JP4835910B2 - 内圧防爆構造のロボット - Google Patents
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内圧防爆構造を有した従来のロボットの構造は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、ロボットの各関節を駆動するモータに、ブラシレスサーボモータのようなスパークを生じないモータを用いており、爆発防止用のモータや、耐爆発性モータを使用する必要がない、とされている。
すなわち、従来の内圧防爆構造のロボットに使用されているモータは、爆発防止用のモータや、耐爆発性モータのような、特殊なモータではなく、ブラシレスサーボモータのような、通常のモータであって、これを気密室に配置して、内圧防爆を構成している。
また、従来の内圧防爆構造のロボットに使用されているモータの構造は、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2では、内圧防爆構造のロボットに使用されるモータに、保護気体を直接流入させている。
また、回転子3には、ディスク10が固定されており、ブレーキ巻線11の電磁石作用によって、ブレーキ12がディスク10を狭持することによって、回転子3の回転運動を停止させる。なお、モータが使用される関節部によっては、これらブレーキ部13が無いモータが使用される場合がある。
また、回転子3の回転位置を読み取るセンサ部5は、回転子3の一端に取り付けられた円盤14の図示しないスリットを検出している。この円盤14のスリットは、回転子の回転位置を精密に特定するため、非常に小さな隙間で形成されている。一方、上述のように、回転子3、ベアリング7及びブレーキ部13からは、発塵の恐れがある。この粉塵がセンサ部5に入ることを防ぐため、円形状のシール15は、モータフレーム6に固定され、回転軸2に接触しており、上記の回転子3、固定子4、ベアリング7、ブレーキ部13などが存在する空間と、センサ部5が存在する空間とを、ほぼ隔離している。
以上のように、一般的な通常のブラシレスサーボモータは、複雑な構造をしているため、こういった構造のモータを、内圧防爆構造のロボットの気密室に設置して、所定の掃気動作を行っても、モータ内部空間の気体が保護気体に置換されにくい。ロボットが長時間停止されていると、モータの内部空間にも爆発性気体が侵入している恐れがあり、掃気動作によってモータ内部空間の気体が確実に置換されていないまま、ロボットの電源を投入すると、爆発の恐れがあり、非常に危険である。
また、モータに直接保護気体を流入させるためには、モータにエア配管を接続する部品を備えなくてはならず、モータ単体の組立時間の増加や、コストアップといった問題が発生する。さらに、内圧防爆構造のロボット内部は非常に複雑な構造をしているのが一般的であるが、こういったロボットにエア配管を接続しなくてはならないモータが設置されると、モータの交換時など保守点検の際に、エア配管の取り外しや再接続などに時間がかかる。また、モータ内部に直接保護気体を流入させると、保護気体に粉塵等が入っていた場合、モータを故障させる原因となってしまう。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、内圧防爆構造のロボットにおいて、各関節を駆動するモータの内部空間が、簡単、確実に掃気される特殊なモータを開示するとともに、そのモータが更に確実に掃気できるためのロボットの構造を開示することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基台と、前記基台から関節軸を介して順次連結された複数の可動部と、前記可動部に形成された気密室と、前記気密室内に配置されて前記関節軸をそれぞれ駆動するモータと、を備え、危険雰囲気に設置される内圧防爆構造のロボットにおいて、前記モータは、前記モータ内部に貫通する複数の貫通穴をモータフレームに備え、前記内圧防爆のための保護気体が供給される管路は、前記基台から前記気密室内へ配設され、前記モータの各々に近接した場所まで配管され、前記モータフレームの外部において前記保護気体が開放されること、を特徴とする内圧防爆構造のロボットとするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記管路は、さらに前記気密室内において前記基台から最も遠い箇所でも前記保護気体が開放されること、を特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボットとするものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記貫通穴は、モータの固定子と回転子とが存在する空間に貫通していることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボットとするものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記貫通穴は、モータのブレーキ部が存在する空間に貫通していることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボットとするものである。
また、請求項5に記載の発明は、前記貫通穴は、モータのセンサ部が存在する空間に貫通していることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボットとするものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記貫通穴は、前記センサ部が存在する空間に対して複数設けられていることを特徴とする請求項5記載の内圧防爆構造のロボットとするものである。
また、請求項7に記載の発明は、前記貫通穴の開口部には、フィルタが設置されていることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボットとするものである。
ロボット21は、37a、37bのように複数の気密室37を備えており、気密室にはモータ1が複数個設置されている。各々のモータは、ロボット21の各関節を駆動する。管路26は、ロボット21下部の管路接続部30に接続され、気密室37先端部の開放位置42、すなわち各々の気密室において、管路接続部30から最も遠い個所で保護気体を開放するとともに、管路26は分岐され、各々のモータ1に近接した場所で保護気体を開放する。保護気体の開放を行う個所は、後述する各モータの貫通穴に近接し、保護気体がモータ内部の空間に侵入しやすい位置とする。
一方、気密室37には管路27の一端が接続されており、他端はエア排気部24に設置されている開放弁38へ接続されている。管路27の途中には、フロースイッチ39(取り付けられない場合もある)と、圧力検出器40と、圧力調整弁41が接続されている。フロースイッチ39と圧力検出器40とには通信ケーブル29の一端が接続され、その他端はコントローラ22に接続されている。通信ケーブル29は、これらフロースイッチ39と圧力検出器40の信号をコントローラへ伝達している。圧力検出器40は、気密室37の圧力が所定値よりも低くなるとコントローラ22に信号を伝達する。また、フロースイッチ39は、所定の気体流量が通過すると、コントローラ22に信号を伝達する。また、圧力調整弁41は、管路27の圧力、すなわち気密室37の内部圧力が、所定値よりも高くなった場合に、気体を排出し、気密室37の内部圧力を軽減させる。
一方、フィルタ31を通過した保護気体の3経路のうち更に1経路の保護気体は、圧力調整器34により、電磁弁36を動作させることができる程度の圧力に調整され、電磁弁36と管路28を介して開放弁38に接続されている。開放弁38は、電磁弁36から送出されてくる保護気体によって空圧作動し、管路27から排出されてくる気密室37内部の気体を排出させるか、または封止することができる。
本発明では、以上で構成されたモータに対して、モータフレーム6に、複数の貫通穴18を設けている。18a、18bは回転子3、固定子4及びブレーキ部13が存在する空間へ貫通している。また、18cはセンサ部が存在する空間へ貫通している。貫通穴18の直径は、本実施例では10mm程度としている。また、掃気動作の際に、モータ内部の気体が保護気体に確実に置換されることを目的とするため、本実施例では、固定子4などが存在する比較的大きな空間に対しては、18a、18bのように、複数個設けている。また、固定子4と回転子3は、マグネット8と巻線9が非常に近接しており、固定子4などが存在する空間は、実質的にマグネット8と巻線9とで隔離されているので、18a、18bのような位置に、実質的に隔離されている空間毎に貫通穴を設けている。
また、本発明では、それぞれの貫通穴18に、フィルタ16を設けている。更に、フィルタ16をモータフレーム6に固定するため、フィルタ16の外周をネジ等で固定するカバー17を備えている。フィルタ16は、貫通穴18からモータ内部に異物が侵入することを防ぐものであるが、フィルタ16によって上記の掃気動作による気体置換が妨げられないよう、メッシュサイズに留意する。ここでは、2〜7ml/cm2・secのサイズを使用している。図1記載の大きさのモータでは、上記のメッシュサイズのフィルタを、18a、18b、18cの3箇所の貫通穴に設置しており、掃気動作によって確実に気体置換が行われることを確認している。
次に掃気動作について説明する。まず、コントローラ22の電源を供給すると、コントローラ22より電磁弁36の切り換え命令がだされ、圧力調整器33により通常運転時の圧力より更に高い圧力に調整された保護気体が、管路26を介して、気密室37に導入される。このとき、コントローラ22内の図示しないタイマーは時間のカウントを開始する。また、このとき開放弁38は閉の状態である。
管路26は、各々のモータの近傍で保護気体を開放しており、さらに各々のモータは、上述のように所定の貫通穴を備えているため、モータ内部空間の気体が確実に保護気体に置換される。
そして、タイマーが所定の時間を計測し終わると、コントローラ22から電磁弁36に切り換え命令がだされ、開放弁38を開の状態にする。ここで、タイマーの計測する時間は、気密室の圧力が所定の圧力になるまでの時間であって、予め試験等で計測しておく。そして、開放弁38の開放と同時にフロースイッチ39により、気密室37から排出される気体の流量測定を開始する。所定量の流量が流出すると、フロースイッチ39の信号によって、コントローラ22は電磁弁36へ切り換え命令を送出し、開放弁38が閉の状態になり、掃気が完了する。そして、モータへの電源供給が可能となり、上述した通常運転状態としてロボット動作が可能となる。
なお、圧力検出器40は、これら掃気動作中においても、気密室37の圧力が危険雰囲気より若干高い圧力より低くなった場合を検知し、圧力調整弁41は、気密室の圧力が高くなりすぎた場合に圧力を開放する。フロースイッチ39が設けられない場合には、圧力検出器40の掃気動作時の圧力監視において、気密室37の圧力が危険雰囲気より若干高い圧力より低くならないことで代用する場合も有る。
2 回転軸
3 回転子
4 固定子
5 センサ部
6 モータフレーム
7 ベアリング
8 マグネット
9 巻線
10 ディスク
11 ブレーキ巻線
12 ブレーキ
13 ブレーキ部
14 円盤
15 シール
16 フィルタ
17 カバー
18 貫通穴
21 ロボット
22 コントローラ
23 気体供給部
24 気体排気部
25 制御ケーブル
26 管路
27 管路
28 管路
29 通信ケーブル
30 管路接続部
31 フィルタ
32 圧力調整器
33 圧力調整器
34 圧力調整器
35 電磁弁
36 電磁弁
37 気密室
38 開放弁
39 フロースイッチ
40 圧力検出器
41 圧力調整弁
42 開放位置
Claims (7)
- 基台と、前記基台から関節軸を介して順次連結された複数の可動部と、前記可動部に形成された気密室と、前記気密室内に配置されて前記関節軸をそれぞれ駆動するモータと、を備え、危険雰囲気に設置される内圧防爆構造のロボットにおいて、
前記モータは、前記モータ内部に貫通する複数の貫通穴をモータフレームに備え、
前記内圧防爆のための保護気体が供給される管路は、前記基台から前記気密室内へ配設され、前記モータの各々に近接した場所まで配管され、前記モータフレームの外部において前記保護気体が開放されること、
を特徴とする内圧防爆構造のロボット。 - 前記管路は、さらに前記気密室内において前記基台から最も遠い箇所でも前記保護気体が開放されること、
を特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボット。 - 前記貫通穴は、モータの固定子と回転子とが存在する空間に貫通していることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボット。
- 前記貫通穴は、モータのブレーキ部が存在する空間に貫通していることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボット。
- 前記貫通穴は、モータのセンサ部が存在する空間に貫通していることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボット。
- 前記貫通穴は、前記センサ部が存在する空間に対して複数設けられていることを特徴とする請求項5記載の内圧防爆構造のロボット。
- 前記貫通穴の開口部には、フィルタが設置されていることを特徴とする請求項1記載の内圧防爆構造のロボット。
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