
囲が限定されるものではない。 〔実施例1〕モノクローナル抗体の調製 (1) 抗原の調製 (i)ビテロジェニン 卵黄形成期の雌コイより採取した血清7mlを0.02M リン
酸カリウム緩衝液(pH 6.9)に一晩透析した後、同緩衝液
で平衡化したハイドロキシアパタイトカラム(35ml)に
添加した。0.02Mリン酸カリウム緩衝液による通過分画
を得た後、0.05M,0.1M, 0.2Mおよび1.2Mのリン酸カリウ
ム緩衝液により、ステップワイズ法で溶出した。1.2M
リン酸カリウム緩衝液による溶出画分を濃縮後、Sephar
ose 6Bカラムに添加した。シンメトリーなピークを回収
することにより、精製コイビテロジェニンを得ることが
できた。
量加え、0.1M リン酸カリウム緩衝液に透析した。これ
を10,000 rpmで20分間遠心分離した後、上清を回収し、
同緩衝液で平衡化したハイドロキシアパタイトカラムに
添加した。0.1M,0.4M, および1.2Mのリン酸カリウム緩
衝液により、ステップワイズ法で溶出した。0.4 M リン
酸カリウム緩衝液による溶出画分を濃縮後、Sepharose
6Bカラムに添加した。得られたリポビテリンは、抗原と
して本発明のモノクローナル抗体の作製に用いられる。
アジュバントと混合してエマルジョンを作製したのち、
Balb/cマウスの背中皮内に200μl/匹ずつ免疫した。2
週間おきに追加免疫(200μl/匹)を行い、初回免疫か
ら3回免疫した後に眼窩より採血を行い、抗体価の確認
を行った。
lずつELISAプレートに加え、4℃で一晩静置し固相化し
た。5mg/mlのBSAを含有するTween-PBSを200μl/well加
え、室温で1時間静置しブッロッキングした。この後、
1mg/mlのBSAを含有するTween-PBSで希釈した抗血清を10
0μl/well加え、室温で2時間反応させた。さらに、1mg
/mlのBSAを含有するTween-PBSで希釈したHRP標識抗マウ
スIgGヤギ抗体を100μg/well加え、室温で1時間反応さ
せた。次に、2mg/ml OPD(o-phenylenediamine dihydro
chloride)を100μl/well加え、室温で3分間発色反応
を行い、492nmの吸光度をマイクロプレートリーダーに
よって測定した。
マのクローニング 抗体価の上昇が確認されたマウスの脾臓細胞とミエロー
マ細胞P3U1とを、5:1の割合でポリエチレングリコー
ル法により細胞融合し、HAT選択培地で、ハイブリドー
マの選択培養を行った。細胞融合10日目にハイブリドー
マ培養上清を回収し、抗体価の測定を行った手法と同様
の手法でELISAを行い、コイビテロジェニンとの反応性
が陽性である株のスクリーニングを行った。
リドーマの細胞数を測定後、1 個/wellとなるように96
ウェルプレートにまきこみ(サブクローニング)、10日
後にシングルコロニーのウェルのみ再度スクリーニング
を行った。同様にして、スクリーニングで陽性となった
ハイブリドーマについて再度サブクローニングを行い、
性質が100%一致するまでスクリーニング操作を続け
た。
異的な抗体産生細胞4株(1G2、2A2、2A6、2H8)を得た。
また、本発明のモノクローナル抗体のサブタイプは、市
販のタイピングキットによりIgG1であることを確認し
た。なお、ハイブリドーマ1G2(名称:「Mouse-Mouse h
ybridoma C-1G2」)は、工業技術院生命工学工業技術研
究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成10年8月
18日付でFERM P-16943として寄託されている。
の種特異性に関する検討 コイビテロジェニンに対する本発明のモノクローナル抗
体産生細胞株1G2、2A2、2A6、2H8について、種特異性に
関して検討を行った。抗原として用いるコイのビテロジ
ェニンは、メスの血漿から精製した。また、マダイ、マ
ミチョグ、メダカのビテロジェニンは、17β-エストラ
ジオールで処理したオスの血漿から精製した。
の濃度で2mM PBS(pH 7.4)に溶解し、50μl/wellずつELI
SAプレートにコーティングした。その後、0.5% BSAを含
むTween-PBSを200μl/well加え、ブロッキングした。精
製抗体を2μg/mlから段階希釈し、50μl/well添加して
2時間反応させた後、1mg/mlのBSAを含有するTween-PBS
で希釈したHRP標識抗マウスIgGヤギ抗体を100μg/well
加え、室温で1時間反応させた。次に、2mg/ml OPD(o-
phenylenediamine dihydrochloride)を100μl/well加
え、室温で3分間発色反応を行い、492nmの吸光度をマ
イクロプレートリーダーによって測定した。
は、コイのビテロジェニンとは反応するが、他の種のビ
テロジェニンとは反応性を示さないことを確認した(図
1〜4)。従って、本発明の4種のモノクローナル抗体産
生細胞は、コイのビテロジェニンに特異的な抗体を産生
するハイブリドーマであることが分かった。
討 本発明のモノクローナル抗体を用いて試料中のビテロジ
ェニンを測定するため、サンドイッチELISA法を適用し
た。すなわち、ハイブリドーマ1G2により産生される本
発明のモノクローナル抗体5μg/mlを含むリン酸緩衝液
(PBS)溶液を100μl/wellずつ入れ、4℃で一晩コーティ
ングした。抗体溶液を除去した後、0.05% Tween-PBS(T-
PBS)で3回洗浄後、0.5% BSAを含むT-PBSで1時間ブロ
ッキングした。洗浄後、1mg/ml BSAを含むTween-PBSで
段階希釈した精製コイリポビテリンを100μl/wellずつ
入れ、室温で2時間反応させた。上記と同様の洗浄操作
を3回繰り返した後、2μg/mlHRP標識抗コイビテロジェ
ニンウサギIgG抗体を100μl/wellずつ加え、室温で1時
間反応した。
後、2 mg/mlのOPD(o-フェニレンジアミン)を含むクエン
酸緩衝液 (pH5.0)を100μl/wellずつ入れ、15分間反応
させた。反応後、2N硫酸を50μl/well添加して反応を
止め、490nmの吸光度を測定した。この結果、本測定系
において測定限界が9.8×10-4μg/mlであり、高感度に
コイのビテロジェニンを測定することが可能であること
が確認された(図5)。
の反応性 本実施例では、ビテロジェニンの構造の一部であるリポ
ビテリンを免疫して得られた本発明のモノクローナル抗
体と、全構造のビテロジェニンを免疫して得られたモノ
クローナル抗体との反応性の差異について検討した。本
発明のモノクローナル抗体(1G2)、および実施例1と同様
の方法によりビテロジェニン全体を免疫して得られたモ
ノクローナル抗体(3A4)を用い、以下の方法でそれぞれ
の抗体の反応性を調べた(ウェスタンブロッティン
グ)。
ミドゲルで電気泳動を行い、ゲル上のタンパク質をニト
ロセルロース膜に転写した。転写されたニトロセルロー
ス膜をブロックエース(雪印乳業)中で、室温で1時間
振盪した。この後、10倍希釈ブロックエースで希釈した
抗体溶液(1G2および3A4)各々にニトロセルロース膜を
浸し、室温で2時間振盪した。ニトロセルロース膜を0.0
5%Tween含有PBS(T-PBS)に10分間振盪し、膜の洗浄を行
った。さらに、T-PBSを交換し、同様の洗浄操作を2回
行った。膜の洗浄後、10倍希釈ブロックエースで2500倍
に希釈したHRP標識抗マウスIgGヤギ抗体溶液にニトロセ
ルロース膜を浸し、室温で1時間振盪した。続いて、上
記と同様に膜の洗浄操作を行った。ニトロセルロース膜
をトリス塩化ナトリウム緩衝液ですすいだ後、ECL検出
システム(アマシャム)を用いて、抗原抗体反応を検出
した(図6)。
は、他の血漿中成分とは反応せず、ビテロジェニンに対
してのみ反応するものであった(図6、上段、レーン2)。
一方、全構造のビテロジェニンを免疫して得られたモノ
クローナル抗体は、ビテロジェニン以外の血漿中成分に
も反応し(図6、下段、レーン1)、特異性が低くなること
が判明した。図6の各パネルにおいて、上段のレーン1
〜4はそれぞれマダイ、コイ、マミチョグ、メダカ由来
のサンプルを表し、下段のレーン1〜4はそれぞれコ
イ、マダイ、マミチョグ、メダカ由来のサンプルを表わ
す。以上のことより、本発明のモノクローナル抗体は、
他の血漿中成分とは反応せず、ビテロジェニンに対する
特異性が高いことから、ビテロジェニンの濃度測定用試
薬として、より有用であることが示された。
ビテロジェニン濃度の測定 本実施例では、本発明のモノクローナル抗体を用い、河
川に生息するコイ血清中のビテロジェニン濃度を調査し
た。日本国内8河川においてコイを採捕し、オスである
と判別できた101個体の血液を採取した。血清を得た
後、実施例3と同様の方法でビテロジェニン濃度を測定
した。
ビテロジェニン濃度が0.1μg/ml未満であったが、河川
によっては高値を示す個体が多く見られた(図7、河川
D)。調査対象とした8つの河川(河川A〜H)別に血清
中ビテロジェニン濃度を個体毎の分布図として図7に示
した。
対するモノクローナル抗体、並びに該抗体を用いた化学
物質の毒性の測定方法、環境汚染の評価方法及びコイの
雌雄判定方法が提供される。本発明のモノクローナル抗
体はコイに特異的であり、また、ビテロジェニンの構造
のうちリポビテリン部分を認識するため、他の卵巣に由
来する関連タンパク質の影響を受けず正確な測定が可能
である。従って、本発明のモノクローナル抗体は、化学
物質の毒性の測定方法、環境汚染の評価方法及びコイの
雌雄判定方法に有用である。
抗体の種特異性を示す図である。
抗体の種特異性を示す図である。
抗体の種特異性を示す図である。
抗体の種特異性を示す図である。
抗体のサンドイッチELISA法におけるコイのビテロジェ
ニンに対する反応性を示す図である。
である。
度の測定結果を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 コイのビテロジェニンに対するモノクロ
ーナル抗体。 - 【請求項2】 受託番号がFERM P-16943であるハイブリ
ドーマにより産生される、コイのビテロジェニンに対す
るモノクローナル抗体。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
体とコイの体液中のビテロジェニンとを反応させること
を特徴とする、コイのビテロジェニンの濃度測定方法。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
体とコイの体液中のビテロジェニンとを反応させ、該反
応により測定されたビテロジェニンの濃度の上昇を指標
として化学物質の毒性又は環境汚染を評価する方法。 - 【請求項5】 化学物質が内分泌撹乱作用を有するもの
である請求項4記載の方法。 - 【請求項6】 環境汚染が内分泌撹乱作用を有する化学
物質によるものである請求項4記載の方法。 - 【請求項7】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
体とコイの体液中のビテロジェニンとを反応させること
を特徴とするコイの雌雄判定方法。 - 【請求項8】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
体を含む、化学物質の毒性又は環境汚染の評価用キッ
ト。 - 【請求項9】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
体を含む、コイの雌雄判定用キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11234266A JP2000125867A (ja) | 1998-08-20 | 1999-08-20 | コイのビテロジェニンに対するモノクロ―ナル抗体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-234766 | 1998-08-20 | ||
JP23476698 | 1998-08-20 | ||
JP11234266A JP2000125867A (ja) | 1998-08-20 | 1999-08-20 | コイのビテロジェニンに対するモノクロ―ナル抗体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000125867A true JP2000125867A (ja) | 2000-05-09 |
Family
ID=26531460
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11234266A Ceased JP2000125867A (ja) | 1998-08-20 | 1999-08-20 | コイのビテロジェニンに対するモノクロ―ナル抗体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000125867A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001218582A (ja) * | 1999-12-03 | 2001-08-14 | Kumamotoken Kigyoka Shien Center | メダカのビテロジェニンのみを認識する抗体 |
JP2002256000A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-11 | Transgenic Inc | 鳥類のビテロジェニンを特異的に認識する抗体及び鳥類のビテロジェニン測定系 |
CN104345156A (zh) * | 2014-11-14 | 2015-02-11 | 中国水产科学研究院黄海水产研究所 | 大泷六线鱼卵黄原蛋白夹心elisa试剂盒及其制备方法、检测方法及应用 |
-
1999
- 1999-08-20 JP JP11234266A patent/JP2000125867A/ja not_active Ceased
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001218582A (ja) * | 1999-12-03 | 2001-08-14 | Kumamotoken Kigyoka Shien Center | メダカのビテロジェニンのみを認識する抗体 |
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CN104345156A (zh) * | 2014-11-14 | 2015-02-11 | 中国水产科学研究院黄海水产研究所 | 大泷六线鱼卵黄原蛋白夹心elisa试剂盒及其制备方法、检测方法及应用 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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