JP4664340B2 - モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 - Google Patents
モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4664340B2 JP4664340B2 JP2007246794A JP2007246794A JP4664340B2 JP 4664340 B2 JP4664340 B2 JP 4664340B2 JP 2007246794 A JP2007246794 A JP 2007246794A JP 2007246794 A JP2007246794 A JP 2007246794A JP 4664340 B2 JP4664340 B2 JP 4664340B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- spm
- diacetylspermine
- monoclonal antibody
- antibody
- hsa
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
生化学 1996年第68巻第7号第1211頁 4−P−1075
そこで、臨床的に使用し得る簡便な測定法の開発を目指し、抗体を用いる免疫的な測定法が検討された。藤原等は、Spmのアルブミン複合体を免疫してN1,N12−2Ac−Spmに反応するモノクローナル抗体を作成したが、モノアセチル体のN1−Ac−SpdとN1−アセチルスペルミン(N1−Ac−Spm)とも強く反応し、結果的には、これら3成分の中で最も尿中での存在量の多い、N1−Ac−Spdを反映する測定法しかできなかった(J.Biochem.,118,p1211−1215(1995))。従って、N1,N12−2Ac−Spmを測定できる免疫測定法は、今だに完成していない。
(1)固相化若しくは標識化N1,N12−ジアセチルスペルミン(N1,N12−2Ac−Spm)又は固相化若しくは標識化N1−アセチルスペルミン(N1−Ac−Spm)と抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体の免疫反応を利用した検体中のN1,N12−ジアセチルスペルミンの測定系を組んだ場合に、N1,N12−ジアセチルスペルミンによる該免疫反応の阻害活性がN1−アセチルスペルミジン(N1−Ac−Spd)による該免疫反応の阻害活性の20倍以上、好ましくは30倍以上、より好ましくは40倍以上となる測定条件を選択することが可能になる抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体、
(2)固相化若しくは標識化N1,N12−ジアセチルスペルミン又は固相化若しくは標識化N1−アセチルスペルミンとの免疫反応が50%阻害されるN1,N12−ジアセチルスペルミンの濃度が20μM以下、好ましくは15μM以下、より好ましくは1μM以下となる測定条件を選択することが可能になる上記(1)記載のモノクローナル抗体、
(3)検体が尿検体である上記(1)又は(2)記載のモノクローナル抗体、
(4)モノクローナル抗体0520,4914又は8624、
(5)上記(1)、(2)、(3)又は(4)記載のモノクローナル抗体を産生する細胞株、
(6)固相化若しくは標識化N1,N12−ジアセチルスペルミン又は固相化若しくは標識化N1−アセチルスペルミンと抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体の免疫反応を利用して検体中のN1,N12−ジアセチルスペルミンを測定する際に、その測定条件におけるN1,N12−ジアセチルスペルミンによる該免疫反応の阻害活性がN1−アセチルスペルミジンによる該免疫反応の阻害活性の20倍以上、好ましくは30倍以上、より好ましくは40倍以上となる抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体を用いることを特徴とするN1,N12−ジアセチルスペルミンの測定法、
(7)抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体が、測定条件において固相化若しくは標識化N1,N12−ジアセチルスペルミン又は固相化若しくは標識化N1−アセチルスペルミンとの免疫反応が50%阻害するN1,N12−ジアセチルスペルミンの濃度が20μM以下、好ましくは15μM以下、より好ましくは1μM以下となる抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体である上記(6)記載の測定法、
(8)抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体がモノクローナル抗体0520,4914又は8624である上記(7)記載の測定法、
(9)検体が尿検体である上記(6)、(7)又は(8)記載の測定法、
に関する。
固相化N1,N12−2Ac−Spm又は固相化N1−Ac−Spmとしては、N1,N12−2Ac−Spm又はN1−Ac−Spmを、スペーサーを介して、不溶性物質の表面上に繋ぎ止めたものが挙げられる。
スペーサーの結合位置は、N1,N12−2Ac−Spmの場合はその末端であってもその両末端の間のいずれの位置であってもよいが、N1−Ac−Spmの場合はその末端アミノ基に結合させるのが望ましい。スペーサーの種類と導入方法については多くの方法が知られているが、これらのいずれであっても良い。例えば、N1,N12−2Ac−Spmのいずれかの位置に、末端に反応基を有するスペーサーを導入し(N1,N12−2Ac−Spmのアセチル基からスペーサーを誘導する場合は、N1−Ac−SpmのN12−アミノ基に導入したアシル基がスペーサーとなる)、この反応基を介して蛋白質や合成高分子などに結合し、生成したN1,N12−2Ac−Spmと蛋白質や合成高分子の複合体を、免疫反応の場となる固相担体上に吸着させる方法、予め化学的に活性化されたスペーサーを持つ固相担体上に、N1,N12−2Ac−Spmそのもの、もしくは、N1−Ac−Spmの末端アミノ基を反応させる方法などがあるが、これらに限定されるものではない。N1,N12−2Ac−Spm又はN1−Ac−Spmのいずれの位置に、どのようなスペーサーを導入するかは、用いる抗体の性質によって適宜選択すればよい。
又、蛋白質や合成高分子としては、例えば、アルブミンやポリリジン等が挙げられるが、これらに限定されるものでなはい。固相担体としては、例えば、96穴等のマイクロタイタープレート、ポリスチレンビーズ、各種ラテックス粒子、ニトロセルロース膜等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のモノクローナル抗体としては、例えばモノクローナル抗体0520,4914及び8624が挙げられ、これらはそれぞれACSPM−1(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号、FERM P−16297)、ACSPM−2(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号、FERM P−16298)及びACSPM−3(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号、FERM P−16299)と名付けられた細胞株を培養することにより得ることができる。
96穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製 Nunc Immunoplate II)の各ウェルに、抗原としてN1−アセチルスペルミンのヒト血清アルブミン複合体(N1−Ac−Spm−GMBS−HSA)15μg/mLを含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.5)100μLを入れ、40℃で20分間放置してコーティングした。次に、コーティング液を捨てて0.1%のツウィーン20を含む10mMリン酸で緩衝化された生食液(PBST)で洗浄後、スキムミルク1%を含む50mMトリス・塩酸で緩衝化された生食液(pH7.3)200μLでブロッキング処理した。
ブロッキング液を捨ててPBSTで洗浄後、各ウェルにハイブリドーマの培養上清60μLと、BSA20mg/mLを含む10mMリン酸で緩衝化された生食液20μLを加え、4℃で一晩反応させた。ウェルを、PBSTで洗浄後、PBSTで2000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)標識−ヤギ抗マウスIgG溶液(カッペル社)50μLを加え、37℃、40分間反応させた。
結合した酵素の活性は、PBSTで洗浄した各ウェルに、o−フェニレンジアミン0.5mg/mLと過酸化水素0.012%を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.3)100μLを加え、室温下に9分間発色反応させ、ELISAプレートリーダー(SLT−Lab Instruments社)を用い、492nmにおける吸光度の増加として測定した。
[N1,N12−ジアセチルスペルミンのヒト血清アルブミン複合体(N1,N12−2Ac−Spm−GA−HSA)の調製]
6.5mgのN1,N12−ジアセチルスペルミン(N1,N12−2Ac−Spm)を含む1M酢酸ナトリウム溶液0.5mLに、0.083Mグルタルアルデヒド溶液1mLを加えて攪拌し、30秒間放置した。さらに、10.5mgのヒト血清アルブミン(HSA)を含む1M酢酸ナトリウム溶液0.5mLを加えて攪拌し、室温で30分間反応させた。さらに、この反応液に水素化ホウ素ナトリウム5mgを加えて室温下に10分間反応させた後、10mM酢酸ナトリウム溶液300mLで、4回液を交換しながら、3時間45分透析した。
[N1−アセチルスペルミジンのヒト血清アルブミン複合体(N1−Ac−Spd−GA−HSA)の調製]
3mgのN1−アセチルスペルミジン(N1−Ac−Spd)を含む1M酢酸ナトリウム溶液0.5mLに、0.021Mグルタルアルデヒド溶液1mLを加えて攪拌し、30秒間放置した。さらに、6mgのHSAを含む1M酢酸ナトリウム溶液0.5mLを加えて攪拌し、室温で30分間反応させた。さらに、この反応液に水素化ホウ素ナトリウム2.5mgを加えて室温下に10分間反応させた後、10mM酢酸ナトリウム溶液300mLで、4回液を交換しながら、3時間透析した。
96穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製 Nunc Immunoplate II)の各ウェルに、抗原としてN1−アセチルスペルミンのヒト血清アルブミン複合体(N1−Ac−Spm−GMBS−HSA)、N1−アセチルスペルミジンのヒト血清アルブミン複合体(N1−Ac−Spd−GA−HSA)、又は、N1,N12−ジアセチルスペルミンのヒト血清アルブミン複合体(N1,N12−2Ac−Spm−GA−HSA)を15μg/mL含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.5)200μLを入れ、40℃で20分間放置してコーティングした。次に、コーティング液を捨ててPBSTで洗浄後、スキムミルク1%を含む50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.3)200μLでブロッキング処理した。
ブロッキング液を捨ててPBSTで洗浄後、各ウェルに、ハイブリドーマ3株のそれぞれの培養上清をPBSTで100倍希釈した液50μLと、測定対象物のスペルミン(Spm)、N1−アセチルスペルミジン(N1−Ac−Spd)、N1−アセチルスペルミン(N1−Ac−Spm)、N1,N12−ジアセチルスペルミン(N1,N12−2Ac−Spm)等を、PBSTで各種濃度に希釈した液50μLを加え、37℃で1.5時間反応させた。ウェルを、PBSTで洗浄後、PBSTで2000倍に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ標識−ヤギ抗マウスIgG溶液50μLを加え、37℃、40分間反応させた。
結合した酵素の活性は、PBSTで洗浄した各ウェルに、o−フェニレンジアミン0.5mg/mLと過酸化水素0.012%を含む0.1Mクエン酸リン酸緩衝液(pH5.3)100μLを加え、室温下に5分間発色反応させ、ELISAプレートリーダー(SLT−Lab Instruments社)を用い、492nmにおける吸光度の増加として測定した。
50mgのS−アセチルメルカプトコハク酸無水物(AMS)を含むテトラヒドロフラン溶液1mLを、200mgのウシ血清アルブミン(BSA)を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)5mLに加えて攪拌し、1N水酸化ナトリウム溶液でpHを7.0に保ちながら、室温下に1時間反応させた。この反応液を、5mMリン酸緩衝液(pH6.8)で膨潤化したセファデックスG−75のカラム(2cm×100cm)にかけ、5mMリン酸緩衝液(pH6.8)で溶出した。誘導体化されたBSA画分を集めて凍結乾燥し、AMS化されたBSA(AMS−BSA)180mgを得た。BSAへのSH基の導入数は17±0.5であった。
次に、10.4mgのN1−アセチルスペルミン・3塩酸塩を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.9)1mLに、1mgのN−(4−マレイミドブチルオキシ)コハク酸イミド(GMBS)を含むテトラヒドロフラン溶液0.5mLを加え、pHを7付近に保ちながら、室温で100分間反応させ、GMBS化N1−アセチルスペルミン溶液を調製した。
また、同様の方法で、ヒト血清アルブミン(HSA)に対応するN1−アセチルスペルミンのHSA複合体(N1−Ac−Spm−GMBS−HSA)も調製した。
雌性BALB/cマウスに、コンプリート・フロイント・アジュバントで乳化したN1−Ac−Spm−GMBS−BSA抗原100μgを腹腔内投与した。さらに、100μgのN1−Ac−Spm−GMBS−BSA抗原を10mMリン酸で緩衝化された生食液(PBS)で希釈したもので、2週間毎に、4回追加免疫を行った。
[細胞融合]
5回目の最終感作を行ってから4日後に、マウスの脾細胞を取り出し、これとミエローマ細胞P3/NS−1/1Ag4−1とを、40%ポリエチレングリコール1500(ベーリンガー社)存在下に、Shulmanらの方法に従って細胞融合した。次いで、融合細胞は、96穴培養プレート(コーニング社)を用いて、ウェル当たり105個の細胞密度で、HAT培地中で培養した。細胞融合後10〜20日目に、960ウェル中708ウェル(74%)に、細胞の増殖が認められた。
各ウェルの培養上清中の抗体価を、実験例1の「抗体のスクリーニング法」で検索し、免疫反応陽性の細胞3個を得た。これらを限界希釈法でクローン化し、継続的に抗体を産生する細胞、ACSPM−1、ACSPM−2、ACSPM−3の3株を樹立した。さらに、これら3株の抗原部位への反応性を確認するため、抗原作成時に副生する可能性のあるGMBA−HSA(AMS−HSAにスペーサーのGMBAを導入したもの)も調製し、実験例1の抗原N1−Ac−Spm−GMBS−HSAの代わりに、GMBA−HSA、AMS−HSA(HSAにSH基を導入したもの)やキャリア蛋白そのもののHSAをコーティングしたプレートも調製し、倍々希釈したACSPM−1株、ACSPM−2株、ACSPM−3株の培養上清との反応性を確認した。結果を、それぞれ図1〜図3に示した。いずれの培養上清も、N1−Ac−Spm−GMBS−HSAにのみ反応し、GMBA−HSA、AMS−HSAやHSAとは、全く反応しなかった。
[クローン細胞のサブタイプ]
各クローン細胞が産生する免疫グロブリンのサブタイプは、マウスモノクローナルSub−isotyping キット(Zymed社コードNo.97−6550)を用いて決定した。その結果、0520抗体(ACSPM−1株)と4914抗体(ACSPM−2株)はIgG1、8624抗体(ACSPM−3株)がIgG2bであった。
作成したモノクローナル抗体の特異性は、抗体の固相化抗原への結合を、測定対象物質がどの程度阻害するかを検出する系、「ELISA結合阻害法」で評価した。即ち、実験例2の方法に従い、3つの抗原、N1−Ac−Spm−GMBS−HSA、N1−Ac−Spd−GA−HSA、N1,N12−2Ac−Spm−GA−HSAを、それぞれ固相化したプレートを用いて、各濃度のポリアミン類が、抗体と固相化抗原との反応を、どの程度阻害するかを評価した。免疫原に相当するN1−Ac−Spm−GMBS−HSAを固相化した系では、検討したポリアミン類の何れによっても全く阻害されず、測定系としては不適切であった。一方、N1−Ac−Spd−GA−HSA、又は、N1,N12−2Ac−Spm−GA−HSAを固相化した系では、検討した各成分、Spm、N1−Ac−Spd、N1−Ac−Spm、N1,N12−2Ac−Spmによって、図4〜9に示した結合阻害曲線(検量線)が得られた。0520、4914、8624のいずれの抗体も、N1−Ac−SpmとN1,N12−2Ac−Spmに強く、N1−Ac−Spdと極めて弱く反応(阻害)し、Spmとは全く反応(阻害)しなかった。図から、これらの抗体を用いてポリアミン類を測定した場合の測定感度を50%結合阻害濃度(EC50値)として求め、結果を表1に示した。
96穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製 Nunc Immunoplate)の各wellに抗原としてN1,N12−2Ac−Spm−GA−HSAを16.1μg/mL含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.5)150μLを入れ、40℃で30分間放置してコーティングした。次にPBST300μLで洗浄後、スキムミルク1%を含む50mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.2)300μLでブロッキング処理した。PBSTで洗浄後、各wellにACSPM−1の培養上清をPBSTで25倍希釈した液50μLと、測定対象物のPut(プトレッシン)、Ac−Put、Orn(オルニチン)、Cad(カダベリン)、Spd、N1−Ac−Spd、N8−Ac−Spd、N1,N8−2Ac−Spd、Spm、N1−Ac−Spm、N1,N12−2Ac−SpmをPBSTで各種濃度に希釈した液50μLを加え、4℃で一晩反応させた。各ウェルをPBSTで洗浄後、PBSTで2000倍に希釈したヤギ抗マウスIgG(H&L)−ビオチン(AMERICAN QUALEX社)100μLを加え、室温で1.5時間反応し、PBSTで洗浄後、PBSTで3000倍希釈したHRP−ストレプトアビジン(フナコシ社)100μLを加え、室温で30分反応させた。結合した酵素の活性は、PBSTで洗浄した各wellに、o−フェニレンジアミン0.5mg/mLと過酸化水素0.012%を含む0.1Mクエン酸・リン酸緩衝液(pH5.3)100μLを加え、室温下に6分間反応させ、ELISAプレートリーダー(SLT−Lab Instruments社)を用い、492nmにおける吸光度の増加として測定した。結果を図10に示した。図10から明らかなようにこの反応系によれば、N1,N12−2Ac−Spmに対する特異性が向上していることが判る。
実験例2の測定法を改良し、再度、抗体の特異性と測定感度を確認した。96穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製 Nunc Immunoplate II)の各ウェルに、抗原としてN1−アセチルスペルミンのヒト血清アルブミン複合体(N1−Ac−Spm−GA−HSA)、又は、N1,N12−ジアセチルスペルミンのヒト血清アルブミン複合体(N1,N12−2Ac−Spm−GA−HSA)15μg/mLを含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.5)150μLを入れ、40℃で30分間放置してコーティングした。次に、コーティング液を捨ててPBSTで洗浄後、スキムミルク1%を含む50mMトリス・塩酸で緩衝液(pH7.4)300μL加え、37℃で1時間ブロッキング処理した。
結果を表2にまとめた。測定系を改良し、抗体の希釈倍率を上げることにより、N1,N12−Ac−Spm−GA−HSAを固相化した系の測定感度と特異性は、大幅に向上した。即ち、N1,N12−Ac−Spmの測定感度は、0520抗体が8倍、4914抗体が22倍、8624抗体が70倍に向上し、50%結合阻害濃度で比較した感度は、0.06〜0.2μMになった。また、特異性をN1,N12−Ac−Spmによる50%結合阻害活性とN1−Ac−Spdによる50%結合阻害活性との比として表現した場合、0520抗体が48倍、4914抗体が117倍、8624抗体が45倍となり、何れも改良前より向上した。
実施例4で最も測定感度と特異性の高かった4914モノクローナル抗体を用い、実施例3の方法でプトレッシン(Put)、アセチルプトレッシン(Ac−Put)、L−オルニチン(Orn)、カダベリン(Cad)、スペルミジン(Spd)、N8−アセチルスペルミジン(N8−Ac−Spd)、N1−アセチルスペルミジン(N1−Ac−Spd)、N1,N8−ジアセチルスペルミジン(N1,N8−2Ac−Spd)、スペルミン(Spm)、N1−アセチルスペルミン(N1−Ac−Spm)やN1,N12−ジアセチルスペルミン(N1,N12−2Ac−Spm)の希釈系列を測定し、4914モノクローナル抗体の特異性検討した。図11のように、この測定系は、N1,N12−2Ac−Spmに特異的で、N1−Ac−SpmとはN1,N12−2Ac−Spmの24%、N1−Ac−Spdとは0.85%、N1,N8−2Ac−Spdとは0.6%、Spmとは0.1%、その他のポリアミン類とはほとんど反応しなかった。
実施例5の方法で、健常者の尿検体16例(男性8例、女性8例)の希釈系列を測定し、尿中のN1,N12−2Ac−Spm濃度を求めた。測定例の一部を図12に示した。男子及び女子8例ずつの平均値±SDは、それぞれ0.34±0.16、0.39±0.14μM/g−クレアチニンで、全体の平均値は0.36μM/g−クレアチニンであった。平松らの報告(J.Biochem.,117,p107−112(1995))によると、尿中におけるN1,N12−2Ac−Spm:N1−Ac−Spm:N1−Ac−Spd:N1,N8−2Ac−Spdの存在比は、3.2%:1.0%:86.2%:9.6%であることが報告されている。この測定系の特異性からすれば、N1,N12−2Ac−Spm以外のポリアミン成分の影響は軽微と考えられ、尿中のN1,N12−2Ac−Spmは、ほぼ正確に測定されているものと考えられる。
Claims (4)
- 固相化N1,N12−ジアセチルスペルミンと抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体との免疫反応において、N1,N12−ジアセチルスペルミンによる該免疫反応の50%阻害活性がN1−アセチルスペルミジンによる該免疫反応の50%阻害活性の少なくとも30倍となり、且つ動物(但し、ヒトを除く)をN 1 −アセチルスペルミンとキャリア物質の複合体で免疫し、次いで免疫した動物のB細胞とミエローマ細胞を融合し、得られたハイブリドーマから選別された細胞株を培養して得られる抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体。
- 固相化N1,N12−ジアセチルスペルミンと抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体との免疫反応において、該免疫反応を50%阻害するN1,N12−ジアセチルスペルミンの濃度が20μM以下である請求項1記載のN1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体。
- モノクローナル抗体が、細胞株ACSPM−1(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号、FERM P−16297)を培養して得られるモノクローナル抗体0520、細胞株ACSPM−2(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号、FERMP−16298)を培養して得られるモノクローナル抗体4914、又は、細胞株ACSPM−3(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号、FERM P−16299)を培養して得られるモノクローナル抗体8624である請求項1又は2に記載の抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗N1,N12−ジアセチルスペルミンモノクローナル抗体を産生する細胞株。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007246794A JP4664340B2 (ja) | 1997-07-09 | 2007-09-25 | モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19801697 | 1997-07-09 | ||
JP2007246794A JP4664340B2 (ja) | 1997-07-09 | 2007-09-25 | モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17436198A Division JP4663831B2 (ja) | 1997-07-09 | 1998-06-22 | モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008050362A JP2008050362A (ja) | 2008-03-06 |
JP4664340B2 true JP4664340B2 (ja) | 2011-04-06 |
Family
ID=39234722
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007246794A Expired - Lifetime JP4664340B2 (ja) | 1997-07-09 | 2007-09-25 | モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4664340B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011136343A1 (ja) * | 2010-04-28 | 2011-11-03 | 財団法人東京都医学総合研究所 | がんの検出方法 |
-
2007
- 2007-09-25 JP JP2007246794A patent/JP4664340B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008050362A (ja) | 2008-03-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA1190873A (en) | Recombinant monoclonal antibodies | |
JP4494522B2 (ja) | 抗オフロキサシンモノクローナル抗体、これを用いたオフロキサシンの免疫学的測定方法 | |
JPH04503600A (ja) | 抗インターロイキン―1α及び―1βのモノクローナル抗体、その製法、ならびに前記抗体類の、インターロイキン―1α及び―1βの検出と治療への応用 | |
WO1996015152A1 (fr) | Anticorps monoclonal antiannexine-v, procede pour produire cet anticorps, et utilisation de cet anticorps | |
JP2001512143A (ja) | コラーゲン−ペプチドアッセイ法 | |
JPH082919B2 (ja) | 悪性疾病を検出する方法 | |
JP7013051B2 (ja) | 牛妊娠関連グリコタンパク質1に特異的に結合する抗体及びその用途 | |
JPH04126094A (ja) | ヒトIgEに対するモノクローナル抗体 | |
JP2750423B2 (ja) | ビタミンb12の測定法及びビタミンb12の測定試薬 | |
JP3816512B2 (ja) | N1,n12−ジアセチルスペルミンに対する高親和性モノクローナル抗体 | |
EP0163141A2 (en) | Monoclonal anti-human IgG antibody and process for preparing the same | |
JP4663831B2 (ja) | モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 | |
JP4664340B2 (ja) | モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法 | |
JP2006115716A (ja) | 抗c反応性タンパク質モノクローナル抗体産生細胞ライン、その作製方法、およびそれにより産生されたモノクローナル抗体 | |
JP5572451B2 (ja) | 抗オフロキサシンモノクローナル抗体、これを用いたオフロキサシンの免疫学的測定方法 | |
JP4071330B2 (ja) | 抗ヒトメダラシンモノクローナル抗体、その製造方法及びそれを用いる免疫学的測定方法 | |
CA2355893C (en) | Antiuracil monoclonal antibody | |
JP3709078B2 (ja) | ジアセチルポリアミンの測定法及びキット | |
JPS63209596A (ja) | モノクロ−ナル抗体及びその使用方法 | |
JP3686977B2 (ja) | 抗ウラシルモノクローナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマ | |
TW514638B (en) | Monoclonal antibody specific to chloramphenical, hybridoma producing same and kit comprising same | |
EP3540437A1 (en) | Anti-equol antibody composition and utilization thereof | |
JP2567664B2 (ja) | ヒトMnス−パ−オキシドジスムタ−ゼに対するモノクロ−ナル抗体 | |
JPS62299766A (ja) | 単クロ−ン性抗体及びこれを用いる1−メチルアデノシンの測定法 | |
JPH04504955A (ja) | ヒトインシュリン及びラットインシュリンと結合可能である単クローン性抗体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080116 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080317 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080617 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100921 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101209 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110106 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140114 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |