JP4834253B2 - 優先権及び無競合間隔を有するメディアアクセス制御プロトコル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CSMAネットワークにおけるメディアアクセス制御(MAC)プロトコルに関する。
【0002】
【従来の技術】
メディアが共有メディアである場合には、データ伝送系すなわちネットワークは、あるタイプのメディアアクセス制御プロトコルを用いて、例えばAC電力線あるいはイーサネットケーブル等の物理メディアへのアクセスを制御する。この共有メディアアクセス機構は、ポーリング、時分割多重アクセス(TDMA)、トークンパッシング、搬送波検出多重アクセス(CSMA)、あるいはまた他の共有アクセスプロトコルであってもよい。ポーリングは、中央に割り当てられた主局を用いて、他の(従)局に対してポーリングを行い、他のこのようなノードに対して、このメディア上での送信に対する明示許可を与える。TDMAプロトコルにおいては、各回のメッセージの前に、ネットワーク主局がフレーム同期信号の同報通信を行なって、全ての局のクロックを同期化し、同期化後、固有に割り当てられたタイムスライスの間に各局が送信する。トークンパッシング方式においては、伝送メディアへのアクセスは、トークンと呼ばれる特別なデータユニットによって決定されるが、このトークンは局から局へと受け渡される。CSMAプロトコルにおいては、全ての伝送はメディア上での同報通信であり、また局は伝送前にメディアに問い合わせを行なって、メディアがいつ空くかを判断する。衝突回避方式CSMA(CSMA/CA)においては、各伝送が進行している間、各局はメディアに問い合わせを行い、伝送が終了した後、伝送前に選択されたスロット番号に基づき、1つ以上の伝送(あるいは競合解決)スロットの追加遅延を伴う特定の期間(あるいはフレーム間ギャップの間)待機する。
【0003】
優先順位付けに関するこれら一つ以上のプロトコルには様々な種類があるが、これらは、効率的な局間の対話すなわちサービス品質(QoS)要求事項を保証する上で必要である。例えば、CSMA/CAを用いると、第1スロットは、メッセージを受信したばかりの局による応答に対して予約されることもあり、あるいは、1つ以上のスロットを特定の優先権クラスの伝送(あるいは局)に対して予約してもよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電力線ネットワーク環境等のネットワーク環境において、CSMAプロトコルの動作は、局間距離及び/又はチャネル状態によって悪影響を受ける場合がある。更にCSMAプロトコルの動作は、隠れ局(ノード)による場合と同様に、オーバーラップネットワークによって、すなわち、互いの通信を意図していないが事実上互いの伝送状態について聞き取りが可能であるネットワークによって起こる干渉(例えば、衝突)に影響されやすい場合がある。隠れ局とは、その位置のために、同じあるいは隣接するネットワークにおける他局間の通信の半分しか聞き取れないネットワーク上の局である。こうした状況あるいは条件の下で、CSMA方式は効率的に機能せず、適切なネットワークの同期化及び規則的なメディアアクセス調停を維持できない場合がある。もう1つの影響としては、ネットワークがQoS保証を厳密に履行できない場合があることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの側面において、あるネットワークの局では、送信されるフレームを有する局によるアクセス競合には、競合期間中の競合制御情報の検出及びある局が、競合期間中にその局が接続されている伝送メディアへのアクセス競合を許可されているかどうかについて競合制御情報から判断することが含まれる。
【0006】
本発明の実施形態は、以下の特徴を1つ以上含んでもよい。判断は、競合制御情報が無競合アクセスを示すかどうかの判断を含むことができ、また、競合制御情報が無競合アクセスを示す場合には、送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベルが、最後に送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベルよりも上位であるかどうかを判断することを含むことができる。
【0007】
更に、競合制御情報が無競合状態を示し、また送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベルが、最後に送信されるフレームのチャネルアクセスの優先権レベルよりも上位であるか、あるいは競合制御情報が無競合状態を示さないいずれかの場合、アクセス競合は、ネットワーク局におけるいずれかの局が、送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベルよりも上位のチャネルアクセスの優先権レベルで、メディアへのアクセス競合を意図しているかどうかの検出を含むことができる。伝送メディアへのアクセス競合は、このような上位のチャネルアクセス優先権レベルでアクセス競合予定の局に譲ることができる。更にアクセス競合は、上位のチャネルアクセス優先権レベルが検出されない場合、次の競合期間中でのメディアへのアクセス競合を含むことができ、また更にその競合期間前に他の局に対して、対応するチャネルアクセス優先権レベルでの競合予定の信号送信を含むことができる。更に競合は、任意のバックオフ時間に対応する遅延期間の確立、及びその遅延期間の継続期間中におけるアクティビティに対する伝送メディアの監視を含むことができる。監視中にアクティビティが検出されない場合は、フレームを送信できる。
【0008】
ネットワーク局におけるいずれかの局が、送信されるフレームに対応するチャネルアクセス優先権レベルよりも上位のチャネルアクセス優先権レベルでメディアへのアクセス競合予定であるかどうかの検出は、競合期間直前の優先権解決期間において行われる。ネットワーク局におけるいずれかの局が、送信されるフレームに対応するチャネルアクセス優先権レベルよりも上位のチャネルアクセス優先権レベルで、メディアへのアクセス競合予定であるかどうかの検出は、優先権解決期間中に少なくとも1つの他の局からの送信信号の検出を含むことができるが、検出された送信信号は、その少なくとも1つの他の局によって送信されたフレームのチャネルアクセス優先権レベルを示す。
【0009】
優先権解決期間は、n個の優先権解決スロットを含むことができ、2n のチャネルアクセス優先権レベルをサポートできる。nの値は2であり、各チャネルアクセス優先権レベルは、2ビットの2進数値として表すことができる。優先権解決期間は、2つの優先権解決スロット、2ビットの2進数値における第1ビットに対応する第1優先権解決スロット、及び2ビットの2進数値における第2ビットに対応する第2優先権解決スロットを含むことができるが、ここで、2ビットの2進数値における2進数1は、2つの優先権解決スロットの内対応する1つにおいて、検出される送信信号において、受信される。
【0010】
送信されるフレームに対応するチャネルアクセス優先権レベルは、優先権解決スロットにおいて信号送信される。優先権解決スロットにおける送信信号は、対応するチャネルアクセス優先権レベルが2ビットの2進数値における第1ビットが1であることを要求する場合には、第1優先権解決スロットにおける送信信号を含むことができ、また、第1ビットが1であるか又は他の局からの送信信号が第1優先権解決スロットにおいて検出されない場合であって、対応するチャネルアクセス優先権レベルが2ビットの2進数値における第2ビットが1であることを要求する場合、第2優先権解決スロットにおける送信信号を含むことができる。
【0011】
最後に送信されるフレームを基準にして優先権解決期間の始まる時期を予測するための仮想搬送波検出タイマを維持してもよい。最後に送信されるフレームは、フレーム制御情報を含むことができ、また仮想搬送波検出タイマの維持は、フレーム制御情報を用いて仮想搬送波検出タイマに値を提供することを含むことができる。実際の搬送波検出を用いて、最後に送信されるフレームを基準にして優先権解決期間の始まる時期を判断することができる。
【0012】
伝送メディアは電力線でもよい。
信号送信は、OFDM記号の送信を含むことができ、ここで、送信信号の検出は、送信されるOFDM記号の検出から構成され、OFDM記号は、OFDM記号に対応する遅延拡散性能特性のために、ほぼ全ての局によって観測可能である。
【0013】
優先権解決期間は、伝送メディア不活性期間に続くことができる。
本発明の利点は以下の通りである。無競合アクセスを示す競合制御インジケータと多重レベル優先権方式を組み合わせた結果、アクセスの公平さをQoS待ち時間要求事項と釣り合わせることができる。また、実際の搬送波検出信号は微弱あるいは信頼性が低くてもよいために、局には、第2の“仮想”搬送波検出タイマ機構が設けられ、このタイマ機構によって、各局が最後に送信されるフレームにおいて発生するフレーム制御情報に基づき伝送メディアの占有期間の正確な予測を維持できるようになる。更に優先権レベルに対応する2進数フォーマットによって、上位の優先権レベルから下位の優先権レベルを効率的に分離できる。OFDMによって、遅延拡散等の信号の取り扱いができるために、複数が競合する局による各優先権解決スロットにおけるビット値の信号送信は、OFDMに非常に適している。従って、これらの信号の整合はなされないが、各局は、信号送信すると共に他の局の信号を信頼度良く検出することができる。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明及び請求項から明らかとなるであろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1において示すように、ネットワーク10は、例えば電力線(PL)等の伝送メディアすなわちチャネル14に連結されるネットワーク局12a、12b、・・・、12kを含む。伝送メディア14上における少なくとも2つのネットワーク局12間での通信中に、第1ネットワーク局、例えば12aは、送信ネットワーク局(あるいは送信器)として機能し、少なくとも1つの第2ネットワーク局、例えば12bは、受信ネットワーク局(あるいは受信器)として機能する。各ネットワーク局12は、ホストコンピュータ、ケーブルモデム、あるいは他の装置(図示せず)といった端末装置であるデータリンクユーザに接続するための論理リンク制御(LLC)ユニット16を含む。更にネットワーク局12は、データインターフェース20によってLLCユニット16に接続されるメディアアクセス制御(MAC)ユニット18、MACとPHY間のI/Oバス24によってMACユニット18に接続される物理層(PHY)ユニット22、及びアナログフロントエンド(AFE)ユニット26を含む。AFEユニット26は、別々のAFE入力線28aと出力線28bによって、PHYユニット22に接続し、同時にAFEとPL間のインターフェース30によって、伝送メディア14に接続する。各局12は、ハードウェア、ソフトウェア、及び単一機能を持ちアドレス指定可能なユニットとしてネットワーク上の他の局に現れるファームウェアを表す。
【0016】
一般的に、LLC、MAC、及びPHYユニットは、開放型システム間相互接続(OSI)モデルに準拠している。また特に、LLC及びMACユニットはOSIモデルのデータリンク層に準拠し、PHY層ユニットはOSIモデルの物理層に準拠している。MACユニット18は、データのカプセル化/カプセル解読を行い、また送信(RX)及び受信(RX)機能のためのメディアアクセス管理を行う。衝突回避タイプの他の適切なMACプロトコルあるいは他のMACプロトコルタイプが用いられてもよいが、MACユニット18には、IEEE802.11規格に述べられている衝突回避方式搬送波多重アクセス(CSMA/CA)のような衝突回避メディアアクセス制御方式を用いることが好ましい。例えば、時分割多重アクセス(TDMA)方式を用いてもよい。また、MACユニット18は、自動再送要求(ARQ)プロトコルをサポートする。更に詳しく以下において説明するように、PHYユニット22は、機能の中でも特に、送信符号化及び受信復号化を行う。AFEユニット26は、伝送メディア14への接続部を備えている。AFEユニット26は、いかなる方法で組み込まれてもよく、従って本明細書中ではこれ以上述べない。
【0017】
局間でやり取りされる通信の単位は、フレームあるいはパケットの形態である。本明細書中で用いられるように、“フレーム”及び“パケット”という用語は両者共、PHY層プロトコルデータユニット(PDU)を意味する。これから述べるように、フレームは、デリミタと共にデータ(すなわち、ペイロード)あるいはデリミタそれ自身を含んでもよい。デリミタは、プリアンブル及びフレーム制御情報を組み合わせたものである。データ及びフレーム制御情報は、MACユニット18から受信されるが、図2において更に詳細に以下において説明するように、PHYユニット22による取扱いが異なる。フレーム及びデリミタ構造については、図3乃至6において更に詳細に説明する。
【0018】
図2において、PHYユニット22は、単独局に対してTX及びRX機能の両方を行う。TX機能をサポートするために、PHYユニット22は、スクランブラ32、データFEC符号器34(MACユニット18から受信されるデータを符号化するためのもの)、変調器36、フレーム制御情報を符号化するためのフレーム制御FEC符号器38、同期化信号発生器40(自動利得制御及び同期化に用いられるプリアンブル信号を定めるためのもの)、及びIFFTユニット42を含む。従来のポストIFFTデバイスについては、簡略化のために省略する。ポストIFFTデバイスは、例えば、二乗余弦窓を有する巡回接頭語ブロック及びピークリミッタ並びに出力緩衝を含んでもよい。また、TX構成ユニット52も含む。RX機能をサポートするために、PHYユニット22は、自動利得制御(AGC)ユニット54、FFTユニット58、チャネル推定ユニット60、同期化ユニット62、フレーム制御FEC復号器64、復調器66、データFEC復号器68、スクランブル解読器70、及びRX構成ユニット72を含む。PHYユニット22に含まれ、送信及び受信機能の両方で共有されるものは、MACインターフェース74、PHY制御器76、及びチャネルマップメモリ78である。チャネルマップメモリ78は、TXチャネルマップメモリ78a及びRXチャネルマップメモリ78bを含む。
【0019】
データ送信処理中に、データ及び制御情報は、PHYとMAC間のバス24上において、PHYとMAC間のインターフェース(MACインターフェース)74で受信される。MACインターフェースは、スクランブラ32にデータを提供するが、このことによって、データFEC符号器34の入力に与えられるデータが実質的にランダムなパターンになることを保証している。データFEC符号器34は、順方向誤り訂正符号をスクランブル化されたデータパターンに符号化し、次に、符号化されたデータを交互配置する。いずれかの順方向誤り訂正符号、例えばリードソロモンあるいはリードソロモン符号と重畳符号の両者は、この目的に用いられる。変調器36は、フレーム制御FEC符号器38からFEC符号化データ及びFEC符号化制御情報を読み込み、従来のOFDM変調方式に従ってOFDM記号の搬送波に符号化データ及び制御情報を変調する。これらの変調方式は同期方式でも、あるいは差分方式のものでもよい。変調モードあるいはタイプは、特に、符号化率1/2の2進位相偏移キーイング(“1/2BPSK”)、符号化率1/2の4位相偏移キーイング(“1/2QPSK”)、符号化率3/4の4QPSK(“3/4QPSK”)であってもよい。IFFTユニット42は、変調器36、フレーム制御FEC符号器38、及び同期化信号発生器40から入力を受信し、ポストIFFT機能ユニット(図示せず)に処理済データを提供するが、このポストIFFT機能ユニットは更にフレームのコンテンツを処理した後に、AFEユニット26(図1から)に転送する。
【0020】
TX構成ユニット52は、PHYとMAC間のI/F74から制御情報を受信する。この制御情報は、データがMACインターフェース74から送信されるチャネルについての情報を含む。TX構成ユニット52は、この情報を用いて、TXチャネルマップメモリ78aから適切なチャネル(あるいはトーン)マップを選択する。選択されたチャネルマップによって、伝送モードが指定されると共に全搬送波に対する(あるいはまた、各搬送波に対する)変調タイプ(関連する符号化率を含む)、及びデータの伝送に用いられる搬送波の組が指定され、従って、データ伝送に対応するOFDM記号ブロックサイズ(固定及び変動式の両者)が指定される。OFDM記号のブロックは複数の記号を含み、フレームあるいはその一部に対応してもよい。TX構成ユニット52は、チャネルマップデータからTX構成情報を生成する。TX構成情報は、伝送モード、搬送波あるいは各搬送波に対する変調タイプ(関連するFEC符号化率を含む)、記号数及び記号当たりのビット数を含む。TX構成ユニット52は、PHY制御装置76にTX構成情報を提供するが、この制御装置はこの情報を用いてデータFEC符号器34の構成を制御する。構成制御信号に加えて、制御装置76もまた、他の従来の制御信号を、データFEC符号器34、並びにスクランブラ32、変調器36、フレーム制御FEC符号器38、同期化信号発生器40、及びIFFTユニット42に提供する。
【0021】
フレーム制御FEC符号器38は、MACから、PHYとMAC間のインターフェースユニット74を介して、デリミタタイプ、例えば、開始(フレーム開始すなわち“SOF”)、終了(フレーム終了すなわち“EOF”)、及びそのタイプに該当する他の情報等の、デリミタに含まれるフレーム制御情報を受信する。例えば、デリミタが開始デリミタである場合、伝送モード及び他の情報を伝えるためのチャネルマップインデックス、及びフレーム内の(送信される)OFDM記号の数が受信局12bの使用のために提供される。
【0022】
データ受信処理中に、送信ネットワークノード12aによって受信ネットワークノード12bにチャネル上で送信されるOFDMフレームは、PHYユニット22において、AFEユニット26から、AGCユニット54によって受信される。AGCユニット54の出力は、FFTユニット58によって処理される。FFTユニット58の出力は、チャネル推定ユニット60、同期化ユニット62、フレーム制御FEC復号器64、及び復調器66に提供される。また特に、処理済受信データの位相及び振幅値は、チャネル推定ユニット60に提供されるが、このチャネル推定ユニットは、送信ネットワーク局12aにチャネル上で送られてもよい新しいチャネルマップを生成する。次に、チャネルマップは、同じ送信方向での後続の相互通信のために両局によって用いられる(つまり、局12aが局12bへパケット情報を送信している場合、及び局12bが局12aによって送信されるパケット情報を受信している場合)。RX構成ユニット72は、フレーム制御FEC復号器64から、チャネルマップインデックス及びOFDM数を受信し、RXチャネルマップ78bから、フレーム制御FEC復号器64によって提供されるチャネルマップインデックスによって指定されるチャネルマップを検索して、制御装置76に、(チャネルマップパラメータから引き出される)RX構成情報を提供する。RX構成情報は、データFEC復号器68の構成に用いられるために、ブロックの大きさ、及びフレームの復号化に必要な他の情報を含んでいる。同期化ユニット62は、制御装置76にフレーム開始信号を提供する。これらの入力に応答して、制御装置76は、データFEC復号器及び復調器66に、構成信号及び制御信号を提供する。例えば、復調器66に、受信データに対応する変調タイプを伝える。
【0023】
復調器66は、FFTユニット58から受信された処理済データのOFDM記号を復号し、各記号の各搬送波におけるデータの位相角をメートル値に変換するが、このメートル値はデータFEC復号器によって復号化のために用いられる。データFEC復号器68によって、(送信ノードの)データFEC符号器34からデータFEC復号器68に伝送中に生じるビット誤りが訂正され、復調されたデータをスクランブル解読器70に転送するが、このスクランブル解読器は、スクランブラ32が行うことと逆の動作を行う。次に、スクランブル解読器70の出力は、MACインターフェースユニット74に提供され、MACユニット18に転送される。
【0024】
フレーム制御FEC復号器64は、FFT58から符号化されたフレーム制御情報を受信し、制御装置76から制御信号を受信する。フレーム制御FEC復号器64はこれらの入力を用いてフレームデリミタにおけるフレーム制御情報を復号及び変調する。フレーム制御情報は、一旦復号及び変調されると、MACインターフェースユニット74に渡され、MACユニット18に転送される。MACユニット18は、その情報からデリミタがフレーム開始を示すかどうか判断する。フレームの開始が示される場合、RX構成ユニットは、MACユニット18からフレーム制御情報(チャネルマップインデックス及び長さ)を受信して、更に復号化が必要なことを示し、RX構成ユニットは、このフレーム制御情報を用いて、更に復号化するために受信器ユニットを構成するよう制御装置に指示する。
【0025】
簡略且つ明確にするために、PHYユニットにおける送受信器機能ユニットの他の詳細な内容(このことは、当業者には既知のことであり、本発明には関係しない)については、本明細書中では大部分を省略している。
【0026】
図3において、伝送メディア14上で送信ネットワーク局12aによって送信されるデータ伝送フレーム80のフォーマットを示す。データ伝送フレーム80は、MACユニット18から受信されたデータを搬送するペイロード82を含む。このデータは、ヘッダ84、本体86、及びフレーム検査シーケンス部(FCS)88を含む。ローレンス・W・ヨングIII(Lawrence W.Yong
eIII)らによる同時継続出願米国特許出願番号第09/455,186号、表題
“チャネル推定による順方向誤り訂正”、ローレンス・W・ヨングIIIらによる同
時継続出願米国特許出願番号第09/455,110号、表題“高度チャネル推定”、及びローレンス・W・ヨングIIIらによる同時継続出願米国特許出願番号第
09/377,131号、表題“ローバスト伝送モード”において述べられている方式に従って、ペイロード82が、図2に示す機能ユニットによって送受信されることが好ましい。ここで挙げた特許は全て本明細書中で参考として引用するが、他の方式を用いてもよい。前述の米国出願番号第09/377,131号(“ローバスト伝送モード”)では、標準モード及び低データ率ローバストモード(以下、単に“ROBOモード”と呼ぶ)について述べられており、ROBOモードは、(時間及び周波数の)広範な多様性及びデータの冗長性を備え、悪条件下で動作するためのネットワーク局の能力を向上させる。
【0027】
引き続き図3において、更にフレーム80は、一般的にはデリミタ情報と呼ばれる1つあるいは2つのデリミタ90を含む。デリミタ情報90は、ペイロード82の前にあるデリミタ、すなわち開始(あるいはSOF)デリミタ92を含む。開始デリミタ92に加えて、デリミタ情報90は、ペイロード82に続くデリミタ、すなわち終了(あるいはEOF)デリミタ94を含む。開始デリミタ92は、第1プリアンブル96及び第1フレーム制御フィールド98を含む。終了デリミタ94は、第2プリアンブル100、並びに第2フレーム制御フィールド102を含む。プリアンブル96、100は、自動利得制御、時間及び周波数に基づく同期化及び実際の搬送波検出を実行あるいは可能にするために用いられる多重記号フィールドである。プリアンブル96、100は、長さが同じであってもよいし、異なる長さでもよい。EFG104は、デリミタ94とペイロード82を分離する。フレーム80にEFG104を含むかは任意である。
【0028】
更に図3において、ヘッダ84は、セグメント制御フィールド106、宛先アドレス(DA)108、及び送信元アドレス(SA)110を含む。SA及びDAフィールド(各々6バイト)は、IEEE規格802.3に記載された対応するフィールドと同一である。各アドレスは、IEEE48ビットMACアドレスフォーマットある。
【0029】
本体86は、フレーム本体112及びパッドフィールド114を含む。一括して、フィールド108、110、及び112は、MACサービスデータユニット(MSDU)116のセグメント又は全体を表す。従って、MSDUは、MAC層によって提供されるMAC管理情報と共に、上位OSI層(MAC層がサービスを提供するOSI層)によって、MAC層が伝達するように割り当てられた情報を参照する。フレームの最後のセグメントは、パディングが必要であり、確実にセグメントがOFDMブロック全体を満たすようにしてもよい。このように、パッドフィールド114は、セグメントデータビットとセグメント終了部のFCS88間でゼロを提供する。FCS88は、セグメント制御フィールド106の第1ビットからパッドフィールド114の最後のビットまでの全フィールドのコンテンツの関数として演算される16ビットCRCである。一方、パッドフィールド114は、FCS88の後に置かれ、この場合、パッドフィールド114はFCS演算から除外される。
【0030】
ペイロード82は、最大時間長(待ち時間を考慮した場合)及び長さとチャネル条件によって決まる変動バイト容量を有する。従って、ペイロード82は、MSDU全体あるいはMSDUのセグメントのみを含む容量を有してもよい。“長”フレームは、デリミタ92、94、並びにペイロード82を含む。ヘッダ84及びFCS88は両方とも、平文で(すなわち暗号化されていない状態で)送信され、他方、本体86の一部は、オプションとして、暗号化してもよい。ペイロードフィールドは、PHYユニット22に対して、上位バイトを最初に、上位ビット(MSB)を最初に(ビット番号7がMSBのバイト)渡す。開始デリミタ、ペイロード、及び終了デリミタを持つ長フレームを用いて、ユニキャストあるいはマルチキャスト伝送の形態でMSDU情報を伝える。
【0031】
図3にデータ伝送フレームのフレームペイロードをカプセル化するデリミタを示すが、例えば、MACのARQ方式の応答として用いられる場合、デリミタは単独で発生することができる。図4において、応答デリミタ120は、第3プリアンブル122及び第3フレーム制御フィールド124を含む。デリミタのみを含むフレーム、すなわちデータ伝送フレームから別々に送信されるデリミタを含み、受信局によって用いられ、応答が予想されるデータ伝送フレームに応答するフレームは、以下“短”フレームと呼ぶ。
【0032】
他の例示のデリミタは、チャネルへのアクセスを果たすのに用いられる他のタイプの“短”フレーム、例えば、トラフィックが混雑している間に発生する衝突に起因したオーバーヘッドを低減することによって、ネットワーク効率を改善するために用いてもよい“送信要求”(RTS)フレーム等に関連付けてもよい。デリミタは、(通常、等時性のトラフィックに用いられる)TDMA等、他のメディアアクセス機構によって要求される種類の管理情報を含むタイプのものであってもよく、従って、競合志向の必要がない。例えば、TDMAネットワーク伝送であれば、ビーコンタイプのデリミタ(ビーコンデリミタ)を含み、各ノードがフレームを送信及び受信すべき場合に、ネットワークの同期の維持、管理を行う。
【0033】
第1フレーム制御フィールド98、第2フレーム制御フィールド102、及び第3フレーム制御フィールド124は、MACユニット18から受信される制御情報に基づき、変調器36と共にフレーム制御FEC符号器38によって生成される。一般的に、フレーム制御フィールド98、102、及び124は、チャネルアクセスのためにネットワークにおける全ての局で用いられる情報を含み、フレーム制御フィールド98の場合は、受信器復調のために宛先で用いられる情報を含む。フレーム制御フィールド98、102、及び124は、全ての局で聞き取られるようになっているために、フレーム制御フィールド98、102、及び124が、物理層符号化及び変調のローバスト形態を有することが望ましい。他の方式を用いてもよいが、本明細書中では参考として引用する、ローレンス・W・ヨングIIIらによる同時継続出願米国特許出願番号第09/574,959号(
弁理士登録04838/050001)、表題“ローバストOFDMフレーム伝送のためのフレーム制御符号器/復号器”において述べられている方式に従って、これらは、時間及び周波数領域交互配置並びに冗長性で強化されたブロック符合によって、伝送誤りから保護されることが好ましい。
【0034】
一般的に、MACユニット18は、フレーム指示等の標準的なMAC機能をサポートする。また、MACユニット18は、多数の異なる機構によって、サービス品質を保証する。CSMA/CAプロトコルは、最善の努力よりも良い送出を要求するデータタイプ用に遅延を制御する多重レベル優先権方式に対して最適化される。4つの競合に基づくアクセス優先権レベルがサポートされる。競合しようとする各伝送は、等しい優先権の他の伝送と競合するだけでよい。4つのレベルについてのみ述べたが、優先権方式は追加的な優先権レベルを含むように拡張することができる。更に、MACユニット18は、無競合アクセスを提供し、局がメディアアクセスの制御を維持あるいは指示できるようにし、上位優先権にのみ所有権を開放する。セグメンテーションは、チャネルが上位優先権トラフィックに対して利用できない時間量を制限するために用いられ、このようにして、遅延を上位優先権トラフィックに向ける。
【0035】
更にMACユニット18によって、局フレームが転送できるようになり、ネットワーク上の他の局と通信しようとする局が間接的に(他の中間局を介して)通信することができると共に、ネットワーク10と他のネットワーク間のブリッジが可能になる。
【0036】
更に、MACユニット18は、信頼性の高いフレーム送出を行う。MACユニット18は、レート適応型PHY特性及び各送受信器間のチャネル推定制御をサポートし、各方向におけるチャネル条件に対して最適化されるPHY変調パラメータを確立する。また、ARQが用いられることで、ユニキャスト伝送のための送出が保証される。あるフレームタイプの受取りには、受信器による確認応答が必要であり、ARQには、異なるタイプの確認応答が用いられる。確認応答は、受信されたフレームのステータスによって、肯定あるいは否定である。有効なフレーム検査シーケンスを有するフレームが正しくアドレス指定されたフレームによって、受信器が肯定確認応答(あるいは“ACK”)を発信側に送信させる。送信局は、送信が失敗したと分かった又は推定されるフレームを再送信することによって、誤りを訂正しようとする。送信失敗は、衝突あるいはチャネル状態が劣悪であったために、又は受信器側で充分なリソースが欠如しているために発生する。“NACK”(チャネル状態が劣悪である場合)あるいは“FAIL”(リソースが充分でない場合)の応答が受信された場合に、送信が失敗したと認められる。応答が予測される時に応答が受信されない場合は、送信が他の何らかの理由によって(例えば、衝突によって)失敗したと推定される。
【0037】
ユニキャストARQに加えて、“部分ARQ”が、MACレベルでのマルチキャスト及びブロードキャスト伝送の信頼性を高めるために用いられる。この“部分ARQ”によって、送信器は、少なくとも1つの局がフレームを受信したと認知できる。
【0038】
また、MACユニット18は、これから述べるように、暗号化によって共有メディアにプライバシを提供する。
これらの特徴及び他の特徴は、以下の図5ないし8において詳細に説明されるフレーム構造によってサポートされる。
【0039】
図5A及び5Bは、フレーム制御フィールド98及びフレーム制御フィールド102各々のビットフィールドの定義を図示したものである。図5Aにおいて、フレーム制御フィールド98は、競合制御(CC)フィールド130、デリミタタイプ(DT)132、可変フィールド(VF)134、及びフレーム制御検査シーケンス(FCCS)フィールド136を含む。競合制御インジケータビット130は、全ての局によって監視され、次の競合期間(あるいは“窓”)が、待ち状態の上位優先権フレームを除き、全ての上位優先権フレームに対して競合ベースか、あるいは無競合であるかを示す。CC=1、すなわち無競合アクセスを示す場合、競合は、待ち状態フレームの優先権が設定されたCCビットを含むフレームの優先権よりも上位である場合のみ可能となる。CC=0、すなわち競合ベースのアクセスを示す場合、競合は次の競合窓において可能となる。デリミタタイプフィールド132は、デリミタ及び関連するフレームに対する位置を特定する。開始デリミタの場合、デリミタタイプは、2つの値の内一つ、すなわち予測される応答が無いフレーム開始(SOF)と解される値‘000’、あるいは予測される応答があるSOFと解される値‘001’の内1つを有してもよい。開始デリミタタイプのいずれかのデリミタの場合、可変フィールド134は、8ビットのフレーム長(FL)140及び5ビットのチャネルマップインデックス(CMI)142を含むが、これらは、受信局においてPHYデバイス22によって用いられ、受信されたフレームペイロードを復号化する。フレーム検査制御シーケンス(FCCS)フィールド136は、8ビットの巡回冗長検査(CRC)を含む。FCCSは、CCビットで始まり、VFビットで終了するシーケンスの関数として演算される。
【0040】
図5Bにおいて、フレーム制御フィールド102は、同じ一般フィールドフォーマットを含む、すなわちフィールド130、132、134、及び136を含む。DTフィールドは、2つの値の内一つ、すなわち予測される応答が無いフレーム終了(EOF)に対応する値‘010’、あるいは予測される応答があるEOFに対応する値‘011’のうち1つを有してもよい。こうした終了デリミタタイプのいずれの場合でも、可変フィールド134は、2ビットのチャネルアクセス優先権(CAP)144、予測される応答がある1ビットの応答(RWRE)フィールド145、及び10ビットの予約フィールド146を含む。CAPフィールド144は、ネットワークにおける全ての局によって用いられ、多重セグメント伝送あるいは(一般的にCCビットが設定された)バーストの割込みが可能かどうかを判断する現セグメント情報に対応する優先権レベルを示す。RWREフィールド145は、2つの応答が続くことを示すために用いられる。予約フィールド146は、送信器によってゼロに設定され、また受信器には無視される。
【0041】
再び図5Aにおいて、開始デリミタのフレーム制御フィールド98に異なる定義(例えば、異なるフィールド長、フィールドの追加あるいは省略)を与えてもよいことがわかるであろう。例えば、終了デリミタが用いられない場合は、開始デリミタ92のフレーム制御フィールド98において、CAPフィールド144(図5Bにおけるフレーム制御フィールド102に示す)等の追加情報を含むためにこの利用可能なビットを用いることが望ましい。
【0042】
図6において、(図4の)応答デリミタ120のフレーム制御フィールド124は、フレーム制御フィールド98、102と同じ一般フィールドフォーマットを含む。しかしながら、応答に対応するDT値(下表1を参照)の場合、VFフィールド134は、応答が生成されるフレームの終了デリミタにおける可変フィールドからコピーされるチャネルアクセス優先権(CAP)、1ビットのACKフィールド145、及び応答フレームフィールド(RFF)146を含む。RFF146は、ACK値=0b01(ACK)の場合、受信フレーム検査シーケンス(RFCS)148として定義される。RFCS148は、応答が送られているフレームにおいて受信される16ビットのCRC(FCSフィールド)の最下位の10ビットに対応する部分を含む。応答を要求するフレームを送る送信局は、FCSの対応する送信されたCRCビットに対してRFCSを比較し、応答の有効性を判断する。送信局が一致を検出した場合は、応答が受け取られる。RFCSがFCSの関連部分と一致しない場合、応答は無視され、応答が受信されなかったかのように扱われる。フレームに対して同様に固有である、あるいは固有であると思われる(応答を要求した)フレームからの他の情報を代わりに用いることができる。ACK値=0b0の場合、応答はACKではなく、RFF146が1ビットのFTYPEフィールド149及び予約(RSVD)フィールド150として定義される。FTYPEフィールド149によって、応答のタイプが指定される(ACK以外の場合)。FTYPEフィールド149における値0b0はNACKを示す。FTYPE=0b1である場合は、応答タイプはFALLである。応答デリミタに対するDTフィールド値については、下表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004834253
【0044】
図5A、5B、及び図6において、可変フィールド134の内容は、デリミタタイプ132に左右される。図5A、B、及び図6に例示したフレーム制御フィールドにおいて、CCフィールド130は1ビット長であり、ビット24に対応する。DTフィールド132は3ビット長であり、ビット23乃至21に対応する。VFフィールド134は13ビットのフィールドであり、ビット20乃至8に対応する。FCCSフィールド136は8ビット長であり、最下位バイト(LSB)、すなわちビット7乃至0に対応する。
【0045】
図7において、セグメント制御フィールド106(図3から)は40ビットのフィールドであり、MSDUセグメントを受信しセグメンテーションされたMSDUの再組立てを行うために必要なフィールドを含む。セグメント制御フィールド106は、以下のサブフィールドを含む。すなわち、フレームプロトコルバージョン(FPV)160、フレーム転送(FW)フィールド161、接続番号(CN)162、マルチキャストフラグ(MCF)164、チャネルアクセス優先権(CAP)166、チャネル推定(CE)フィールド167、セグメント長(SL)168、最終セグメントフラグ(LSF)170、セグメントカウント(SC)172、及びセグメント番号(SN)174、を含む。FRVフィールド160は、使用されるプロトコルバージョンを示すために用いられる3ビットのフィールドである。例えば、プロトコルの特定バージョンの場合、送信器はそのフィールドを全て0に設定し、(復号化後の)フィールドが0でない場合、受信器はそのフレームを破棄する。FWフィールド161は、設定時に、フレームが転送されることを示すために用いられる。CNフィールド162は、2局間の接続に割り当てられる接続番号を指定する。MCF164は、DAフィールド108の解釈に係らず、フレームがマルチキャストペイロードを含むことを示す(従って、これから述べるように、受信器は、受取るためにフレームの有効性を判断する際、実際のDAを他の場所から探さなければならない)。以下において更に詳述するが、このフラグによって、MACが部分ARQ方式を実行することができる。CAPフィールド166は、終了デリミタ102及び応答デリミタ124(図5B及び6にそれぞれ示す)の可変フィールド134における同様に命名されたフィールドと同一である2ビットのフィールドである。この情報は、受信器がこの情報を抽出して、終了デリミタ94を受信することなく応答を構築できるように、セグメント制御フィールド106において繰り返される。(以下に述べるように)CEフィールド167は、受信器によって用いられるフラグであり、送受信器の接続用に新規チャネル推定巡回が推奨されていることを送信器に示すためのものである。SLフィールド168は、フレーム本体112にバイト数を含む(従って、PAD114は除外する)。最終セグメントフラグ170は、現セグメントがMSDUの最終(あるいは唯一の)セグメントである場合に設定される1ビットのフラグである。セグメントカウントフィールド172は、送信されたセグメント(あるいはセグメント群)の逐次増分カウントを格納して、MSDUのセグメンテーション及び再組立てのために用いられる。SNフィールド174は、MSDU(MSDUがセグメンテーションされている場合は、その各セグメント)に対応する10ビットの連続番号を維持し、新規の各MSDUに対してインクリメントされ送信される。また、SNフィールド174は、再組立て及びそれに対応するフレームが2回以上LLCに渡されないようにすることにも用いられる。
【0046】
図8において、フレーム本体フィールド112は、以下のサブフィールドを含んでもよい。すなわち、暗号化制御180、MAC管理情報182、タイプ184、フレームデータ186、PAD188、及び完全性検査値(ICV)190を含んでもよい。フレームがセグメンテーションを受ける場合、様々なセグメントに分割されるのはフレーム本体フィールド112である。暗号化制御サブフィールド180及びICV190は、フレーム本体フィールドがセグメンテーションを受ける場合を除いて、全てのフレーム本体フィールド112に存在する。フレーム本体フィールド112の他のサブフィールドは、各フレームにおいて出現しなくてもよい。
【0047】
暗号化制御フィールド180は、暗号キー選択(EKS)サブフィールド192及び初期化ベクトル(IV)サブフィールド194を含む。1オクテットのEKSフィールド192は、デフォルトの暗号化/暗号解読キー(EKS=0x00)か、あるいは255のネットワークキーの1つか、そのいずれかを選択する。8オクテットのIVフィールド194は、選択されたキーと合わせて用いられ、フレームデータの暗号化/暗号解読を行う。暗号化あるいは暗号解読されるデータは、IVフィールド194に続く最初のバイトで始まり、ICV190(を含み)で終わる。IVフィールドを全て0に設定することによって、送信器は暗号化を飛び越し、受信器は暗号解読を飛び越す(すなわち、送受信は平文で行われる)。
【0048】
タイプ184及びフレームデータ186は、MSDUを搬送する全てのフレームにおいて存在する。必要とされるパディングの量(すなわち、フレーム本体112に加えられるビット数)は、SCフィールド106のセグメント長168から判断され、処理系に依存する。ここで述べた実施例においては、暗号化によって、64ビットで割り切れるブロックに与えられるデータが処理されるために、パッドフィールド188によって、ゼロがフレーム本体112に加えられ、フレームにおけるビット数は64ビットの整数倍となる。ICV190は、IVに続く最初のバイトで始まり、PADフィールド188(PADフィールド188が存在する場合)で終わるバイト上において演算される32ビットの巡回冗長検査である。ICV190を演算するために用いられる多項式は、IEEE規格802.11において用いられる32ビットのCRC−CCITT多項式であるが、例えば他の多項式に基づくCRC等の他のCRCが用いられてもよい。別の処理系においては、暗号化された情報は、ICV190を含まなくてもよい。
【0049】
フレームが誤って暗号解読された場合、ICVフィールド190は、フレームをフィルタリングするために(すなわち、暗号解読されたフレームがLLCに渡らないようにするために)、受信器によって用いられる。例えば、EKSが固有ではなく、2つ以上のネットワークキーによって実際は共有されている場合、フレームは、不正なネットワークキーで暗号解読される。異なる論理ネットワークが、同じEKSを異なるネットワークキーに対して選択する場合、この共通キーが存在することがある。
【0050】
フレーム本体112は、MAC管理情報182を含んでもよい。このフィールドがフレーム本体112に存在する場合、そのフォーマット及び内容は以下の通りである。
【0051】
図9において、MAC管理情報182は、以下のサブフィールドを含む。すなわち、タイプ200、MAC制御(MCTRL)202、及びN項目フィールド204を含み、またこの各項目フィールド204は、MAC項目ヘッダ(MEHDR)206、MAC項目長(MELEN)208、及びMAC管理項目データ(MMENTRY)210を含む。タイプ200によって、フレームがMAC管理情報を含み、MAC管理情報フィールドが続くことが指定される。MELEN208は、現行項目フィールド204の対応するMMENTRY210に何バイト含まれるかを指定し、次の項目フィールド204に対するポインタとなる。
【0052】
図10において、MCTRLフィールド202は2つのサブフィールドを含む。すなわち、1ビットの予約フィールド212、及び第2の、7ビットのフィールドの、MAC管理情報において続くMAC項目の数(NE)204を示す項目数(NE)フィールド214を含む。
【0053】
図11において、MEHDRフィールド206は2つのサブフィールドを含む。すなわち、MAC項目バージョン(MEV)216、及びMAC項目タイプ(MTYPE)218を含む。MEV216は、使用される解釈プロトコルバージョンを示すための3ビットのフィールドである。送信器によって、MEVは全てゼロに設定される。受信器がMEV≠0b000と判断した場合、受信器は、層管理MACフレーム全体を破棄する。5ビットのMAC項目タイプ218によって、MAC項目命令あるいはそれに伴う要求が定義される。各MAC項目タイプの値及び解釈については、表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004834253
【0055】
また、表2は、列3乃至5において、項目が局のMACによって上位層からMACによるローカルな使用のために受信されるかどうか(列3)、項目がデータフレーム(すなわち、MSDUあるいはMSDUセグメント)に対して、メディア上で送信されるために付加されるかどうか(列4)、あるいは項目がデータフレーム無しでメディア上において送信されるかどうか(列5)を示す。
【0056】
図12Aにおいて、要求チャネル推定を指定する(MEHDRフィールド206における)MTYPE218に伴うMMENTRYフィールド210は、要求チャネル推定MAC管理項目210Aである。要求チャネル推定項目210Aは、チャネル推定バージョン220及び予約フィールド222を含む。CEV220がゼロとならない場合は、この項目は無視される。
【0057】
図12Bにおいて、(図12Aの)要求チャネル推定MAC管理項目210Aによって、受信局が、応答チャネル推定MAC管理項目210Bの形態でチャネル推定応答を返す。このフィールドはMMENTRYフィールドであり、チャネル推定応答を指定するMTYPE218に続く。チャネル推定応答項目210Bは、チャネル推定要求を受信した後、受信器によって送られる可変長のMACデータ項目である。以下において述べるように、このシーケンスは、MACチャネル推定制御機能の一部である。
【0058】
引き続き図12Bにおいて、チャネル推定応答項目210Bのサブフィールドは以下を含む。すなわち、チャネル推定応答バージョン(CERV)224、予約(RSVD)226及び228、(CMI142において要求側によって挿入される)受信チャネルマップインデックス(RXCMI)230、有効トーンフラグ(VT)232、FEC率(RATE)234、ブリッジプロキシ(BP)236、変調方法(MOD)238、もう1つの予約フィールド240、ブリッジされた宛先アドレス(NBDAS)242、及び1乃至nのブリッジされた宛先アドレス(BDAn)246を含むブリッジされた宛先アドレス244を含む。RXCMIフィールド230は、チャネル推定応答を返す局の送信元アドレスに対応する値を含む。従って、この応答を受信する局は、応答側に送信する際に、フレーム開始デリミタ98のCMIフィールド142にその値を挿入する。有効トーンフラグ232は、特定のトーンが有効(VT[x]=0b1)か、あるいは無効か(VT[x]=0b0)どうかを示す。RATEフィールドビット234は、重畳の符号化率が1/2(RATE=0b0)か、あるいは3/4か(RATE=0b1)どうかを示す。ブリッジプロキシビット236は、チャネルマップが1つ以上の宛先アドレスに対してプロキシ化されていることを示す。NBDAS242は、プロキシ化された宛先アドレスの数を示し、BDA1...n246の各々は、異なる宛先アドレスを含む。MODフィールド238は、4つの異なる変調タイプの内1つを指定する。すなわち、ROBOモードに対応するMOD値‘00’、DBPSK変調に対応するに対応するMOD値‘01’、DQPSK変調に対応するMOD値‘10’、予約値であるMOD値‘11’(送信に用いられる場合は、受信時は無視される)の内の1つを指定する。
【0059】
ネットワーク10において、チャネルあるいは局12の内任意の2局間接続は、トーン(搬送波)の実行可能性、及び様々な変調タイプの受容性に対して、固有なものであり得る。従って、MACユニット18はチャネル推定制御機能提供し、チャネルの属性を明らかにする。チャネル推定機能によって、データ伝送率が最大となるように二地点間での送信器と受信器の接続が展開また維持される。マルチキャスト伝送はROBOモードで行われ、送信器と受信器との間のチャネル特性には依存しない。また、有効なチャネルマップが存在しない特定の宛先アドレスに対するユニキャスト伝送も、ROBOモードで行われる。
【0060】
接続が新規である場合(送信器が受信器とそれまで通信をしていない、すなわち等価的に、有効チャネルマップがDAに対して存在しない場合)、送信器は、受信器にROBOモードでフレームを送信する前のフレームにMSDUを有するチャネル推定要求MAC項目210A(図12A)を含む。チャネル推定要求MAC項目210Aを受け取る際、受信器は、(40個の記号の)最初に受信されたブロックあるいはセグメントの多重ブロック、あるいは更にフレーム全体の特性を解析して、その接続にとって最善のトーンの組合及び最適な変調タイプを判断する。この解析は、CEユニット60によって、受信局のPHYデバイス22(図2)において実行され、上記で参考にした米国特許出願番号第09/455,110号において述べられているチャネル推定処理に従って実行されることが好ましい。受信局は、チャネル推定応答MAC項目210B(図12B)におけるチャネル推定に起因するチャネルマップを返す。また、チャネル推定応答MAC項目210Bも、チャネルマップがその方向に存在しない場合、ROBOモードで送信される。この応答を受け取る際、送信器は、(図5A、デリミタ98におけるCMI142に提供される)対応するチャネルマップインデックスと共に、(チャネルマップインデックスが対応する)チャネルマップが有効である間更にDAに対して送信するために、その応答において指定されるチャネルマップ「有効トーンフラグ232、FEC率234、及び変調238」を利用する。
【0061】
接続が新規でない(すなわち、前回のチャネル推定巡回が実行された)場合、チャネルマップは、例えば、推定タイムアウトの後、あるいはまた、(受信器によって判断される)最適なデータ率を表さなくなると、失効状態になっている。推定タイムアウトになると、この接続上で引き続き何らかの伝送が行われることによって、新規のチャネル推定巡回が発生することによって、接続が最適な状態で確実に維持されるようになる。受信器によって、チャネル状態が向上しているか、あるいは悪化しているかが(誤り数の減少と誤り数の増加を各々検出することによって)判断される場合、この送信器には、新規のチャネル推定が発生したと告げられる。受信器は、送信器に送られるフレームにおけるセグメント制御106(図7)においてCEフラグ167を設定することによって、その勧告を行う。セットCEフラグ167を有するフレームを受け取ることによって、送信器が、ROBOモードで送られるフレームを用いてチャネル推定を開始する。他方、受信器は、MAC管理項目を用いてこの勧告を行うことが可能である。また、これから述べるように、送信器が再送信中にROBOモードになるように要求された場合、フレーム送信中にチャネル推定が修復手順の一部として行われる。
【0062】
図13A、Bにおいて、接続情報要求及び接続情報応答のタイプを指定する、MTYPE218に伴うMMENTRYフィールド210は、各々接続情報要求210C(図13A)及び接続情報応答210D(図13B)である。図13Aにおいて、接続情報要求フィールド210Cは、宛先アドレス(DA)フィールド247を含む。DAフィールド247によって指定されるDAは、要求を行う局が接続情報を求めている局のアドレスである。図13Bにおいて、接続情報応答フィールド210Dは、接続情報要求210Cにおいて同様に命名されたフィールドによって指定されるDAのコピーを含むDAフィールド248を含む。更に、接続情報応答フィールド210Dは、DAに対する応答側のTXチャネルマップに基づく40記号ブロックにおいてバイト数(あるいはまた、最長フレームにおけるバイト数)を指定するバイトフィールド249を含む。図40乃至46において後述するように、接続情報要求及び応答は、フレームの転送に用いられる。
【0063】
図14において、セットローカルパラメータフィールド210Eは、ローカル局のMACアドレス250(MA[47乃至0]はIEEE48ビットMACアドレスフォーマットである)及びトーンマスク252を設定する17バイトのデータ項目であるが、このトーンマスクは、ネットワークによって使用可能なトーンを示す。使用されないトーンは、トーンに適用される信号を有さない。トーンマスク252は、指定のトーンが使用可能か(TM[x]=0b1)、あるいは使用不可か(TM[x]=0b0)どうかを示す84ビットの使用可能なトーンフラグを含む。TM[0]は最低周波数トーンに対応する。
【0064】
図15において、置換ブリッジアドレス項目タイプを指定するMTYPE218に伴うMMENTRYフィールド210は、置換ブリッジアドレス項目フィールド210Fである。項目フィールドは、他のメディア上にあって、ブリッジを介してアクセスされる局の原宛先アドレス(ODA)260を識別する6バイトを含む。更に項目フィールド210Dは、他のメディア上にあって、ブリッジを介してアクセスされる局の原送信元アドレス(OSA)262を識別する6バイトを含む。この項目を受信する局は、これらのフィールドを用いて、原イーサネットフレームを再構築する。ブリッジングプロキシ機構については、図32乃至37において更に詳細に述べる。
【0065】
図16において、セットネットワーク暗号化キーを指定するMTYPE218に伴うMMENTRYフィールド210は、セットネットワーク暗号化キー項目210Gである。項目210Gは、暗号化キー選択(EKS)266及びネットワーク暗号化キー(NEK)268を含む。これらのフィールドが適用されるMACのプライバシ機構は、図29乃至31において後述する。
【0066】
図17において、応答を有するマルチキャストを指定するMTYPE218に伴うMMENTRYフィールド210は、応答を有するマルチキャスト項目210Hであり、またマルチキャスト伝送用として部分ARQをサポートするために用いられる。応答を有するマルチキャスト項目210Hは、マルチキャスト宛先アドレス272(あるいはまた、マルチキャスト宛先アドレスのグループを表す少なくとも1つのマルチキャスト宛先アドレス)及びその項目におけるマルチキャスト宛先アドレスの数に対応するマルチキャスト宛先アドレス(MDA)カウントフィールド274を含む。(図5A、5Bにおいて)上述したように、この項目が用いられる場合、フレームヘッダ84(図3)におけるDA108は、マルチキャスト宛先アドレス272に対するプロキシであり、デリミタタイプが応答要求タイプである場合、応答を生成する。
【0067】
図18において、連結タイプを指定するMTYPE218に伴うMMENTRYフィールド210は、連結項目210Iである。この項目によって、ホストが、同じCAPを有する特定の宛先に送出するための多数の短いフレームを連結する機構が提供される。このことによって、ネットワークの処理能力が高まるが、これは、各フレームに対応する固定オーバーヘッドが与えられた場合、短いフレームは効率的ではないためである(例えば、SOFデリミタ、EOFデリミタ、応答、並びに後述の異なったフレーム間の間隔)。連結MMENTRYデータフィールド210Iは、以下のフィールドを含む。すなわち、共に連結されるフレームの数を示すためのNFフィールド276、及び項目に存在する各フレームの場合、移動長(RL)フィールド277、ペイロード(フレーム)長フィールド(FRAMELEN)278、及びペイロードフィールド279を含む。RLフィールドは、設定される(RL=0b1)場合、フレーム用のFRAMELENフィールド278を除去して原フレームを抽出するように、受信器に対して示す。RLフィールドの中身を用いて、フレームにおける原タイプフィールドが実際にフレーム長を指定する場合、フレーム長フィールドの重複を防止する。RL=0b0である場合、FRAMELENフィールド278は、そのフレーム用の原タイプフィールドであり、従って、原フレームの一部である。この項目がMAC層管理情報182に含まれる場合、それが最終項目になる。この項目の存在によって、ペイロードフィールド184及び186が用いられることはない。項目がこのタイプである場合、MELENは、全長が指定されないために受信器がFRAMELENの各発生を調べて原フレームを抽出するように受信器に対して示すある値、例えば1に設定される。
【0068】
図示はしていないが、要求パラメータ及び統計値並びに応答パラメータ及び統計値を指定するMTYPE値に対応する項目(上表2に記述)は、局指定のパラメータ及び診断目的に有用であるネットワーク性能の統計値を収集するために用いられる。
【0069】
他のMAC管理項目タイプも同様に定義及び使用が可能である。
再び表2において、セット接続及び使用接続並びに擬似フレームに対するMTYPE値に対応する項目が用いられて、CSMAネットワークにおけるQoS用の無競合間隔のセッションをサポートする。擬似フレーム項目は、この項目が含まれているフレームのフレームペイロードが破棄されることを、受信器に対して示す。セット及び使用接続の項目のフォーマット及びこれらの項目(並びに擬似フレーム項目)を用いる無競合アクセス機構の動作については、図39A、39B、及び図37、38各々において以下において詳述する。
【0070】
MACユニット18によって使用されている方式等の分散メディアアクセス方式において、送信局12aは、搬送波検出機構を介して伝送メディア14を検出して、他の局が送信しているかどうかを判断する。搬送波検出は、分散アクセス手順の基本部分である。物理的な搬送波検出は、プリアンブルの検出とパケット本体によるOFDM記号の追跡によってPHYによって行われる。PHYによってMACに提供される物理的搬送波検出信号送信に加えて、MACもまた、タイミング精度を向上するために、仮想搬送波検出(VCS)を用いる。VCS機構は、(VCSタイムアウト値を維持するための)タイマ及びフラグを用いて、フレーム制御フィールドに表される情報に基づく予測されるチャネル占有継続期間を追跡する。従って、物理的あるいは仮想搬送波検出のどちらかがビジーと示しても、メディアがビジーであると考えられる。メディアはまた、局が送信中の場合はビジーであると考えられる。
【0071】
図19A乃至19Dにおいて、チャネル上での優先権解決及びビジー状態に伴う競合を利用するメディア共有方式を示す。接続インタースペースフレームスペース(CIFS)280は、応答が予測されない最終の正常に受信されたフレーム伝送の終了部と、新規の伝送のための優先権を解決するために用いられる優先権解決期間(PRP)284の開始部との間のフレーム間スペーシングを定める。図19Aにおいて、最終フレーム伝送は、データフレーム伝送80の形態で行われる。優先権解決期間284は、第1優先権解決スロットP0 286、及び第2優先権解決スロットP1 288を含む。チャネルアクセス優先権(CAP)には4つのレベルがある。すなわち、最上位の優先権はCA3=0b11で示され、最下位の優先権はCA0=0b00で示される。下表3は、優先権解決スロット286及び288に対するCAPを表にしたものである。
【0072】
【表3】
Figure 0004834253
【0073】
IEEE802.1規格の現行バージョンには、ブリッジングされたネットワーク環境におけるユーザ優先権及びアクセス優先権の使用方法について記載されている。ユーザ優先権とは、アプリケーションのユーザが要求し、そのトラフィックに対応する優先権である。アクセス優先権とは、MACが提供する分化されたトラフィッククラスの数である。下位条項7.7.3、802.1Dによって、トラフィッククラスに対するユーザ優先権を表にしたものが定められている。本明細書中で述べる5つに分化されたトラフィッククラス、すなわち、4つのチャネルアクセス優先権(CA0乃至CA3)と無競合アクセスに対応するクラスは、1対1で、トラフィッククラス0乃至4に対応する。
【0074】
引き続き図19Aにおいて、任意のバックオフ間隔292の後にある競合窓290の間に特定の優先権で競合するという意図は、競合解決スロットC、・・・、Cによって表され、以下の様に優先権解決期間284において信号送信される。チャネルへのアクセスを要求する局によって、フレーム制御フィールドに含まれるPRP284(本例の場合、図5Bにも示すデリミタ94)の直前にデリミタが、セット競合制御ビット130を受信したかどうか、またCAPフィールド144において、PRP284における局によってそれ以外の場合示される優先権以上の優先権を指定したかどうかが判断される。そうである場合、局は、現行PRPにおいて競合する意図の表示を取り止める。代わりに、局はVCSの値を更新し、拡張フレーム間スペース(EIFS)の継続期間、あるいは次の伝送の終了を検出するまでの、どちらか先に発生した方の間待機する。
【0075】
図19Bに、PRP284にすぐ続く例示の無競合伝送フレーム294を図示する。この例の場合、無競合状態が、デリミタ92におけるセット競合制御ビット130を用いて、先行競合窓290の間に競合に勝つことによって、データ伝送フレーム80を送った局によって確立されている。
【0076】
これ以外の場合、再び図19Aにおいて、局はPRP284の間にそれ自身の優先権を信号送信する。P0 286の間に、優先権がスロット0において2進数1(すなわち、CA3あるいはCA2)を要求する場合、局は優先権解決記号を主張する。一方(下位優先権の場合)、優先権解決記号が他の局によって送信されたかどうかがその局によって検出される。P1 286の間に、局が最終スロットにおいて信号送信して、局の優先権が、局がこのスロットにおいて信号送信することを要求する場合、局はそのようにする。局がP1 スロット288ではなく、P0 スロット286において信号送信し、他の局がこのスロットにおいて信号送信していることを検出する(P1 スロット288の間に)場合、上位優先権局に従い、競合窓290の間に伝送を取り止める。また、局は(後述する約束事に従い)適正な値でVCSを設定する。局がP0 スロット286において信号送信せず、他の局が信号送信したことを検出した場合、P1 288における送信あるいは競合窓290における送信を取り止める。再び、適正な値でVCSを設定する。従って、局が信号を主張しなかったスロット286、288の内1つにおいて、優先権解決記号を検出した場合、局は、残りのスロット286、288の一つにおける送信又は競合窓290における送信を取り止める。このように、各局は、送信待ち状態の最上位レベルの優先権を判断し、自分自身の待ち状態の送信が下位優先権に属する場合、各局は送信を延期する。優先権信号送信が完了して、局が上位優先権によって先を越されなかった場合、これから述べるように、バックオフ手順に従って競合窓290においてアクセス競合する。
【0077】
図19Cにおいて、最終データ伝送80が要求し、応答124を伴う場合、局は、応答フレーム間スペース(RIFS)298の間待機する。すなわちデータフレーム伝送80の終了部と対応する応答124の開始部との間の時間待機する。CIFS280は応答124に続く。チャネルの所有権が交換に関わる局によって維持されるように、多くのプロトコルによって、最短のフレーム間スペースが応答に割り当てられる。MACは、フレームヘッダの情報を用いて、応答が予測されるかどうかを局に通知する。応答が予測されない場合、CIFSが実効状態になる。
【0078】
図19Dに、応答後行われる例示の無競合伝送を図示する。本例の場合、無競合状態が、セット競合制御ビットを有する最後のデータ伝送80を送った局によって確立される。(従って、セット競合制御ビットを有する応答124が返され、先の競合窓290の間に競合に勝つ。)
上述の拡張フレーム間スペース(EIFS)は、最大フレーム時間(すなわち、記号における最大許容フレーム長及びデリミタ(群)×記号時間)及び応答時間(記号における応答長×記号時間)に、PRP、CIFS、及びRIFSを加えることによって演算される。(上記で検討したように)無競合アクセスに対して割込みをかけることができない場合、EIFSは、局によって用いられる。また、局が、メディアの状態を完全には把握していない場合もEIFSは用いられる。局が2つの他の局間でのフレーム交換の内片方のみを聞き取る場合、又は局が初めにネットワークにアタッチされる場合、あるいは受信されたフレームの誤りによって明瞭に復号できなくなった場合、こうした状態が起こり得る。EIFSは、他のフレーム間のスペースよりもかなり長く、こうした状態のいずれかが起きる場合、進行中のフレーム伝送あるいはセグメントバーストに対して衝突を防止する。メディアが最小EIFSのために空き状態であった場合、チャネルアクセス競合は必要ではなく、フレームは直ちに送信されてもよい。
【0079】
再び図19A及び19Cにおいて、バックオフがまだ実行状態ではなく、又新しいランダム値が必要でない場合、局はランダムバックオフ時間292を生成して、遅延を追加する。バックオフ時間は以下のように定義される。
【0080】
バックオフ時間=ランダム()*スロット時間 (1)
ここで、ランダム()は、区間[0、競合窓]からの均一に分散された擬似ランダム整数であり、競合窓(CW)値は、最小値7から最大値63まで変動し、スロット時間は所定のスロット時間として定義される。バックオフ手順を入力する局は、そのバックオフ時間を上述したように設定する。
【0081】
MACユニット18は、チャネルアクセスを制御するために、多数のタイマ、カウンタ、制御フラグ、及び他の制御情報を維持する。バックオフ時間値は、バックオフカウンタあるいはカウント(BC)によって維持され、物理的及び仮想搬送波検出両方が空き状態であると判断する各スロット時間に対して、1ずつデクリメントされる。BCは、搬送波検出がアクティブである全てのスロットに対して一時停止される。伝送は、BCが0までデクリメントした場合行われる。VCS値はVCSタイマによって維持され、仮想搬送波ポインタフラグ(VRF)によって解釈される。VCSタイマ値は、有効フレーム制御情報が送受信されるたびに更新され、フレームが待ち状態ではない場合も更新される。VCSがEIFSに設定される状態が起こらない場合、有効フレーム制御情報が受信される度にVPFは1に設定される。VCSがEIFSに設定される場合、VPFはゼロに設定される。VPFが1に設定される場合、VCS値は次の競合を指し示す。VPFがゼロに設定される場合、VCS値はネットワークの空き状態時間を指し示す。VCS及びVPFの設定については、図4において以下更に詳述する。
【0082】
また、全ての局は、送信カウンタ(TC)、延期カウンタ(DC)、バックオフ手順カウンタ(BPC)、NACK応答(NACKカウント)カウンタ、及び“無応答”カウンタ(NRC)を維持する。全てゼロに初期設定される。TCは、フレーム送信毎にインクリメントされる。BPCは、バックオフ手順が呼び出される度にインクリメントされる。NRCは、応答が予測される場合応答が受信されない度にインクリメントされる。また、MACユニットはフレームタイマ(“FrmTimer”)を維持し、最大フレーム寿命時間値で設定される。送信される(あるいは再送信される)パケットは、送信中を除いて(応答間隔を含む)、FrmTimerが期限切れになる(ゼロに達する)場合、放棄される。
【0083】
CWは初期値に7をとり、伝送が失敗する度に、あるいはDCがゼロになる場合、2進数の指数級数における次の値をとる。CW及びBPCは、伝送が成功した後、また(TCがその最大許容閾値に達するか、あるいはフレームがFrmTimerの最大寿命時間を超えるために)伝送がアボートされた場合リセットされる。ACKが予測される場合にACKが受信される全ての伝送の後、あるいは応答確認がなされないサービスに対して伝送が完了した後、TCは、ゼロにリセットされる。CWに対するべき乗打切り級数は、2n −1で定義されるが、ここでnの範囲は3から6である。CW及びDCは、次の規則に従がってBPC値に基づいて設定される。すなわち、初期伝送(BPC=0)の場合、CW=7及びDC=0、第1伝送(BPC=1)の場合、CW=15及びDC=1、第2伝送(BPC=2)の場合、CW=31及びDC=3、第3及び後続の伝送(BPC>2)の場合CW=63及びDC=15である。
【0084】
VPFに加えて、MACユニット18もまた、フレーム制御フィールド98,102、及び124における同様に命名されたフィールドのCCビットに対応して、競合制御(CC)フラグを格納し、維持する。CCフラグは、受信された各デリミタにおけるフレーム制御情報に基づいて、設定あるいはクリアされ、また、VCS値がゼロに達し、VPFがゼロになる場合もクリアされる。値がゼロの場合は、通常の競合であることを示す。値が1の場合は、上位優先権レベルが待ち状態でない限り、競合が無い(すなわち無競合アクセス)ことを示す。
【0085】
図20において、フレームあるいはパケットの到着時間によって、局がPRP及び競合窓信号送信にどの程度参入するかが決まる。パケット到着時間(すなわち、パケットがPHYで伝送待ち行列に入り、そのため“待ち状態”であると判断される時点)が他のパケットが伝送されている間、あるいは後続のCIFS間隔(第1パケット到着時間300として示す)の間に発生する場合、送信しようとする局は、既述のチャネルアクセス手順に従って、PRPスロット286、288及び競合窓290に参入する。フレームが、MACによってP0 286の間に伝送待ち行列に入る(第2パケット到着時間を302として示す)場合、局は、優先権解決のための上述した規則の下で、フレームの優先権が先取りされてしまっていない限り、P1 スロット288に参入できる。局が優先権解決の結果に基づいて競合できる場合、フレームはバックオフ手順に続くことができる。フレームが、P1 288あるいは競合窓290の間に伝送待ち行列に入る(第3パケット到着時間を304として示す)場合、局はPRPには参入できないが、送信されるフレームの優先権が優先権解決のための上述した規則の下で先取りされない限り、競合窓290の間にバックオフ手順に続く。
【0086】
応答を要求するフレームを送信した後、送信器は応答間隔の間待機した後、フレーム伝送が失敗したことを判断する。フレームの受信が応答間隔の終了までに開始されない場合、送信器はそのバックオフ手順を呼び出す。フレームの受信が開始された場合、局は、フレーム終了を待ち、フレーム伝送が成功したかどうかを判断する。有効ACKの受信は、フレーム伝送の成功を判断し、次のセグメントで開始するか、あるいは伝送の成功を報告するために用いられる。有効NACKを受信することによって、送信器がフレームを伝送するためのバックオフ手順を呼び出して、BPCをゼロにリセットする。送信器が有効FAILを受信する場合、送信器は、所定の期間遅れた後、BPCをリセットし、バックオフ手順を呼び出す。有効であっても無効であっても他のフレームが受信された場合は、伝送が失敗したものと判断される。局は、受信が終了する時点でバックオフ手順を呼び出し、受信されたフレームを処理する。
【0087】
送信局は、フレーム交換が成功するか、あるいは適正なTCリミットに達するまで、すなわち送信寿命時間(Frmtimer)を超えるまで、再送信を続ける。局は、送信される各フレーム毎に送信カウントを行う。TCは、フレームが伝送される度にインクリメントされる。この送信カウントは、フレームが成功裏に送信された場合、あるいは再送信リミットあるいは送信寿命時間を超えてしまったためにフレームが破棄される場合、ゼロにリセットされる。
【0088】
上述したように、VCSタイマを全ての局が維持して、チャネルアクセスの信頼性を向上させる。VCSタイマは、フレームデリミタのフレーム制御フィールドに含まれる情報に基づいて設定される。局はこの情報を用いて、メディアの予測されるビジー状態を算出し、この情報をVCSタイマに格納する。VCSタイマは、全ての正常に受信されたフレーム制御フィールドからの情報で更新される。受信局は、指定されたデリミタタイプの受信に基づく表4に定義される規則に従うが、ここで、フレーム長は記号の数で測られている。
【0089】
【表4】
Figure 0004834253
【0090】
また、VCSタイマも、局がアクセス競合できないことを判断する場合、PRPが終了した時点で更新される。
上述したように、MACユニット18は、セグメンテーション/再組立てをサポートする。ホストからのMSDUを更に小さいMACフレームに分割する処理のことを、セグメンテーションと呼ぶ。その逆の処理を再組立てと呼ぶ。セグメンテーションによって、厳しいチャネル上でのフレーム送出の機会が改善され、上位優先権の局に対するより優れた待ち時間特性がもたらされる。アドレス指定された送出の全ての形態(ユニキャスト、マルチキャスト、ブロードキャスト)は、セグメンテーションを受けてもよい。
【0091】
MACユニット18に到達したMSDUは、MSDUの大きさ及びリンクが維持するデータ率によって1つ以上のセグメントに配置される。単独の全MSDUセグメントをMACフレームの単独で連続的なバーストで送信しようとあらゆる努力がなされる。肯定応答及び再送信は、各セグメントに対して、独立して行われる。
【0092】
MSDUが多数のセグメントにセグメント化される場合、これらのセグメントは、単独のバーストで送られて、待ち時間応答及びジッタ性能をなお考慮に入れつつ、可能ならば、受信リソースへの要求量を最小化し、またネットワークの処理能力を最大化する。図5Bにおいて上述したように、セグメントのバースト送信は、フレーム制御における競合制御及びチャネルアクセス優先権フィールドを用いることによって達成される。セグメントのバーストは、上位優先権の伝送を有する局によって先取りされてもよい。
【0093】
セグメントバーストを送る場合、局は、通常の方法すなわち上述の方法で、メディアへの競合を行う。いったん局がメディアを制御すると、競合制御ビットを0b1に設定し、(セグメントが属する)MSDUの優先権をフレーム制御のチャネルアクセス優先権フィールドに挿入し、そして同じかあるいは下位の優先権の伝送を有する局とメディアに対して更に競合することなく、セグメントをバースト送信する。局は、各セグメント伝送に伴う優先権解決期間において示される上位優先権を有する伝送を遅らせる。伝送終了に続くPRPにおいて全ての局毎の通常競合を許可する前に、局は、MSDUの最後のセグメントにおいて、セグメントを送信して、フレーム制御で競合制御ビットを0b0にクリアする。
【0094】
局が、メディアを占有しているセグメントバーストの優先権よりも上位の優先権のフレームに対する伝送要求を受信する場合、現セグメントの伝送にすぐ続くPRPにおいて、メディアに対して競合する。セグメントバーストが上位優先権待ちフレームによって先取りされる場合、セグメントのバーステーションを行っていた局は、メディアに対して競合して、セグメントバーストを再開する。メディアの制御を取り戻した場合、局はセグメントバーストを再開する。
【0095】
従って、セグメントのバースト送信は、与えられた優先権レベルで、メディアの単独の局制御を提供する。最上位優先権レベル(CA3)を与えられることによって、局は、セグメントバーストの継続期間の間、他の局のメディアへのアクセスを全て排除してもよく、またセグメントバーストは、割込みをかけられないで進行することができる。CA3優先権レベルでのバースト送信は、上位優先権トラフィック(すなわち、無競合トラフィック)を阻止し、このためQoSに影響を及ぼすが、CA3優先権レベルの使用に制約を課すことが望ましい。例えば、CA3レベルは、無競合伝送のみに制限することができる。一方、セグメントのバースト送信は、優先権レベルCA0乃至CA2、並びにCA3(無競合トラフィックの場合のみ)に制限することができる。
【0096】
優先権のように、待ち時間は、QoSに対して、フレーム送出動作において重要な役割を担う。更にまた、低品位な待ち時間特性は、指定の優先権レベルでのフレーム送出動作に悪影響を与える。こうした影響を抑える1つの手段は、なんらかの方法で、待ち時間を制限することである。既述の実施例において、所定の閾値時間、例えば2msよりも短い閾値時間の間、全ての伝送がメディアを占有するようにするためにフレーム長が制限される。最上位優先権レベルで最大の性能を発揮するために、最上位優先権レベルは、フレーム長制約の対象から除外されるか、あるいはより緩慢な制限を受けるようにすることが好ましい。しかしながら一方、容易に実現するために、全てのレベルをフレーム長制限制約の対象にすることができる。待ち時間を制限することによって送出性能を改善する他の手段は、ある条件下において(例えば、上述したように、セグメントバーストがトラフィックの上位優先権クラスによって割込みをかけられる条件下において)、セグメントバーストを制限することである。
【0097】
図21において、MACユニット18の機能性は、MAC状態機械310として図示されており、TXハンドラ311及びRXハンドラ312を含み、いくつかのサービスアクセスポイントに連結され、MACとLLCの境界面側では、MACデータサービスアクセスポイント(MD−SAP)313及びMAC管理サービスアクセスポイント(MM−SAP)314を含み、またMACとPHYの境界面側では、PHYデータサービスアクセスポイント(PD−SAP)316及びPHY管理SAP(PM−SAP)318を含む。MAC状態機械310は、論理リンク制御(LLC)副層に、MACデータサービスアクセスポイント(MD−SAP)313を介して、サービスを提供する。状態機械310は、LLC副層によって、MAC管理サービスアクセスポイント(MM−SAP)314を介して管理される。MAC状態機械310は、PHYデータサービスアクセスポイント(PD−SAP)316を介してPHY層のサービスを用い、またPHY管理SAP(PM−SAP)318を介してPHYを管理する。
【0098】
MACデータサービスは、1つのMD−SAP313から1つ以上のそのようなMACデータサービスアクセスポイントへの移送を行い、暗号化、優先権、再試行の施策、及び送信される各MSDUに対する直接肯定応答サービスの選択、並びに受信される各MSDUに対する優先権及び暗号化の指示ができるようにしている。MACデータサービスには、以下の基本命令が含まれる。すなわち、MD_DATA.Req、MD_DATA.Conf、及びMD_DATA.Ind320が含まれる。MD_DATA.Req基本命令は、ローカルLLC副層から単独ピアLLC副層エンティティ、あるいは多重ピアLLC副層エンティティ(グループアドレスの場合)への転送を要求する。この基本命令は以下を含むためにフォーマット化される。すなわち、フレーム長、MAC副層宛先アドレスあるいはアドレス群、送信局のMAC副層送信元アドレス、送られるフレームに対して要求された優先権(0乃至3の値又は“無競合”)、フレームの寿命時間(フレームが破棄されるまでの時間の長さ)、必要に応じて用いられる所望の再送信施策を示す再試行制御、暗号化キー選択、伝送前にフレームを暗号化するために用いられるネットワーク暗号化キーを示す0乃至255の整数値、暗号化をイネーブル又はディスエーブルにすることが可能な暗号化、このフレームに対する応答が宛先から求められることを示すよう要求される応答、上位層のプロトコルタイプを示すタイプ、及びデータ、あるいはまた特に、ピアMAC副層エンティティに対して、指定の宛先アドレスあるいはアドレスに移送される予定の上位層データを含む。MD_DATA.Conf基本命令は、MACによって、MD_DATA.Reqの受信を確定し、伝送が成功したかあるいは失敗したかを示す状態の形態で要求された伝送の結果を示す。MD_DATA.Ind基本命令は、単独ピアLLC副層エンティティからLLC副層エンティティへのMSDUの移送を示す。それには、フレーム長、DA、フレームを送信した局のSA、フレームが受信された優先権、フレームを暗号化するために用いられた暗号化キーを示す暗号化キー選択、暗号化イネーブル、タイプ(再度、上位層プロトコル)、及びピアMAC副層エンティティから、送信元アドレスに移送されたデータが含まれる。
【0099】
PHYは、MACに、1組のデータサービス基本命令324及び管理サービス基本命令326を介してサービスを提供する。PD_DATA.Req基本命令は、PHYがメディア上に情報を伝送し始めることを要求する。PHYは応答して、開始デリミタ、MACプロトコルデータユニット(MPDU)、及び終了デリミタを送る。要求には、25ビットのSOFデリミタや25ビットのEOFデリミタと共に、PHY送信ユニットを構成するために用いられるTXチャネルマップインデックス値が含まれる。PD_DATA.Conf基本命令は、PD_DATA.Req基本命令によって要求される伝送を確認する。それによって、成功か失敗かのいずれかの伝送状態が示される。PD_DATA.Ind基本命令は、伝送がPHYによって受信されたことがMACに示す。それは、チャネル特性、チャネルアクセス優先権、セグメント長、MPDU、及びFEC誤りフラグを含む。チャネル特性は、チャネル推定に用いられる情報のリストを含む。チャネルアクセス優先権は、終了デリミタにおいて受信される優先権情報の値である。MPDUは、ピアMACエンティティによって送信される情報である。FEC誤りフラグは、FECが、受信された情報に訂正不能な誤りがあることを判断したことを示す値である。PD_DATA.Rsp基本命令は、PHYによって要求された応答デリミタを送信し、応答デリミタにおいて搬送された情報を指定する。それによって、状態(すなわち、送信される要求応答タイプ、例えば、ACK、NACK、あるいはFAIL)、競合制御値、及びチャネルアクセス優先権が指定される。PD_RX_FR_CRTL.Ind基本命令は、開始及び終了デリミタにおいて受信される情報のMACエンティティに表示を行う。PD_RX_FR_CTRL.Rsp基本命令は、MACエンティティによって用いられPHYに制御情報を提供する、それには、PHYがデリミタに対して走査を行うように、あるいはPHYがアクティブな受信状態になるように示す受信状態が含まれる。更にPD_RX_FR_CTRL.Rsp基本命令は、PHYが受信するであろうと予測される記号の数に対応するフレーム長、及び受信に用いられることになっているトーンを一覧するRXチャネルマップを指定する。PD_PRS_Listen.Req基本命令は、MACエンティティによって用いられ、PHYがPRPスロットの間に聞き取りを行うことを要求し、またPD_PRS.Ind基本命令は、PHYによって用いられ、優先権解決記号が受信されたことをMACエンティティに示す。PD_PRS.Reqは、MACエンティティによって用いられ、PHYが優先権解決記号を送信することを要求する。PHY管理サービス基本命令326は、以下を含む。すなわち、PHYが送信あるいは受信に用いられないトーンのマスクを設定することを要求するPM_SET_TONE_MASK.Req、及びその要求された動作の成功あるいは失敗を示すPM_SET_TONE_MASK.Confを含む。
【0100】
図22に、MAC送信(TX)ハンドラ311の構成図を示す。送信ハンドラ311は、4つの処理を含む。すなわち、送信MACフレーム加工処理330、暗号化処理332、セグメンテーション処理334、及びPHYフレーム送信処理336を含む。TXハンドラ311は、以下のパラメータを格納する。すなわち、局(あるいはデバイス)アドレス338、トーンマスク340、再試行制御342、ネットワーク暗号化キー(群)344、及びTXチャネルマップ346を格納する。
【0101】
TXのMACフレーム加工処理330は、(先に述べたように)データ要求及び管理セット/ゲット要求上で行われる。それによって、以下が入力として受信される。すなわち、MD_SAP313からのMD_DATA.Reqデータ基本命令、暗号化キー344からのネットワークキー、トーンマスク340からのトーンマスク、デバイスアドレスユニット338からの局アドレス、TXチャネルマップ有効性及びTXフレーム状態、及びMM_SAP314からのセット/ゲット要求管理基本命令が受信される。これらの入力に応答して、それによって、以下が提供される。すなわち、MD_DATA.Confデータ基本命令、再試行制御、ネットワークキー及びキー選択、トーンマスク、新規の局アドレス、PM_SET_TONE_MASK.Req管理基本命令、DAに対するTXチャネルマップインデックス、及びMD_DATA.Reqに基づくTX平文フレーム(TCF)が提供される。処理330が、TCFにいずれかのMAC管理情報フィールドのサブフィールドを挿入するかどうかは、入力管理基本命令の中身、特に、MM_SET_RMT_PARAMS.Req、及び他の入力に依存する。
【0102】
暗号化処理332は、TX平文フレーム(TCF)及び選択されたネットワークキーを入力として受信する。暗号化処理332は、暗号化がイネーブル状態にされるかどうかを判断し、そうである場合は、任意の8バイトのIV値を取得し、完全性検査値を追加し、TEF、選択されたネットワーク暗号化キー、及びIVを暗号化してTX暗号化フレーム(TEF)を形成する。暗号化処理332は、セグメンテーション処理334にTEFを提供する。
【0103】
セグメンテーション処理334は、最大フレーム長に基づきセグメントを提供する。セグメンテーション処理334は、最大のセグメント(あるいはフレーム)サイズに基づき最後のセグメントまでフレーム本体をセグメントに分割することによって、MSDUのセグメント化を行うが、分割は、他の性能パラメータも満たすように適切に調整される。例えば、隠れノードが応答伝送を聞き取る前に、第1セグメントが、時間の長さを短くするように最小長さを有するようにすることが望ましい。いったん伝送がセグメントに対して試行されると、そのセグメントが、宛先に成功裏に送出されるか、あるいは変調の変化が要求されるまで、その中身及び長さは、そのセグメントに対して変化しない。
【0104】
PHYフレーム送信処理336は、伝送あるいは上述したような優先権を有するチャネル競合を用いる伝送試行を開始する。PHYフレーム送信処理336については、図23乃至25に示す。
【0105】
図23において、PHYフレーム送信処理336は、伝送メディア上で送られるフレームの到着デリミタで始まる(段階400)。送信器は、タイミング情報及び優先権を維持するための制御を初期化する(段階402)。タイミング情報は、バックオフ手順カウント(BPC)、送信カウンタ(TC)、NACKカウンタ(NACKcount)、及び無応答カウンタ(NRC)によって維持されるカウントを含み、これらの値は各々ゼロに設定される。更にタイミング情報は、送信寿命時間値に対応するタイマ、FrmTimerを含む。寿命時間値がLLCユニットによってMACユニットに渡されない場合、FrmTimerは、規定値として、最大値(MaxLife)に設定される。優先権は、フレームに割り当てられるチャネルアクセス優先権の値に設定される。送信器は、VCS及びCSの値がゼロであるかどうかを判断することによって、メディアがビジーかどうかを検出する(段階403)。これらの値がゼロでない、すなわちメディアがビジーである場合、送信器は、同時に、メディア上で受信される有効デリミタに基づきVCS、VPF、及びCC値を更新しつつ、両者に対して値がゼロであると検出するまで待機する(段階404)。次に、VPFが1であるかどうかを判断する(段階405)。VPFがゼロである場合、フレームセグメントは送信され、またTCがインクリメントされる(段階406)。段階403にいて、メディアが空き状態であると判断された場合、送信器は、搬送波検出スロット(CSS)の間、すなわちCIFSの間に、到着が発生したかどうかを判断する(段階407)。CSSの間に到着が発生した、あるいは段階405で、VPF=1である場合、送信器は、信号がCSSにおいて検出されたかどうかを判断する(段階408)。CSSの間に到着があった(段階407)が、その期間中に信号が検出されなかった(段階408)場合、あるいは優先権解決スロットにおける1スロットの間に到着があった場合(段階409)、送信器は、前回の伝送が無競合アクセスを示したかどうか、すなわちセットCCビットを含んだかどうかを判断する(段階410)。無競合アクセスが示されている場合、送信器は、その優先権(フレーム待ち伝送の優先権)をEOF及び/又は応答において示される優先権のそれと比較することによって割込みできるかどうかを判断する、あるいは最後の伝送が、送られたフレームの前セグメントであった場合は継続することができるかどうかを判断する(段階412)。送信器が割込みあるいは継続できない場合(既に進行中の伝送ストリームの一部として、例えば、無競合期間中に局間でのセグメントバースト、あるいはフレームの交換中)、EIFS及びVPFに対してVCS値をゼロに設定する(段階414)。段階412で、送信器が割込みあるいは継続できると判断された場合、あるいは段階410で、無競合アクセスが示されない場合、送信器はその優先権を信号送信し、同様にチャネルアクセスを待っている他の局の優先権に対して聞き取りを行う(段階416)。
【0106】
送信器がより上位優先権を検出しない場合(段階418)、チャネルアクセスの競合へと進む(段階419)。競合が成功した場合、そのセグメントが送信され、そのTCがインクリメントされる(段階406)。競合が不成功(すなわち、他の局が現在送信している)場合、現伝送のフレーム制御フィールドが有効であるかどうかを判断する(段階421)。フレーム制御フィールドが有効な場合、送信器は、VPFを1に設定し、フレーム制御フィールドに基づきVCSを更新し(段階422)、そして段階404に戻って空き状態のチャネルを待つ。フレーム制御フィールドが無効な場合(偽同期信号あるいは弱い信号の場合が考えられる)、送信器は段階414に戻る(VCSをEIFSに等しく、またVPF=0に設定する)。
【0107】
再び段階409において、フレームがPRS間隔後到着するが、競合窓の間に既に到着していたと判断された場合(段階423)、送信器は、前回のフレーム伝送が無競合であったかどうかを判断する(段階424)。無競合アクセスが示されない場合、送信器は(より上位の優先権が検出されたかどうかを判断するための)段階418に進む。無競合アクセスが示されている場合、送信器は、伝送に割込みできるかどうかを判断する(段階426)。送信器が割込めない場合、段階414でVCS及びVPFを更新し、段階404に戻って次の空き状態のチャネルを待つ。段階426で送信器が割込むことができると判断された場合、送信器は段階418に進む。フレームが段階423で競合窓後到着したと判断される場合、送信器は、フレームセグメントを送信し、段階406でTCを1だけインクリメントする。
【0108】
フレームセグメントが段階406で送信された後、送信器は、応答あるいは肯定応答が予測されるかどうかを判断する(段階428)。肯定応答が予測され、また受信された場合(段階430)、あるいは肯定応答が予測されない場合、送信器は、全ての追加的なセグメントがデータ伝送ストリームの一部あるいはバーストとして送信されるかどうかを判断する(段階432)。そうである場合、送信器は、BPC、TC、NACKcount、及びNRCをゼロにリセットする(段階433)。次に送信器は、FrmTimerがゼロになるかどうか、あるいはTCが送信リミットを超えるかどうかを判断することによって、フレームが放棄されなければならないかどうかを判断する(段階436)。どの条件も真である場合、送信器は、フレームが破棄されてしまったことを報告し(段階438)、処理は終了する(段階440)。フレームは破棄されないが、その代わり再送信される場合、送信器は段階403に戻る。段階432で送信されるセグメントがそれ以上無い場合、送信器は伝送が成功したことを報告し(段階442)、段階440で処理を終了する。段階442で肯定応答が予測されて、受信されない場合、更に処理は応答を解消して(段階444)、段階436のフレーム廃棄決定に進む。
【0109】
図24において、応答444を解消する処理は、NACKが受信されたかどうかを判断することから始まる(段階446)。NACKが受信された場合、NACKcountはインクリメントされ、BPCはゼロに設定される(段階448)。処理444によって、NACKcountがNACKcount閾値よりも大きいかどうかを判断する(本例の場合、閾値は4)(段階450)。NACKcountが閾値4よりも大きいと判断される場合、NACKcountがゼロにリセットされ、ローバスト(ROBO)伝送モードが用いられ(段階452)、処理は段階436に進む(図23)。NACKcountが閾値よりも小さい場合、処理は直接段階436に進む。応答が予測され、またFAIL応答が受信される場合(段階454)、処理は、全ての有効フレーム制御情報上でVCS、VPF、及びCCを更新しつつ(段階458)、所定の期間、図示例では20ms間待機し(段階456)、NACKcount及びBPCを両方ともゼロに設定し(段階460)、段階436に戻る。応答が予測され、また応答が受信されない場合(すなわち、段階454でFAILが受信されない場合)、他のフレーム制御情報が受信されたかどうかが判断され(段階462)、受信された場合、EIFS及びVPFに対するVCSがゼロに設定される(段階464)。これ以外の場合、NRCがインクリメントされ(段階466)、NRCがNRC閾値よりも大きいかどうかを判断する(段階467)。NRCがNRC閾値よりも大きいと判断される場合、処理にはROBOモードが用いられ(段階468)、処理は再び段階436に戻る。段階467でNRCがNRC閾値以下であると判断された場合、変調モードを調整しないまま、処理は段階436に戻る。
【0110】
図25において、チャネルアクセス競合処理419は、BPC、DC、あるいはBCがゼロであるかどうかを判断することによって始まる(段階470)。ゼロであると判断された場合、送信されるセグメントが前回の伝送から継続しているかどうかを判断する(段階471)。継続でない場合、処理は以下のことを実行する。すなわち、BPCの一機能として競合窓CW及び延期カウントDCを確立すること、すなわち、各BPC=0、1、2、>2に対してf1(BPC)=7、15、31、63である場合、CW=f1(BPC)とすること、また各BPC=0、1、2、>2に対してf2(BPC)=0、1、3、15である場合、DC=f2(BPC)とすること、BPCをインクリメントすること、及びRnd(CW)が区間(0、CW)から均一に分布する任意の整数とする時、BC=Rnd(CW)と設定することである(段階472)。(段階471での)継続の場合、CW=7、DC=0、BPC=0、及びBC=0と設定される。段階470でBPC、DC、あるいはBCがゼロでない場合、DCがデクリメントされ(段階474)、またBCがデクリメントされる(段階476)。段階472、473、あるいは476の後、処理419によって、BCがゼロであるかどうかが判断される(段階478)。BCがゼロである場合、処理は段階406に進み、パケット伝送を開始し、TCをインクリメントする(図23)。BCがゼロでない場合、処理は1つのCRSスロットの間待機し(段階480)、CSがゼロであるかどうかを判断する(段階482)。CSがゼロである場合(すなわち、搬送波が検出されない場合)、処理は段階476に戻る(BCをデクリメントする)。段階482でCSがゼロでない場合、処理419によって、現伝送における同期信号が有効であるかどうかが判断される(段階484)。信号が無効である場合、処理419は段階480に戻り、他のCRSスロットの継続時間の間待機する。同期信号が有効である場合、処理419は現伝送のデリミタにおけるフレーム制御フィールドの有効性を判断するために段階421に進み(図23)、これによってそれ以上競合は許可されない。
【0111】
図26に、MAC受信(RX)ハンドラ312の構成図を示す。RXハンドラ312は、4つの機能を含む。すなわち、PHYフレーム受信処理490、再組立て494、暗号解読処理496、及び受信MACフレーム加工処理498を含む。RXハンドラ312は、以下のパラメータを格納する。すなわち、局アドレス338、トーンマスク340、暗号化キー(群)344、チャネル特性506、RXチャネルマップ512、及びTXチャネルマップ346を格納する。
【0112】
PHYフレーム受信処理490によって、RX(任意)暗号化されたセグメント(RES)が受信される。すなわち、全ての着信セグメントのフレーム制御フィールドを解析し、並びに全ての着信セグメントの本体を受信する。それによって、チャネル特性が格納され、また再組立て処理494に対してRESが利用可能にされる。
【0113】
図27において、フレーム受信処理490は、以下の通りである。処理490は、同期信号を検索し、VCSを監視することによって(段階522)、始まる(段階520)。処理490によって、VCSがゼロであるかどうか、またVPFが1であるかどうかが判断される(段階524)。VCSがゼロであり、またVPFが1である場合、CIFSの搬送波が検出され(段階526)、また搬送波が検出されるかどうかが判断される(段階528)。(段階528において)搬送波が検出されない場合、処理はCIFSの終了を待ち(段階530)、PRSにおいて聞き取りを行い、その間隔において聞き取られる全ての優先権を記録する(段階532)。その処理によって、VCSがEIFSに、VPFはゼロに設定され(段階534)、処理は段階522に戻る。段階528で搬送波が検出される場合、処理は直接段階534へと進む。
【0114】
(段階524において)VCSがゼロではなく、またVPFが1ではない場合、同期信号が検出されたかどうかが判断される(段階536)。同期信号が検出されなかったと判断される場合、処理は段階522に戻る。同期信号が検出されたことが判断された場合(段階536)、着信セグメントのデリミタにおけるフレーム制御フィールドが受信され、また解析される(段階538)。フレーム制御が有効であるかどうかが(FCCSフィールドに基づいて)判断される(段階540)。フレーム制御が無効である場合、処理は段階534に進む。フレーム制御が有効である場合、フレーム制御がフレーム開始を示すかどうかが判断される(段階542)。フレーム開始が示されない場合、VCS及びVPFが更新され、またフレーム制御によって示される優先権が記録され(段階544)、処理は段階522に戻る。フレーム制御がフレーム開始を示す場合、すなわち、フレーム制御が開始デリミタに含まれる場合(従って、RXチャネルマップ、長さ、応答が予測されるかどうか、また競合制御フラグに対するインデックスを含む場合)、セグメント本体及び(終了デリミタがフレームに含まれた場合)終了デリミタが受信される(段階546)。DAが有効であるかどうかが判断される(段階548)。DAが有効である場合、RXバッファが利用可能かどうかが判断される(段階550)。バッファスペースが利用可能である場合、FEC誤りフラグを検査することによって、また演算されたCRCがFCSと等しくないかどうかを判断することによって、セグメントが誤って受信されるかどうかが判断され(段階552)、また、有効であり、また応答が要求される場合、(状態=ACKにおいてPD_DATA.Rspを用いて)ACK応答の伝送が準備されて命じられると共に、RES及びチャネル特性が格納される(段階554)。追加セグメントが、セグメント化されたフレームの一部として受信されるべきかどうかが判断される(段階556)。それ以上セグメントが受信されない場合、フレーム受信が成功したことが示され(図26に示す、他のRX処理494、496、及び498に対して)(段階558)、処理は、段階560においてVCSがゼロになるのを待った後、段階526でCIFSにおいて搬送波を検出する段階に進む。
【0115】
引き続き図27において、再び段階552を振り返ると、セグメントが無効であり、また応答が予測される場合、NACK応答の伝送が準備されまた行われる(すなわち、状態=NACKの場合のRD_Data.Rsp)(段階562)。フレームが破棄され(段階564)、また処理は段階560に戻る。段階550において、バッファスペースが利用可能ではなく、応答が予測される場合、FAIL応答の伝送が準備され、行われ(状態=FAILの場合のPD_DATA.Rsp)(段階566)、処理は、段階564でフレームを破棄する段階に戻る。段階548において、DAが無効である場合、セグメントがマルチキャストでアドレス指定されるかどうかが判断される(段階568)。セグメントがマルチキャストでアドレス指定される場合、バッファスペースが利用可能であるかどうかが判断される(段階570)。バッファスペースが利用可能である場合、セグメントが有効であるかどうかが判断される(段階572)。セグメントが有効である場合、処理は段階556に進み、追加的な着信セグメントがあるかないか検査される。段階568において、セグメントがユニキャストでアドレス指定されたと判断された場合、あるいは、セグメントはマルチキャストされるが、段階570において利用可能なバッファスペースが不足していると判断される場合、処理は段階564に進む(フレームの破棄)。
【0116】
再び図26において、フレーム全体が組立てされるまで、再組立て処理494によって、PHYフレーム受信処理490によって受信されるセグメントが蓄積される。各セグメントは、セグメント制御フィールド106(図7)を含むが、このフィールドは、セグメント長(SL)168、セグメントカウント(SC)172、及び最後のセグメントフラグ170を提供する。SL168は、セグメントにおけるMSDUバイトの数を指定するが、セグメントは記号ブロックサイズに一致するようパディングされるため、受信器において、MSDUバイトの決定及び抽出に用いられる。SC172は、第1セグメントに対して、ゼロから順次増加していく整数を含む。最後のセグメントフラグは、最後の、あるいは唯一のセグメントに対して、0b1に設定される。再組立て処理494は、このことを利用し、またMSDUを再組立てするために各セグメントにおける他の情報を用いる。1に設定された最後のセグメントフラグを有するセグメントが受信されるまで、受信器は、セグメントカウント順にセグメントを組合わせることによって、MSDUを再組立てする。全てのセグメントは、暗号解読する前に再組立てされてMSDUを抽出する。
【0117】
処理494は、RESの受信で始まり、またSCがゼロであるかどうか判断する。SC=0であり、また最後のセグメントフラグが設定される場合、RESはMSDUにおいて唯一のセグメントであり、また、暗号解読処理496に、受信暗号化フレーム(REF)としてRESが提供される。SCがゼロではない場合、最後のセグメントフラグセットが認識されるまで処理はセグメント制御情報を用いて、全てのセグメントを順番通りに蓄積し、また蓄積されたセグメントからMSDU(あるいはREF)を再組立てする。この処理によって、REFが暗号解読処理496に渡される。
【0118】
暗号解読処理496によって、REFから平文が生成される。暗号解読処理496によって、再組立て処理494から暗号化され、再組立てされたフレームが受信され、また、(図8の)暗号化制御フィールド112のEKSフィールド192におけるEKSによって識別されたNEKが検索される。REFにおけるIVがゼロである場合、REFは、暗号化されていないと判断され(実際には、受信平文フレームあるいはRCF)、またRCFはRXのMACフレーム加工処理498に渡される。IVがゼロではない場合、処理496によって、IV及びNEKを有するDESアルゴリズムを用いるフレームが暗号解読される。処理496によって、REFにおいて誤りの有無が判断され、REFが実際に暗号化されているかどうかにかかわらず、このタスクが実行される。REFに対する暗号解読処理によって、誤りが検出されない場合(すなわち、REFにおけるICVが、暗号解読処理によって演算された値に等しい場合)、処理496によって、RCFとしてREFが再定義され、また、RXのMACフレーム加工処理498にはRCFが提供される。
【0119】
RXのMACフレーム加工処理498によって、平文フレーム本体が、解析され、また処理される。この処理によって、最初に生じるタイプフィールドにおいて指定されるタイプ値から、フレーム本体のタイプが判断される。フレームがMAC管理情報フィールド182を含まない場合、タイプは、続くフレームデータがフレームデータフィールド186(図8)におけるMSDUデータであることを示すタイプフィールド184において指定されタイプであり、またDAフィールド108及びSAフィールド110(図3)と共に、タイプフィールド184及びフレームデータ186が、更なる処理のために、LLC層に提供される。それ以外の場合、再び図9において、タイプは、MAC管理情報フィールド182のタイプフィールド200において指定される。MCTRLフィールド206において示される項目数がゼロより大きい場合、(MEHDRフィールド206におけるMTYPEフィールド218に示されるように)処理498によって、それぞれの項目タイプに従ってMAC管理情報フィールド182において、各項目204が処理される。例えば、MTYPEフィールド218が、応答を有するマルチキャスト項目210H(図17)としてこの項目を識別する場合、局アドレス338が、項目210Hにおいて指定されるマルチキャスト宛先アドレス272の何れかに一致するかどうかが判断される。図12Bにおいて、項目がチャネル推定応答210Bである場合、処理498によって、RXCMI230がDAとしてSA(フレームヘッダにおいて指定される)と関連付けられ、フレームの送信側への伝送に用いるためのTXチャネルマップ346(図26)における項目(及びRXCMI230によってインデックス指定された項目)からのチャネルマップ情報が格納される。項目が要求チャネル推定項目210A(図12A)である場合、(先に述べたように、チャネル推定処理によって)チャネル推定応答が生成され、フレームの送信側に送り返される。図16において、処理498によって、項目タイプがセットネットワーク暗号化キー項目210G(図16)であると判断された場合、そのキーが割り当てられる論理ネットワークに対して暗号化/暗号解読を行うフレームデータにおいて用いるための暗号化キー格納装置344において、NEK268に関連してEKS266が格納される。従って、RXハンドラの処理498は、データ項目204のタイプに対して適切な何らかの措置を講じる。
【0120】
送受信処理のもう一つの図示例として、図28は、MAC状態機械310の送信及び受信処理(それぞれ処理336及び490)を、単独の送受信状態機械575として示している状態図である。図28において、状態機械575は、空き状態で始まり、同期信号を検索する(状態“A”)。同期信号が検出された場合、機械は、フレーム制御情報の受信に遷移する(状態“B”)。受信されたフレーム制御がSOFを示す場合、機械は、セグメント本体及びSOFに伴うEOFを受信する(状態“C”)。有効なDAが受信され、応答が予測される場合、機械は応答を送信する(状態“D”)。(状態“D”の間に)応答が送信される場合、又は状態“B”において受信されるフレーム制御が応答であるか、又は応答が予測されないEOFであるか、又は状態“C”で応答が予測されない場合、機械は、CSSにおいて搬送波を検出する状態に遷移する(状態“E”)。搬送波が検出されない場合、機械は、PRS信号送信を検出する状態に入る(状態“F”)。PRSスロット終了の検出の際、機械は、VCS=EIFS及びVPF=0と設定し、また競合窓において同期信号を検索する状態に遷移する(状態“G”)。VCSがタイムアウトになり、VPF=0となった場合、機械は状態“A”に戻る。状態“A”あるいは状態“G”の間にフレームが待ち状態である場合(及びバックオフカウンタの値が状態“G” の間にゼロとなる場合)、機械は待ち状態セグメントを送信する(状態“H”)。状態“G” の間に同期信号が検出された場合、機械は、フレーム制御情報を再び受信する(状態“B”)。フレーム制御状態“B”を受信している間に、機械が、フレーム制御が有効ではないと判断した場合、機械はVCS=EIFS及びVPF=0と設定し、同期信号を待ち(VCS=0の場合)また同期信号を検索する状態に進む(状態“I”)。フレーム制御状態“B”を受信している間に、機械が、EOFが受信され、また応答が予測されると判断する場合、あるいは状態“C”で、DAが有効ではなく、また応答が予測されると判断する場合、機械はVCSを更新し、VPF=1と設定して、状態“I”に進む。状態“I”で、同期信号が検出される場合、機械はフレーム制御情報を受信する(状態“B”)。状態“I”の間に、VCSがタイムアウトになり、一方VPFがゼロである場合、機械は空き状態に戻る(状態“A”)。これ以外に、VCS=0及びVPF=1である場合、機械は状態“E”に入る。状態“E”の間に搬送波が検出された場合、機械はVCS=EIFS及びVPF=0と設定し、状態“I”に遷移する。状態“H”にしばらく戻ると、応答が予測されずにセグメントが送信される場合、機械は状態“E”に入る。状態“H”の間に、応答が予測されてセグメントが送信される場合、機械はVCSを更新し、VPF=1と設定して、状態“I”に入る。
【0121】
上述したように、多数のMAC機能が、MAC管理情報フィールド182(図9)を、他のフレームフィールドと共に用いることによって、利用可能にされる。これらの特徴は、これに限定されるわけではないが、以下のものを含む。すなわち、暗号化に基づく論理ネットワーク、マルチキャスト及びブロードキャスト伝送に対する部分ARQ、(ブリッジプロキシを有する)ブリッジング、及びトークンパッシング及びポーリング等のメディアアクセス制御方式を含む。
【0122】
図1に戻ると、ネットワーク10における局12は、プライバシのために論理的に分離されてもよい。例えば、図29において、第2休止状態に位置する局12c及び局12dと共有伝送メディア14上で通信可能な第1休止状態に位置する局12a及び局12bは、論理的に論理ネットワークに分離されている、すなわち、局12a及び12bは第1論理ネットワーク580に属し、局12c及び12dは第2論理ネットワーク582に属している。MACユニット18においては、物理ネットワークの局が論理的に論理ネットワークに分離されることが起こり、また、その物理ネットワーク上の局の組が、各組に対して固有な別個のネットワークがあるかのように動作することが可能である。プライバシは、56ビットのデータ暗号化規格(DES)で暗号化することによって、また、認証されたキー管理によって提供される。
【0123】
任意の論理ネットワークの局は全て、共通キーとしてネットワークキーを共有する。そのネットワークキーとは、論理ネットワークに割り当てられるキーである。ネットワークキーに加えて、各局は固有なデフォルトキーを有しており、一般的には製造者によって予めプログラムされている。局のユーザは、パスワードからデフォルトキーを生成する(これも製造者によって提供される)。局がこれらの論理ネットワーク用のネットワークキーを安全に受信できるように、デフォルトキーを用いることによって、局と論理ネットワークの構成要素である1つ以上の他の局との間で安全な通信が可能にされる。パスワードからデフォルトキーを生成するための例示の機構は、PKCS♯5 v2.0規格、パスワードに基づく暗号規格に記載されているように、基となるハッシュアルゴリズムにMD4を用いるPBKDF1機能である。従って、各局は最初に論理ネットワークに入る場合は、パスワードから導き出されたデフォルトキーを用いる。
【0124】
図30及び31において、新規の局、例えば12eを論理ネットワーク、例えば第1論理ネットワーク580に加える処理は以下の通りである。既に論理ネットワークの構成要素である局、すなわち“主”局(例えば図29における局12b)は、新規の局のデフォルトキーを受信する(段階590)。一般的に、新規の局のデフォルトキーは、主局に手入力される。主局は、セットネットワーク暗号化キーMAC管理項目(図16の項目210G)を含むフレームを構築する(段階592)が、この項目は、56ビットのDESネットワーク暗号化キーあるいは(NEKフィールド268における)NEK、及び(EKSフィールド266における)論理ネットワークに対する関連した8ビットの暗号化キー選択を識別する。主局は、受信されたデフォルトキーを用いて、そのフレームを暗号化し(段階594)、その暗号化されたフレームを新規の局に送信し、そのデフォルトキーを用いて、その新規の局によって暗号解読し(段階596)、また暗号解読されたフレームからネットワークキーを検索し、また関連する選択を行う。
【0125】
主局は、先に述べたチャネル推定機能及びチャネル推定MAC管理項目(図12A及び12B)を用いて、ネットワーク暗号化キーが新規の局に、更に安全に渡されるようにしてもよい。主局は、新規の局にチャネル推定要求を送ることができ、新規の局がチャネル推定処理を実行し、またチャネル推定処理から生じる新規のチャネルマップを有するチャネル推定応答を返すようにする。この応答を受信する際、主局は、応答において指定されるチャネルマップを利用して、新規の局へ暗号化された(NEKを含む)フレームを送る。
【0126】
図31において、論理ネットワーク580における局(すなわち局12a、12b及び12e)は各々、暗号化キー格納装置344に(再キー動作に用いられる)固有のデフォルトキー600a、600b、600eを各々格納すると共に、同一のネットワーク暗号化キー(NEK)602、及び(論理ネットワーク580内での他の全トランザクションに用いられる)関連する暗号化キー選択(EKS)604を格納する。
【0127】
暗号化キー選択604の値は、ネットワーク暗号化キー602を適用し得る論理ネットワークの構成要素間での全ての伝送(図中、矢印1、2、及び3で示す)におけるフレームのEKSフィールド192に配置され、またネットワーク暗号化キー602は、それらの構成要素に対して全てのフレームを暗号化/暗号解読するために用いられる。
【0128】
従って、プライバシを保証するための論理ネットワーク化は、暗号化によって提供される。各論理ネットワークは、それ自身のデフォルト及びネットワークキーを有し、一つの論理ネットワークの情報を他の論理ネットワークの情報から分離する。この機構は、各局に組み込まれた暗号化能力を用いるために、各局は、どのような数の論理ネットワークにでも加わることが可能であるが、これは、各論理ネットワークのデフォルト及びネットワークキーに対する必要な記憶容量及び各論理ネットワークが有する構成局組の構成要素マッピングによってのみ限定される。例えば、局12aも第2論理ネットワーク582の構成局であり、また局12dは第3ネットワーク(図示せず)の構成局であると共に、第2論理ネットワーク582の構成要素でもあり得る。この結果、実際、局は2つ以上の暗号化キー選択とネットワーク暗号化キーの対、すなわち、局が属する各論理ネットワーク毎に一つの対を格納してもよい。
【0129】
部分ARQ方式によって、マルチキャストグループの1つの構成要素が、グループの残りの構成要素に対するプロキシとして、(そのマルチキャストグループに向けた)伝送に肯定応答できる。部分ARQは、マルチキャストグループへの送出を保証するものではないが、メッセージが少なくとも1つのマルチキャストグループ構成要素によって受信されたことを示す。MACレベルの肯定応答は、新規の伝送に対してチャネルを明渡さすことなく、応答対象フレームの直後に発生する。
【0130】
(チャネル推定処理中のチャネル推定応答において)更新されたチャネルマップを返す局の内1つが選択されてマルチキャストプロキシとして動作する。この選択はランダムに行われてもよいが、送信局がマルチキャスト伝送において最も弱い経路を識別できるようにする(応答のチャネルマップに含まれる)チャネルマップ情報に基づくのが好ましい。最も伝送の受信が難しそうな局を識別して、その局をプロキシとして選択することによって、部分ARQ機構はよりいっそう信頼度が高くなる。1つの例示の選択機構において、プロキシは、どの応答側の局のチャネルマップが最悪の場合のチャネル特性を示す最低データ率をサポートするかを判断することによって、選択されてもよい。こうした選択は様々な手段で行うことができる。例えば、実際のデータ率と比較して最低データ率を決定する、あるいはまた、どのチャネルマップがブロックにおける最少バイト数を示すか(これもまた最低データ率を示す)を決定することによって行うことができる。
【0131】
送信器は、選択されたプロキシ局のアドレスにDAフィールドを設定することによって、マルチキャストフレームを準備する。送信器は、そのマルチキャストフレームを受信しようとするマルチキャストアドレスのグループを表すマルチキャストアドレスを格納し、あるいはまた、図17において述べた、応答を有するマルチキャストMAC管理項目210Hにおけるマルチキャストグループでの個別のアドレスを格納し、そしてまた、SC106においてMCF164を設定する(図7)。送信器はまた、応答が要求されていることを示す値を用いて、フレームの開始及び終了デリミタにおけるDTフィールドを設定する。
【0132】
応答を要するDTを有するフレームを受信する場合は必ず、DAフィールドによって指定されたプロキシ局は、マルチキャストグループのために適切な応答タイプを提供する。上述したように、メディアがビジー状態にあるにもかかわらず、応答の伝送はRIFS期間後に開始される。
【0133】
部分ARQ機構については、選択されるプロキシとしてマルチキャストフレームの所期の受信側を用いると上述したが、それに限定されるものではない。プロキシは、例えば何れかの局あるいはメディアに接続されるブリッジ等、マルチキャストフレームの所期の受信側として、同じメディアに接続される如何なるデバイスであってもよい。
【0134】
先に述べたように、サブネットワークが、ブリッジによってアクセスされる局と通信を行う必要がある場合、MACプロトコルは、サブネットワーク(図1の電力線ネットワーク10等)によって用いるためのブリッジ機構をサポートする。ブリッジ機構によって、サブネットワークに接続されている各ブリッジが、そのブリッジを介してアクセスされる宛先アドレス用のプロキシとして機能する。
【0135】
図32において、ネットワーク620は、“高信頼度”サブネットワークと呼ばれる(非常にビット誤り率が低い)高信頼度メディアに基づく第1、第2ネットワーク622、624と、及び本明細書中においては“低信頼度”サブネットワークと呼ぶ(比較的にビット誤り率が高い)雑音のあるメディアに基づく第3サブネットワーク626とを含む。高信頼度メディアの例には、従来のイーサネット及び光ファイバケーブル送信方式が含まれる。雑音のあるメディアの例には、電力線及びRF等の無線メディアが含まれる。更にネットワーク620は、サブネットワーク622、624、及び626を接続するためのブリッジ628(B)及び630(B)を含む。第1高信頼度サブネットワーク622は、局632a(R1)及び632b(R2)を含み、これらの局は、第1高信頼度メディア634に接続される。第2高信頼度サブネットワーク624は、局636a(R3)及び636b(R4)を含み、これらの局は、第2高信頼度メディア638に接続されるが、メディア634と同じ種類のメディアであってもよいし、そうでなくてもよい。低信頼度サブネットワーク626は、局640a(U1)及び640b(U2)を含み、これらの局は、電力線642等の、雑音のある、あるいは低信頼度メディアに接続される。ブリッジ628(B1)は、第1高信頼度メディア634に(ポートAで)接続され、また低信頼度メディア642と(ポートBで)接続される。ブリッジ630(B2)は、低信頼度メディア642と(ポートAで)接続され、また第2高信頼度メディア638と(ポートBで)接続される。ブリッジ628、630は各々、これらに限定はしないが、学習ブリッジ処理644及び646としてそれぞれ示す学習ブリッジを含むブリッジ機能をサポートする。各局及びブリッジは、少なくとも1つのMACデバイスを含む。局632a、632b、ブリッジ628、及び局636a、636b、及びブリッジ630は、それらがアタッチされる高信頼度メディアをサポートするための、然るべき種類の従来のMACデバイス、すなわちMACデバイス648a、648b、648c、650a、650b、及び650cを各々含む。低信頼度メディア上での動作をサポートする場合、特に、(後述する)送信元認識ブリッジングプロキシ機能の場合、ブリッジ628、630、及び局640a、640bは、送信元認識MACデバイス652a、652b、652c、及び652dを各々含む。送信元認識MAC群652、すなわち送信元認識ブリッジングに加わるMAC群は、特定の宛先アドレスがブリッジ(この場合、ブリッジ628あるいは630の内の1つ)を介してアクセスされることを知る必要がある。
【0136】
そのような各送信元認識MACは、ブリッジ(あるいはブリッジとして機能するデバイス)が、宛先に対するプロキシとして機能するようにできる能力を有する。宛先アドレスに対するプロキシとして作用することによって、ブリッジは、その宛先へのパケットを転送する役割を担い、直接個別のアドレスとして(必要な場合)ARQ方式に加わる。
【0137】
局U1、U2(並びにブリッジB1及びB2)は、全ての局がチャネルマップインデックスを得るのに必要な同じチャネル推定処理によって、ブリッジプロキシを用いる必要性を認識する。ブリッジ628、630のいずれかから受信されるチャネル推定応答MAC管理項目210B(図12B)が、ブリッジプロキシビット236セットを設定される場合、受信デバイスは、ブリッジがイネーブル状態にされ、またもう一つのサブネットワーク上で1つ以上のアドレスを転送することを了解する。ネットワーク上にある他の局に対するように、受信デバイスによって、SAフィールドにおいて識別されるブリッジの送信元アドレスが、CMI(VT、RATE、及びMODフィールドと共に)と関連付けられる。また、受信器によって、同じ情報が、チャネル推定応答MAC管理項目210Bにおける各ブリッジングされた推定アドレス(BDA)246と関連付けられる。BPフラグ236は、BDA246がブリッジの送信元アドレスを介してアクセスされることを示す。このように、各局は、1つ以上のBDAに各ブリッジのSAをマッピングする、本明細書中ではBPDAlistと呼ぶ、第1リストの形態で第1データ構造を構築することができる。各ブリッジは、第2データ構造あるいはプロキシ(“I am Proxy”リスト、あるいはIAPlist)として機能する各DAのそれ自身のリストであるリストを構築し、また維持する。
【0138】
BPDAlistにおけるDAへのブリッジプロキシを介した次の伝送は、いったん確立されると、置換ブリッジアドレスタイプのMAC管理情報フィールド項目を有するフレームを送ることによって行われる。ブリッジプロキシがアクティブである宛先アドレスへアドレス指定されるMSDUは、ブリッジのアドレスに設定されるフレームヘッダ宛先アドレス108(図3)と共に送信される。フレームヘッダ送信元アドレス110(図3)は、送信局のアドレスである。置換ブリッジアドレスMAC管理情報項目は、原宛先アドレス(ODA)及び原送信元アドレス(OSA)を含み、従って、これによってブリッジが伝送に備えて原MSDUを再構築できる。
【0139】
構築された状態におけるネットワーク620を、構築されたネットワーク620として、図33に示す。構築された状態において、学習ブリッジ処理644、646は、ポート当たりの学習されたアドレスリスト660、662を各々、全ての局に対して、維持する。従って、B1は、ポートAの場合は局R1及びR2を含むように、また、ポートBの場合は局U1、U2、R3、及びR4を含むように局/ポートリスト660を維持する。ブリッジB2は、ポートAの場合はU1、U2、R1、及びR2を含むように、またポートBの場合はR3及びR4を含むように、局/ポートリスト662を維持する。ブリッジ送信元認識MAC652a及び652bは、IAPlist664a及び664bを各々維持するが、これらはブリッジがプロキシとして機能するためのアドレスを含む。IAPlist664aは、R1及びR2のアドレスを含み、またIAPlist664bは、R3及びR4のアドレスを含む。IAPlistアドレスは、(ローカル管理項目において)LLCによって、送信元認識MACに渡されるか、あるいは学習される(送信元認識MACにアドレスを提供する学習ブリッジ処理を介して、あるいはMACが、LLCからそれ自身のものではないSAを有するフレームを受信する場合)。送信元認識MAC機能IAP(SA)によって、IAPlistにこれらのアドレスが追加される。
【0140】
更に局640a及び640bは各々、それぞれのブリッジプロキシDAリスト(BPDAlist)666において、学習されたあるいは受信されたBPDA情報を維持する。2つのブリッジが、サブネットワーク626に接続されるため、それらのブリッジ(ブリッジ628及び630)も各々、他のブリッジを介してアクセスされる宛先アドレスのためのブリッジプロキシリストを維持しなければならない。この結果、ブリッジ628及び630は、BPDAlist668a及び668bを各々維持する。それらは、MAC管理項目、すなわちチャネル推定応答MAC管理項目においてブリッジから、あるいはホスト(ローカルMAC管理項目)からチャネル上でこのリストを受信する。このリストは、宛先アドレス(DA)及びそのDAに対応するブリッジプロキシのDA(BPDA)を含むアドレス対のリストであることが可能であり、あるいはまた、各BPDAに対応するDAのリストであることができる。ブリッジングされたフレームが、SAとOSAが一致しない特定のSAから受信される場合、BPDAlistは、学習されることが可能である。それらは、各々DA及びBPDAとして、BPDAlistにOSA、SAアドレス対を格納するRecordBPDA(OSA、SA)機能によって格納される。BPDAlistを有する局の格納及び提供の際に、LLC(及び上位層)をサポートするために、ローカルMAC管理ゲット/セット基本命令が用いられる。
【0141】
図34は、送信元認識ブリッジングネットワーク(ネットワーク620)においてデバイス(U1、U2、B1、あるいはB2等)を自動設定するための送信元認識MACのTX処理700を示す。処理700は、デバイスにおける送信元認識MAC652によって、LLCからフレームを受信することによって始まる(段階702)。そのフレームは、宛先デバイスへの伝送用であってもよいし、あるいはMAC自身のための管理フレームであってもよい。フレームによって識別されるSAが、MAC自身のSA(MyAddr)と一致するかどうかが判断される(段階704)。SAが一致する場合、フレームによって識別されるDAが、MAC自身のDA(MyAddr)と一致するかどうかが判断される(段階706)。同様にDAが一致する場合、フレームはMAC自身に渡されつつも、メディア上での伝送用ではない。MAC管理項目がフレームに存在するかどうかが判断される(段階708)。フレームが、ローカルに用いるようになっている情報を含むMAC管理項目を含む場合、RecordIAPが呼び出されて、そのようなリストがその項目にある場合、IAPリストを格納する(段階708)。(段階708で判断されたように)フレームがMAC管理項目を含まない場合、処理はフレームを破棄し(段階712)、空き状態に戻る(段階714)。
【0142】
段階706において、フレームのDAがMACローカルアドレスと等しくないと判断される場合(送信対象のフレームの場合大抵そうであるように)、DAがブリッジジングされると分かっているかどうか(段階716)、すなわち、(上述したように、また図36において更に詳述するように)前RecordBPDA機能からの、局のBPDAのリストにおけるブリッジと関連付けられているかどうかが判断される。DAがブリッジジングされると分かっている場合、フレームのDAをフレームのデータフィールドにおける対応するブリッジのDAと置換することによって、また、OSA及びOSAフィールド各々におけるフレームの原DA及びSAを(図15の)置換ブリッジアクセスMAC管理項目210Fに配置することによって、SubstituteBPDA機能が実行される(段階718)。フレームは伝送に備えてフレームを準備する処理に向けられる(段階720)。
【0143】
段階716で、DAがブリッジジングされると分かっていない場合、また実際には段階722で、ブリッジジングされないと分かっている場合、ブリッジアドレスの処理なしに、フレームは伝送の準備(段階720)に向けられる。(段階722で)DAが分かっていない場合、SubstituteBPDA機能は、DAがブロードキャストアドレスに設定された状態で、実行され(段階724)、処理は段階720に進む。
【0144】
再び段階704において、フレームのSAが局のアドレス(MyAddr)に等しくない場合、処理を行うデバイスはブリッジであり、処理は以下のように続く。DAが(前RecordBPDA機能、チャネルマップ応答、あるいはローカル管理‘セット’基本命令によって)ブリッジジングされると分かっているかどうかが判断される(段階726)。DAがブリッジジングされると分かっている場合、SubstituteBPDA機能が実行され、(先に述べたように)IAP(SA)機能が実行され、そしてSAがMyAddrと置換された(段階728)後に、段階720で伝送に備えてフレームが準備される。それ以外の場合、DAがブリッジジングされないと分かっている場合(すなわち、チャネルマップが、DAあるいは他の指示に対して存在する)(段階730)、DAを変更せずに、SubstituteBPDA機能が実行され、IAP(SA)機能が実行され、そしてSAがMyAddrと置換された(段階732)後に、段階720での伝送に備えてフレームが準備される。
【0145】
DAが(段階730での判断から)分かっていない場合、ブロードキャストアドレスに設定されたDAを有するSubstituteBPDA機能が実行され、IAP(SA)機能が実行されと共に、SAがMyAddrと置換された(段階734)後に、段階720での伝送に備えてフレームが準備される。
【0146】
図35において、伝送フレーム準備処理720を示す。この処理は、図34の送信元認識ブリッジングに対して自動環境設定が行われた後に実行される。このように処理を順序付けることによって、部分ARQを用いることによるブロードキャスト及びマルチキャストパケットに対する信頼度が高く維持される。まず処理720によって、DAがマルチキャストアドレスであるかどうかが判断される(段階740)。DAがマルチキャストアドレスではない場合、DAに対するチャネルマップが存在しているかどうかが判断される(段階742)。DAに対するチャネルマップが存在する場合、チャネルアクセス手順に従って、暗号化され、送信されるようにフレームは仕向けられる(段階744)。段階742で、DAに対するチャネルマップが存在しないことが判断された場合、チャネル推定要求MAC管理項目がフレームに追加され(段階746)、その後段階744で、暗号化及び伝送を行う。段階740で、DAがマルチキャストであると判断される場合、有効なチャネルマップが存在しているかどうかが判断される(段階748)。有効なチャネルマップが存在しない場合、部分ARQ処理を実行することができず、段階744で、フレームの暗号化及び伝送だけが行われる。段階748で、有効なチャネルマップが存在する場合、部分ARQ処理は、SubstituteMWR機能によって実行される。SubstituteMWR機能によって、応答を有するマルチキャスト管理項目にDAがコピーされ、DAが有効なチャネルマップが存在するDAと置換され、そしてマルチキャストフラグが設定される(段階750)。
【0147】
図36に、受信の際(すなわち、フレームがMACユニットによってメディアから受信される時)の自動設定、送信元認識ブリッジングの送信元認識MACのRX処理760を示す。図34、35を参照して上述した伝送処理とは逆の順序で処理が行われる。すなわち、部分ARQ処理は、ブリッジプロキシ処理を伴う。処理760によって、メディア762からフレームが受信される。マルチキャストフラグが1に設定されるかどうか、あるいはDAがマルチキャストアドレスであるかどうか、すなわち、アドレスMSB=1であるかどうかが判断される(段階764)。MCFが設定されず、またDAもマルチキャストではないことが判断された場合、DAがMyAddrに等しいかどうかが判断される(段階766)。段階766で、DAがMyAddrに等しくない場合、フレームが破棄されて(段階768)、処理は空き状態に戻る(段階770)。それ以外の場合、すなわち、MCFが設定されるか、あるいはアドレスがマルチキャストアドレスであるいずれかの場合、あるいはDAがMyAddrに等しい場合、フレームが再組立て(適宜)及び暗号解読されて、存在するMAC管理項目が全て抜き出される(段階772)。チャネル推定要求MAC管理項目がフレーム内にある場合、処理760によって、そのようなリストが存在する場合はブリッジのIAPリストから引き出されたBPDAリストを含むチャネル推定応答を準備することによって、要求が処理される(段階774)。MWR管理項目がフレームに存在するかどうかが判断される(段階776)。存在する場合、DAはその項目に含まれるDAと置換され、管理ヘッダが除去される(段階778)。MWR項目が存在しない場合、置換ブリッジアドレス項目のフレームにおける有無が判断される(段階780)。RBA項目がフレームに存在するかどうかが判断される場合、RecordBPDA(OSA、SA)機能が実行されて、このアドレス対が局のBPDAlistに追加され(OSAとSAが異なる場合)、またDA及びSAは、ODA及びOSAから戻される(段階782)。一旦フレームから全ての管理項目が除去されて、ホストに送出するためのLLCにそのフレームが渡されると(段階784)、処理は空き状態に戻る(段階770)。
【0148】
図32に示すように、ブリッジB1及びB2は、低信頼度ネットワークに接続されるポート上で送信元認識MACに連結される学習ブリッジ処理を含む。学習ブリッジ処理は、“IAP認識”であり、従って、IAPlistに格納するための低信頼度MACのIAP機能に、転送アドレスのリストを渡すことができる。
【0149】
ブリッジB1、B2は、IAP認識を有する学習ブリッジ機能を用いるが、他の実施形態も考えられる。例えば、少なくとも1つのポート上での送信元認識ブリッジングの使用が、学習ブリッジ処理から隠されるように、ブリッジB1、B2は、標準的な、市場で入手可能なブリッジチップ(一般的には、ポート毎に内蔵イーサネットMAC648を有する)及び少なくとも1つのポートに接続される外付け送信元認識MAC532が実装されてもよい。そのような実装例において、ブリッジはIAP認識ではなく、そのために取り外され、送信元認識MACにIAPリスト情報を渡すが、前述したように、送信元認識MACは、IAPlist、例えばMAC管理項目あるいは他の送信元認識MAC学習機構を生成及び維持するために用いることができる他の機構をサポートする。
【0150】
再び、図32、33に、デバイス628及び630を示し、独立型ブリッジとして述べるが、これらのデバイスは(ホストを有する、あるいはホストに接続された)局として実装できない。局として実装される場合、ブリッジデバイス628は、両サブネットワーク622及び626上の局として見える。同様に、ブリッジデバイス630が局として実装されたならば、それは、両サブネットワーク626及び624上の局と考えられる。ブリッジング機構に関する制御構造及び動作は、適宜修正される。例えば、局/ポートリスト660は拡張されて、ポートBの場合デバイス630(B2)を含み、局/ポートリスト662も同様に、ポートAの場合デバイス628(B1)を含むようになる。
【0151】
先に示したように、無競合アクセス機構を用いることによって、単独局がメディアへのアクセスを制御できるようになる。更に無競合アクセス機構によって、局がネットワーク制御装置として機能することができる。図37において、高品質トラフィック並びに競合志向アクセスを保証するための、周期的な無競合間隔(セッション)をサポート可能な、マルチノードネットワーク700を示す。ネットワーク700は、共有物理メディア706に接続される、主局702及び(第1及び第2従局として各々示す)局704a、704bで示す局を含む。一般的に、主局702の選択は、ネットワーク管理者(図示せず)によって行われか、あるいはデバイスまたは製品指定による。局702、704a、及び704bは、ホスト708a、708b、708c、MAC層710a、710b、710c、及びPHY層712a、712b、712cを各々含む。各ホスト708は、MAC層710に連結され、またそのMAC層は、PHY層712に連結される。MAC層710は同じ様に動作することによって、MACユニット18(図1)の機能を含むことが好ましい。同様に、PHY層712は、少なくともPHYユニット22(これも図1)の機能を含むことが好ましく、メディア706は電力線である。しかしながら、他の種類のメディアを用いることもできる。ホスト708は、MAC副層710の上位で動作する少なくとも1つ以上のネットワーク化ソフトウェアコンポーネントを代表するものである。
【0152】
主局702と無競合間隔のセッションに加わることを望む1つ以上の従局704a、704bとの間の接続は、主局と従局ホスト(すなわち、両方の従局がそのセッションの構成要素になることになっている場合、ホスト708aとホスト708b、及び708aと708c)の間で、無競合セッションの前に通常の競合に基づくアクセスを用いて、競合制御メッセージ714の交換によって確立され、また維持される。局は、同じ機構を用いる、すなわち、競合制御メッセージ714を用いるセッションに加えられたり、あるいはそのセッションから除外されるが、この競合制御メッセージ714は、これらの目的のために、そのセッション中に無競合間隔以外の間に送出される。ホスト708は、局のMAC710にセット接続及び使用接続メッセージ716を送ることによって(既に確立された、あるいは引き続き修正されるような)接続の詳細を通信する。
【0153】
主局/従局通信に伴う接続制御メッセージ14は、以下の基本命令を含む。すなわち、MASTER_SLAVE_CONNECTION.Request(Req)/Confirm(Conf)、SLAVE_MASTER_CONNECTION.Req/Conf、MASTER_SLAVE_RECONFIGURE.Req/Conf、及びSLAVE_MASTER_RECONFIGURE.Req/Confを含む。これらの基本命令は各々、以下のパラメータを含む。すなわち、期間、フレーム長、最短フレーム時間、最長フレーム時間、開始時間、接続継続時間、接続番号、及び最終無競合フレーム(CFF)を含む。期間は、一つの競合間隔の開始から次の無競合間隔の開始までの時間を定義する。フレーム長は、各間隔中に送信される平均フレーム長を(バイト数単位で)定義する。最短フレーム時間及び最長フレーム時間は、フレーム(プラス関連する応答)の最短継続時間及び最長継続時間を各々定義する。開始時間は、無競合間隔(あるいはその開始)に加わるおおよその時間を指定する。接続継続時間は、接続の継続時間を(秒単位で)指定する。値が0であるということは、接続がキャンセルされることを示し、一方、最大値は、キャンセルされるまで接続が良好であることを示す。接続番号は、特定の局間(すなわち、主局と従局間)接続に割り当てられる接続番号である。最終CFFは、(このパラメータを受信する)従局が、次の無競合間隔において最後のフレームを送信することになっており、そのフレームにおけるCCフィールドをゼロ値に設定すべきである(従って、ネットワークにおける全ての局にその特定の無競合間隔の終了を信号送信すべきである)ことを示す。主局は、接続制御メッセージパラメータの設定を制御し、要求(.reqメッセージ)を生成する従局は、要求された値を主局に送る。従局からの確定応答は、主局によって返される値を、その値が受入可能である場合、確定するだけである。
【0154】
主局と従局間での例示の接続制御メッセージ交換は以下の通りである。通話を始めるハンドセット局(従局)は、通話セットアップ(接続要求)を要求するベース局(主局)にメッセージを送る。主局は、接続の確立及び維持に必要なタイミングや他の情報を示すメッセージで応答する。
【0155】
前述の接続制御メッセージパラメータに加えて、新規接続のためのチャネルマップに関係する要求や応答は、競合に基づくアクセスを用いて(接続が加わる)第1無競合間隔の開始前に、送出される。また、接続の維持や接続に対する変更に関する他の全てのメッセージも、無競合間隔外で交換される。
【0156】
引き続き図37において、主局700は、他の局(新規“主局”)、例えば、従局として振舞っていた(例えば、局704の内1つの)局、あるいは従局(図示せず)として機能していなかった局に主制御を渡すことができる。ネットワーク700は論理ネットワークに分割され、各論理ネットワークは指定された主局を有し、例えば、一方の論理ネットワークは第1主局に指定された(及び主局として振舞う)主局700を有し、もう一方の論理ネットワークは第2主局に指定された局704bを有し、主局/セッション制御が主局700から他の(新規)主局704bに渡されてもよいことの利点が理解されるであろう。そのために、接続制御メッセージ714もまた、主局から新規主局へ、主局及びセッション制御情報を渡すためのメッセージを含む。これらのメッセージは、以下のパラメータ、すなわち、期間、フレーム長、最短フレーム時間、最長フレーム時間、開始時間、セッション継続時間、接続番号、及び要求される間隔長を伝えるためのMASTER_MASTER_CONTROL_TRANSFER.Request、及びMASTER_MASTER_CONTROL_TRANSFER.Confirmメッセージの形態である。期間は、ある無競合間隔の開始から次の無競合間隔までの時間を定義する。セッション継続時間は、(セッション制御権を握っている主局に対して)セッションの長さを秒単位で定義する。要求される間隔長は、要求される無競合間隔の全長を(ミリ秒単位で)指定する。接続番号は、主局対新規主局の接続に割り当てられる固有番号である。従って、論理ネットワークの各々指定される主局702、704aは、論理ネットワークのセッション間で円滑に移行するために、それらの局間で制御権を双方向に受け渡すことができる。
【0157】
図38において、無競合間隔722の例示の無競合セッション720を示す。無競合間隔722は、(競合制御メッセージ714において期間として指定される)固定時間間隔724で周期的に起きる。他の局が、(間隔725がセッション720の一部ではないものとして、図中斜線で示す)競合志向間隔725の間にメディアに対する競合の機会を持てるように、無競合間隔は全周期すなわち全サイクルのある部分、例えば50%に制約するのが好ましい。セッション間隔726は、セッション720の継続時間である。それは、(図示したような)固定継続時間であってもよく、あるいはセッションが必要な限り継続されてもよい。一般的に、セッションは、主局によって、主局がセッションの必要性を認識するようになる時(例えば、最初の接続要求が受信された時)確立される。他の接続は、既に確立されたセッションに追加されてもよく、あるいは(そのような接続が終了する時に)セッションに加わる接続が、セッションから除外されてもよい。図38に示す例において、ホストが、ほぼ同時に従局704a、704b両方からの要求を認識し始めて、そのためにセッション720が、それらの接続が確立された時間に確立されたと仮定する。
【0158】
引き続き図38において、各無競合間隔722は、フレーム時間スロット727に分割され、各フレーム時間スロット727は(主局の)下流トラフィック、すなわち、スロット727a、727bか、又は(従局の)上流トラフィック、すなわち、スロット727c、727dのいずれかに対して割り当てられる。図示された構成において、主局は、下流トラフィックスロットにおいて、それ自身のフレームの1つを送り(例えば、スロット727aにおけるフレームを送る)、従局1によって用いられる無競合間隔722(再び、図示の例、スロット727cを用いて)に加わる従局に割り当てられた上流トラフィックスロットがその後すぐに続く。各構成要素従局1及び2に対する無競合アクセスを開始するために、無競合間隔は、すぐに送出するためのフレームを待ち行列に入れている、また、CAP=3及びCC=1を有する第1下流フレーム727aを従局704aへ送信する主局で始まる。一旦、下流フレーム727aが従局704aによって受信され、また従局704aが、下流トラフィックの伝送が完了したと判断すると、従局704aは、(従局のホストによって既に待ち行列に入れられている)上流フレーム727cを送信する。従局704aは、最後の(すなわち唯一の)セグメントが受信されて、ある条件を満たすと、すなわち、主局のそれに一致するSA、CAP=3、CC=1、及び割り当てられた接続番号に一致するCNを有する場合、待ち行列に入れられているフレームを送信しなければならないと判断する。
【0159】
引き続き図38において、従局1から、予測されるフレームを受信した後、あるいはフレームが受信されない(すなわち、下流フレーム、あるいは上流フレームいずれもチャネル状態が劣悪であるために失敗した)場合、所定の送信時間が過ぎた後、主局は、(そのセッションに加わる従局が他にある場合)追加的に無競合フレームを送信し続ける。図示の例において、主局は、第2下流トラフィックスロット727bにおいて下流トラフィックを送信し、これによって、従局704bが、第4スロット、すなわち第2上流トラフィックスロット727dの間に、(下流フレームにおいて設定するSA、CAP、CC、及びCNフィールドがそのように示す場合)上流トラフィックを送信できるようになる。従って、このようにして、主局の下流トラフィックによって、ポーリング手順を実行することができる。
【0160】
無競合間隔722は、最後のフレームにおいてCC=0と設定することによって完了する。局は、ある特定のフレームが、競合をセットアップ及び維持している間に(ホスト間で)交換される競合制御情報における最後のCCFフィールドからの最後のものであると認識する。
【0161】
従って、図38から明らかなように、無競合間隔セッション726は、競合志向間隔725の間に達成される分散型メディアアクセス制御(CSMA等)と異なるレベルのQoSに対して無競合間隔722の集中型メディアアクセス制御(TDMA等)との間で切換えを行うために、CSMAネットワーク(図1のネットワーク10等)によって用いることが可能である。
【0162】
各局のMAC層は、ホストによって交換される接続制御メッセージ714及びホストによってMAC層に提供されるセット接続MAC管理メッセージ716によって、然るべき時にフレームを送信するようにセットアップされている。セット及び使用接続メッセージ716は、MAC管理情報項目におけるMACに送出される。図39A及び図39Bにおいて、セット接続MAC管理データ項目740及び使用接続MAC管理データ項目742を各々示す。図39Aにおいて、セット接続データ項目740は、ある特定の接続に割り当てられた接続番号を識別するための接続番号フィールド744、及び局が接続番号フィールド744によって識別される接続に対して主局として振舞うか、あるいは従局として振舞うかを示すための主局フィールド746を含む。設定された場合、主局フィールド746は、その局が主局として振舞うことを示す。更に項目740は、SAフィールド748及びSAフレームサイズフィールド750を含む。SAフィールド748は、識別される接続の待ち行列に入れられている(SAフレームサイズフィールド750によって指定される長の)フレームの伝送をもたらす局のアドレスを提供する。待ち行列に入れられているフレームが、与えられた無競合間隔の間に送信される最初のフレームである場合、SAフレームサイズフィールド750はゼロに設定され、SAフィールド748は無視される。主局フィールド746が設定され、待ち行列に入れられているフレームが、与えられた無競合間隔の間に送信される最初のフレームではない場合、主局は、SAフレームサイズフィールド750によって与えられる長さを(識別されたSAのチャネルマップと共に)用いて、前伝送の終了と待ち行列に入れられているフレームの伝送の開始との間の時間間隔を測定するための送信タイマを設定する。送信タイマが時間切れになり、メディアが空き状態になるとすぐに、待ち行列に入れられているフレームが送信される。上流フレームが失敗した場合(例えば、破損された場合や送信されない場合)、送信タイマの値は、無競合間隔を継続するために用いられる。
【0163】
送信タイマの値は、無競合間隔における後続のトラフィックに対して更にジッタが生じないように、予測される上流フレームの継続時間にほぼ等しく、また平均フレーム長を知っている従局からの最新のチャネルマップから推定することができる。潜在的なギャップによって他の局が無競合間隔を乱すことがないように、特に、局がCAP=3及びCC=1を用いるトラフィックを聞き取る場合、EIFSは、上流フレームが紛失された場合に起き得る最長ギャップよりも長くなるように定義されなければならないことに留意されたい。2つの異なる値EIFS、CAP=3及びCC=1であるデリミタが検出された場合(先に定義された)より長いEIFSを、またそれ以外の場合、競合に基づくトラフィックに対して最適化されたより短いEIFSを用いることが望ましい。
【0164】
引き続き図39Aにおいて、項目740はまた、TXフレームサイズフィールド752、最短フレーム時間754、及び最長フレーム時間756を含む。TXフレームサイズフィールド752は、平均予測フレームサイズを(バイト単位で)指定し、また必要に応じて、適切な長さの擬似フレームを生成するために用いられる。一般的に、擬似フレームは、フレームが、(フレーム到着の遅延のために、あるいは適時なフレーム到着の前に伝送時刻になるネットワークジッタの結果として)伝送に間に合うようにMACに到着しない場合、送出される実際のフレームを置換するために用いられる。擬似フレームは、通常送信されるフレームとほぼ同じ長さであり、また、それが擬似フレームであるという表示を(例えば、MAC管理項目中に)含む。最短フレーム時間754は、フレーム(及び予測される場合、関連する応答)の最短継続時間を指定する。現チャネルマップに基づくフレームのサイズが、この最短要求を満たさない場合、フレームは、この最短の値を満たすために、然るべき数のビットでパディングされる。最長フレーム時間756は、フレームの最長継続時間を指定する。現チャネルマップに基づくフレームのサイズによってフレームがこの最長要求を超えてしまう場合、フレームは、伝送前に切り捨てられ(あるいは適切な長さの擬似フレームが送られ、またホストには失敗したことが示される)。最短/最長フレーム時間の目的は、ジッタの制御である。チャネルマップは、これらのタイミング要求及び平均フレームサイズを知ることで演算あるいは最適化できる。
【0165】
また、セット接続MAC管理項目740に含まれるものは、制御フィールド758及びFrameLifeフィールド760である。制御フィールド758は、接続番号によって識別される接続に対して、(局が主局である場合)他の局への、あるいは(局が従局である場合)他の局からの主局制御権の受渡しを局に示す。FrameLifeフィールド760は、フレームタイマの値(先に述べたFrmTimer)を指定する。このタイマの値が時間切れになる場合、伝送待ちの待ち行列に入れられているフレームは破棄される。
【0166】
図39Bにおいて、使用接続項目742は、接続番号フィールド762を含むが、このフィールドは、同じ接続に対して、セット接続項目における同様に命名されたフィールドと同じ接続番号を指定する。これは、その接続を用いるメディア上で送信されるデータフレームを有するホストによって、MACに送出される。データフレームが伝送用に準備された場合、接続番号は、セグメント制御フィールド106(図7)の接続番号フィールド162に配置される。
【0167】
図38には図示していないが、主局は無競合間隔(例えば、無競合間隔722)を用いて、無競合間隔722の間に複数フレームを連続して送ることができる。(連続する下流トラフィック伝送を達成するために)下流トラフィックに対して上流トラフィックスロットを用いる場合、主局は、通常次のスロットの間に移行する主局と従局間の主局対従局接続に割り当てられるもの以外のある接続番号に、下流フレームにおけるセグメント制御フィールド106(図7に示す)の接続番号フィールド162を設定する。言い換えれば、主局はCNフィールド162を用いて、下流トラフィックが従局のポーリングを果たすかどうかを制御する(従って、次のスロットにおいて、上流フレームのトリガとなる)。更に、所望であれば、主局は従局に擬似フレームを送り、一方向の上流トラフィックのみを開始する。主局は、同じ機構を用いて、すなわち、主局のSAにSAを設定し、CAP=3、CC=1及びCNを適切な接続番号に設定して、(先に述べたように、2つの局が、無競合間隔の開始に先立ち、接続制御メッセージの交換において、制御権のパッシングに同意した場合)無競合間隔下流スロットにおいて他の局に主局制御権を渡す。主局制御権が渡された局は、このフレームを正常に受信する際に、主局としての役割を受け入れるが、ここでSAは主局SAに一致し、CAP=3、CC=1であり、また、CNは割り当てられた接続番号に一致する。同様に、制御権パッシングは、無競合間隔同士の間でも、動的に行うことができる。
【0168】
局が異なるネットワーク暗号化キーを有する場合、セットアップ及びホスト間での制御権パッシング通信は、セットアップ及び制御メッセージ(フレーム)に対して暗号化がディスエーブル状態にされて行われる。暗号化がディスエーブル状態にされるため、これらのフレームには他に情報は含まれない。
【0169】
接続制御メッセージは、開始時間を含むものとして述べてきたが、接続制御メッセージパラメータのように、開始時間は消去できることが理解されるであろう。主局及び従局が、(接続セットアップに対する接続制御メッセージの交換によって)接続パラメータに同意するとすぐに、最初の無競合間隔を開始するという仮定に基づいて開始時間を示すことができ、また、送信タイマ及びFrmTimerを用いることによって、2つの局は、その後完全に同期化が可能になる。
【0170】
接続制御メッセージは、無競合間隔(CC=0である)間で交換されるが、他の局のデータトラフィックと競わないように、最上位優先権(CAP=3)でメッセージをおくることが望ましい。
【0171】
フレーム転送(すなわち中継)は、雑音のある(無線あるいは有線)ネットワークに対するネットワーク全体の有効範囲、信頼度、及び処理能力を高めることができる。従って、MACユニット18(図1)のMACプロトコルは、中間局を介してフレーム転送のための効率的な機構をサポートする。フレーム転送は、3つの局12を含む。例示のフレーム転送アクティビティのコンテキスト内において、3局の内の第1局(例えば、12a)は送信元局“A”であり、3局の内の第2局(例えば、局12k)は宛先局“B”であり、また選択された第3局(例えば、局12b)は中間(すなわち転送)局“I”である。一つのフレーム転送のシナリオにおいて、局Aと局Bは、チャネル状態(すなわち、高減衰及び/あるいは雑音レベル)のために互いに通信できないが、局Aは局Iと通信が可能であり、局Iは局Bと通信が可能である。これとは別のデータ率順応型フレーム転送のシナリオにおいて、局Aは(例えば、ROBOモードを用いて)局Bとかなり低いデータ率でしか通信できず、また、中間局を介してBと通信することによって、処理能力を大幅に高めることができる。
【0172】
局Bとの通信に先立ち、局Aは局Bと通信するための最善の方法を学習する。このタスクは、学習処理を介して達成され、これによって、局Aが、ネットワークにおける各局に、(図13Aの)接続情報要求MAC管理項目210Cを含むフレームを送信する。この要求によって、局12の各々から、局Bと通信する局の能力についての情報が求められる。この要求は、ユニキャストフレーム伝送で既知の局各々に送られてもよく、あるいはブロードキャストフレーム伝送で局Aを聞き取ることができる全ての局に送られてもよい。Bと通信できることを認識する各局は、(図13の)接続情報応答MAC管理項目210Dを含むフレームを返すことによって応答する。項目210Dにおけるバイトフィールド249は、(局Bへ格納あるいは直前に要求された、また返されたチャネルマップに基づく)局Bへの40記号ブロック当たりのバイト数を含む。(一方、応答局は、最長フレームの能力(バイト単位)を、局Bに返す。)従って、バイトフィールド249は、局Bへの応答局の接続に対して、データ率を示す。この応答は、その接続についての他の該当する情報を含むことができる(例えば、接続の品質あるいは信頼度の目安及び/あるいは接続情報要求を含んでいたフレームがチャネル推定要求項目210A(図12A)もまた含んでいた場合、局Aの更新されたTXチャネルマップ)。応答を受信した後、最大能力、あるいは(局A対応答局及び応答局対局Bの両接続の組合せに基づいた)接続品質や信頼度の要求事項を満たす処理能力を提供した応答局が、中間局Iとして選択される。
【0173】
これらのチャネル情報要求及び応答は、感度の良い情報は含まない(すなわち、情報は他の局が漏れ聴くことができない)ために、平文で送信されて、ネットワーク暗号化キーを交換する必要性(キーがまだ利用可能ではない場合)あるいは処理時間を減少する必要性が無くなる。
【0174】
局Bが局Iにバイト値(すなわち、40記号ブロック当たりのバイト)を変更する新規のチャネルマップを送る場合は必ず、局Aは、I対B接続のためのチャネル情報の更新を受信することが好ましい。局Aは、そのような更新の受信を管理でき、あるいはオプションとして、局Iには、新規の接続情報応答で局Aを更新する責任が与えられてもよい。フレーム転送トラフィックの観測に基づき、局Aから局Bにトラフィックを転送していると認識した場合、局Iは、このタスクを扱うことができる。
【0175】
図40において、両フレーム800の後に予測される応答を伴うフレーム転送のための転送フレーム構造に従がい、局Aは、局Iを介して、確認応答サービスを用いて局Bにフレームを送出する。転送フレーム構造800は、第1フレーム802、第1応答(RESPONSE1)804、第2フレーム806、第2応答(RESPONSE2)808、及び第3応答(RESPONSE3)810を含む。第1フレーム802及び第2フレーム806は各々、SOFデリミタ、第1SOFデリミタ(SOF1)812、第2SOFデリミタ(SOF2)814を各々含む。またフレーム802、806は、フレームペイロード(F1、F2)816、818を各々含む。更にフレーム802、806は各々、EOFデリミタ、第1EOFデリミタ(EOF1)820、第2EOFデリミタ(EOF2)822を各々含む。SOFデリミタ、EOFデリミタ、ペイロード、及び応答は、SOFデリミタ92(図3及び5A)、EOFデリミタ94(図3及び5B)、応答120(図4及び6)に対して定義された同じ構造を有していることが理解されるであろう。
【0176】
第1フレーム802に関して、局Aは、局Iへのチャネルマップに基づき、最大フレーム能力よりも少ないフレーム能力に基づく最大セグメントサイズ、及び局Iからの応答に示されるバイト能力を選択して、フレームが、フレーム中継の両フレーム(フレーム802及びフレーム806)に対して単一セグメントに確実に合うようにする。フレームヘッダ/本体816において、SAは局Aのアドレスに設定され、DAは局Bのアドレスに設定され、セグメント制御フィールド106におけるFW161は0b10あるいは0b11(中間局アドレスフィールドIA823の存在を示し、フレームが中間局に送られつつあることを示し、また、FWのMSBが1である場合、CCの所期値/元の値を示すFWのLSBを示す)に設定され、また、アドレスフィールドIA823は局Iのアドレスに設定される。SOF1デリミタ812及びEOF1デリミタ820におけるDTは、予測される応答及びCCが無競合状態を示すように設定されることを示す値に設定される。EOF1デリミタ820におけるCAPの値は、フレームに割り当てられるチャネルアクセス優先権(すなわち優先権“P”)に設定される。EOF1デリミタにおけるRWREフィールド145はゼロに設定される。局Iがフレーム802を受信する場合、局Iは、(局Iが、宛先アドレスに対するDAの代わりにIAを検査しなければならないことを示す)0b10あるいは0b11に設定されるFWフィールドを検出し、IAをそれ自身のアドレスに一致させる。SOF1が、応答が予測されることを示す場合(本例においては予測される)、局Iは、ACKを返す場合、EOF1に含まれるCCとCAPの値を用いて応答804を返す。局IがNACKあるいはFAILを返す場合、局Iは、セグメント制御に含まれるCCとCAPの値を用いて、転送に失敗した試行を示す。ACKが返されることになる場合、局Iは、FWを(アドレスフィールドIAが存在することを示し、またフレームが最終局に送られていることを示す)0b01に設定し、FCSの値を再演算し、応答が、SOF2_814及びEOF2_822において予測されるかどうかを示し、またEOF2_822においてRWREビット145を設定し、(他局のVCSの便宜に供するように)二重に応答が予測されることを示す。SOF2_814及びEOF2_822におけるCCフィールドは、EOF1_820において受信される値ではなく、FW(CC=FWのLSB)において受信されるCCの値に設定される。EOF2_822におけるCAPフィールド144は、セグメント制御フィールド106において受信される値に設定される。SOF2_814におけるCMIフィールド142及びFLフィールド140は、DA(局B)のためのTXチャネルマップに従って設定され、フレームは、CMIフィールド142において示されるTXチャネルマップを用いて送信される。
【0177】
局Bは、局Iから第2フレーム806を受信し、またFWの値(FW=0b01)からフレーム806が転送されたことを認識する。SOF2_814は、応答が予測されることを示すことから、局Bは、他の応答が次に予測される(RWRタイプ、DT=1)ことを示す応答808を返す。応答808は、フレーム806において受信されるFCSに基づきRFCS148と共に、SOF2_814において受信されるCCの値とCAP144の値を含む。局Iは、応答808を処理し、また局Aに対する第3応答810を生成する。応答810は、同じタイプのものであり(ACK、NACK、あるいはFAIL、但し0b101の代わりにDT=0b100であることを除く)、局Aからフレームで受信されるCC、CAP、及びFCS(応答がACKの場合)の値を用いる。
【0178】
各伝送におけるフレームペイロードは、セグメント制御におけるFWフィールド及びFCSを除いては同一である。このことによって、MACが要求する処理は最小化されて、フレームが伝送に対して準備される。
【0179】
図40、並びに図41及び続く43乃至45に関して、“SOF1”、“SOF2”、“EOF1”、“EOF2”、“F1”、あるいは“F2”を伴う記号“=”は、“は、で受信する値を割り当てられる”ということを表すための短縮表記として用いられる。上記ではまだ触れていない他の短縮記号及び略号には次のものが含まれる。すなわち、長さの場合“LEN”、フレームに関連する原/所期チャネルアクセス優先権値の場合“P”、及びフレームに関連する原/所期CC値の場合“C”を含む。従って、例えば、“FL=LenF1”は、フィールドFLがフレームF1の長さに等しいことを示し、また“CAP=EOF1”は、CAPがEOF1において受信された値を割り当てられることを示す。
【0180】
図41において、予測される応答824が無い(すなわち、ブロードキャスト)フレーム転送のためのフレーム転送構造を示す。このシーケンスにおいて、フレーム802、806両方におけるSOFデリミタ及びEOFデリミタフィールドは、応答が予測されないことを示すように設定される。すなわち、SOF1_812、SOF2_814におけるDTフィールドが、000の値に設定され、EOF1_820、EOF2_822におけるDTフィールドが010の値に設定される。他のフィールド設定値は全て、図40に示すフレーム転送構造におけるフレーム802、806の場合のものと同じである。
【0181】
通信量が多い上位優先権トラフィックの期間中は、割込み多発することがある。他のトラフィックが、フレーム転送の間に割込まないようにするために、局Aは、フレーム802のEOF1_820においてCAP=3を局Iに対して示すことができ、局Iは、その応答、応答804におけるCAP値を用いる。局Aによるメディアに対する競合は、(PRP284における信号送信及び他の伝送への割込み決定を含む)第1フレーム802の実際のCAP及びCCに基づいている。局Iは、CAP=3及びCC=1に基づいて競合する(無競合が最初のフレームにおいて示されたために、常に競合に勝つ)。原値が両フレームのセグメント制御において送られることから、局Iからのフレームの実際のCAPは、EOF2及び次の応答に復元される。この方式が用いられる場合、すなわち、フレームが3未満のCAPあるいはCC=0を有する場合、発信局は、転送伝送における全てのフレームに関する合計時間が、上位優先権トラフィックに対する待ち時間を制御するための最長許容フレーム長(時間単位)よりも確実に短くなるように、最大セグメントサイズ(バイト単位)を選択する。このことは、TXチャネルマップ(局AからIへ)に含まれる情報や局Iから受信される接続情報応答から決定できる。
【0182】
フレーム転送機構については他の実施形態が考えられる。例えば、図42乃至45に関して、オーバーヘッドを少なくしたフレーム転送のためのフレーム転送構造は、各EOFデリミタ820、822を省いて、EOFデリミタに存在していた情報を伝えるために、各SOFデリミタ812、814を修正することによって達成される。図42において、SOFデリミタフレーム制御フィールド98(図98)は、4ビットを利用可能にするために、各FL及びFCCSフィールド(各々フィールド140及び136)を2ビットずつ短縮し、その利用可能な4ビットを用いて、SOF_CAPフィールド830(2ビット)、設定された時フレームにおけるEOFの存在を示す1ビットEOFPフィールド832、及び設定された時2つの応答が続くことを示す1ビットSOF_RWRE(予測される応答を有する応答)フィールド834を加えることによって修正することができる。
【0183】
この少オーバーヘッド方式において、図43を参照して、最終フレーム836の後にのみ応答を有するフレーム転送のためのフレーム構造を示す。局Aは、応答が予測されることをSOFデリミタが示すフレームを送り、また以下の設定値を有する。すなわち、CAP=3、CC=1、EOFP=0、RWRE=1、及び予測される応答に対するDTを有する。これらの設定値は、第1フレーム802が、第1フレーム802に対する応答の代わりに(そうでなければACKが返される場合)送られる第2フレーム806と共に転送されることになっていること、第1フレームの後PRPが発生することはないこと、また2つの応答(RWR応答808及び810)が第2フレーム806の終了時に予測されることを示す。第1フレーム802のセグメント制御106におけるFWは、第1フレーム802に対するCCの値に基づいて、0b01あるいは0b11に設定される。どの局も、CAP=3、CC=1、PRPは存在しないため、第2フレーム806の伝送に割込みをかけることはできない。局Iが第1フレーム802を正常に受信する場合、また、そうでなければACKを送る場合、局Iは、SOF2デリミタ814を設定して、応答が求められないこと、またRWRE=1であることを示す(従って、第2フレームに2つの応答が続くことを伝える)。また第2フレーム806は、第1フレーム802においてセグメント制御フィールド106を受信したCAP及びCCを用いて、EOFP=0及びFW=b01と設定する。局Iは、FCSを再演算し、第2フレーム806を送信する前に応答が予測され無いことを示すためにSOF2を設定する。局Aは、局Iによって送信される第2フレーム806のSOF2_814を検出し、ACKを推測する。局Bは、SOF2デリミタ814において受信される値にCCを設定し、また、第2フレーム806において受信される値にCAP及びRFCS設定して、2つのRWR応答の内第1応答、すなわち、応答808を返す。局Iは、2つのRWR応答の内第2応答、すなわち、応答810を返すが、ここでCAP、CC、及びRFCS値は、第1フレーム802において受信される値と同一である。待ち時間を制御するために、応答808、810を含む伝送全体の時間は、最長許容フレーム長(時間単位)に制限される。応答が予測され、また第2フレームが応答に置き換えられるため、フレーム間にはPRPが無いことに留意されたい。
【0184】
図44において、最終フレームの後にのみ応答を転送するための、第1フレーム838の後にNACKあるいはFAILを伴うフレーム転送構造を示す。第1フレーム802は、図43において述べたものと同じ方法で送信されるが、本例においては、第1フレームはフレーム転送に失敗する。従って、応答804は、フレーム転送に失敗したことを示すために、第1フレームのすぐ後に送信される。応答804において、ACKフィールドはゼロに設定されて、ACK以外の応答が返されていることを示し、また、FTYPEの値は、他の応答のタイプ(NACKあるいはFAIL)を適切に表す。
【0185】
引き続き少オーバーヘッドフレームフォーマットを用いて、図45において、応答840の無いフレーム転送のためのフレーム転送構造を示す。この構造において、第1フレーム802は、予測される応答が無いフレームであり、また予測される応答(DT=001)でSOF1デリミタ812及びRWRW=0を設定することによって転送される。さもなければ、ACKが送られる場合、局Iは、第1フレーム802に対して予測される応答の代わりに第2フレーム806を送信する。第2フレーム806において、SOF2デリミタ814は、予測される応答が無く、またRWRE=0であることを示す。この結果、第2フレーム806の後は、応答は送信されず、PRP(図示せず)が直後に続く。図示はしないが、(図43に示す)NACKあるいはFAILに対する設定値を有する応答804等の応答は、第1フレームが失敗した場合、(第2フレーム806の代わりに)第1フレームの後に返されることが理解されるであろう。
【0186】
更にまた別の実施形態において、EOFデリミタが用いられる、図46において、EOFデリミタ102は、RSVデリミタフィールド146を短縮することによって変形されて、新規の長さのフィールド(FLEN)842を収容する。FLENフィールド842は、隠れた局(ノード)の性能の向上を促進するために予定された長さの第2フレーム806を示す。局Aは、局Iから受信される接続情報に基づいて、FLENに対して合理的な推定を行う。従って、図46と共に図40を簡単に参照すると、EOF1デリミタはFLENフィールド832を含むようにフォーマットすることができ、またFLENフィールド832は、第2フレーム806の長さの値で設定される(すなわち、図40の短縮表記を用いると、FLEN=LenF2となる)。
【0187】
第1フレーム802及び/あるいは第2フレーム806の後に、局AがACKを受信(あるいは推測)しない場合、通常のバックオフ手順は、局Aによって実行される。第1フレームの後に、NACK、FAILが受信されて、応答は受信されない(すなわち、ACKが受信あるいは推測されない)場合、特定のアクセス試行は早期に完了される。
【0188】
中間局のリソース(すなわち、受信バッファ)は、そこに向けられたものであればどのようなフレームでも局が受信するように利用可能でなければならない。中間局が中継局として振舞う場合、受信バッファは直ちに無くなり(フレームの再送信)、(フレームと中間局の間を往復する継続時間中メディアがビジーとなるため)他のトラフィックが局に到達できる前に利用可能になることから、受信バッファを追加する必要は無い。中継されるフレームは、直ちに再送信できない場合、放棄される。転送フレームが上位優先権によって割込みをかけられる場合、あるいはフレームが長すぎて、フレーム長と現チャネルマップのために単一セグメントに収まらない場合、フレームを直ちに送信できなくなる(従って、放棄される)。後者の場合、局は、FAILを発信局に返す。FAILを返す理由が2つ以上ある場合、FAILにおいて予約されたビットは、REASONフィールドに用いられて、失敗理由の符号(すなわち、フレームが長すぎて転送されないことを示す符号)を返す。
他の実施形態
以上、詳細な説明と合わせて本発明について述べてきたが、上述の説明は図示する目的のものであり、本発明の範囲に制限を加えるものではなく、本発明は付記された請求項の範囲によって定義されるものである。他の実施形態も、上記請求項の範囲内にある。
【0189】
【発明の効果】
本発明の利点は以下の通りである。無競合アクセスを示す競合制御インジケータと多重レベル優先権方式を組み合わせた結果、アクセスの公平さをQoS待ち時間要求事項と釣り合わせることができる。また、実際の搬送波検出信号は微弱あるいは信頼性が低くてもよいために、局には、第2の“仮想”搬送波検出タイマ機構が設けられ、このタイマ機構によって、各局が最後に送信されるフレームにおいて発生するフレーム制御情報に基づき伝送メディアの占有期間の正確な予測を維持できるようになる。更に優先権レベルに対応する2進数フォーマットによって、上位の優先権レベルから下位の優先権レベルを効率的に分離できる。OFDMによって、遅延拡散等の信号の取り扱いができるために、複数が競合する局による各優先権解決スロットにおけるビット値の信号送信は、OFDMに非常に適している。従って、これらの信号の整合はなされないが、各局は、信号送信すると共に他の局の信号を信頼度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ネットワークにおける各局がメディアアクセス制御(MAC)ユニット及び物理層(PHY)デバイスを含む、伝送チャネルに連結されるネットワーク局のネットワークの構成図である。
【図2】 PHYデバイス(図1に示す)の詳細な構成図である。
【図3】 ペイロードを伴う開始デリミタ及び終了デリミタを含む、OFDMフレームのフォーマットを示す。
【図4】 応答フレームのデリミタのフォーマットを示す。
【図5】 5Aは、(図3の)開始デリミタにおけるフレーム制御フィールドのフォーマットを示し、5Bは、(図3の)終了デリミタにおけるフレーム制御フィールドのフォーマットを示す。
【図6】 (図4の)応答デリミタにおけるフレーム制御フィールドのフォーマットを示す。
【図7】 図3に示すフレームのペイロードにおけるセグメント制御フィールドのフォーマットを示す。
【図8】 図3に示すフレームのペイロードにおけるフレーム本体のフォーマットを示す。
【図9】 図8に示すフレーム本体におけるMAC管理情報フィールドのフォーマットを示す。
【図10】 図9に示すMAC管理情報フィールドにおけるMCTRLフィールドのフォーマットを示す。
【図11】 図9に示すMAC管理情報フィールドにおけるMEHDRフィールドのフォーマットを示す。
【図12】 12Aは、MEHDRフィールドがチャネル推定要求タイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示し、12Bは、MEHDRフィールドがチャネル推定応答タイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示す。
【図13】 13Aは、MEHDRフィールドが接続情報要求タイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示し、13Bは、MEHDRフィールドが接続情報応答タイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示す。
【図14】 MEHDRフィールドがセットローカルパラメータタイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示す。
【図15】 MEHDRフィールドが置換ブリッジアドレスタイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示す。
【図16】 MEHDRフィールドがセットネットワーク暗号化キータイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示す。
【図17】 MEHDRフィールドが応答型マルチキャストタイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示す。
【図18】 MEHDRフィールドが連結タイプとしてデータ項目タイプを識別する、MAC管理情報フィールドにおけるMMENTRYデータ項目フィールドのフォーマットを示す。
【図19】 優先権及び競合に基づくアクセス(図19A)、及び優先権及び無競合アクセス(図19B)を利用するデータフレーム伝送を示し、優先権及び競合に基づくアクセス(図19C)、及び優先権及び無競合アクセス(図19D)を利用する応答フレーム伝送を示す。
【図20】 伝送されるフレームの到着時間に基づく優先権及び競合解決スロット信号方式を示す。
【図21】 送信(TX)ハンドラ及び受信(RX)ハンドラを有する状態機械を含む、MACユニット(図1に示す)の構成図である。
【図22】 図21のTXハンドラの構成図である。
【図23】 図22のTXハンドラによって実行されるフレーム送信処理の流れ図である。
【図24】 図23のフレーム送信処理によって実行される応答解決処理の流れ図である。
【図25】 図23のフレーム送信処理によって実行されるアクセス競合処理の流れ図である。
【図26】 図21のRXハンドラの構成図である。
【図27】 図26のRXハンドラによって実行されるフレーム受信処理の流れ図である。
【図28】 図23及び27各々に示すフレーム送信処理及びフレーム受信処理の局面を示す状態図である。
【図29】 各々が固有の暗号化キーによって定義され、論理ネットワークに分離されるネットワークを表す。
【図30】 論理ネットワークの1構成要素として新規の局を付加する(及び、例えば、図29に示す論理ネットワークの1つを用いる)処理の流れ図である。
【図31】 各構成要素局が論理ネットワークのためにネットワークキー及び選択対を維持する、(図29に示す論理ネットワークの1つの)論理ネットワーク構成要素局を更に詳細に示す。
【図32】 低信頼度サブネットワークにおける各局及びブリッジがブリッジプロキシ機構をサポートすることが可能であり、このブリッジによって低信頼度サブネットワーク局に接続される2つの高信頼度サブネットワークの局を含む拡張ネットワークの構成図である。
【図33】 局が低信頼度サブネットワークの局によってアクセスされる場合、それらの局が接続される高信頼度サブネットワーク局用ブリッジプロキシとして、各ブリッジが機能するように構成された図32の拡張ネットワークの構成図である。
【図34】 ブリッジプロキシ送信処理の流れ図である。
【図35】 ブリッジプロキシ送信処理のマルチキャスト処理部の流れ図である。
【図36】 ブリッジプロキシ受信処理の流れ図である。
【図37】 無競合間隔のセッションをサポートするために、主局として機能する1つの局と従局として機能するその他の局を有する局のネットワークである。
【図38】 無競合間隔セッションの間におけるタイムスライスを示す。
【図39】 39Aは、セット接続MAC管理データ項目のフォーマットであり、39Bは、使用接続MAC管理データ項目のフォーマットである。
【図40】 応答を有するフレーム転送用転送フレーム構造を示す。
【図41】 応答を有さないフレーム転送用転送フレーム構造を示す。
【図42】 終了デリミタを用いないフレームを含むフレーム転送に用いるための他の選択可能な開始デリミタフレーム制御フィールドフォーマットを示す。
【図43】 フレーム転送フレームの後にのみ、応答を有するフレーム転送のための図42の開始デリミタフレーム制御フィールドを用いた転送フレーム構造を示す。
【図44】 応答及び第1フレームの後に発生するNACKあるいはFAILを有するフレーム転送のための図42の開始デリミタフレーム制御フィールドを用いた転送フレーム構造を示す。
【図45】 応答を有さないフレーム転送のための図42の開始デリミタフレーム制御フィールドを用いた転送フレーム構造を示す。
【図46】 フレーム転送方式における第2フレームの長さを指定するためのフレーム長フィールドを有する他の選択可能な終了デリミタフレーム制御フィールドフォーマットを示す。

Claims (26)

  1. 伝送メディア(14)によって相互接続された局(12)からなり、フレーム(80)の送信を求める複数の局(12a,12b,…12k)が競合期間中(290)に同伝送メディアへのアクセス競合を行うことのあるネットワーク(10)における、搬送波検出多重アクセス(CSMA)通信の方法であって、
    ii)第1局(12a)に、複数のフレームの伝送のための無競合間隔を設定する段階であって、
    ii−a)第1局(12a)が、競合期間中(290)にアクセス競合して、前記伝送メディア(14)へのアクセスを得ることに成功する段階、
    ii−b)前記複数のフレームを、競合期間中にアクセス競合を行う許可を有していないことを示す競合制御情報と共に前記無競合間隔内に他の局のうちの少なくともいくつかの局に送信する段階であって、前記競合制御情報は、競合制御フィールド(130)を含む、前記複数のフレームを送信する段階
    によって、前記第1局に前記無競合間隔を設定する段階と、
    iii)前記送信される複数のフレームを受信する少なくとも第2局(12b)に、同第2局(12b)が前記無競合間隔内の競合期間中にアクセス競合を行うことを許可されているかどうかについて前記競合制御フィールドから判断させる段階と、を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    第1局(12a)から送信されるフレーム(80)内の競合制御フィールドが無競合アクセスを示す場合、第2局(12b)によって送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベルが、第1局(12a)から最後に送信されたフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベル(144)よりも上位であるかどうかを判断する段階、を含む方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、更に
    前記競合制御フィールドが無競合アクセスを示し、また第2局(12b)によって送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベル(144)が、第1局(12a)から最後に送信されたフレームのチャネルアクセスの優先権レベル(144)よりも上位である場合、あるいは前記競合制御フィールドが無競合アクセスを示さない場合、前記ネットワーク(10)におけるいずれかの局が、第2局(12b)によって送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベル(144)よりも上位のチャネルアクセスの優先権レベル(144)で、前記伝送メディア(14)へのアクセス競合を意図しているかどうか検出する段階を含む方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、更に
    前記伝送メディア(14)へのアクセス競合を、前記上位のチャネルアクセス優先権レベル(144)でアクセス競合を意図している局に譲る段階を含む方法。
  5. 請求項3に記載の方法であって、更に
    上位のチャネルアクセス優先権レベル(144)が検出されない場合、次の競合期間中において、前記伝送メディア(14)へのアクセス競合を行う段階を含む方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、更に
    前記次の競合期間に先立ち他の局に対して、対応するチャネルアクセス優先権レベル(144)で、前記伝送メディア(14)へのアクセス競合を行う意図を信号送信する段階を含む方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記競合期間中にアクセス競合を行う段階は、
    伝送を開始する前に、競合中の複数の局(12a,12b,…12k)に聞き取りを行わせる段階と、
    他の局からのアクティビティが検出されない場合、局にフレーム(80)の送信を開始させる段階と、を含む方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、CSMA通信はCSMA/CA通信を含む方法。
  9. 請求項6に記載の方法であって、前記競合期間(290)中にアクセス競合を行う段階は、
    ランダムなバックオフ(292)時間に対応する遅延期間を確立する段階と、
    前記遅延期間の継続期間中におけるアクティビティに対する前記伝送メディア(14)を監視する段階と、を含む方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、更に
    前記監視中にアクティビティが検出されない場合は、フレーム(80)を送信する段階を含む方法。
  11. 請求項3に記載の方法であって、
    前記ネットワーク(10)におけるいずれかの局(12a,12b,…12k)が、第2局によって送信されるフレームに対応するチャネルアクセスの優先権レベル(144)よりも上位のチャネルアクセスの優先権レベル(144)で、前記伝送メディア(14)へのアクセス競合を意図しているかどうか検出する段階は、前記競合期間直前の優先権解決期間(284)において行われ、
    前記優先権解決期間(284)中に少なくとも1つの他の局から、前記少なくとも1つの他の局によって送信されるフレームのチャネルアクセス優先権レベル(144)を示す送信信号を検出する段階を含む、方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、
    前記優先権解決期間(284)は、n個の優先権解決スロット(286,288)を含み、また2nのチャネルアクセス優先権レベル(144)をサポートする方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    nの値は2であり、また、各チャネルアクセス優先権レベル(144)は、2ビットの2進数値として表す方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、
    前記優先権解決スロット(286,288)は、2ビットの2進数値における第1ビットに対応する第1優先権解決スロット(286)と2ビットの2進数値における第2ビットに対応する第2優先権解決スロット(288)を含み、ここで、2ビットの2進数値における2進数1は、前記2つの優先権解決スロットの内対応する1つにおいて、検出される送信信号において受信される方法。
  15. 請求項14に記載の方法であって、更に
    送信されるフレームに対応するチャネルアクセス優先権レベル(144)を前記優先権解決スロット(286,288)において信号送信する段階を含む方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、信号送信する段階は、
    対応するチャネルアクセス優先権レベル(144)が2ビットの2進数値における第1ビットが1であることを要求する場合、第1優先権解決スロット(286)において信号送信する段階と、
    第1ビットが1であるか又は他の局からの送信信号が前記第1優先権解決スロット(286)において検出されなかった場合で、対応するチャネルアクセス優先権レベル(144)が2ビットの2進数値における第2ビットが1であることを要求する場合、前記第2優先権解決スロット(288)において信号送信する段階と、を含む方法。
  17. 請求項11に記載の方法であって、更に
    最後に送信されるフレームを基準にして、前記優先権解決期間(284)の始まる時期を予測するための仮想搬送波検出タイマを維持する段階を含む方法。
  18. 請求項17に記載の方法であって、前記最後に送信されるフレームは、フレーム制御情報(98)を含み、また前記維持する段階は、
    前記フレーム制御情報(98)を用いて前記仮想搬送波検出タイマに値を提供する段階を含む方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、更に
    実際の搬送波検出を用いて、前記最後に送信されるフレームを基準にして前記優先権解決期間(284)がいつ始まるかを判断する段階を含む方法。
  20. 請求項2に記載の方法であって、
    前記競合制御フィールドと前記チャネルアクセス優先権レベル(144)は、ほぼ全ての局(12a,12b,…12k)によって観測可能である方法。
  21. 請求項1に記載の方法であって、前記競合制御フィールドはフラグであって、設定された時、無競合間隔が確立されていることを示す方法。
  22. 請求項1に記載の方法であって、前記伝送メディア(14)は電力線である方法。
  23. 請求項16に記載の方法であって、前記信号送信する段階は、OFDM記号を送信する段階を含み、また、送信信号を検出する段階は、送信されるOFDM記号を検出する段階を含み、前記OFDM記号は、前記OFDM記号に対応する遅延拡散性能特性のために、ほぼ全ての局(12a,12b,…12k)によって観測可能である方法。
  24. 請求項11に記載の方法であって、前記優先権解決期間(284)は、伝送メディア(14)の不活性期間に続く方法。
  25. 請求項1に記載の方法であって、前記第1局(12a)は前記複数のフレームの全部を送信する方法。
  26. 請求項1に記載の方法であって、前記競合制御フィールドは、送信される前記複数のフレームのうち、最後のフレーム以外の全フレームに設定される方法。
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