JP3816512B2 - N1,n12−ジアセチルスペルミンに対する高親和性モノクローナル抗体 - Google Patents
N1,n12−ジアセチルスペルミンに対する高親和性モノクローナル抗体 Download PDFInfo
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Description
本発明は、ジアセチルスペルミンに対するモノクローナル抗体に関する。
ポリアミンは2個以上のアミノ基をもつアルキルアミンの総称である。ヒトの体内には、プトレッシン(H2N(CH2)4NH2)、カダベリン(H2N(CH2)5NH2)、スペルミジン(H2N(CH2)4NH(CH2)3NH2)及びスペルミン(H2N(CH2)3NH(CH2)4NH(CH2)3NH2)の4種類とそれらのアセチル体が存在する。
比較的近年になって、わずかな量ではあるがN1,N8-ジアセチルスペルミジン(以下「DiAcSpd」という)、N1,N12-ジアセチルスペルミン(以下「DiAcSpm」という)という2種類のジアセチルポリアミンが尿中に排泄されていることが見出された。健常者の尿中では、これらの成分はそれぞれ総ポリアミンの1.4%、0.6%を占めるにすぎないが、癌患者においては、他のポリアミン成分と比較して増加の割合が際立って高く、また、その他にも腫瘍マーカーとしての特性を示す物質であることが示されてきた(非特許文献1、2)。
DiAcSpd及びDiAcSpmは、当初はHPLCによる分画測定系と酵素法による検出系を組み合わせた方法(非特許文献3)によって定量されたが、その後簡便な測定法の開発が進められ、特に、DiAcSpmの測定に関しては、特異的抗体を利用したELISA法が開発された(非特許文献4)。
近年、藤原らによってDiAcSpmに対するモノクローナル抗体が作製された(特許文献1)。これらの抗体は、DiAcSpmに対する免疫反応の50%結合阻害活性がN1-アセチルスペルミジン(以下「N1-AcSpd」という)に対する免疫反応の50%結合阻害活性の100倍程度しか達成できていない。さらにスペルミンのモノアセチル体であるN1-アセチルスペルミン(以下「N1-AcSpm」という)に対する免疫反応の50%結合阻害活性の20倍程度しか達成できていない。健常者の尿中のN1-AcSpdの量は、DiAcSpmの量のおよそ25倍であるので、この抗体の健常者の尿中のDiAcSpmに対する交差反応性は、DiAcSpmを100としたときにN1-AcSpdは25となり、疑似陽性が出現する恐れがある。従って、DiAcSpmの測定感度を高めるためには、さらにN1-AcSpd及びN8-アセチルスペルミジン(以下「N8-AcSpd」という)に対する交差反応性の低いDiAcSpmに特異的なモノクローナル抗体が必要である。
特開平11-75839
Sugimoto, M. et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol., 121, 317-319 (1995)
Hiramatsu, K. et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol., 123, 539-545 (1997)
Hiramatsu, K. et al., J. Biochem., 117, 107-112 (1995)
Hiramatsu, K. et al., J. Biochem., 124, 231-236 (1998)
久保田俊一郎:日本臨床,53, 増刊号, pp. 501-505(1995)
本発明は、DiAcSpmに対するモノクローナル抗体を提供することを目的とする。また本発明は、上記抗体と生体試料とを反応させることを特徴とするDiAcSpmを検出する方法、当該方法に使用する検出用試薬を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、抗原を動物に免疫して抗体価を上昇させた後、抗体価が下がるまで動物を放置し、その後に抗体産生細胞を調製することにより、DiAcSpmに対する免疫反応の50%結合阻害活性が、N1-アセチルスペルミジンに対する免疫反応の50%結合阻害活性と比較して少なくとも1000倍であるモノクローナル抗体を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体であって、固相化されたジアセチルスペルミンと当該抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体との免疫反応が阻害されるように検体ジアセチルスペルミン又は検体N1-アセチルスペルミジンを存在させる反応系において、当該検体中のジアセチルスペルミンによる前記免疫反応の50%阻害活性が、当該検体中のN1-アセチルスペルミジンによる前記免疫反応の50%阻害活性と比較して少なくとも1000倍となる測定条件を満たす、前記モノクローナル抗体。
(2)検体中のジアセチルスペルミンの濃度が1nM以下である(1)記載のモノクローナル抗体。
(3)受託番号がFERM P-20090である細胞株により産生される、抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体。
(4)上記(1)記載のモノクローナル抗体を産生する細胞株。
(5)受託番号がFERM P-20090である、抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体を産生する細胞株。
(6)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を含む、ジアセチルスペルミン検出用試薬。
(7)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体と生体試料とを反応させてジアセチルスペルミンを検出することを特徴とする、ジアセチルスペルミンの検出方法。
(1)抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体であって、固相化されたジアセチルスペルミンと当該抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体との免疫反応が阻害されるように検体ジアセチルスペルミン又は検体N1-アセチルスペルミジンを存在させる反応系において、当該検体中のジアセチルスペルミンによる前記免疫反応の50%阻害活性が、当該検体中のN1-アセチルスペルミジンによる前記免疫反応の50%阻害活性と比較して少なくとも1000倍となる測定条件を満たす、前記モノクローナル抗体。
(2)検体中のジアセチルスペルミンの濃度が1nM以下である(1)記載のモノクローナル抗体。
(3)受託番号がFERM P-20090である細胞株により産生される、抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体。
(4)上記(1)記載のモノクローナル抗体を産生する細胞株。
(5)受託番号がFERM P-20090である、抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体を産生する細胞株。
(6)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を含む、ジアセチルスペルミン検出用試薬。
(7)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体と生体試料とを反応させてジアセチルスペルミンを検出することを特徴とする、ジアセチルスペルミンの検出方法。
ここで、生体試料としては、例えば尿又は血清が挙げられる。
(8)上記(6)記載の方法により検出された結果を指標として腫瘍の状態を評価する方法。
(9)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を含む腫瘍診断薬。
(10)モノクローナル抗体の製造方法であって、以下の工程:
(a) 免疫された動物の抗体価が上昇した段階で該動物を放置し、
(b) 抗体価が吸光度レベルで0.05〜1のレベルまで低下したときに、再免疫し、
(c) 再免疫された動物から抗体産生細胞を採取し、
(d) 採取された抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合細胞株を作製し、
(e) 得られる細胞株からモノクローナル抗体を産生すること
を含む、前記方法。
(8)上記(6)記載の方法により検出された結果を指標として腫瘍の状態を評価する方法。
(9)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を含む腫瘍診断薬。
(10)モノクローナル抗体の製造方法であって、以下の工程:
(a) 免疫された動物の抗体価が上昇した段階で該動物を放置し、
(b) 抗体価が吸光度レベルで0.05〜1のレベルまで低下したときに、再免疫し、
(c) 再免疫された動物から抗体産生細胞を採取し、
(d) 採取された抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合細胞株を作製し、
(e) 得られる細胞株からモノクローナル抗体を産生すること
を含む、前記方法。
本発明のDiAcSpmと反応するモノクローナル抗体は、尿等の検体中のDiAcSpmを高感度かつ特異的に測定でき、癌の診断に有用である。
本発明の抗体は、(i)固相化DiAcSpmの免疫反応が50%阻害されるDiAcSpmの濃度が1nM以下、(ii) DiAcSpmの類似構造物質として尿中に約30倍多く存在するN1-AcSpdとの交差反応性が0.1%以下、又は(iii)尿中に存在するDiAcSpm類似構造物質の交差反応性の総和が5%以下であるか、あるいはこれら2つかすべての性質を有するものである。
1.本発明の概要
DiAcSpmは、ポリアミンの一種であるが、ポリアミンとは低分子、具体的には、2個以上のアミノ基をもつアルキルアミンの総称であり、ヒトの体内に存在する4つのポリアミンのうちの一つ、スペルミン(H2N(CH2)3NH(CH2)4NH(CH2)3NH2)のアセチル体である。近年、DiAcSpmは、癌患者の尿中に高濃度に存在することが見出されている。
1.本発明の概要
DiAcSpmは、ポリアミンの一種であるが、ポリアミンとは低分子、具体的には、2個以上のアミノ基をもつアルキルアミンの総称であり、ヒトの体内に存在する4つのポリアミンのうちの一つ、スペルミン(H2N(CH2)3NH(CH2)4NH(CH2)3NH2)のアセチル体である。近年、DiAcSpmは、癌患者の尿中に高濃度に存在することが見出されている。
しかし、生体試料、特に尿中には、AcSpdに代表される類似構造物質が多量に存在するため、類似構造物質による妨害を考慮する必要がある。すなわち、DiAcSpmを酵素免疫法によって正確に定量するためには、DiAcSpmに対して高度の特異性を示すモノクローナル抗体を得ることが測定キットの確立のために最も重要である。本発明は、このような課題を解決するために完成されたものである。
本発明のモノクローナル抗体は、動物への免疫方法について、従来とは異なる方法を採用することにより得ることができる。すなわち、抗原を免疫して抗体価が吸光度レベルで2以上のレベルまで上昇した段階でしばらく免疫された動物を放置し、やがて抗体価が吸光度レベルで0.05〜1、好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.05のレベルに下がった後に、さらに免疫を行ったのちに抗体産生細胞を調製することを特徴とする。
抗体価の上昇レベルは、吸光度レベルで2以上である。
「放置」とは、免疫を施さずに動物を飼うことを意味し、その期間としては2〜6ヶ月、好ましくは4〜6ヶ月、より好ましくは6ヶ月である。
抗体価の下降レベルは、吸光度レベルで0.05〜1、好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.05である。
本発明のモノクローナル抗体(以下、「抗DiAcSpm抗体」という)を得る方法としては、ウシ血清アルブミンのアセチルスペルミン誘導体を用いて、動物を免疫し、得られたB細胞とミエローマ細胞を融合させ、ハイブリドーマを作製する。
抗DiAcSpm抗体は、いわゆるハプテン抗体と呼ばれるものであるが、そのようなハプテン抗体を作製する場合、ハプテン-キャリア複合体の分子構造デザインは、特異抗体の性能に対して非常に大きな影響を与える。グルタルアルデヒドによってBSAに結合させたスペルミンをハプテンとして用いて作製した抗体では、競合ELISAにおけるスペルミンやスペルミジンに対する反応性がアセチルポリアミンに対する反応性よりもむしろ高いことが報告されている。従って、ハプテン-キャリア複合体の中にアシルアミド結合が存在することは、アセチルポリアミンと優先的に反応する抗体を作る上で不可欠である。
ここで、DiAcSpmに対する特異性が担保されていれば、DiAcSpmに対するポリクローナル抗体を使用することも可能である。しかし、ポリクローナル抗体の場合は、アセチルポリアミンなどの他の類似構造物質との交差反応性の高い抗体を多く含む場合が多く、その場合は数段階の精製過程を経て、DiAcSpmに対する特異性の高い抗体を調製しなければならない。特に、免疫に使用するハプテン-キャリア複合体の性質上、N1-AcSpmやN1-AcSpdとの交差反応性の高い抗体ができやすいことは避けられない事実である。このような様々な特異性をもった抗体の中からDiAcSpmに対して特異性の高い抗体を作製し、かつ安定的で容易に精製可能なものにするためにも、モノクローナル抗体を作製することが重要である。
本発明のモノクローナル抗体の開発により、高親和性のモノクローナル抗体が提供されることにより、固相化DiAcSpmの免疫反応が50%阻害されるDiAcSpmの濃度が1nM以下となる測定条件を選択することが可能になる。その結果、類似構造物質が多量に存在する尿検体中に微量に含まれるDiAcSpmを、類似構造物質による妨害を避けて酵素免疫法によって正確に定量することができる。
2.抗原の調製
DiAcSpmは、低分子量のアルキルアミンであるため、これを直接マウスに免疫してもDiAcSpmに特異的な抗体を得ることはできない。そこで、キャリア蛋白質であるウシ血清アルブミンとN1-AcSpmをアシルアミド結合させ、DiAcSpm類似物質を側鎖として多数持つ免疫抗原を作製する。
2.抗原の調製
DiAcSpmは、低分子量のアルキルアミンであるため、これを直接マウスに免疫してもDiAcSpmに特異的な抗体を得ることはできない。そこで、キャリア蛋白質であるウシ血清アルブミンとN1-AcSpmをアシルアミド結合させ、DiAcSpm類似物質を側鎖として多数持つ免疫抗原を作製する。
本発明において免疫抗原は、公知の方法に準じて作製することができる(Hiramatsu, K. et al., J. Biochem., 124, 231-236(1998))。まず、キャリア蛋白質であるBSAと無水アセチルメルカプトコハク酸(以下「AMS」という)を反応させ、反応生成物であるAMS-BSA複合体を作製する。さらにAMS-BSAに二価性架橋試薬であるGMBS(N-(4-Maleimidobutyryloxy)succinimide)を介して、AcSpmをアシルアミド結合させ、免疫抗原AcSpm-GMB-AMS-BSAを作製する。但し、抗原の作製に関してはこれに限定するものではない。
3.抗原の免疫と抗体価の測定
免疫する動物は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギなどに投与する。抗原の動物1匹あたりの投与量は、全体で100〜1000μgである。抗原を免疫する際は、アジュバントと抗原溶液を混ぜることが一般的であり、アジュバントの種類としては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内、筋中等に注入することにより行う。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜3週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。免疫により抗体価が吸光度レベルで2以上上昇したのち、抗体価が吸光度レベルで0.05〜1、好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.05まで低下するまで、2〜6ヶ月間、好ましくは4〜6ヶ月間、より好ましくは6ヶ月間動物を放置する。
3.抗原の免疫と抗体価の測定
免疫する動物は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギなどに投与する。抗原の動物1匹あたりの投与量は、全体で100〜1000μgである。抗原を免疫する際は、アジュバントと抗原溶液を混ぜることが一般的であり、アジュバントの種類としては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内、筋中等に注入することにより行う。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔、好ましくは2〜3週間間隔で、1〜10回、好ましくは2〜5回免疫を行う。免疫により抗体価が吸光度レベルで2以上上昇したのち、抗体価が吸光度レベルで0.05〜1、好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.05まで低下するまで、2〜6ヶ月間、好ましくは4〜6ヶ月間、より好ましくは6ヶ月間動物を放置する。
その後、再度免疫を数週間間隔で1又は複数回行い、最終免疫日から数日後に、好ましくは3〜5日後に脾臓細胞を摘出する。また、動物の足蹠皮下に抗原を注入した場合には、免疫回数1回で、7〜13日後に、好ましくは8〜10日後に所属リンパ節を摘出する。採血の間隔は、免疫して1〜4週間後、好ましくは1〜2週間後に行う。
採取した血液は、採血後低温下で保管せずに、速やかに遠心し血清分離を行う。得られた血清を段階希釈し、酵素免疫測定法(ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)又はEIA(enzyme immunoassay))、放射性免疫測定法(RIA(radioimmuno assay))等で抗体価を測定し、DiAcSpmに対する抗体価の高いマウスに最終免疫を施す。但し、抗原の免疫と抗体価の測定に関してはこれに限定するものではない。
4.DiAcSpmに対する抗体の作製
以下に、DiAcSpmに対する抗体の作製方法について紹介するが、これに限定するものではない。
(1)抗体産生細胞の調製
抗体産生細胞は、免疫した動物の脾臓細胞又は所属リンパ節等から調製し、細胞集団の中から抗体産生細胞のみを分離するのが望ましいが、特に分離する必要性はない。調製する際には、組織の残骸や赤血球をできる限り除いておいた方が良い。赤血球除去の方法としては、一般的に市販されている赤血球除去液を使用するか、塩化アンモニウムとトリスで調製した中性の緩衝液を作製して使用すると良い。調製した抗体産生細胞は、調製後直ちに次の作業に取りかからないと細胞の状態が悪くなってしまうので、調製後次の作業までに時間がかかる場合は、氷上に静置させておくと良い。
(2)細胞融合
細胞融合は、上記の抗体産生細胞と骨髄腫(ミエローマ細胞)とを融合させ、抗体を産生しながら半永久的に増え続ける細胞(ハイブリドーマ)を作製するために行う作業である。抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可能な細胞株を使用することができる。使用する細胞株としては、HAT選択培地(ヒポキサンチン、チミジン、アミノプテリンを含む培地)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。ミエローマ細胞としては、例えばP3X63-Ag.8.U1(P3U1)やP3/NS I/1-Ag4-1(NS I)等が挙げられる。
4.DiAcSpmに対する抗体の作製
以下に、DiAcSpmに対する抗体の作製方法について紹介するが、これに限定するものではない。
(1)抗体産生細胞の調製
抗体産生細胞は、免疫した動物の脾臓細胞又は所属リンパ節等から調製し、細胞集団の中から抗体産生細胞のみを分離するのが望ましいが、特に分離する必要性はない。調製する際には、組織の残骸や赤血球をできる限り除いておいた方が良い。赤血球除去の方法としては、一般的に市販されている赤血球除去液を使用するか、塩化アンモニウムとトリスで調製した中性の緩衝液を作製して使用すると良い。調製した抗体産生細胞は、調製後直ちに次の作業に取りかからないと細胞の状態が悪くなってしまうので、調製後次の作業までに時間がかかる場合は、氷上に静置させておくと良い。
(2)細胞融合
細胞融合は、上記の抗体産生細胞と骨髄腫(ミエローマ細胞)とを融合させ、抗体を産生しながら半永久的に増え続ける細胞(ハイブリドーマ)を作製するために行う作業である。抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可能な細胞株を使用することができる。使用する細胞株としては、HAT選択培地(ヒポキサンチン、チミジン、アミノプテリンを含む培地)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。ミエローマ細胞としては、例えばP3X63-Ag.8.U1(P3U1)やP3/NS I/1-Ag4-1(NS I)等が挙げられる。
細胞融合は、ウシ胎児血清(FCS)等を含まないDMEMやRPMI1640培地などの一般に市販されている古典的な培地で、1×106〜1×107個/mLの脾臓細胞及びリンパ節細胞と1×105〜1×106個/mLのミエローマ細胞を混合し(脾臓細胞及びリンパ節細胞とミエローマ細胞との細胞比は5:1が好ましい)、細胞融合促進剤存在下で融合を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量200〜20000ダルトンのポリエチレングリコールを使用することができる。また、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて、融合させることもできる。融合後、例えば10〜20%(好ましくは20%)FCS含有RPMI1640培地などで作製したHAT培地で希釈後、96穴培養プレートの各ウェルに0.5〜3×103個ずつ細胞を播き込み、CO2インキュベーターで培養する。
(3)ハイブリドーマの樹立
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。細胞融合後、10〜14日後に前記したようにHAT培地で選択された細胞がコロニーを形成する。そのコロニー陽性96穴培養プレートの各ウェルの培養上清を採取して、DiAcSpmに対する抗体価の有無を確認する。確認方法としては、酵素免疫測定法(ELISA)や放射性免疫測定法(RIA)等で行う。このとき、キャリア蛋白であるBSAに対する抗体も含まれるので、BSAに対する抗体価を測定することで、BSAに対する抗体価の高いBSA抗体陽性ウェルを除くことができる。抗体陽性ウェルを確認できたら、24穴や12穴培養プレートに細胞を移す。
(3)ハイブリドーマの樹立
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。細胞融合後、10〜14日後に前記したようにHAT培地で選択された細胞がコロニーを形成する。そのコロニー陽性96穴培養プレートの各ウェルの培養上清を採取して、DiAcSpmに対する抗体価の有無を確認する。確認方法としては、酵素免疫測定法(ELISA)や放射性免疫測定法(RIA)等で行う。このとき、キャリア蛋白であるBSAに対する抗体も含まれるので、BSAに対する抗体価を測定することで、BSAに対する抗体価の高いBSA抗体陽性ウェルを除くことができる。抗体陽性ウェルを確認できたら、24穴や12穴培養プレートに細胞を移す。
ここで、培地はアミノプテリンを除いたHT培地におき換える。これは、アミノプテリンが細胞のDNA複製を阻害する物質であり、培地中のアミノプテリンを除いても、細胞内にアミノプテリンが残っていると、ヒポキサンチンとチミジン非存在下では、細胞のDNA複製が起こらなくなるからである。しばらく培養後、再度培養上清中の抗体価を確認する。2度目の抗体価の確認は、特にする必要はないが、ハイブリドーマは不安定なのですぐに抗体産生が消失する可能性が高いので、2度行ったほうが好ましい。ここで重要なことは、前記したように、DiAcSpmに対して高い特異性を有するハイブリドーマが必要なので、培養上清レベルで他のDiAcSpm類似物質との交差反応性をELISAやRIA等で確認することである。
最終的に選択されたウェルの細胞は、単一の細胞にするためにクローニングを行う。クローニングは、例えば細胞懸濁液を10〜20%のFCS含有(好ましくは20%)RPMI1640培地などで適当に希釈後、96穴培養プレートの各ウェルに0.3〜2個入るように細胞を播き込む。96穴培養プレートの各ウェルに入れる細胞の数は、1つのウェルに入る細胞が1個である確立が高くなるため、少なければ少ないほど好ましい。細胞播き込み後、7〜10日後にコロニー陽性ウェルの培養上清を回収する。このとき、3〜5日後にシングルコロニーであることを確認することが好ましい。回収した培養上清は、抗体価を確認する。ここでもDiAcSpmに対して高い特異性を有し、かつDiAcSpm類似物質に対する交差反応性が低いクローンを選択する。さらに選択されたウェルの細胞をある程度増やしてハイブリドーマを樹立する。クローニングは必要に応じて数回行っても良い。
(4)モノクローナル抗体の調製
樹立したハイブリドーマから以下の方法でDiAcSpm特異的なモノクローナル抗体を精製して調製する。すなわち、血清の濃度を抑えた培地で培養した培養上清から抗体を調製する方法、市販の無血清培地で培養した培養上清から抗体を調製する方法、動物の腹腔内にハイブリドーマを注入して、腹水を採取し、その腹水から抗体を調製する方法等がある。培養上清は、細胞を0.1〜4×105個/mLで調製し、1〜2週間培養したものから採取する。腹水の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを0.1〜1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水を採取する。
(4)モノクローナル抗体の調製
樹立したハイブリドーマから以下の方法でDiAcSpm特異的なモノクローナル抗体を精製して調製する。すなわち、血清の濃度を抑えた培地で培養した培養上清から抗体を調製する方法、市販の無血清培地で培養した培養上清から抗体を調製する方法、動物の腹腔内にハイブリドーマを注入して、腹水を採取し、その腹水から抗体を調製する方法等がある。培養上清は、細胞を0.1〜4×105個/mLで調製し、1〜2週間培養したものから採取する。腹水の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを0.1〜1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水を採取する。
培養方法としては、培養フラスコを用いる方法、スピナーフラスコを用いる方法、シェーカーフラスコを用いる方法、バイオリアクターを使用する方法等がある。抗体の精製方法は、プロテインGアフィニティカラムで精製する方法、DiAcSpmアフィニティカラムで精製する方法、硫安塩析分画からゲルろ過クロマトグラフィーで精製する方法、イオン交換クロマトグラフィーで精製する方法等があり、これら公知の方法を適宜選択し、又はこれらを組み合わせることにより精製することができる。
本発明のモノクローナル抗体を産生する細胞株(ハイブリドーマ)は、「Anti-DiAcSpm hybridoma CN647」と称し、2004年6月18日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566 茨城県つくば市東1-1-1 中央第6)に寄託した。その受付番号を示す受領番号(受領書に記載)は、「FERM AP-20090」であり、受託番号は「FERM P-20090」である。
(5)モノクローナル抗体の性質
本発明のモノクローナル抗体は、抗原の競合阻害アッセイ系、すなわち、固相化されたジアセチルスペルミンと当該ジアセチルスペルミンに対する特異的モノクローナル抗体との免疫反応が阻害されるように検体ジアセチルスペルミン又は検体ジアセチルスペルミジンを存在させる反応系において、以下の性質を備える。
(5)モノクローナル抗体の性質
本発明のモノクローナル抗体は、抗原の競合阻害アッセイ系、すなわち、固相化されたジアセチルスペルミンと当該ジアセチルスペルミンに対する特異的モノクローナル抗体との免疫反応が阻害されるように検体ジアセチルスペルミン又は検体ジアセチルスペルミジンを存在させる反応系において、以下の性質を備える。
(i) 検体中のDiAcSpmによる上記免疫反応の50%阻害活性は、当該検体中のN1-AcSpdによる上記免疫反応の50%阻害活性と比較して少なくとも1000倍となる測定条件を満たす。
ここで、プレートの底にDiAcSpmを固定して固相化し、これにDiAcSpmに対するモノクローナル抗体を添加してDiAcSpmと抗体とを反応させる系を考える。競合物質が存在しない反応系では、当該モノクローナル抗体は固相化されたDiAcSpmと反応する。この反応系に、遊離のDiAcSpmを検体として添加する。この遊離のDiAcSpmは固相化されたDiAcSpmと競合して抗体と反応する。固相のDiAcSpmと抗体との結合が、50%阻害されたとき、つまり、競合DiAcSpmを添加したときの上記モノクローナル抗体と固相DiAcSpmとの結合活性が、遊離の競合DiAcSpmが存在しないときの上記モノクローナル抗体と固相DiAcSpmとの結合活性と比較して50%まで低下するときの当該遊離DiAcSpmの量又は濃度を阻害活性として定義することができる。
遊離のDiAcSpmとN1-AcSpdのそれぞれについて、上記阻害活性を測定し、遊離のDiAcSpmを用いたときの阻害活性が、尿中に多く遊離しているN1-AcSpdを用いたときの阻害活性と比較して1000倍以上、同様に尿中に多く遊離しているN8-AcSpdを用いたときの阻害活性と比較して10万倍以上となるような反応条件を満たす抗体を、本発明の抗体として選択することができる。このことは、本発明のモノクローナル抗体がN1-AcSpd等と交差反応せず、DiAcSpmに特異的であることを意味する。
(ii) 上記(i)の条件を満たすときの検体中のDiAcSpmの濃度は、1nM以下であり、好ましくは0.1〜2nMである。
上記性質を有する本発明の抗体は、特開平11-75839号公報に記載のモノクローナル抗体と比較して、少なくとも1000倍の親和性を有するものである。また、本発明で上記抗体を得るために用いた免疫方法は、高親和性抗体産生B細胞が生体内で記憶され、その記憶B細胞を効率よく活性化させる方法である。このことは、本発明の抗体がDiAcSpmに対して高親和性であることを意味する。
5.腫瘍の検出方法
DiAcSpmは、癌の臨床マーカー(腫瘍マーカー)として利用することができるため、本発明の抗体を生体試料と反応させ、生体試料中のDiAcSpmを測定することにより、その測定結果を指標として腫瘍を検出することができる。DiAcSpmの測定は、一般に行われるハプテン免疫測定法として知られている方法のいずれの方法によっても行うことができ、特に限定されない。腫瘍としては、特に限定されるものではないが、例えば大腸癌、尿路悪性腫瘍(例えば前立腺癌、腎癌、膀胱癌、精巣腫瘍)、乳癌、膵臓癌及び胆道癌から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。検出対象となる癌の種類は、1種類でもよく2種類以上が併発したものでもよい。
5.腫瘍の検出方法
DiAcSpmは、癌の臨床マーカー(腫瘍マーカー)として利用することができるため、本発明の抗体を生体試料と反応させ、生体試料中のDiAcSpmを測定することにより、その測定結果を指標として腫瘍を検出することができる。DiAcSpmの測定は、一般に行われるハプテン免疫測定法として知られている方法のいずれの方法によっても行うことができ、特に限定されない。腫瘍としては、特に限定されるものではないが、例えば大腸癌、尿路悪性腫瘍(例えば前立腺癌、腎癌、膀胱癌、精巣腫瘍)、乳癌、膵臓癌及び胆道癌から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。検出対象となる癌の種類は、1種類でもよく2種類以上が併発したものでもよい。
癌が疑われる患者、ないし、健康診断受信者から生体試料を採取し、DiAcSpm測定試料を調製する。生体試料としては、血液、尿、組織等が挙げられるが、取り扱いが容易で患者への負担が少ない点で尿が好ましい。また、微量ではあるが癌の早期診断を考えると血液が好ましい。
次いで、前記測定試料と前記抗体とを反応させる。DiAcSpmの測定は、一般に行われるELISAにより行うことができる。ELISAで測定するには、まず、マイクロプレートに抗原(DiAcSpm)をコートしておく。一方、あらかじめ生体試料及び標準液中のDiAcSpmと抗DiAcSpm特異抗体を反応させた後、この反応液をプレートにまく。未反応のまま残った抗体はプレート上のDiAcSpmと結合する。そして、2次抗体であるHRP標識抗ウサギIgG抗体をプレートに添加して反応させる。最後に、HRPにより触媒される発色反応により生体試料中のDiAcSpmを定量する。2次抗体で用いる標識酵素はHRP(ペルオキシダーゼ)の他に、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水酵素、α-グルコシダーゼ、α-ガラクトシダーゼなどを用いることもできる。
6.腫瘍の評価方法
本発明においては、前記5に示す検出方法により得られた検出結果を指標として腫瘍の状態を評価することができる。検出結果が所定の基準値を超えるものをDiAcSpm陽性、所定の基準値以下のものをDiAcSpm陰性とし、陽性の場合には、癌を発症している可能性があると判断し、腫瘍の状態を評価することができる。
6.腫瘍の評価方法
本発明においては、前記5に示す検出方法により得られた検出結果を指標として腫瘍の状態を評価することができる。検出結果が所定の基準値を超えるものをDiAcSpm陽性、所定の基準値以下のものをDiAcSpm陰性とし、陽性の場合には、癌を発症している可能性があると判断し、腫瘍の状態を評価することができる。
腫瘍の状態とは、腫瘍の罹患の有無又はその進行度を意味し、癌発症の有無、癌の進行度、癌の悪性度、癌の転移の有無及び癌の再発の有無等が挙げられる。上記評価に際し、これらの腫瘍の状態は1つを選択してもよく、複数個を適宜組み合わせて選択してもよい。癌の有無を評価するには、癌に罹患しているか否かを判断する。癌の悪性度は、癌がどの程度進行しているのかを示す指標となるものであり、病期(Stage)を分類して評価したり、いわゆる早期癌、進行癌を分類して評価することも可能である。癌の転移は、原発巣の位置から離れた部位に新生物が出現しているか否かにより評価する。再発は、間欠期又は寛解の後に再び癌が現れたか否かにより評価する。
7.本発明の抗体を含むキット
本発明においては、DiAcSpmに対するモノクローナル抗体をDiAcSpmの検出用キット又は試薬として使用することができる。本発明のキットは、上記腫瘍の検出等に使用することができる。
7.本発明の抗体を含むキット
本発明においては、DiAcSpmに対するモノクローナル抗体をDiAcSpmの検出用キット又は試薬として使用することができる。本発明のキットは、上記腫瘍の検出等に使用することができる。
従来から一般生化学検査としてポリアミン類を測定する場合は、尿中のポリアミン類は類似構造体として数種類がひとまとまりに測定され、類似構造体の各々と各種の病態との関連の検討は皆無に等しかった。そこで、ポリアミン測定法の中でも、尿中のポリアミン量を区別して測定する方法が確立されているが、特にポリアミンの一種であるDiAcSpmが前立腺癌又は大腸癌の発症時、及び治療後の再発時に非常に高値になることが確認されている。このことは、ジアセチルポリアミンを簡便かつ正確に測定する方法を開発することができれば、新規の腫瘍マーカーとして癌診療の臨床において、大きな需要が見込まれることを示している。また、本発明の抗体は、微量のDiAcSpmを高感度に検出できるため、従来では不可能であった血清中のDiAcSpmの測定や異常の初期の段階での検出に期待できる。
本発明者は、DiAcSpmの検出システムとしてDiAcSpmモノクローナル抗体を用いた、競合ELISA法によるAcSpmの測定系を考えた。これは、固相化抗原として、モノアセチルスペルミンを配し、アシルアミド結合によりDiAcSpm類似構造体をもつもの(AcSpm-HMC-peptide)を使用することができる。この抗原は、任意の水溶性ポリペプチドに、二価性架橋試薬(HMCS; N-(8-Maleimidocapryloxy)succinimide)を用いてアシルアミド結合させるものである(Hiramatsu, K. et al., J. Biochem., 124, 231-236(1998))。
本発明のキットは、DiAcSpmを高感度に測定できることが必要であるが、癌診療の臨床において用いるためには、再現性も要求される。そこで、本発明においては、腫瘍診断薬としてのDiAcSpm測定系の確立を目指した。
本発明の腫瘍診断薬は、固相化抗原濃度を低濃度側に調整することで、スタンダード領域を0.1〜2nMに設定することができる。固相化抗原濃度としては、0.1〜1μg/mL、好ましくは0.07μg/mLである。その結果、尿中DiAcSpmを測定するのに、十分な感度及び測定精度を達成することができる。
測定精度とは、同一の試料を複数の試験管又はウェルに分けて1回のアッセイを行ったときに、それぞれの測定値がどの程度ばらつくかを示す指標となるものであり、統計学的には、変動係数(CV:Coefficient of variation)、すなわち平均値に対する標準偏差の割合(%)として表現される。本発明においては、この変動係数(CV)を再現性という。再現性は15%以下であるが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
本発明のキットの性能は、最低検出実測値:(0.1nM)、検体測定検出感度:0.4nM(0.1×4)。また、同時再現性は10%以下、好ましくは5%前後であり、日間再現性は10%以下、好ましくは約8〜10%である。いずれの再現性もCV=10%以下である。共存物質の影響については、抱合型ビリルビン、グルコース、ヘモグロビン、アスコルビン酸において、DiAcSpm測定に影響はない。
本発明のモノクローナル抗体を診断薬として用いる場合には、このモノクローナル抗体を他の溶媒や溶質と組み合わせて組成物とすることができる。例えば、蒸留水、pH緩衝試薬、塩、タンパク質、界面活性剤などを組み合わせることができる。
本診断薬には、本発明の抗体の他に、抗原固相化マイクロプレート、DiAcSpm標準品(STD)、抗体希釈溶液、HRP標識-抗ウサギIgG抗体、OPD(オルトフェニレンヂアミン)錠、基質液、反応停止液、濃縮洗浄液などを含めることができる。また、標識酵素として、HRP(ペルオキシダーゼ)の他に、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水酵素、α-グルコシダーゼ、α-ガラクトシダーゼなどを用いることもできる。
反応媒体として、反応の至適条件を与えるか、反応生成物質の安定化などに有用な緩衝液、反応物質の安定化剤なども含まれる。
反応媒体として、反応の至適条件を与えるか、反応生成物質の安定化などに有用な緩衝液、反応物質の安定化剤なども含まれる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下、実験例及び実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実験例及び実施例に限定されるものではない。
ジアセチルスペルミン(以下DiAcSpm)に特異的なモノクローナル抗体の作製
(1)抗原の作製
免疫抗原は、公知方法に準じて以下の通り作製した(Hiramatsu, K. et al.,J. Biochem., 124, 231-236(1998))。DiAcSpmは、低分子のアルキルアミンであり、これを直接マウスに免疫してもDiAcSpmに特異的な抗体を得ることができない。そこで、キャリア蛋白質であるウシ血清アルブミン(以下「BSA」とする)とN1-AcSpmをアシルアミド結合させ、DiAcSpm類似構造物を側鎖として多数もつ免疫抗原AcSpm-GMB-AMS-BSAを作製した。まず、キャリア蛋白質となるBSAとAMSとを反応させ、Sephadex G-25ゲルろ過カラムにて精製し、AMS-BSAを作製した。一方でAMS-BSAに二価性架橋試薬であるGMBSを介して、AcSpmをアシルアミド結合させ、GMB-AcSpmを作製した。さらに、AMS-BSAとGMB-AcSpmを反応させ、免疫抗原であるAcSpm-GMB-AMS-BSAを作製した。
(2)抗原の評価
抗原の評価は、DiAcSpm特異的なポリクローナル抗体を用いて行った。(1)で作製した抗原6種類に関して後述する実験例1の方法により、固相化AcSpm-HMC-AcSpmに対する抗DiAcSpmポリクローナル抗体の反応を阻害する活性を調べた。
(1)抗原の作製
免疫抗原は、公知方法に準じて以下の通り作製した(Hiramatsu, K. et al.,J. Biochem., 124, 231-236(1998))。DiAcSpmは、低分子のアルキルアミンであり、これを直接マウスに免疫してもDiAcSpmに特異的な抗体を得ることができない。そこで、キャリア蛋白質であるウシ血清アルブミン(以下「BSA」とする)とN1-AcSpmをアシルアミド結合させ、DiAcSpm類似構造物を側鎖として多数もつ免疫抗原AcSpm-GMB-AMS-BSAを作製した。まず、キャリア蛋白質となるBSAとAMSとを反応させ、Sephadex G-25ゲルろ過カラムにて精製し、AMS-BSAを作製した。一方でAMS-BSAに二価性架橋試薬であるGMBSを介して、AcSpmをアシルアミド結合させ、GMB-AcSpmを作製した。さらに、AMS-BSAとGMB-AcSpmを反応させ、免疫抗原であるAcSpm-GMB-AMS-BSAを作製した。
(2)抗原の評価
抗原の評価は、DiAcSpm特異的なポリクローナル抗体を用いて行った。(1)で作製した抗原6種類に関して後述する実験例1の方法により、固相化AcSpm-HMC-AcSpmに対する抗DiAcSpmポリクローナル抗体の反応を阻害する活性を調べた。
その結果、No.1とNo.6の2抗原が最も高い阻害活性があり、次いでNo.5が阻害活性が高かった(図1)。故に、これらの抗原がDiAcSpm類似構造物として比較的最適な抗原であるので、これらを免疫抗原として選択した。なお、これらの抗原は、限りがあるので、1匹に使用する抗原は、必ずしも同じロットではなかった。
(3)マウスへの免疫
マウスの免疫に用いた抗原は、(2)で選択した3抗原を用いて行った。マウスへの免疫は2通りの方法で行った。免疫方法の概略は、図2に示す。一つ目の方法は、以下の方法で行った。すなわち、2mg/mLに調製した免疫抗原をFCAと等量混合し、エマルジョンを形成させたものを100μLずつマウスの背部皮下に投与し、その後2週間間隔で1mg/mLの免疫抗原とFIAと等量混合し、エマルジョンを形成させたものを100μLずつマウスの背部皮下に投与した。合計3回抗原を投与し、ELISAにより抗体の力価を確認し、抗体価の高かったものに対して、1mg/mLの免疫抗原とIFAのエマルジョンを100μLずつマウスの腹腔内に最終投与し、その3日後に細胞融合用に脾臓を摘出した。二つ目の方法は、以下の方法で行った。すなわち、一つ目の方法の3回目までの抗原投与までは同じだが、その後半年間抗体価が下がるまでマウスを放置し、再度1mg/mLの免疫抗原とIFAのエマルジョンをマウスの背部皮下に投与し、その2週間後に1mg/mLの免疫抗原とIFAのエマルジョンをマウスの腹腔内に最終投与し、その3日後に細胞融合用に脾臓を摘出した。
(4)脾臓細胞の調製と細胞融合
摘出した脾臓細胞をすりつぶし、抗DiAcSpm抗体産生細胞を含む脾臓細胞を調製した。両免疫方法共に、1匹あたり約1×108個の脾臓細胞を調製できた。一方で、ミエローマ細胞であるP3U1を培養し、細胞融合当日に生細胞率が95%以上のP3U1を調製した。これら脾臓細胞とP3U1を5:1で混ぜ、50%濃度の分子量1,450のポリエチレングリコールにより細胞融合を行った。融合後、培地で洗浄し、HAT培地に懸濁したものを、96穴培養プレートの各ウェルに脾臓細胞が0.5×105個/ウェルとなるように細胞を播きこんだ。細胞融合後、10〜12日目に各ウェルのコロニーを確認したところ、免疫法1と2の両方とも95%以上のコロニー陽性率であった。
(5)抗体産生陽性クローンのスクリーニング
細胞融合後、12日目の培養上清を回収し、抗体産生陽性クローンのスクリーニングを実験例2の方法で行った。免疫1の方法では、1320ウェル中24ウェルでBSA陰性、DiAcSpm陽性であった。免疫2の方法では、2880ウェル中247ウェルでBSA陰性、DiAcSpm陽性であった。これらを選択したウェルの細胞を24 ウェルプレートに移し、1〜2日間培養し、再度実験例2の方法でスクリーニングをしたところ最終的に、免疫1の方法では、16ウェル分、免疫2の方法では208ウェル分がDiAcSpm陽性であった。
(6)抗体産生陽性クローンの交差反応性試験
上記のDiAcSpm陽性ウェルの中から比較的抗体価の高かった51クローンに関して、これまでの研究で尿中に多く存在し、比較的交差反応しやすいと考えられるN1-AcSpdに対する交差反応性試験を実験例3の方法で行った。その結果、N1-AcSpdの50%反応阻害活性がDiAcSpmの約800倍であったものが2ウェル分、3000倍であったものが1ウェル分であり、それ以外は0〜200倍であった。
(7)クローニング
DiAcSpmに対する特異性の高かった1ウェル分を限界希釈法でクローニングを行った。すなわち、細胞を20%のFCSを含むRPMI培地で2.5個/mLに調製し、96穴培養プレート2枚分の各ウェルに200μLずつ添加した。5日後、シングルコロニーの確認をしたところ、96穴培養プレート2枚中17ウェルでシングルコロニーを確認した。10日後、実験例2の方法で培養上清中のDiAcSpmに対する抗体価を測定したところ、3ウェルが陽性であった。その3ウェル分をさらに培養し、実験例3の方法でAcSpm、N1-AcSpd、N8-AcSpd、DiAcSpd、AcPutに対する交差反応性試験を行ったところ3ウェルともにDiAcSpmの50%阻害活性がN1-AcSpdの50%阻害活性の約1000倍、AcSpmの約70倍、DiAcSpmの約約10万倍、N8-AcSpdとAcPutの約50万倍以上となり、目的を十分果たすような抗体であった(図3)。その内の一つを樹立クローンCN647とした。
(8)抗体の精製
樹立クローンCN647から目的のモノクローナル抗体を以下の方法で精製した。まず、樹立クローンCN647を市販の無血清培地(Hybridoma SFM:Invitrogen社)に懸濁し、4×105個/mLになるように調製した。T225フラスコにその細胞懸濁液を50mL入れ、37℃、5.0% CO2環境下で約2週間培養した。培養後、培養上清を回収した。回収後、その培養上清をプロテインGカラムにアプライし、グリシンバッファー(pH3)で溶出し、モノクローナル抗体を精製した。精製した抗体は、活性を保持していた。さらに、精製した抗体のタイピングを行ったところ、IgG1のκであることが分かった。このモノクローナル抗体をDiAcSpm測定キットに使用した。
(3)マウスへの免疫
マウスの免疫に用いた抗原は、(2)で選択した3抗原を用いて行った。マウスへの免疫は2通りの方法で行った。免疫方法の概略は、図2に示す。一つ目の方法は、以下の方法で行った。すなわち、2mg/mLに調製した免疫抗原をFCAと等量混合し、エマルジョンを形成させたものを100μLずつマウスの背部皮下に投与し、その後2週間間隔で1mg/mLの免疫抗原とFIAと等量混合し、エマルジョンを形成させたものを100μLずつマウスの背部皮下に投与した。合計3回抗原を投与し、ELISAにより抗体の力価を確認し、抗体価の高かったものに対して、1mg/mLの免疫抗原とIFAのエマルジョンを100μLずつマウスの腹腔内に最終投与し、その3日後に細胞融合用に脾臓を摘出した。二つ目の方法は、以下の方法で行った。すなわち、一つ目の方法の3回目までの抗原投与までは同じだが、その後半年間抗体価が下がるまでマウスを放置し、再度1mg/mLの免疫抗原とIFAのエマルジョンをマウスの背部皮下に投与し、その2週間後に1mg/mLの免疫抗原とIFAのエマルジョンをマウスの腹腔内に最終投与し、その3日後に細胞融合用に脾臓を摘出した。
(4)脾臓細胞の調製と細胞融合
摘出した脾臓細胞をすりつぶし、抗DiAcSpm抗体産生細胞を含む脾臓細胞を調製した。両免疫方法共に、1匹あたり約1×108個の脾臓細胞を調製できた。一方で、ミエローマ細胞であるP3U1を培養し、細胞融合当日に生細胞率が95%以上のP3U1を調製した。これら脾臓細胞とP3U1を5:1で混ぜ、50%濃度の分子量1,450のポリエチレングリコールにより細胞融合を行った。融合後、培地で洗浄し、HAT培地に懸濁したものを、96穴培養プレートの各ウェルに脾臓細胞が0.5×105個/ウェルとなるように細胞を播きこんだ。細胞融合後、10〜12日目に各ウェルのコロニーを確認したところ、免疫法1と2の両方とも95%以上のコロニー陽性率であった。
(5)抗体産生陽性クローンのスクリーニング
細胞融合後、12日目の培養上清を回収し、抗体産生陽性クローンのスクリーニングを実験例2の方法で行った。免疫1の方法では、1320ウェル中24ウェルでBSA陰性、DiAcSpm陽性であった。免疫2の方法では、2880ウェル中247ウェルでBSA陰性、DiAcSpm陽性であった。これらを選択したウェルの細胞を24 ウェルプレートに移し、1〜2日間培養し、再度実験例2の方法でスクリーニングをしたところ最終的に、免疫1の方法では、16ウェル分、免疫2の方法では208ウェル分がDiAcSpm陽性であった。
(6)抗体産生陽性クローンの交差反応性試験
上記のDiAcSpm陽性ウェルの中から比較的抗体価の高かった51クローンに関して、これまでの研究で尿中に多く存在し、比較的交差反応しやすいと考えられるN1-AcSpdに対する交差反応性試験を実験例3の方法で行った。その結果、N1-AcSpdの50%反応阻害活性がDiAcSpmの約800倍であったものが2ウェル分、3000倍であったものが1ウェル分であり、それ以外は0〜200倍であった。
(7)クローニング
DiAcSpmに対する特異性の高かった1ウェル分を限界希釈法でクローニングを行った。すなわち、細胞を20%のFCSを含むRPMI培地で2.5個/mLに調製し、96穴培養プレート2枚分の各ウェルに200μLずつ添加した。5日後、シングルコロニーの確認をしたところ、96穴培養プレート2枚中17ウェルでシングルコロニーを確認した。10日後、実験例2の方法で培養上清中のDiAcSpmに対する抗体価を測定したところ、3ウェルが陽性であった。その3ウェル分をさらに培養し、実験例3の方法でAcSpm、N1-AcSpd、N8-AcSpd、DiAcSpd、AcPutに対する交差反応性試験を行ったところ3ウェルともにDiAcSpmの50%阻害活性がN1-AcSpdの50%阻害活性の約1000倍、AcSpmの約70倍、DiAcSpmの約約10万倍、N8-AcSpdとAcPutの約50万倍以上となり、目的を十分果たすような抗体であった(図3)。その内の一つを樹立クローンCN647とした。
(8)抗体の精製
樹立クローンCN647から目的のモノクローナル抗体を以下の方法で精製した。まず、樹立クローンCN647を市販の無血清培地(Hybridoma SFM:Invitrogen社)に懸濁し、4×105個/mLになるように調製した。T225フラスコにその細胞懸濁液を50mL入れ、37℃、5.0% CO2環境下で約2週間培養した。培養後、培養上清を回収した。回収後、その培養上清をプロテインGカラムにアプライし、グリシンバッファー(pH3)で溶出し、モノクローナル抗体を精製した。精製した抗体は、活性を保持していた。さらに、精製した抗体のタイピングを行ったところ、IgG1のκであることが分かった。このモノクローナル抗体をDiAcSpm測定キットに使用した。
キットを用いたDiAcSpmの測定
(1)キットの条件の確立
測定キットとしては、公知方法(Hiramatsu, K. et al., J. Biochem., 124, 231-236(1998))等に準じて、固相化抗原AcSpm-HMC-peptideを用いた競合ELISA法を行った。一次抗体は、実施例1で作製したモノクローナル抗体を用い、2次抗体として市販のヤギ由来HRP標識抗マウスIgG抗体(KPL社)を用いた。固相化抗原濃度は、抗DiAcSpmポリクローナル抗体を用いたキットに準じて、0.07μg/mLとした。抗DiAcSpmモノクローナル抗体の使用濃度については、AcSpm-HMC-peptide固相化条件0.07μg/mLにおいて、最大反応効率の40%(492nmにおける吸光度が1となるポイント)となる条件で定めた結果、15ng/mLとなった(図4)ヤギ由来HRP標識坑マウスIgG抗体の希釈倍率は、これまでの経験から2500倍という条件とした。
(1)キットの条件の確立
測定キットとしては、公知方法(Hiramatsu, K. et al., J. Biochem., 124, 231-236(1998))等に準じて、固相化抗原AcSpm-HMC-peptideを用いた競合ELISA法を行った。一次抗体は、実施例1で作製したモノクローナル抗体を用い、2次抗体として市販のヤギ由来HRP標識抗マウスIgG抗体(KPL社)を用いた。固相化抗原濃度は、抗DiAcSpmポリクローナル抗体を用いたキットに準じて、0.07μg/mLとした。抗DiAcSpmモノクローナル抗体の使用濃度については、AcSpm-HMC-peptide固相化条件0.07μg/mLにおいて、最大反応効率の40%(492nmにおける吸光度が1となるポイント)となる条件で定めた結果、15ng/mLとなった(図4)ヤギ由来HRP標識坑マウスIgG抗体の希釈倍率は、これまでの経験から2500倍という条件とした。
また、DiAcSpm測定ELISAの精密度及び性能を評価するため、異なる2種の管理検体(検体A、検体Bとする)を用いた日内再現性をN=18で、日間再現性をN=7で評価した。その結果、日内再現性は検体AがCV=6.34%、検体BがCV=9.278%であり、日間再現性は検体S1がCV=11.605、検体S2がCV=12.853であった(表1)。従って、本キットは、再現性においては信頼できるものであることが分かった。
まず、上記(1)の条件においてDiAcSpm類似構造物質の尿検体中におけるDiAcSpmに対する交差反応性を調べた。すなわち、上記キットを用いてDiAcSpm、N1-AcSpm、DiAcSpd、N1-AcSpd、N8-AcSpd、DiAcPutのキットにおける50%阻害活性濃度を調べ、尿中におけるDiAcSpmに対する他の類似構造物質の交差反応性を算出した。その結果、最も交差反応性が懸念されているN1-AcSpdに対する交差反応性が1.62%、その他はAcSpmが0.54%、DiAcSpdが0.002%、N8-AcSpdが0.01%、AcPutが0.01%であり、交差反応性の総和は2.17%であった(表2)。
次に、添加回収試験を行った。
ポリクローナル抗体キットの場合、4倍以上で希釈した尿検体で測定することができることから、より高感度となった本発明のキットは、添加回収試験をせずとも、十分対応できると判断した。また、DiAcSpm濃度の異なる2種の尿検体により、希釈性試験を行ったところ、いずれの検体においても良好な希釈曲線が得られた(図6)。
次に、DiAcSpm測定ELISAキットをさらに評価するために、referenceとなるHPLCで測定された尿検体を、本発明のELISAキットで測定し、HPLCとの相関を調べた。その結果、HPLCとの相関は、R2=0.9781であり、大変良好な結果が得られた(図7)。これらの結果より、本発明のELISAキットが、尿中DiAcSpmを高い精度で測定し得るものであることが示された。
実験例1
抗原の評価法
96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、固相化抗原としてPBS(pH7.0)で0.07μg/mLに調製したAcSpm-HMC-peptideを50μLずつ添加し、25℃で1.5時間放置した。次に、0.05% Tween20を含むPBS(pH7.0)(PBST)で3回洗浄後、0.5%ゼラチンを含むPBST(ブロッキング液)を各ウェルに200μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、プレートを−30℃で一晩冷凍し、ブロッキング液を凍結させ、凍結乾燥を行い、凍結乾燥プレートを作製した。希釈用プレートに10μg/mLの抗DiAcSpmポリクローナル抗体70μLと各濃度に段階的に調製した各ロットの免疫抗原AcSpm-GMB-AMS-BSA70μLを各ウェルに混合して添加し、25℃で1時間静置しプレ反応を行った。次に、実験例1と同じ方法で作製した凍結乾燥プレートの各ウェルにPBSTを300μLずつ添加し、25℃で30分間静静置後、再度PBSTで1回洗浄した。そこに、プレ反応した反応液50μLを各ウェルに添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに80倍希釈したHRP標識抗ウサギIgG抗体(Bio-Rad社)を50μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.012%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で9分間静置した後に、492nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
抗原の評価法
96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、固相化抗原としてPBS(pH7.0)で0.07μg/mLに調製したAcSpm-HMC-peptideを50μLずつ添加し、25℃で1.5時間放置した。次に、0.05% Tween20を含むPBS(pH7.0)(PBST)で3回洗浄後、0.5%ゼラチンを含むPBST(ブロッキング液)を各ウェルに200μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、プレートを−30℃で一晩冷凍し、ブロッキング液を凍結させ、凍結乾燥を行い、凍結乾燥プレートを作製した。希釈用プレートに10μg/mLの抗DiAcSpmポリクローナル抗体70μLと各濃度に段階的に調製した各ロットの免疫抗原AcSpm-GMB-AMS-BSA70μLを各ウェルに混合して添加し、25℃で1時間静置しプレ反応を行った。次に、実験例1と同じ方法で作製した凍結乾燥プレートの各ウェルにPBSTを300μLずつ添加し、25℃で30分間静静置後、再度PBSTで1回洗浄した。そこに、プレ反応した反応液50μLを各ウェルに添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに80倍希釈したHRP標識抗ウサギIgG抗体(Bio-Rad社)を50μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.012%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で9分間静置した後に、492nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
実験例2
抗体のスクリーニング法
実験例1と同じ方法で作製した凍結乾燥プレートとPBS(pH7.0)で1mg/mLに調製したBSAを96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに50μL添加し、25℃で一晩静置したものを以下に使用した。凍結乾燥したプレート及びBSA固相化プレートの各ウェルにPBSTを300μLずつ添加し、25℃で30分間静置後、再度PBSTで1回洗浄した。洗浄後、培養上清を原液のまま各ウェルに50μLずつ添加し、25℃で40分静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに80倍希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(KPL社)を50μLずつ添加し、25℃で40分静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.012%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で9分間静置した後に、492nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
抗体のスクリーニング法
実験例1と同じ方法で作製した凍結乾燥プレートとPBS(pH7.0)で1mg/mLに調製したBSAを96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに50μL添加し、25℃で一晩静置したものを以下に使用した。凍結乾燥したプレート及びBSA固相化プレートの各ウェルにPBSTを300μLずつ添加し、25℃で30分間静置後、再度PBSTで1回洗浄した。洗浄後、培養上清を原液のまま各ウェルに50μLずつ添加し、25℃で40分静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに80倍希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(KPL社)を50μLずつ添加し、25℃で40分静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.012%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で9分間静置した後に、492nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
実験例3
交差反応性試験
希釈した培養上清中の抗体価を実験例2の方法で測定した。その結果で492nmにおける吸光度が1となる希釈倍率を設定した。希釈用プレートに上記で設定した希釈倍率で希釈した培養上清70μLと各濃度に段階的に調製したDiAcSpm溶液とその類似構造物質(N1-AcSpm、N1-AcSpd、DiAcSpd等)を各濃度に段階的に調製したもの70μLを各ウェルに混合して添加し、25℃で1時間静置しプレ反応を行った。次に、実験例1と同じ方法で作製した凍結乾燥プレートの各ウェルにPBSTを300μLずつ添加し、25℃で30分間静静置後、再度PBSTで1回洗浄した。そこに、プレ反応した反応液50μLを各ウェルに添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに80倍希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(KPL社)を50μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.012%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で9分間静置した後に、492nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
交差反応性試験
希釈した培養上清中の抗体価を実験例2の方法で測定した。その結果で492nmにおける吸光度が1となる希釈倍率を設定した。希釈用プレートに上記で設定した希釈倍率で希釈した培養上清70μLと各濃度に段階的に調製したDiAcSpm溶液とその類似構造物質(N1-AcSpm、N1-AcSpd、DiAcSpd等)を各濃度に段階的に調製したもの70μLを各ウェルに混合して添加し、25℃で1時間静置しプレ反応を行った。次に、実験例1と同じ方法で作製した凍結乾燥プレートの各ウェルにPBSTを300μLずつ添加し、25℃で30分間静静置後、再度PBSTで1回洗浄した。そこに、プレ反応した反応液50μLを各ウェルに添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに80倍希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(KPL社)を50μLずつ添加し、25℃で1時間静置した。次に、PBSTで3回洗浄後、各ウェルに0.012%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.0)で0.5mg/mLに調製したo-フェニレンジアミン溶液100μLを添加し、25℃で9分間静置した後に、492nmの吸光度をELISAリーダーによって測定した。
Claims (6)
- 抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体であって、固相化されたジアセチルスペルミンと当該抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体との免疫反応が阻害されるように検体ジアセチルスペルミン又は検体N1-アセチルスペルミジンを存在させる反応系において、当該検体中のジアセチルスペルミンによる前記免疫反応の50%阻害活性が、当該検体中のN1-アセチルスペルミジンによる前記免疫反応の50%阻害活性と比較して少なくとも1000倍となる測定条件を満たす、前記モノクローナル抗体。
- 検体中のジアセチルスペルミンの濃度が1nM以下である請求項1記載のモノクローナル抗体。
- 受託番号がFERM P-20090である細胞株により産生される、抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体。
- 請求項1記載のモノクローナル抗体を産生する細胞株。
- 受託番号がFERM P-20090である、抗ジアセチルスペルミン特異的モノクローナル抗体を産生する細胞株。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を含む、ジアセチルスペルミン検出用試薬。
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