JP4838439B2 - 振動溶着用熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形体に関し、特に、耐候性に優れ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂やポリカーボネート(PC)樹脂との振動溶着が良好に行える熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
テールランプ、ストップランプ等の自動車用ランプは、PMMA樹脂やPC樹脂等のレンズと、該レンズを支持するランプハウジングと、該ランプハウジングに収納されたランプとから概略構成されている。ランプハウジングには、鉄やアルミニウム等の金属製のものに加えて、軽量で生産性が高い等の理由から、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、PC樹脂系ポリマーアロイ等の樹脂製のものがある。
【0003】
自動車用ランプハウジングに用いられるゴム強化スチレン系樹脂としては、屋外で日光に曝されることが多いので、最近では、ABS樹脂よりも耐候性に優れたASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン−プロピレンゴム・スチレン)樹脂が用いられることが多い。
【0004】
このような樹脂製の自動車ランプハウジングは、従来、透明樹脂からなるレンズとホットメルト接着剤で接合、一体化されていたが、より生産性を高めるため、最近では振動溶着法で接合されることが多い。振動溶着法は、摩擦熱を利用した溶着方法であり、図1に示すように、レンズ11の周縁端部11aをランプハウジング12の周縁端部12aに押し当てて、振れ幅0.5〜2.0mm、振動数200〜300Hzの振動を与え、レンズ11とランプハウジング12の間に摩擦熱を発生させ、レンズ11とランプハウジング12を溶融、接合、一体化する方法である。
【0005】
このような振動溶着法においては、レンズ11の周縁端部11aとハウジング12の周縁端部12aとの接合部分、いわゆる溶けしろが、レンズ天面側から見て、レンズリブ部11bに沿って形成されることが、仕上がりの外観上、重要である。
【0006】
また、自動車用ランプハウジングの用いられる樹脂には、耐衝撃性が必要とされる。ASA樹脂の耐衝撃性を改良した樹脂としては、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴム重合体系グラフト共重合体を用いたゴム強化スチレン系樹脂が、例えば、特開平08−199026号公報や特開平11−199642号公報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この樹脂を使用したランプハウジング12は、PMMA樹脂やPC樹脂等からなるレンズ11との振動溶着性が十分ではないため、溶けしろがレンズリブ部11bに沿って形成されず、自動車用ランプ10として外観上十分でない場合があった。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、耐候性、耐衝撃性に優れ、かつ、振動溶着によるPMMA樹脂、PC樹脂等との溶着が良好で、振動溶着で生じる溶けしろの外観に優れる、振動溶着性の良い熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた自動車ランプハウジング等の成形体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物は、ビニル重合性官能基含有シロキサンを含むポリオルガノシロキサンおよびアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル単量体(A−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(A)4〜36質量%と、ブタジエン系ゴム質重合体(b)に、シアン化ビニル単量体(B−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(B−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(B)4〜36質量%と、その他の重合体(C)40〜80質量%((A)と(B)と(C)の合計量が100質量%)とを含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物においては、前記複合ゴム質重合体(a)およびブタジエン系ゴム質重合体(b)からなる全ゴム質重合体[(a)+(b)]のうち、前記複合ゴム質重合体(a)の割合[(a)/{(a)+(b)}]が20〜80質量%であることが望ましい。
また、前記その他の重合体(C)は、シアン化ビニル単量体単位(C'−1)10〜50質量%、アルケニル置換芳香族単量体単位(C'−2)40〜90質量%および他のビニル単量体単位(C’−3)0〜40質量%((C’−1)と(C’−2)と(C’−3)の合計量が100質量%)からなる共重合体であることが望ましい。
【0011】
また、本発明の成形体は、本発明の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする。
また、本発明の自動車用ランプは、本発明の成形体とレンズとが、振動溶着法によって一体化されたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
<グラフト共重合体(A)>
本発明における複合ゴム質重合体(a)を構成するポリオルガノシロキサンは、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンである。好ましくは、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.3〜3モル%およびジオルガノシロキサン単位97〜99.7モル%からなり、3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下であるポリオルガノシロキサンである。
【0013】
ポリオルガノシロキサン中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が0.3モル%未満では、アルキル(メタ)アクリレートゴム(ポリアルキルアクリレート)との複合化が不十分となり、成形体の表面外観が悪くなる場合がある。また、ポリオルガノシロキサン中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が3モル%を超える、または3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し1モル%を超える場合は、樹脂組成物の耐衝撃性が低くなりやすい。樹脂組成物の耐衝撃性と成形外観の両方を考慮すると、ポリオルガノシロキサン中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位は、好ましくは0.5〜2モル%、さらに好ましくは0.5〜1モル%である。
【0014】
複合ゴム質重合体(a)を構成するポリオルガノシロキサンは、特に限定はされないが、乳化重合法で製造することが好ましい。乳化重合法としては、例えば、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサンからなる混合物、または、さらに必要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水によって乳化させてラテックスとし、このラテックスを高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下でジメチルシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサンとを重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和する方法が挙げられる。
【0015】
ジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上混合して用いられる。
【0016】
ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有し、かつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。該ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。
【0017】
ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン;γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。これらビニル重合性官能基含有シロキサンは、単独で、または二種以上の混合物として用いることができる。
【0018】
シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0019】
乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。特に、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系の乳化剤が好ましい。これらの乳化剤は、シロキサン混合物100質量部に対して0.05〜5質量部程度の範囲で使用される。使用量が少ないと分散状態が不安定となり微小な粒子径の乳化状態を保てなくなる。また、使用量が多いとこの乳化剤に起因する樹脂組成物や成形体の着色が甚だしくなり不都合である。
【0020】
酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類、および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は一種でまたは二種以上を組み合わせて用いられる。また、これらの中では、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸などの鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する樹脂組成物の着色を低減させることができる。
【0021】
酸触媒の添加方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等がある。中でも、ポリオルガノシロキサンの粒子径の制御のしやすさを考慮すると、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
【0022】
これらシロキサン混合物、乳化剤、水および/または酸触媒を混合する方法としては、高速撹拌による混合、ホモジナイザーなどの高圧乳化装置による混合などが挙げられる。中でも、ホモジナイザーを使用した方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が小さくなるので好ましい方法である。
【0023】
ポリオルガノシロキサンを製造する際の重合温度は、50℃以上が好ましく、さらに好ましくは80℃以上である。
ポリオルガノシロキサンを製造する際の重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合、微粒子化させて重合する方法では、2時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、酸触媒の水溶液中にシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを滴下する方法では、ラテックスの滴下終了後1時間程度保持することが好ましい。重合の停止は、反応液を冷却し、さらにラテックスを苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質で中和することによって行うことができる。
【0024】
本発明における複合ゴム質重合体(a)を構成するアルキル(メタ)アクリレートゴムは、アルキルアクリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレートとからなるものである。
アルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が例示される。これらは、単独でまたは二種以上併用して用いることができる。これらの内、n−ブチルアクリレートを使用することが、コストメリットの点で好ましい。
【0025】
多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上併用して用いることができる。
【0026】
好ましい多官能性アルキル(メタ)アクリレートの併用例としては、ゴム架橋度とグラフト量のバランスに優れる点で、アリルメタクリレートと1,3−ブチレングリコールジメタクリレートとの併用が挙げられる。
また、多官能性アルキル(メタ)アクリレートの使用量は、アルキルアクリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレートからなる成分中、0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜1質量%である。多官能性アルキル(メタ)アクリレートの使用量が0.1質量%未満では、得られる樹脂組成物の成形外観が低下する傾向にあり、20質量%を超えると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0027】
本発明における、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴム質重合体(a)は、ポリオルガノシロキサンのラテックス中へアルキルアクリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレートからなるアクリレート成分を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用させてアクリレート成分を重合することによって調製できる。
【0028】
該アクリレート成分を添加する方法としては、ポリオルガノシロキサンのラテックスと一括で混合する方法と、ポリオルガノシロキサンのラテックス中に一定速度で滴下する方法とが挙げられる。中でも、樹脂組成物の耐衝撃性を考慮すると、ポリオルガノシロキサンのラテックスと一括で混合する方法が好ましい。
【0029】
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩)・t−ブチルハイドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
【0030】
本発明における複合ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径は、特に限定されないが、耐衝撃性と顔料着色性とのバランスが優れる観点から0.08〜2.0μmが好ましい。
また、複合ゴム質重合体(a)中のポリオルガノシロキサンの量は、特に限定はされないが、1〜20質量%が好ましい。1質量%未満ではポリオルガノシロキサン量が少ないため樹脂組成物の耐衝撃性が低くなり、20質量%を超えると樹脂組成物の顔料着色性が低下する。また、樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性の両方を考慮すると、複合ゴム質重合体中のポリオルガノシロキサンの量は好ましくは6〜20質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。
【0031】
本発明におけるグラフト共重合体(A)は、上記のごとく製造された複合ゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル単量体(A−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させることによって得られるグラフト共重合体である。
【0032】
シアン化ビニル単量体単位(A−1)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、cis−2−ペンテンニトリル、フマロニトリルなどが挙げられる。これらは単独でまたは併用して使用することができる。
アルケニル置換芳香族単量体(A−2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−エチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、o−ハロゲン化スチレン、m−ハロゲン化スチレン、p−ハロゲン化スチレン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0033】
また、シアン化ビニル単量体(A−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体には、共重合可能な他のビニル単量体(A−3)が含まれていてもよい。
共重合可能な他のビニル単量体単位(A−3)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;N−フェニルマレイミドのようなマレイミド単量体等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0034】
シアン化ビニル単量体(A−1)、アルケニル置換芳香族単量体(A−2)およびこれらと共重合可能な他のビニル単量体(A−3)の内、樹脂組成物の耐衝撃性や熱安定性を考慮すると、スチレンとアクリロニトリルを使用することが好ましい。
【0035】
グラフト共重合に用いられる単量体の使用割合は、シアン化ビニル単量体(A−1)15〜35質量%、アルケニル置換芳香族単量体(A−2)65〜85質量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル単量体(A−3)0〜15質量%であることが好ましい。これらの使用割合から外れると、樹脂組成物の耐衝撃性や顔料着色性を損なうおそれが出てくる。
グラフト共重合に用いられる単量体中には、グラフト共重合体の分子量やグラフト率を調整するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
【0036】
本発明におけるグラフト共重合体(A)の製造は、複合ゴム質重合体(a)のラテックスに、シアン化ビニル単量体(A−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(A−2)単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体を加え、ラジカル重合技術による一段あるいは多段のグラフト共重合によって行われる。中でも、得られるグラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性および顔料着色性を考慮すると、二段以上のグラフト共重合を行うことが好ましい。
【0037】
グラフト共重合時に用いられる単量体の量は、複合ゴム質重合体(a)100質量部に対して、80〜140質量部、好ましくは100〜120質量部である。グラフト共重合の際、全ての単量体がグラフト成分にならず、それらの一部が、単独の共重合体として存在していても差し支えない。
【0038】
グラフト共重合の際には、重合ラテックスを安定化させるために、ラテックスに新たに乳化剤を添加することができる。乳化剤としては、特に限定させるものではないが、好ましい例としては、カチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤が挙げられる。さらに好ましい例としては、スルホン酸塩乳化剤あるいは硫酸塩乳化剤とカルボン酸塩乳化剤との併用が挙げられる。
【0039】
グラフト共重合が終了した後、ラテックスを酢酸カルシウムまたは硫酸アルミニウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固させることにより、グラフト共重合体(A)を分離し、回収することができる。
【0040】
<グラフト共重合体(B)>
本発明におけるグラフト共重合体(B)は、ブタジエン系ゴム質重合体(b)に、シアン化ビニル単量体(B−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(B−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体である。
【0041】
ブタジエン系ゴム質重合体(b)としては、ポリブタジエンゴムの他、ブタジエン単位を50質量%以上含有し、劣位量のスチレン単量体単位、アクリロニトリル単量体単位などを含有する共重合体、例えば、スチレン−ブタジエンゴム質共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム質共重合体などが挙げられる。
【0042】
シアン化ビニル単量体(B−1)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリルなどが挙げられる。これらは単独でまたは併用して使用することができる。
アルケニル置換芳香族単量体(B−2)としてはスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ハロゲン化スチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。
【0043】
また、シアン化ビニル単量体(B−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(B−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体には、共重合可能な他のビニル単量体(B−3)が含まれていてもよい。
共重合可能な他のビニル単量体(B−3)としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;N−フェニルマレイミドのようなマレイミド単量体等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0044】
シアン化ビニル単量体(B−1)、アルケニル置換芳香族単量体(B−2)およびこれらと共重合可能な他のビニル単量体(B−3)の内、樹脂組成物の耐衝撃性や熱安定性を考慮すると、スチレンとアクリロニトリルを使用することが好ましい。
【0045】
グラフト共重合に用いられる単量体の使用割合は、シアン化ビニル単量体(B−1)15〜35質量%、アルケニル置換芳香族単量体(B−2)65〜85質量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル単量体(B−3)0〜15質量%であることが好ましい。これらの使用割合から外れると、樹脂組成物の耐衝撃性や顔料着色性を損なうおそれが出てくる。
グラフト共重合に用いられる単量体中には、グラフト共重合体の分子量やグラフト率を調整するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
【0046】
本発明のおけるグラフト共重合体(B)の製造は、ポリブタジエン系ゴム質重合体(b)のラテックスに、シアン化ビニル単量体(B−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(B−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体を加え、ラジカル重合技術によるグラフト重合で行われる。
【0047】
グラフト共重合時に用いられる単量体の量は、ブタジエン系ゴム質重合体(b)100質量部に対して、20〜500質量部、好ましくは40〜250質量部である。グラフト共重合の際、全ての単量体がグラフト成分にならず、それらの一部が、単独の共重合体として存在していても差し支えない。
【0048】
グラフト共重合の際には、重合ラテックスを安定化させるために、ラテックスに乳化剤を添加することができる。乳化剤としては、特に限定させるものではないが、好ましい例としては、カチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤が挙げられる。さらに好ましい例としては、カルボン酸塩乳化剤が挙げられる。
【0049】
<その他の重合体(C)>
本発明におけるその他の重合体(C)としては、シアン化ビニル系単量体単位(C’−1)10〜50質量%、アルケニル置換芳香族単量体単位(C’−2)40〜90質量%および他のビニル単量体単位(C’−3)0〜40質量%((C’−1)と(C’−2)と(C’−3)の合計量が100質量%)からなる共重合体(C’)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリカーボネイト(PC)樹脂、ポリエステル(PEs)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、等の熱可塑性樹脂を1種類以上用いることができる。中でも、振動溶着で生じる溶けしろ外観が優れることから、共重合体(C’)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリカーボネイト(PC)樹脂、ポリエステル(PEs)樹脂を1種類以上用いるが好ましい。さらに、振動溶着で生じる溶けしろ外観が優れることから共重合体(C’)が好ましい。
【0050】
シアン化ビニル単量体単位(C’−1)としては、アクリロニトリル単位、メタクリロニトリル単位、エタクリロニトリル単位、フマロニトリル単位などが挙げられる。これらは共重合体(C’)に2種以上含まれていてもよい。
アルケニル置換芳香族単量体単位(C’−2)としては、スチレン単位、α−メチルスチレン単位、o−メチルスチレン単位、1,3−ジメチルスチレン単位、p−メチルスチレン単位、t−ブチルスチレン単位、ハロゲン化スチレン単位、p−エチルスチレン単位等が挙げられる。これらは共重合体(C’)に2種以上含まれていてもよい。
【0051】
また、共重合体(C’)には、他のビニル単量体単位(C’−3)が含まれていてもよい。他のビニル単量体単位(C’−3)としては、メタクリル酸メチル単位、メタクリル酸エチル単位等のメタクリル酸エステル単位:N−フェニルマレイミド単位のようなマレイミド単量体単位が挙げられ、特に限定されるものではない。
【0052】
このような共重合体(C’)としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体およびスチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好ましい。これらは1種類以上用いることができる。
【0053】
共重合体(C’)に含まれるシアン化ビニル単量体単位(C’−1)の割合は、10〜50質量%が好ましい。シアン化ビニル単量体単位(C’−1)が10質量%未満では、耐薬品性が劣るものとなる。シアン化ビニル単量体単位(C’−1)が50質量%を超えると、成形性が劣る。
【0054】
共重合体(C’)に含まれるアルケニル置換芳香族単量体単位(C’−2)の割合は、40〜90質量%が好ましい。アルケニル置換芳香族単量体単位(C’−2)が40質量%未満では、成形性が劣る場合がある。アルケニル置換芳香族単量体単位(C’−2)が90質量%を超えると、耐衝撃性が不十分となる。
【0055】
共重合体(C’)に含まれる他のビニル単量体単位(C’−3)の割合は、0〜40質量%が好ましい。ビニル単量体単位(C’−3)が40質量%を超えると、耐衝撃性、成形性のいずれか少なくとも一方が劣る場合がある。
本発明における共重合体(C’)の製造方法には特に制限はないが、ラジカル重合法で製造されることが好ましい。ラジカル重合は、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、バルク重合等によって行われる。
【0056】
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物は、前記グラフト共重合体(A)0.1〜90質量%と、前記グラフト共重合体(B)0.1〜90質量%と、前記その他の重合体(C)0〜95質量%((A)と(B)と(C)の合計量が100質量%)とを含有するものである。
【0057】
グラフト共重合体(A)の割合は、0.1〜90質量%であり、好ましくは4〜70質量%、さらに好ましくは8〜60質量%である。グラフト共重合体(A)が0.1質量%未満では、耐候性が劣るものとなる。グラフト共重合体(A)が90質量%を超えると、振動溶着部の外観が劣るものとなる。
【0058】
グラフト共重合体(B)の割合は、0.1〜90質量%であり、好ましくは4〜70質量%、さらに好ましくは8〜60質量%である。グラフト共重合体(B)が0.1質量%未満では、振動溶着で生じる溶けしろ外観が劣るものとなる。グラフト共重合体(B)が90質量%を超えると、耐候性が劣るものとなる。
【0059】
また、複合ゴム質重合体(a)およびブタジエン系ゴム質重合体(b)からなる全ゴム質重合体[(a)+(b)]のうち、複合ゴム質重合体(a)の割合[(a)/{(a)+(b)}]は、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは30〜75質量%であり、さらに好ましくは35〜70質量%である。複合ゴム質重合体(a)が20質量%未満では、耐候性が劣るおそれがある。複合ゴム質重合体(a)が90質量%を超えると、振動溶着で生じる溶けしろ外観が劣るおそれがある。
【0060】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法には、通常の樹脂のブレンドで用いられるヘンシェルミキサー、タンブラーなどの装置を使用することができる。また、賦型についても、単軸押出機、二軸押出機、射出成形機等の通常の賦型に用いられる装置を使用することができる。この際、熱可塑性樹脂組成物には、通常使用される強化材、難撚化剤等の添加物を配合することができる。
【0061】
強化材としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維;ウオラスナイト、タルク、マイカ粉、ガラス箔、チタン酸カリウム等の無機フィラー等が挙げられる。強化材は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0〜20質量部、好ましくは0〜10質量部配合される。強化材が20質量部を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の振動溶着性が劣る傾向がある。
【0062】
難燃化剤としては、通常、ABS樹脂や熱可塑性ポリエステル樹脂の難燃化に用いられるハロゲン化合物、アンチモン化合物等の無機系難燃化剤が使用される。ハロゲン化合物としては、デガブロムジフェニルエーテル、オクタブロムジフェニルエーテル等のハロゲン化ジフェニルエーテル;ハロゲン化ポリカーボネイトなどが挙げられる。無機系難燃化剤としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ソーダ、水酸化アルミニウム等がその一例に挙げられる。
【0063】
ハロゲン化合物の配合量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0〜35質量部、好ましくは0〜30質量部である。アンチモン化合物の配合量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0〜25質量部、好ましくは0〜20質量部である。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて帯電防止剤、改質剤、離型剤、光または熱に対する安定剤、染顔料などの種々の添加剤を適宜加えることもできる。
【0064】
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、通常の射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダ成形またはインフレーション成形等によって成形することにより得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体としては、特に制限はなく、例えば、屋内外照明のハウジング、自動車や二輪車用ランプのハウジング等が挙げられる。特に、PMMA樹脂やPC樹脂との振動溶着性に優れ、振動溶着で生じる溶けしろ外観が優れたものとなるため、自動車用ランプハウジングとしての使用に適している。
【0065】
本発明の成形体の一つである自動車用ランプハウジングは、レンズと振動溶着法によって一体化され、自動車用ランプに使用される。レンズの材質としては、特に制限はないが、透明性、耐候性、耐傷つき性が優れ、本発明の熱可塑性樹脂組成物との振動溶着で生じる溶けしろ外観が優れた形状となることから、PMMA樹脂、PC樹脂等が使用される。
【0066】
振動溶着法は、摩擦熱を利用した溶着方法で、レンズおよびランプハウジングの接着面どうしを0.1〜0.6MPa程度で加圧しながら、振れ幅0.5〜2.0mm程度、振動数200〜300Hz程度の振動を与え、生じた摩擦熱によって熱可塑性樹脂を溶融させ、レンズとランプハウジングとを接合する方法である。レンズとランプハウジングとを振動溶着する方法は、通常行われている方法であり、振動溶着機によって振動が与えられ、溶着される。
【0067】
本発明の自動車用ランプは、ランプハウジングが、耐候性、耐衝撃性を有し、PMMA樹脂やPC樹脂との振動溶着性に優れ、振動溶着の溶けしろが凹凸のない滑らかな形状となる熱可塑性樹脂組成物からなるので、外観、耐候性、耐衝撃性に優れ、しかも効率よく生産することができる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例を示す。本発明は、これら実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。また、実施例での「部」および「%」は各々「質量部」および「質量%」を意味する。
【0069】
[グラフト共重合体(A)の製造]
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに30MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0070】
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部と蒸留水90部とを注入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間に亘って滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却した。次いで、この反応物を苛性ソーダ水溶液で中和した。このようにして得られたポリオルガノシロキサンラテックスを170℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、18.0%であった。
【0071】
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、製造したポリオルガノシロキサンラテックス45.2部、エマールNC−35(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート;花王(株)社製)0.2部を採取し、蒸留水148.5部を添加、混合した後、ブチルアクリレート42部、アリルメタクリレート0.3部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部およびt−ブチルハイドロパーオキサイド0.11部の混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。
【0072】
内部の液温が60℃となった時点で、硫酸第一鉄0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.000225部およびロンガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩)0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。アクリレート成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、アクリレート成分の重合を完結させ複合ゴム質重合体ラテックスを得た。
【0073】
複合ゴム質重合体ラテックスの液温が反応器内部で70℃まで低下した後、ロンガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩)0.25部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部およびt−ブチルハイドロパーオキサイド0.05部の混合液を2時間にわたって滴下し重合させた。
【0074】
滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩)0.2部およびエマールNC−35(花王(株)社製)0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、次いでアクリロニトリル10部、スチレン30部およびt−ブチルハイドロパーオキサイド0.2部の混合液を2時間にわたって滴下し重合させた。
【0075】
滴下終了後、温度60℃の状態を0.5時間保持した後、キュメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、さらに温度60℃の状態を0.5時間保持した後、冷却した。得られたグラフト共重合体ラテックスを、酢酸カルシウム水溶液で凝固、脱水、乾燥させることにより、グラフト共重合体(A)を得た
【0076】
[グラフト共重合体(B)の製造]
固形分含量が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタジエンラテックス100部(固形分として)に、アクリル酸n−ブチル単位85%、メタクリル酸単位15%からなる平均粒子径0.08μmの共重合体ラテックス2部(固形分として)を攪拌しながら添加し、30分間攪拌を続け平均粒子径0.28μmの肥大化ブタジエン系ゴム質重合体ラテックスを得た。
【0077】
得られた肥大化ブタジエン系ゴム質重合体ラテックスを反応容器に加え、更に蒸留水100部、ウッドロジン乳化剤4部、デモールN(商品名、花王(株)製、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物)0.4部、水酸化ナトリウム0.04部、デキストローズ0.7部を添加して攪拌しながら、昇温させて内温60℃の時点で硫酸第一鉄0.1部、ピロリン酸ナトリウム0.4部、亜二チオン酸ナトリウム0.06部を加えた後、アクリロニトリル30部、スチレン70部、クメンハイドロパーオキサイド0.4部およびtert−ドデシルメルカプタン1部の混合物を90分間にわたり連続的に滴下し、その後1時間保持して冷却した。
得られたグラフト重合体ラテックスを希硫酸で凝析したのち、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体(B)を得た。
【0078】
[その他の重合体(C)]
(ポリカーボネイト(PC)樹脂(C1))
その他の重合体(C)のうちのポリカーボネイト(PC)樹脂(C1)としてジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを構成単位とする、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の「ノバレックス7022A」(商品名)を使用した。
【0079】
(ポリエステル(PEs)樹脂(C2))
その他の重合体(C)のうちのポリエステル(PEs)樹脂(C2)として三菱レイヨン(株)製の「タフペットPBTN1100」(商品名、ポリブチレンテレフタレート樹脂)を使用した。
(ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(C3))
その他の重合体(C)のうちのポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(C3)として三菱レイヨン(株)製の「アクリペットVHS」(商品名)を使用した。
【0080】
[共重合体(C')]
(アクリロニトリル−スチレン共重合体(C’1)の製造)
アクリロニトリル単位29%およびスチレン単位71%からなるアクリロニトリル−スチレン共重合体(C’1)を懸濁重合法によって得た。この共重合体(C’1)の25℃での還元粘度(ηsp/C)は0.62であった(0.2g/dlジメチルホルムアミド溶液での測定値)。
【0081】
(アクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体(C’2)の製造)
アクリロニトリル単位22%、スチレン単位55%およびN−フェニルマレイミド単位23%からなるアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体(C’2)をメチルエチルケトン溶液中で重合して得た。この共重合体(C’2)の25℃での還元粘度(ηsp/C)は0.52であった(0.2g/dlジメチルホルムアミド溶液での測定値)。
【0082】
(アクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体(C’3)の製造)
アクリロニトリル単位22%、スチレン単位10%およびα−メチルスチレン単位68%からなるアクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体(C’3)を懸濁重合法によって得た。この共重合体(C’3)の25℃での還元粘度(ηsp/C)は0.51であった(0.2g/dlジメチルホルムアミド溶液での測定値)。
【0083】
[実施例1〜17および比較例1〜2]
上記の例で製造または示した重合体を、表1の割合でブレンドし、これに抗酸化剤(マークA0−20/マークPEP24[アデカアーガス化学社製品])0.2/0.2部、耐光安定剤(チヌビン−P[チバガイギー社]/サノールLS770[三共社製品])0.2/0.3部および金属石ケン0.2部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。次いで、スクリュー式押出機PCM−30(池貝鉄工社製)を用い、260℃、300rpmでペレット化した。このペレットを射出成形機AUTOSHOT T−100D(ファナック社製)にて試片(幅25mm×長120mm×厚2mm)を成形し、各種の評価に用いた。その結果を表1に示す。
【0084】
なお、評価方法を以下に示す。
[振動溶着性評価]
評価レンズ用材料として、三菱レイヨン(株)製の「アクリペット VH4」(商品名、PMMA樹脂)を射出成形にて3mmのリブ付きシート(幅25mm×長120mm×厚2mm、リブ:高10mm×長100mm×厚2mm)に成形したものを使用した。
【0085】
振動溶着は、日本エマソン社製のBRANSON VIBRATION WELDER 2406を使用し、振幅1.0mm、圧力0.3MPa、沈込み量1.5mmの条件で行った。振動溶着時に溶融、接合して生じる溶けしろの外観について、5段階で目視にて評価した。表1中、外観の優れている順に、「○○○○」、「○○○」、「○○」、「○」、「×」の記号で示す。最も外観が優れている「○○○○」は、溶けしろがシートのリブと滑らかに連続し、かつ、凹凸のない均一形状に形成され外観が極めて良好なものである。一方、最も外観が劣っている「×」は、溶けしろがシートのリブと全く沿わず広がった形状で、凹凸のある不均一な形状に形成され外観が極めて劣悪なものである。
【0086】
[耐候性評価]
耐候性試験は、下記の条件にて加速暴露試験を実施し、光沢保持率(%)を求めて評価した。
加速暴露試験は、試験機として、スガ試験機 サンシャインウエザーメーターWEL−SUN−DCを使用し、ブラックパネル温度63℃、降雨条件12分/時間、暴露時間500時間の条件で行った。試験前後の試験片の光沢(ASTMD523:60°)を測定し、光沢保持率(%)を求めた。ここで光沢保持率(%)は、(加速暴露試験後の光沢)×100/(加速暴露試験前の光沢)である。
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示される結果から、実施例1〜17の熱可塑性樹脂組成物は、振動溶着で生じる溶けしろ外観および耐候性(光沢保持率)が優れていることがわかる。
一方、比較例1は、ゴム質含有グラフト重合体としてグラフト重合体(A)のみを用いているため、耐候性(光沢保持率)には優れているものの、振動溶着で生じる溶けしろ外観は劣るものとなった。
比較例2はゴム質含有グラフト重合体としてグラフト重合体(B)のみを用いているため、振動溶着で生じる溶けしろ外観は優れているものの、耐候性(光沢保持率)は劣るものとなった。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物は、ビニル重合性官能基含有シロキサンを含むポリオルガノシロキサンおよびアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル単量体(A−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(A)4〜36質量%と、ブタジエン系ゴム質重合体(b)に、シアン化ビニル単量体(B−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(B−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(B)4〜36質量%と、その他の重合体(C)40〜80質量%とを含有するので、振動溶着性に優れるだけでなく、耐候性、耐衝撃性にも優れる。
【0090】
また、前記複合ゴム質重合体(a)およびブタジエン系ゴム質重合体(b)からなる全ゴム質重合体[(a)+(b)]のうち、前記複合ゴム質重合体(a)の割合[(a)/{(a)+(b)}]が20〜80質量%であれば、振動溶着で生じる溶けしろ外観および耐候性がさらに優れる。
また、前記その他の重合体(C)が、シアン化ビニル単量体単位(C'−1)10〜50質量%、アルケニル置換芳香族単量体単位(C'−2)40〜90質量%および他のビニル単量体単位(C’−3)0〜40質量%からなる共重合体(C’)であれば、振動溶着で生じる溶けしろ外観がさらに優れる。
【0091】
また、本発明の成形体は、本発明の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物からなるので、耐候性、耐衝撃性、PMMA樹脂やPC樹脂等との振動溶着性に優れ、溶着で生じた溶けしろが均一な形状で優れた外観を有する。このような成形体は、特に、自動車ランプ用ハウジングに適している。
また、本発明の自動車用ランプは、本発明の成形体とレンズとが、振動溶着法によって一体化されたものであるので、耐候性、耐衝撃性および外観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車用ランプのハウジングとレンズとを振動溶着する方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
10 自動車用ランプ
11 レンズ
12 ランプハウジング
Claims (5)
- ビニル重合性官能基含有シロキサンを含むポリオルガノシロキサンおよびアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル単量体(A−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(A)4〜36質量%と、
ブタジエン系ゴム質重合体(b)に、シアン化ビニル単量体(B−1)およびアルケニル置換芳香族単量体(B−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(B)4〜36質量%と、
その他の重合体(C)40〜80質量%((A)と(B)と(C)の合計量が100質量%)とを含有することを特徴とする振動溶着用熱可塑性樹脂組成物。 - 前記複合ゴム質重合体(a)およびブタジエン系ゴム質重合体(b)からなる全ゴム質重合体[(a)+(b)]のうち、前記複合ゴム質重合体(a)の割合[(a)/{(a)+(b)}]が20〜80質量%であることを特徴とする請求項1記載の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物。
- 前記その他の重合体(C)が、シアン化ビニル単量体単位(C’−1)10〜50質量%、アルケニル置換芳香族単量体単位(C’−2)40〜90質量%および他のビニル単量体単位(C’−3)0〜40質量%((C’−1)と(C’−2)と(C’−3)の合計量が100質量%)からなる共重合体(C’)であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1ないし3いずれか一項に記載の振動溶着用熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
- 請求項4記載の成形体とレンズとが、振動溶着法によって一体化されたことを特徴とする自動車用ランプ。
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