JP4319700B1 - 酸化修飾タンパク質またはポリペプチドに対する高特異性モノクローナル抗体 - Google Patents
酸化修飾タンパク質またはポリペプチドに対する高特異性モノクローナル抗体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】分子中の一部のプロリンが水酸化プロリンになっているFGAまたはFGA部分ペプチドに反応し、修飾されていないFGAまたはFGA部分ペプチドに反応しない抗体と、その生産細胞。また、該抗体を用いた酸化修飾FGAの検出による、膵癌の診断方法と診断剤。
【選択図】なし
Description
一般に、癌の早期発見には、血液検査による診断を可能とする腫瘍マーカーが有用である。膵癌の腫瘍マーカーとしてはCA19-9、CEA、Dupan-2等が知られている。しかし、これらの腫瘍マーカーを指標として用いても膵癌の早期発見は困難であることが多い。よって、膵癌の新たな腫瘍マーカーの開発が望まれている。
J. Thromb. Haemost. 4 (10), 2204-2209, 2006 Thromb. Haemost. 96 (2), 231-232, 2006 Blood 80 (8), 1972-1979, 1992
(1)分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドに対する抗体。
(2)固相化された、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(固相化抗原)と当該固相化抗原に対する抗体との免疫反応が阻害されるように、検体分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(抗原1)、および検体分子中のプロリンが水酸化されていないアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(抗原2)を競合反応させる反応系において、前記抗原1による前記免疫反応の50% 阻害活性が、前記抗原2による前記免疫反応の50% 阻害活性と比較して少なくとも10倍となる測定条件を満たす(1)に記載の抗体。
(3)前記タンパク質がフィブリノゲンである(1)または(2)に記載の抗体。
(4)前記抗原2のアミノ酸配列がTFPGFFSPMLGEFVSETESR(配列番号1)またはESSSHHPGIAEFPSR(配列番号2)で示されるものである(2)に記載の抗体。
(5)前記固相化抗原および抗原1のアミノ酸配列がTFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)またはESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)(P(OH)は水酸化プロリンを表す。)で示されるものである(2)に記載の抗体。
(6)前記抗体がモノクローナル抗体である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体。
本発明は、上記抗体に由来する抗体断片も提供する。
(7)受領番号がFERM AP-21698であるハイブリドーマにより産生される、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドに対するモノクローナル抗体。
(8)分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列がTFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)またはESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)(P(OH)は水酸化プロリンを表す。)で示されるものである(7)に記載のモノクローナル抗体。
(9)受領番号がFERM AP-21698であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体が結合する部位に結合する、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の抗体。
(10)上記(6)〜(8)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を産生する細胞株。
(11)受領番号がFERM AP-21698である、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドに対する抗体を産生する細胞株。
(12)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の抗体と生体試料とを反応させて、分子の一部が水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドを検出することを特徴とする、当該タンパク質またはポリペプチドの検出方法。
(13)上記(3)に記載の抗体と生体試料とを反応させて、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むフィブリノゲンを検出することを特徴とする、当該フィブリノゲンの検出方法。
(14)上記(4)に記載の抗体と生体試料とを反応させて、下記の(a)または(b)のアミノ酸配列中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドを検出することを特徴とする当該タンパク質またはポリペプチドの検出方法。
(a) TFPGFFSPMLGEFVSETESR(配列番号1)
(b) ESSSHHPGIAEFPSR(配列番号2)
(15)上記(5)に記載の抗体と生体試料とを反応させて、下記の(c)または(d)のアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドを検出することを特徴とする当該タンパク質またはポリペプチドの検出方法。
(c) TFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)
(d) ESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)
(P(OH)は水酸化プロリンを表す。)
(16)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の抗体を含む、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドの検出用試薬。
(17)タンパク質がフィブリノゲンである(16)に記載の試薬。
(18)分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドが、下記の(a)または(b)のアミノ酸配列中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むものである(16)に記載の試薬。
(a) TFPGFFSPMLGEFVSETESR(配列番号1)
(b) ESSSHHPGIAEFPSR(配列番号2)
(19)分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドが、下記の(c)または(d)のアミノ酸配列を含むものである(16)に記載の試薬。
(c) TFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)
(d) ESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)
(P(OH)は水酸化プロリンを表す。)
(20)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の抗体または上記(16)〜(19)のいずれか1項に記載の試薬を含む、癌の検出または診断剤。
(21)癌が膵臓癌である(19)に記載の検出または診断剤。
(22)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の抗体または上記(16)〜(19)のいずれか1項に記載の試薬を用いて、癌を検出する方法。
(23)癌が膵臓癌である(22)に記載の方法。
本発明の酸化修飾型タンパク質またはポリペプチドと反応するモノクローナル抗体は、血液、尿等の検体中の酸化修飾型タンパク質またはポリペプチドを高感度かつ特異的に測定でき、好ましくは癌の診断に有用である。
本発明者らは、膵臓癌患者及び健常人の血漿サンプルより、コンカナバリンA(concanavalin A) に吸着する糖タンパク画分を抽出した画分について、複数サンプルのLC-MSデータを比較する2DICAL法(Ono et al. , Mol. Cell Proteomics, 5, 1338, 2006)による解析を行い、膵癌患者と健常者との間で解析値に有意差を示す2つのペプチドを見出した。見出されたペプチドはそれぞれα-フィブリノゲン中の配列に由来するものであり、ESSSHHP*GIAEFPSR及びTFP*GFFSPMLGEFVSETESRであった。このペプチドは、それぞれ7番目、3番目のプロリンが水酸化プロリン(P*)になっているペプチドであった。
しかしながら、これらの修飾ペプチドが非修飾型ペプチドと異なる点は、プロリンが水酸化されているだけの微小な構造の違いであるため、現在、修飾ペプチド(水酸化プロリンを有するペプチド)を非修飾ペプチド(水酸化プロリンを有さないペプチド)と識別して簡便に測定する方法は存在しない。
そこで本発明は、上記修飾ペプチドを識別して結合し得る抗体を提供する。
本発明の抗体は、タンパク質分子またはポリペプチド分子中のアミノ酸配列において、少なくとも一部のアミノ酸残基が水酸化(酸化修飾)されているアミノ酸配列を含む酸化修飾型タンパク質またはポリペプチドに対する抗体である。より好ましい態様において、本発明の抗体は、フィブリノゲンα(「FGA」という)のアミノ酸配列のうち、一部のプロリン残基が水酸化されたアミノ酸配列を含む部分断片または全長タンパク質(「酸化修飾FGA」という)に対し特異的に結合する高親和性抗体である(以下、「抗酸化修飾FGA抗体」ともいう)。本発明の好ましい態様において、本発明の抗体を作製するために、免疫する動物として、抗親和性抗体産生能を有する「GANP(登録商標)」と呼ばれるトランスジェニック非ヒト哺乳動物を用いることを特徴とする。
GANP(登録商標)トランスジェニック非ヒト哺乳動物とは、胚中心結合核タンパク質(Germinal center-associated nuclear protein)をコードする遺伝子が導入された非ヒト哺乳動物であり、当該動物を所定の抗原で免疫することにより、当該抗原に対して高親和性抗体を産生することができる動物である(WO00/50611号公報、 Sakaguchi N. et al., J Immunol. 2005 Apr 15;174(8):4485-94.)。
例えばGANPトランスジェニック非ヒト哺乳動物(例えばマウス)は、上記公報又はSakaguchiらの文献に記載の方法により作製することが可能であり、あるいは、市販品のGANP(登録商標)マウス(株式会社トランスジェニック)として得ることができる。
抗酸化修飾FGA抗体は、いわゆるハプテン抗体と呼ばれるものであるが、そのようなハプテン抗体を作製する場合、ハプテン-キャリア複合体の分子構造デザインは、特異抗体の性能に対して非常に大きな影響を与える。
酸化修飾FGAは膵癌患者血清中にしか存在せず、遺伝子組換え品のFGA又は正常ヒト血清由来のFGAを入手しても、酸化修飾されていないため抗原として使用することができない。そこで、酸化修飾されたアミノ酸配列を含む免疫抗原を合成する必要がある。
本発明においては、酸化修飾FGAの部分ペプチドを合成し免疫抗原として用いるが、合成ペプチドは低分子であり、そのままの状態でマウスに免疫しても抗体を得ることは困難である。そこで、合成ペプチドとキャリア蛋白質とをMBS法によりジスルフィド結合させ、免疫抗原を作製する。
本発明において免疫抗原は、公知の方法に準じて作製することができる(Fmoc法、Kunio Fujiwara. et al., Journal of Immunological Methods, 61, 217-226(1983))。
ペプチドの化学合成は、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法( t-ブチルオキシカルボニル法)等の、当業者に公知の方法によって行うことができる。
抗原ペプチドを合成する基本となるアミノ酸配列は、FGAのアミノ酸配列(配列番号5または配列番号6)であり、そのアミノ酸配列の中から任意に連続する10〜50個、好ましくは10〜30個、さらに好ましくは15〜20個の長さのアミノ酸配列を選択する。選択基準は、アミノ酸配列中に少なくとも1個のプロリンが含まれていることが必要である。これらのアミノ酸残基を酸化させて酸化修飾型のペプチドを合成する。
抗原として使用できる領域は、好ましくは配列番号5または6に示すアミノ酸配列の第528番〜573番の「TFPGFFSPMLGEFVSETESRGSESGIFTNTKESSSHHPGIAEFPSR」(配列番号7)であり、酸化修飾を受けるアミノ酸残基はプロリンである。
例えば、膵臓癌患者由来のタンパク質又はポリペプチドに対する抗体を取得することを目的とするときは、抗原分子中の少なくとも1個のプロリン残基を酸化型とすればよい。
このようにして得られた抗原ペプチドのアミノ酸配列の例を以下に示す。
(a) TFPGFFSPMLGEFVSETESR(配列番号1)
(b) ESSSHHPGIAEFPSR(配列番号2)
上記(a)のアミノ酸配列は、20個のアミノ酸配列からなるものであり、第3番目のアミノ酸若しくは第8番目のプロリン、又はその両者が酸化されている。
上記(b)のアミノ酸配列は、15個のアミノ酸配列からなるものであり、第7番目のアミノ酸若しくは第13番目のプロリン、又はその両者が酸化されている。
上記(a)のアミノ酸配列において第3番目のアミノ酸が酸化されたアミノ酸配列、及び上記(b)のアミノ酸配列において第7番目のアミノ酸が酸化されたアミノ酸配列をそれぞれ以下の(c)、(d)に示す。
(c) TFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)
(d) ESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)
上記(c)又は(d)に示すアミノ酸配列において、「P(OH)」は水酸化プロリンを意味する。
免疫する動物としては、GANPトランスジェニック非ヒト哺乳動物(WO2004/040971)が挙げられる。非ヒト哺乳動物の種類は特に限定されるものではなく、例えばマウス、ラット、ウサギなどが挙げられ、マウスが好ましい。
抗原の動物1匹あたりの投与量は、全体で10〜2000μgである。抗原を免疫する際は、アジュバントと抗原溶液を混ぜることが一般的であり、アジュバントの種類としては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内、筋中、足蹠皮下等に注入することにより行う。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜3週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。
GANPトランスジェニック非ヒト哺乳動物に免疫する場合は、吸光度レベルの低下を必要とせず、一般的なモノクローナル抗体作製法の免疫間隔に従って、最終免疫まで行えばよい。
抗体価は、免疫した動物から採取した血液を用いて調べることができる。採取した血液は、採血後低温下で保管せずに、速やかに遠心し血清を分離することが好ましい。得られた血清を段階希釈し、酵素免疫測定法(ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)又はEIA(enzyme immunoassay))、放射性免疫測定法(RIA(radioimmuno assay))等で抗体価を測定することができる。ELISA又はEIAで抗体価を測定する場合、吸光度は、分光光度計で測定することができる。
測定の結果、酸化修飾FGAに対する抗体価の高い動物に最終免疫を施す。但し、抗原の免疫と抗体価の測定に関しては上記測定法に限定するものではない。
その後、最終免疫日から数日後に、好ましくは3〜5日後に免疫担当細胞(脾臓細胞等)を摘出する。また、動物の足蹠皮下に抗原を注入した場合には、最終免疫の回数は1回で、免疫から7〜13日後に、好ましくは8〜10日後に脾臓細胞などの免疫担当細胞又は所属リンパ節を摘出する。採血の間隔は、免疫して1〜4週間後、好ましくは1〜2週間後に行う。
本発明において、ポリクローナル抗体を取得する場合は、上記所望の抗体価を示した日に採血して、抗血清を得る。抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の公知の方法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることにより、精製することができる。その後は、抗血清中のポリクローナル抗体の反応性をELISA法などで測定する。
以下に、酸化修飾FGAに対するモノクローナル抗体の作製方法について説明するが、これに限定するものではない。
(1)抗体産生細胞の調製
抗体産生細胞は、免疫したGANPトランスジェニック非ヒト哺乳動物等の動物の脾臓細胞等又は所属リンパ節等から調製する。リンパ節は、例えば鼠径部リンパ節、縦隔リンパ節などがあげられる。採取した細胞集団から特に抗体産生細胞の分離操作を行わなくてもよいが、細胞集団の中から抗体産生細胞のみを分離することが望ましい。また、抗体産生細胞を調製する際には、組織の残骸や赤血球をできる限り除いておくことが好ましい。赤血球除去の方法は、一般的に市販されている赤血球除去液を使用するか、塩化アンモニウムとトリスで調製した中性の緩衝液を作製して使用する方法が好ましく採用される。調製した抗体産生細胞は、調製後直ちに次の作業に取りかからないと細胞の状態が悪化する場合があるので、調製後次の作業までに時間がかかる場合は、氷上に静置させておくことが好ましい。
細胞融合は、上記の抗体産生細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)とを融合させ、抗体を産生しながら半永久的に増え続ける細胞(ハイブリドーマ)を作製するために行う作業である。抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可能な細胞株を使用することができる。使用する細胞株としては、HAT選択培地(ヒポキサンチン、チミジン、アミノプテリンを含む培地)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。ミエローマ細胞としては、例えばP3X63-Ag.8.U1(P3U1)やP3/NS I/1-Ag4-1(NS I)等が挙げられる。
細胞融合は、ウシ胎児血清(FCS)等を含まないDMEMやRPMI1640培地などの一般に市販されている培地で、1×106〜1×107個/mLの脾臓細胞及び/又はリンパ節細胞と1×105〜1×106個/mLのミエローマ細胞とを混合し(脾臓細胞及び/又はリンパ節細胞とミエローマ細胞との細胞比は5:1が好ましい)、細胞融合促進剤存在下で融合を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量200〜20000ダルトンのポリエチレングリコールを使用することができる。
また、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて、融合させることもできる。さらに、センダイウイルスを用いて細胞を融合させることもできる。当業者であれば、公知の細胞融合方法を用いて、上記の抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合させることができる。
融合後、例えば10〜20%(好ましくは20%)FCS含有RPMI1640培地などで作製したHAT培地で細胞を希釈後、96穴培養プレートの各ウェルに0.5〜3×105個ずつ細胞を播き込み、CO2インキュベーターで培養する。
次に、細胞融合処理後の細胞から目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選別する。細胞融合から10〜14日後に、前記したようにHAT培地で選択された細胞がコロニーを形成する。そのコロニー陽性96穴培養プレートの各ウェルの培養上清を採取して、DiAcSpdに対する抗体価を確認する。確認方法としては、酵素免疫測定法(ELISA)や放射性免疫測定法(RIA)等で行う。このとき、細胞から産生される抗体にはキャリア蛋白質であるKLHやBSAに対する抗体も含まれるので、KLH等に対する抗体価を測定することで、KLH等に対する抗体価の高いBSA抗体陽性ウェルを除くことができる。酸化修飾型FGAに対する抗体産生陽性ウェルを確認できた後は、24穴や12穴培養プレートに細胞を移す。
ここで、培地はアミノプテリンを除いたHT培地(ヒポキサンチン、チミジン含有培地)におき換えることが好ましい。その理由は、アミノプテリンは細胞のDNA複製を阻害する物質であるため、培地中のアミノプテリンを除いても、細胞内にアミノプテリンが残っていると、ヒポキサンチンとチミジン非存在下では、細胞中のDNA複製が起こらなくなるからである。HT培地中でしばらく培養後、再度培養上清中の抗体価を確認する。ハイブリドーマは融合細胞であるために不安定であり、すぐに抗体産生が消失する可能性が高いので、2度目の抗体価の確認を行っておくことが好ましい。前記したように、本発明においては酸化修飾FGAに対して高い特異性を有するハイブリドーマを取得することが必要であるため、ここで重要なことは、培養上清レベルで他の未修飾FGAとの交差反応性をELISAやRIA等で確認することである。
樹立したハイブリドーマ株から以下の方法で酸化修飾FGA特異的なモノクローナル抗体を精製して調製する。すなわち、血清の濃度を抑えた培地で培養した培養上清から抗体を調製する方法、市販の無血清培地で培養した培養上清から抗体を調製する方法、動物の腹腔内にハイブリドーマを注入して、腹水を採取し、その腹水から抗体を調製する方法等がある。培養上清は、細胞を0.1〜4×105個/mLで調製し、1〜2週間培養したものから採取する。腹水の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを0.1〜1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水を採取する。
さらに、本発明のモノクローナル抗体としては、例えば、受託番号がFERM AP-21698であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体が結合(認識)する部位(例えば配列番号3、配列番号4に示すアミノ酸配列を含むエピトープ)に結合する抗体も好ましく挙げることができる。
本発明のモノクローナル抗体は、酸化修飾型タンパク質またはポリペプチドに対して特異的に結合し、高親和性を示すものである。その親和性は、固相化された抗原と抗体との反応系に、酸化修飾された抗原を添加して競合阻害を行ったときの50%阻害活性が、酸化修飾されていない抗原を添加して競合阻害を行ったときの50%阻害活性と比較して、少なくとも10倍となる条件を満たすものである。
例えば、
(i)まず、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドを測定系の固相に固定化する(固相化された抗原を「固相化抗原」という。)。
(ii) 次に、当該固相化抗原に対する抗体との免疫反応が阻害されるように、検体分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(「抗原1」という。)、および検体分子中のプロリンが水酸化されていないアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(「抗原2」という。)を競合反応させる。
上記(i)の抗原抗体反応における抗原分子(固相化抗原)は、そのアミノ酸配列においてプロリンが水酸化されており、本発明のモノクローナル抗体は当該水酸化されたプロリンを含む固相化抗原と特異的に結合する。この反応系に、固相化抗原と同じアミノ酸配列であって水酸化部位が同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチド(抗原1)を加えると、この抗原1とモノクローナル抗体とが結合し、固相化抗原と抗体との結合が競合阻害される。
本発明の抗体は、上記競合阻害試験を行なったときに、抗原1による免疫反応の50% 阻害活性が、抗原2による免疫反応の50% 阻害活性と比較して少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも50倍、さらに好ましくは少なくとも100倍、さらに好ましくは少なくとも200倍、さらに好ましくは少なくとも500倍、特に好ましくは少なくとも1000倍となる測定条件を満たすものであり、抗原1に対して極めて高い親和性を有する。
上記抗体の断片も、本発明の抗体に含まれる。ここで、本発明の抗体断片は、本発明の抗体と同様に、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドに対する結合活性を有するものであって上記性質を有するものである。
抗体の断片としては、本発明の抗体の一部分の領域を意味し、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2等が挙げられる。上記抗体断片は、本発明の抗体を目的に応じて各種タンパク質分解酵素で切断することにより得ることができる。
例えば、Fabは、抗体分子をパパインで処理することにより、F(ab')2は、抗体分子をペプシンで処理することによりそれぞれ得ることができる。また、Fab'は、上記F(ab')2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することで得ることができる。
酸化修飾FGAは、癌の臨床マーカー(腫瘍マーカー)として利用することができるため、本発明の抗体を生体試料と反応させ、生体試料中の酸化修飾FGAを測定することにより、その測定結果を指標として腫瘍を検出または診断することができる。
従って、本発明は、本発明の抗体と生体試料とを反応させて、分子の一部が水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドを検出することを特徴とする、当該タンパク質またはポリペプチドの検出方法、あるいは癌の検出または診断方法を提供する。検出の対象となるタンパク質としては、例えばフィブリノゲンが挙げられ、検出の対象となるポリペプチドとしては、例えば下記の(a)または(b)のアミノ酸配列中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むポリペプチド、好ましくは下記の(c)または(d)のアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。
(a) TFPGFFSPMLGEFVSETESR(配列番号1)
(b) ESSSHHPGIAEFPSR(配列番号2)
(c) TFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)
(d) ESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)
(P(OH)は水酸化プロリンを表す。)
酸化修飾FGAの測定は、一般に行われるハプテン免疫測定法として知られている方法のいずれの方法(例えば、ELISA、EIA)によっても行うことができ、特に限定されない。
特に、膵臓癌患者由来のフィブリノゲンには、上記配列番号3又は4に示すペプチド(プロリンが水酸化されているペプチド)のアミノ酸配列が含まれているため、このアミノ酸配列に特異的に結合する本発明の抗体は、膵臓癌を検出するのに特に好ましい。
癌患者、癌が疑われる患者、あるいは健康診断受診者等の被験者から生体試料を採取し、酸化修飾FGA測定試料を調製する。生体試料としては、血液、組織等が挙げられる。血液は、採取した後に遠心して血漿を分離し、得られた血漿を用いることが好ましい。
ELISAで測定するには、まず、マイクロプレートに補足抗体として抗酸化修飾FGA抗体(Clone:11A5)をコートしておく。次に、生体試料(検体)をプレート上のウェルに添加する。酸化修飾FGAは、プレート上の抗酸化修飾FGA抗体(Clone:11A5)と結合する。そして、プレートを洗浄した後、検出抗体であるHRP標識抗FGA抗体(Clone:1E9)をプレートに添加して、プレート上の酸化修飾FGAと反応させる。最後に、HRPにより触媒される発色反応により生体試料中の酸化修飾FGAを定量する。検出抗体で用いる標識酵素はHRP(ペルオキシダーゼ)の他に、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水酵素、α-グルコシダーゼ、α-ガラクトシダーゼなどを用いることもできる。サンドイッチELISAでは、生体試料中の酸化修飾FGA量が多いほど、発色量、蛍光量、発光量などの値は大きく測定される。
本発明においては、前記5に示す検出方法により得られた検出結果を指標として癌の状態を評価することができる。検出結果が所定の基準値を超えるものを酸化修飾FGA陽性、所定の基準値以下のものを酸化修飾FGA陰性とし、陽性の場合には、癌を発症している可能性があると判断し、癌の状態を評価することができる。所定の基準値は、癌の種類によって適宜設定される。
癌の状態とは、癌または腫瘍の罹患の有無又はその進行度を意味し、癌発症の有無、癌の進行度、癌の悪性度、癌の転移の有無及び癌の再発の有無等が挙げられる。上記評価に際し、これらの癌の状態は1つを選択してもよく、複数個を適宜組み合わせて選択してもよい。癌の有無を評価するには、癌に罹患しているか否かを判断する。癌の悪性度は、癌がどの程度進行しているのかを示す指標となるものであり、病期(Stage)を分類して評価を行ったり、いわゆる早期癌、進行癌を分類して評価することも可能である。癌の転移は、原発巣の位置から離れた部位に新生物が出現しているか否かにより評価する。再発は、間欠期又は寛解の後に再び癌が現れたか否かにより評価する。
本発明においては、酸化修飾FGAに対する抗体を酸化修飾FGAの検出用キット又は試薬として使用することができる。本発明のキット又は試薬は、上記腫瘍の検出等に使用することができる。
本発明の抗体(例えばモノクローナル抗体)を癌の検出又は診断薬として用いる場合には、このモノクローナル抗体を他の溶媒や溶質と組み合わせて組成物とすることができる。例えば、蒸留水、pH緩衝試薬、塩、タンパク質、界面活性剤などを組み合わせることができる。また、モノクローナル抗体を酵素標識し、使用することができる。標識酵素として、HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)の他に、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水酵素、α-グルコシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、金コロイドなどを用いることができる。
本発明のキットには、本発明の抗体の他に、上記の溶媒、溶質、酵素標識試薬、抗原固相化マイクロプレート、抗体希釈溶液、OPD(オルトフェニレンジアミン)錠、基質液、反応停止液、濃縮洗浄液、使用説明書などを含めることができる。また、反応の至適条件を与える緩衝液、反応生成物質の安定化に有用な緩衝液、反応物質の安定化剤などの反応媒体も本発明のキットに含まれ得る。
以下、実施例および実験例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例および実験例に限定されるものではない。
(1)抗原の作製
酸化修飾FGAは膵癌患者血清中にしか存在せず、遺伝子組換え品や正常ヒト血清由来のFGAを入手しても、酸化修飾されていない。そこで、酸化修飾された配列を含む免疫抗原を化学合成した。
次に、合成された酸化修飾FGA部分ペプチドを免疫抗原として用いた。
合成ペプチドとキャリア蛋白質であるKeyhole Limpet Hemocyanin(KLH)とをMBS法によりジスルフィド結合させ、免疫抗原を作製した。
免疫方法の概略を図1に示す。免疫は以下の方法で行った。1mg/mLに調製した免疫抗原をFCAと等量混合し、エマルジョンを形成させたものを100μLずつマウスの背部皮下に投与し、その後2週間間隔で1mg/mLの免疫抗原とFIAと等量混合し、エマルジョンを形成させたものを50μLずつマウスの背部皮下に投与した。合計3回抗原を投与し、ELISAにより抗体価を確認し、抗体価の高かったものに対して、1mg/mLの免疫抗原50μLをマウスの腹腔内に最終投与し、その3日後に細胞融合用に脾臓を摘出した。
摘出した脾臓をすりつぶし、抗酸化修飾FGA抗体産生細胞を含む脾臓細胞を調製した。両免疫方法共に、1匹あたり約1×108個の脾臓細胞を調製できた。一方で、ミエローマ細胞であるP3U1を培養し、細胞融合当日に生細胞率が95%以上のP3U1を調製した。これら脾臓細胞とP3U1を5:1で混ぜ、50%濃度の分子量1,450のポリエチレングリコールにより細胞融合を行った。融合後、培地で洗浄し、HAT培地に懸濁したものを、96穴培養プレートの各ウェルに1×105個/ウェルとなるように細胞を播きこんだ。
細胞融合後、10日目の培養上清を回収し、抗体産生陽性ウェルのスクリーニングを後述の実験例1の方法で行った。2200ウェル中2ウェルで酸化修飾FGA陽性、未修飾FGA陰性であった。これらの選択したウェルの細胞を24 ウェルプレートに移し、1〜2日間培養し、再度実験例1の方法でスクリーニングをしたところ、最終的に、2ウェル分が酸化修飾FGA陽性であった。
酸化修飾FGAに対する特異性の高かった2ウェル分を限界希釈法でクローニングを行った。すなわち、細胞を10%のFCSを含むRPMI培地で5個/mLに調製し、96穴培養プレート2枚分の各ウェルに200μLずつ添加した。10日後、後述の実験例1の方法で培養上清中の酸化修飾FGAに対する抗体価を測定し、陽性であることを確認し、それぞれのウェルに由来するクローンを得た。本発明において目的とする特異性を十分に備えた抗体であった。それぞれの樹立クローンを「11A5」、「11G7」とした(図2)。
図2において、TFP(配列番号1)、ESS-HP(配列番号2)、TFX(配列番号3)、ESS(配列番号4)の各合成ペプチドを固相抗原とした結果、ESS(配列番号4)のみに反応し、その他のペプチドには反応性が見られなかった。
抗体のスクリーニング法
96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、固相化抗原としてPBS(pH7.0)で1μg/mLに調製した酸化修飾FGA peptide2種を50μLずつ添加し、25℃で1時間放置した。また、同時に特異性確認のため未修飾FGA2種を同様に50μLずつ添加し、25℃で1時間放置した。次に、0.05% Tween20を含むPBS(pH7.0)(PBST)で3回洗浄後、0.5%ゼラチンを含むPBST(ブロッキング液)を各ウェルに200μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。洗浄後、培養上清を原液のまま各ウェルに50μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに2500倍希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(ZYMED社)を50μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.02%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で10分間静置した後に、1M硫酸溶液100μLを各ウェルに添加し、呈色反応を停止した。その後490nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
上記2つのクローンから目的のモノクローナル抗体を以下の方法で精製した。まず、樹立クローンを市販の無血清培地(Hybridoma SFM:Invitrogen社)に懸濁し、4×105個/mLになるように調製した。T225フラスコにその細胞懸濁液を50mL入れ、37℃、5.0% CO2環境下で約1週間培養した。培養後、培養上清を回収した。回収した培養上清をプロテインGカラムにアプライし、グリシンバッファー(pH3.0)で溶出し、モノクローナル抗体を精製した。
その後、再度実験例1の方法で酸化修飾FGAに対する特異性確認試験を行った。
その結果、培養上清での結果と同様な結果が得られた(図2)。
酸化修飾FGAを認識する上記の2クローンに関して、酸化修飾のないFGAに対する抗体の交差反応性試験を下記実験例2の方法で行った。その結果、ESS(配列番号4)の50%阻害濃度は約0.4μg/ml、ESS-HP(配列番号2)の少なくとも25倍以上であった(図3)。
交差反応性試験
希釈した培養上清中の抗体価を実験例1の方法で測定した。その結果で4 9 0 n mにおける吸光度が1となる希釈倍率を設定した。希釈用プレートに上記で設定した希釈倍率で希釈した培養上清70μLと、各濃度に段階的に調製した酸化修飾FGAペプチド溶液を各濃度に段階的に調製したもの70μLとを各ウェルに混合して添加し、25℃で30分静置しプレ反応を行った。次に、実験例1と同じ方法でブロッキング処理したプレートの各ウェルにプレ反応した反応液50μLを各ウェルに添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに2500倍希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(ZYMED社)を50μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.02%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で10分間静置した後に、1M硫酸溶液100μLを各ウェルに添加し、呈色反応を停止した。その後490nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
多数臨床検体を用いた565HP - αフィブリノーゲンの発現の確認
11A5で認識されるαフィブリノーゲンを565HP - αフィブリノーゲンとした。11A5による競合ELISA法を用い、表1に示す種々の病態の701症例の血液サンプルで565HP - αフィブリノーゲンの発現を検討した。
競合ELISA法の再現性は高く(CV(変動係数)値中央値0.079)、ELISA分析による565HPの- αフィブリノーゲンの濃度は、160例の膵癌患者血漿で2.26±2.28(平均値±標準偏差)であるのに対し、113例の健常者では0.91±1.24であり、Uテストでその両群間に有意差を認めた(p=3.80e-15)。膵癌患者と健常者間におけるROC曲線のAUCは、0.779であった。
図4は、ELISA法を用いた多数臨床検体による565HP - αフィブリノーゲンの発現解析結果を示す図である。
(a):ELISAプレートの左側の3つのレーンを用い、10、5、2.5、1.25、0.63、0.31、0.16、0.08mg/mlに調製した標準サンプルを測定した。12人の膵癌患者および12人の健常者を3回計測したデータを示す(横方向の3つのウェルが、同一症例を3回計測した結果を示している。)
(b):160例の膵癌患者と113例の健常者の血漿中565HP - αフィブリノーゲンの発現を示す。両者間の平均値±標準偏差は、膵癌患者では2.26±2.28であるのに対し、健常者では0.91±1.24であった。
(c):膵癌患者と健常者間におけるROC曲線を示す。AUCは、565HP - αフィブリノーゲンで0.779、Ca19-9で0.900、CEAで0.764、DUPANで0.901であった。
(a):Biomek FX を用いた自動測定におけるELISA測定の結果を示す。同一検体は3つのプレートに等量分配され、マニュアルに沿った方法で処理した。プレートごとに上記の如く標準サンプルをのせ、標準サンプルの平均値を用いた標準曲線を用いてプレートごとに濃度を計測した。
(b):565HP - αフィブリノーゲンの発現を、表1に示した臨床検体を用いて測定した結果を示す図である。
(a):膵癌患者のUICC病期別565HP - αフィブリノーゲンの発現を示す。
(b):既存の腫瘍マーカー(Ca19-9, CEA及びDUPAN)と565HP - αフィブリノーゲンの発現の関係を示す。
(a):565HP - αフィブリノーゲンは膵癌患者と健常者で明らかな差を認めるが、既存の抗体A0080 (DAKO, Glostrup, Denmark)でブロットされるαフィブリノーゲンは両者間で差が認められなかった。尚、この抗体はbおよびgフィブリノーゲンも染色する。
(b):565HP - αフィブリノーゲンとαフィブリノーゲンの発現には相関が見られなかった。
Claims (13)
- 分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドに対する抗体であって、固相化された、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(固相化抗原)と当該固相化抗原に対する抗体との免疫反応が阻害されるように、検体分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(抗原1)、および検体分子中のプロリンが水酸化されていないアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチド(抗原2)を競合反応させる反応系において、前記抗原1による前記免疫反応の50% 阻害活性が、前記抗原2による前記免疫反応の50% 阻害活性と比較して少なくとも10倍となる測定条件を満たし、前記固相化抗原および抗原1のアミノ酸配列がTFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)またはESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)(P(OH)は水酸化プロリンを表す。)で示されるものである、前記抗体。
- 前記抗体がモノクローナル抗体である請求項1に記載の抗体。
- 受領番号がFERM AP-21698であるハイブリドーマにより産生される、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドに対するモノクローナル抗体。
- 分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列がTFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)またはESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)(P(OH)は水酸化プロリンを表す。)で示されるものである請求項3に記載のモノクローナル抗体。
- 受領番号がFERM AP-21698であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体が結合する部位に結合する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体。
- 請求項2〜4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を産生する細胞株。
- 受領番号がFERM AP-21698である、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドに対する抗体を産生する細胞株。
- 請求項1に記載の抗体と生体試料とを反応させて、下記の(c)または(d)のアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドを検出することを特徴とする当該タンパク質またはポリペプチドの検出方法。
(c) TFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)
(d) ESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)
(P(OH)は水酸化プロリンを表す。) - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体を含む、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドの検出用試薬であって、分子中の一部のプロリンが水酸化されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはポリペプチドが、下記の(c)または(d)のアミノ酸配列を含むものである試薬。
(c) TFP(OH)GFFSPMLGEFVSETESR(配列番号3)
(d) ESSSHHP(OH)GIAEFPSR(配列番号4)
(P(OH)は水酸化プロリンを表す。) - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または請求項9に記載の試薬を含む、癌の検出または診断剤。
- 癌が膵臓癌である請求項10に記載の検出または診断剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または請求項9に記載の試薬を用いて、癌を検出する方法。
- 癌が膵臓癌である請求項12に記載の方法。
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